【課題】光複合電力ケーブルを接続する中間接続部の管部材内で光ファイバの金属管を電気的に適切に切り離した状態で光ファイバを接続することが可能な光複合電力ケーブルの中間接続部を提供する。
【解決手段】光複合電力ケーブルの中間接続部1は、中心導体11、21同士の接続部分を被覆する補強絶縁層31とその外側に配置された導電性の管部材34との間の領域Rに配置された、第1、第2の光複合電力ケーブル10、20の光ファイバ17、27とを接続する光ファイバ接続部40を備えており、光ファイバ接続部40は、光ファイバ17を収容する第1の金属管18と、光ファイバ27を収容する第2の金属管28と、第1及び第2の金属管18、28の先端同士が所定の距離だけ離間するように、当該各金属管18、28の先端部分を保持する離間部材41を備える。
前記補強絶縁層の外周面に形成され、前記第1の光複合電力ケーブルの金属遮蔽層と前記第2の光複合電力ケーブルの金属遮蔽層にそれぞれ接続された外部半導電層に縁切り部が設けられており、
前記光ファイバ接続部は、前記外部半導電層の縁切り部の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光複合電力ケーブルの中間接続部。
接続された前記光ファイバが、前記光ファイバ接続部ごと絶縁シートで被覆されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光複合電力ケーブルの中間接続部。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このような光複合電力ケーブル同士を、
図9に示したような縁切り部を有する中間接続部で接続する場合、光ファイバが損傷しないようにするために光ファイバを管部材の内部で接続することが望ましい。
しかしながら、特許文献2〜4に記載されている光ファイバの接続のしかたでは、光ファイバを収容するステンレスパイプ等の金属管同士が電気的に切り離されていなかったり切り離しが不十分であったりするため、雷サージ等の異常高電圧が生じた際に光ファイバの金属管同士の間で放電が生じてしまう場合がある。そのため、例えば
図9に示したような縁切り部を有する中間接続部の管部材内で光ファイバを接続する方法としては、特許文献2〜4記載の方法は採用できない。
【0008】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、光複合電力ケーブルを接続する中間接続部の管部材内で光ファイバの金属管を電気的に適切に切り離した状態で光ファイバを接続することが可能な光複合電力ケーブルの中間接続部及び光複合電力ケーブルの中間接続部の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
第1の光複合電力ケーブルの中心導体と第2の光複合電力ケーブルの中心導体とを接続する光複合電力ケーブルの中間接続部であって、
前記中心導体同士の接続部分を被覆する補強絶縁層と、
前記補強絶縁層の外側に配置された導電性の管部材と、
前記補強絶縁層と前記管部材との間の領域に配置された、前記第1の光複合電力ケーブルの光ファイバと前記第2の光複合電力ケーブルの光ファイバとを接続する光ファイバ接続部と、
を有し、
前記光ファイバ接続部は、
前記第1の光複合電力ケーブルの光ファイバを収容する第1の金属管と、
前記第2の光複合電力ケーブルの光ファイバを収容する第2の金属管と、
前記第1及び第2の金属管の先端同士が所定の距離だけ離間するように、当該第1の金属管及び当該第2の金属管の先端部分を保持する離間部材を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光複合電力ケーブルの中間接続部において、
前記離間部材は、両端に前記先端部分をそれぞれ保持する保持部を備え、
前記保持部は、前記第1及び第2の金属管の各先端の、前記先端同士が接近する方向への移動を規制するストッパを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光複合電力ケーブルの中間接続部において、
前記光ファイバ接続部は、前記第1及び第2の金属管からそれぞれ露出されて接続された前記光ファイバを収容するケースを備え、
前記離間部材が前記ケースに取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の光複合電力ケーブルの中間接続部において、
前記光ファイバ接続部は、前記第1及び第2の金属管からそれぞれ露出されて接続された前記光ファイバを収容するケースを備え、
前記保持部及び前記ストッパが前記ケースに取り付けられており、前記ケースが前記離間部材として機能するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の光複合電力ケーブルの中間接続部において、
前記光ファイバ接続部は、前記第1及び第2の金属管からそれぞれ露出されて接続された前記光ファイバを収容するケースを備え、
前記保持部及び前記ストッパが前記ケースと一体的に形成されており、前記ケースが前記離間部材として機能するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光複合電力ケーブルの中間接続部において、前記管部材には、縁切り部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光複合電力ケーブルの中間接続部において、
前記補強絶縁層の外周面に形成され、前記第1の光複合電力ケーブルの金属遮蔽層と前記第2の光複合電力ケーブルの金属遮蔽層にそれぞれ接続された外部半導電層に縁切り部が設けられており、
前記光ファイバ接続部は、前記外部半導電層の縁切り部の近傍に配置されていることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光複合電力ケーブルの中間接続部において、接続された前記光ファイバが、前記光ファイバ接続部ごと絶縁シートで被覆されていることを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、
第1の光複合電力ケーブルの中心導体と第2の光複合電力ケーブルの中心導体とを接続する光複合電力ケーブルの中間接続部を形成する形成方法であって、
前記第1の光複合電力ケーブルの中心導体と前記第2の光複合電力ケーブルの中心導体とを接続し、前記中心導体同士の接続部分を前記補強絶縁層で被覆する工程と、
前記補強絶縁層の外側で、前記第1の光複合電力ケーブルの光ファイバと前記第2の光複合電力ケーブルの光ファイバを収容する第1の金属管及び第2の金属管の先端同士を所定の距離だけ離間させるように離間部材に保持する工程と、
前記第1の光複合電力ケーブルの光ファイバと前記第2の光複合電力ケーブルの光ファイバとを前記光ファイバ接続部で接続する工程と、
前記補強絶縁層の外側に導電性の管部材を配置する工程と、
前記補強絶縁層と前記管部材との間の領域にコンパウンドを注入して充填する工程と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光複合電力ケーブルを接続する中間接続部の管部材と補強絶縁層との間の領域に配置された光ファイバ接続部で、第1の光複合電力ケーブルの光ファイバと第2の光複合電力ケーブルの光ファイバの第1の金属管及び第2の金属管の先端同士が所定の距離だけ離間された状態で光ファイバ同士が接続されるため、中間接続部の管部材内で、光ファイバの金属管を電気的に適切に切り離した状態で光ファイバ同士を接続することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本実施形態に係る光複合電力ケーブルの中間接続部及び光複合電力ケーブルの中間接続部の形成方法について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態や図示例に限定するものではない。
【0021】
図1は、本実施形態に係る光複合電力ケーブルの中間接続部の構成を表す図である。
光複合電力ケーブルの中間接続部1(以下、単に中間接続部1という。)は、一方の光複合電力ケーブル10(以下、第1の光複合電力ケーブル10という。)の中心導体11と、他方の光複合電力ケーブル20(以下、第2の光複合電力ケーブル20という。)の中心導体21とを接続するとともに、第1の光複合電力ケーブル10の光ファイバ17と第2の光複合電力ケーブル20の光ファイバ27の接続にも用いられる。
【0022】
第1の光複合電力ケーブル10は、例えば、銅線等からなる中心導体11と、図示しない内部半導電層を介して中心導体11を覆う絶縁層12と、絶縁層12を覆う外部半導電層13と、外部半導電層13を覆うテープ層14と、テープ層14を覆う金属遮蔽層15と、金属遮蔽層15を覆う絶縁シース16を有している。
同様に、第2の光複合電力ケーブル20は、例えば、中心導体21と、図示しない内部半導電層を介して中心導体21を覆う絶縁層22と、この絶縁層22を覆う外部半導電層23と、外部半導電層23を覆うテープ層24と、テープ層24を覆う金属遮蔽層25と、金属遮蔽層25を覆う絶縁シース26を有している。
なお、第1の光複合電力ケーブル10の金属遮蔽層15や第2の光複合電力ケーブル20の金属遮蔽層25にそれぞれ光ファイバ17、27が配置されているが、この点については後で説明する。
【0023】
第1の光複合電力ケーブル10と第2の光複合電力ケーブル20とは中間接続部1内でそれぞれ段剥ぎ処理をされており、中心導体11、21や絶縁層12、22等の各層が所定の長さずつ露出されている。
第1の光複合電力ケーブル10の中心導体11と第2の光複合電力ケーブル20の中心導体21は、導電性を有する接続管等の接続部材30により電気的及び機械的に接続されている。
【0024】
そして、中心導体11、21と接続部材30と絶縁層12、22が、電気絶縁性のゴムユニット絶縁体31により覆われており、本実施形態では、このようにして、第1の光複合電力ケーブル10と第2の光複合電力ケーブル20の中心導体11、21同士の接続部分が補強絶縁層であるゴムユニット絶縁体31によって被覆されている。
ゴムユニット絶縁体31の内部の、中心導体11、21や接続部材30の周囲の部分には内部半導電層(内部電極)32が設けられている。内部半導電層32は例えばカーボンが混入された半導電性のゴムが円筒状に成形されて構成されている。また、ゴムユニット絶縁体31中にストレスコーン等の必要な構造が適宜設けられる。
【0025】
また、ゴムユニット絶縁体31の外周面には外部半導電層33が形成されている。そして、外部半導電層33の長手方向の一端側は第1の光複合電力ケーブル10の金属遮蔽層15に接続されており、外部半導電層33の長手方向の他端側は第2の光複合電力ケーブル20の金属遮蔽層25に接続されている。外部半導電層33は、ゴムユニット絶縁体31の外周面に例えばカーボンが混入された半導電性の塗料を吹き付けるなどして形成されている。
本実施形態では、外部半導電層33には長手方向に隙間が設けられており、その部分が縁切り部33Aとされており、外部半導電層33に縁切り部33Aがゴムユニット絶縁体31の外周面の全周にわたって設けられているため、第1の光複合電力ケーブル10の金属遮蔽層15と第2の光複合電力ケーブル20の金属遮蔽層25は電気的に切り離されている。
【0026】
ゴムユニット絶縁体31や外部半導電層33の外側には銅管等からなる導電性の管部材34が配置されている。そして、管部材34の長手方向の一端側は第1の光複合電力ケーブル10の金属遮蔽層15に接続されており、管部材34の長手方向の他端側は第2の光複合電力ケーブル20の金属遮蔽層25に接続されている。
本実施形態では、管部材34の一部分が切除され、その部分に樹脂製の筒状体が嵌め込まれるなどして縁切り部34Aが管部材34の全周にわたって設けられている。そのため、外部半導電層33と同様に、管部材34においても第1の光複合電力ケーブル10の金属遮蔽層15と第2の光複合電力ケーブル20の金属遮蔽層25が電気的に切り離されている。
【0027】
また、ゴムユニット絶縁体31と管部材34との間の領域Rにはコンパウンド35が充填されている。
そして、本発明では、この領域Rに、第1の光複合電力ケーブル10の光ファイバ17と第2の光複合電力ケーブル20の光ファイバ27とを接続する光ファイバ接続部40が配置されている。
以下、光ファイバ接続部40を含め、本発明において光ファイバが関係する構成等について詳しく説明する。
【0028】
第1の光複合電力ケーブル10では、光ファイバ17は、ステンレス管等の第1の金属管18(以下、単に金属管18という。)に1本あるいは複数本が収容されており、金属管18が金属遮蔽層15内に組み込まれたり金属遮蔽層15の内側や外側に沿うようにケーブル内に配設されている。第2の光複合電力ケーブル20の光ファイバ27や第1の金属管28(以下、単に金属管28という。)についても同様である。
そして、中間接続部1内では、第1の光複合電力ケーブル10や第2の光複合電力ケーブル20の段剥ぎされた金属遮蔽層15、25から金属管18、28がそれぞれ領域R内に引き出されて、中間接続部1の長手方向に引き回される。
【0029】
なお、その際、光ファイバ17、27を再接続する場合に備えて、光ファイバ17、27や金属管18、28に余長を持たせるようにするために、光ファイバ17、27が収容された金属管18、28を、ゴムユニット絶縁体31や外部半導電層33の外周に沿って中間接続部1の長手方向に略直交する方向に巻き付けておくことが望ましい。
また、光ファイバ17、27を金属管18、28から出し、光ファイバ17、27のみを領域R内で引き回すと、光ファイバ17、27がコンパウンド35で押し潰されたり、溶融したコンパウンド35を注入する際に光ファイバ17、27同士の接続が切れたりする可能性があるため、領域R内ではできるだけ光ファイバ17、27を金属管18、28に収容した状態のまま引き回すことが望ましい。
【0030】
一方、本実施形態では、上記のように外部半導電層33や導電性の管部材34が縁切り部33A、34Aでそれぞれ縁切りされているが、第1の光複合電力ケーブル10側の光ファイバ17の金属管18と第2の光複合電力ケーブル20側の光ファイバ27の金属管28との距離が近過ぎると、例えば雷サージ等の異常高電圧が生じた際に金属管18、28同士の間で放電が生じてしまい、第1の光複合電力ケーブル10と第2の光複合電力ケーブル20の各金属遮蔽層15、25間の縁切りが成立しなくなる。
そのため、本発明では、この領域Rに光ファイバ接続部40を配置し、光ファイバ17、27の金属管18、28を電気的に適切に切り離した状態(すなわち縁切りした状態)で光ファイバ17、27を接続するようになっている。
以下、具体的に説明する。
【0031】
図2は、本実施形態に係る光ファイバ接続部40の基本的な構成を表す一部断面平面図である。光ファイバ接続部40は、第1の光複合電力ケーブル10の光ファイバ17を収容する金属管18と、第2の光複合電力ケーブル20の光ファイバ27を収容する金属管28と、第1及び第2の金属管18、28の先端同士が所定の距離だけ離間するように、当該第1の金属管18及び当該第2の金属管28の先端部分を保持する離間部材41を備えている。
【0032】
その際、離間部材41は、両側に保持部42、42を備え、保持部42、42に設けられた貫通孔43a、43aに金属管18、28が例えば接着や圧入などによってそれぞれ挿通されて固定されるようになっている。そして、このように構成されることで、離間部材41の変形や金属管18、28のずれが防止されて、後述するようにコンパウンド35が充填されても当該金属管18、28の先端同士が所定の距離だけ離間された状態が保持されるようになっている。なお、
図4以下に示すように、光ファイバ17、27の接続部を収納する部分(
図4以下ではケース44)が設けられているとよい。
なお、
図2に示した構成では、貫通孔43a、43aが後述するストッパ43として機能するようになっている。
【0033】
以下、上記の光ファイバ接続部40や離間部材41の基本的な構成を種々変形した構成例について説明する。
図3は、光ファイバ接続部の構成例を表す一部断面平面図である。離間部材41は、両端に金属管18、28の先端部分をそれぞれ保持する保持部42、42を備えており、保持部42、42は、金属管18、28の先端の、先端同士が接近する方向への移動を規制するストッパ43を備えている。
保持部42には、光ファイバ17、27の金属管18、28の外径よりもやや大径の穴42aが中実材内部の途中の部分までそれぞれ穿設されており、その先に同軸上に光ファイバ17、27の金属管18、28の外径より小径の穴42bがそれぞれ穿設されており中実材を貫通している。
【0034】
そして、一方の保持部42の大径の穴42aに金属管18を挿入すると、穴42aの最も奥の部分(すなわち穴42aから穴42bに切り替わる部分)で金属管18が壁43bに突き当たり、それ以上挿入できなくなる。同様に、他方の保持部42の大径の穴42aに金属管28を挿入すると、穴42aの最も奥の部分で金属管28が壁43bに突き当たり、それ以上挿入できなくなる。
また、2つの保持部42、42は、小径の穴42bの開口同士が互いに対向する向きにそれぞれ配置されており、保持部42、42の内部の壁43b、43bの部分がそれぞれ上記のストッパ43になっている。
【0035】
また、保持部42、42には、大径の穴42a、42aにそれぞれ挿入された金属管18、28を挿入方向に直交する方向から締め付けて金属管18、28が穴42aから抜けないように固定するためのネジ43c、43cがそれぞれ設けられている。ネジ43c、43cもそれぞれ上記のストッパ43として機能するようになっている。なお、壁43bがなくネジ43cのみでも上記のストッパ43として機能する。
そして、保持部42は、大径の穴42aに挿入された金属管18、28をネジ43cで締め付け固定することで、第1の光複合電力ケーブル10の光ファイバ17を収容する金属管18の先端部分と、第2の光複合電力ケーブル20の光ファイバ27を収容する金属管28の先端部分をそれぞれ保持するようになっている。
【0036】
なお、
図3では、金属管18、28をそれぞれ両側から締め付けるために保持部42ごとに2本ずつネジ43cが設けられている場合が示されているが、保持部42ごとにネジ43cを1本ずつ設け、金属管18、28をそれぞれ片側から締め付けるように構成することも可能である。
また、上記のようにストッパ43を保持部42に形成する代わりに、保持部42とストッパ43を別体に形成することも可能である。
【0037】
保持部42、42は、棒状の離間部材41の両端にそれぞれネジ等で固定されるようになっている。そして、保持部42、42が離間部材41の両端に固定されることで、離間部材41により、第1の光複合電力ケーブル10の光ファイバ17と第2の光複合電力ケーブル20の光ファイバ27を収容する各金属管18、28の先端部分が、当該金属管18、28の先端同士を所定の距離だけ離間させた状態に保持されるようになっている。
また、上記のように保持部42とストッパ43を別体に形成する場合には、ストッパ43も離間部材41の所定の位置にそれぞれ位置固定するように構成される。
【0038】
なお、光ファイバ接続部40における金属管18、28の先端間の「所定の距離」は、前述した外部半導電層33の縁切り部33Aや管部材34の縁切り部34Aを設ける際の基準(規格)と同じ基準(規格)に基づいて設定することができる。
また、保持部42、42と離間部材41(又はストッパ43と離間部材41、又は保持部42、42とストッパ43と離間部材41)を一体的に形成することも可能である。
【0039】
光ファイバ接続部40を構成する各部すなわち保持部42やストッパ43、離間部材41、その他ネジ等は、絶縁性を持たせるために繊維強化プラスチック(FRP)やエポキシ樹脂、アクリル樹脂等で形成することが望ましい。また、それらのうちの一部又は全部をセラミック等で形成してもよい。
実際の作業においては、金属管18から引き出された1本又は複数本の光ファイバ17を、離間部材41に固定された一方の保持部42の大径の穴42aと小径の穴42bに挿入して保持部42の外に引き出し、ネジ43cで締め付けて金属管18を保持部42に取り付ける。金属管28も同様に、光ファイバ27を他方の保持部42に挿通させた状態で金属管28を保持部42に取り付ける。そして、その状態で光ファイバ17、27同士が接続される。
【0040】
なお、
図2、
図3ともに金属管18、28の先端同士が所定の距離だけ離間するよう保持されているが、ストッパ43は、金属管18、28が保持部42から挿抜可能に構成されているとより好ましい。例えば、
図2に示したように金属管18、28同士が接近する方向への移動を規制しつつ、それぞれが保持部42に設けられた貫通孔43a、43aから挿抜可能なように圧入されたものや、
図3のように径の異なる穴42a、42bにより設けられる壁43bに金属管18、28を突き当てたもの、ネジ43cにより金属管18、28を大径の穴42aに締め付け固定したものなど、金属管18、28の先端同士が所定の距離だけ離間するように接近方向への移動を規制しつつ挿抜可能なようにすることができる。
【0041】
以上のように構成すると、光ファイバ17、27を接続する際や、光ファイバ17、27を接続して光ファイバ接続部40を中間接続部1内に収容して中間接続部1を形成した後、ゴムユニット絶縁体31と管部材34との間の領域R内にコンパウンド35を注入することや、第1、第2の光複合電力ケーブル10、20を屈曲させることなどにより金属管18、28に互いに接近させるような力が加わっても、光ファイバ接続部40の離間部材41が、光ファイバ17、27を収容する各金属管18、28の先端部分を、当該金属管18、28の先端同士を所定の距離だけ離間させる状態に保持しているため、先端同士が接近する方向に移動することが規制される。
【0042】
すなわち、力が加わっても離間部材41で離間されているため金属管18、28は先端部分が近づく方向には移動しない。
そのため、本発明に係る光複合電力ケーブルの中間接続部1では、金属管18、28に互いに接近させるような力が加わっても、金属管18、28の先端同士が接近することはなく、金属管18、28の先端同士の距離が所定の距離だけ離間した状態で一定の距離に維持される。
【0043】
本発明では、このようにして、光ファイバ接続部40により光ファイバ17、27の金属管18、28が所定の距離だけ離間した状態で位置固定され、電気的に切り離された状態になっている。そして、このようにして金属管18、28が電気的に縁切りされた状態で、光ファイバ17、27が接続されるようになっている。
そのため、例えば雷サージ等の異常高電圧が生じても、光ファイバ17、27の金属管18、28間で放電が生じる等の事態が生じることを確実に防止することが可能となる。
【0044】
ところで、本発明では、上記のように、光ファイバ接続部40で光ファイバ17、27の金属管18、28の先端同士が所定の距離より近づかないように規制される。しかし、金属管18、28が、先端以外の部分で(すなわち光ファイバ接続部40以外で)互いに上記の所定の距離より近接していると、例えば雷サージ等の異常高電圧が生じた際にその部分で放電が生じてしまう可能性がある。
そのため、本発明では、
図1に示したように、光ファイバ17、27の金属管18、28は、それらの先端の部分が互いに最も近接し、かつ放電が生じない所定の距離を保った状態で離間部材41に保持されることが望ましい。
【0045】
また、
図1に示したように、中間接続部1内で、光ファイバ17、27の金属管18、28は外部半導電層33に近接した位置に配置される。その際、光ファイバ接続部40が外部半導電層33の縁切り部33Aから離れた位置(例えば中間接続部1内の図中右側の位置等)に配置されていると、縁切り部33Aで縁切りされているはずの外部半導電層33が、縁切り部33Aの部分に配置されている金属管18や金属管28を介して電気的に接続されてしまう可能性がある。
縁切りされている外部半導電層33が金属管18や金属管28を介して電気的に接続されてしまうと、外部半導電層33を縁切り部33Aで縁切りした意味がなくなる。
【0046】
そのため、中間接続部1内で、光ファイバ接続部40は、外部半導電層33の縁切り部33Aの近傍に配置されていることが望ましい。
具体的には、縁切りされた一端側の管部材34、外部半導電層33、金属管18のそれぞれの端部が、他端側の管部材34、外部半導電層33、金属管28の端部のいずれに対しても所定の距離だけ離間するように、縁切り部33A、34A、光ファイバ接続部40が配置されていると好ましい。このようにすることで、雷サージ等の異常高電圧が生じた場合にも、より確実に放電を防ぐことができる。
【0047】
また、次のようにすると、より好ましい。ゴムユニット絶縁体31は、
図1に示されたように、光複合電力ケーブル10、20の中心軸に沿って、光複合電力ケーブル10側及び20側の両側に円錐台状をなす傾斜部が設けられ、一方(光複合電力ケーブル10側)の傾斜部に縁切り部33Aが設けられている。また、管部材34の縁切り部34Aも同じ側(光複合電力ケーブル10側)に設けられている。そして、光ファイバ接続部40は縁切り部33Aに沿うように配置される。
【0048】
さらに、次のようにすると、より好ましい。管部材34は、
図1に示されたように、光複合電力ケーブル10、20の中心軸に沿って、光複合電力ケーブル10側及び20側の両側に円錐台状をなす傾斜部が設けられ、一方(光複合電力ケーブル10側)の傾斜部に縁切り部34Aが設けられている。そして、光ファイバ接続部40は、縁切り部33Aと縁切り部34Aに挟まれるように配置される。このようにすることで、雷サージ等の異常高電圧が生じた場合にも、より確実に放電を防ぐことができるとともに、防水コンパウンド35の使用を少量にすることができる。
【0049】
なお、
図1では、管部材34にも、光複合電力ケーブル10、20の中心軸に沿って、光複合電力ケーブル10側および20側の両側に円錐台状をなす傾斜部が設けられているが、管部材34全体が傾斜部を持たない円筒形状としてもよい。
このようにして、縁切り部33Aにより縁切りされた外部半導電層33が、光ファイバ接続部40に取り付けられた金属管18や金属管28を介して電気的に接続されることがないような位置に光ファイバ接続部40が配置されていることが望ましい。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る光複合電力ケーブルの中間接続部1によれば、外部半導電層33と導電性の管部材34の間の領域Rに光ファイバ接続部40を配置し、光ファイバ接続部40で光ファイバ17、27同士が接続される。
そのため、光ファイバ17、27を中間接続部1の管部材34の内部で適切に接続することが可能となる。
【0051】
また、光ファイバ接続部40の離間部材41により光ファイバ17、27を収容する各金属管18、28の先端同士が所定の距離だけ離間された状態で保持され、その状態で光ファイバ17、27を接続するため、光ファイバ接続部40で金属管18、28を電気的に適切に切り離した状態(すなわち縁切りした状態)で光ファイバ17、27を接続することが可能となる。
そのため、光ファイバ17、27を収容する金属管18、28同士が電気的に切り離されていなかったり切り離しが不十分であったりするために雷サージ等の異常高電圧が生じた際に金属管18、28同士の間で放電が生じてしまうような事態が生じることを確実に防止することが可能となる。
【0052】
なお、光ファイバ接続部40における光ファイバ17、27の接続は特定の接続方法に限定されない。また、光ファイバ接続部40で光ファイバ17、27を接続する際、光ファイバ17、27に余長を持たせるようにして接続したり、光ファイバ17、27がそれぞれ複数本ずつある場合は接続された光ファイバ17、27の余長を各光ファイバ17、27で同じにするなど、中間接続部で光ファイバを接続する際に必要な処理が適宜行われる。
また、第1の光複合電力ケーブル10の金属遮蔽層15や第2の光複合電力ケーブル20の金属遮蔽層25に、光ファイバ17、27の金属管18、28がそれぞれ複数本配設されている場合は、光ファイバ接続部40は、金属管18(金属管28)の本数分領域Rに設けられる。そして、このように光ファイバ接続部40が複数設けられる場合は、複数の光ファイバ接続部40が例えば外部半導電層33の周囲(その縁切り部33Aの周囲)に配置される。
【0053】
一方、
図2に示したように、光ファイバ接続部40で光ファイバ17、27が露出するように構成すると、光ファイバ17、27がコンパウンド35で押し潰されたり、溶融したコンパウンド35を注入する際に光ファイバ17、27同士の接続が切れたりする場合があり得る。
そのような場合には、光ファイバ接続部40が、金属管18、28から露出されて接続された光ファイバ17、27を収容するケース44を備えるように構成することが望ましい。
【0054】
その際、ケース44が、前述した保持部42やストッパ43、離間部材41と別体に形成されている場合は、例えば
図4に示すように、保持部42やストッパ43、離間部材41をケース44に取り付けるように構成することが望ましい。
この場合、保持部42をケース44に固定したり上下2本の離間部材41をケース44に固定する等して保持部42等をケース44に取り付けるように構成することができる。なお、
図4では、保持部42等をケース44の外側に取り付ける場合を示したが、保持部42等をケース44の内部に取り付けるように構成することも可能である。
【0055】
また、例えば
図5に示すように、保持部42とストッパ43をケース44に取り付けたり、あるいは保持部42とストッパ43をケース44と一体的に形成するように構成することも可能である。
これらの場合、ケース44が上記の離間部材41として機能するように構成される。そのため、ケース44は、光ファイバ17、27を収容する各金属管18、28の先端同士を所定の距離だけ離間させるような大きさや長さになるように設計される。
【0056】
図4、
図5に示したように光ファイバ接続部40がケース44を有する場合、光ファイバ接続部40で接続された光ファイバ17、27が、光ファイバ接続部40ごと絶縁シートで被覆することができる。また、
図2、
図3に示したように光ファイバ接続部40がケース44を有しない場合は、光ファイバ17、27等を保護チューブで被覆するなどして絶縁シートで被覆することができる。
この場合、例えば、
図6(A)に示すように、広げた絶縁シート45上に光ファイバ17、27を含む光ファイバ接続部40を載置し、
図6(B)に示すように、光ファイバ接続部40を包み込むように絶縁シート45を折り畳むことで、光ファイバ17、27を光ファイバ接続部40ごと絶縁シート45で被覆することができる。
このように構成することで、コンパウンド35(
図1参照)が光ファイバ接続部40に入り込むことを防止することが可能となる。
【0057】
以下、本発明に係る光複合電力ケーブルの中間接続部の形成方法について説明する。
図7(A)に示すように、まず、第1の光複合電力ケーブル10と第2の光複合電力ケーブル20をそれぞれ段剥ぎする。なお、この時点で第1の光複合電力ケーブル10や第2の光複合電力ケーブル20の段剥ぎされた金属遮蔽層15、25から光ファイバ17、27の金属管18、28を引き出しておく。
続いて、第1の光複合電力ケーブル10の中心導体11と第2の光複合電力ケーブル20の中心導体21とを、導電性を有する接続管等の接続部材30で電気的及び機械的に接続し、
図7(B)に示すように、中心導体11、21同士の接続部分を補強絶縁層であるゴムユニット絶縁体31で被覆する。
【0058】
なお、第1の光複合電力ケーブル10の中心導体11と第2の光複合電力ケーブル20の中心導体21を接続する前に、予め図示しない拡径保持部材で内径を拡大させた状態のゴムユニット絶縁体31を第1の光複合電力ケーブル10又は第2の光複合電力ケーブル20のいずれかに通しておく。
そして、第1の光複合電力ケーブル10の中心導体11と第2の光複合電力ケーブル20の中心導体21を接続した後、拡径されたゴムユニット絶縁体31を中心導体11、21同士の接続部分の位置に配置し、拡径保持部材を取り除くことでゴムユニット絶縁体31が中心導体11、21同士の接続部分に密着して中心導体11、21同士の接続部分がゴムユニット絶縁体31で被覆される。
【0059】
また、本実施形態では、内部半導電層(内部電極)32や、縁切り部33Aを有する外部半導電層33が、予めゴムユニット絶縁体31の内周面や外周面に形成されており、上記のようにして中心導体11、21同士の接続部分をゴムユニット絶縁体31で被覆する際に、内部半導電層32や外部半導電層33(及び縁切り部33A)が所定の位置に配設される。
なお、その際、必要に応じて、外部半導電層33の長手方向の一端側が第1の光複合電力ケーブル10の金属遮蔽層15に接続され、他端側が第2の光複合電力ケーブル20の金属遮蔽層25に接続される。また、外部半導電層33に導電性テープや金属メッシュテープ等を巻き付けるなどしてもよい。
【0060】
続いて、第1の光複合電力ケーブル10の金属遮蔽層15や第2の光複合電力ケーブル20の金属遮蔽層25から引き出しておいた光ファイバ17、27の金属管18、28を、余長を持たせるために、ゴムユニット絶縁体31や外部半導電層33の外周に沿って中間接続部1の長手方向に略直交する方向に巻き付けるなどする。
そして、金属管18、28を外部半導電層33の外周に沿って外部半導電層33の縁切り部33Aの所まで引き回す。
【0061】
続いて、
図8(A)に示すように、ゴムユニット絶縁体31の外側で、各金属管18、28の先端同士を所定の距離だけ離間させるように離間部材41に保持する。
具体的には、予め形成しておいた光ファイバ接続部40(
図2参照)の離間部材41の両端の保持部42のうち、一方の保持部42の貫通孔43aに光ファイバ17の金属管18を挿入して接着したり圧入する等して固定する。他方の保持部42にも同様にして貫通孔43aに光ファイバ27の金属管28を挿入して接着したり圧入する等して固定する。
あるいは、予め形成しておいた、又はその場で形成した光ファイバ接続部40(
図3〜
図5参照)の離間部材41の両端の保持部42のうち、一方の保持部42の穴42a、42bに光ファイバ17を挿通し、穴42aに金属管18を挿入してネジ締めして固定する。他方の保持部42にも同様にして穴42a、42bに光ファイバ27を挿通し、穴42aに金属管28を挿入してネジ締めして固定する。
【0062】
続いて、第1の光複合電力ケーブル10の光ファイバ17と第2の光複合電力ケーブル20の光ファイバ27とを光ファイバ接続部40で接続する。
なお、接続した光ファイバ17、27を絶縁シート45で被覆する場合には光ファイバ接続部40ごと被覆する(
図6(A)、(B)参照)。
【0063】
続いて、
図8(B)に示すように、ゴムユニット絶縁体31や光ファイバ接続部40の外側に、銅管等の導電性の管部材34を配置する。その際、管部材34の長手方向の一端側は第1の光複合電力ケーブル10の金属遮蔽層15に接続され、管部材34の長手方向の他端側は第2の光複合電力ケーブル20の金属遮蔽層25に接続される。しかし、本実施形態では、管部材34の一部分が切除されている。
そして、
図8(C)に示すように、その部分に樹脂製の筒状体を嵌め込むなどして管部材34の縁切り部34Aを管部材34の全周にわたって設ける。
続いて、ゴムユニット絶縁体31と管部材34との間の領域Rに、コンパウンド35を注入して充填する。
【0064】
以上のようにして本発明に係る光複合電力ケーブルの中間接続部1が形成される。
そのため、光ファイバ17、27を中間接続部1の管部材34の内部で適切に接続することが可能となるとともに、外部半導電層33と導電性の管部材34の間の領域Rに光ファイバ接続部40を配置し、光ファイバ接続部40で金属管18、28を保持して光ファイバ17、27を接続することで、光ファイバ接続部40で金属管18、28を電気的に適切に切り離した状態(すなわち縁切りした状態)で光ファイバ17、27を接続することが可能となる。
そのため、形成された光複合電力ケーブルの中間接続部1は、前述した有益な効果を的確に発揮することが可能となる。
【0065】
なお、本発明が上記の実施形態等に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、上記の実施形態では、光複合電力ケーブルの中間接続部1が外部半導電層33や管部材34に縁切り部33A、34Aを有するタイプの中間接続部である場合について説明したが、本発明の技術は、このような縁切り部を有しないタイプの中間接続部に対しても適用することが可能であり、その場合も本発明に含まれる。