特開2020-172678(P2020-172678A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2020-172678チタン又はチタン合金の酸化皮膜の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-172678(P2020-172678A)
(43)【公開日】2020年10月22日
(54)【発明の名称】チタン又はチタン合金の酸化皮膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C25D 11/26 20060101AFI20200925BHJP
   C25F 1/08 20060101ALI20200925BHJP
【FI】
   C25D11/26 302
   C25F1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-74443(P2019-74443)
(22)【出願日】2019年4月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】松田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】吉村 南美
(72)【発明者】
【氏名】永井 達夫
(57)【要約】
【課題】耐薬品性及び耐腐食性に優れ、半導体製造装置への適用に好適な孔を有しないチタン又はチタン合金表面の酸化皮膜を製造する方法を提供する。
【解決手段】電解処理装置1は、処理槽2とこの処理槽2内に設置された第一電極部材4及び第二電極部材5とを有し、これら第一電極部材4及び第二電極部材5は直流電源3のプラス極及びマイナス極にそれぞれ接続している。この電解処理装置1において、第一電極部材4は、チタン又はチタン合金製の部材であってその表面に厚い陽極酸化皮膜が形成されたものを用いる。また、第二電極部材5としては、ダイヤモンド基材とした電極や白金族金属を基材とした電極等を用いる。処理槽2に収容する電解処理の溶液としては、硫酸濃度5〜30重量%の電解硫酸Sを用いる。この電解硫酸Sの温度は20〜50℃であり、0.01〜0.1A/dmの電流密度で電流を印加する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン又はチタン合金製の部材を陽極として、酸性電解液中で0.05〜0.005A/dmの電流密度で電解処理してチタン又はチタン合金表面に酸化皮膜を形成する酸化皮膜形成工程を行う、チタン又はチタン合金の酸化皮膜の製造方法。
【請求項2】
前記酸性電解液がpH5以下である、請求項1に記載のチタン又はチタン合金の酸化皮膜の製造方法。
【請求項3】
前記酸性電解液が、濃度5〜30重量%、酸化剤濃度10g/L以上の電解硫酸液である、請求項1又は2に記載のチタン又はチタン合金の酸化皮膜の製造方法。
【請求項4】
前記酸化皮膜形成工程の前にチタン又はチタン合金製の部材を陰極として、酸性電解液中で電解処理してチタン又はチタン合金表面にあらかじめ形成されている酸化皮膜を除去する酸化皮膜除去工程を行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載のチタン又はチタン合金の酸化皮膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタン又はチタン合金表面の酸化皮膜を製造する方法に関し、特に耐薬品性及び耐腐食性に優れ、半導体製造分野への適用に好適なチタン又はチタン合金表面の酸化皮膜を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チタン及びチタン合金部材は、高い硬度と強度を備えた軽い金属であり、かつ耐食性が高く、延性に富むという優れた特性を有することから広く利用されている。さらに、チタン及びチタン合金部材に陽極酸化処理を施して陽極酸化皮膜を形成することによって、着色、耐摩耗性の向上、光触媒の機能が発現されるため、その用途が拡大されている。
【0003】
このチタン及びチタン合金部材は、表面に薄い自然酸化皮膜が形成されている。陽極酸化皮膜を形成するには酸化皮膜を一旦除去する必要があるが、チタン表面に形成される酸化皮膜は強固であるため、チタンの素地を出すために化学的手法や物理的手法などにより除去される。例えば、化学的手法であれば化学処理液を用いた化学研磨、物理的手法であれば機械研磨及び電解研磨が行われている。
【0004】
酸化皮膜を一旦除去した後、このチタン又はチタン合金への陽極酸化皮膜の形成方法としては、例えばチタン又はチタン合金を陽極として、硫酸、リン酸、過酸化水素の混合液などの電解液中で電解処理を行うことが知られている。また、フッ化水素化合物を溶解した電解硫酸液中で電解処理して100nm以下の孔を有するチタン又はチタン合金の酸化薄膜を製造する方法について提案されている(特願2017−198830号)。
【0005】
上記いずれの方法も、微細孔を有するチタン又はチタン合金の陽極酸化皮膜を形成する方法であり、この微細孔を有する陽極酸化皮膜は、微細孔の底部が最も薄く脆弱な箇所として存在するため、薬液やハロゲン系ガスに対する耐食性が弱く、腐食の原因となる。このため、半導体製造分野などの用途によっては封孔処理によって、孔を塞いだりしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、微細孔を有する陽極酸化皮膜の孔を封孔した場合には、酸化皮膜の厚さが均一でないため、場所によって強度、耐食性あるいは耐薬品性が異なってしまう。特に半導体製造分野に用いる場合には、均一な厚みの酸化皮膜を有するチタン又はチタン合金の酸化皮膜が望まれている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、耐薬品性及び耐腐食性に優れ、半導体製造分野への適用に好適な孔を有しないチタン又はチタン合金表面の酸化皮膜を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、チタン又はチタン合金製の部材を陽極として、酸性電解液中で0.05〜0.005A/dmの電流密度で電解処理してチタン又はチタン合金表面に酸化皮膜を形成する酸化皮膜形成工程を行う、チタン又はチタン合金の酸化皮膜の製造方法を提供する(発明1)。
【0009】
かかる発明(発明1)によれば、チタン又はチタン合金製の部材を陽極として微弱な電流密度により酸性電解液中で電解処理することで、チタンのイオン化による溶出は起こらずにチタンの酸化のみが進行するので、チタン又はチタン合金製の部材の表面に実質的に微細孔を有しない酸化皮膜を形成することができる。
【0010】
上記発明(発明1)においては、前記酸性電解液がpH5以下であることが好ましい(発明2)。特に上記発明(発明1,2)においては、前記酸性電解液が、濃度5〜30重量%、酸化剤濃度10g/L以上の電解硫酸液であることが好ましい(発明3)。
【0011】
かかる発明(発明2,3)によれば、pH5以下の酸性電解液、特に所定の電解硫酸液で電解処理することにより、酸化皮膜を安定的に形成することができる。
【0012】
上記発明(発明1〜3)においては、前記酸化皮膜形成工程の前にチタン又はチタン合金製の部材を陰極として、酸性電解液中で電解処理してチタン又はチタン合金表面にあらかじめ形成されている酸化皮膜を除去する酸化皮膜除去工程を行うことが好ましい(発明4)。
【0013】
かかる発明(発明4)によれば、チタン又はチタン合金製の部材の表面に酸化皮膜が形成されていると、酸化皮膜の形成が安定的に進行しないので、チタン又はチタン合金製の部材を陰極として電解処理することにより、チタン又はチタン合金製の部材の表面を還元して、チタン又はチタン合金製の部材金属の素地を露出した後、転極して電解処理を行うことにより、チタン又はチタン合金製の部材の表面に均質な酸化皮膜を形成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のチタン又はチタン合金の酸化皮膜の製造方法によれば、チタン又はチタン合金製の部材を陽極として、チタンのイオン化による溶出は起こらずにチタンの酸化のみが進行する微弱な電流密度で、酸性電解液中で電解処理することにより、微細孔を有しないチタン又はチタン合金の酸化皮膜を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態によるチタン又はチタン合金の酸化皮膜の製造方法を適用可能な処理装置を示す概略図である。
図2】同実施形態の処理装置によるチタン又はチタン合金の酸化皮膜の製造方法の酸化皮膜除去工程の初期状態を示す概略図である。
図3】同実施形態の処理装置によるチタン又はチタン合金の酸化皮膜の製造方法の酸化皮膜除去工程を示す概略図である。
図4】同実施形態の処理装置によるチタン又はチタン合金の酸化皮膜の製造方法の酸化皮膜形成工程の初期状態を示す概略図である。
図5】同実施形態の処理装置によるチタン又はチタン合金の酸化皮膜の製造方法の酸化皮膜形成工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態によるチタン又はチタン合金の酸化皮膜の製造方法について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
[電解処理装置]
図1は本発明の一実施形態によるチタン又はチタン合金の酸化皮膜の製造方法を適用可能な処理装置を概念的に示しており、図1において電解処理装置1は、処理槽2とこの処理槽2内に設置された第一電極部材4及び第二電極部材5とを有し、これら第一電極部材4及び第二電極部材5はそれぞれ直流電源3のマイナス極及びプラス極に接続している。この直流電源3は、マイナス極及びプラス極を逆転可能、すなわち転極可能となっている。なお、処理槽2には該処理槽2内の溶液を所望の温度に保つための恒温ヒータ(図示せず)を設けることができる。このような電解処理装置1において、第一電極部材4は被処理部材となるものであり、本実施形態ではチタン又はチタン合金製の部材であって、その表面に酸化皮膜が形成されたものを用いる。また、第二電極部材5としては、通電性の材料であれば特に制限はないが、導電性、耐食性などの点でダイヤモンド基材とした電極や白金族金属を基材とした電極等を用いることができる。
【0018】
[チタン又はチタン合金の酸化皮膜の製造方法]
次に上述したような電解処理装置1を用いた本実施形態の微細孔を封孔したチタン又はチタン合金の酸化薄膜の製造方法について説明する。本実施形態においては、チタン又はチタン合金製の部材である第一電極部材4に酸化皮膜を形成する際に、均質な酸化皮膜を形成するために、前処理としてあらかじめ形成されている酸化皮膜を除去することが好ましい。
【0019】
(酸化皮膜除去工程)
上述したような電解処理装置1の処理槽2に収容する電解処理の溶液としては、pH5以下の酸性電解液を用いるのが好ましく、本実施形態においては、硫酸濃度5〜30重量%の電解硫酸Sを用いる。硫酸濃度が5重量%未満では、後述する電解処理における硫酸の電解によるH(H)イオンが少ないため第一電極部材4(被処理部材)表面の酸化皮膜を十分に除去できない一方、30重量%を超えると第一電極部材4の表面に形成された酸化皮膜は除去できるものの硫酸の酸化作用により第一電極部材4表面に新たな酸化皮膜が形成されてしまう。この電解硫酸SはpH5以下であるのが好ましい。pHが5を超えるとH(H)イオンが不足して金属材の表面に形成された酸化皮膜の除去能が十分でなくなるため好ましくない。また、この電解硫酸Sの酸化剤濃度は、硫酸を電解して電解硫酸を作製する際に生成可能な酸化剤濃度であればよいが、5g/L未満では酸化皮膜の除去速度が遅くなってしまう。特に10g/L以上とすることが好ましい。
【0020】
次に酸化皮膜除去工程について、図1図3に基づいて説明する。まず、直流電源3の陰極に被処理部材としての第一電極部材4を陽極に第二電極部材5をそれぞれ接続し、これを処理槽2に吊設したら処理槽2を電解硫酸Sで満たし、必要に応じて恒温ヒータにより所定の温度に保持する。このとき図1に示すように処理槽2内には、硫酸に起因してH(H)イオンと水酸イオンOHイオンとが存在している。なお、図中においては、硫酸イオン(SO2−)については省略している。
【0021】
そして、直流電源3から電流を印加すると、図2に示すようにHイオンは第一電極部材4側に移動する一方、OHイオンは第二電極部材5側に移動する。このとき印加する電流の電流密度は0.01A/dmよりも低いと処理に時間がかかりすぎる一方、0.1A/dmよりも高いとかえって酸化皮膜の除去効率が低下する。
【0022】
この電解処理における電解硫酸Sの温度は20℃〜50℃とすることが好ましい。電解硫酸Sの温度が20℃未満では、第一電極部材4の表面に形成された酸化皮膜の除去速度が低下し、これにより酸化皮膜を十分に除去できない一方、50℃を超えると硫酸の酸化作用により第一電極部材4表面に新たな酸化皮膜が形成されてしまう。
【0023】
これにより陽極では、下記式(1)によりチタン又はチタン合金製の部材からなる第一電極部材4の表面に形成された酸化チタンが還元される一方、陽極では下記式(2)により酸素が発生する。
(陰極)TiO+4H+2e → Ti2++2HO ・・・(1)
(陽極)HO → 1/2O+2H+2e ・・・(2)
【0024】
この状態を継続することにより、チタン又はチタン合金製の部材からなる第一電極部材4の表面に形成されていた酸化皮膜を除去することができるが、この酸化皮膜の除去が完了したか否かの判断タイミングは、チタンの素地の色である銀白色に戻ったことで確認すればよい。あるいは、図3に示すようにチタン又はチタン合金製の部材からなる第一電極部材4の酸化皮膜の還元が進行し、下記式(1)においてTiOが全て還元されると下記式(3)の反応により水素(気体)が発生する。したがって、気体としての水素(H)が発生した段階を酸化皮膜除去工程の終了とみなすことができる。
(陰極)2H++2e → H ・・・(3)
【0025】
(酸化皮膜形成工程)
続いて第一電極部材4の表面に酸化皮膜を形成する(酸化皮膜形成工程)。この酸化皮膜形成工程における電解液としては、酸化皮膜除去工程と同じ電解硫酸Sを用いることができる。すなわち、電解硫酸Sの硫酸濃度は5〜30重量%であることが好ましい。硫酸濃度が5重量%未満では、後述する電解処理における硫酸の電解によるH(H)イオンが少ないため、第一電極部材4(被処理部材)の表面に酸化皮膜が形成されるのが遅くなってしまう一方、30重量%を超えるとチタンの溶解が優先的に進んでしまう。この電解硫酸SはpH5以下であるのが好ましい。pHが5を超えるとH(H)イオンが不足してチタンの溶解速度が遅くなり、第一電極部材4(被処理部材)の表面に酸化皮膜が形成されるのが遅くなってしまうため好ましくない。また、この電解硫酸Sの酸化剤濃度は、硫酸を電解して電解硫酸を作製する際に生成可能な酸化剤濃度であればよいが、5g/L未満では酸化速度が遅くなってしまい酸化皮膜が形成されない。この酸化剤濃度は10g/L以上、特に15g/L以上とすることが好ましい。
【0026】
次に酸化皮膜を除去した第一電極部材4上に酸化皮膜を形成する酸化皮膜形成工程について図4及び図5に基づいて説明する。まず、直流電源3を転極することにより、第一電極部材4を直流電源3のプラス極に第二電極部材5をマイナス極にそれぞれ接続する。
【0027】
そして、直流電源3から電流を印加すると、図4に示すようにOHイオンは第一電極部材4側に移動する一方、Hイオンは第二電極部材5側に移動する。このとき印加する電流の電流密度は0.01A/dmよりも低いと流れる電流が少なすぎるため酸化皮膜が形成されにくい一方、0.1A/dmよりも高いと、形成される酸化皮膜に孔が形成されてしまい、耐薬品性及び耐腐食性が不均質な膜となるため、0.01〜0.1A/dmとすることが好ましい。
【0028】
この電解処理における電解硫酸Sの温度は20℃〜50℃とすることが好ましい。電解硫酸Sの温度が20℃未満では、酸化剤の効果が十分に発揮されず、第一電極部材4への表面に酸化皮膜の形成速度が遅くなってしまうだけでなくチタンの溶解も進んでしまう一方、50℃を超えると酸化速度が上がり過ぎて均一な酸化皮膜を形成できなくなる。
【0029】
この酸化皮膜形成工程の処理時間については、1分未満では第一電極部材4に形成される酸化皮膜が薄くなりすぎる(1μm以下)一方、処理時間の上限については15分を越えても酸化皮膜の厚さの成長が見込めないため、1〜15分とすることが好ましい。
【0030】
これにより図5に示すように陽極では、下記式(4)の反応によりチタン又はチタン合金製の部材からなる第一電極部材4の表面に酸化皮膜が形成される。なお、陰極では下記式(5)により水素が発生する。
(陽極)Ti2++2OH → TiO+4H+4e ・・・(4)
(陰極)2H++2e → H ・・・(3)
【0031】
以上、本発明の金属酸化皮膜の除去装置及び除去方法について、前記各実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は前記実施例に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、被処理部材の形状は制限されず、曲部や穴部を有する部材を電極として均一に処理することが可能である。
【実施例】
【0032】
以下の具体的実施例により、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの記載により何ら限定されるものではない。
【0033】
[実施例1]
100mm×100mm×0.05mmの純チタンの薄膜を用意し、この試験片の表面に厚さ5μmの陽極酸化皮膜を形成し、この試験片を第一電極部材4(陰極)とするとともに、同じサイズのダイヤモンド電極を第二電極部材5(陽極)とした。処理槽2に硫酸濃度10重量%、酸化剤濃度10g/Lの電解硫酸を満たし、恒温ヒータにより温度を30℃に保持して、直流電源3から陰極側に−3Vの電圧をかけて処理を行った。そして、第一電極部材4から気泡が発生した時点で処理を停止し、試験片の表面をSEM−EDS分析した結果、Tiピークのみが認められた。
【0034】
その後、直流電源3を転極して第一電極部材4(陰極)とし、硫酸濃度10重量%、酸化剤濃度10g/L、温度30℃、電流値0.01A/dmで2分間(120秒)処理を行って酸化皮膜を形成した。酸化皮膜の形成条件を表1に示す。また、この酸化皮膜を電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)で電子顕微鏡に観察して、酸化皮膜の厚さと微細孔の有無を確認した。結果を表2に示す。さらに、このようにして形成された純チタンの酸化皮膜の耐電圧を測定した。結果を表2にあわせて示す。
【0035】
[実施例2]
実施例1において、酸化皮膜の形成工程を硫酸濃度30重量%の電解流とした以外は同様にして、酸化皮膜を形成した。酸化皮膜の形成条件を表1に示す。また、この酸化皮膜を電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)で電子顕微鏡に観察して、酸化皮膜の厚さと微細孔の有無を確認した。結果を表2に示す。さらに、このようにして形成された純チタンの酸化皮膜の耐電圧を測定した。結果を表2にあわせて示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
表1及び表2から明らかなとおり、実施例1及び実施例2のチタン又はチタン合金の酸化皮膜の製造方法によれば、膜厚約1μm又は3μmで微細孔を有しないチタン酸化皮膜を形成することができることが確認できた。また、耐電圧性も19V及び38Vと高かった。
【符号の説明】
【0039】
1 処理装置
2 処理槽
3 直流電源
4 第一電極部材
5 第二電極部材
S 電解液
図1
図2
図3
図4
図5