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特開2020-167871ケーブル移送装置、無限軌道帯状体用コマ、無限軌道帯状体およびケーブルの移送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-167871(P2020-167871A)
(43)【公開日】2020年10月8日
(54)【発明の名称】ケーブル移送装置、無限軌道帯状体用コマ、無限軌道帯状体およびケーブルの移送方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/06 20060101AFI20200911BHJP
   H02G 9/08 20060101ALI20200911BHJP
   H02G 9/06 20060101ALI20200911BHJP
   B65H 51/32 20060101ALI20200911BHJP
   B65H 51/14 20060101ALI20200911BHJP
【FI】
   H02G1/06
   H02G9/08
   H02G9/06
   B65H51/32 F
   B65H51/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-68201(P2019-68201)
(22)【出願日】2019年3月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(72)【発明者】
【氏名】青木 哲朗
【テーマコード(参考)】
3F051
5G352
5G369
【Fターム(参考)】
3F051CA01
3F051CA04
3F051FB10
5G352CJ01
5G369BA04
5G369BA05
5G369EA01
(57)【要約】
【課題】外面が滑りやすい状態のケーブルを引抜く場合であっても、そのケーブルと接した無限軌道帯状体が滑りにくく、ケーブルを安定的に挟持して当該ケーブルに引張り力を作用させることができ、安定的に引抜移送可能なケーブル移送装置を提供すること。
【解決手段】本発明のケーブル移送装置は、剛体材料からなる多数のコマを連結して構成される一対の無限軌道帯状体を備え、一対の無限軌道帯状体が、ケーブルを挟持可能な間隔で略平行に対向配置され、一対の無限軌道帯状体を同じ方向に移動させることにより、一対の無限軌道帯状体が対向して位置する連結されたコマ同士が、順次、ケーブルを挟持しながらケーブルに対して引張り力を作用させてケーブルを引抜移送し、コマは、連結方向に沿ってケーブルを挟持しながら安定移送する位置決め凹部を有し、かつ、位置決め凹部の内面に、ケーブルの外周面に接触する少なくとも2以上の突起を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛体材料からなる多数のコマを連結して構成される一対の無限軌道帯状体を備え、
前記一対の無限軌道帯状体が、ケーブルを挟持可能な間隔で略平行に対向配置され、
前記一対の無限軌道帯状体を同じ方向に移動させることにより、前記一対の無限軌道帯状体が対向して位置する連結されたコマ同士が、順次、前記ケーブルを挟持しながら前記ケーブルに対して引張り力を作用させて前記ケーブルを引抜移送するケーブル移送装置であって、
前記コマは、前記コマの連結方向に沿ってケーブルを挟持しながら安定移送する位置決め凹部を有し、かつ、前記位置決め凹部の内面に、前記ケーブルの外周面に接触する少なくとも2以上の突起を有する、ケーブル移送装置。
【請求項2】
前記ケーブルを引抜移送する前記一対の無限軌道帯状体の位置よりも上流側に配置され、前記ケーブルに対し、前記ケーブルの外面を洗浄する溶剤を噴射する溶剤噴射部をさらに備える、請求項1に記載のケーブル移送装置。
【請求項3】
前記突起は、爪状である、請求項1または2に記載のケーブル移送装置。
【請求項4】
洞道内や管路内に既設されたケーブルを引抜撤去するために用いられる、請求項1、2または3に記載の前記ケーブル移送装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のケーブル移送装置を構成する無限軌道帯状体用コマであって、
前記コマの連結方向に沿ってケーブルを挟持しながら安定移送する位置決め凹部を有し、かつ、前記位置決め凹部の内面に、前記ケーブルの外周面に接触する少なくとも2以上の突起を有する、無限軌道帯状体用コマ。
【請求項6】
請求項5に記載の無限軌道帯状体用コマを多数連結して構成される、無限軌道帯状体。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載のケーブル移送装置を用い、前記一対の無限軌道帯状体を同じ方向に移動させることにより、前記一対の無限軌道帯状体が対向して位置する連結されたコマ同士が、順次、前記ケーブルを挟持しながら前記ケーブルに対して引張り力を作用させて前記ケーブルを引抜移送する工程を含む、ケーブルの移送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル移送装置、無限軌道帯状体用コマ、無限軌道帯状体およびケーブルの移送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洞道内や管路内に設置されたOF(Oil−Filled)ケーブルを撤去する場合、マンホール上に引き抜いた後、ケーブルドラムに巻付けて回収している。OFケーブルは重量物であるため、マンホール上への引抜くためには強い引張り力が必要である。そこで、OFケーブルの引抜きには、例えばホーリングマシンなどが用いられている。
【0003】
ここで、ホーリングマシンは、多数のコマを連結して構成される一対の無限軌道帯状体が対向配置されており、それら無限軌道帯状体が、同じ方向に移動することにより、対象であるケーブルをけん引して引き抜く構造を有している。そして、このようなホーリングマシンでは、ケーブルの引抜きにおいて、より安定した引抜きを達成するため、より強い引張り力が求められている。
【0004】
例えば、特許文献1には、合成ゴムなどの弾性材料からなり、上面中央部に溝状の凹部を有するコマ(略直方体型挟持部)を、無限軌道帯状体に適用して構成されるホーリングマシン(ケーブル移送装置)が提案されている。そして、特許文献1によれば、このようなホーリングマシンによれば、極めて強いけん引力や挟持力を有し、さらに長時間連続して操業を行っても故障が発生しにくいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−330511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、OFケーブルの一種であるPOF(Pipe−type Oil Filled)ケーブルは、鋼管内に線心(ケーブル)を3条配置し、絶縁油で充てんした構造を有している。このようなPOFケーブルの引抜移送は線心(ケーブル)ごとに行うが、その線心は外面が絶縁油に浸漬されている。このような絶縁油が表面に付着したケーブルを引き抜く際に、特許文献1に提案されるようなホーリングマシンを用いた場合、コマ表面が合成ゴムなどの弾性材料から構成されているために、コマとケーブルとの接触面同士で十分な摩擦力が得られずに滑ってしまい、コマ同士でケーブルを強く挟持することができず、強い引張り力を十分に達成することができない場合が想定される。このように引抜移送の対象であるケーブルの表面状態が、摩擦係数が小さく、滑りやすくなる場合は、POFケーブルに限られず、特に、地中や海中等に長期間にわたって敷設して古くなったケーブルを引き抜いて撤去する場合には、ケーブルの表面には種々の異物が付着する場合が想定され、引き抜くケーブルの表面状態が滑りやすくなることは少なからず起こっており、このことが引抜作業の効率性の低下や、作業時間の増加などの悪影響をもたらすことがあった。
【0007】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、表面が滑りやすい状態にあるケーブルを引き抜く場合であっても、そのケーブルと接した無限軌道帯状体が滑りにくく、ケーブルを確実に挟持して当該ケーブルに引張り力を作用させることができ、ケーブルを安定的に引き抜いて移送可能なケーブル移送装置、それを構成するための無限軌道帯状体用コマおよび無限軌道帯状体、ならびにその装置を用いたケーブル移送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上述した目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、ケーブル移送装置が、剛体材料からなる多数のコマを連結して構成される一対の無限軌道帯状体を備え、前記一対の無限軌道帯状体が、ケーブルを挟持可能な間隔で略平行に対向配置され、前記一対の無限軌道帯状体を同じ方向に移動させることにより、前記一対の無限軌道帯状体が対向して位置する連結されたコマ同士が、順次、前記ケーブルを挟持しながら前記ケーブルに対して引張り力を作用させて前記ケーブルを引抜移送するケーブル移送装置であって、前記コマは、前記コマの連結方向に沿ってケーブルを挟持しながら安定移送する位置決め凹部を有し、かつ、前記位置決め凹部の内面に、前記ケーブルの外周面に接触する少なくとも2以上の突起を有することにより、表面が滑りやすい状態にあるケーブルを引き抜く場合であっても、そのケーブルと接した無限軌道帯状体が滑りにくく、ケーブルを確実に挟持して当該ケーブルに引張り力を作用させることができ、ケーブルを安定的に引抜いて移送可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
(1)剛体材料からなる多数のコマを連結して構成される一対の無限軌道帯状体を備え、前記一対の無限軌道帯状体が、ケーブルを挟持可能な間隔で略平行に対向配置され、前記一対の無限軌道帯状体を同じ方向に移動させることにより、前記一対の無限軌道帯状体が対向して位置する連結されたコマ同士が、順次、前記ケーブルを挟持しながら前記ケーブルに対して引張り力を作用させて前記ケーブルを引抜移送するケーブル移送装置であって、前記コマは、前記コマの連結方向に沿ってケーブルを挟持しながら安定移送する位置決め凹部を有し、かつ、前記位置決め凹部の内面に、前記ケーブルの外周面に接触する少なくとも2以上の突起を有する、ケーブル移送装置。
(2)前記ケーブルを引抜移送する前記一対の無限軌道帯状体の位置よりも上流側に配置され、前記ケーブルに対し、前記ケーブルの外面を洗浄する溶剤を噴射する溶剤噴射部をさらに備える、上記(1)に記載のケーブル移送装置。
(3)前記突起は、爪状である、(1)または(2)に記載のケーブル移送装置。
(4)洞道内や管路内に既設されたケーブルを引抜撤去するために用いられる、上記(1)、(2)または(3)に記載の前記ケーブル移送装置。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のケーブル移送装置を構成する無限軌道帯状体用コマであって、前記コマの連結方向に沿ってケーブルを挟持しながら安定移送する位置決め凹部を有し、かつ、前記位置決め凹部の内面に、前記ケーブルの外周面に接触する少なくとも2以上の突起を有する、無限軌道帯状体用コマ。
(6)上記(5)に記載の無限軌道帯状体用コマを多数連結して構成される、無限軌道帯状体。
(7)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のケーブル移送装置を用い、前記一対の無限軌道帯状体を同じ方向に移動させることにより、前記一対の無限軌道帯状体が対向して位置する連結されたコマ同士が、順次、前記ケーブルを挟持しながら前記ケーブルに対して引張り力を作用させて前記ケーブルを引抜移送する工程を含む、ケーブルの移送方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表面が滑りやすい状態にあるケーブルを引き抜く場合であっても、そのケーブルと接した無限軌道帯状体が滑りにくく、ケーブルを確実に挟持して当該ケーブルに引張り力を作用させることができ、安定的にケーブルを引き抜いて移送可能なケーブル移送装置、それを構成するための無限軌道帯状体用コマおよび無限軌道帯状体、ならびにその装置を用いたケーブル移送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態のケーブル移送装置の概略上面図である。
図2図1のケーブル移送装置の概略正面図である。
図3図1のケーブル移送装置の概略側面図である。
図4】(a)〜(e)は、本発明のケーブル移送装置の無限軌道帯状体を構成するコマの種々の変形例を示す斜視図である。
図5】本発明のケーブル移送装置を構成する動力部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態のケーブル移送装置の概略上面図である。図2は、本発明の一実施形態のケーブル移送装置の概略正面図である。図3は、本発明の一実施形態のケーブル移送装置の概略側面図である。
【0014】
図示のケーブル移送装置1は、主として、剛体材料からなる多数(少なくとも20以上)のコマ11a、11a同士およびコマ11b、11b同士をそれぞれ連結して構成される一対の無限軌道帯状体10a、10bを備え、これら一対の無限軌道帯状体10a、10bが、ケーブルCを挟持可能な間隔で略平行に対向配置され、一対の無限軌道帯状体10a、10bを同じ方向、より具体的にはケーブルCの引抜方向に移動させることにより、一対の無限軌道帯状体10a、10bが対向して位置する連結されたコマ11a、11b同士が、順次、前記ケーブルCを挟持しながら前記ケーブルCに対して引張り力を作用させて前記ケーブルCを引抜移送するために用いられる。
【0015】
そして、本実施形態のケーブル移送装置1は、無限軌道帯状体10を構成するコマ11が、コマ11の連結方向に沿ってケーブルCを蛇行させずに直線的に挟持しながら安定移送する位置決め凹部111を有し、かつ、位置決め凹部111の内面に、前記ケーブルCの外周面(表面)に接触する少なくとも2以上の突起112(図1〜3においては、図示せず。)を有することを特徴とするものである。なお、ケーブルCはケーブル移送装置1を構成するものではない。
【0016】
また、必須の態様ではないが、図示のケーブル移送装置1は、無限軌道帯状体10の無限軌道の輪状形状を維持するとともに無限軌道帯状体10に回転力を印加する駆動ホイール12と、無限軌道帯状体10の輪状形状(無限軌道)を維持する従動ホイール13と、無限軌道帯状体10のうち、ケーブルCを挟持しない部分が無限軌道を移動するためのスペースを確保するための格納ケース14と、上述した一対の無限軌道帯状体10a、10b以外に、ケーブルCを導入するケーブル導入部15と、導入されたケーブルCを支持してケーブルの高さ(上下方向)を調整して位置決め凹部111の高さとの位置合わせが可能なケーブル支持部16と、ケーブルCを排出するケーブル排出部17と、伸縮調整が可能で、一対の無限軌道帯状体10a、10b間の間隔を調整する間隔調整フレーム18と、動力部19と、第1減速部20と、第2減速部21と、圧着部22とを備える。
【0017】
引抜移送の対象であるケーブルCは、ケーブル導入部15から導入されて、ケーブル支持部16を経由し、ケーブル排出部17から排出される。図2に示すとおり、ケーブル導入部15は、上下にローラー151,152を備えている。なお、図示しないが、ケーブル排出部17も、ケーブル導入部15と同様に、上下にローラーを備えている。ケーブル導入部15およびケーブル排出部17の間で、ケーブルCは直線状に維持される。そして、一対の無限軌道帯状体10は、ケーブルCのうち、ケーブル導入部15およびケーブル排出部17の間に位置するケーブル部分を挟持して、方向Dへ引抜移送する。
【0018】
無限軌道帯状体10aは、もう一つの無限軌道帯状体10bと対になっており、互いに略平行に配置される。そして、一対の無限軌道帯状体10a、10bは、ケーブルCを挟持可能なように調整されて、一定の間隔に制御されている。
【0019】
ここで、無限軌道帯状体10は、それぞれ剛体材料からなる多数のコマ11、11同士を連結して構成されるものであり、一例として、図示はしていないが、輪状のチェーン(コンベアチェーン)を用いてコマ11、11同士を連結して構成することができる。具体的に、無限軌道帯状体10は、コマ11の長手方向の端部2か所を、それぞれ輪状のチェーン(コンベアチェーン)に設けたフランジ部に留めて固定し、複数のコマ11、11同士を、チェーンを介して間接的に連結して、コンベアチェーンの周上全体にわたってコマ11、11、・・・を配置することにより構成することができる。
【0020】
そして、このようにして構成される無限軌道帯状体10は、その無限軌道の内部に配置された2つのホイール(駆動ホイール12および従動ホイール13)によってホイール間を無限軌道で移動することができる。また、無限軌道帯状体10は、その大部分が格納ケース14に格納されており、引抜対象のケーブルCと接触する位置に存在する、複数のコマ11で構成されている挟持部101aおよびその近傍のみが外部に露出しており、無限軌道帯状体10aと対向して配置される無限軌道帯状体10bの挟持部101bとともにケーブルCを挟持し、2つの対向する無限軌道帯状体10a、10bの挟持部101a、101bが、同じ方向(ここでは、方向D)に進行するように移動させることにより、挟持されたケーブルCを方向Dに向けて引抜移送することができる。
【0021】
また、無限軌道帯状体10は、少なくとも挟持部101が略直線状に配置されている。挟持部101を、裏側から支持するととともに略直線上に走行移動させるため、例えば、挟持部101の格納ケース14側に走行ガイド(図示せず。)を設けてもよい。また、走行ガイドは、挟持部101以外に位置する無限軌道帯状体10の部分に設けてもよく、この走行ガイドにより無限軌道帯状体10の軌道を形成することができる。
【0022】
また、無限軌道帯状体10の上端及び下端にローラー(図示せず)を設け、かつ走行ガイドにそのローラーの滑走路を設けることで、無限軌道帯状体10の移動をより効率的に行うことができる。
【0023】
次に、上述したケーブル移送装置の無限軌道帯状体を構成するコマの種々の変形例について、図4を用いて説明する。図4(a)〜(e)は、本発明の一実施形態の無限軌道帯状体用コマの概略模式図である。以下、まずは図4(a)に基づき説明する。
【0024】
このような無限軌道帯状体用のコマ11は、コマの連結方向Dに沿ってケーブルCを挟持しながら安定移送する位置決め凹部111を有する。
【0025】
このようなケーブル移送装置用の複数のコマ11が連結されて無限軌道帯状体10を構成すると、その無限軌道帯状体10もその周上全体にわたって位置決め凹部111を有するものとなる。そして、無限軌道帯状体10の周上全体にわたって位置決め凹部111が存在すると、ケーブルCの移送に際し、位置決め凹部111にケーブルCの一部が入り込んで、無限軌道帯状体10の挟持部101に対するケーブルCの位置が決定する。
【0026】
ここで、位置決め凹部111の形状は、ケーブルCの一部が入り込むことができる形状であれば特に限定されないが、コマ11の連結方向Dに沿って側面視した場合において、図4(a)のような略三角形状である谷底を有する形状や、略「凹」の字形や台形状のように二つの角を有する形状など、1以上の角を有する形状であってよく、また、凹部が半円状であり角を有しない形状であってもよい。
【0027】
コマ11の素材としては、剛体材料であれば特に限定されないが、ケーブルCとの接触により曲がりや折れなどが発生しないものであることが好ましく、例えば鉄、アルミニウム、チタンなどの金属や、各種合金などが挙げられる。
【0028】
無限軌道帯状体用のコマ11は、位置決め凹部111の内面に、ケーブルCの外周面に接触する少なくとも2以上の突起112を有する。この突起112は、図4(a)では、略二等辺三角形をした板状部であり、この板状部の板面は、コマの連結方向Dと略平行に配置されている。このように、位置決め凹部111の内面に突起112を有すると、位置決め凹部111に入り込んだケーブルCの外面の一部が突起112で接触する。特に、位置決め凹部111に少なくとも2つの突起112、112を有することにより、一対の無限軌道帯状体10a、10bで、それぞれ少なくとも2つの突起112、合計で4つ以上の突起112がケーブルCの外面と接触することになる。ここで、突起112は、剛体材料からなるため、ケーブルCが、一対の無限軌道帯状体10に挟持されて移送される際に、そのケーブルCの外面に対して、突起112が突き刺さるか、またはそのケーブルCの外面を引っ掻くように作用する。この状態で無限軌道帯状体10が進行方向(方向D)へ進むと、ケーブルCに対し、無限軌道帯状体10の進行方向(方向D)への引張り力を作用させることができる。そして、このようにして生じる引張り力は、突起112がケーブルCに刺さるか、または引っ掻くように作用することに起因して生じるものであるため、ケーブルCの外面に、例えば油が付着していたとしても、無限軌道帯状体10がケーブルCと接触しても、一対の無限軌道帯状体10a、10bがケーブルCの外面で滑るのを有効に抑制できるため、ケーブルCを安定的に挟持して、ケーブルCに引張り力を作用させることができ、ケーブルCを安定的に引抜いて移送することができる。
【0029】
ここで、突起の形状は、ケーブルCの外面を確実に把持できるような形状を有していればよく、特に、ケーブルCの外面に刺さるか、またはケーブルCに引っかかる形状のような爪状をしていることが、ケーブルCの外面に引っかかる力がより強くなり、ケーブルCの引張り力を高めることができる点で好ましい。例えば、図4(a)のように二等辺三角形状のものに限られず、例えば図4(b)のような不等辺三角形状の突起112a、図4(c)のような不等辺三角形状を2つ連結した略M字状の突起112b、図4(d)のような円錐台形状の突起112c(頂部は平面であっても、すり鉢状の凹部を設けて円形の縁を突出させてもよい)、図4(e)のように頂部の断面がすり鉢状などの凹部を有するように両側面を突出させた突起112dなど、種々の形状の突起を用いることができる。また、図4(a)〜(e)の突起は、いずれも板面が無限軌道帯状体10の連結方向と平行になるような方向に向けているが、板面が無限軌道帯状体10の連結方向と垂直になるような方向に向けてもよく、板面の向きは特に限定はしない。さらに、突起112は、板状でなくてもよく、円錐状や尖った形状をした種々の態様が考えられる。なお、ケーブル移送装置1は、必ずしも一方向(方向D)のみに移送するものではなく、例えばケーブルCの弛みや張りが過剰である場合には、逆方向に移送して調整することもある。このような場合、図4(c)に示す略M字状の突起112bを採用すれば、いずれの方向(方向Dおよびそれと逆方向)に移送する場合においても、ケーブルCの外面により刺さりやすく、またはより引っかかりやすくなって有利である。
【0030】
また、突起112の高さは、位置決め凹部111の深さ(最も深い部分)と同様(突起112の高さ/位置決め凹部111の深さ=0.8〜1.1)であることが好ましい。このような深さにあることで、ケーブルCの破壊を防止することができる。
【0031】
ケーブルCにワイヤーが巻かれている場合、突起112の高さは、ワイヤーの直径よりも大きいことが好ましい。これにより、突起12からワイヤー本体に引張り力を伝えることができる。
【0032】
また、突起112の大きさも、ケーブルCの外面に刺さるか、またはケーブルCに引っかかる形状であり、かつ凹部に2つ以上配置される大きさであれば、特に限定されない。
【0033】
コマ11は、その連結方向Dに沿って側面視した場合において、凹部111および突起112の形状、ならびに突起112の配置は上下(長手方向)に対称であることが好ましい。引抜移送の対象であるケーブルCは、通常断面形状が円形であるため、このような対称性を有することにより、均等に引張り力を作用させることができ、より効率的にケーブルCを引抜くことができる。
【0034】
突起112の素材としては、剛体材料であれば特に限定されないが、ケーブルCとの接触により曲がりや折れなどが発生しないものであることが好ましく、例えば鉄、アルミニウム、チタンなどの金属や、各種合金などが挙げられる。なお、突起は、コマの他の部分と同じ素材であっても、異なる素材であってもよい。また、突起は着脱可能なものであってもよく、例えば、ねじ止めなどにより位置決め凹部に固定されていてもよい。
【0035】
また、引抜き移送の対象であるケーブルCが水で濡れている場合や、POFケーブルなど油に浸漬されている場合、コマ11は、その表面にコマの連結方向Dに延びた液切り溝113を設けてもよい。このようにして液切り溝113を設けることにより、水や油などの液体がコマ11にとどまらず、滑りを抑制することができる。
【0036】
上述の無限軌道帯状体10は、動力部19から生じた駆動力を、駆動ホイール12を介して付与されて回転する。図5は、動力部の一例を示す図である。図5に示すように、動力部19は、少なくとも制御部191および原動機192を備えるものである。動力部19は、図5に示すように、外部の電源Eと接続されており、ここから電力が供給されて稼働するものである。そして、制御部191は、原動機192に電気的に接続されており、無限軌道帯状体10の移動速度が、ケーブル移送装置1のオペレータから指示された速度となるように原動機192を稼働させる。原動機192は、制御部191の指示にしたがい、その上部に配置された駆動ホイール12に動力を伝達する。
【0037】
また、ケーブル移送装置1は、2つの減速部(第1減速部20および第2減速部21)を備える。第1減速部20および第2減速部21は、いずれも歯車の大きさにより速度を変更するものである。
【0038】
さらに、ケーブル移送装置1は、圧着部22を備える。圧着部22は、無限軌道帯状体10の内部に配置される走行ガイドを支持して、無限軌道帯状体10の挟持力を担保するものである。
【0039】
また、図2に示すとおり、ケーブル移送装置1は、ケーブル導入部15のローラー151の両端近傍に、溶剤噴射部153を備える。ケーブルCが、その外面に油が付着したものである場合、このように、前記ケーブルCを引抜移送する前記一対の無限軌道帯状体10の位置よりも上流側(手前)に配置され、前記ケーブルCに対し、前記ケーブルの外面を洗浄する溶剤を噴射する溶剤噴射部をさらに備えることにより、付着した油の量を低減してケーブルCの滑りをより抑制するとともに、ケーブル移送装置1内部へ絶縁油が浸入することを抑制することができる。
【0040】
また、溶剤噴射部153を設ける場合、動力部19は、防溶剤加工を施すことが好ましい。上述したとおり、ケーブルCの表面の滑りを防止するため、溶剤噴射部153からケーブルCに溶剤を噴射して、絶縁油を洗い流す際に、この溶剤がケーブル移送装置1内部、特に電気系統を備えている動力部19に浸入すると、電気系統が故障するおそれがあるためである。ここで、「防溶剤加工」とは溶剤が電気配線等に直接接触することを防止するためのあらゆる加工を含む概念であり、例えば電気配線を耐溶剤性のケースに入れたり、電気配線を耐溶剤性のテープで巻いたりするなどの加工が挙げられる。
【0041】
以上のようなケーブル移送装置1は、洞道内や管路内に既設されたケーブルを引抜撤去するために用いることができる。ケーブル移送装置1は、ケーブルCの引抜移送に際し、1台のみを使用しても、複数台を使用してもよい。
【0042】
ケーブル移送装置1は、従来のケーブル移送装置(ホーリングマシンなど)に代わって用いることができる。具体的に、このようなケーブル移送装置1を用い、前記一対の無限軌道帯状体を同じ方向に移動させることにより、前記一対の無限軌道帯状体が対向して位置する連結されたコマ同士が、順次、前記ケーブルを挟持しながら前記ケーブルに対して引張り力を作用させて前記ケーブルを引抜移送することにより、外面が滑りやすい状態のケーブルを引抜く場合であっても、従来のケーブル移送装置に比べてそのケーブルと接した無限軌道帯状体が滑りにくく、ケーブルを安定的に挟持して当該ケーブルに引張り力を作用させることができ、ケーブルを安定的に引抜いて移送可能である。そして、このようなケーブル移送装置1によれば、ケーブルの滑りが抑制されているため、ケーブルの引抜きの時間を大幅に削減することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。なお、上述したケーブル移送装置1は、一対の無限軌道帯状体を左右に配置して、ケーブルを水平方向に移送する構成について示したが、かかる構成には限定されず、一対の無限軌道帯状体を上下に配置して、ケーブルを水平方向に移送するように構成したり、一対の無限軌道帯状体を垂直方向に配置して、ケーブルを垂直方向に移送するように構成することも可能であり、一対の無限軌道帯状体の排出する向きは、ケーブルを移送する方向に応じて適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 ケーブル移送装置
10、10a、10b 無限軌道帯状体
101a、101b 挟持部
11、11A、11B、11C、11D コマ
111 位置決め凹部
112、112a、112b、112c、112d 突起
113 液切り溝
12 駆動ホイール
13 従動ホイール
14 格納ケース
15 ケーブル導入部
151、152 ローラー
153 溶剤噴射部
16 ケーブル支持部
17 ケーブル排出部
18 間隔調整フレーム
19 動力部
191 制御部
192 原動機
20 第1減速部
21 第2減速部
22 圧着部
C ケーブル
D コマの連結方向
E 電源
図1
図2
図3
図4
図5