【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人情報通信研究通信機構、「高度通信・放送研究開発委託研究/高い環境耐性を有するキャリアコンバータ技術の研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【解決手段】基板に設けられた2つのマッハツェンダ型光導波路と、基板の外部から入力される入力光を2つに分岐する分岐導波路と、分岐導波路により分岐された光を2つのマッハツェンダ型光導波路へそれぞれ導く2つの接続導波路と、2つのマッハツェンダ型光導波路を構成する光導波路を伝搬する光波をそれぞれ制御する電極と、により構成され、2つのマッハツェンダ型光導波路のそれぞれの並行導波路は、基板の一の辺に沿って延在するよう構成されており、分岐導波路は、上記一の辺のある方向から光が入力されるよう配され、当該分岐導波路に入力される光の伝搬方向に関し線対称であって且つ分岐された2つの光が当該伝搬方向と異なる方向へ出力されるように形成されている。
基板上に設けられた2つのマッハツェンダ型光導波路と、前記基板の外部から入力される入力光を2つに分岐する分岐導波路と、前記分岐導波路により分岐された光を前記2つのマッハツェンダ型光導波路へそれぞれ導く2つの接続導波路と、前記2つのマッハツェンダ型光導波路を構成する光導波路を伝搬する光波をそれぞれ制御する電極と、により構成される光変調素子であって、
前記2つのマッハツェンダ型光導波路のそれぞれの並行導波路は、前記基板の一の辺に沿って延在するよう構成されており、
前記分岐導波路は、
前記一の辺のある方向から光が入力されるよう配され、
当該分岐導波路に入力される光の伝搬方向に関し線対称であって且つ分岐された2つの光が当該伝搬方向と異なる方向へ出力されるように形成されている、
光変調素子。
前記分岐導波路は、前記線対称に形成された部分を出るときの2つの分岐出力光の間隔が、前記2つのマッハツェンダ型光導波路のそれぞれの光入力端の間隔よりも小さく形成されている、
請求項1または2に記載の光変調素子。
前記2つのマッハツェンダ型光導波路は、それぞれ、当該マッハツェンダ型光導波路を構成する2つの並行導波路のそれぞれに他のマッハツェンダ型光導波路を含むネスト型マッハツェンダ型光導波路である、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の光変調素子。
前記2つの接続導波路は、共に直線導波路と曲がり導波路とで構成され、前記分岐導波路の光の流入部から、前記2つのマッハツェンダ型光導波路のそれぞれの光入力端に至るまでの全伝搬損失が、互いに等しくなるように構成される、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の光変調素子。
前記2つの接続導波路は、前記分岐導波路の光の流入部から前記2つのマッハツェンダ型光導波路の光入力端までのそれぞれの光路長が互いに同じとなるように構成される、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の光変調素子。
【背景技術】
【0002】
高速/大容量光ファイバ通信システムにおいては、導波路型の光変調器を組み込んだ光送信装置が多く用いられている。中でも、電気光学効果を有するLiNbO
3(以下、LNともいう)を基板に用いた光変調素子は、インジウムリン(InP)、シリコン(Si)、あるいはガリウム砒素(GaAs)などの半導体系材料を用いた変調素子に比べて、光の損失が少なく且つ広帯域な光変調特性を実現し得ることから、高速/大容量光ファイバ通信システムに広く用いられている。
【0003】
一方、光ファイバ通信システムにおける変調方式は、近年の伝送容量の増大化の流れを受け、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)やDP−QPSK(Dual Polarization − Quadrature Phase Shift Keying)等、多値変調や、多値変調に偏波多重を取り入れた伝送フォーマットが主流となっている。
【0004】
近年のインターネットサービスの普及加速は通信トラフィックのより一層の増大を招き、光通信システムについての、継続的な高速大容量化の検討が今も進められている。その一方で、装置の小型化に対する要求は不変であり、光変調素子そのものの小型化に加えて、電子回路と光変調素子とを一つの筺体に収容し、光変調モジュールとして集積化する等の取り組みも進められている。
【0005】
例えば、光変調素子と当該光変調素子を駆動する高周波ドライバアンプとを一つの筺体内に集積して収容し、光入出力部を当該筺体の片側短辺に並列配置することで、小型・集積化を図った光変調モジュールが提案されている。
【0006】
図6は、上記のような集積化が行われる前の、単体として用いられるDP−QPSK変調器を構成する光変調素子の、従来の構成の一例を示す図である。DP−QPSK変調器を構成する光変調素子600は、LNである基板530上に構成され、図示左方から入力された光を受ける入力導波路532と、入力された光を同じ光量を有する2つの光に分岐する分岐導波路534と、を含む。また、光変調素子600は、分岐導波路534により分岐されたそれぞれの光を変調する2つの変調部である、いわゆるネスト型マッハツェンダ型光導波路540a、540b(それぞれ、図示一点鎖線で囲まれた部分)を含む。
【0007】
ネスト型マッハツェンダ型光導波路540a、540bは、それぞれ、一対の並行導波路を成す2つの導波路部分のそれぞれに設けられた2つのマッハツェンダ型光導波路544a(図示破線内部分)、546b(図示二点鎖線内部分)、および544b(図示破線内部分)、546b(図示二点鎖線内部分)を含む。これにより、ネスト型マッハツェンダ型光導波路540a、540bは、それぞれ変調光入力端542a、542bから入力された光を、それぞれQPSK変調した後、変調後の光(出力)をそれぞれの出力導波路548a、548bから図示右方へ出力する。
【0008】
これら2つの出力光は、その後、基板530外に配された光学部品により偏波合成されて一つの光ビームにまとめられ、例えばレンズを介して光ファイバ端末へ入力されて、伝送路ファイバへと導かれる。
【0009】
基板530上には、ネスト型マッハツェンダ型光導波路540a、540bを構成する合計4つのマッハツェンダ型光導波路544a、546a、544b、546bのそれぞれに変調動作を行わせるための信号電極550a、552a、550b、552bが設けられている。信号電極550a、552a、550b、552bは、例えば、それぞれ2つの接地電極と、当該2つの接地電極に挟まれた1つの中心電極とで構成されている。
【0010】
信号電極550a、552aは、例えば、基板530の図示上側の長辺の左方及び右方に、それぞれ両端部が配列されている。また、信号電極550b、552bは、例えば、基板530の図示下側の長辺の左方及び右方に、それぞれ両端部が配列されている。信号電極550a、552a、および550b、552bは、図示右方の端部配列554aおよび554bに接続された終端抵抗(不図示)により終端される。これにより、図示左方に配列された端部から入力された高周波電気信号は、進行波となって信号電極550a、552a、550b、552b内を伝搬する。この高周波電気信号は、例えば光変調素子600に100Gb/sを超える伝送レートの変調を行わせる際には、マイクロ波領域の周波数を有する。
【0011】
なお、基板530上には、必要に応じて、ネスト型マッハツェンダ型光導波路540a、540bの動作点を調整するためのバイアス電極556a、558a、556b、558bも設けられる。
【0012】
上記の構成を有する従来のDP−QPSK変調器は、単体として良好に機能するものの、更なる高速化に向けて上記のような電子回路との集積化を行う場合には、いくつかの改善の余地を有する。その一つは、光の入出力部(入力導波路532、出力導波路548a、548b)が基板530の図示左右において対向する2つの短辺に設けられていることから、信号電極550a、552a、および550b、550bの端部が、これらの短辺を避けて基板530の図示上下の2つの長辺にそれぞれ設けられる点である。すなわち、配置の競合を避けるため、光の入出力部は2つの短辺に、信号電極550a等の端部は2つの長辺にそれぞれ配されている。
【0013】
一般に、マイクロ波を伝搬させる信号電極は、当該信号電極を伝搬するマイクロ波エネルギの空中への漏れをできる限り防止すべく、屈曲部や曲がり部を極力含まないように構成することが望ましい。これに対し、上記従来の光変調素子600では、上記光の入出力部との配置スペースの競合を避けるべく、信号電極550a、552a、および550b、550bのそれぞれの端部を基板530のそれぞれの長辺に設ける結果、信号電極550a、552a、550b、550bのそれぞれは、マッハツェンダ型光導波路544a、546a、544b、546bのそれぞれに至るまでの間に曲がり線路(曲線線路)等により構成される屈曲部を含むこととなり得る。
【0014】
このような、信号電極における屈曲部を減らす構成として、従来、
図7に示す光変調素子700のように、L字型に曲がった入力導波路632を備えて、ネスト型マッハツェンダ型光導波路540a、540bの光導波路の延在方向に対し直交する方向からの光入力を受ける構成が提案されている(特許文献1)。
【0015】
また、他の構成として、従来、
図8に示す光変調素子800のように、
図6における分岐導波路534に代えて、ネスト型マッハツェンダ型光導波路540a、540bの光導波路の延在方向に対し直交する方向に伝搬する光入力を2つの光に分岐して、2つの分岐光を当該光入力の伝搬方向と同じ方向へ出力するMMIカプラ734を備える構成が提案されている(特許文献2)。この構成では、MMIカプラ734を出たそれぞれの分岐光は、それらの伝搬方向を90度曲げるための曲がり導波路で構成される接続導波路を介して、それぞれネスト型マッハツェンダ型光導波路540a、540bへ入力される。
【0016】
なお、
図7、
図8において、
図6に示す構成要素と同じ構成要素については、
図6に示す符号と同じ符号を用いて示している。
【0017】
図7および
図8に示す光変調素子700、700は、入力光が基板530の長辺側(それぞれ図示上側の辺)から入力されるため、信号電極650a、652a、650b、652b、及び信号電極750a、752a、750b、750bを、基板530の一の短辺(それぞれ図示左側の辺)から、ネスト型マッハツェンダ型光導波路540a、540bまで、屈曲することなく、ネスト型マッハツェンダ型光導波路540a、540bの延在方向に沿って直線状に構成することができる。このため、伝送レートの高速化に伴って高周波信号の周波数が増加しても、これらの信号電極からのマイクロ波の漏洩が回避され得る。
【0018】
しかしながら、
図7に一例を示した特許文献1の構成では、L字型の入力導波路632を導入したため、図示の長さaにわたり基板530が長さ方向に長くならざるを得ない。このため、上述した光変調素子の小型化への要求に反することとなる。また、分岐導波路534をそのまま用いるため、2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路540a、540b間のクロストークを低減すべく、これらのネスト型マッハツェンダ型光導波路540a、540bの間隔を広げると、分岐導波路534からネスト型マッハツェンダ型光導波路540a、540bのそれぞれに至る接続導波路の長さが長くなって、基板530の長さは長くなる。これは、接続導波路の長さを一定にしたまま上記間隔を広げるためには、接続導波路に設ける曲がり部分の曲率半径を小さくする必要が生ずるが、曲がり損失との関係から、上記曲率半径を際限なく小さくすることはできないためである。
【0019】
したがって、例えば伝送レートの増加等に起因してネスト型マッハツェンダ型光導波路540a、540bを駆動する高周波電気信号の周波数が増加したような場合に、上記間隔を広げてクロストークを低減しようとすると、基板530の長さ方向が更に拡大されることとなり、上記小型化の要請に応えることが更に困難となる。
【0020】
また、
図8に一例を示した特許文献2の構成では、上述のように、MMIカプラ734を出たそれぞれの分岐光は、それらの伝搬方向を90度曲げるための曲がり導波路を含んだ接続導波路を介して、それぞれネスト型マッハツェンダ型光導波路540a、540bへ入力される。このため、上記と同様に、曲がり導波路部分の曲率半径の制約から、接続導波路を形成するためには、基板部分の面積を一定以上確保する必要が生じ、基板530の小型化を図ることが困難となる。
【0021】
一方、MMIカプラ734の分岐出力光を、当該MMIカプラ734の入力光の伝搬方向と異なる方向へ出力させようとすると、MMIカプラ734を構成するモード干渉部分の設計が複雑化し、所望の(例えば1:1の)分岐比を精度よく実現することが困難となり得る。
【0022】
すなわち、上述した従来の光変調素子は、電子回路と共に同一の筺体内に収容する用途においては、更に改善の余地がある。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光変調モジュール100の構成を示す図である。光変調モジュール100は、筺体102と、当該筺体102内に収容された光変調素子104および当該光変調素子104を駆動する電子回路106と、を有する。光変調素子104は、例えば、DP−QPSK変調器である。また、光変調素子104は、例えば、一対の短辺と、当該短辺より長い一対の長辺とを有する矩形で構成される。なお、筺体102は、最終的にはその開口部に板体であるカバー(不図示)が固定されて、その内部が気密封止される。
【0029】
光変調モジュール100は、また、光変調素子104の変調に用いる電気信号を入力するための信号ピン110a、110b、110c、110dと、これらの信号ピン110a、110b、110c、110dを筺体102内に導入するためのフィードスルー部108と、を有する。本実施例では、光変調素子104が備える2つのネスト型マッハツェンダ変調器を構成する4つのマッハツェンダ変調器のそれぞれを駆動するための4つの電気信号が、上記4つの信号ピン110a、110b、110c、110dから入力される。
【0030】
さらに、光変調モジュール100は、筺体102内に光を入力するための入力光ファイバ114と、光変調素子104により変調された光を筺体102の外部へ導く出力光ファイバ120と、を有する。
【0031】
ここで、入力光ファイバ114及び出力光ファイバ120は、固定部材であるサポート122及び124を介して筺体102にそれぞれ固定されている。入力光ファイバ114から入力された光は、サポート122内に配されたレンズ130によりコリメートされた後、プリズム132およびレンズ134を介して光変調素子104の一の長辺側(図示上側の長辺側)から当該光変調素子104へ入力される。ただし、これは一例であって、光変調素子104への光の入力は、例えば、入力光ファイバ114を、サポート122を介して筺体102内に導入し、当該導入した入力光ファイバ114の端部を光変調素子104の一の長辺側に配置することで行うものとすることもできる。
【0032】
光変調モジュール100は、また、光変調素子104から出力される2つの変調された光を偏波合成する光学ユニット116を有する。偏波合成されて光学ユニット116から出力された光は、筺体102の内部まで延在するサポート124内に配されたレンズ118により集光されて出力光ファイバ120へ結合される。
【0033】
電子回路106から出力される、光変調素子104を駆動する高周波電気信号は、例えばワイヤボンディング等により、電子回路106の基板から直接に、又は中継基板を介して間接に、光変調素子104の信号電極(後述)の一端に接続される。また、光変調モジュール100は、筺体102内に所定のインピーダンスを有する2つの終端器112aおよび112bを備える。
【0034】
図2は、
図1に示す光変調モジュール100の筺体102内に収容される光変調素子104の構成の一例を示す図である。光変調素子104は、例えばDP−QPSK変調を行う導波路型光素子であり、例えばLNで構成される基板230上に形成された光導波路(図示太線の点線)で構成される。これらの光導波路は、基板230の表面にTiを熱拡散することにより形成されるものとすることができるが、これには限られない。これらの光導波路は、例えば基板230を数ミクロンの厚さまで薄板化し、光導波路を形成するライン部分の厚さを他の部分の厚さより厚くすることで、当該ライン部分の実効屈折率を他の部分より高くして形成されるリブ型光導波路であってもよい。
【0035】
基板230は、例えば矩形であり、図示上下方向に延在して対向する2つの短辺260a、260b、および当該短辺260a、260bと直交する図示左右方向に延在し、且つ短辺260a、260bよりも長さの長い、互いに対向する2つの長辺260c、260dを有する。例えば、基板230は、短辺260a、260bが互いに平行に対向し、長辺260c、260dが互いに平行に対向し、短辺260a、260bの延在方向と長辺260c、260dの延在方向とは直交している。
【0036】
光変調素子104は、それぞれがQPSK変調動作を行う2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240b(それぞれ、図示一点鎖線で囲まれた部分)を有する。これらのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bは、それぞれ、一対の並行導波路を成す2つの導波路部分のそれぞれに設けられた2つのマッハツェンダ型光導波路244a(図示破線の矩形内)、246b(図示二点鎖線の矩形内)、および244b(図示破線の矩形内)、246b(図示二点鎖線の矩形内)を含む。これにより、ネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bは、それぞれの変調光入力端242a、242bから入力された光をそれぞれQPSK変調し、変調後の光(出力)をそれぞれの出力導波路248a、248bから出力する。
【0037】
本実施形態では、ネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bを構成する4つのマッハツェンダ型光導波路244a、246b、244b、246b(したがって、これらのマッハツェンダ型光導波路244a、246b、244b、246bのそれぞれの並行導波路)は、基板230の一の辺である例えば長辺260c又は260dに沿って延在するよう構成されている。
【0038】
基板230上には、ネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bを構成する合計4つのマッハツェンダ型光導波路244a、246a、244b、246bのそれぞれに変調動作を行わせるための信号電極250a、252a、250b、252bが設けられている。信号電極250a、252a、250b、252bは、例えば、それぞれ2つの接地電極と、当該2つの接地電極に挟まれた1つの中心電極とで構成されている。
【0039】
信号電極250a、252a、250b、252bは、それぞれ、2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bが延在する方向に沿って、上記一の辺である長辺260c又は260dと異なる、基板230の他の辺である例えば短辺260aまで延在するよう形成されている。
【0040】
言い換えると、本実施形態では、信号電極250a、252a、250b、252bは、図示左方の短辺260aから、ネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bの延在方向に沿って(したがって、長辺260c、260dの延在方向に沿って)、ネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bを構成するマッハツェンダ型光導波路244a、246a、244b、246bまで直線的に延在する。また、信号電極250a、252a、250b、252bは、短辺260aに配された端部において電子回路106の信号出力電極とそれぞれ接続される。これにより、光変調素子104では、短辺260aにおいて電子回路106から入力された4つの高周波電気信号は、その伝搬方向を変えられることなく4つのマッハツェンダ型光導波路244a、246a、244b、246bへと伝搬される。その結果、光変調素子104では、電子回路106から入力された高周波電気信号の漏洩が抑制されるので、光変調素子104を、高周波特性の劣化を招くことなく同一の筺体102内に電子回路106と共に収容することができる。
【0041】
信号電極250a、252aは、ネスト型マッハツェンダ型光導波路240aの延在方向に沿って延在した後、長辺260cへ向かって曲がるように形成されている。そして、信号電極250a、252aは、長辺260c上の端部配列254aにおいて、終端器112aに接続される。また、信号電極250b、252bは、ネスト型マッハツェンダ型光導波路240bの延在方向に沿って延在した後、長辺260dへ向かって曲がるように形成されている。そして、信号電極250b、252bは、長辺260d上の端部配列254bにおいて、終端器112bに接続される。これにより、短辺260aにおいて電子回路106から入力された4つの高周波電気信号のそれぞれは、信号電極250a、252a、250b、252b内を進行波として伝搬する。
【0042】
光変調素子104には、更に、基板230上に、必要に応じてネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bの動作点を調整するためのバイアス電極256a、258a、256b、258bも設けられる。
【0043】
光変調素子104への入力光は、基板230の長辺260cに接続される入力光ファイバ114から入力される。
【0044】
特に、本実施形態の光変調素子104では、
図7に示す従来の光変調素子700における分岐導波路534のような、ネスト型マッハツェンダ型光導波路540a、540bの延在方向に沿って光が入力される分岐導波路を有さない。
【0045】
その代わりに、光変調素子104では、基板230の上記一の辺である長辺260cのある方向から光が入力されるよう配された分岐導波路234を備える。また、分岐導波路234は、当該分岐導波路234に入力される光の伝搬方向に関し線対称であって且つ分岐された2つの光が当該伝搬方向と異なる方向へ出力されるように形成されたY分岐光導波路で構成されている。ここで、本実施形態では、分岐導波路234は、長辺260cのある方向から当該分岐導波路234に入力される光の伝搬方向が、短辺260aに沿った方向となるように配されている。
【0046】
また、分岐導波路234から出力される2つの分岐出力は、それぞれ、接続導波路270a、270bにより、ネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bの変調光入力端242a、242bへ導かれて接続される。
【0047】
ここで、本実施形態では、分岐導波路234は、例えば、上記線対称に形成された部分(
図2において分岐導波路234を示す矩形の破線で囲まれた部分)を出るときの2つの分岐出力光の間隔W1が、2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bのそれぞれの光入力端である変調光入力端242a、242bの間隔W2よりも小さく形成されている(すなわち、W1<W2)。なお、変調光入力端242a、242bは、
図2に示す位置のほか、ネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bのそれぞれの入力部を構成する2つの分岐導波路の分岐点280a、280bの位置として定義することもできる。この場合、間隔W2は、2つの分岐点280a、280b間の距離として定義される。
【0048】
さらに、本実施形態では、接続導波路270a、270bは、
図2に示すように、直線導波路と曲がり導波路とで構成されている。そして、接続導波路270a、270bは、分岐導波路234の光の流入部から、2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bのそれぞれの変調光入力端242a、242bに至るまでの全伝搬損失が、互いに等しくなるように構成されている。これにより、例えば、分岐導波路234の分岐比が、設計上、1:1から偏差を持つような場合でも、接続導波路270a、270bの曲がり導波路部分における曲がり損失等により上記偏差を補正することができることとなり、設計自由度が向上する。
【0049】
上記の構成を有する光変調素子104は、上述のように、
図6における分岐導波路534のような、ネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bの延在方向に沿って光が入力される分岐導波路を用いないので、
図7に示すL字型に曲がった入力導波路632を用いる必要はなく、
図7におけるような図示左右方向のサイズの増加(図示において「a」で示す長さの増加)は発生しない。
【0050】
また、分岐導波路234を構成するY分岐導波路は、
図8に示す従来の光変調素子800におけるMMIカプラ734とは異なり、入力される光の伝搬方向に対し分岐された2つの分岐光が異なる方向へ出力されるように形成されるものとしても、入力光が精度よく等分配されるように容易に構成ことができる(すなわち、1:1の分岐比を容易に実現することができる)。このため、2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bに入力される光の光量を同じにして、変調波形における歪の発生を容易に抑制することができる。
【0051】
さらに、分岐導波路234を構成するY分岐導波路は、1:1の分岐比を確保するべく入力光の伝搬方向の線分に対し線対称に構成されていればよく、上記のように2つの分岐出力光を必ずしも上記入力光と同じ方向に出力させる必要はない。このため、分岐導波路234では、上記線対称な形状を維持する限りにおいて、一方の分岐出力の出射方向を、当該分岐導波路234に近い方のネスト型マッハツェンダ型光導波路240aの方向へ向くように設計することできる。したがって、
図8に示すMMIカプラ734のように入力される光の方向と同じ方向に分岐出力光を出力する分岐導波路を用いる場合に比べて、光の方向を90度変化させる必要がなく、また、分岐導波路234に入力されてから接続導波路270aを経て変調光入力端242aに至るまでの経路における光の伝搬方向の変化に変曲点がない(すなわち、
図2の構成においては、上記経路における光の伝搬方向の変化は常に一方向(半時計回り)であって、途中で逆方向(時計回り方向)へは変化しない)。このため、光変調素子104では、上記近い方のネスト型マッハツェンダ型光導波路240aの変調光入力端242aに至る接続導波路270aを、より大きな曲率半径を有しつつもより短く形成することが可能となる。
【0052】
一方、分岐導波路234のうち、他方の分岐出力の出射方向は、当該分岐導波路234の分岐点の対称性から、遠い方のネスト型マッハツェンダ型光導波路240bから遠ざかる方向へ出射されることとなる。しかしながら、当該遠い方のネスト型マッハツェンダ型光導波路240bの変調光入力端242bに至る接続導波路270bは、接続導波路270aより長く構成することができるので、光導波路の曲がり損失の制約(すなわち、曲率半径の制約)の範囲内で自由にかつ容易に設計することができる。
【0053】
また、分岐導波路234から出力される分岐出力光は、上述のように接続導波路270a、270bによりネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bの変調光入力端242a、242bと接続される。このため、例えばクロストーク改善のためにネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bの間隔W2を広げたい場合には、接続導波路270a、270bの、短辺260aに沿った延在距離を調整するだけでよく、分岐導波路234における分岐出力光の間隔W1を広げる必要はない。したがって、光変調素子104では、
図7に示す従来の光変調素子700とは異なり、ネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bの間隔を広げても、基板230の長さ方向(すなわち、長辺260c、260dに沿った方向)の長さを拡大する必要はない。
【0054】
以上より、光変調素子104は、高周波特性及び光変調特性の劣化を招くことなく、かつ自身のサイズの増大を招くことなく(従って、筺体102のサイズの増大を招くことなく)、同一の筺体102内に電子回路106と共に収容され得る。
【0055】
次に、第1の実施形態に係る光変調モジュール100に用いることのできる、光変調素子104の変形例について説明する。
【0056】
<第1の変形例>
図3は、第1の変形例に係る光変調素子304の構成を示す図である。
図3において、
図2に示す光変調素子104と同じ構成要素については、
図2における符号と同じ符号を用いて示すものとし、上述した
図2についての説明を援用する。
【0057】
図3に示す光変調素子304は、光変調素子104と同様の構成を有するが、入力導波路232に代えて、入力導波路332を有する点が異なる。光変調素子104における入力導波路232は、長辺260cから入力された入力光を、その伝搬方向を変更することなく分岐導波路234へ導くのに対し、本変形例の光変調素子304の入力導波路332は、短辺260bから入力される入力光を長辺260cに沿って伝搬させた後、その伝搬方向を90度変化させて、分岐導波路234へ接続する。すなわち、短辺260bからの入力光を受け取りつつも、分岐導波路234には、長辺260cのある方向から光が入力されるように構成されている。
【0058】
上記の構成を有する光変調素子304では、これを光変調モジュール100の筺体102に収容して用いた場合には、光変調素子104を用いる場合と異なり、筺体102の内部において入力光ファイバ114を長辺260cへ向けて90度曲げる必要がない。このため、光変調素子304を用いた場合には、筺体102内における入力光ファイバ114の引き回しのためのスペースが不要となり、例えば電子回路106の面積はそのままにその形状を変更等することで、筺体102の幅方向(図示上下方向)のサイズを更に小型化することができる。
【0059】
<第2の変形例>
図4は、第2の変形例に係る光変調素子404の構成を示す図である。
図4において、
図2に示す光変調素子104と同じ構成要素については、
図2における符号と同じ符号を用いて示すものとし、上述した
図2についての説明を援用する。
【0060】
図4に示す光変調素子404は、光変調素子104と同様の構成を有するが、接続導波路270aに代えて接続導波路270a´を有する点が異なる。接続導波路270a´は、接続導波路270aと同様の構成を有するが、分岐導波路234から出力された光を、一旦、分岐導波路234の入力光の伝搬方向と同じ方向へ伝搬させた後、変調光入力端242aへ導く点が異なる。
【0061】
図4の構成においては、
図2や
図3のように分岐導波路234での分岐後すぐにマッハツェンダ型光導波路240aの変調光入力端242aへ向かって接続導波路270aが形成される構成は異なり、接続導波路270a´は、接続導波路270bの直線導波路部分に対し狭い間隔で並行に設けられた直線導波路部分を含む。これにより、
図4の構成では、基板230の長さ方向(図示左右方向)の大きさを抑制しながら、分岐後の導波路を複数のマッハツェンダ型光導波路240a、240bに接続できるため、複数のマッハツェンダ型光導波路240a、240bの配置の自由度を増すことが出来る。
【0062】
<第3の変形例>
図5は、第3の変形例に係る光変調素子504の構成を示す図である。
図5において、
図2に示す光変調素子104と同じ構成要素については、
図2における符号と同じ符号を用いて示すものとし、上述した
図2についての説明を援用する。
【0063】
図5に示す光変調素子504は、光変調素子104と同様の構成を有するが、接続導波路270aに代えて、接続導波路470aを備える点が異なる。接続導波路470aは、接続導波路270aと同様の構成を有するが、その途中に蛇行部472が含まれている点が異なる。これにより、接続導波路470a、270bは、分岐導波路234の光の流入部から2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bの光入力端である変調光入力端242a、242bまでのそれぞれの光路長が、互いに同じとなるように構成されている。
【0064】
上記の構成を有する光変調素子504は、入力導波路232の長辺260cの端部からそれぞれ変調光入力端242a、242bに至るまでの光路長が互いに等しくなるように構成されることとなるので、例えば2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bに入力される光の位相を、変調光入力端242a、242bにおいて互いに同じにしたい場合に好適である。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態およびその変形例の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0066】
例えば、本実施形態では、基板230は、例えば互いに平行に対向する2つの短辺260a、260bと、互いに平行に対向する2つの長辺260c、260dとを有し、短辺260a、260bの延在方向と長辺260c、260dの延在方向が直交する矩形であるものとしたが、これには限られない。また、ネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bは、一の辺である長辺260c又は260dに沿って延在し、分岐導波路234は、他の辺である短辺260aの延在方向に沿って、長辺260cのある方向から光が流入されるよう配されるものとしたが、これには限られない。
【0067】
基板230の、短辺260a、260bは互いに平行でなくてもよく、及び又は、長辺260c、260dは互いに平行でなくてもよい。分岐導波路234に接続される2つのマッハツェンダ型光導波路であるネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bは、少なくとも、それぞれの並行導波路が、そのような基板230の一の辺に沿って延在していればよく、分岐導波路234は、当該一の辺のある方向から光が入力されるように配されていればよい。
【0068】
また、上述した実施形態及びその変形例では、光変調素子104、304、404は、それぞれがQPSK変調を行う2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bを備えてDP−QPSK変調を行うものとしたが、これには限られない。例えば、ネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bに代えて、それぞれ通常の振幅変調を行う2つのマッハツェンダ型光導波路を備え、一つの光源からの光を入力導波路232により受信した後、それぞれが異なる高周波電気信号により変調を行って2つの出力光ファイバへ向けて出力されるものとすることもできる。
【0069】
この場合でも、上述の光変調素子104、304、404における分岐導波路234を用いた構成と同様の構成を用いることにより、高周波特性及び光変調特性の劣化を招くことなく、かつ光変調素子自身のサイズの増大を招くことなく(従って、筺体サイズの増大を招くことなく)、同一の筺体内に光変調素子と電子回路とを共に収容することができることとなる。
【0070】
また、上述した実施形態およびその変形例では、信号電極250a、252a、250b、252bをそれぞれ構成する接地電極は、互いに分離されて設けられるものとしたが、これには限られない。信号電極250a、252a、250b、252bのうち隣接する信号電極の隣接する2つの接地電極は、それらの間に導体が形成されることにより一つの連続する接地電極として形成されるものとすることができる。例えば、
図2において、信号電極250aの図示下側の接地電極は、図示下側へ延在することにより信号電極252aの図示上側の接地電極と合体して一つの接地電極として構成されるものとすることができる。信号電極252aの図示下側の接地電極と信号電極252bの図示上側の接地電極、および信号電極252bの図示下側の接地電極と信号電極250bの図示上側の接地電極も同様である。
【0071】
以上、説明したように、本実施形態に示す光変調素子104、304、404、504は、基板230上に設けられた2つのマッハツェンダ型光導波路であるネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bと、基板230の外部から入力される入力光を2つに分岐する分岐導波路234と、を有する。光変調素子104、304、404、504は、また、分岐導波路234により分岐された光を上記2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bへそれぞれ導く2つの接続導波路270a、270bと、上記2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路を構成する光導波路を伝搬する光波をそれぞれ制御する電極である信号電極250a、252a、250b、252bと、を有する。上記2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bを構成するそれぞれの光導波路は、基板230の一の辺である長辺260cに延在するよう構成されている。また、分岐導波路234は、上記一の辺である長辺260cのある方向から(例えば短辺260aの延在方向に沿って)光が入力されるよう配されている。そして、分岐導波路234は、当該分岐導波路234に入力される光の伝搬方向に関し線対称であって、且つ分岐された2つの光が当該伝搬方向と異なる方向へ出力されるように形成されている。
【0072】
この構成によれば、分岐導波路234は、ネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bが延在する方向に沿う一の辺(長辺260c)のある方向から光が入力されるように配される。このため、当該延在する方向に沿って信号電極250a、252a、250b、252bを延在させた場合でも、基板230に対し、これらの信号電極250a、252a、250b、252bの端部のある方向とは異なる方向から光を入射させることができる。したがって、光変調素子104、304、404、504では、基板230への光の入射位置と高周波電気信号の入力位置との競合を避けつつ、信号電極250a、252a、250b、252bを、高周波電気信号の入力位置から直線的に、ネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bの延在方向に沿って形成でき、良好な高周波特性を得ることができる。
【0073】
特に、上記の構成では、上述のように、分岐導波路234は、2つネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bが延在する方向に沿う一の辺(長辺260c)のある方向から光が入力されるように配されるので、特許文献1に記載の構成とは異なり、2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bの間隔を広げる場合でも、基板230を上記延在方向に広げる必要がない。このため、基板230のサイズの増大を招くことなく、2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240b間のクロストークを低減して良好な光学特性を得ることができる。
【0074】
また、特に、上記構成によれば、分岐導波路234は、入力される光の伝搬方向に関し対称であって、且つ分岐された2つの光が当該伝搬方向と異なる方向へ出力されるように形成されているので、分岐導波路234から当該分岐導波路234に近い方のネスト型マッハツェンダ型光導波路240aに向かって光の伝搬方向を大きく(例えば90度まで)変える必要がない。このため、光変調素子104、404では、入力される光と同一方向に分岐光を出力するMMIカプラを用いる特許文献2の構成に比べて、分岐導波路234からネスト型マッハツェンダ型光導波路240aに至る接続導波路270aの曲がり導波路を部分のサイズを小さくすることができ、従って基板230のサイズを小さくすることができる。
【0075】
そして、これらの効果の結果として、光変調素子104、404は、高周波特性及び光変調特性の劣化を招くことなく、かつ筺体102サイズの増大を招くことなく、当該筺体102内に電子回路106と共に収容される得る。
【0076】
また、光変調素子104、304、404、504では、分岐導波路234は、当該分岐導波路234に入力される光の伝搬方向に関し線対称に形成されたY分岐光導波路で構成される。この構成によれば、例えば1:1の分岐比を精度良く実現し得る線対称の分岐導波路234を容易に形成することができる。
【0077】
また、光変調素子104、304、404、504では、分岐導波路234は、上記線対称に形成された部分を出るときの2つの分岐出力光の間隔W1が、2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bのそれぞれの光入力端の間隔W2よりも小さく形成される。
【0078】
この構成によれば、例えば2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bの間隔を広げた場合でも、基板230のサイズを拡大する必要がない。したがって、2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bの間のクロストークを効果的に低減しつつ、光変調素子104、304、404、504をコンパクトに構成することができる。
【0079】
尚、分岐導波路234での分岐比を保つには、2つの分岐出力光の間で及ぼす影響が許容される程度に離間(分岐導波路を伝搬する光波の光強度分布の2倍以上)したところまで、分岐導波路234の対称性を保っておく必要がある。このため2つの分岐出力光の間隔W1は上記条件を満足することがより望ましい。
【0080】
また、光変調素子104、304、404、504では、信号電極250a、252a、250b、252bは、それぞれ、2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bが延在する方向に沿って基板230の上記一の辺(例えば長辺260c)と異なる他の辺(例えば短辺260a)まで延在するよう形成されている。
【0081】
この構成によれば、上記他の辺(短辺260a)から入力される高周波電気信号を、信号電極250a、252a、250b、252bにより、2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bの位置まで、当該2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bが延在する方向に沿って直線的に導くことができる。このため、光変調素子104、304、404、504では、良好な高周波特性を実現することができる。
【0082】
また、光変調素子104、304、404、504では、2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bは、それぞれ、当該ネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bをそれぞれ構成する2つの並行導波路のそれぞれに他のマッハツェンダ型光導波路244a、246aおよび244b、246bを含む。
【0083】
この構成によれば、DP−QPSK変調器を、基板230上にコンパクトに構成することができる。
【0084】
また、光変調素子104、304では、2つの接続導波路270a、270bは、共に直線導波路と曲がり導波路とで構成され、分岐導波路234の光の流入部から、2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bのそれぞれの変調光入力端242a、242bに至るまでの全伝搬損失が、互いに等しくなるように構成される。
【0085】
この構成によれば、2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bに入力される光の量が等量となるように、接続導波路270a、270bを構成する直線導波路及び曲がり導波路のそれぞれの伝搬損失又は曲がり損失を調整することができ、設計自由度が向上する。
【0086】
また、光変調素子504では、2つの接続導波路470a、270bは、分岐導波路234の光の流入部から上記2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bの変調光入力端242a、242bまでのそれぞれの光路長が互いに同じとなるように構成される。
【0087】
この構成によれば、2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bに入力される光の位相を、精度よく一致させることができる。
【0088】
また、光変調素子104、304、404、504では、基板230は、2つの対向する短辺260a、260bと、当該短辺260a、260bより長い2つの対向する長辺260c、260dと、を有する矩形で構成される。また、上記一の辺は長辺260c、260dのいずれかであり、分岐導波路234に入力される際の光の伝搬方向は短辺260a、260bに沿った方向である。
【0089】
この構成によれば、例えば、矩形の基板230において、信号電極250a、250b、252a、252bを長辺260cに沿って延在させて短辺260aに至る端部から高周波電気信号を入力するものとし、基板230への外部からの光の入射位置を短辺260a以外の辺(例えば長辺260cや短辺260b)に配することができる。これにより、高周波電気信号の入力位置と光入力位置との競合を避けつつ信号電極250a、250b、252a、252bを2つのネスト型マッハツェンダ型光導波路240a、240bまで直線的に延在させる構成を、容易に実現することができる。
【0090】
また、上記実施形態に示す光変調モジュール100は、光変調素子104、304、404、504のいずれかの光変調素子と、当該光変調素子を駆動する電子回路106と、当該光変調素子と電子回路106とを収容する筺体102と、を有する。
【0091】
この構成によれば、良好な高周波特性及び光変調特性を有する光変調モジュール100をコンパクトに構成することができる。