特開2020-193388(P2020-193388A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-193388(P2020-193388A)
(43)【公開日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】真空処理装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/56 20060101AFI20201106BHJP
   C23C 14/02 20060101ALI20201106BHJP
   C23C 16/54 20060101ALI20201106BHJP
   C23C 16/02 20060101ALI20201106BHJP
【FI】
   C23C14/56 A
   C23C14/02 Z
   C23C16/54
   C23C16/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-101481(P2019-101481)
(22)【出願日】2019年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 修司
【テーマコード(参考)】
4K029
4K030
【Fターム(参考)】
4K029AA25
4K029CA01
4K029CA05
4K029FA05
4K029JA10
4K029KA03
4K030CA17
4K030DA02
4K030GA14
(57)【要約】
【課題】処理ガスを導入して真空処理を実施するような場合に処理ガスが無駄に消費されることを抑制できるメンテナンス性の良い真空処理装置を提供する。
【解決手段】真空チャンバ1と、シート状の基材Swを移送させる基材移送手段とを備える本発明の真空処理装置DMは、真空チャンバ内に、一対のガイドローラ5a,5bを有して両ガイドローラ間を移送されるシート状の基材の部分に対する真空処理を可能とする処理空間Psを有する。処理空間は、左右一対のローラプレート61a,61bと、その前端側に設けられる枠体62と、枠体の上枠部62aと下枠部62bとに沿って夫々設けられて、スリット孔633が設けられた上下一対のローラケーシング63a,63bと、処理ユニットPuが設けられるベースプレート64とで画成され、枠体がこれに対向する真空チャンバの壁部11に近接配置され、この壁部が開閉可能に形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバと、この真空チャンバ内に設けられてシート状の基材を移送させる基材移送手段とを備える真空処理装置において、
真空チャンバ内に、その内部と隔絶されると共に、間隔を存して配置される一対のガイドローラを有して両ガイドローラ間を移送されるシート状の基材の部分に対する真空処理を可能とする処理空間を有し、
両ガイドローラの間でシート状の基材の部分が移送される方向を上下方向、上下方向に直交する方向を左右方向、真空チャンバの壁面からその内方に向かう方向を前後方向として、
処理空間は、左右方向に間隔を置いて設けられ、ガイドローラを軸支する左右一対のローラプレートと、ローラプレートの前端側に設けられる枠体と、枠体の上枠部と下枠部とに沿って夫々設けられて、ガイドローラの外筒面を部分的に囲うと共に、シート状の基材の通過を許容するスリット孔が設けられた上下一対のローラケーシングと、シート状の基材の部分に対して真空処理を施す処理ユニットが設けられるベースプレートとで画成され、
枠体がこれに対向する真空チャンバの壁部に近接配置され、この壁部が開閉可能に形成されることを特徴とする真空処理装置。
【請求項2】
前記処理ユニットは、シート状の基材に対してボンバード処理するための電極を有することを特徴とする請求項1記載の真空処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空チャンバと、この真空チャンバ内に設けられてシート状の基材を移送させる基材移送手段とを備える真空処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、真空雰囲気の真空チャンバ内にて、シート状の基材を所定速度で移送(走行)させ、その移送経路にて成膜処理やエッチング処理といった各種の真空処理が行われている。このような真空処理装置は例えば特許文献1で知られている。このものは、真空雰囲気の形成が可能な真空チャンバを備え、真空チャンバ内にはキャンローラが設けられ、キャンローラの周囲に配置される仕切り板で真空チャンバが上下2室に区画されている。
【0003】
一方の室(真空処理室)には、各種の真空処理を施すための蒸着源などが配置され、他方の室(搬送室)には、巻き掛けられたシート状の基材を一定の速度で繰り出す繰出ローラと、真空処理済みのシート状の基材を巻き取る巻取ローラと、キャンローラを経た繰出ローラと巻取ローラとの間でのシート状の基材の移送を案内する、互いに平行に配置される複数本のガイドローラとが設けられている。そして、蒸着源に収容した蒸着材料を昇華または気化させ、この昇華または気化した蒸着材料をキャンローラに巻き掛けられたシート状の基材の部分に付着、堆積させて所定の薄膜が蒸着(成膜)される。
【0004】
また、上記従来例のものでは、搬送室に、シート状の基材に対する蒸着に先立って、前処理を行う処理ユニットが設けられている。このような前処理の中には、コロナ処理、低温プラズマ処理またはイオンボンバード処理や、(アシストガスを利用した)加熱または冷却処理といった所定の処理ガスを導入して実施されるものがある。このとき、処理ガスを搬送室に直接導入しながらシート状の基材に対して前処理を実施するのでは、処理ガスが無駄に消費されるだけでなく、その内部を真空排気するポンプとして実効排気速度の高い高性能なものが必要になり、コスト高になるという問題がある。
【0005】
また、上記前処理を実施すると、処理ユニット(イオンボンバード処理のための電極等)やこの処理ユニットに対してシート状の基材を案内するために設けられるガイドローラといった部品が汚染されるため、定期的なクリーニングが必要になる。このような場合、搬送チャンバには、各種の部品が存在するため、これらを取り外した後でしか、クリーニングできないのではメンテナンスの作業性が悪いという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−225710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、所定の処理ガスを導入して所定の真空処理を実施するような場合に処理ガスが無駄に消費されることを抑制できるメンテナンス性の良い真空処理装置を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、真空チャンバと、この真空チャンバ内に設けられてシート状の基材を移送させる基材移送手段とを備える本発明の真空処理装置は、真空チャンバ内に、その内部と隔絶されると共に、間隔を存して配置される一対のガイドローラを有して両ガイドローラ間を移送されるシート状の基材の部分に対する真空処理を可能とする処理空間を有し、両ガイドローラの間でシート状の基材の部分が移送される方向を上下方向、上下方向に直交する方向を左右方向、真空チャンバの壁面からその内方に向かう方向を前後方向として、処理空間は、左右方向に間隔を置いて設けられ、ガイドローラを軸支する左右一対のローラプレートと、ローラプレートの前端側に設けられる枠体と、枠体の上枠部と下枠部とに沿って夫々設けられて、ガイドローラの外筒面を部分的に囲うと共に、シート状の基材の通過を許容するスリット孔が設けられた上下一対のローラケーシングと、シート状の基材の部分に対して真空処理を施す処理ユニットが設けられるベースプレートとで画成され、枠体がこれに対向する真空チャンバの壁部に近接配置され、この壁部が開閉可能に形成されることを特徴とする。この場合、前記処理ユニットは、シート状の基材に対してボンバード処理するための電極を有する構成を採用することができる。
【0009】
本発明によれば、真空チャンバ内に、処理ユニットに対してシート状の基材の部分を案内する一対のガイドローラを夫々軸支するための部材と処理ユニットが設置される部材とを利用して、真空チャンバ内部と隔絶された処理空間が画成され、枠体がこれに対向する真空チャンバの壁部に近接配置されることで、処理空間が真空チャンバ内の空間と雰囲気分離(隔絶)される構成を採用したため、処理ガスを導入しながらシート状の基材の部分に対して前処理を実施するような場合には、処理空間にのみ処理ガスを導入すればよい。その結果、処理ガスが無駄に消費されることが抑制でき、しかも、その内部を真空排気できればよいので、真空チャンバ内を真空排気する真空ポンプとして高性能なものを設ける必要もない。また、ガイドローラや処理ユニットのクリーニングといったメンテナンス時、真空チャンバの壁部を開放すれば、作業者は、真空チャンバの外側(大気側)から、枠体の内方を通して処理ユニットやガイドローラに直接アクセスでき、そのクリーニングを含むメンテンナンスを実施できるため、その作業性を著しく向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の真空処理装置の模式的断面図。
図2図1の一部を拡大して示す断面図。
図3】真空チャンバのメンテナンス開口を開放した状態で図1の一部を拡大して示す、大気側からみた斜視図。
図4】処理空間の画成する部材を、処理ユニットが設置される部材としてのベースプレートを取り外した状態で示す、真空チャンバ内からみた斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、処理空間Psで実施される前処理をイオンボンバード処理とし、また、キャンローラ4cに巻き掛けられたシート状の基材Swに対して所定の薄膜を蒸着(成膜)する場合を例に本発明の真空処理装置DMの実施形態を説明する。以下においては、キャンローラ4cの軸線方向が水平方向に一致する姿勢で当該キャンローラ4cが真空チャンバ1内に収容されているものとし、軸線方向をX軸方向(真空チャンバ1の側壁11からその内方に向かう前後方向に一致)、同一の水平面内でX軸に直交する方向をY軸方向(左右方向に一致)、X軸及びY軸に直交する鉛直方向をZ軸方向(ガイドローラ5a,5bの間でシート状の基材Swの部分が移送される上下方向に一致)として説明する。
【0012】
図1を参照して、本実施形態の真空処理装置DMは、真空チャンバ1を備える。真空チャンバ1には、排気管21を介してターボ分子ポンプ、ロータリーポンプ等で構成される真空ポンプユニット2が接続され、真空雰囲気(例えば、1×10−5Pa)を形成できるようになっている。また、真空チャンバ1は、仕切り板12で上下2室に区画され、図1中、下側に位置する一方の室(蒸着室Vs)には蒸着源3が設けられている。蒸着源3としては、蒸着材料Emを収容する坩堝31と、坩堝31内に収容した蒸着材料Emを加熱するシースヒータや誘導加熱コイルなどの加熱手段32とを備えるものが利用され、加熱により坩堝31内に収容された蒸着材料Emを昇華または気化させ、この昇華または気化した蒸着材料をキャンローラ4cに巻き掛けられたシート状の基材Swの部分に付着、堆積させて蒸着(成膜)される。なお、蒸着源3としては、これに限定されるものではなく、スパッタリング法やCVD法によるものを用いることができ、これは公知のものが利用できるため、これ以上の説明は省略する。
【0013】
一方、図1中、上側に位置する他方の室(搬送室Ts)内には、シート状の基材Swが巻き掛けられ、モータM1により回転駆動されて一定の走行速度でシート状の基材Swを繰り出す繰出ローラ4aと、モータM2により回転駆動されて成膜済みのシート状の基材Swを巻き取る巻取ローラ4bとが設けられている。仕切り板12に形成した開口13の内側には、蒸着源3に対峙させてシート状の基材Swが巻き掛けられるキャンローラ4cが配置されている。搬送室Tsにはまた、繰出ローラ4aから繰り出されたシート状の基材Swをキャンローラ4cに案内すると共に、キャンローラ4cから成膜済みのシート状の基材Swを巻取ローラ4bに案内するために、複数本のガイドローラ4dが設けられている。搬送室Tsには、その内部と隔絶されると共に、Z軸方向で間隔を存して配置される一対のガイドローラ5a,5bを有して両ガイドローラ5a,5b間をZ軸方向に移送されるシート状の基材Swの部分に対し、シート状の基材Swへの蒸着に先立って、イオンボンバードによる前処理を実施する処理ユニットPuを備える処理空間Psが真空チャンバ1の一側壁11に近接させて設けられている。
【0014】
図2図4も参照して、処理空間Psは、Y軸方向に間隔を置いて設けられた、ガイドローラ5a,5bを図外の軸受を介して夫々軸支する一対のローラプレート61a,61bと、ローラプレート61a,61bのX軸方向の前端側(真空チャンバ1の側壁11側)に設けられる枠体62と、X軸方向の後端側で枠体62の上枠部62aと下枠部62bとに沿って夫々設けられて、ガイドローラ5a,5bの外筒面を夫々部分的に囲う上下一対のローラケーシング63a,63bと、シート状の基材Swの部分に対して処理ユニットPuが設けられるベースプレート64とで画成される。ローラプレート61a,61bの前端は、真空チャンバ1の側壁11内面に夫々固定されている。また、ローラケーシング63a,63bは、ガイドローラ5a,5bの略上半分または略下半分を所定の隙間Gp1を介して囲う第1部分631と、ガイドローラ5a,5bの搬送室Ts側の約1/4部分を所定の隙間Gp2を介して囲う第2部分632とを備え、各第1部分631には、シート状の基材Swの通過を許容するスリット孔633が設けられている。この場合、処理空間Psは、スリット孔633と、各隙間Gp1,Gp2とを介して搬送室Tsと連通するが、例えば、処理時の処理空間Ps及び搬送室Ts内の圧力を考慮して、所定のコンダクタンス値となるように各隙間Gp1,Gp2の大きさが設定されている(即ち、各隙間Gp1,Gp2およびスリット孔633にて結ばれる処理空間Psと搬送室Tsとの連通路が、支配的なコンダクタンスとなる)。なお、ガイドローラ5a,5b自体は公知のものが利用されるため、ここでは説明を省略する。
【0015】
枠体62に対向する真空チャンバ1の側壁11部分には、枠体62より一回り大きい面積でメンテナンス開口11aが開設され、メンテナンス開口11aには、真空チャンバ1外側から蓋体7が真空シール71を介して着脱自在に取り付けられるようになっている。これにより、上記同様、蓋体7と枠体62との間の隙間Gp3の大きさを適宜設定して、搬送室Tsから処理空間Psに至る経路のコンダクタンスを所定値にすれば、処理空間Psと搬送室Tsとが確実に雰囲気分離される(即ち、処理空間Psが搬送室Tsから隔絶される)。なお、特に図示して説明しないが、処理空間Psには、その内部を独立して真空排気する真空ポンプからの排気管が接続されている。また、隙間Gp3は極小の隙間とするのが望ましいが、Oリングシール等を用いて密封しても良い。
【0016】
ベースプレート64のX軸方向の前面には、シート状の基材Swの幅と同等以上の長さを持つ絶縁プレート81がZ軸方向に間隔を置いて立設されている。そして、処理空間Ps内で一対のガイドローラ5a,5b間をZ軸方向に移送されるシート状の基材Swの部分に正対するように、互いに隣接する2個の絶縁プレート81で支持させて電極板82が設けられている。電極板82には、真空チャンバ1外に設置される電源(図示せず)からの出力ケーブルPkが接続され、電極板82に所定電力を投入できるようにしている。ベースプレート64の所定位置には、ガス導入口83が設けられ、ガス導入口83には、ガス導入管84が接続されて、その他端が真空チャンバ1の壁面を通って真空チャンバ1外のガス源(図示せず)に連通している。そして、ガス導入管84に介設した流量制御弁(図示せず)により所定の流量で所定の処理ガス(例えば、アルゴンなどの希ガス)を処理空間Psに導入できる。これにより、両ガイドローラ5a,5b間をZ軸方向に移送されるシート状の基材Swの部分に対し、シート状の基材Swへの蒸着(成膜)に先立って、イオンボンバードによる前処理を実施できる。
【0017】
上記実施形態によれば、搬送室Ts内に、処理ユニットPuに対してシート状の基材Swの部分を案内する一対のガイドローラ5a,5bを軸支するための部材(ローラプレート61a,61b)と、処理ユニットPuが設置される部材(ベースプレート64)とを利用して、搬送室Tsと隔絶された処理空間Psが画成され、ローラプレート61a,61bに設けた枠体63がこれに対向する真空チャンバ1の側壁11部分に近接配置され、処理空間Psと搬送室Tsとが確実に雰囲気分離される構成を採用したため、前処理の際、処理空間Psにのみ処理ガスを導入すればよいので、処理ガスが無駄に消費されることが抑制でき、しかも、その内部を真空排気できればよいので、搬送室Tsに高性能なポンプを別途設ける必要もない。また、ガイドローラ5a,5bや処理ユニットPuのクリーニングといったメンテナンス時、蓋体7を真空チャンバ1の側壁11から取り外せば、作業者は、真空チャンバ1の外側(大気側)から、枠体62の内方を通して処理ユニットPuやガイドローラ5a,5bに直接アクセスでき、そのクリーニングを含むメンテンナンスを実施できるため、その作業性を著しく向上することができる。しかも、シート状の基材Swへの成膜開始に先立って、繰出ローラ4aと巻取ローラ4bとの間でシート状の基材Swを通紙するときの作業性もよい。
【0018】
なお、蓋体7を真空チャンバ1の側壁11から取り外した時の開口であるメンテナンス開口11aや処理ユニットPuの設置および各部品の寸法については、作業者の上肢にて真空チャンバ1の外側(大気側)から直接アクセスできなければ、メンテナンス性を減ずるため、その設計においては日本工業規格JIS B 9718(機械類の安全性−危険区域に上肢及び下肢が到達することを防止するための安全距離、ISO13857)が示すような、上肢が到達可能な距離とすることが好ましい。つまり、メンテナンス開口11aに対して、作業員の上肢が到達できるように図示しないステップや脚立等を設ける構成も、本発明の技術思想に含まれる。
【0019】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の変形が可能である。上記実施形態では、処理空間Psで実施される前処理をイオンボンバード処理としたものを例に説明したが、これに限定されるものではなく、コロナ処理、低温プラズマ処理や、アシストガスを利用した加熱または冷却処理にも本発明が適用でき、その際には、各種処理に必要な部材、要素がベースプレート64に設けられることになる。また、上記実施形態では、前処理を例に説明しているが、成膜後のシート状の基材Swの部分に対して所定の後処理を実施するような場合にも本発明を適用することができる。
【0020】
また、上記実施形態では、ガイドローラ5a,5bの回転を妨げないための不可避な隙間がローラプレート61a,61bとの間に存在するが、これは汎用の回転シールによって処理空間Psと搬送室Tsとの連通路になりえないこととしてもよく、一方で、隙間が存在する場合でも、搬送室Tsから処理空間Psに至る経路のコンダクタンスを所定値となるよう、ラビリンス構造を取る等とすれば、確実に雰囲気分離される。なお、一般に、隙間Gp1,Gp2およびスリット孔633にて構成される連通路はシート状の基材Swが通過すること、及び、シート状の基材Swのシワや振動(ばたつき)による位置変動を吸収するためにその隙間の大きさは他の部位より大きく保持する必要がある。このような場合、シート状の基材が通過しない隙間Gp1の部分や隙間Gp2については、シート状の基材が通過する隙間Gp1の部分より小さく設定する構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0021】
DM…真空処理装置、Ps…処理空間、Pu…処理ユニット、Sw…シート状の基材、1…真空チャンバ、11…真空チャンバ1の側壁(壁部)、5a,5b…ガイドローラ、61a,61b…ローラプレート、62…枠体、62a…上枠部、62b…下枠部、63a,63b…ローラケーシング、633…スリット孔、64…ベースプレート、82…電極板(電極)。
図1
図2
図3
図4