【解決手段】車両Vの車体Bを介して電力を送電する送電装置において、所定の周波数の信号を出力する出力手段(発振部110)と、出力手段(発振部110)から出力される所定の周波数の信号の電力を増幅する増幅手段(電力増幅部120)と、増幅手段(電力増幅部120)によって電力が増幅された信号に基づいて、車体に交番電界を励起させ、車体の近傍に配置された受電装置300−1〜300−3に対して電界によって電力供給する励起手段(交番電界励起部140)と、を有することを特徴とする。
前記受電装置の2つの前記電極は、導電性部材に近接して配置されるとともに、前記導電性部材と前記受電装置とは誘電体のフィルム部材によって被覆され、前記導電性部材が前記車体の近傍に配置されていることを特徴とすることを特徴とする請求項5または6に記載の送受電システム。
前記送電装置は、前記車体内に配置された二次電池または発電機から前記車体を介して電力を送電することを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の送受電システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された技術は、金属支柱や軸対称性を有する同心円状の送電カップラと受電カップラを必要とするため、このような金属支柱や軸対称性を有する同心円状の送電カップラと受電カップラの配置場所を有しない場合には、ワイヤレス給電を行うことが困難であった。例えば、車両に配置して、車両内部に備えられた二次電池から車両内外のセンサなどへワイヤレス給電を行うことが困難であった。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、車両に配置してワイヤレス給電を行うことが可能な送電装置および送受電システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、車両の車体を介して電力を送電する送電装置において、所定の周波数の信号を出力する出力手段と、前記出力手段から出力される所定の周波数の信号の電力を増幅する増幅手段と、前記増幅手段によって電力が増幅された信号に基づいて、前記車体に交番電界を励起させ、前記車体の近傍に配置された受電装置に対して電界によって電力供給する励起手段と、を有することを特徴とする。
このような構成によれば、車両の内部または外部にワイヤレス給電を行うことが可能になる。
【0007】
また、本発明は、前記励起手段は、離間して配置される2つの極板が、前記車体の近傍に配置され、これら2つの電極に対して前記増幅手段によって電力が増幅された信号を印加することで、前記車体に交番電界を励起させることを特徴とする。
このような構成によれば、電極によって車体に交番電界を励起し、電力を効率良く伝送することができる。
【0008】
また、本発明は、前記増幅手段と前記2つの電極の間にインダクタが接続されていることを特徴とする。
このような構成によれば、共振を利用して電力を効率良く伝送することができる。
【0009】
また、本発明は、前記励起手段は、前記増幅手段から出力される信号の一方の端子が前記車体に接続され、他方の端子が前記車体の近傍に配置された電極に接続されることを特徴とする。
このような構成によれば、伝送ロスを抑えて電力を効率良く伝送することができる。
【0010】
また、本発明は、車両の車体を介して電力を送電装置から受電装置に送電する送受電システムにおいて、前記送電装置は、所定の周波数の信号を出力する出力手段と、前記出力手段から出力される所定の周波数の信号の電力を増幅する増幅手段と、前記増幅手段によって電力が増幅された信号に基づいて、前記車体に交番電界を励起させ、前記車体の近傍に配置された前記受電装置に対して電界によって電力供給する励起手段と、を有し、前記受電装置は、前記車体の近傍に配置される2つの電極と、前記電極に生じる交流電力を整流する整流手段と、を有する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、車両の内部または外部にワイヤレス給電を行うことが可能になる。
【0011】
また、本発明は、前記受電装置は、センサと、前記センサによって検出された情報を送信する送信手段を有し、前記整流手段によって得られた直流電力を前記センサおよび前記送信手段に供給する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、伝送された電力を用いて車両の状態をセンサによって検出することが可能になる。
【0012】
また、本発明は、前記受電装置の2つの前記電極は、導電性部材に近接して配置されるとともに、前記導電性部材と前記受電装置とは誘電体のフィルム部材によって被覆され、前記導電性部材が前記車体の近傍に配置されていることを特徴とすることを特徴とする。
このような構成によれば、水の進入を防ぐことが可能になる。
【0013】
また、本発明は、前記車体と前記励起手段の距離または前記車体と前記2つの電極の距離が5cm以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、電力を効率よく伝送することができる。
【0014】
また、本発明は、前記送電装置は、前記車体内に配置された二次電池または発電機から前記車体を介して電力を送電することを特徴とする。
このような構成によれば、二次電池または発電機からの電力を車体を介して他の装置に伝送することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両に配置してワイヤレス給電を行うことが可能な送電装置および送受電システムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
(A)本発明の実施形態の構成例の説明
図1は、本発明の実施形態に係る送受電システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、送受電システムは、送電装置100および受電装置300−1〜300−3を有している。
【0019】
ここで、送電装置100は、車両Vに搭載され、車両に搭載されている二次電池または発電機からの電力を車両Vの車体に対して交番電界を励起し、交番電界(変位電流)によって受電装置300−1〜300−3に対してワイヤレスで電力を供給する。
【0020】
車体とは、主に外界と接する部品、屋根、ボンネット、サイドドア、バックドア、シャーシ、バンパー、シャフト 、ジョイント、ホイール、導電体を付けた窓ガラスなどの車両を構成する構造体の一部または全部である。そして、車体は接地されたり、グランドシールドを構成したりすることが望ましい。なお、接地点には、適宜、高周波の漏洩を防止するLを配置しても良い。
【0021】
受電装置300−1〜300−3は、送電装置100によって車体に励起された交番電界を受電して直流電力に変換し、例えば、負荷に供給する。
【0022】
図2は、送電装置100の構成例を示す図である。
図2の例では、送電装置100は、発振部110、電力増幅部120、電源130、および、交番電界励起部140を有している。
【0023】
発振部110は、例えば、13.56MHzの正弦波を生成して出力する。なお、周波数は一例であって、これ以外の周波数であってもよい。
【0024】
電力増幅部120は、発振部110から供給される正弦波の電力を、電源130からの電力を用いて増幅して出力する。
【0025】
電源130は、例えば、車両Vの二次電池(例えば、鉛蓄電池またはリチウムイオン電池)によって構成され、電力増幅部120に対して直流電力を供給する。
【0026】
交番電界励起部140は、電力増幅部120から供給される交流電力によって、車両Vの車体Bに交番電界を励起させる。なお、交番電界励起部140の構成については後述する。
【0027】
図3は、
図1に示す受電装置300−1〜300−3の構成例を示す図である。なお、受電装置300−1〜300−3は、同様の構成とされるので、以下では、これらを受電装置300として説明する。
【0028】
図3の例では、受電装置300は、受電カプラ310、整流部320、蓄電部330、安定化電源340、および、負荷350を有している。
【0029】
ここで、受電カプラ310は、車両Vの車体Bに励起された交番電界を受電し、交流電力として整流部320に供給する。なお、受電カプラ310の詳細は後述する。
【0030】
整流部320は、受電カプラ310から供給される交流電力を整流して直流電力に変換して出力する。
【0031】
蓄電部330は、例えば、二次電池、スーパキャパシタ、電解コンデンサ等によって構成され、整流部320から出力される脈流電流を平滑化して出力する。
【0032】
安定化電源340は、例えば、DC−DCコンバータ等によって構成され、蓄電部330から出力される直流電力を所定の電圧に降圧または昇圧して出力する。
【0033】
負荷350は、例えば、後述するように、車両または車両の周辺の状況を検出するセンサ等によって構成され、安定化電源340から供給される直流電源によって動作し、検出した情報を他の装置に伝送する。
【0034】
つぎに、
図4〜
図6を参照して、本実施形態に係るワイヤレス給電の動作原理について説明する。
【0035】
図4は、電界共鳴を利用した送受電システムの動作原理を説明するための図である。この図の例では、送受電システム1は、送電装置10、および、受電装置20を有している。
【0036】
ここで、送電装置10は、電極11,12、インダクタ13,14、接続線15,16、および、交流電力発生部17を有している。また、受電装置20は、電極21,22、インダクタ23,24、接続線25,26、および、負荷27を有している。電極11,12およびインダクタ13,14は送電カプラを構成する。電極21,22およびインダクタ23,24は受電カプラを構成する。
【0037】
ここで、電極11,12は、導電性を有する部材によって構成され、所定の距離d1を隔てて配置されている。
図4の例では、電極11,12,21,22として、略同一のサイズを有する矩形形状を有する平板状の電極が例示されている。また、電極11と電極21は距離d2を隔てて対向するように平行に配置され、電極12と電極22も同じ距離d2を隔てて対向するように平行に配置されている。なお、電極11,12,21,22としては、
図4に示す以外の形状の電極であってもよい。例えば、円形または楕円形状の平板電極であったり、球形等の立体形状であったり、平板ではなく湾曲した形状または屈曲した形状の電極であったりしてもよい。
【0038】
電極11および電極12の距離d1を含む合計幅Dは、これらの電極から放射される電界の波長をλとした場合に、λ/2πで示される近傍界よりも狭くなるように設定されている。同様に、電極21および電極22の距離d1を含む合計幅Dは、λ/2πで示される近傍界よりも狭くなるように設定されている。また、電極11と電極21および電極12と電極22の間の距離d2についても、λ/2πで示される近傍界よりも短くなるように設定されている。
【0039】
インダクタ13,14は、例えば、導電性の線材(例えば、銅線)を巻回して構成され、
図4の例では、電極11,12の端部にそれぞれの一端が電気的に接続されている。接続線15はインダクタ13の他端と交流電力発生部17の出力端子の一端とを接続する導電性の線材(例えば、銅線)によって構成される。接続線16はインダクタ14の他端と交流電力発生部17の出力端子の他端とを接続する導電性の線材によって構成される。なお、接続線15,16は、同軸ケーブルまたは平衡ケーブル等によって構成される。
【0040】
交流電力発生部17は、所定の周波数の交流電力を発生し、接続線15,16を介してインダクタ13,14に供給する。
【0041】
電極21,22は、電極11,12と同様に、導電性を有する部材によって構成され、所定の距離d1を隔てて配置されている。
【0042】
インダクタ23,24は、例えば、導電性の線材を巻回して構成され、
図4の例では、電極21,22の端部にそれぞれの一端が電気的に接続されている。接続線25はインダクタ23の他端と負荷27の入力端子の一端とを接続する導電性の線材(例えば、銅線)によって構成される。接続線26はインダクタ24の他端と負荷27の入力端子の他端とを接続する導電性の線材によって構成される。なお、接続線25,26は、同軸ケーブルまたは平衡ケーブルによって構成される。
【0043】
負荷27は、交流電力発生部17から出力され、送電カプラおよび受電カプラを介して伝送された電力が供給される。なお、負荷27は、例えば、整流装置および二次電池等によって構成されている。もちろん、これ以外であってもよい。
【0044】
図5は、
図4に示す送受電システム1の等価回路を示す図である。この
図5において、インピーダンス2は交流電力発生部17の出力インピーダンスを示し、インピーダンス27は負荷27の入力インピーダンスを示す。ここでは、ともにZ0の値を有するとして説明する。なお、等価回路に明示されない接続線15,16及び接続線25,26の特性インピーダンスもZ0とする。インダクタ3a,3cはインダクタ13,14に対応し、Lの素子値を有している。キャパシタ4aは、電極11,12の間に生じる素子値Cのキャパシタから、電極11,12と電極21,22の間に生じる素子値2Cmのキャパシタの1/2の値を減じた素子値(C−Cm)を有する。キャパシタ4b,4dは、電極11,12と電極21,22の間に生じるキャパシタを示し、2Cmの素子値を有している。キャパシタ4cは、電極21,22の間に生じる素子値Cのキャパシタから、電極11,12と電極21,22の間に生じる素子値2Cmのキャパシタの1/2の値を減じた素子値(C−Cm)を有する。インダクタ3b,3dはインダクタ23,24に対応し、Lの素子値を有している。
【0045】
図6は、送電装置10と受電装置20の間のSパラメータの周波数特性を示している。具体的には、
図6の横軸は周波数を示し、縦軸は送電装置10から受電装置20への挿入損失(S21)を示している。この
図6に示すように、送電装置10から受電装置20への挿入損失は、周波数f
Cでインピーダンス極大値を有し、周波数f
Lおよびf
Hでインピーダンス整合点、すなわち、共振点を有している。ここで、周波数f
Cは、
図5に示すインダクタ3a〜3dのインダクタンス値Lと、電極11,12または電極21,22によって形成されるキャパシタのキャパシタンス値Cによって定まる。また、周波数f
Lおよびf
Hは、
図5に示すインダクタ3a〜3dのインダクタンス値Lと、電極11,12および電極21,22によって形成されるキャパシタのキャパシタンス値2Cmと、ならびに、電極11,12の間および電極21,22の間にそれぞれ生じるキャパシタのキャパシタンス値Cによって近似値として定まる。
【0046】
交流電力発生部17が発生する交流電力の周波数は、
図6に示すf
Lまたはf
Hと等しくなるように設定される。このように、交流電力発生部17の周波数を設定することにより、送電装置10から受電装置20への挿入損失が略0dBとなることから、送電装置10から受電装置20に対して損失なく電力を送信することができる。
【0047】
図4に示す構成例では、送電装置10の電極11,12と受電装置20の電極21,22は、電界共振結合されており、送電装置10の電極11,12から受電装置20の電極21,22に対して電界によって交流電力が伝送される。
【0048】
つまり、
図4に示す構成例では、送電装置10の電極11,12と受電装置20の電極21,22は、近傍界であるλ/2πよりも短い距離d2だけ隔てて配置されているので、電極11,12から放射される電界成分が支配的である領域に電極21,22が配置される。また、電極11,12の間に形成されるキャパシタおよびインダクタ13,14による共振周波数と、電極21,22の間に形成されるキャパシタおよびインダクタ23,24による共振周波数とは略等しくなるように設定されている。このように、送電装置10の電極11,12と受電装置20の電極21,22は、電界共振結合されていることから、送電装置10の電極11,12から受電装置20の電極21,22に対して電界によって交流電力が効率よく伝送される。
【0049】
以上の例は、送電カプラと、受電カプラが対向して配置される場合の例であるが、
図7に示すように、送電カプラを構成する電極11,12と、受電カプラを構成する電極21,22が導電板500を挟んで配置されるとともに、所定の距離だけ離間して配置される場合にも、送電カプラから受電カプラに電力を送電することができることが実験によって分かっている。この場合には、送電カプラが導電板500に対して交番電界を励起し、励起された交番電界が導電板を伝播して受電カプラに交流電流を発生させる。実験によると、受電カプラが導電板500から20cm以内の位置に配置される場合、送電装置100から受電装置300に給電される効率は20%程度を達成することができるので、例えば、送電装置100が50Wの出力である場合、受電装置300は10Wの電力を受電することができる。複数の受電カプラがある場合には、それらの受電カプラで受電する電力を分けあうことになる。車両を導電板とする場合は、受信カプラと導電板の距離を20cm以下、特に望ましくは5cmにすると、電界の発散が抑制される。また、送電カプラと導電板の距離を20cm以下、特に望ましくは5cmにしても、電界の発散が抑制される。なお、
図7では省略しているが、極板11,12と電力増幅部120の間にはインダクタが接続されている。
【0050】
図8は、
図7の等価回路を示している。
図9の例では、なお、
図8において、
図5と対応する部分には同一の符号を付している。
図8に示すように、本発明の実施形態では、送信カプラが有する電極4e,4fによって、破線で示す車体に交番電界が励起される。このような交番電界は、車体を伝送され、電極4g,4hによって受電される。電極4g,4hによって受電された電力は、負荷27に供給される。なお、破線で示す筐体は、インダクタを介して接地されている。なお、接地はインダクタではなく、キャパシタでもよい。
【0051】
図9は、
図2に示す交番電界励起部140と、
図3に示す受電カプラ310の構成例を示す図である。
図9(A)の左側に示すように、交番電界励起部140は、送電装置100の筐体101の底面に2つの電極141,142が配置されて構成される。
図9(A)の右側に示すように、受電カプラ310は、受電装置300の筐体301の底面に2つの電極311,212が配置されて構成される。
【0052】
また、
図9(B)に模式的に示すように、送電装置100の筐体101は、電極141,142が車体B側を向くように配置される。また、受電装置300の筐体301は、電極311,312が車体B側を向くように配置される。このように配置された場合であっても、
図7と同様に、送電装置100から受電装置300に対して電力を伝送することができる。
【0053】
なお、車両Vの車体Bには、複数の導体部材が相互に接続されていない部分も存在する。
図10は、相互に接続されていない導体板501〜503が存在する場合に、導体板501の裏面に対向するように電極11,12を配置し、導体板502の表(おもて)面に対向するように電極21A,22Aを配置し、導体板503の表面に対向するように電極21B,22Bを配置した状態を示す。このような状態において、電極11,12によって導体板501に交番電界を励起するとき、導体板502上に設けられた電極21A,21Bには交流電力が生じ、導体板503上に設けられた電極21A,21Bにも交流電力が生じることが確認された。
【0054】
このため、車体Bを構成する複数の導電部材が相互に電気的に接続されていない場合であっても、相互に電気的に接続されていない導電部材を用いて電力を供給することができる。
【0055】
(B)本発明の実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の実施形態の動作について説明する。車両Vの電源がオンの状態にされると、電源130から電力増幅部120への電力の供給が開始される。
【0056】
この結果、電力増幅部120は、発振部110から供給される正弦波の電力を増幅して交番電界励起部140に供給する。交番電界励起部140は、車両Vの車体Bに対して交番電界を励起する。なお、車体Bは通常、車両に設置されたホイールやタイヤ等を介して接地された状態となっている。
【0057】
送電装置100によって車体Bに励起された交番電界は、
図7または
図10と同様の原理によって、車体Bの各部に伝送される。この結果、受電カプラ310の電極312,313には交流電力が励起される。
【0058】
電極312,313に励起された交流電力は、整流部320によって整流された後、蓄電部330に蓄電される。安定化電源340は、蓄電部330に蓄電された直流電力を、昇圧または降圧して負荷350に供給する。これにより、負荷350が動作可能な状態になる。
【0059】
以上の動作によって、送電装置100によって車体Bに交番電界を励起することで、車体Bの各部に設けられている受電装置300−1〜300−3に電力を供給することができる。
【0060】
以上に説明したように、本発明の実施形態では、
図2および
図9に示すように、送電装置100が有する交番電界励起部140を車体Bに近接するように配置することで、車体Bに交番電界を励起させる。そして、
図2および
図9に示すように、受電装置300−1〜300−2が有する受電カプラ310を車体Bに近接するように配置することで、車体Bから電力の供給を受けることができる。
【0061】
ここで、車両Vは通常、雷対策や電子機器のグランドを車体から取るため等の理由により、導電体で構成された車体Bで略全体が覆われている。車体Bから受電カプラ310へ電力を
図4,5等に示す電界を用いた給電方式とする場合、電界は磁界と異なり発散場の性質を有するが、車体Bがグランドシールドの役割を果たし外部からの電磁波の影響、および損失を低減することができる。
【0062】
また、近年の車両では、非常に多くのワイヤハーネスを使用しているため、車両の組み立て時にワイヤハーネスを車両に敷設する作業には多くの時間と労力を要する。また、ワイヤハーネス自体のコストも大きなものとなる。
【0063】
しかしながら、本発明の実施形態では、ワイヤハーネスを使用しないで電源電力の供給が可能となることから、車両の製造コストを低減することができる。また、ワイヤハーネスの重量を軽減することで、車体の重量を低減することも可能になる。
【0064】
さらに、車両Vに対して電力を必要とする装置を付加する場合、当該装置に給電する受電カプラを配置すればよいので、新たに車両V内にワイヤハーネスを配索することなく、かつ給電位置を当該ワイヤハーネスの配索位置に限定されずに付加することができる。また、新たに車体に穴などを開ける必要がない。このとき、車体Bが導電体の役割を果たすため、
図7および
図10に示すように送受電装置間の距離を容易に延伸することができる。
【0065】
特に、近年の車両では、安全性能を向上するために多数のセンサが車両の複数の箇所に配置されている。これらのセンサに対しては、電力を給電する必要があるが、本実施形態によれば、ワイヤハーネスを使用しないで給電が可能になることから、前述したような効果を期待することができる。
【0066】
(C)変形実施形態の説明
以上の各実施形態は一例であって、本発明が上述した場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。
【0067】
例えば、
図1に示す実施形態では、受電装置300−1〜300−3については、車両Vの内部に配置するようにしたが、例えば、
図11に示すように、車両Vの外部に配置するようにしてもよい。すなわち、
図11の例では、送電装置100は車両Vの内部に配置されているが、受電装置300は駐車場の縁石等の障害物610に配置されている。受電装置300は、車両Vの車体Bから受電した電力をパーキングセンサ600に給電する構成とされている。
図11に示す変形実施形態では、車両Vが後退して障害物610に接近すると、車体Bと受電装置300の距離が接近する。この結果、送電装置100によって車体Bに励起された交番電界が受電装置300の受電カプラ310によって受電され、整流部320で整流され、蓄電部330に蓄電された後、安定化電源340で所定の電圧に変換され、負荷350であるパーキングセンサ600に給電される。パーキングセンサ600は、電源電力の供給を受けると、例えば、内蔵される超音波センサによって車両Vの接近を検出する、または、受電装置300に所定以上の電力が供給される場合に、音または光によって、車両Vの運転者に対して、障害物610と車両Vとが接近しすぎたことを警告する。
【0068】
図11に示す変形実施形態によれば、給電設備(例えば、商用電源)が付近に存在しない場合であっても、パーキングセンサ600に対して電力を給電することができる。
【0069】
図12は、他の変形実施形態を示している。
図12の例では、空気センサ&送信部700がタイヤ810の内部に配置されている。空気センサ&送信部700は、非常に小型に構成され、また、タイヤ810の圧力にも耐え得る構成とされている。このような空気センサ&送信部700は、送電装置100から電力の供給を受け、タイヤ810の圧力をセンサによって検出し、例えば、電波等によって検出結果を送信する。
【0070】
図13は、
図12に示す空気センサ&送信部700の構成例を示している。なお、
図13において、
図3と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図13では、
図3と比較すると、負荷350が除外され、制御部710、センサ720、および、送信部730が新たに追加されている。
【0071】
ここで、制御部710は、安定化電源340から電源電力の供給を受けて動作し、センサ720によって検出されたタイヤ810の内圧を検出し、送信部730に供給する。
【0072】
センサ720は、圧力センサによって構成され、タイヤ810の内圧を検出して制御部710に検出結果を通知する。
【0073】
送信部730は、制御部710から供給されるタイヤ810の内圧を示す情報によって、搬送波を変調して、図示しない上位の装置に対して、タイヤ810の内圧を示す情報を送信する。
【0074】
図12および
図13に示す変形実施形態では、タイヤ810の内部に空気センサ&送信部700を配置するようにした。タイヤ810は、車体Bと電気的に接続されたホイールに隣接しているので、空気センサ&送信部700は、ホイールに励起された交番電界から電力の供給を受けることができる。このようにして受電した電力により、タイヤ810の圧力(空気圧)を知ることができる。
【0075】
なお、
図12および
図13の例では、タイヤ810の圧力を検出するようにしたが、路面に対して電波を照射し、その反射の状況から路面の状況(降雨、降雪、結露等)を検出するようにしてもよい。
【0076】
つぎに、
図14は、受電装置300を耐水化するための構成例を示している。
図14の変形構成例では、受電装置300の受電カプラ310の上部に、水の浸入を防ぐためのパッキン910が配置され、その上に導電板920が配置される。これら、パッキン910と導電板920は相互に密着するように配置される。また、
図14では図示していないが、受電装置300、パッキン910、および、導電板920は、誘電体のフィルム部材によって全体を包むように被覆されている。
【0077】
図14に示す構成によれば、導電板920と受電カプラ310の距離を常に一定に保つことができるため、これらの間の容量成分を一定に保つことで、共振周波数を一定に保ち、安定した受電を行うことができる。また、全体を誘電体のフィルム部材で被覆することで、例えば、空気よりも誘電率が高い水が、受電カプラ310と導電板920の間に進入し、特性が変化することを防止できる。
【0078】
また、車体を構成する構造体は、耐食性を向上させたり、耐磨耗性を向上させたりするために、樹脂剤やコーティング剤などの誘電体が施されていることが多い。そこで、これらの樹脂剤やコーティング剤の誘電体を加味して、誘電体のフィルム部材で被覆することで、交番電界(変位電流)を励起できるようにすることが望ましい。
【0079】
なお、以上の実施形態では、受電カプラ310は、受電装置300の筐体の一部に設けるようにしたが、受電カプラ310を筐体とは別体として構成するようにしてもよい。このような構成によれば、例えば、カード状に構成した受電カプラ310の裏面にマジックテープ(登録商標)や両面テープあるいは接着層を配置し、車体Bの近くに貼付することで、電力の供給を受けることができる。車両V内で電力の供給を受ける場合には、従来は、シガーソケットから配線を引き回す必要があったが、本実施形態によれば、このような配線の引き回しが不要となる。
【0080】
また、以上の実施形態では、送電装置100が発生する交番電界の周波数は固定としたが、例えば、周波数を許容される範囲内で微調整するようにしてもよい。このような構成によれば、例えば、有効電力が増加するように調整することで、給電効率を高めることができる。
【0081】
また、以上の実施形態では、送電装置100を1つ備えるようにしたが、送電装置100を複数備え、これらによって発生される交番電界の位相が同期するように調整することで、複数の送電装置100から給電することもできる。
【0082】
また、以上の実施形態では、送電装置100および受電装置300は、矩形の電極を用いるようにしたが、これ以外の形状の電極を用いるようにしてもよい。
【0083】
また、以上の実施形態では、送電装置100は、2枚の電極を用いて車体Bに交番電界を励起するようにしたが、1枚の電極を用いて、他の1枚は車体Bを用いるようにしてもよい。具体的には、1枚の電極を車体Bに対向するように配置し、この電極に対して電力増幅部120の出力の一方を接続するともに、出力の他方を車体Bに対して直接または所定のインピーダンス(コイルおよびコンデンサの少なくとも一方)を介して接続するようにしてもよい。