【解決手段】長尺な一対のリフトアーム11,11と、一対のリフトアーム11,11の長手方向に沿った移動を案内する一対の案内機構20,20と、一対のリフトアーム11,11を長手方向に沿って移動させる一対の移動機構15,15と、を備えており、案内機構20は、リフトアーム11を挟むように配設された、回転するローラ22を有する一対のガイド部21,21を備えており、一対のガイド部21,21のローラ22は、その外周面22s同士が対向し、かつ、リフトアーム11の昇降方向に沿って回転するように配設されており、リフトアーム11には、リフトアーム11の長手方向に沿って一対のガイド部21,21のローラ22の外周部22sを収容する一対のガイド溝11g,11gが形成されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態のアノード持上げ装置は、アノードを搬送する設備に使用される装置であって、段差のある搬送コンベア間等においてアノードを移動させる装置である。
【0012】
本実施形態のアノード持上げ装置が採用される設備はとくに限定さない。例えば、電解精錬による電気銅の製造に使用される設備において、アノードを成形するアノードプレスから供給されるアノードを次工程に搬送する設備や、アノードを鋳造工程から機械加工工程に搬送する設備等を挙げることができる。
【0013】
本実施形態のアノード持上げ装置によって持ち上げられるアノードもとくに限定されない。電解精錬による電気銅の製造に使用されるアノードや電気ニッケルの製造等に使用されるアノードを挙げることができる。
【0014】
<アノードA>
まず、本実施形態のアノード持上げ装置10が採用される搬送設備1によって搬送されるアノードAの概略を説明する。
【0015】
図4に示すように、アノードAは、正面視で略四角形に形成された胴体部ABと、この胴体部ABの上端に設けられた一対の肩部AS,ASと、を備えている。一対の肩部AS,ASは、胴体部ABの幅方向の両端部にそれぞれ設けられており、その先端が胴体部ABの側端から突出している。
【0016】
このため、アノードAは、一対の肩部AS,ASを電解槽の電極(ブスバー)に引っ掛けて懸垂された状態とすることができ、その状態で胴体部ABを電解槽中の電解液に浸漬することができる。
【0017】
アノードAの大きさはとくに限定されない。例えば、銅電解精錬に使用するアノードAであれば、電解槽やカソードの大きさに合わせて、胴体部ABは、高さが1000〜1100mm、横幅が約1000〜1100mm、厚さが約20〜60mmに形成される。また、各肩部ASは、アノードAを吊り下げたときに重量を支えることができる大きさであれば特に制限はない。例えば、各肩部ASの長さ、つまり、胴体部ABの幅方向と平行な方向の長さが約150〜250mm、幅、つまり、胴体部ABの高さ方向と平行な方向の長さが約50〜150mm、厚さが約20〜60mmに形成される。
【0018】
<アノード搬送設備1>
つぎに、本実施形態のアノード持上げ装置10が採用される搬送設備1について簡単に説明する。
【0019】
<上流側搬送コンベア2>
図4において、符号2は、搬送設備1において、アノードAを搬送する上流側搬送コンベアを示している。具体的には、搬送コンベア2は、アノードAの一対の肩部AS,ASを保持した状態(つまりアノードAを懸垂した状態)で水平方向に搬送するコンベアである。例えば、搬送コンベア2は、互いに平行かつ間隔を空けて水平に設けられた一対のチェーン2c,2cを有しており(
図4(B))、一対のチェーン2c,2cの上面にそれぞれアノードAの一対の肩部AS,ASを引っ掛けた状態でアノードAを懸垂したまま水平に搬送できるようになっている。
【0020】
なお、上流側搬送コンベア2は、アノードAを懸垂した状態で水平方向に搬送できるものであればよく、その構造はとくに限定されない。ここでいう水平方向には、水平の状態と、水平に対して若干傾斜している状態の両方を含んでいる。
【0021】
<アノード持上げ装置10>
図4に示すように、上流側搬送コンベア2の搬送方向の下流側には、本実施形態のアノード持上げ装置10が設けられている。このアノード持上げ装置10は、アノードAの一対の肩部AS,ASを保持して上方に押し上げる装置である。このアノード持上げ装置10は、一対のリフトアーム11,11によってアノードAの一対の肩部AS,ASを上流側搬送コンベア2の上面(一対のチェーンを有する場合には、チェーンの上面)から浮いた状態まで鉛直に持ち上げるものであるが、詳細は後述する。
【0022】
<下流側搬送コンベア3>
図4に示すように、上流側搬送コンベア2の上方には下流側搬送コンベア3が設けられている。下流側搬送コンベア3は、一対のフック3f,3fからなるフックセットfs(
図4(B)参照)を複数備えており、このフックセットfsの一対のフック3f,3fにアノードAの一対の肩部AS,ASをそれぞれ引っ掛けて保持した状態(つまりアノードAを懸垂した状態)で搬送するコンベアである。例えば、下流側搬送コンベア3は、互いに平行かつ間隔を空けて設けられた一対のチェーンを有しており、この一対のチェーンにフックセットfsの一対のフック3f,3fがそれぞれ保持されている。そして、フックセットfsが、所定の間隔となるように一対のチェーンに配設されている。
【0023】
なお、一対のフック3f,3fの形状はとくに限定されず、アノード持上げ装置10で持ち上げられているアノードAの一対の肩部AS,ASを保持することができるようになっていればよい。例えば、
図4(A)に示すように、一対のフック3f,3fを、その先端(下端)にアノードAを搬送する方向(
図4では右方向)に突出し上面が平坦面となった突起部を有する構造としてもよい。この場合、下流側搬送コンベア3によってフックセットfsの一対のフック3f,3fをアノードAの一対の肩部AS,ASに向かって移動させるだけで、フックセットfsの一対のフック3f,3fによってアノードAの一対の肩部AS,ASを引っ掛けて保持できる。
【0024】
以上のような搬送設備1の場合、以下のようにしてアノードAを前工程から次工程に搬送することができる。
【0025】
まず、上流側搬送コンベア2にアノードAが載せられると、上流側搬送コンベア2によってアノードAが下流側へ向かって搬送される。そして、上流側搬送コンベア2は、所定の位置、つまり、アノード持上げ装置10の位置まで到達すると、一旦アノードAの搬送を停止する。
【0026】
なお、複数枚のアノードAを搬送方向に複数枚並べた状態で搬送する場合には、最前方に位置するアノードA(言い換えれば最も下流側に位置するアノードA)がアノード持上げ装置10の位置まで到達すると、一旦アノードAの搬送を停止する。
【0027】
アノードAの搬送が停止すると、アノード持上げ装置10の一対のリフトアーム11,11が上昇し、一対のリフトアーム11,11によってアノードAは鉛直に持ち上げられる。そして、アノードAの一対の肩部AS,ASが下流側搬送コンベア3のフックセットfsの一対のフック3f,3fの先端の位置まで到達すると、一対のリフトアーム11,11の上昇が停止する。
【0028】
すると、下流側搬送コンベア3によってフックセットfsの一対のフック3f,3fがアノードAの位置まで移動され、フックセットfsの一対のフック3f,3fの先端部にアノードAの一対の肩部AS,ASが引っ掛かると、下流側搬送コンベア3は一旦停止する。
【0029】
下流側搬送コンベア3が停止すると、アノード持上げ装置10の一対のリフトアーム11,11は下降し、フックセットfsの一対のフック3f,3fだけでアノードAが保持された状態となる。そして、一対のリフトアーム11,11が元の状態まで戻ると、一対のリフトアーム11,11の下降が停止し、上流側搬送コンベア2によるアノードAの搬送が再開する。そして、下流側搬送コンベア3によってアノードAは次工程まで搬送される。
【0030】
以上の動作を順次繰り返すことによって、搬送設備1は、アノードAを前工程から次工程まで搬送でき、前工程からアノードAが供給される高さと、次工程にアノードAを供給する高さに差があっても、安定してアノードAを前工程から次工程に搬送することができる。
【0031】
<アノード持上げ装置10の詳細>
以下では、アノード持上げ装置10の構造を詳細に説明する。
【0032】
図4に示すように、アノード持上げ装置10は、一対のリフトアーム11,11と、一対のリフトアーム11,11を移動させる一対の移動機構15,15と、一対のリフトアーム11,11の移動を案内する一対の案内機構20,20と、を備えている。
【0033】
各リフトアーム11は、搬送設備1の上流側搬送コンベア2においてアノードAの各肩部ASをそれぞれ保持する各チェーン2cの下方にそれぞれ設けられている。そして、各リフトアーム11を移動させる移動機構15および各リフトアーム11の移動を案内する案内機構20も、それぞれ上流側搬送コンベア2の各チェーンの下方(下方に収まりきらない場合は外方に張り出す場合もある)にそれぞれ設けられている。上流側搬送コンベア2の各チェーンの外方に設けられるリフトアーム11、移動機構15および案内機構20は実質的に同じ構造を有しているので、以下では、
図4(B)の右側に位置するリフトアーム11、移動機構15および案内機構20を代表として説明する。
【0034】
<リフトアーム11>
図1〜
図3に示すように、リフトアーム11は長尺な棒状(または板状)の部材である。このリフトアーム11は断面が長方形に形成されており、その長辺側の一方の面11aが上流側搬送コンベア2のフレーム2fの側面に向いた状態となるように、案内機構20によって保持されている。
【0035】
このリフトアーム11の短辺側の面11b,11bには、その長手方向に沿って延びる一対のガイド溝11g,11gが設けられている。この一対のガイド溝11g,11gは、実質的に同じ形状に形成されており、後述するように、案内機構20のローラ22のローラ22の外周部が収容される大きさに形成されている。具体的には、一対のガイド溝11g,11gは面11b,11bから凹んだ溝であり、その内底面bが面11b,11bの表面と平行な平坦面となるように形成されている。言い換えれば、リフトアーム11の長手方向と平行な平坦面になるように形成されている。また、一対のガイド溝11g,11gは、その内底面bを挟む一対の側面s,sが内底面bと直交する互いに平行な面となるように形成されている(
図3参照)。
【0036】
また、リフトアーム11の先端には、上流側搬送コンベア2によるアノードAの搬送方向の下流側に突起状のストッパー部11sが設けられている。このストッパー部11sは、リフトアーム11によってアノードAを持ち上げた際に、アノードAが落下することを防止するために設けられている。また、リフトアーム11が下降した状態でも、このストッパー部11sの先端が上流側搬送コンベア2のチェーンの上面から突出した状態になるようにしておけば、上流側搬送コンベア2によって搬送されるアノードAの移動を停止させるストッパーとしてストッパー部11sを機能させることもできる。
【0037】
<移動機構15>
図1に示すように、リフトアーム11の下端部には、リンク機構16を介して、シリンダ18のロッドが連結されている。シリンダ18は、その伸縮方向が上流側搬送コンベア2によってアノードAが搬送される方向と略平行となるように設けられている。しかも、シリンダ18は、そのシリンダボディが、その基端を支点として上下方向に揺動可能になるように、上流側搬送コンベア2のフレーム2fや搬送設備1の機枠等に連結されている。
【0038】
リンク機構16は、リフトアーム11の下端部に連結された連結部材16aを有している。この連結部材16aは、棒状または板状の部材であり、その先端部がリフトアーム11の下端部に対して相対的に回転可能に連結されている。例えば、リフトアーム11の下端部と連結部材16aの先端部はピン等によって連結されている。
【0039】
この連結部材16aの下端部は、略L字状に形成された揺動部材16bの一端に相対的に回転可能に連結されている。例えば、連結部材16aの下端部と揺動部材16bの一端とがピン等によって連結されている。この揺動部材16bは、その屈曲部分を支点として上下方向に揺動するように、上流側搬送コンベア2のフレーム2fや搬送設備1の機枠等に取り付けられている。この揺動部材16bの他端は、シリンダ18のロッドの先端部に相対的に回転可能に連結されている。例えば、揺動部材16bの他端とシリンダ18のロッドの先端部とがピン等によって連結されている。
【0040】
なお、リンク機構16の構成は上述した構成に限定されず、シリンダ18の伸縮を上下方向の移動に変換してリフトアーム11を上下方向に移動させることができる構成であればよい。
また、移動機構15は、必ずしもシリンダ18によってリフトアーム11を移動させる力を発生させるものでなくてもよい。例えば、リフトアーム11を移動させる駆動源として、モーターとクランク等を採用してもよい。
さらに、シリンダ18の伸縮方向は水平方向でなくてもよく、シリンダ18の伸縮方向をリフトアーム11の昇降方向(つまり鉛直方向)と平行になるようにしてもよい。しかし、上記のようにシリンダ18の伸縮方向を水平方向とすれば、本実施形態のアノード持上げ装置10の高さを低くできるという利点が得られる。
【0041】
<案内機構20>
図1〜
図3に示すように、リフトアーム11は、その長手方向が鉛直方向を向いた状態で、かつ、長手方向に沿って(言い換えれば鉛直方向に沿って)移動可能に案内機構20によって保持されている。
【0042】
案内機構20は、リフトアーム11をその側方から挟むように設けられた、一対のガイド部21,21を有している。具体的には、リフトアーム11の断面における短辺側からリフトアーム11を挟むように、一対のガイド部21,21が設けられている。
【0043】
一対のガイド部21,21は、リフトアーム11の長手方向(言い換えれば鉛直方向)に沿って回転するように配設されたローラ22をそれぞれ3個有している。各ガイド部21の3個のローラ22は、その回転軸が互いに平行かつ鉛直方向に沿って、一直線上に並ぶように配設されている。一対のガイド部21,21に設けられるローラ22はいずれも同じ形状に形成されている。
具体的には、ローラ22は、ベアリングによって形成されている。このローラ22の外径はとくに限定されないが、68.0〜68.5mm程度が好ましい。また、ローラ22の幅RWは、ガイド溝11gの一対の側面s,s間の距離RGとほぼ同じか若干短く(例えば0.8〜1.0mm程度短く)なるように形成されている。
【0044】
また、一対のガイド部21,21のローラ22は、一方のガイド部21のローラ22と他方のガイド部21のローラ22の互いに対応するローラ22の外周面同士が互いに対向するように配設されている。より具体的には、一対のガイド部21,21のローラ22は、対応するローラ22同士の回転軸が平行かつ鉛直方向の高さが同じ高さになるように設置されている。
【0045】
そして、一対のガイド部21,21のローラ22は、その外周面がリフトアーム11の一対のガイド溝11g,11gにそれぞれ収容された状態となるように、対応するローラ22同士の間隔が調整されている(
図2、
図3参照)。具体的には、対応するローラ22の外周面間の距離LD1がリフトアーム11の一対のガイド溝11g,11gの内底面b間の距離LD2とほぼ同じか若干長く(例えば2.0〜2.5mm程度長く)なるように、一対のガイド部21,21の3個のローラ22は配設されている。
【0046】
アノード持上げ装置10のリフトアーム11、移動機構15および案内機構20が以上のような構成を有している。したがって、一対の移動機構15,15のシリンダ18を作動させれば、一対のリフトアーム11,11を一対の案内機構20,20に案内されて鉛直方向に沿って昇降させることができる。
【0047】
そして、一対の移動機構15,15のシリンダ18が同じタイミングで同じ量だけリフトアーム11を上昇させるように制御すれば、アノードAの肩部AS,ASを同じタイミングで同じ量だけ上昇させることができる。したがって、アノードAを安定した状態で上流側搬送用コンベア2から持ち上げることができる。
【0048】
また、一対のリフトアーム11,11は、一対のガイド溝11g,11gに一対の案内機構20,20のローラ22の外周面が挿入された状態で案内されるので、安定した状態で鉛直方向に沿って昇降できる。しかも、一対のリフトアーム11,11の長手方向に沿って回転するローラ22が一対のリフトアーム11,11の移動を案内している。すると、一対のリフトアーム11,11が移動する際に、一対のリフトアーム11,11と一対の案内機構20,20との間に発生する抵抗を小さくできるから、一対のリフトアーム11,11や一対の案内機構20,20の摩耗などによる損傷を低減することができる。したがって、アノード持上げ装置10によってアノードAを長期間安定してリフトすることができるので、アノード持上げ装置10のメンテナンス回数などを低減することができる。
【0049】
<リフトアーム11について>
リフトアーム11の断面形状はとくに限定されず、上述したような長方形に限られず、正方形でもよいし、円形でもよい。長手方向に沿って延びる一対のガイド溝11g,11gが側面に形成されていればよい。
【0050】
リフトアーム11の先端部の形状もとくに限定されず、アノードAの肩部Asを安定して保持できる形状であればよい。例えば、ある程度先端面の面積が広ければ、上述したようなストッパー部11sを設けなくてもよい。また、一つのリフトアーム11に一対のストッパー部11s,11sを設けて、その間にアノードAの肩部Asが配置されるようにしてもよい。
【0051】
<ローラ22の設置方法>
ローラ22は回転可能に設置されていればよく、その設置方法もとくに限定されない。例えば、搬送設備1の上流側搬送コンベア2のフレーム2fに直接ローラ22を設置してもよい。また、後述するようにベース部材23を設けて、このベース部材23にローラ22を設置して、ベース部材23を上流側搬送コンベア2のフレーム2fに取り付けるようにしてもよい。
【0052】
ベース部材23にローラ22を設置する場合には、以下のような構成とすれば、ローラ22の交換が容易になるので、本実施形態のアノード持上げ装置10や案内機構20のメンテナンスを簡単に行うことができる。
【0053】
図3に示すように、板状のベース部材23の表面には、断面円形の軸部24が立設されている。つまり、軸部24の軸方向がベース部材23の表面と直交するように軸部24が設置されている。この軸部24は、その外径がローラ22のベアリング部の内径22bよりも小さくなるように形成されている。
【0054】
この軸部24には、位置決め部25のスペーサ26と、ローラ22とが、この順で挿入されている。つまり、ローラ22とベース部材23との間に、両者に挟まれるようにスペーサ26が設けられている。このスペーサ26は、その内径が軸部24の外径よりもわずかに大きくなるように形成されたものである。また、スペーサ26の外径は、ローラ22の内輪の外径よりも若干小さくなるように形成されている。これば、スペーサ26がローラ22の作動の抵抗となることを防止するためである。また、スペーサ26の高さHは、リフトアーム11のガイド溝11gにローラ22の外周が配置された状態において、リフトアーム11がベース部材23の表面に接触しない程度の長さに形成されている。
【0055】
軸部24の軸方向においてローラ22の外方、つまり、軸部24の軸端には、抜け防止部材27が取り付けられている。つまり、抜け防止部材27は、スペーサ26との間にローラ22を挟むように軸部24に取り付けられている。この抜け防止部材27も、スペーサ26と同様に、ローラ22の作動の抵抗となることを防止するような構造を有している。つまり、抜け防止部材27の外径も、ローラ22の内輪の外径よりも若干小さくなるように形成されている。そして、抜け防止部材27は、軸部24に取り付けられると、ローラ22が軸部24の軸方向に移動しないような構造を有している。例えば、抜け防止部材27に押さえ部を設け、抜け防止部材27を軸部24に取り付けると、押さえ部とスペーサ26の端面との距離がローラ22の幅RWと同じ長さになる。しかも、抜け防止部材27は、軸部24の軸端に着脱可能に取り付けられている。例えば、ボルト等によって抜け防止部材27は軸部24の軸端に取り付けられている。
【0056】
以上のような構造であるので、ローラ22に損傷が生じた場合に、抜け防止部材27を軸部24の軸端から取り外せば、ローラ22を軸部24から取り外して簡単に交換することができる。したがって、本実施形態のアノード持上げ装置10や案内機構20のメンテナンスを簡単に行うことができる。
【0057】
また、スペーサ26を変更すれば、リフトアーム11とベース部材23の表面との間に形成される隙間も簡単に調整できるので、アノードAの荷重を一対のリフトアーム11,11で適度に分配したり、リンク機構16に対するリフトアーム11の移動方向を微調整したりすることが可能になるので好ましい。
【0058】
さらに、軸部24から抜け防止部材27までを一つのボルト等で締結するようにすれば、軸部24が損傷した場合でも簡単に交換ができるようになる。例えば、
図3に示すように、軸部24の中心に軸部24を貫通する貫通孔24hを設け、かつ、抜け防止部材27にも貫通孔24hと対応する位置に貫通孔27hを設ける。すると、軸部24の貫通孔24hおよび抜け防止部材27の貫通孔27hにボルトBT等を挿通すれば、軸部24を含めた全体をベース部材23に対して着脱可能に固定することができる。
【0059】
なお、軸部24をベース部材23に対して着脱可能とする場合には、ローラ22の内輪を軸部24に固定しておいてもよい。すると、ローラ部22の設置位置を適切な位置にしておけば、上述した位置決め部25を設けなくてもよくなる。
【0060】
また、上流側搬送コンベア2のフレーム2fに直接ローラ22を設置する場合でも、上述したような構成でローラ22をフレーム2fに設置してもよい。つまり、上述したベース部材23をフレーム2fに置き換えた構造としてローラ22をフレーム2fに設置してもよい。
【0061】
<ローラ22について>
ローラ22は、上述したようにベアリングだけで構成してもよいし、ベアリング部とローラ部とを設けてもよい。ベアリング部とローラ部とでローラ22を形成する場合、ベアリング部の外輪にローラ部を設置すればよい。なお、ベアリングだけでローラ22を構成した場合には、ローラ22が軽量になるのでリフトアーム11の作動に対するローラ22の抵抗を軽減できるという利点が得られる。一方、ベアリング部とローラ部を有するようにすれば、ローラ部を安価な素材で形成したり、ローラ部の表面を耐摩耗性の素材で形成したりすることによって、維持費用を低減できる。
【0062】
また、ローラ22は、軸部24の軸周りに回転できるのであれば、単なる筒状の部材で形成してもよい。必ずしもベアリング部は設けなくてもよい。例えば、ローラ22の内面に摺動抵抗の少ない素材によって形成された層を設けるのがよく、この場合には、ローラ22がスペーサ26や抜け防止部材27と接触する面も摺動抵抗の少ない素材によって形成された層を設けることが望ましい。そして、ローラ22自体を摺動抵抗の少ない素材によって形成してもよい。
なお、かかる構成を採用した場合には、スペーサ26の外径や抜け防止部材27の外径の制限は少なくなり、リフトアーム11と接触しない程度の大きさであればよくなる。
【0063】
<ローラ22の設置数>
上述したように、ガイド部21は複数のローラ22を有しているので、長手方向に沿った複数個所でリフトアーム11を保持できる。すると、リフトアーム11が昇降する際にリフトアーム11を安定して移動させることできる。ローラ22を設ける数はとくに限定されない。上記例では、各ガイド部21にローラ22を3個ずつ設けた場合を説明したが、ローラ22は各ガイド部21に2個でもよいし、4個以上設けてもよい。また、各ガイド部21にローラ22を1個しか設けなくてもよい。ローラ22を設ける数は、搬送するアノードAの重量や大きさ、リフトアーム11の大きさ、リフト量(持ち上げ距離)等に合わせて適切な数を設ければよい。