【解決手段】筐体200内に配置された受電装置300に対して筐体外から送電装置100にて電力を給電する送受電システムにおいて、送電装置は、所定の周波数の信号を出力する出力手段(発振部110)と、出力手段から出力される所定の周波数の信号に基づいて、交番電界を筐体に励起する送電カプラ(交番電界励起部140)と、を有し、受電装置は、筐体へ励起された交番電界を電力に変換する受電カプラ(受電カプラ310)と、受電カプラの電極を防水する防水手段(接着剤400)と、を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された技術は、コンデンサとインダクタとの共振を利用することから、水が極板間に介在する場合には、電力の伝送が困難となる。すなわち、水と空気は誘電率が80倍程度異なることから、水が極板間に存在すると共振周波数が大幅に変化し、電界共鳴による送受電が困難になるという課題がある。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、水が存在する場合でも送受電が可能な送受電システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、筐体内に配置された受電装置に対して筐体外から送電装置にて電力を給電する送受電システムにおいて、前記送電装置は、所定の周波数の信号を出力する出力手段と、前記出力手段から出力される所定の周波数の信号に基づいて、交番電界を前記筐体へ励起する送電カプラと、を有し、前記受電装置は、前記筐体へ励起された前記交番電界を電力に変換する受電カプラと、前記受電カプラの電極を防水する防水手段と、を有することを特徴とする。
水が存在する場合でも送受電が可能な送受電システムを提供することができる。
【0007】
また、本発明は、前記受電カプラは、前記電極が前記筐体の内壁面と対向するように配置されるとともに、前記受電カプラの前記電極の周囲に接着剤が塗布され、前記内壁面と前記電極とが所定の距離離間された状態で接着されている、ことを特徴とする。
このような構成によれば、水が介在する場合でも、送電可能となるとともに、筐体と電極の間を一定に保つことで安定した送電特性を得ることができる。
【0008】
また、本発明は、前記受電カプラは、中間体によって少なくとも前記電極が配置された面が覆設されるように構成されていることを特徴とする。
このよう構成によれば、中間体によって水の進入を防ぐことで、水が介在する場合でも送受電が可能となる。
【0009】
また、本発明は、前記防水手段は、前記電極と前記中間体との間に構成されている、ことを特徴とする。
このような構成によれば、中間体と電極の間に水が進入して、特性が変化することを防止できる。
【0010】
また、本発明は、前記防水手段は、前記電極と前記筐体との間に構成されている、ことを特徴とする。
このような構成によれば、筐体と電極の間に水が進入して、特性が変化することを防止できる。
【0011】
また、本発明は、前記防水手段は、浸入した水を排出するための穴、溝、栓あるいは弁を備えることを特徴とする
このような構成によれば、筐体内へ水が進入した場合でも排水することができる。
【0012】
また、本発明は、前記防水手段は、Oリングであることを特徴とする。
このような構成によれば、筐体内に水が進入した場合でも確実に動作することができる。
【0013】
また、本発明は、前記中間体は、金属ラミネートフィルムによって構成されることを特徴とする。
このような構成によれば、中間体によって水の進入を防ぐとともに、金属層の存在によって、極板と金属層との距離を一定に保つことで、安定した送電特性を得ることができる。
【0014】
また、本発明は、前記受電装置は、前記筐体内の状態を検出するセンサと、前記センサによって検出された状態を示す情報を送信する送信手段と、を有し、前記センサおよび前記送信手段は、前記受電カプラによって受電された電力によって動作することを特徴とする。
このような構成によれば、筐体内の状態を受信した電力によって、筐体の外部に通知することができる。
【0015】
また、本発明は、前記センサは、前記筐体内の水を検出する水センサであり、前記送信手段は、前記水センサによって検出された水に関する情報を送信する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、筐体内への水の進入を検出して、筐体の外部に通知することができる。
【0016】
また、本発明は、前記防水手段を有しない他の前記受電装置を有し、前記受電装置と、他の前記受電装置から送信される情報に基づいて、前記筐体内の水の有無を判定する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、2つの受電装置の受電の可否に基づいて筐体内への水の進入を検出することができる。
【0017】
また、本発明は、前記筐体はケーブル芯線の相互接続を行うためのクロージャであることを特徴とする。
このような構成によれば、クロージャ内に水が進入した場合でも確実に動作することができる。
【0018】
また、本発明は、筐体内に配置された受電装置に対して筐体外から送電装置にて電力を給電する送受電システムにおいて、前記送電装置は、所定の周波数の信号を出力する出力手段と、前記出力手段から出力される所定の周波数の信号に基づいて、交番磁界を励起させる送電カプラと、前記送電カプラから出力される交番磁界を交番電界に変換する第1変換手段と、を有し、前記受電装置は、交番電界を交番磁界に変換する第2変換手段と、交番磁界を電力に変換する受電カプラと、前記第2変換手段の交番電界を出力する電極を密閉する密閉手段と、を有することを特徴とする。
水が存在する場合でも送受電が可能な送受電システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、水が存在する場合でも送受電が可能な送受電システムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0022】
(A)本発明の実施形態の構成例の説明
図1は、本発明の実施形態に係る送受電システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、送受電システムは、交番電界励起部140および送電制御部170を有する送電装置100と、受電カプラ310および受電制御部380を有する受電装置300を有している。受電装置300は、蓋部210および本体部220を有する筐体200の内部に配置されている。なお、筐体200は、金属部材によって構成されている。また、受電カプラ310は、後述するように、接着剤400によって、本体部220の底面に貼付されている。
【0023】
図2は、
図1に示す送電装置100の構成例を示す図である。
図2の例では、送電装置100は、発振部110、電力増幅部120、電源130、交番電界励起部140、制御部150、および、受信部160を有している。なお、
図1に示す送電制御部170は、発振部110、電力増幅部120、電源130、制御部150、および、受信部160によって構成される。
【0024】
発振部110は、例えば、13.56MHzの正弦波を生成して出力する。なお、周波数は一例であって、これ以外の周波数であってもよい。
【0025】
電力増幅部120は、発振部110から供給される正弦波の電力を、電源130からの電力を用いて増幅して出力する。
【0026】
電源130は、例えば、一次電池または二次電池(例えば、リチウムイオン電池)によって構成され、電力増幅部120に対して直流電力を供給する。
【0027】
交番電界励起部140は、電力増幅部120から供給される交流電力によって、交番電界を発生する。なお、交番電界励起部140の構成については後述する。
【0028】
制御部150は、装置の各部を制御するともとに、受信部160によって受信された信号に含まれる情報に応じた処理を実行する。
【0029】
受信部160は、後述する送信部370から送信される信号を受信し、復調処理を施して信号に含まれる情報を抽出し、制御部150に供給する。
【0030】
図3は、
図1に示す受電装置300の構成例を示す図である。
図3の例では、受電装置300は、受電カプラ310、整流部320、蓄電部330、安定化電源340、制御部350、センサ360、および、送信部370を有している。
【0031】
ここで、受電カプラ310は、交番電界励起部140によって励起された交番電界を受電し、交流電力として整流部320に供給する。なお、受電カプラ310の詳細は後述する。
【0032】
整流部320は、受電カプラ310から供給される交流電力を整流して直流電力に変換して出力する。
【0033】
蓄電部330は、例えば、二次電池、スーパキャパシタ、電解コンデンサ等によって構成され、整流部320から出力される脈流電流を平滑化して出力する。
【0034】
なお、補助的な一次電池を接続しても良い。例えば、水の浸入によって電池を駆動するスイッチや機構を組み込むことで、水が浸入した場合に補助的に電力を増加させて、水の排出や、遠距離への水の浸入の通知を行っても良い。
【0035】
安定化電源340は、例えば、DC−DCコンバータ等によって構成され、蓄電部330から出力される直流電力を所定の電圧に降圧または昇圧して出力する。
【0036】
制御部350は、装置の各部を制御するとともに、センサ360によって検知された情報を、送信部370を介して送信する。
【0037】
センサ360は、例えば、水を検知する水センサによって構成され、筐体200内に水が浸入した場合には、進入した水を検知して制御部350に通知する。
【0038】
センサの駆動とともに、LED等を点灯しても良い。これにより、割れない程度に小さくした透明の窓から、LEDで明るくなった内部を目視で確認できる。あるいは、水が浸入した場合と進入しない場合とで色の違うLEDを点灯することで、目視により水の浸入を検知できる。
【0039】
送信部370は、制御部350から供給される情報に基づいて搬送波を変調し、例えば、電磁波に変換して送信する。
【0040】
つぎに、
図4〜
図6を参照して、本実施形態に係るワイヤレス給電の動作原理について説明する。
【0041】
図4は、電界共鳴を利用した送受電システムの動作原理を説明するための図である。この図の例では、送受電システム1は、送電装置10、および、受電装置20を有している。
【0042】
ここで、送電装置10は、電極11,12、インダクタ13,14、接続線15,16、および、交流電力発生部17を有している。また、受電装置20は、電極21,22、インダクタ23,24、接続線25,26、および、負荷27を有している。電極11,12およびインダクタ13,14は送電カプラを構成する。電極21,22およびインダクタ23,24は受電カプラを構成する。
【0043】
ここで、電極11,12は、導電性を有する部材によって構成され、所定の距離d1を隔てて配置されている。
図4の例では、電極11,12,21,22として、略同一のサイズを有する矩形形状を有する平板状の電極が例示されている。また、電極11と電極21は距離d2を隔てて対向するように平行に配置され、電極12と電極22も同じ距離d2を隔てて対向するように平行に配置されている。なお、電極11,12,21,22としては、
図4に示す以外の形状の電極であってもよい。例えば、円形または楕円形状の平板電極であったり、球形等の立体形状であったり、平板ではなく湾曲した形状または屈曲した形状の電極であったりしてもよい。
【0044】
電極11および電極12の距離d1を含む合計幅Dは、これらの電極から放射される電界の波長をλとした場合に、λ/2πで示される近傍界よりも狭くなるように設定されている。同様に、電極21および電極22の距離d1を含む合計幅Dは、λ/2πで示される近傍界よりも狭くなるように設定されている。また、電極11と電極21および電極12と電極22の間の距離d2についても、λ/2πで示される近傍界よりも短くなるように設定されている。
【0045】
インダクタ13,14は、例えば、導電性の線材(例えば、銅線)を巻回して構成され、
図4の例では、電極11,12の端部にそれぞれの一端が電気的に接続されている。接続線15はインダクタ13の他端と交流電力発生部17の出力端子の一端とを接続する導電性の線材(例えば、銅線)によって構成される。接続線16はインダクタ14の他端と交流電力発生部17の出力端子の他端とを接続する導電性の線材によって構成される。なお、接続線15,16は、同軸ケーブルまたは平衡ケーブルによって構成される。
【0046】
交流電力発生部17は、所定の周波数の交流電力を発生し、接続線15,16を介してインダクタ13,14に供給する。
【0047】
電極21,22は、電極11,12と同様に、導電性を有する部材によって構成され、所定の距離d1を隔てて配置されている。
【0048】
インダクタ23,24は、例えば、導電性の線材を巻回して構成され、
図4の例では、電極21,22の端部にそれぞれの一端が電気的に接続されている。接続線25はインダクタ23の他端と負荷27の入力端子の一端とを接続する導電性の線材(例えば、銅線)によって構成される。接続線26はインダクタ24の他端と負荷27の入力端子の他端とを接続する導電性の線材によって構成される。なお、接続線25,26は、同軸ケーブルまたは平衡ケーブルによって構成される。
【0049】
負荷27は、交流電力発生部17から出力され、送電カプラおよび受電カプラを介して伝送された電力が供給される。なお、負荷27は、例えば、整流装置および二次電池等によって構成されている。もちろん、これ以外であってもよい。
【0050】
図5は、
図4に示す送受電システム1の等価回路を示す図である。この
図5において、インピーダンス2は交流電力発生部17の出力インピーダンスを示し、インピーダンス27は負荷27の入力インピーダンスを示す。ここでは、ともにZ0の値を有するとして説明する。なお、等価回路に明示されない接続線15,16及び接続線25,26の特性インピーダンスもZ0とする。インダクタ3a,3cはインダクタ13,14に対応し、Lの素子値を有している。キャパシタ4aは、電極11,12の間に生じる素子値Cのキャパシタから、電極11,12と電極21,22の間に生じる素子値2Cmのキャパシタの1/2の値を減じた素子値(C−Cm)を有する。キャパシタ4b,4dは、電極11,12と電極21,22の間に生じるキャパシタを示し、2Cmの素子値を有している。キャパシタ4cは、電極21,22の間に生じる素子値Cのキャパシタから、電極11,12と電極21,22の間に生じる素子値2Cmのキャパシタの1/2の値を減じた素子値(C−Cm)を有する。インダクタ3b,3dはインダクタ23,24に対応し、Lの素子値を有している。
【0051】
図6は、送電装置10と受電装置20の間のSパラメータの周波数特性を示している。具体的には、
図6の横軸は周波数を示し、縦軸は送電装置10から受電装置20への挿入損失(S21)を示している。この
図6に示すように、送電装置10から受電装置20への挿入損失は、周波数f
Cでインピーダンス極大値を有し、周波数f
Lおよびf
Hでインピーダンス整合点、すなわち、共振点を有している。ここで、周波数f
Cは、
図5に示すインダクタ3a〜3dのインダクタンス値Lと、電極11,12または電極21,22によって形成されるキャパシタのキャパシタンス値Cによって定まる。また、周波数f
Lおよびf
Hは、
図5に示すインダクタ3a〜3dのインダクタンス値Lと、電極11,12および電極21,22によって形成されるキャパシタのキャパシタンス値2Cmと、ならびに、電極11,12の間および電極21,22の間にそれぞれ生じるキャパシタのキャパシタンス値Cによって近似値として定まる。
【0052】
交流電力発生部17が発生する交流電力の周波数は、
図6に示すf
Lまたはf
Hと等しくなるように設定される。このように、交流電力発生部17の周波数を設定することにより、送電装置10から受電装置20への挿入損失が略0dBとなることから、送電装置10から受電装置20に対して損失なく電力を送信することができる。
【0053】
図4に示す構成では、送電装置10の電極11,12と受電装置20の電極21,22は、電界共振結合されており、送電装置10の電極11,12から受電装置20の電極21,22に対して電界によって交流電力が伝送される。
【0054】
つまり、
図4に示す構成では、送電装置10の電極11,12と受電装置20の電極21,22は、近傍界であるλ/2πよりも短い距離d2だけ隔てて配置されているので、電極11,12から放射される電界成分が支配的である領域に電極21,22が配置される。また、電極11,12の間に形成されるキャパシタおよびインダクタ13,14による共振周波数と、電極21,22の間に形成されるキャパシタおよびインダクタ23,24による共振周波数とは略等しくなるように設定されている。このように、送電装置10の電極11,12と受電装置20の電極21,22は、電界共振結合されていることから、送電装置10の電極11,12から受電装置20の電極21,22に対して電界によって交流電力が効率よく伝送される。
【0055】
以上の例は、送電カプラと、受電カプラが対向して配置される場合の例であるが、
図7に示すように、送電カプラを構成する電極11,12と、受電カプラを構成する電極21,22が導電板500を挟んで配置されるとともに、これらが所定の距離だけ離間して配置される場合にも、送電カプラから受電カプラに電力を送電することができることが実験によって分かっている。この場合には、送電カプラが導電板500に対して交番電界を励起し、励起された交番電界が導電板を伝播して受電カプラに交流電力を発生させる。実験によると、受電カプラが導電板500から20cm以内の位置に配置される場合、送電装置100から受電装置300に給電される効率は20%程度を達成することができるので、例えば、送電装置100が50Wの出力である場合、受電装置300は10Wの電力を受電することができる。
【0056】
図8は、
図7の実施形態の等価回路を示す図である。なお、
図8において、
図5と対応する部分には同一の符号を付している。
図8に示すように、本発明の実施形態では、送電カプラが有する電極4e,4fによって、破線で示す筐体に交番電界が励起される。このような交番電界は、筐体を伝送され、電極4g,4hによって受電される。電極4g,4hによって受電された電力は、負荷27に供給される。なお、破線で示す筐体は、インダクタを介して接地されている。なお、接地はインダクタではなく、キャパシタでもよい。
【0057】
図9は、
図2に示す交番電界励起部140と、
図3に示す受電カプラ310の構成例を示す図である。
図9(A)の左側に示すように、交番電界励起部140は、誘電体によって構成される回路基板101の表面に2つの電極142,143が所定の距離を隔てて配置されて構成される。
図9(A)の右側に示すように、受電カプラ310は、回路基板311の表面に2つの電極312,213が所定の距離を隔てて配置されて構成される。なお、
図9の例では、交番電界励起部140と受電カプラ310が同様の構成を有する場合を例に挙げている。
【0058】
図9(B)は、交番電界励起部140と受電カプラ310とが筐体200を構成する金属部材を介して結合される様子を模式的に示す図である。
図9(B)に模式的に示すように、交番電界励起部140は、電極142,143が筐体200側を向くようにして使用者(管理者)によって保持される。また、受電装置300の受電カプラ310は、電極312,313が筐体200側を向くように配置される。この場合、
図7と同様に、送電装置100から受電装置300に対して電力を伝送することができる。
【0059】
なお、
図1に示す筐体200では、蓋部210と本体部220との間にギャップが存在し、蓋部210と本体部220とが相互に電気的に接続されていない場合も存在する。
図10は、相互に接続されていない導体板501〜503が存在する場合に、導体板501の裏面に対向するように電極11,12を配置し、導体板502の表(おもて)面に対向するように電極21A,22Aを配置し、導体板503の表面に対向するように電極21B,22Bを配置した状態を示す。このような状態において、電極11,12によって導体板501に交番電界を励起するとき、導体板502上に設けられた電極21A,21Bには交流電力が生じ、導体板503上に設けられた電極21A,21Bにも交流電力が生じることが確認された。
【0060】
このため、
図1に示すように、筐体200の蓋部210と本体部220とが相互に電気的に接続されていない場合であっても、送電装置100から受電装置300に対して電力を供給することができる。
【0061】
図11は、
図1に示す実施形態において、受電カプラ310の本体部220への配置状態を示す図である。
図11に示すように、受電カプラ310は、電極312,313が本体部220の内面側に対向するように配置される。また、受電カプラ310と本体部220の内面の間には、接着剤400が塗布されている。接着剤400は所定の厚みを有しており、この結果、受電カプラ310は、本体部220の内面から所定の距離だけ離間されて配置される。なお、離間される距離は、例えば、3mm以内とすることが望ましい。
【0062】
図11に示すように、受電カプラ310の電極312,313の周囲を囲繞するように接着剤400を配置し、受電カプラ310の電極312,313側を本体部220の内面に対して接着するようにしたので、筐体200の内部に水が浸入した場合であっても、電極312,313と本体部220の内面との間に水が浸入し、誘電率の変化に起因して受電カプラ310の共振周波数が変化することを防止できる。また、
図11に示す構成によれば、本体部220と受電カプラ310の距離を常に一定に保つことができるため、これらの間の容量成分を一定に保つことで、共振周波数を一定に保ち、安定した受電を行うことができる。
【0063】
(B)本発明の実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の実施形態の動作について説明する。例えば、
図1に示す筐体200内に、重要な設備(例えば、ネットワークの通信機器、電気設備等)が配置されるとともに、筐体200が屋外または地下の共同溝等に配置される場合、筐体200の内部に水が浸入していないか調査する必要がある。従来においては、筐体200の蓋部210を取り外して目視によって内部を点検したり、筐体200の一部に透明な窓部等を設け、窓部を介して目視によって内部を点検したりしていた。
【0064】
蓋部210を取り外す場合、取り外し作業が必要になるため、筐体200が多数存在する場合は、多大な労力を必要とするという問題点があった。
【0065】
また、透明な窓部を設ける場合、当該窓部から内部が目視できる位置まで管理者が移動しなければならず、例えば、高い場所に配置される場合には、はしご等が必要になるという問題点があった。また、窓部は、アクリル等の樹脂によって構成される場合が多いことから、筐体200が屋外に配置される場合には、アクリルが紫外線によって劣化し、窓部から水が内部に進入する場合があるという問題点があった。
【0066】
一方、本実施形態では、送電装置100を管理者が手に持つか、あるいは、延長棒の先に送電装置100を取り付けて、筐体200に近づけるだけで、水の浸入の有無を知ることができるので、管理者の労力を大幅に低減することができる。
【0067】
すなわち、管理者が、送電装置100の電源をオンの状態にすると、制御部150が装置の各部の動作を開始させる。発振部110は、所定の周波数の正弦波を生成して電力増幅部120に出力する。電力増幅部120は、発振部110から供給される正弦波の電力を電源130からの電力に基づいて増幅して出力する。交番電界励起部140は、筐体200に対して交番電界を励起させる。
【0068】
送電装置100によって筐体200に励起された交番電界は、
図7または
図10と同様の原理によって、本体部220に伝達され、本体部220の底面から受電カプラ310に伝送される。この結果、受電カプラ310の電極312,313には交流電力が励起される。
【0069】
電極312,313に励起された交流電力は、整流部320によって整流された後、蓄電部330に蓄電される。安定化電源340は、蓄電部330に蓄電された直流電力を、昇圧または降圧して制御部350に供給する。これにより、制御部350が動作可能な状態になる。
【0070】
制御部35が動作可能な状態になると、制御部350は、センサ360からの検出信号を取得し、筐体200の内部に水が進入しているか否かを示す情報を生成して送信部370に供給する。
【0071】
送信部370は、制御部350から供給された情報に基づいて所定の周波数の搬送波を変調し、送電装置100に対して送信する。なお、搬送波としては、電界を用いて伝送してもよいし、あるいは、電磁波、音波を用いるようにてしもよい。
【0072】
このような搬送波を受信した受信部160は、搬送波を復調して重畳されている情報を抽出し、制御部150に供給する。制御部150は、供給された情報を参照し、例えば、筐体200の内部に水が進入している場合には、例えば、図示しないスピーカから警告音を出力したり、図示しない表示部に警告メッセージを表示したりすることで、管理者に水の進入を伝えることができる。
【0073】
以上に説明したように、本発明の実施形態では、
図1に示すように、筐体200の内部に受電装置300を配置するとともに、受電カプラ310を
図11に示すように、接着剤400を介して本体部220の内面に固定するようにしたので、筐体200の内部に水が進入した場合でも、交番電界を受信して電力を生成することができる。
【0074】
また、受電装置300部と本体部220の間に水が入りにくく、また抜けやすい構造にするようにしてもよい。より具体的には、たとえば、受電装置300部と本体部220との間に適宜、弁や、穴、溝あるいは栓を設けることで、水が入りにくく、また抜けやすい構造にすることができる。このような構成とすることで、筐体200の内部に水が進入した場合でも、交番電界を受信して電力を生成することができる。
【0075】
また、本発明の実施形態では、筐体200が金属等の導電性部材で構成されている場合であっても、送電装置100から受電装置300に対して電力を供給し、筐体200の蓋部210開けることなく、内部の状態を知ることができる。このため、管理者の労力を削減することが可能になる。
【0076】
(C)変形実施形態の説明
以上の各実施形態は一例であって、本発明が上述した場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。
【0077】
例えば、前述した実施形態では、
図11に示すように、受電カプラ310を接着剤400によって本体部220に固定するようにしたが、
図12に示すように、受電カプラ310を、中間体によって被覆し、被覆した受電カプラ310を筐体200の内部に配置するようにしてもよい。より詳細には、
図12の例では、受電カプラ310を、金属と樹脂のラミネート構造を有する金属ラミネートフィルム420,430によって被覆している。金属ラミネートフィルム420,430の一例としては、40μmのアルミニウム箔に24μmのナイロン樹脂をラミネートしたアルミラミネートフィルムを使用することができる。もちろん、これ以外の厚さのアルミラミネートフィルムを使用してもよい。この場合、
図10と同様の原理によって、筐体200からアルミ箔を介して受電カプラ310に電力が供給される。また、アルミラミネートフィルムは樹脂で被覆されているので、筐体200内に入れても、不用意なショートが発生することがない。また、フィルム状であることから、筐体200内で折り曲げることができるので、筐体200内へ簡易に敷設することができる。
【0078】
なお、
図12の例では、受電カプラ310の両面が被覆されているが、電極が配置されている面だけが被覆されるようにしてもよい。
【0079】
また、
図1に示す実施形態では、センサ360によって検出された情報は、送信部370によって送電装置100に送信するようにしたが、例えば、
図13および
図14に示すように、電力を伝送するための交番電界の反射波によって情報を送信するようにしてもよい。
【0080】
より詳細には、
図13は、変形実施形態に係る送電装置700の構成例を示す図である。なお、
図13において、
図2と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図13では、
図2と比較すると、受信部160が反射波受信部710に置換されている
これ以外は、
図2と同様である。
【0081】
また、
図14は、変形実施形態に係る受電装置800の構成例を示す図である。なお、
図14において、
図3と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図14では、
図3と比較すると、送信部370が変調部810に置換されている。これ以外は、
図3と同様である。
【0082】
ここで、変調部810は、例えば、電極312,312を、短絡または開放することで、交番電界励起部140から送電される交番電界の反射波を生成し、反射波の振幅、または、位相等によって情報を送信する。なお、受信した交番電界を熱エネルギに変換するための所定の素子値を有する抵抗素子を電極312,313に接続するようにしてもよい。
【0083】
反射波受信部710は、受電装置300からの反射波を受信し、この反射波の振幅または位相を検出することで、反射波に含まれる情報を復調して制御部150に供給する。制御部150は、反射波受信部710から供給される情報に基づいて、水の進入の有無を判定し、管理者に通知することができる。
【0084】
このように、
図13および
図14に示す変形実施形態によれば、交番電界の反射波によってセンサ360によって情報を送信できるので、交番電界以外の搬送波を用いる場合に比較して、構成を簡略化することができる。また、交番電界を用いることで、金属の筐体200の内部から情報を受信することができる。
【0085】
図15および
図16は、他の変形実施形態を示す図である。
図15は、変形実施形態に係る送電装置900の構成例を示す図である。なお、
図15において、
図2と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図2と比較すると、
図15では、受信部160および交番電界励起部140が除外され、受信部910、送信部920、および、変換器930が追加されている。
【0086】
ここで、送信部920は、電力増幅部120から出力される信号を電磁波に変換して送信する。変換器930は、送信部920から送信される電磁波を交番電界に変換して出力する。また、変換器930は、受電装置1000から送信される交番電界を電磁波に変換して出力する。受信部910は、変換器930から出力される電磁波を受信して復調し、制御部150に供給する。
【0087】
図16は、受電装置1000の構成例を示している。
図16において、
図3と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図3と比較すると、
図16では、受電カプラ310および送信部370が除外され、受信部1010、送信部1020、および、変換器1030が付加されている。
【0088】
ここで、送信部1020は、制御部350から出力される信号を電磁波に変換して送信する。変換器1030は、送信部1020から送信される電磁波を交番電界に変換して出力する。また、変換器1030は、送電装置900から送信される交番電界を電磁波に変換して出力する。なお、変換器1030を構成する電極は、水等が進入しないように密閉されている。受信部1010は、変換器930から出力される電磁波を受信して復調し、制御部350に供給する。
【0089】
図15および
図16に記載の変形実施形態では、変換器930および変換器1030を用いることから、電磁波を送受信する装置(例えば、RFID(Radio Frequency Identifier)およびRFIDリーダ)を用いることができる。また、変換器930および変換器1030によって、交番電界に変換することから、筐体200が金属等の導電性部材によって構成される場合でも、電力および信号を、筐体200を介して伝送することができる。
【0090】
図17は、さらに他の変形実施形態を示す図である。なお、
図17において、
図1と対応する部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図17では、
図1と比較すると、筐体200の内部の受電装置300が除外され、受電カプラ310A,310Bおよび受電制御部380A,380Bが配置されている。これら以外は、
図1と同様である。
【0091】
ここで、受電カプラ310Aは、接着剤400によって
図11と同様の防水加工が施されている。一方、受電カプラ310Bには防水加工が施されていない。このため、筐体200の内部に水が進入していない場合には、受電カプラ310A,310Bの双方への給電が可能であることから、これら双方からの応答が得られる。しかしながら、筐体200の内部に水が進入した場合には、受電カプラ310Bの極板と筐体200の壁面の間には水が入り込むことから誘電率が大幅に増加するため、受電カプラ310Bは受電ができなくなる。この結果、受電制御部380Aからの応答はあるが、受電制御部380Bからの応答は得られなくなる。そこで、応答の有無を調べることで、浸水の有無を判定することができる。
【0092】
また、以上の実施形態では、送電装置100が発生する交番電界の周波数は固定としたが、例えば、周波数を許容される範囲内で微調整するようにしてもよい。このような構成によれば、例えば、有効電力が増加するように調整することで、給電効率を高めることができる。
【0093】
また、以上の実施形態では、交番電界励起部140は、2つの電極によって電界を励起するようにしたが、2つの電極の一方を省略し、電力増幅部120の出力を筐体200に直接接続し、交番電界を励起するようにしてもよい。
【0094】
また、以上の実施形態では、送電装置100を1つ備えるようにしたが、送電装置100を複数備え、これらによって発生される交番電界の位相が同期するように調整することで、複数の送電装置100から給電することもできる。
【0095】
また、以上の実施形態では、筐体200の内部に配置されるセンサ360は、水を検出するセンサとしたが、筐体200の内部の状態を検出する他のセンサ(例えば、温度センサ、湿度センサ、化学物質検出センサ)を配置するようにしたり、あるいは、筐体200の内部に収容されている装置の状態を検出するセンサ(例えば、情報処理装置の動作状態を検出するセンサ)を配置したりするようにしてもよい。
【0096】
また、以上の実施形態では、筐体200内に受電装置300を配置するようにしたが、例えば、この筐体200として化学薬品を収容する薬品庫を使用し、薬品庫の中に水が進入したことを検出するようにしてもよい。
【0097】
また、以上の実施形態では、筐体200は、金属によって構成される場合を例に挙げて説明したが、樹脂によって構成されてもよい。また、金属と樹脂の双方を使用して構成されてもよい。
【0098】
また、筐体200の実例として、例えば、光ケーブルや同軸ケーブル等のケーブル芯線の相互接続を行うためのクロージャを用いるようにしてもよい。クロージャは、屋外に設置される場合が多いことから、屋内に設置する場合に比較して、水が進入する可能性が高いが、水が進入した場合でもクロージャ内に配置された受電装置に対して電力を伝送することができる。この様なクロージャは、地面に直接設置される等により接地される。
【0099】
また、
図9に示す受電カプラ310および回路基板311を、例えば、樹脂等の絶縁部材によって構成されるカード形状の筐体によって覆うことで防水するようにしてもよい。
【0100】
また、以上の実施形態では、送電装置100および受電装置300は、矩形の電極を用いるようにしたが、これ以外の形状の電極を用いるようにしてもよい。
【0101】
また、以上の実施形態では、接着剤400を用いるようにしたが、接着剤の代わりに環状の絶縁部材、例えば、Oリング等を用いるようにしてもよい。