【課題】特殊な技能が必要なく、短時間で封止作業を行うことができ、再利用可能で、かつ火気や特殊な装置を要さずOFケーブルの端部を封止してOFケーブルからの油の漏れを防止することができるOFケーブル用油封止部材、およびその封止部材を用いたOFケーブルの端部処理方法を提供すること。
【解決手段】本発明のOFケーブル用油封止部材1は、OFケーブルCの切断した端部に被せて封止して、OFケーブルの内部に存在する絶縁油が流出するのを防止するものであり、OFケーブルCの外径よりも大きい内径をもち、一端が開口した筒状体11と、筒状体11の内周面に配置され、流体の充填により膨張可能な環状の封止袋体12とを備え、流体の充填に伴う封止袋体12の膨張によって、OFケーブルCの端部の封止が可能であり、かつ、流体の排出に伴う封止袋体12の収縮によって、OFケーブルCから油封止部材1の取り外しが可能であるものである。
前記筒状体は、前記封止袋体の配設位置よりも開口端側の位置で、かつ、前記OFケーブルの外面を、周方向に異なる複数の位置で押圧固定可能な締付手段を有する、請求項1または2に記載のOFケーブル用油封止部材。
前記筒状体は、前記OFケーブルの前記端部に対向する内面に配置され、流体の充填により膨張可能な追加の封止袋体をさらに備える、請求項1、2または3に記載のOFケーブル用油封止部材。
前記筒状体は、開口端から内部に向かって延在するように配置され、前記封止材に対する流体の供給および排出を行う給排バルブを備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載のOFケーブル用油封止部材。
前記封止材は、筒状膜体であり、前記流体が、前記筒状膜体と前記筒状体の内周面とによって形成される空間に充填される、請求項1に記載のOFケーブル用油封止部材。
前記閉止フランジは、その板厚方向に貫通するように配置され、前記OFケーブルの内部から排出された絶縁油の前記筒状体からの排出を行う油排出バルブを備える、請求項6または7に記載のOFケーブル用油封止部材。
前記筒状体は、その板厚方向に貫通するように配置され、前記封止材に対する流体の供給および排出を行う給排バルブを備える、請求項1〜13のいずれか1項に記載のOFケーブル用油封止部材。
請求項1〜16のいずれか1項に記載の油封止部材を、OFケーブルの切断した端部に被せた後、前記封止材に流体を充填して前記封止材を膨張させることにより、前記OFケーブルの端部を封止することを特徴とするOFケーブルの端部処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1のOFケーブルの端部処理によれば、施工のためには鉛工の特殊な技能が必要であり、しかも、その作業には多くの時間を要し、また、施工現場で火気を扱う必要があり、その届出が煩雑である。さらに、特許文献1のOFケーブルの端部処理によれば、鉛工によってOFケーブルと一体化させるため、その封止部材の再利用ができない。
【0008】
また、特許文献2のOFケーブルの端部処理によれば、施工のために特殊な技能は必要ないが、火気を扱うためその届出が煩雑であり、また、筒状体を大きな圧力で圧縮することから、やはりその封止部材の再利用ができない。また、特許文献2のOFケーブルの端部処理によれば、圧縮のために専用の装置が必要である。さらに、特許文献2のOFケーブルの端部処理によれば、一定程度の作業時間の短縮は認められるが、より効率性を高める観点からさらなる作業時間の短縮の観点からなお改良の余地があった。加えて、特許文献1および2のOFケーブルの端部処理は、いずれもOFケーブルの切断工程に加えて、OFケーブルの最外層(防食層)を剥ぎ取って金属シース層を露出させる工程も行うことが必要であり、作業が煩雑であるという問題もある。
【0009】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、特殊な技能が必要なく、短時間で封止作業を行うことができ、再利用可能で、かつ火気や特殊な装置を要さず、OFケーブルの端部を封止してOFケーブルからの油の漏れを有効に防止することができるOFケーブル用油封止部材、油封止部材付きOFケーブルおよびその封止部材を用いたOFケーブルの端部処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上述した目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、OFケーブルの切断した端部に被せて封止して、そのOFケーブルの内部に存在する絶縁油が流出するのを防止するOFケーブル用油封止部材において、油封止部材が、OFケーブルの外径よりも大きい内径をもち、両端のうち一端が開口した筒状体と、その筒状体の内周面に配置され、流体の充填により膨張可能な環状の封止材とを備え、流体の充填に伴う封止材の膨張によって、OFケーブルの端部の封止が可能であり、かつ、流体の排出に伴う封止材の収縮によって、OFケーブルから油封止部材の取り外しが可能であることにより、特殊な技能が必要なく、短時間で封止作業を行うことができ、再利用可能で、かつ火気や特殊な装置を要さず、OFケーブルの端部を封止してOFケーブルからの油の漏れを有効に防止することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
(1)OFケーブルの切断した端部に被せて封止して、前記OFケーブルの内部に存在する絶縁油が流出するのを防止するOFケーブル用油封止部材であって、
前記油封止部材が、
前記OFケーブルの外径よりも大きい内径をもち、両端のうち少なくとも一端が開口した筒状体と、
前記筒状体の内周面に配置され、流体の充填により膨張可能な環状の封止材と
を備え、
流体の充填に伴う前記封止材の膨張によって、前記OFケーブルの端部の封止が可能であり、かつ、流体の排出に伴う前記封止材の収縮によって、前記OFケーブルから前記油封止部材の取り外しが可能であることを特徴とするOFケーブル用油封止部材。
(2)前記封止材は、封止袋体である、上記(1)に記載のOFケーブル用油封止部材。
(3)前記筒状体は、前記封止袋体の配設位置よりも開口端側の位置で、かつ、前記OFケーブルの外面を、周方向に異なる複数の位置で押圧固定可能な締付手段を有する、上記(1)または(2)に記載のOFケーブル用油封止部材。
(4)前記筒状体は、前記OFケーブルの前記端部に対向する内面に配置され、流体の充填により膨張可能な追加の封止袋体をさらに備える、請求項1、2または3に記載のOFケーブル用油封止部材。
(5)前記筒状体は、前記封止袋体が膨張した形状に対応した内面形状を有する、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のOFケーブル用油封止部材。
(6)前記筒状体は、開口端から内部に向かって延在するように配置され、前記封止材に対する流体の供給および排出を行う給排バルブを備える、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のOFケーブル用油封止部材。
(7)前記封止材は、筒状膜体であり、前記流体が、前記筒状膜体と前記筒状体の内周面とによって形成される空間に充填される、上記(1)に記載のOFケーブル用油封止部材。
(8)前記筒状体は、
両端が開口し、かつ2つの開口端から前記筒状体の外周に沿って、外方に向けて延在する延在部を有する両端開口筒状体と、
前記両端開口筒状体の一方の開口端を閉止し、かつ前記両端開口筒状体の前記延在部とともに前記筒状膜体の一端を挟持する閉止フランジと、
前記両端開口筒状体の他方の前記延在部とともに前記筒状膜体の他端を挟持する側面フランジと、により構成される、上記(7)に記載のOFケーブル用油封止部材。
(9)前記側面フランジは、円環板状であり、内穴側に前記OFケーブルの滑り止め機構を有する、上記(8)に記載のOFケーブル用油封止部材。
(10)前記閉止フランジは、その板厚方向に貫通するように配置され、前記OFケーブルの内部から排出された絶縁油の前記筒状体からの排出を行う油排出バルブを備える、上記(8)または(9)に記載のOFケーブル用油封止部材。
(11)前記流体は、加圧状態で充填される、上記(7)〜(10)のいずれかに記載のOFケーブル用油封止部材。
(12)前記筒状膜体は、弾性部材からなる、上記(7)〜(11)のいずれかに記載のOFケーブル用油封止部材。
(13)前記筒状膜体は、両端部の厚さが中間部の厚さよりも厚い、上記(7)〜(12)のいずれかに記載のOFケーブル用油封止部材。
(14)前記筒状体は、その板厚方向に貫通するように配置され、前記封止材に対する流体の供給および排出を行う給排バルブを備える、上記(1)〜(13)のいずれかに記載のOFケーブル用油封止部材。
(15)前記筒状体は、外面に凹部を有し、前記給排バルブが前記凹部内に収容される、上記(14)に記載のOFケーブル用油封止部材。
(16)前記筒状体は、外面に取手を有する、上記(1)〜(15)のいずれかに記載のOFケーブル用油封止部材。
(17)上記(1)〜(16)のいずれかに記載の油封止部材を端部に被せて封止してなる、油封止部材付きOFケーブル。
(18)上記(1)〜(16)のいずれかに記載の油封止部材を、OFケーブルの切断した端部に被せた後、前記封止材に流体を充填して前記封止材を膨張させることにより、前記OFケーブルの端部を封止することを特徴とするOFケーブルの端部処理方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、特殊な技能が必要なく、短時間で封止作業を行うことができ、再利用可能で、かつ火気や特殊な装置を要さずOFケーブルの端部を封止してOFケーブルからの油の漏れを防止することができるOFケーブル用油封止部材、およびその封止部材を用いたOFケーブルの端部処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に従うOFケーブル用油封止部材の種々の実施形態について、図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態だけには限定されない。
【0015】
<OFケーブル用油封止部材>
本発明に従うOFケーブル用封止部材は、OFケーブルの切断した端部に被せて封止して、OFケーブルの内部に存在する絶縁油が流出するのを防止するOFケーブル用油封止部材であって、油封止部材が、OFケーブルの外径よりも大きい内径をもち、両端のうち少なくとも一端が開口した筒状体と、筒状体の内周面に配置され、流体の充填により膨張可能な環状の封止材とを備え、流体の充填に伴う封止材の膨張によって、OFケーブルの端部の封止が可能であり、かつ、流体の排出に伴う封止材の収縮によって、OFケーブルから油封止部材の取り外しが可能であることを特徴とする。
【0016】
まず、封止材として、封止袋体を用いる第1〜第6の実施形態について説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1(a)および(b)は、第1の実施形態に従うOFケーブル用油封止部材であって、(a)が封止袋体を収縮させた状態、(b)が封止袋体を膨張させた状態で示したものである。なお、これらの図においては、OFケーブル用油封止部材を用いて封止する対象であるOFケーブルCを示しているが、OFケーブルCは、本発明に係るOFケーブル用油封止部材を構成するものではない。
【0018】
第1の実施形態に従うOFケーブル用油封止部材1は、OFケーブルの切断した端部に被せて封止して、OFケーブルCの内部に存在する絶縁油が流出するのを防止するために用いられるものであって、主に筒状体11と封止袋体12とで構成されている。
【0019】
[筒状体]
筒状体11は、OFケーブルCの外径よりも大きい内径をもち、一端が開口し(開口端111)、他端が閉口した(閉口端112)形状を備えるものである。この筒状体11は、OFケーブルCの端部を挿入して収容し、OFケーブルCを切断して開口した端部を閉じるための蓋材(キャップ)としての役割を有している。また、筒状体11には、油抜部(不図示;一例としては、後述する第7の実施形態に従うOFケーブル用封止部材の油排出バルブ24が挙げられる。)が設けられてもよい。例えば、油抜部は、封止袋体12の配設位置よりも閉口端112側の位置で、筒状体11の板厚方向に貫通するように配置され、外側にバルブやキャップ(ネジ式などの耐圧性があるもの)などを設け、栓をすることが可能になっている。油抜部は、通常は閉じられているが、開放することで、油封止部材1をOFケーブルCに装着した状態で、OFケーブルCから流出した絶縁油を筒状体11の外部に適宜排出することができる。
【0020】
筒状体11の素材としては、OFケーブルC内に存在する絶縁油が、OFケーブルCの端部から漏れだす(吹き出す)際の圧力に耐えるとともに、OFケーブルCの重量などにより破壊されないような強度を有していればよく、特に限定はされず、例えば鉄、銅、アルミニウム、チタンなどの金属もしくはこれらの合金、または繊維強化プラスチック(FRP)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの強化プラスチック類などを用いることができる。
【0021】
筒状体11の形状としては、一端が開口していること以外、特に限定されず、例えば円筒状、楕円筒状、多角筒状(三角筒状、四角筒状など)などが挙げられるが、OFケーブルCの断面が通常円形を有しているので、OFケーブルCの形状と適合させるとともに、外部からの力が、OFケーブルCの外面に対して特定の箇所にだけ作用するのを抑制し、均一に作用するように構成するため、円筒状とすることが好ましい。
【0022】
筒状体11が円筒である場合、筒状体11の内径としては、OFケーブルCの外径よりも大きく、筒状体の内部に、OFケーブルCの端部が挿入できさえすればよく、その他の構成については限定されないが、例えば、8〜20cm(φ80〜200mm)であることが好ましい。筒状体11の内径が8〜20cmの範囲から選択すれば、ほぼ全てのOFケーブルに使用できる。
【0023】
一つのOFケーブル用油封止部材で、全てのOFケーブル径に対応できればよいが、技術的に困難かつ運用上非効率となる場合には、例えばφ60mm〜φ90mm用、φ90mm〜φ120mm用、φ120mm〜φ150mm用のように、対応できる径により3つのバリエーションの製品を作ればよい。そして、各バリエーションのOFケーブル用油封止部材において、側面フランジに空いた穴径をカメラのシャッターのように調節できる機構とすることにより、ユーザが使用する際に最適な径に設定することができる。具体的に、例えばφ60mm〜φ90mmのケーブルに適用するキャップを用いる場合には、側面フランジに空いた穴は最大でφ100mmとし、φ70mmまで径を縮小できるような構造などが挙げられる。
【0024】
[封止袋体]
封止袋体12は、筒状体11の内周面に配置され、流体の充填により膨張可能であり、かつ、流体の排出に伴う収縮によって、OFケーブルCから油封止部材1の取り外しが可能な環状形状を有している。
【0025】
そして、本実施形態のOFケーブル用油封止部材1は、流体の充填に伴う封止袋体12の膨張によって、OFケーブルCの端部の封止が可能であり、かつ、流体の排出に伴う封止袋体12の収縮によって、OFケーブルCから油封止部材1の取り外しが可能であることを特徴とするものである。
【0026】
このようなOFケーブル用油封止部材1によれば、封止袋体12によってOFケーブルCからの絶縁油の漏れが抑制される。封止袋体12は外部から流体を導入充填して膨張させるのみでOFケーブル用油封止部材1からの絶縁油の漏れを防止することができる。したがって、このようなOFケーブル用油封止部材1では、特殊な技能が必要なく、短時間で作業でき、かつ火気や特殊な装置を要することがない。
【0027】
なおここで、「流体」とは、液体または気体を意味する。液体としては、特に限定されないが、例えば水などであってよく、例えばOFケーブルCの撤去の際にこのOFケーブル用油封止部材1を用いる場合には、撤去現場周辺の河川の水や海水などをろ過して用いてもよい。また、気体としては、特に限定されないが、例えば空気や窒素などを用いることができる。
【0028】
封止袋体12は、このような流体をその内部に充填することにより膨張する。そして、膨張した封止袋体12は、OFケーブルCと筒状体11の内径との隙間を塞ぐとともに、ケーブルCの外面に対して密着して一体化されるように膨張し(
図1(a)から、
図1(b)のように変化)、この膨張によってOFケーブルCから絶縁油が漏れることを防止でき、また、OFケーブルCの端部に対して筒状体11を固定して一体化することによって、OFケーブル用油封止部材1が、OFケーブルCの端部から分離することを防止することができる。
【0029】
一方で、封止袋体12は、その内部から流体を排出することにより収縮する。そしてこの収縮(
図1(b)から、
図1(a)のように変化)により、OFケーブルCと油封止部材1との間に隙間ができるため、OFケーブルCに一体化されていた油封止部材1を、OFケーブルCから分離して取り外すことが可能となる。
【0030】
封止袋体12の素材としては、気体の充填により膨張可能なものであれば特に限定されず、例えばゴム部材などが挙げられる。
【0031】
封止袋体12の形状としては、筒状体の内周全体にわたって連続して延在するような環状をなす形状であること以外、特に限定されず、例えば円環状、楕円環状、多角環状(三角環状、四角環状など)などが挙げられるが、OFケーブルCの断面が通常円形を有しているので、OFケーブルCの外面形状と適合させるとともに、膨張によってこの封止袋体12に印加される力が、OFケーブルCの外面の特定の箇所に部分的に作用するのではなく、全周にわたって均一に作用するように構成するため、円環状とすることが好ましい。
【0032】
封止袋体12が円環状または円筒状である場合、封止袋体12の内径(円環の中央の空孔部分)としては、特に限定されないが、封止袋体12が膨張した場合においてOFケーブルCの外径より小さいことが好ましい。封止袋体12が膨張した場合においてOFケーブルCの外径より小さいことにより、封止袋体12からOFケーブルCに圧力を印加することができ、両者間の密着性を高め、OFケーブルCから絶縁油の漏れをより確実に抑制することができ、また、OFケーブル用油封止部材1が、OFケーブルCの端部から分離することをより確実に防止することができる。具体的に、封止袋体12における膨張した際の内径が、挿入するOFケーブルCの外径との差が、1〜3cmであることが好ましく、1〜4cmであることがより好ましく、1〜7cmであることがさらに好ましい。
【0033】
また、封止袋体12の外径(平面視円環の外周部分)としては、特に限定されないが、封止袋体12が膨張した場合において筒状体11の内径より大きいことが好ましい。封止袋体12が膨張した場合において筒状体11の内径より大きいことにより、封止袋体12からOFケーブルCに圧力を印加することができ、両者間の密着性を高め、OFケーブルCから絶縁油の漏れをより確実に抑制することができ、また、OFケーブル用油封止部材1が、OFケーブルCの端部から分離することをより確実に防止することができる。具体的に、封止袋体12における膨張した際の外径が、筒状体11の内径との差が、1〜3cmであることが好ましく、1〜4cmであることがより好ましく、1〜7cmであることがさらに好ましい。
【0034】
なお、このような封止袋体12においては、例えば給排バルブ13(詳細は後述する。)などを設けることにより、例えば一般的なガス圧縮機または送水ポンプによって、気体や液体等の流体の供給により膨張させることができる。すなわち、封止袋体12を採用したとしても、特殊な器具を必要としない。
【0035】
[給排バルブ13]
筒状体11は、給排バルブ13を備える。この給排バルブ13は、筒状体11の板厚方向に貫通するように配置され、後述する封止袋体12に対する流体の供給および排出を行うものである。なお、給排バルブ13は、封止袋体接続口131において、封止袋体12と流体を供給および排出可能な状態で接続されている。また、給排バルブ13は、封止袋体接続口131と他端に、筒状体11外部に露出した外部給排口132を備える。この外部給排口132は、例えばガス圧縮機などに接続して外部から流体を封止袋体12に送り、封止袋体12を膨張させることができる。
【0036】
上述したとおり、封止袋体12が膨張してOFケーブルCの外面と筒状体11の内面との間に隙間を塞ぐことによって、OFケーブルCからの絶縁油の漏れを防止することができる。そして、この封止袋体12を膨張させる手段として、給排バルブ13を備えることにより、封止袋体12の膨張をより簡易に行うことができる。
【0037】
なお、給排バルブ13は、通常の気体および液体を密閉し、必要に応じて排出可能な弁であってよい。
【0038】
以上のようなOFケーブル用油封止部材1によれば、例えば、OFケーブルCの端部に、OFケーブル用油封止部材1を被せ、次いで給排バルブ13からポンプなどを用いて流体を封止袋体12に充填する等の操作のみで絶縁油が漏れないようにOFケーブルCを封止することができる。このように、OFケーブル用油封止部材1を用いることで、特殊な技能が必要なく、短時間で作業でき、かつ火気や特殊な装置を要さずにOFケーブルの端部を封止することができる。また、以上のようなOFケーブル用油封止部材1を用いる場合、そのOFケーブル用油封止部材1を不可逆的に変形させたり、付着したりすることはない。しかも、封止袋体12を流体の排出に伴い収縮させることによって、筒状体11を損傷させずに、OFケーブルCからOFケーブル用油封止部材1を簡単に取り外すことができるため、OFケーブル用油封止部材1は、複数回にわたって再利用可能である。
【0039】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に従うOFケーブル用油封止部材について、封止袋体を膨張させた状態で示したものである。なお、以下、第1の実施形態のOFケーブル用油封止部材と重複する部分については、説明や符号の一部を省略する。また、
図2において、各部の符号は、いずれも数字に「A」または「a」を付しているが、
図1および
図2において同じ数字を付していれば、同じ部位を示しているものとする。
【0040】
図2に示すOFケーブル用封止部材1Aにおいて、筒状体11aは、締付手段14を備える。締付手段14は、筒状体11aにおける、封止袋体12aの配設位置よりも開口端111a側の位置で、かつ、OFケーブルCの外面を、周方向に等間隔で、異なる複数カ所に設けることが好ましい。具体的には、2カ所の等間隔(180°間隔)であることが好ましく、3カ所以上の位置であることがより好ましい。
図2では、ケーブルCの外周上に対応する、4カ所の等間隔(90°間隔)位置や3カ所の等間隔(120°間隔)の位置で押圧固定可能な手段であり、例えばボルトやネジが挙げられる。
【0041】
上述したとおり、封止袋体12aの膨張により、OFケーブル用油封止部材1Aが、OFケーブルCの端部から分離することをより確実に防止することができる。しかしながら、OFケーブル用油封止部材1Aの分離をより確実に防止するため、OFケーブル用油封止部材1Aは、締付手段14を備えることが好ましい。これにより、OFケーブル用油封止部材1aおよびOFケーブルCが一体化して固定され、OFケーブル用油封止部材1Aが、OFケーブルCの端部から分離することをより確実に防止することができる。
【0042】
なお、このような締付手段14は、例えばプラスドライバーやマイナスドライバー、六角レンチなど一般的な締付器具により固定可能なものを採用し得る。すなわち、締付手段14を採用したとしても、特殊な器具を必要としない。
【0043】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態に従うOFケーブル用油封止部材OFケーブル用油封止部材について、封止袋体を膨張させた状態で示したものである。なお、以下、第1の実施形態のOFケーブル用油封止部材と重複する部分については、説明や符号の一部を省略する。また、
図3において、各部の符号はいずれも数字に「B」又は「b」を付しているが、
図1および
図3において同じ数字を付していれば、同じ部位を示しているものとする。
【0044】
図3に示されるOFケーブル用油封止部材1Bでは、筒状体11bが、外面に凹部113を有し、給排バルブ13bが凹部113内に収容される。給排バルブ13bが筒状体11bの外表面から突出しているとOFケーブルCの移送などの際に、給排バルブ13bが異物に引っ掛かり、OFケーブル用油封止部材1Bが、OFケーブルCの端部から分離する可能性もあるが、このように給排バルブ13bを凹部113内に収容することにより、給排バルブ13bが筒状体11bの外表面から突出しなくなり、異物が給排バルブ13bに引っ掛かる可能性が減り、その結果として、OFケーブル用油封止部材1Bが、OFケーブルCの端部から分離することをより確実に防止することができる。
【0045】
(第4の実施形態)
図4は、本発明の第4の実施形態に従うOFケーブル用油封止部材について、封止袋体を膨張させた状態で示したものである。なお、以下、第1の実施形態のOFケーブル用油封止部材と重複する部分については、説明や符号の一部を省略する。なお、
図4において、各部の符号はいずれも数字に「C」または「c」を付しているが、
図1および
図4において同じ数字を付していれば、同じ部位を示しているものとする。また、
図4においては、便宜上、締付手段を省略した。
【0046】
図4に示されるOFケーブル用油封止部材1Cでは、筒状体11cが、開口端111cから筒状体11cの内部に向かって延在するように配置され、封止袋体12cに対する流体の供給および排出を行う給排バルブ13cを備える。
【0047】
この第4の態様のOFケーブル用油封止部材1Cも、上述した第3の態様のOFケーブル用油封止部材1Bと同様に、給排バルブ13cが異物に引っ掛かり、その結果として、OFケーブル用油封止部材1CからのOFケーブルCの抜け落ちを防止することを意図したものである。すなわち、給排バルブ13cを開口端111cから筒状体11cの内部に向かって延在するように配置することにより、給排バルブ13cは筒状体11cの内壁と略同方向に、しかもその内部に延在することとなるから、筒状体11cの外表面に給排バルブ13cが露出しない構成とすることができる。そしてこれにより、給排バルブ13cが異物に引っ掛かる可能性が減り、その結果として、OFケーブル用油封止部材1Cが、OFケーブルCの端部から分離することをより確実に防止することができる。
【0048】
(第5の実施形態)
図5は、本発明の第5の実施形態に従うOFケーブル用油封止部材について、封止袋体を膨張させた状態で示したものである。なお、以下、第1の実施形態のOFケーブル用油封止部材と重複する部分については、説明や符号の一部を省略する。なお、
図5において、各部の符号はいずれも数字に「D」または「d」を付しているが、
図1および
図5において同じ数字を付していれば、同じ部位を示しているものとする。
【0049】
図5に示されるOFケーブル用油封止部材1Dでは、筒状体11dは、封止袋体12dが膨張した形状に対応した内面形状を有する内面部分114を有する。
【0050】
具体的に、封止袋体12dは、流体の充填により膨張した場合において、筒状体11dの内径よりも大きい径を有している。このような場合、筒状体11dの内面部分114を膨張した形状に対応させた内面形状、すなわち、封止袋体12dに対応させて、筒状体11dの内壁(内面部分114)に凹部を設けておく。この内面部分114を設けると、封止袋体12dが膨張した場合に、封止袋体12dの外面部分が、凹部114に充填され、その結果として、OFケーブル用油封止部材1Dが、OFケーブルCの端部から分離することをより確実に防止することができる。
【0051】
(第6の実施形態)
図6は、本発明の第6の実施形態に従うOFケーブル用油封止部材について、封止袋体を膨張させた状態で示したものである。なお、以下、第1の実施形態のOFケーブル用油封止部材と重複する部分については、説明や符号の一部を省略する。なお、
図6において、各部の符号はいずれも数字に「E」を付しているが、
図1および
図6において同じ数字を付していれば、同じ部位を示しているものとする。
【0052】
図6に示されるOFケーブル用油封止部材1Eでは、OFケーブルCの端部C
Eに対向する内面に配置され、流体の充填により膨張可能な追加の封止袋体15を備える。
【0053】
このようなOFケーブル用油封止部材1Eでは、封止袋体12eに加えて、追加の封止袋体15が上述した面に配置されている。この追加の封止袋体15の配設により、OFケーブルCの端部C
Eに対して、追加の封止袋体15が接触して、端部の一部または全面を封止することが可能であり、これによって、絶縁油の流出をより一層抑制することができる。追加の封止袋体15は、給排バルブ16を通じて流体が充填され、膨張して生じた圧力を、OFケーブルCの端部C
Eに向けて印加することができる。
【0054】
また、OFケーブル用油封止部材1Eでは、4本の締付手段14eが設けられている場合を示している。封止袋体12eの膨張により、封止袋体15の膨張によるOFケーブルCのOFケーブル用油封止部材1Eからの押し出しは十分に防止されているが、締付手段14eを設けることにより、このようなOFケーブルCの押し出しをより確実に防止することができる。
【0055】
次に、封止材として、封止膜体を用いる第7の実施形態について説明する。
【0056】
(第7の実施形態)
図7(a)および(b)は、第7の実施形態に従うOFケーブル用油封止部材であって、(a)が封止膜体を収縮させた状態、(b)が封止膜体を膨張させた状態で示したものである。なお、これらの図においては、OFケーブル用油封止部材を用いて封止する対象であるOFケーブルC
Hを示しているが、OFケーブルC
Hは、本発明に係るOFケーブル用油封止部材を構成するものではない。また、
図7においては、
図1〜
図6と異なり、表面が螺旋形状のOFケーブルを示しているが、いずれの実施形態のOFケーブル用油封止部材も、封止する対象であるOFケーブルの表面形状は限定されない。
【0057】
第7の実施形態に従うOFケーブル用油封止部材1Fは、OFケーブルの切断した端部に被せて封止して、OFケーブルC
Hの内部に存在する絶縁油が流出するのを防止するために用いられるものである。そして、このようなOFケーブル用油封止部材1Fにおいて、封止材は、筒状膜体17であり、流体が、この筒状膜体17と、筒状体11f(両端開口筒状体19)の内周面とによって形成される空間18に充填される。
【0058】
[筒状体]
筒状体11fは、主として、両端開口筒状体19と、閉止フランジ20と、側面フランジ21とから構成され、OFケーブルC
Hの外径よりも大きい内径をもつものである。
【0059】
両端開口筒状体19は、両端が開口し、かつ2つの開口端191,192からこの両端開口筒状体19の外周に沿って、外方に向けて延在する延在部193,194を有する。
【0060】
筒状体11f(すなわち、両端開口筒状体19、閉止フランジ20および側面フランジ21)の素材としては、OFケーブルC
H内に存在する絶縁油が、OFケーブルC
Hの端部から漏れだす(吹き出す)際の圧力に耐えるとともに、OFケーブルC
Hの重量などにより破壊されないような強度を有していればよく、特に限定はされず、例えば鉄、銅、アルミニウム、チタンなどの金属もしくはこれらの合金、または繊維強化プラスチック(FRP)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの強化プラスチック類などを用いることができる。
【0061】
両端開口筒状体19の形状は、
図7においては円筒状の例を示しているが、両端開口筒状体19の形状は、円筒状には特に限定されず、例えば円筒状、楕円筒状、多角筒状(三角筒状、四角筒状など)などが挙げられるが、OFケーブルC
Hの断面が通常円形を有しているので、OFケーブルC
Hの形状と適合させるとともに、外部からの力が、OFケーブルC
Hの外面に対して特定の箇所にだけ作用するのを抑制し、均一に作用するように構成するため、円筒状とすることが好ましい。
【0062】
両端開口筒状体19が円筒である場合、両端開口筒状体19の内径としては、OFケーブルC
Hの外径よりも大きく、筒状体の内部に、OFケーブルC
Hの端部が挿入できさえすればよく、その他の構成については限定されないが、例えば、8〜20cm(φ80〜200mm)であることが好ましい。筒状体11の内径が8〜20cmの範囲から選択すれば、ほぼ全てのOFケーブルに使用できる。
【0063】
一つのOFケーブル用油封止部材で、全ての種類のOFケーブルの径に対応できればよいが、技術的に困難かつ運用上非効率となる場合には、例えばφ60mm〜φ90mm用、φ90mm〜φ120mm用、φ120mm〜φ150mm用のように、対応できる径により3つのバリエーションの製品を作ればよい。そして、各バリエーションのOFケーブル用油封止部材において、側面フランジに空いた穴径をカメラのシャッターのように調節できる機構とすることにより、ユーザが使用する際に最適な径に設定することができる。具体的に、例えばφ60mm〜φ90mmのケーブルに適用するキャップを用いる場合には、側面フランジに空いた穴は最大でφ100mmとし、φ70mmまで径を縮小できるような構造などが挙げられる。
【0064】
筒状体11f(特に、両端開口筒状体19)は、その板厚方向に貫通するように配置され、封止材に対する流体の供給および排出を行う給排バルブ195を備える。なお、給排バルブ195は、
図7に示すように両端開口筒状体19と一体で設けられているものに限定されず、両端開口筒状体19と他の部品との組合せによって構成することもできる。このようにして給排バルブ195を設けることにより、可逆的に封止材の膨張収縮を繰り返すことができ、OFケーブル用油封止部材1Fを、繰り返し利用できるものとなる。
【0065】
閉止フランジ20は、両端開口筒状体19の一方の開口端192を閉止し、両端開口筒状体19の延在部193とともに筒状膜体の一端171を挟持するものである。
【0066】
閉止フランジ20の形状、大きさおよび厚さは、両端開口筒状体19の一方の開口端192を閉止し、両端開口筒状体19の延在部193とともに筒状膜体の一端171を挟持することが可能なものであれば特に限定されないが、例えば板状であることが好ましい。なお、筒状膜体17の一端171の挟持は、両端開口筒状体19の開口端192の周全体にわたってなされていることが好ましい。また、筒状膜体17の一端171の挟持は、ボルト22によって固定される。
【0067】
ところで、OFケーブルC
Hから排出された絶縁油が、筒状体11fの内部の特にOFケーブルC
Hの先端近傍に溜まり、圧力によってOFケーブル用油封止部材1Fが抜けやすくなることがある。そこで、閉止フランジ22に、その板厚方向に貫通するように配置され、OFケーブルC
Hの内部から排出された絶縁油の筒状体11fからの排出を行う油排出バルブ24を備えることが好ましい。これによって、筒状体11f内から絶縁油を排出する。
【0068】
側面フランジ21は、両端開口筒状体19の他方の延在部194とともに筒状膜体17の他端172を挟持するものである。
【0069】
側面フランジ21の形状、大きさおよび厚さは、両端開口筒状体191の延在部194とともに筒状膜体17の他端172を挟持することが可能であり、また、OFケーブルC
Hを両端開口筒状体19の内部に通すことが可能であれば特に限定されないが、例えば、その中央部にOFケーブルC
Hを通すための内穴を有する、平面視環状であることが好ましく、環板状であることが好ましく、円環板状であることがより好ましい。なお、筒状膜体の一端172の挟持は、両端開口筒状体19の開口端191の周全体にわたってなされていることが好ましい。また、筒状膜体17の一端171の挟持は、ボルト23によって固定される。
【0070】
側面フランジ21が、中央部にOFケーブルC
Hを通すための内穴を有する場合、その内穴側には、OFケーブルC
Hの抜けを防止するためのOFケーブルC
Hの滑り止め機構を有することが好ましい。このように側面フランジ21が滑り止め機構(図示せず。)を有することによりOFケーブルC
Hの抜けをより確実に防止することができる。
【0071】
滑り止め機構としては、特に限定されないが、内穴側からOFケーブルC
Hに向けて鋸状の刃などを設け、OFケーブルC
Hのシースに食い込んで固定する機構が挙げられる。また、滑り止め機構として、側面フランジ21と、筒状膜体17の他端172と、両端開口筒状体19の延在部194とを固定するボルトとしてアイボルトなどを用い、そのリングに番線を通すとともに、OFケーブルC
Hに巻き付けて側面フランジ21とOFケーブルC
Hとを固定することが挙げられる。
【0072】
側面フランジ21の中央部にOFケーブルC
Hを通すための内穴を有する場合、内穴の形状は、ケーブルを通す観点から、平面視円形であることが好ましい。
【0073】
また、側面フランジ21の内穴の径d
iは、OFケーブルC
Hの径d
c(長さ方向に垂直な断面における外形のうち、最大となる部分の外径)より大きく、両端開口筒状体19の内径d
tより小さい。側面フランジ21の内穴の径d
iは、両端開口筒状体19の内径d
tから、筒状膜体17の他端172側における筒状膜体17が弛緩した状態での厚みt
mの2倍を差し引いた長さ以下とすることが好ましい。これにより、筒状膜体17を構成する筒状膜体17を押さえて、筒状膜体17がOFケーブルC
Hと側面フランジ21の内穴との隙間から外部に膨らんで突出することをより強く抑制できる。また、OFケーブルC
Hの径d
cと側面フランジ21の内穴の径d
iとの差は、筒状膜体17の他端172側における筒状膜体17が弛緩した状態での厚みt
mの2倍以下とすることがさらに好ましい。これにより、OFケーブルC
Hと側面フランジ21の内穴との隙間が筒状膜体17の厚みt
m以下となり、筒状膜体17がOFケーブルC
Hと側面フランジ21の内穴の隙間から外部へ膨らんで突出することをより確実に抑制できる。以上のようにして、筒状膜体17の外部への突出を防止することにより、筒状膜体17からの圧力をOFケーブルC
Hに印加して、OFケーブルC
Hをより強く固定することができる。なお、「径」とは、平面視円状の場合には、その直径をいい、平面視円以外の形状の場合には、外接円の径をいう。
【0074】
[筒状膜体]
筒状膜体17は、筒状体11fの内周面に配置される筒状の膜体である。筒状膜体17の筒状の高さ方向の一端171が両端開口筒状体の延在部193と閉止フランジ20との間で挟持される。また、筒状膜体17の筒状の高さ方向の他端172が両端開口筒状体の延在部194と側面フランジ21との間で挟持される。これによって、両端開口筒状体19と、筒状膜体17との間に閉じた空間18が形成される。この空間18に、給排バルブ195を通して流体が導入される。
【0075】
OFケーブル用油封止部材1Fにおいて、流体は、加圧状態で充填される。流体が加圧状態で空間18に充填されることで、OFケーブルC
Hに、封止膜体17からの圧力を印加して、OFケーブルC
Hをより強く固定することができる。なお、流体は、OFケーブルC
Hを固定できれば、気体、液体等、その状態を問わず、流動性を有する媒質を使用することができる。
【0076】
OFケーブル用油封止部材1Fにおいて、筒状膜体17は、加圧ゴムからなる。筒状膜体17として、加圧ゴムを用いることにより、OFケーブルC
Hに、封止膜体17からの圧力を印加して、OFケーブルC
Hをより強く固定することができる。なお、封止膜体17を構成する材料は、例えば加圧ゴムなど、弾性部材であり、ゴム弾性などを有しOFケーブルC
Hをより強く固定できるものであれば特に限定されない。
【0077】
OFケーブル用油封止部材1Fにおいて、筒状膜体17は、両端部(一端171,他端172)の厚さが中間部の厚さよりも厚く構成されている。このように、両端部の厚さが筒状膜体17の中間部の厚さよりも厚く構成されていることにより、挟持されている両端部およびその近傍の強度を高め、流体の印加圧により筒状膜体17がその他端172側において側面フランジ21からのはみ出しを抑制することができる。また、筒状膜体17の中間部の厚さが両端部よりも薄く構成されていることにより、OFケーブルC
Hの表面形状への追従性を高め、OFケーブル用油封止部材1FをOFケーブルC
Hにより確実に固定することができる。なお、「中間部」とは、長手方向(円筒状の高さ方向)の中間の部分をいう。
【0078】
図8は、本発明の第7の実施形態に従うOFケーブル用油封止部材の模式図であって、(a)が平面模式図、(b)が正面模式図である。OFケーブル用油封止部材1Fは、作業性を高めるべく、
図8(a)および(b)に示すように、外面に取手25を有している。なお、具体的な取手の形状や配置箇所などは、
図8に示す両端開口筒状体19の外面に設けられた取手25の形状に限定されない。また、上述した第1〜第6の実施形態に従うOFケーブル用油封止部材においても取手を設けることができる。
【0079】
以上に示す例では、筒状体が、両端開口筒状体と、閉止フランジと側面フランジとにより構成される例を示したが、流体が、筒状膜体と筒状体の内周面とによって形成される空間に充填される限りにおいて、その空間の形成の具体的な形態は特に限定されない。
【0080】
<油封止部材付きOFケーブル>
上述した実施形態の油封止部材は、OFケーブルの端部に被せて(封止袋体を膨張させることによってOFケーブルの端部を)封止して、新品の油封止部材付きOFケーブルとして使用することもできる。このような油封止部材付きOFケーブルによれば、例えば流通や保管の際において絶縁油の漏れを抑制することができる。
【0081】
<OFケーブルの端部処理方法>
本発明の一実施形態に従うOFケーブルの端部処理方法は、上述した実施形態の油封止部材を、OFケーブルの切断した端部に被せた後、封止袋体に流体を充填して封止袋体を膨張させることにより、OFケーブルの端部を封止することを特徴とするものである。
【0082】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。