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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-196661(P2020-196661A)
(43)【公開日】2020年12月10日
(54)【発明の名称】AEI型ゼオライトの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20201113BHJP
【FI】
   C01B39/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-92047(P2020-92047)
(22)【出願日】2020年5月27日
(31)【優先権主張番号】特願2019-100637(P2019-100637)
(32)【優先日】2019年5月29日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石川 智也
(72)【発明者】
【氏名】山崎 義貴
【テーマコード(参考)】
4G073
【Fターム(参考)】
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA05
4G073BA57
4G073BA63
4G073BA69
4G073BA75
4G073BB03
4G073BB44
4G073BB48
4G073BD21
4G073CZ17
4G073CZ50
4G073FA02
4G073FB28
4G073FC03
4G073FC12
4G073FC19
4G073FC30
4G073GA01
4G073GA11
4G073GA40
4G073GB10
4G073UA02
(57)【要約】
【課題】
従来の出発原料として結晶性アルミノシリケートを使用しないAEI型ゼオライトの製造方法と比べ、窒素酸化物還元触媒及びその担体として適したアルミナに対するシリカのモル比、を有するAEI型ゼオライトが、より短時間の結晶化、なおかつ、高い収率で得られ得る製造方法、又は工業的な適用が期待できるAEI型ゼオライトの製造方法、の少なくとも1つを提供する。
【解決手段】
非晶質シリカ源、非晶質アルミナ源、アルカリ源及び水を含む非晶質組成物を水熱処理した後、該非晶質組成物と、有機構造指向剤と、を混合して得られる原料組成物を結晶化する工程、を有することを特徴とするAEI型ゼオライトの製造方法。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質シリカ源、非晶質アルミナ源、アルカリ源及び水を含む非晶質組成物を水熱処理した後、該非晶質組成物と、有機構造指向剤と、を混合して得られる原料組成物を結晶化する工程、を有することを特徴とするAEI型ゼオライトの製造方法。
【請求項2】
前記原料組成物が、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び水の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のAEI型ゼオライトの製造方法。
【請求項3】
前記原料組成物のシリカに対する水酸化物イオンのモル比が0.40以下である、請求項1又は2に記載のAEI型ゼオライトの製造方法。
【請求項4】
前記原料組成物が、Y型ゼオライトを含まない請求項1乃至3のいずれか一項に記載のAEI型ゼオライトの製造方法。
【請求項5】
前記非晶質組成物が、以下のモル組成を有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のAEI型ゼオライトの製造方法。
SiO/Al比 =12以上、25以下
Na/SiO比 =0.05以上、0.3以下
M/SiO比 =0.05以上、0.4以下
OH/SiO比 =0.1以上、0.4以下
O/SiO比 =8以上、20未満
【請求項6】
前記原料組成物が、以下のモル組成を有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製造方法。なお、Mはアルカリ金属、及びSDAは有機構造指向剤である。
SiO/Al比 =20以上、50以下
Na/SiO比 =0.05以上、0.3以下
M/SiO比 =0.05以上、0.5以下
SDA/SiO比 =0.1以上、0.3以下
OH/SiO比 =0.1以上、0.4以下
O/SiO比 =8以上、20未満
【請求項7】
前記原料組成物のフッ素含有量が100質量ppm以下である請求項1乃至6のいずれか一項に記載のAEI型ゼオライトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、AEI型ゼオライトの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
AEI型ゼオライトは、オレフィン製造用触媒や選択的接触還元触媒(いわゆるSCR触媒)としての適用が検討されている結晶性アルミノシリケートである。AEI型ゼオライトは、出発原料としてY型ゼオライトを使用し、Y型ゼオライトの構造転換によって合成されるゼオライトである(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、Y型ゼオライトは高価であるため、出発原料にY型ゼオライト使用しないAEI型ゼオライトの製造方法が検討されている。これまで、Y型ゼオライト以外の出発原料として、Y型ゼオライト以外の結晶性アルミノシリケート(特許文献2)や、非晶質アルミノシリケート(特許文献3及び4、非特許文献1)やヒュームドシリカ等のシリカと水酸化アルミニウム(特許文献5)などの非晶質の化合物を使用したAEI型ゼオライトの製造方法が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5958370号
【特許文献2】特開2017−48105号公報
【特許文献3】特開2017−36204号公報
【特許文献4】特開2017−39638号公報
【特許文献5】国際公開2016/080547号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】第33回ゼオライト研究発表会、A12(2017年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
出発原料として結晶性アルミノシリケートを使用しないAEI型ゼオライトの製造方法は工業的な適用が期待される。しかしながら、従来報告されている結晶性アルミノシリケート以外を出発原料とするAEI型ゼオライトの製造方法においては、収率を高くするためには結晶化を長時間行うことが必要であった。本開示は、出発原料として結晶性アルミノシリケートを使用しない従来のAEI型ゼオライトの製造方法と比べ、窒素酸化物還元触媒及びその担体として適したアルミナに対するシリカのモル比、を有するAEI型ゼオライトが、より短時間の結晶化、なおかつ、高い収率で得られ得る製造方法、又は工業的な適用が期待できるAEI型ゼオライトの製造方法、の少なくとも1つを提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、結晶性アルミノシリケート以外を出発原料するAEI型ゼオライトの製造方法について検討した。その結果、結晶化における組成物中の原料の状態と有機構造指向剤との関係に着目することで、非晶質原料から効率よくAEI型ゼオライトが結晶化することを見出した。
【0008】
すなわち、本開示の要旨は以下の通りである。
[1] 非晶質シリカ源、非晶質アルミナ源、アルカリ源及び水を含む非晶質組成物を水熱処理した後、該非晶質組成物と、有機構造指向剤と、を混合して得られる原料組成物を結晶化する工程、を有することを特徴とするAEI型ゼオライトの製造方法。
[2] 前記原料組成物が、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び水の少なくとも1つを含む、上記[1]に記載のAEI型ゼオライトの製造方法。
[3] 前記原料組成物のシリカに対する水酸化物イオンのモル比が0.40以下である、上記[1]又は[2]に記載のAEI型ゼオライトの製造方法。
[4] 前記原料組成物が、Y型ゼオライトを含まない上記[1]乃至[3]のいずれかひとつに記載のAEI型ゼオライトの製造方法。
【0009】
[5] 前記非晶質組成物が、以下のモル組成を有する上記[1]乃至[4]のいずれかひとつに記載のAEI型ゼオライトの製造方法。但し、Mはアルカリ金属である。
SiO/Al比 =12以上、25以下
Na/SiO比 =0.05以上、0.3以下
M/SiO比 =0.05以上、0.4以下
OH/SiO比 =0.1以上、0.4以下
O/SiO比 =8以上、20未満
【0010】
[6] 前記原料組成物が、以下のモル組成を有する上記[1]乃至[5]のいずれかひとつに記載の製造方法。Mはアルカリ金属、及びSDAは有機構造指向剤である。
SiO/Al比 =20以上、50以下
Na/SiO比 =0.05以上、0.3以下
M/SiO比 =0.05以上、0.5以下
SDA/SiO比 =0.1以上、0.3以下
OH/SiO比 =0.1以上、0.4以下
O/SiO比 =8以上、20未満
[7] 前記原料組成物のフッ素含有量が100質量ppm以下である上記[1]乃至[6]のいずれかひとつに記載のAEI型ゼオライトの製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本開示により、出発原料として結晶性アルミノシリケートを使用しない従来のAEI型ゼオライトの製造方法と比べ、窒素酸化物還元触媒及びその担体として適したアルミナに対するシリカのモル比、を有するAEI型ゼオライトが、より短時間の結晶化、なおかつ、高い収率で得られ得る製造方法、又は工業的な適用が期待できるAEI型ゼオライトの製造方法、の少なくとも1つを提供すること、ができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係るAEI型ゼオライトの製造方法について、実施形態の一例を示して説明する。
【0013】
本実施形態は、非晶質シリカ源、非晶質アルミナ源、アルカリ源及び水を含む非晶質組成物を水熱処理した後に、該非晶質組成物と、有機構造指向剤と、を混合して得られる原料組成物を結晶化する工程、を有することを特徴とするAEI型ゼオライトの製造方法、である。
【0014】
本実施形態の製造方法により得られるAEI型ゼオライトは、AEI構造を有するゼオライトであり、特に、AEI構造を有する結晶性アルミノシリケートである。
【0015】
本実施形態におけるゼオライトの構造はIZAの構造委員会で規定された構造であり、「AEI構造」とは、構造コードで、AEI型となる構造である。AEI構造は、Collection of simulated XRD powder patterns for zeolites,Fifth revised edition,p.23(2007)に記載の粉末X線回折(以下、「XRD」とする。)パターン、又は、IZAの構造委員会のホームページhttp://www.iza−struture.org/databases/のZeolite Framework TypesのAEIに記載のXRDパターンのいずれかと比較することで、これを同定することができる。
【0016】
「結晶性アルミノシリケート」は、アルミニウム(Al)とケイ素(Si)とが酸素(O)を介したネットワークの繰返しからなる骨格構造を有する結晶性のシリカとアルミナの複合化合物である。本実施形態において、骨格構造、結晶構造及び結晶相は、いずれも同じ意味で使用される用語である。
【0017】
本実施形態の製造方法により得られるAEI型ゼオライトとして、例えば、SSZ−39と同等のXRDパターンを有する結晶性アルミノシリケート、を挙げることができる。
【0018】
本実施形態の製造方法は、非晶質シリカ源、非晶質アルミナ源、アルカリ源及び水を含む非晶質組成物を水熱処理する。水熱処理により、非晶質組成物中にAEI型ゼオライトを誘導し得る構造ユニットが生成し、これにより、次いで行われる工程でAEI型ゼオライトの結晶化が促進されやすくなると考えられる。
【0019】
非晶質アルミナ源は、結晶性アルミノシリケート以外のアルミニウム含有化合物、又はアルミニウム(Al)であり、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、非晶質アルミノシリケート、金属アルミニウム、擬ベーマイト、アルミナゾル及びアルミニウムアルコキシドの群から選ばれる1つ以上が例示でき、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、非晶質アルミノシリケート、アルミナゾル及びアルミニウムアルコキシドの群から選ばれる1以上が好ましい。工業的な観点から、非晶質アルミナ源は、好ましくは、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム及び非晶質アルミノシリケートの群から選ばれる1以上、より好ましくは、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム及び非晶質アルミノシリケートの群から選ばれる1以上、更に好ましくは酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム及び非晶質アルミノシリケートの群から選ばれる1以上、また更に好ましくは、非晶質アルミノシリケートであることが好ましい。
【0020】
非晶質シリカ源は、結晶性アルミノシリケート以外のケイ素含有化合物、又はケイ素(Si)であり、シリカゾル、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、沈降法シリカ、無定形ケイ酸及び非晶質アルミノシリケートの群から選ばれる1以上が例示でき、好ましくは、無定形ケイ酸及び非晶質アルミノシリケートの少なくともいずれかである。
【0021】
特に好ましい非晶質アルミナ源及び非晶質シリカ源として、アルミナに対するシリカのモル比(以下、「SiO/Al比」ともいう。)が、0.7を超え2000未満(シリカの含有率として20質量%を超え100質量%未満)、5以上300以下(シリカの含有率として64質量%以上99質量%以下)、更には10以上200以下(シリカの含有率として78質量%以上98質量%以下)、また更には10以上90以下(シリカの含有率として78質量%以上97質量%以下)の非晶質アルミノシリケートが挙げられる。別の実施形態において、非晶質アルミナ源及び非晶質シリカ源としての非晶質アルミノシリケートにおけるSiO/Al比は、5以上、10以上、13以上又は15以上であり、かつ、2000未満、300以下、200以下、90以下、50以下、30以下又は25以下、であることが挙げられる。
【0022】
本実施形態の製造方法は、非晶質の化合物を出発物質として使用することで製造コストが抑制され工業的により適した製造方法となる。そのため、非晶質組成物はFAU型ゼオライト、特にY型ゼオライト、を含まないことが好ましい。
【0023】
アルカリ源は、アルカリ金属元素を含有する化合物又はアルカリ金属であり、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、塩化物、臭化物及びヨウ化物の群から選ばれる1以上が挙げられ、水酸化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物の群から選ばれる1以上であることが好ましく、水酸化物であることがより好ましい。
【0024】
アルカリ金属(元素)として、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムの群から選ばれる1以上が挙げられ、ナトリウム及びカリウムの少なくともいずれかが好ましく、ナトリウムがより好ましい。
【0025】
アルカリ金属はナトリウムのみであってもよいが、AEI型ゼオライトを誘導し得る構造ユニットが生成やすくなる傾向があるため、アルカリ金属(元素)は、カリウム、ルビジウム及びセシウムの群から選ばれる1以上と、ナトリウムと、であることが好ましく、カリウム及びナトリウムであることがより好ましい。
【0026】
水は、蒸留水、脱イオン水、純水であればよく、さらに、含水化合物等、非晶質組成物に含まれる他の成分に由来する水分も、非晶質組成物における水と見なすことができる。
【0027】
非晶質組成物は種晶を含まなくてもよい。一方、AEI型ゼオライトを誘導し得る構造ユニットの生成が促進される傾向があるため、非晶質組成物は、非晶質シリカ源及び非晶質アルミナ源に対して十分に少ない量の種晶を含んでいてもよい。
【0028】
非晶質組成物に混合される種晶として、AEI型ゼオライト、CHA型ゼオライト、OFF型ゼオライト、ERI型ゼオライト、FER型ゼオライト、HEU型ゼオライト、MOR型ゼオライト、KFI型ゼオライト、AFX型ゼオライト、AFT型ゼオライト、EAB型ゼオライト、GME型ゼオライト、及びLEV型ゼオライトの群から選ばれる1以上が例示できる。 非晶質組成物の好ましい組成として、モル(mol)割合で、それぞれ、アルミナに対するシリカのモル比(SiO/Al比)は5以上50以下、10以上30以下、10以上29以下又は15以上25以下のいずれかであり、シリカに対するアルカリ金属のモル比(以下、「M/SiO比」ともいう。)は0.1以上0.6以下、0.1以上0.4以下、0.1以上0.3以下又は0.1以上0.2以下のいずれかであり、シリカに対する水酸化物イオン(OH)のモル比(以下、「OH/SiO比」ともいう。)は0.1以上0.6以下、0.1以上0.4以下、0.1以上0.3以下又は0.1以上0.2以下のいずれかであり、シリカに対する水のモル比(以下、「HO/SiO比」ともいう。)は3以上50以下、5以上30以下又は8以上20以下であること、が例示できる。
【0029】
非晶質組成物がカリウム、ルビジウム及びセシウムの群から選ばれる1以上と、ナトリウムと、を含む場合、シリカに対するカリウム、ルビジウム及びセシウムの群から選ばれる1以上のモル比(以下、それぞれ「K/SiO比」、又は併せて「(K+Rb+Cs)/SiO比」等ともいう。)は0以上0.5以下、好ましくは0以上0.3以下、より好ましくは0以上0.25以下であり、シリカに対するナトリウムのモル比(以下、「Na/SiO比」ともいう。)は、0.01以上1.0以下、好ましくは0.05以上0.5以下、より好ましくは0.1以上0.3以下であること、が例示できる。
【0030】
非晶質組成物は、四級アンモニウムカチオン、その他の有機構造指向剤を含まないことが好ましく、特にAEI構造を指向する有機構造指向剤を含まないことが好ましい。
【0031】
非晶質組成物は、以下のモル組成を有することが特に好ましい。但し、Mはアルカリ金属(すなわち、非晶質組成物中の全アルカリ金属)であり、(Na+K)であること好ましい。
【0032】
SiO/Al比 =12以上、25以下、
好ましくは15以上、23以下
Na/SiO比 =0.05以上、0.3以下、
好ましくは0.07以上、0.23以下
M/SiO比 =0.05以上、0.4以下、
好ましくは0.1以上、0.3以下
OH/SiO比 =0.1以上、0.4以下、
好ましくは0.1以上、0.3以下
O/SiO比 =8以上、20未満、
好ましくは10以上、18以下
なお、非晶質組成物に含まれるアルカリ金属がナトリウムのみである場合、M/SiO比とNa/SiO比の値は等しくなる。
【0033】
水熱処理は、非晶質組成物を100℃以上で処理すること、であることが好ましい。非晶質組成物が100℃以上で処理されることで、非晶質組成物中にAEI型ゼオライトを構成し得る構成単位(構成ユニット;building unit)が生成しやすくなり、さらには三次元的な構造ユニットである合成構造単位(Composite−Building Unit)に成長しやすくなる。処理時間を短縮する観点より、水熱処理は密閉容器を使用した高温自生圧下で行うことがより好ましい。水熱処理温度は100℃以上であり、130℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましい。水熱処理温度は必要以上に高くする必要はなく、例えば、230℃以下、好ましくは200℃以下であることが挙げられる。水熱処理において、非晶質組成物は撹拌又は静置のいずれの状態であってもよい。
【0034】
本実施形態の製造方法は、水熱処理後の該非晶質組成物と、有機構造指向剤と、混合して得られる原料組成物を結晶化する工程(以下、「結晶化工程」ともいう。)を有する。結晶化工程により、原料組成物からAEI型ゼオライトが得られる。水熱処理後の非晶質組成物と、有機構造指向剤(以下、「SDA」ともいう。)とが共存することで、出発原料の段階で両者が共存する組成物を結晶化するよりも、AEI型ゼオライト、更には窒素酸化物還元触媒又はその担体として適したSiO/Al比(例えば、SiO/Al比が12.5以上100以下、15以上50以下、15以上30以下、16以上25以下又は18以上23以下)を有するAEI型ゼオライトの結晶化が促進されると考えられる。
【0035】
SDAは、AEI型ゼオライトを指向するカチオンであればよい。AEI型ゼオライトを指向する公知のカチオンとして、1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジエチル−2,6−ジメチルピペリジニウムカチオン、1,1,2,6−テトラメチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1,2,6−トリメチルピペリジニウムカチオン及び1,1,2−トリエチルピペリジニウムカチオンの群から選ばれる1つ以上が例示でき、1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウムカチオン(以下、「TMP」ともいう。)及び1,1−ジエチル−2,6−ジメチルピペリジニウムカチオン(以下、「DEDMP」ともいう。)の少なくともいずれかが好ましく、TMPがより好ましい。
【0036】
SDAは塩の状態で原料組成物に含まれていればよく、SDAの塩として、SDAの水酸化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物の群から選ばれる1以上が挙げられ、SDAの水酸化物、塩化物及び臭化物の群から選ばれる1以上、であることが好ましい。
【0037】
特に好ましいSDAの塩として、1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウム水酸化物、1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウム臭化物及び1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウム塩化物の群から選ばれる1以上、更には1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウム水酸化物及び1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウム臭化物の少なくともいずれか、また更には1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウム水酸化物が挙げられる。
【0038】
非晶質組成物と原料組成物のSiO/Al比等の組成を調整するため、結晶化工程では、必要に応じ、アルミナ源、シリカ源、アルカリ源及び水の群から選ばれる1以上と、SDAを、水熱処理後の非晶質組成物に混合して得られた原料組成物を結晶化してもよい。原料組成物のSiO/Al比は非晶質組成物のSiO/Al比よりも大きいことが好ましい。非晶質組成物よりも原料組成物のSiO/Al比が大きいことで、得られるAEI型ゼオライトが微細化しにくくなる傾向があると考えられる。原料組成物のSiO/Al比は、非晶質組成物のSiO/Al比に対し1以上、3以上、5以上、7以上又は10以上高いことが例示できる。
【0039】
アルミナ源、シリカ源、アルカリ源及び水は、それぞれ、非晶質組成物で使用した非晶質アルミナ源、非晶質シリカ源、アルカリ源及び水と同様なものを使用することができる。 原料組成物において、特に好ましいアルミナ源及びシリカ源として、非晶質アルミノシリケートが挙げられる。非晶質アルミノシリケートは、SiO/Al比が、5以上、10以上、13以上又は15以上であり、かつ、2000未満、300以下、200以下、150以下、90以下、50以下、30以下又は25以下、であることが好ましい。原料組成物はSiO/Al比が異なる2以上の非晶質アルミノシリケートを含んでもよい。
【0040】
AEI型ゼオライトの結晶化が促進される傾向があるため、原料組成物は、非晶質シリカ源及び非晶質アルミナ源に対して十分に少ない量の種晶を含んでいてもよい。
【0041】
原料組成物(種晶を除く)中のアルミニウム及びケイ素を、それぞれ、Al及びSiO換算した合計質量を求め、当該合計質量に対し、種晶中のアルミニウム及びケイ素を、それぞれ、Al及びSiO換算した合計質量割合(以下、「種晶含有量」ともいう。)が0質量%以上30質量%以下、更には0.5質量%以上20質量%以下、更には1質量%10質量%以下、また更には0.5質量%以上5質量%以下となるように、原料組成物と種晶とを混合することが挙げられる。
【0042】
原料組成物に混合される種晶として、AEI型ゼオライト、CHA型ゼオライト、OFF型ゼオライト、ERI型ゼオライト、FER型ゼオライト、HEU型ゼオライト、MOR型ゼオライト、KFI型ゼオライト、AFX型ゼオライト、AFT型ゼオライト、EAB型ゼオライト、GME型ゼオライト、及びLEV型ゼオライトの群から選ばれる1以上が例示でき、CHA型ゼオライト、AEI型ゼオライト、MOR型ゼオライト及びFER型ゼオライトの群から選ばれる1以上が好ましく、AEI型ゼオライト及びCHA型ゼオライトの少なくともいずれかであることが好ましい。
【0043】
原料組成物は、水熱処理後の非晶質組成物及びSDA、必要に応じてシリカ源等、を任意の方法で混合すること、好ましくは水熱処理後の非晶質組成物、SDA、アルミナ源及びシリカ源を混合すること、より好ましくは水熱処理後の非晶質組成物、SDA、アルミナ源シリカ源及びアルカリ源を混合すること、で得られる。また、SDA及びシリカ源等を混合した混合物と、水熱処理後の非晶質組成物とを混合することで原料組成物を得ることが好ましく、例えば、SDAと、必要に応じてアルミナ源、シリカ源、アルカリ源と水を混合して得られる混合物を、水熱処理後の非晶質組成物とを混合することが挙げられる。
【0044】
原料組成物の好ましい組成として、モル(mol)割合で、それぞれ、SiO/Al比は10以上100以下、15以上50以下、15以上40以下又は15以上35以下であり、シリカに対するSDAのモル比(以下、「SDA/SiO比」ともいう。)は0.05以上0.5以下、0.10以上0.40以下、0.10以上0.30以下、0.10以上0.20以下又は、0.10以上0.16以下であり、M/SiO比は0.1以上0.6以下、0.1以上0.3未満又は0.1以上0.25以下であり、OH/SiO比は0.1以上0.5以下、0.2以上0.45以下又は0.2以上0.4以下であり、HO/SiO比は3以上50以下、5以上50以下、5以上25以下又は7以上20以下であること、が例示できる。
【0045】
原料組成物がカリウム、ルビジウム及びセシウムの群から選ばれる1つ以上と、ナトリウムと、を含む場合、(K+Rb+Cs)/SiO比は0以上0.5以下、0以上0.3以下0以上0.1以下、0以上0.06以下、0を超え0.5以下、0を超え0.3以下、0を超え0.1以下又は0を超え0.06以下であり、Na/SiO比は、0.01以上1.0以下、0.05以上0.4以下、0.05以上0.3以下又は0.1以上0.25以下であること、が例示できる。
【0046】
原料組成物が、以下のモル組成を有することが特に好ましい。但し、Mはアルカリ金属(すなわち、原料組成物中の全アルカリ金属)であり、(Na+K)であること好ましい。
【0047】
SiO/Al比 =20以上、50以下、
好ましくは25以上、40以下
Na/SiO比 =0.05以上、0.3以下、
好ましくは0.1以上、0.25以下
M/SiO比 =0.05以上、0.5以下、
好ましくは0.1以上、0.3以下
SDA/SiO比 =0.1以上、0.3以下、
好ましくは0.1以上、0.2以下
OH/SiO比 =0.1以上、0.4以下、
好ましくは0.2以上、0.4以下
O/SiO比 =8以上、20未満、
好ましくは9以上、15以下
なお、原料組成物に含まれるアルカリ金属がナトリウムのみである場合、M/SiO比とNa/SiO比の値は等しくなる。
【0048】
結晶化工程では、原料組成物を結晶化する。結晶化は水熱合成により行うことが好ましい。結晶化温度は100℃以上であり、130℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましい。結晶化温度は必要以上に高くする必要はなく、例えば、200℃以下、好ましくは180℃以下であることが挙げられる。結晶化温度は、非晶質組成物の水熱処理と同じ温度であってもよく、また、非晶質組成物の水熱処理より高くてもよい。結晶化において、原料組成物は撹拌又は静置のいずれの状態であってもよい。これにより、AEI型ゼオライトの単一相、すなわち、XRD測定においてAEI構造以外で同定される結晶性物質を含まないゼオライト、が得られる。
【0049】
結晶化工程の時間は任意であるが、10時間以上150時間以下であることが挙げられる。特に本実施形態において、結晶化工程の時間が100時間以下、更には80時間未満であってもAEI型ゼオライトの収率(以下、単に「収率」ともいう。)が60%以上80%以下となり得る。更には、結晶化工程の時間が75時間以下、より好ましくは72時間未満であっても、収率が50%以上75%以下となり得る。効率的な収率とするため、結晶化工程の時間は24時間以上80時間未満、更には48時間以上75時間以下であることが好ましい。結晶化工程の時間は、非晶質組成物の水熱処理及び原料組成物の結晶化の合計の時間であり、換言すると、AEI型ゼオライトの結晶化が完了し、AEI構造の結晶性が一定となるまでの時間である。
【0050】
結晶化工程において、非晶質組成物の水熱処理の時間と、原料組成物の結晶化の時間は任意であり、非晶質組成物の水熱処理は非晶質組成物の組成が安定になるまで行えばよく、5時間以上が例示できる。また、原料組成物の結晶化の時間は、AEI型ゼオライトが結晶する時間であればよい。例えば、結晶化工程の時間に占める、非晶質組成物の水熱処理の時間:原料組成物の結晶化の時間として1:9〜7:3であること、が挙げられる。
【0051】
本実施形態における収率は以下の式から求められる。
【0052】
収率(質量%)=WCry/WRaw×100
上式におけるWCry及びWRawは、それぞれ、AEI型ゼオライト及び原料組成物における、Al換算したAl及びSiO換算したSi質量の合計質量である。
【0053】
汎用的な材質から構成される製造設備が適用しやすくなるため、非晶質組成物及び原料組成物は、フッ素(F)及びリン(P)を含まないことが好ましい。非晶質組成物及び原料組成物は、ICP測定等、一般的な組成分析におけるフッ素含有量及びリン含有量が、それぞれ、100質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることがより好ましく、測定限界以下であることが更に好ましい。
【0054】
水熱処理後の非晶質組成物とSDAとの混合は、断続的又は連続的のいずれで行ってもよく、非晶質組成物とSDA等とを逐次的に混合してもよい。例えば、水熱処理後の非晶質組成物を冷却した後に、当該非晶質組成物とSDA等を混合して原料組成物として、これを再度加熱して結晶化することが挙げられる。一方、圧力ポンプ等を使用してSDA等を非晶質組成物に混合することで、非晶質組成物を冷却することなく、水熱処理後の非晶質組成物とSDAとを混合し、連続的に、原料組成物を結晶化することができる。
【0055】
本実施形態の製造方法では、洗浄工程、乾燥工程、SDA除去工程及びイオン交換工程の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
【0056】
洗浄工程は、AEI型ゼオライトと液相とを固液分離する。洗浄工程は、公知の方法で固液分離をし、固相として得られるAEI型ゼオライトを純水で洗浄すればよい。
【0057】
乾燥工程は、AEI型ゼオライトに物理吸着している水分を除去する。乾燥条件は任意であり、AEI型ゼオライトを、大気中、50℃以上、150℃以下で2時間以上、静置又はスプレードライヤーによる乾燥が例示できる。
【0058】
SDA除去工程は、AEI型ゼオライトに含まれるSDAを除去する。SDAの除去方法として、酸性水溶液による液相処理、レジンにより交換処理、熱分解処理及び焼成処理の群から選ばれる1つ以上が例示できる。製造効率の観点から、SDA除去工程は熱分解処理及び焼成処理の少なくともいずれかであることが好ましい。
【0059】
イオン交換工程は、AEI型ゼオライトを任意のカチオンタイプとする。例えば、カチオンタイプをアンモニウム(NH)型とする場合、AEI型ゼオライトを塩化アンモニウム水溶液に混合及び攪拌してイオン交換することが挙げられる。また、カチオンタイプをプロトン(H)型とする場合、アンモニウム(NH)型のAEI型ゼオライトを、大気中で焼成することが挙げられる。
【0060】
本実施形態の製造方法によって得られるAEI型ゼオライト(以下、「本実施形態のAEI型ゼオライト」ともいう。)として、例えば、SiO/Al比が12.2以上100以下、好ましくは14以上50以下、より好ましくは15以上30以下であること、平均結晶径が0.3μm以上5.0μm以下、好ましくは0.4μm以上3.0μm以下、より好ましくは0.5μm以上3.0μm以下であること、及び、酸量が0.5mmol/g以上3mmol/g以下、好ましくは1mmol/g以上2mmol/g以下であること、の少なくとも1つを満たすAEI型ゼオライトが例示できる。
【0061】
本実施形態において「結晶径」は一次粒子の粒径であり、電子顕微鏡で観察される独立した最小単位の粒子の直径である。また、「平均結晶径」は、電子顕微鏡で観察される30個以上(好ましくは、50±15個)の一次粒子の結晶径を相加平均した値である。そのため、複数の一次粒子が凝集した二次粒子の直径である二次粒子径や平均二次粒子径と、結晶径や平均結晶径と、は異なる。一次粒子の形状は、立方晶形状、正方晶形状、並びに、立方晶形状又は正方晶形状が複合化した双晶形状からなる群の少なくとも1種であってもよい。
【0062】
「酸量」は、有機物を除去した状態のプロトン型のAEI型ゼオライトをアンモニアTPD測定することで求めることができる。
【0063】
本実施形態のAEI型ゼオライトは、高い耐熱性を有し、水熱雰囲気への曝露前後の結晶性の低下が少なく、Y型ゼオライトを原料として得られる従来のAEI型ゼオライトと比べて、水熱雰囲気への曝露前後の結晶性の低下が少ないことが好ましい。水熱雰囲気への曝露による結晶性の低下度合いは、水熱雰囲気に晒される前の結晶性に対する、水熱雰囲気に晒された後の結晶性の割合(以下、「結晶化維持率」ともいう。)を指標とすることができ、これは熱水雰囲気の曝露前後のXRDピークの強度を比較することで求めることができる。
【0064】
本実施形態のAEI型ゼオライトは、触媒担体や吸着剤として使用することができる。更には、本実施形態のAEI型ゼオライトに銅及び鉄の少なくともいずれかを修飾することで、これを触媒として、更には窒素酸化物還元触媒として使用することが期待できる。
【実施例】
【0065】
以下、実施例により本実施形態の製造方法を説明する。しかしながら、本実施形態はこれら実施例に限定されるものではない。
【0066】
(結晶相の同定)
一般的なX線回折装置(装置名:UltimaIV、リガク社製)を使用し、試料のXRD測定をした。線源にはCuKα線(λ=1.5405Å)を使用し、測定範囲は2θとして3°から43°の範囲で測定した。
得られたXRDパターンと、特許文献1の表1のXRDパターンとを比較することで、試料の構造を同定した。
(組成分析)
フッ酸と硝酸の混合水溶液に試料を溶解して試料溶液を調製した。一般的なICP装置(装置名:OPTIMA5300DV、PerkinElmer社製)を使用して、当該試料溶液を誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES)で測定した。得られたSi、Alの測定値から、試料のSiO/Al比を求めた。
(結晶化維持率)
水熱耐久処理前後のAEI型ゼオライト試料について、結晶構造の同定と同様な方法でXRD測定した。得られたXRDパターンについて、バックグラウンド除去処理及びピークサーチ処理を行った後、2θ=16.9±0.2°及び17.2±0.2°に相当するXRDピークのピーク強度を合計し、AEI型ゼオライト試料の結晶化度とした。以下の 結晶化維持率(%)=(水熱耐久処理後の結晶化度)
÷(水熱耐久処理前の結晶化度)×100
式を用いて結晶化維持率を算出した。
【0067】
実施例1
純水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び、SiO/Al比が19の非晶質アルミノシリケートを混合し、以下のモル組成を有する組成物を得、これを非晶質組成物とした。以下のモル組成におけるM/SiO比は、非晶質組成物における(Na+K)/SiOを示す。
SiO/Al比 =19
Na/SiO比 =0.12
(K/SiO比 =0.08)
M/SiO比 =0.20
O/SiO比 =16
OH/SiO比 =0.20
【0068】
該非晶質組成物を密閉容器内に充填し、これを攪拌しながら180℃で水熱処理した後、水熱処理後の非晶質組成物に、1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウム水酸化物(以下、「TMPOH」ともいう。)、純水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、SiO/Al比20の非晶質アルミノシリケート、及びSiO/Al比90の非晶質アルミノシリケートを混合し、以下のモル組成を有する原料組成物を得た。以下のモル組成におけるM/SiO比は、原料組成物における(Na+K)/SiOを示す。
SiO/Al比 =30
Na/SiO比 =0.20
(K/SiO比 =0.04)
M/SiO比 =0.24
TMP/SiO比 =0.13
O/SiO比 =12.7
OH/SiO比 =0.37
【0069】
原料組成物に、種晶含有量が0.9質量%となるようにCHA型ゼオライトを混合した後、該原料組成物を密閉容器内に充填し、これを攪拌しながら170℃で水熱合成した。本実施例における結晶化工程に要した時間は70時間であった。
【0070】
水熱合成後、得られた結晶化物を固液分離して回収した後、純水洗浄、及び、大気中、110℃で乾燥した。当該結晶化物はSiO/Al比が21のAEI型ゼオライトであり、AEI型ゼオライト以外の結晶化物を含んでいなかった。収率は71質量%であり、平均結晶径は0.55μmであった。
【0071】
実施例2
原料組成物の組成を以下のモル組成となるように、実施例1と同様な非晶質組成物に、TMPOH等を混合したこと以外は実施例1と同様な方法で原料組成物を結晶化し、洗浄、乾燥した。以下のモル組成におけるM/SiO比は、原料組成物における(Na+K)/SiOを示す。
SiO/Al比 =30
Na/SiO比 =0.21
(K/SiO比 =0.04)
M/SiO比 =0.25
TMP/SiO比 =0.13
O/SiO比 =12.7
OH/SiO比 =0.38
【0072】
本実施例の結晶化工程に要した時間は70時間であり、得られた生成物はSiO/Al比が20のAEI型ゼオライトであり、AEI型ゼオライト以外の結晶化物を含んでいなかった。収率は69質量%であった。
【0073】
実施例3
原料組成物の組成を以下のモル組成となるように、実施例1と同様な非晶質組成物に、TMPOH等を混合したこと以外は実施例1と同様な方法で原料組成物を結晶化し、洗浄、乾燥した。以下のモル組成におけるM/SiO比は、原料組成物における(Na+K)/SiOを示す。
SiO/Al比 =30
Na/SiO比 =0.20
K/SiO比 =0.04
M/SiO比 =0.24
TMP/SiO比 =0.14
O/SiO比 =12.9
OH/SiO比 =0.38
【0074】
本実施例の結晶化工程に要した時間は70時間であり、得られた生成物はSiO/Al比が20のAEI型ゼオライトであり、AEI型ゼオライト以外の結晶化物を含んでいなかった。収率は69質量%であった。
【0075】
実施例4
非晶質組成物の組成を以下の組成としたこと、及び、種晶を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で非晶質組成物を結晶化した。
SiO/Al比 =20
Na/SiO比 =0.18
(K/SiO比 =0.01)
M/SiO比 =0.19
O/SiO比 =12
OH/SiO比 =0.19
【0076】
結晶化後の非晶質組成物を使用し、以下の組成の原料組成物を得た。
SiO/Al比 =26
Na/SiO比 =0.22
(K/SiO比 =0.01)
M/SiO比 =0.23
TMP/SiO比 =0.13
O/SiO比 =11
OH/SiO比 =0.36
【0077】
種晶含有量を12.9質量%とした後、該原料組成物を密閉容器内に充填し、これを攪拌しながら170℃で水熱合成した。本実施例における結晶化工程に要した時間は60時間であった。得られた生成物はSiO/Al比が17のAEI型ゼオライトであり、AEI型ゼオライト以外の結晶化物を含んでいなかった。収率は65質量%であった。
【0078】
比較例1
米国特許5,958,370号の実施例を参照し、出発原料としてY型ゼオライトを使用してAEI型ゼオライトを製造した。すなわち、純水、水酸化ナトリウム、ケイ酸ソーダ水溶液、SiO/Al比が6のY型ゼオライト、及び1,1−ジエチル−cis−2,6−ジメチルピペリジニウムヒドロキシド(以下、「DEDMPOH」ともいう。)を混合し、以下の組成を有する原料組成物を得た。
SiO/Al比 =50
Na/SiO比 =0.56
DEDMPOH/SiO比 =0.16
O/SiO比 =44.8
OH/SiO比 =0.72
【0079】
原料組成物中のゼオライトの含有量は13.9質量%であった。原料組成物を密閉容器内に充填し、これを攪拌しながら135℃で168時間の水熱合成をさせた。得られた生成物はSiO/Al比が19のAEI型ゼオライトであったが、収率は40質量%であった。
【0080】
比較例2
特許文献5の実施例29に準じた方法でAEI型ゼオライトを製造した。すなわち、純水、水酸化カリウム、TMPOH、Al(OH)、及びスノーテックス40を混合し、以下の組成を有する原料組成物を得た。
SiO/Al比 =15
K/SiO比 =0.30
TMP/SiO比 =0.15
O/SiO比 =15
OH/SiO比 =0.45
【0081】
原料組成物にAEI型ゼオライトを5質量%混合した後、これを密閉容器内に充填し、攪拌しながら175℃で48時間、水熱合成させた。収率は68質量%であったが、得られた生成物はSiO/Al比が9.7のAEI型ゼオライトであった。
【0082】
比較例3
純水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、SiO/Al比が27の非晶質アルミノシリケート及びTMPOHを混合し、以下の組成を有する原料組成物を得た。
SiO/Al比 =27
Na/SiO比 =0.13
K/SiO比 =0.03
M/SiO比 =(Na+K)/SiO
=0.16
TMP/SiO比 =0.20
O/SiO比 =9.8
OH/SiO比 =0.36
【0083】
原料組成物にAEI型ゼオライトを4.3質量%混合した後、原料組成物を密閉容器内に充填し、これを攪拌しながら170℃で168時間の水熱合成をさせた。得られた生成物はSiO/Al比が18のAEI型ゼオライトであった。収率は69質量%であった。
【0084】
比較例4
水熱合成時間を75時間としたこと以外は比較例1と同様な方法で水熱合成した。
【0085】
得られた生成物はアモルファスのみであり、AEI型ゼオライトは得られなかった。
【0086】
比較例3及び4より、SDAを含む出発原料を使用した場合、結晶化に長時間を要することが確認できた。
【0087】
測定例
実施例3で得られたAEI型ゼオライトを、600℃×2時間空気中で焼成することで、AEI型ゼオライトをプロトン型に交換した。交換後のAEI型ゼオライトに以下の条件で水熱耐久処理を施し、結晶化維持率を測定した。
【0088】
処理温度 : 900℃
処理時間 : 4時間
処理雰囲気: 含水空気流通下(水10体積%、空気90体積%)
昇温速度 : 20℃/分
昇温雰囲気: 室温から200℃までは空気流通下、
200℃超は含水空気流通下
比較のため、Y型ゼオライトの構造転換により製造されたAEI型ゼオライト(以下、「比較試料」ともいう。)に、同様な方法で水熱耐久処理を施し、結晶化維持率を測定した。
【0089】
結晶化維持率の結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
表1より、本実施形態の製造方法で得られたAEI型ゼオライトは水熱耐久処理後の結晶化維持率が高く、Y型ゼオライトの転換により得られたAEI型ゼオライトと比べて結晶が安定していることが確認できた。さらに、本実施形態の製造方法で得られたAEI型ゼオライトは900℃、4時間の水熱耐久処理前後で結晶化度の変化が観察されず、非常に高い耐久性を有することが確認できた。