特開2020-193135(P2020-193135A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2020-193135ゼオライトZTS−6及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-193135(P2020-193135A)
(43)【公開日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】ゼオライトZTS−6及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20201106BHJP
   B01J 29/80 20060101ALI20201106BHJP
   B01J 29/70 20060101ALI20201106BHJP
【FI】
   C01B39/48
   B01J29/80 A
   B01J29/70 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-101089(P2019-101089)
(22)【出願日】2019年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 真人
【テーマコード(参考)】
4G073
4G169
【Fターム(参考)】
4G073BA01
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA57
4G073BA63
4G073BA75
4G073BA82
4G073BB04
4G073BB06
4G073BB48
4G073BD15
4G073BD21
4G073CZ03
4G073CZ17
4G073CZ41
4G073CZ50
4G073DZ01
4G073FB03
4G073FB30
4G073FC04
4G073FC13
4G073FC19
4G073FC25
4G073GA01
4G073GA03
4G073GB02
4G073GB03
4G073UA05
4G169AA02
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BB05C
4G169BD13C
4G169BE01C
4G169BE17C
4G169CA08
4G169CA13
4G169FC02
4G169FC03
4G169FC07
4G169ZA32A
4G169ZA32B
4G169ZB01
4G169ZB03
4G169ZB08
4G169ZB09
4G169ZC02
4G169ZC04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】連晶の骨格構造を有し、SCR触媒としての適用が期待できる新規なゼオライト及びその製造方法を提供する。
【解決手段】下記に示す粉末X線回折ピークを有することを特徴とするゼオライト。格子面間隔d(Å)が、3.40±0.2のときの相対ピーク強度(%)を100とした時の、格子面間隔d(Å)が、11.9±0.5,9.22±0.4,6.86±0.4,5.49±0.35,5.03±0.1,4.11±0.1,2.90±0.2における相対ピーク強度(%)が、それぞれ30〜85%,20〜115%,45〜75%,25〜120%,50〜120%,75〜170%,65〜120%。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の表で示す粉末X線回折ピークを有することを特徴とするゼオライト。
【表1】
【請求項2】
アルミナに対するシリカのモル比が5.0以上50.0以下であることを特徴とする請求項1に記載のゼオライト。
【請求項3】
格子面間隔dが3.40±0.2に相当するXRDピークの強度に対する、格子面間隔dが11.9±0.5に相当するXRDピークの強度の比が0.3以上0.85以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のゼオライト。
【請求項4】
シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、水及び4級アンモニウムカチオン源を含む組成物を60℃以上110℃以下で処理した後、該組成物を結晶化する工程を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかひとつに記載のゼオライトの製造方法。
【請求項5】
シリカ源及びアルミナ源が、結晶性アルミノシリケートであることを特徴とする請求項4に記載のゼオライトの製造方法。
【請求項6】
前記結晶性アルミノシリケートが、骨格構造中に奇数員環を含まないゼオライトであることを特徴とする請求項5に記載のゼオライトの製造方法。
【請求項7】
前記結晶性アルミノシリケートが、FAU、CHA、AEI及びAFXの群から選ばれるいずれかの構造を有するゼオライトであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のゼオライトの製造方法。
【請求項8】
4級アンモニウムカチオン源が、テトラエチルアンモニウムカチオン又はテトラブチルアンモニウムカチオンを含むことを特徴とする請求項4〜請求項7のいずれかひとつに記載のゼオライトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は新規ゼオライトZTS−6及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは触媒や吸着剤、イオン交換剤といった幅広い用途で使用されている。近年では、二重6員環を骨格構造に有するゼオライトが自動車排ガスに含まれる窒素酸化物を除去するための選択還元触媒(SCR触媒)として有望視されている。
【0003】
例えば、二重6員環とchaケージを骨格構造に含むCHA型ゼオライトとしてSSZ−13やSAPO−34が(特許文献1)が知られている。また、CHA構造と他の構造とからなる骨格構造、すなわち連晶の骨格構造、を有するゼオライトもSCR触媒として検討されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2008/132452号
【特許文献2】特表2013−522011号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、連晶の骨格構造を有し、SCR触媒としての適用が期待できる新規なゼオライト及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示において、従来とは異なる新規な連晶ゼオライト及びその製造方法を見出した。
【0007】
すなわち、本開示の要旨は以下のとおりである。
[1] 以下の表で示す粉末X線回折ピークを有することを特徴とするゼオライト。
【0008】
【表1】
【0009】
[2] アルミナに対するシリカのモル比が5.0以上50.0以下である前記[1]に記載のゼオライト。
[3] 格子面間隔dが3.40±0.2に相当するXRDピークの強度に対する、格子面間隔dが11.9±0.5に相当するXRDピークの強度の比が0.3以上0.85以下である前記[1]又は[2]に記載のゼオライト。
[4] シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、水及び4級アンモニウムカチオン源を含む組成物を60℃以上110℃以下で処理した後、該組成物を結晶化する工程を有することを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかひとつに記載のゼオライトの製造方法。
[5] シリカ源及びアルミナ源が、結晶性アルミノシリケートであることを特徴とする前記[4]に記載のゼオライトの製造方法。
[6] 前記結晶性アルミノシリケートが、骨格構造中に奇数員環を含まないゼオライトであることを特徴とする前記[5]に記載のゼオライトの製造方法。
[7] 前記結晶性アルミノシリケートが、FAU、CHA、AEI及びAFXの群から選ばれるいずれかの構造を有するゼオライトであることを特徴とする前記[5]又は[6]に記載のゼオライトの製造方法。
[8] 4級アンモニウムカチオン源が、テトラエチルアンモニウムカチオン又はテトラブチルアンモニウムカチオンを含むことを特徴とする前記[4]〜[7]のいずれかひとつに記載のゼオライトの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本開示により、SCR触媒としての適用が期待できる新規な連晶ゼオライト及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1のZTS−6のXRDパターン
図2】実施例1のZTS−6のSEM観察図
図3】比較例1のXRDパターン
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示のゼオライト(以下、「ZTS−6」ともいう。)について実施態様の一例を示しながら説明する。
【0013】
本実施形態のZTS−6は、以下の表で示す粉末X線回折(XRD)ピークを有するゼオライトである。
【0014】
【表2】
【0015】
本実施形態のZTS−6は、以下の表で示すXRDピークを有することが好ましい。
【0016】
【表3】
【0017】
本実施形態のZTS−6は、格子面間隔dが3.40±0.2に相当するXRDピークの強度に対する、格子面間隔dが11.9±0.5に相当するXRDピークの強度の比(以下、「ピーク強度比(P2/P1)」ともいう。)が0.3以上0.85以下であることが好ましく、0.4以上0.7以下であることがより好ましい。また格子面間隔dが3.40±0.2に相当するXRDピークの強度に対する、格子面間隔dが6.86±0.4に相当するピーク強度比(以下、「ピーク強度比(P3/P1)」ともいう。)が0.45以上0.75以下であることが好ましく、0.5以上0.7以下であることがより好ましい。
【0018】
本実施形態におけるXRDパターンの測定条件として、以下の条件が挙げられる。
【0019】
線源 : CuKα線(λ=1.5405Å)
測定モード : ステップスキャン
スキャン幅 : 0.02°
発散スリット: 1.00deg
散乱スリット: 開放
受光スリット: 開放
計測時間 : 1.0分
測定範囲 : 2θ=3.0°〜43.0°
本実施形態のZTS−6は、格子面間隔dが4.28±0.1に相当するXRDピークの半価幅(以下、「FWHM」ともいう。)が0.18以上0.50以下であることが好ましく、0.20以上0.46以下がより好ましい。
【0020】
好ましくは、XRDパターン、XRDピーク、ピーク強度比及びFWHMは、それぞれ、有機構造指向剤(以下、「SDA」ともいう。)を含む状態、のものである。
【0021】
本実施形態のZTS−6は連晶の骨格構造を有するゼオライト(以下、「連晶ゼオライト」ともいう。)であり、CHA構造以外の構造とCHA構造とからなる骨格構造を有する。ZTS−6はCHA構造とGME構造とからなる骨格構造を有することが好ましい。連晶ゼオライトであること、及び骨格構造におけるCHA構造以外の構造とCHA構造の比率は、ZTS−6の粉末X線回折(以下、「XRD」ともいう。)パターンをDIFFaX分析することで確認できる。
【0022】
ZTS−6におけるCHA構造以外の構造とCHA構造の比率(以下、「連晶比率」ともいう。)は、CHA構造以外の構造:CHA構造として60%:40%〜20%:80%であることが好ましく、50%:50%〜30%:70%であることがより好ましい。
【0023】
ZTS−6がCHA構造とGME構造とからなる骨格構造を有する場合、CHA構造とGME構造の連晶比率の決定は、得られた試料のXRDパターンと、International Zeolite AssociationがまとめたゼオライトデータベースのIntergrowth Families中のABC−6に記載のGME−CHA連晶構造のシミュレーションのXRDパターンとの比較により求めることができる。
【0024】
一般に、ゼオライトは、広義に多孔性無機酸化物を意味し、狭義に結晶性アルミノシリケートを意味する。本実施形態において、ゼオライトは結晶性アルミノシリケートであることが好ましい。結晶性アルミノシリケートはケイ素(Si)とアルミニウム(Al)が酸素(O)を介したネットワーク構造からなる骨格構造を有するものである。本実施形態において、結晶性アルミノシリケートは、結晶性シリコアルミノホスフェート(SAPO)又は結晶性アルミノホスフェート(AlPO)など、骨格構造にリンを含有する多孔性無機酸化物等の、いわゆるゼオライト類縁物質、とは異なる。
【0025】
本実施形態のZTS-6のアルミナに対するシリカのモル比(以下、「SiO/Al比」ともいう。)は、5.0以上50.0以下であることが好ましく、6.0以上30.0以下であることがより好ましく、8.0以上25.0以下であることが更に好ましい。
【0026】
本実施形態のZTS−6のBET比表面積は350m/g以上700m/g以下であることが好ましく、450m/g以上600m/g以下であることがより好ましい。
【0027】
本実施形態のZTS−6の形態は、走査型電子顕微鏡観察において、0.05μm以上1.0μm以下の略球状の粒子、として観察されることが例示できる。
【0028】
本実施形態のZTS−6は、公知のゼオライトの用途に適用できる。本実施形態のZTS−6の用途として、クラッキング触媒、酸化触媒又は窒素酸化物還元触媒などの触媒、触媒担体、吸着剤、吸着剤の担体が挙げられ、触媒であることが好ましく、窒素酸化物還元触媒であることがより好ましい。
【0029】
本実施形態のZTS−6の製造方法は、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、水及び4級アンモニウムカチオン源を含む組成物(以下、「原料組成物」ともいう。)を60℃以上110℃以下で処理した後、該組成物を結晶化する工程、を有する製造方法である。本実施形態の製造方法によって、CHA構造以外の構造とCHA構造とからなる骨格構造を有する連晶ゼオライト、特に、CHA構造以外の構造とCHA構造とからなり、CHA構造を十分に含む連晶ゼオライトを、工業的な結晶化条件で結晶化させることができる。
【0030】
シリカ源は、シリカ(SiO)又はその前駆体となるケイ素化合物であり、例えば、コロイダルシリカ、無定形シリカ、珪酸ナトリウム、テトラエチルオルトシリケート、沈降法シリカ、ヒュームドシリカ、結晶性アルミノシリケート及びアルミノシリケートゲルの群から選ばれる少なくとも1つが挙げられ、結晶性アルミノシリケート又はアルミノシリケートゲルの少なくともいずれかであることが好ましく、結晶性アルミノシリケートであることがより好ましい。
【0031】
アルミナ源は、アルミナ(Al)又はその前駆体となるアルミニウム化合物であり、例えば、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミノシリケートゲル、結晶性アルミノシリケート及び金属アルミニウムの群から選ばれる少なくとも1つであることが挙げられ、結晶性アルミノシリケート又はアルミノシリケートゲルの少なくともいずれかであることが好ましく、結晶性アルミノシリケートであることがより好ましい。
【0032】
本実施形態の製造方法において、シリカ源及びアルカリ源は、結晶性アルミノシリケート(以下、「アルミノシリケート源」ともいう。)であることが好ましく、骨格構造中に奇数員環を含まない結晶性アルミノシリケートであることがより好ましい。具体的なアルミノシリケート源として、FAU、CHA、AEI、LEV、AFX、ERI、OFF、LTL及びGMEの群から選ばれるいずれかの構造を有する結晶性アルミノシリケートが挙げられ、FAU、CHA、AEI及びAFXの群から選ばれるいずれかの構造を有する結晶性アルミノシリケートが好ましく、FAU型ゼオライト又はAFX型ゼオライトの少なくともいずれかがより好ましい。
【0033】
アルカリ源は、アルカリ金属の化合物であり、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群の少なくとも1種の化合物、更にはナトリウムまたはカリウムの少なくともいずれかの化合物、更にはナトリウムの化合物が好ましい。シリカ源やアルミナ源など、原料組成物に含まれる他の原料に含有されるアルカリ成分もアルカリ源としてみなすことができる。
【0034】
4級アンモニウムカチオン源は、テトラエチルアンモニウム(TEA)カチオン、テトラプロピルアンモニウム(TPA)カチオン及びテトラブチルアンモニウム(TBA)カチオンの群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、TEAカチオン又はTBAカチオンを含むことがより好ましい。原料組成物はTEAカチオン、TPAカチオン及びTBAカチオンの群から選ばれる少なくとも1種以外の4級アンモニウムカチオンを含まないことが好ましい。
【0035】
別の実施形態として、4級アンモニウムカチオン源は、TEAカチオン、TPAカチオン及びTBAカチオンの群から選ばれる少なくとも2種を含むことが好ましく、TEAカチオン及びTBAカチオンを含むことがより好ましい。
【0036】
本実施形態において原料組成物に供する4級アンモニウムカチオン源は、4級アンモニウムカチオンと、アニオンとの塩の状態であってもよい。該アニオンとしては、ヒドロキシドアニオン、クロリドアニオン、ブロミドアニオン及びヨージドアニオンの群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0037】
フッ素(F)は製造設備に負荷を与えやすいため、原料組成物はフッ素を含む化合物を実質的に含まないことが好ましい。本実施形態において、「フッ素を含む化合物を実質的に含まない」とは、本実施形態の製造方法におけるフッ素がZTS−6の結晶化に影響を与えないことであり、例えば、原料組成物のフッ素含有量として0重量ppm以上、100重量ppm以下を挙げることができる。
【0038】
同様な理由により、原料組成物はリン(P)を含む化合物を実質的に含まないことが好ましく、原料組成物のリン含有量として0重量ppm以上、100重量ppm以下を挙げることができる。
【0039】
原料組成物のSiO/Al比は、好ましくは5以上100以下、より好ましくは10以上50以下、さらに好ましくは12以上30以下である。
【0040】
製造コストを低減させる観点から、原料組成物のシリカに対する4級アンモニウムカチオンのモル比(以下、「SDA/SiO比」ともいう。)は、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下である。また、SDA/SiO比は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.5以上である。
【0041】
2種以上の4級アンモニウムカチオンを含む場合、原料組成物のシリカに対するそれぞれの4級アンモニウムカチオンのモル比は0.05以上2.0以下であることが好ましく、0.1以上1.0以下であることがより好ましい。
【0042】
原料組成物のシリカに対する水酸化物イオン(OH)のモル比(以下、「OH/SiO比」ともいう。)は、好ましくは0.1以上2.0以下、より好ましくは0.3以上1.5以下、さらに好ましくは0.5以上1.2以下である。
【0043】
原料組成物のシリカに対するアルカリ金属イオン(M)のモル比(以下、「M/SiO比」ともいう。)は、好ましくは0.1以上1.0以下、より好ましくは0.15以上0.5以下、さらに好ましくは0.2以上0.4以下である。
【0044】
原料組成物のシリカに対する水のモル比(以下、「HO/SiO比」ともいう。)は、好ましくは5以上60以下、より好ましくは10以上40以下、さらに好ましくは15以上30以下である。
【0045】
本実施形態の製造方法では種晶を用いることなくZTS−6を製造することができるが、原料組成物は種晶としてZTS−6を含んでいてもよい。
【0046】
原料組成物は以下の組成を有することが好ましい。なお、以下の組成におけるMはアルカリ金属イオン、各割合はモル(mol)割合である。
【0047】
SiO/Al比:5以上100以下、
好ましくは10以上50以下、
より好ましくは12以上30以下
SDA/SiO比 :0.1以上3.0以下、
好ましくは0.3以上2.0以下
より好ましくは0.5以上1.5以下
OH/SiO比 :0.1以上2.0以下、
好ましくは0.3以上1.5以下
より好ましくは0.5以上1.2以下
M/SiO比 :0.1以上1.0以下、
好ましくは0.15以上0.5以下
より好ましくは0.2以上0.4以下
O/SiO比 :5以上60以下、
好ましくは10以上45以下
より好ましくは15以上30以下
本実施形態の製造方法は、原料組成物を60℃以上110℃以下で処理(以下、「エージング」ともいう。)する。
【0048】
エージングにおいて、アルカリ雰囲気下で原料組成物が処理される。これにより、工業的生産に適したゼオライトの結晶化条件、例えば、結晶化温度100℃以上200℃以下、かつ、結晶化時間1時間以上25日以下の条件、などにより、CHA構造を十分に含む連晶構造が生成しやすくなると考えられる。
【0049】
エージングの条件として以下のものを挙げることができる。
【0050】
処理温度 :60℃以上110℃以下、好ましくは80℃以上100℃以下
処理時間 :2時間以上70時間以下、好ましくは5時間以上30時間以下
処理圧力 :自生圧
エージングは静置又は撹拌のいずれの状態で実施してもよい。エージング後の原料組成物の組成がより均一になるため、エージングは原料組成物が撹拌された状態で実施することが好ましい。
【0051】
具体的なエージングの方法は任意であるが、原料組成物を密閉耐圧容器に入れ、これを加熱する処理(水熱雰囲気下での処理)であることが好ましい。
【0052】
本実施形態の製造方法は、エージング後の原料組成物を結晶化する結晶化工程を含む。結晶化方法は任意であり、水熱処理が好ましい。水熱処理は、エージング後の原料組成物を密閉耐圧容器に入れ、これを加熱すればよい。水熱処理条件として以下のものを挙げることができる。
【0053】
処理温度 :120℃以上190℃以下、好ましくは140℃以上180℃以下
処理時間 :1時間以上25日以下、好ましくは5時間以上30時間以下
処理圧力 :自生圧
結晶化は静置又は撹拌のいずれの状態で行ってもよい。得られるZTS−6の組成がより均一になるため、結晶化は原料組成物が撹拌された状態で行うことが好ましい。
【0054】
なお、エージングと結晶化はそれぞれ行ってもよく、エージングと結晶化を連続して行ってもよい。
【0055】
本実施形態の製造方法は、洗浄工程、乾燥工程、4級アンモニウムカチオン除去工程又はアンモニウム処理工程の少なくともいずれかを含んでもよい。
【0056】
洗浄工程は、ZTS−6と液相とを固液分離する。洗浄工程は、公知の方法で固液分離をし、固相として得られるZTS−6を純水で洗浄すればよい。具体的には、ZTS−6を含む混合物を遠心分離、洗浄し、ZTS−6を得る方法が挙げられる。
【0057】
乾燥工程は、ZTS−6から水分を除去する。乾燥工程の条件は任意であるが、ZTS−6を、大気中、100℃以上、150℃以下で2時間以上処理することが例示できる。乾燥方法として、静置又はスプレードライヤーが例示できる。
【0058】
4級アンモニウムカチオン除去工程では、4級アンモニウムカチオンの除去を焼成又は分解により行うことができる。焼成は400℃以上、800℃以下の温度で行うことが好ましい。更には700℃以下の温度で行うことがより好ましい。ZTS−6の脱アルミニウムが生じにくくなる。具体的な熱処理条件としては、大気中、600℃、1〜2時間を挙げることができる。
【0059】
アンモニウム処理工程は、ZTS−6に含有されるアルカリ金属イオンを除去し、カチオンタイプをアンモニウム型(以下、「NH型」とする。)にするために行う。アンモニウム処理工程は、例えば、アンモニウムイオンを含有する水溶液をZTS−6と接触させることで行う。
【0060】
NH型のZTS−6である場合、アンモニウム処理工程後に再度熱処理を行なってもよい。当該熱処理により、カチオンタイプがプロトン型(以下、「H型」とする。)のZTS−6となる。より具体的な熱処理条件としては、大気中、500℃、1〜2時間を挙げることができる。
【実施例】
【0061】
次に、本開示を実施例によって説明する。しかしながら、本開示はこれらに限定されるものではない。
(粉末X線回折)
一般的なX線回折装置(装置名:Ultima IV、RIGAKU製)を使用し、試料のXRD測定を行った。測定条件は以下のとおりである。
【0062】
線源 : CuKα線(λ=1.5405Å)
測定モード : ステップスキャン
スキャン幅 : 0.02°
計測時間 : 1.0分
測定範囲 : 2θ=3.0°〜43.0°
(連晶比率)
CHA構造とGME構造の連晶比率は、得られた連晶ゼオライトのXRDパターンと、データベース(http://asia.iza−structure.org/IZA−SC/intergrowth_families/ABC_6.pdf)のFig.5に示されたシミュレーションXRDパターンとの比較により、求めた。
(ケイ素、アルミニウムの定量)
一般的な誘導結合プラズマ発光分析装置(装置名:OPTIMA3300DV、PERKIN ELMER製)を用いて、試料の組成分析を行った。試料をフッ酸と硝酸の混合溶液に溶解させ、測定溶液を調製した。得られた測定溶液を装置に投入して試料の組成を分析した。得られたケイ素(Si)、アルミニウム(Al)のモル濃度から、SiO/Al比を算出した。
【0063】
(ZTS−6の合成)
実施例1
48%NaOH水溶液、テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)、55%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAOH)水溶液、FAU型ゼオライト(SiO/Al比=29.78)、及びAFX型ゼオライト(SiO/Al比=23.01)を混合し組成物を得た。得られた組成物の組成を示す。
【0064】
SiO/Al比 = 26.5
SDA/SiO比 = 1.4
(TBAOH/SiO比 = 0.8、及び
TEABr/SiO比 = 0.6)
OH/SiO比 = 1.06
Na/SiO比 = 0.26
O/SiO比 = 20
十分に撹拌したのち組成物をステンレス製オートクレーブに密閉し、当該オートクレーブを回転させながら、95℃で24時間加熱し、そののち160℃で22時間加熱して生成物を得た。生成物を遠心分離し、大気中110℃で一晩乾燥させた。生成物は結晶性アルミノシリケートのZTS−6であった。また、SiO/Al比は9.4であった。
【0065】
本実施例のZTS−6のXRDパターンを図1に、主なXRDピーク(相対ピーク強度が10%以上のピーク)の強度比を表4に示す。
【0066】
【表4】
【0067】
本実施例のZTS−6はCHA構造とGME構造からなる骨格構造を有する連晶ゼオライト(結晶性アルミノシリケート)であり、その連晶比率はCHA:GMEで60%:40%〜20%:80%の範囲内であり、40%:60%程度であった。また、ピーク強度比(P2/P1)は0.75、及び、ピーク強度比(P3/P1)は0.59、FWHMは0.42であった。
【0068】
また、SEM観察図(JEOL製JSM−6390LV、30kV)を図2に示す。本実施例のZTS−6の粒子は、主として粒子径が0.05〜1.0μmであり、その形状は主として不定形又は略球状であった。
【0069】
比較例1
48%NaOH水溶液、テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)、55%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAOH)水溶液、FAU型ゼオライト(SiO/Al比=29.78)、及びAFX型ゼオライト(SiO/Al比=23.01)を混合し組成物を得た。得られた組成物の組成を示す。
【0070】
SiO/Al比 = 26.5
SDA/SiO比 = 1.4
(TBAOH/SiO比 = 0.8、及び
TEABr/SiO比 = 0.6)
OH/SiO比 = 1.1
Na/SiO比 = 0.3
O/SiO比 = 20
十分に撹拌したのち組成物をステンレス製オートクレーブに密閉し、当該オートクレーブを回転させながら、160℃で90時間加熱して生成物を得た。生成物を遠心分離し、大気中110℃で一晩乾燥させた。生成物はそれぞれ、MFI構造、CHA構造、及びAFX構造の混合相からなる結晶性アルミノシリケートであり、ZTS−6は得られなかった。
【0071】
本比較例のXRDパターンを図3に示す。
【0072】
これより、エージングを行わない製造方法では、長時間の結晶化をした場合であってもZTS−6が結晶化しないことが確認できた。
図1
図2
図3