【解決手段】合分波素子10は、第1可視光L1が入力され、第1可視光を導波する第1導波路11aと、第1可視光とは波長が異なる第2可視光L2が入力され、第2可視光を導波する第2導波路11bと、第3可視光L3が入力され、第3可視光を導波する第3導波路11cと、第4導波路11dと、第1導波路、第2導波路および第4導波路と光学的に接続されており、第1導波路から入力された第1可視光と第2導波路から入力された第2可視光とを合波して第4導波路へ出力する第1合分波器11eと、を備え、第3導波路において、第3可視光が入力される側とは反対側に位置する第1出力部11caと、第4導波路において、第1合分波器と接続されている側とは反対側に位置する第2出力部11daと、が近接している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して実施形態について説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0018】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る光源モジュールの模式的構成図である。光源モジュール100は、合分波素子10と、可視光源21、22および23とを備えている。合分波素子10は、石英系ガラスからなるPLCで構成されている。
【0019】
合分波素子10は、第1導波路11aと、第2導波路11bと、第3導波路11cと、第4導波路11dと、第1合分波器11eと、クラッド12とを備えている。
【0020】
クラッド12は、第1導波路11a、第2導波路11b、第3導波路11c、第4導波路11dおよび第1合分波器11eを取り囲んでいる。
図2ではクラッド12が第1導波路11a、第2導波路11bおよび第3導波路11cを取り囲んでいる状態を示している。クラッド12は、各導波路の下方に位置する下部クラッド12aと、各導波路の上方および側方に位置する上部クラッド12bとを備えている。クラッド12は、たとえば不図示のシリコン基板やガラス基板上に形成されている。
【0021】
合分波素子10は、第1端部10aと、長手方向において第1端部10aと対向する第2端部10bとを有する。合分波素子10の長さ、すなわち第1端部10aと第2端部10bとの距離はLaである。また、合分波素子10の幅はWaである。
【0022】
第1合分波器11eは、長手方向に延伸している。第1合分波器11eは、公知の構成を有しており、たとえば方向性結合器型や多モード干渉型、Y分岐型などの、導波路を含む構造を有するものである。
【0023】
第1導波路11aおよび第2導波路11bは、屈曲しており、第1合分波器11eの長手方向における一方の端部に光学的に接続されている。なお、第1導波路11aおよび第2導波路11bの、第1合分波器11eと接続されている端部とは反対側の端部は、それぞれ第1端部10aまで延伸している。第4導波路11dは、屈曲しており、第1合分波器11eの長手方向における他方の端部に光学的に接続されている。なお、第4導波路11dの、第1合分波器11eと接続されている端部とは反対側の端部は、第2端部10bまで延伸している。第4導波路11dの第2端部10b側の端部は、第2出力部としての出力部11daとなっている。すなわち、出力部11daは、第4導波路11dにおいて、第1合分波器11eと接続されている側とは反対側に位置する。
【0024】
第3導波路11cは、屈曲しており、第1端部10aから第2端部10bまで延伸している。第3導波路11cの第2端部10b側の端部は、第1出力部としての出力部11caとなっている。第3導波路11cと第1合分波器11eとは幅方向において並んでいる。
【0025】
第1導波路11a、第2導波路11b、第3導波路11c、第4導波路11dおよび第1合分波器11eは、屈折率を高めるドーパントであるジルコニア(ZrO
2)を含む石英系ガラスからなる。一方、クラッド12はたとえば純石英ガラスからなる。ここで、純石英ガラスとは、不純物を含まない石英ガラスと、不純物を含むが石英ガラスの屈折率を変化させる不純物を含まない石英ガラスとを含むものと規定する。第1導波路11a、第2導波路11b、第3導波路11c、第4導波路11dおよび第1合分波器11eの、クラッド12に対する比屈折率差Δは特に限定されないが、本実施形態では0.45%であり、ゲルマニア(GeO
2)をドーパントして使用する場合よりも低濃度で高比屈折率差を実現できる。
【0026】
第1導波路11a、第2導波路11b、第3導波路11c、第4導波路11dおよび第1合分波器11eは、所定の波長の可視光をシングルモードで導波する条件に、その断面サイズと比屈折率差Δとの関係が設定されている。ただし、断面サイズと比屈折率差Δとの関係は、所定の波長の可視光をマルチモードで導波する条件に設定されていてもよい。
【0027】
図3は、比屈折率差Δとコアサイズとの関係の一例を示す図である。コアサイズとは、導波路の長手方向に垂直な断面における断面形状を正方形とした場合の、正方形の一辺の長さである。コアサイズは波長λの光をシングルモードで導波することができる値を示している。波長λとして、通信において使用される1550nmの場合と、可視光領域のうち比較的短波である460nmの場合を示している。
図3に示すように、1550nmの場合と比較して、460nmの場合、コアサイズを大幅に小さくする必要がある。たとえば、比屈折率差Δが0.45%の場合、コアサイズは波長1550nmでは一辺が7.5μmであるものが、波長460nmでは一辺が3μmである。
図3はシングルモード導波の場合を示すが、マルチモード導波の場合も、コアサイズの大小の波長依存性は同様の傾向を示す。
【0028】
図1に戻って、可視光源21は、第1導波路11aと光学的に接続しており、第1導波路11aに第1可視光としての赤色光L1を出力する。可視光源22は、第2導波路11bと光学的に接続しており、第2導波路11bに、第1可視光とは波長が異なる第2可視光としての青色光L2を出力する。可視光源23は、第3導波路11cと光学的に接続しており、第3導波路11cに第3可視光としての緑色光L3を出力する。可視光源21、22、および23は、合分波素子10にバットジョイント接続されていてもよい。
【0029】
本実施形態では、第1導波路11aは、赤色光L1が第1端部10a側から入力され、赤色光L1をシングルモードで導波する構成を有する。赤色光L1の波長はたとえば620nm〜750nmである。第2導波路11bは、青色光L2が第1端部10a側から入力され、青色光L2をシングルモードで導波する構成を有する。青色光L2の波長はたとえば450nm〜495nmである。第1合分波器11eは、第1導波路11aから入力された赤色光L1と第2導波路11bから入力された青色光L2とを合波して第4導波路11dへ出力する。第4導波路11dは、入力された赤色光L1と青色光L2とを導波し、出力部11daから出力する。なお、光の相反性により、第1合分波器11eは光の合波機能と分波機能とを有する。
【0030】
第3導波路11cは、緑色光L3が第1端部10a側から入力され、緑色光L3をシングルモードで導波し、出力部11caから出力する構成を有する。緑色光L3の波長はたとえば495nm〜570nmである。すなわち、出力部11caは、第3導波路11cにおいて、緑色光L3が入力される側とは反対側に位置する。
【0031】
ここで、出力部11caと出力部11daとは近接している。これにより、合分波素子10は、赤色光L1と、青色光L2と、緑色光L3とを、1つのビームとみなせるRGB光L4として出力する。第2端部10bにおける出力部11caと出力部11daとの距離、すなわち出力部11caと出力部11daの間のクラッド12の長さは、たとえば10μm以下である。また、当該クラッド12の長さはたとえば2.5μm以上である。
【0032】
光源モジュール100は、合分波素子10を備えており、合分波素子10は、合分波器としては1つの第1合分波器11eを備え、赤色光L1、青色光L2および緑色光L3の3つの可視光をRGB光L4として出力する。これにより、合分波素子10および光源モジュール100は、小型であり、特に長手方向において短い。また、赤色光L1、青色光L2および緑色光L3を出力する可視光源21、22、および23が半導体レーザ素子などである場合、発振波長は作製プロセスに起因してばらつく。そのため、各色の光の波長帯域において、たとえば±10nmの広帯域な合分波特性(たとえば透過特性)が強く求められている。合分波素子10では、合分波器は1つだけであるため、その作製プロセスにおいてサイズが設計値から変動することで透過特性が変動しても、ある程度の帯域を確保することができる。すなわち、合分波素子10は、安定して広帯域を実現することができる。なお、合分波素子が、複数の合波器が接続された構成を備える場合、それぞれの合分波器の設計値からの変動が連動し、透過特性が大きく変動するので、損失増大を引き起こしてしまうおそれがある。
【0033】
第1合分波器11eとして2入力×2出力の多モード干渉型合分波器を用いた場合、合分波素子10は長さLa×幅Waをたとえば6.5mm×0.5mmとできる。第1合分波器11eとして方向性結合器型などの他の形式のものを用いた場合も同様のサイズとできる。
【0034】
また、合分波素子10は、第3導波路11cと第4導波路11dとの2つの導波路を近接させていることによって、赤色光L1、青色光L2および緑色光L3の3つの可視光を、RGB光L4として出力する。これにより、3つの導波路を近接させる構成と比べて、合分波素子10は、各導波路の位置やサイズなど作製精度の要求が低減されるので、製造が容易である。また、出力されるRGB光L4はビーム形状が楕円形状であるが、近接させる導波路の数の低減によって、合分波素子10では、コア形状やビーム形状の個体差が低減され、安定したビーム形状が得られる。
【0035】
また、赤色光L1、青色光L2および緑色光L3を出力する可視光源21、22、および23が半導体レーザ素子である場合、緑色レーザ光源である可視光源23は、赤色レーザ光源や青色レーザ光源である可視光源21、22よりも出力が低い場合がある。これに対して、合分波素子10では、緑色光L3は、第1合分波器11eを通過せず、第1合分波器11eの過剰損失を受けないで出力される。その結果、合分波素子10は、入力される緑色光L3と、赤色光L1および青色光L2との間の強度差を減少させることができる。
【0036】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係る合分波素子の模式的構成図である。合分波素子10Aは、実施形態1と同様に、石英系ガラスからなるPLCで構成されている。
【0037】
合分波素子10Aは、第1導波路11Aaと、第2導波路11Abと、第3導波路11Acと、第4導波路11Adと、第1合分波器11Aeと、クラッド12Aとを備えている。
【0038】
クラッド12Aは、第1導波路11Aa、第2導波路11Ab、第3導波路11Ac、第4導波路11Adおよび第1合分波器11Aeを取り囲んでいる。クラッド12Aは、実施形態1のクラッド12と同様の構成である。
【0039】
合分波素子10Aは、第1端部10Aaと、長手方向において第1端部10Aaと対向する第2端部10Abとを有する。第1合分波器11Aeは、長手方向に延伸している。第1合分波器11Aeは、実施形態1の第1合分波器11eと同様に公知の構成を有している。
【0040】
第1導波路11Aaおよび第2導波路11Abは、屈曲しており、第1合分波器11Aeの長手方向における一方の端部に光学的に接続されている。なお、第1導波路11Aaおよび第2導波路11Abの、第1合分波器11Aeと接続されている端部とは反対側の端部は、それぞれ第1端部10Aaまで延伸している。第4導波路11Adは、第1合分波器11Aeの長手方向における他方の端部に光学的に接続されている。なお、第4導波路11Adの、第1合分波器11Aeと接続されている端部とは反対側の端部は、第2端部10Abまで延伸している。第4導波路11Adの第2端部10Ab側の端部は、第2出力部としての出力部11Adaとなっている。
【0041】
第3導波路11Acは、屈曲しており、第1端部10Aaから第2端部10Abまで延伸している。第3導波路11Acの第2端部10Ab側の端部は、第1出力部としての出力部11Acaとなっている。第3導波路11Acと第1合分波器11Aeとは幅方向において並んでいる。
【0042】
第1導波路11Aa、第2導波路11Ab、第3導波路11Ac、第4導波路11Adおよび第1合分波器11Aeは、ジルコニアを含む石英系ガラスからなる。第1導波路11Aa、第2導波路11Ab、第3導波路11Ac、第4導波路11Adおよび第1合分波器11Aeの、クラッド12Aに対する比屈折率差Δは特に限定されない。
【0043】
第1導波路11Aa、第2導波路11Ab、第3導波路11Ac、第4導波路11Adおよび第1合分波器11Aeは、所定の波長の可視光をシングルモードで導波する条件に、その断面サイズと比屈折率差Δとの関係が設定されているが、マルチモードで導波する条件に設定されていてもよい。
【0044】
本実施形態では、第1導波路11Aaは、第1可視光としての青色光L2が第1端部10Aa側から入力され、青色光L2をシングルモードで導波する構成を有する。第2導波路11Abは、第2可視光としての緑色光L3が第1端部10Aa側から入力され、緑色光L3をシングルモードで導波する構成を有する。第1合分波器11Aeは、第1導波路11Aaから入力された青色光L2と第2導波路11Abから入力された緑色光L3とを合波して第4導波路11Adへ出力する。第4導波路11Adは、入力された青色光L2と緑色光L3とを導波し、出力部11Adaから出力する。
【0045】
第3導波路11Acは、第3可視光としての赤色光L1が第1端部10Aa側から入力され、赤色光L1をシングルモードで導波し、出力部11Acaから出力する構成を有する。
【0046】
ここで、出力部11Acaと出力部11Adaとは近接している。これにより、合分波素子10Aは、赤色光L1と、青色光L2と、緑色光L3とを、1つのビームとみなせるRGB光L5として出力する。第2端部10Abにおける出力部11Acaと出力部11Adaとの距離は、たとえば10μm以下である。
【0047】
合分波素子10Aは、合分波器としては1つの第1合分波器11Aeを備え、赤色光L1、青色光L2および緑色光L3の3つの可視光をRGB光L5として出力する。これにより、実施形態1と同様に、合分波素子10は、小型であり、特に長手方向において短く、さらに安定して広帯域を実現することができる。また、合分波素子10Aは、第3導波路11Acと第4導波路11Adとの2つの導波路を近接させている。これにより、実施形態1と同様に、合分波素子10は製造が容易であり、コア形状やビーム形状の個体差が低減される。
【0048】
また、一般的に、導波路の曲げ損失は、波長が長くなるにしたがって大きくなるので、赤色光L1、青色光L2および緑色光L3の中では赤色光L1が最も曲げ損失が大きい。これに対して、合分波素子10Aでは、赤色光L1は、第1端部10Aaから第2端部10Abまで延伸している第3導波路11Acを導波する。これにより、合分波素子10Aにおいて第3導波路11Acに対して長手方向に広いスペースを割り当てることができ、曲げ半径を比較的大きく設計できる。その結果、合分波素子10Aでは、赤色光L1の曲げ損失が低減される。
【0049】
なお、合分波素子10Aと、実施形態1の可視光源21、22および23とを組み合わせて、小型の光源モジュールを構成することができる。
【0050】
(実施形態3)
図5は、実施形態3に係る合分波素子の模式的構成図である。合分波素子10Bは、実施形態1と同様に、石英系ガラスからなるPLCで構成されている。
【0051】
合分波素子10Bは、第1導波路11Baと、第2導波路11Bbと、第3導波路11Bcと、第4導波路11Bdと、第1合分波器11Beと、クラッド12Bとを備えている。
【0052】
クラッド12Bは、第1導波路11Ba、第2導波路11Bb、第3導波路11Bc、第4導波路11Bdおよび第1合分波器11Beを取り囲んでいる。クラッド12Bは、実施形態1のクラッド12と同様の構成である。
【0053】
合分波素子10Bは、第1端部10Baと、長手方向において第1端部10Baと対向する第2端部10Bbとを有する。第1合分波器11Beは、長手方向に延伸している。第1合分波器11Beは、実施形態1の第1合分波器11eと同様に公知の構成を有している。
【0054】
第1導波路11Baおよび第2導波路11Bbは、屈曲しており、第1合分波器11Beの長手方向における一方の端部に光学的に接続されている。なお、第1導波路11Baおよび第2導波路11Bbの、第1合分波器11Beと接続されている端部とは反対側の端部は、それぞれ第1端部10Baまで延伸している。第4導波路11Bdは、第1合分波器11Beの長手方向における他方の端部に光学的に接続されている。なお、第4導波路11Bdの、第1合分波器11Beと接続されている端部とは反対側の端部は、第2端部10Bbまで延伸している。第4導波路11Bdの第2端部10Bb側の端部は、第2出力部としての出力部11Bdaとなっている。
【0055】
第3導波路11Bcは、屈曲しており、第1端部10Baから第2端部10Bbまで延伸している。第3導波路11Bcの第2端部10Bb側の端部は、第1出力部としての出力部11Bcaとなっている。第3導波路11Bcと第1合分波器11Beとは幅方向において並んでいる。
【0056】
第1導波路11Ba、第2導波路11Bb、第3導波路11Bc、第4導波路11Bdおよび第1合分波器11Beは、ジルコニアを含む石英系ガラスからなる。第1導波路11Ba、第2導波路11Bb、第3導波路11Bc、第4導波路11Bdおよび第1合分波器11Beの、クラッド12Bに対する比屈折率差Δは特に限定されない。
【0057】
第1導波路11Ba、第2導波路11Bb、第3導波路11Bc、第4導波路11Bdおよび第1合分波器11Beは、所定の波長の可視光をシングルモードで導波する条件に、その断面サイズと比屈折率差Δとの関係が設定されているが、マルチモードで導波する条件に設定されていてもよい。
【0058】
本実施形態では、第1導波路11Baは、第1可視光としての赤色光L1が第1端部10Ba側から入力され、赤色光L1をシングルモードで導波する構成を有する。第2導波路11Bbは、第2可視光としての緑色光L3が第1端部10Ba側から入力され、緑色光L3をシングルモードで導波する構成を有する。第1合分波器11Beは、第1導波路11Baから入力された赤色光L1と第2導波路11Bbから入力された緑色光L3とを合波して第4導波路11Bdへ出力する。第4導波路11Bdは、入力された赤色光L1と緑色光L3とを導波し、出力部11Bdaから出力する。
【0059】
第3導波路11Bcは、第3可視光としての青色光L2が第1端部10Ba側から入力され、青色光L2をシングルモードで導波し、出力部11Bcaから出力する構成を有する。
【0060】
ここで、出力部11Bcaと出力部11Bdaとは近接している。これにより、合分波素子10Bは、赤色光L1と、青色光L2と、緑色光L3とを、1つのビームとみなせるRGB光L6として出力する。第2端部10Bbにおける出力部11Bcaと出力部11Bdaとの距離は、たとえば10μm以下である。
【0061】
合分波素子10Bは、合分波器としては1つの第1合分波器11Beを備え、赤色光L1、青色光L2および緑色光L3の3つの可視光をRGB光L6として出力する。これにより、実施形態1と同様に、合分波素子10Bは、小型であり、特に長手方向において短く、さらに安定して広帯域を実現することができる。また、合分波素子10Bは、第3導波路11Bcと第4導波路11Bdとの2つの導波路を近接させている。これにより、実施形態1と同様に、合分波素子10Bは製造が容易であり、コア形状やビーム形状の個体差が低減される。
【0062】
また、一般的に、合波器における結合長は、波長が短くなるにしたがって長くなる。これに対して、合分波素子10Bでは、第1合分波器11Beによって、比較的波長が長い赤色光L1と緑色光L3を合波する。これにより、第1合分波器11Beは比較的短くなるので、合分波素子10Aはより一層小型になる。
【0063】
なお、合分波素子10Bと、実施形態1の可視光源21、22および23とを組み合わせて、小型の光源モジュールを構成することができる。
【0064】
以下、ビーム伝搬法(Beam Propagation Method:BPM)を用いたシミュレーション計算結果およびその作製例を参照して説明する。
【0065】
はじめに、比較計算例として、平面視で矩形の多モード干渉型の合分波器について、その大きさを計算した。なお、比屈折率差Δは0.45%とした。第1、第2、第4導波路のコアサイズは3μm×3μmとした。合分波器の幅は6μmとした。その結果、波長465nmの青色光と波長630nmの赤色光とを合波する設計では、合分波器の長さが4.5mmであった。また、波長465nmの青色光と波長630nmの赤色光と波長520nmの緑色光とを合波する設計では、合分波器の長さが10mmであった。したがって、この2つの合分波器を用いて合分波素子を作製すると、長さが20mmを超えると考えられる。
【0066】
つづいて、計算例1として、実施形態1に係る合分波素子10について、その大きさを計算した。なお、第1合分波器11eは方向性結合器型とした。そして、計算結果に基づき、作製例1として、公知のPLC作製技術を用いて合分波素子を作製した。なお、比屈折率差Δは0.45%とした。第1〜第4導波路のコアサイズは3μm×3μmとした。第1導波路11a、第2導波路11bの最小曲げ半径は5.0mmとした。第3導波路11cの最小曲げ半径は5.0mmとした。その結果、合分波素子のサイズは5.0mm×0.5mmときわめて小型であった。
【0067】
図6は、作製例1の合分波素子の透過特性を示す図である。領域R1は、矢印で示す波長465nmを中心として±10nmの青色領域を示している。領域R2は、矢印で示す波長520nmを中心として±10nmの緑色領域を示している。領域R3は、矢印で示す波長630nmを中心として±10nmの赤色領域を示している。凡例におけるR→Cは第1導波路(
図1では11a)から第4導波路(
図1では11d)の透過特性を示している。凡例におけるB→Cは第1導波路(
図1では11a)から第4導波路(
図1では11d)までの透過特性を示している。凡例におけるG→Cは第3導波路(
図1では11c)の透過特性を示している。
【0068】
作製例1の合分波素子では、光損失が、領域R1の青色領域において0.1dB〜0.4dB、領域R2の緑色領域において0.05dB〜0.2dB、領域R3の赤色領域において0.3dB〜0.9dBであり、実用上好ましい値であった。
【0069】
つづいて、計算例2として、実施形態2に係る合分波素子10Aについて、その大きさを計算した。なお、第1合分波器11Aeは方向性結合器型とした。そして、計算結果に基づき、作製例2として、公知のPLC作製技術を用いて合分波素子を作製した。なお、比屈折率差Δは0.45%とした。第1〜第4導波路のコアサイズは3μm×3μmとした。第1導波路11Aa、第2導波路11Abの最小曲げ半径は2.0mmとした。第3導波路11Acの最小曲げ半径は5.0mmとした。その結果、合分波素子のサイズは4.5mm×0.5mmときわめて小型であった。
【0070】
図7は、作製例2の合分波素子の透過特性を示す図である。領域R1、領域R2および、領域R3については、
図6と同様である。凡例におけるR→Cは第3導波路(
図4では11Ac)の透過特性を示している。凡例におけるB→Cは第1導波路(
図4では11a)から第4導波路(
図4では11Ad)までの透過特性を示している。凡例におけるG→Cは第2導波路(
図1では11Ab)から第4導波路までの透過特性を示している。
【0071】
作製例2の合分波素子では、光損失が、領域R1の青色領域において0.1dB〜0.5dB、領域R2の緑色領域において0.2dB〜0.8dB、領域R3の赤色領域において0.05dB〜0.2dBであり、実用上好ましい値であった。
【0072】
(実施形態4)
上記実施形態では、3つの可視光を合波しているが、本発明は、4つ以上の可視光を合波する場合にも適用できる。
【0073】
図8は、実施形態4に係る合分波素子の模式的構成図である。合分波素子10Cは、実施形態1と同様に、石英系ガラスからなるPLCで構成されている。
【0074】
合分波素子10Cは、第1導波路11Caと、第2導波路11Cbと、第3導波路11Ccと、第4導波路11Cdと、第1合分波器11Ceと、クラッド12Cとを備えている。
【0075】
クラッド12Cは、第1導波路11Ca、第2導波路11Cb、第3導波路11Cc、第4導波路11Cdおよび第1合分波器11Ceを取り囲んでいる。クラッド12Cは、実施形態1のクラッド12と同様の構成である。
【0076】
合分波素子10Cは、第1端部10Caと、長手方向において第1端部10Caと対向する第2端部10Cbとを有する。第1合分波器11Ceは、長手方向に延伸している。第1合分波器11Ceは、実施形態1の第1合分波器11eと同様に公知の構成を有している。
【0077】
第1導波路11Caおよび第2導波路11Cbは、屈曲しており、第1合分波器11Ceの長手方向における一方の端部に光学的に接続されている。なお、第1導波路11Caおよび第2導波路11Cbの、第1合分波器11Ceと接続されている端部とは反対側の端部は、それぞれ第1端部10Caまで延伸している。第4導波路11Cdは、第1合分波器11Ceの長手方向における他方の端部に光学的に接続されている。なお、第4導波路11Cdの、第1合分波器11Ceと接続されている端部とは反対側の端部は、第2端部10Cbまで延伸している。第4導波路11Cdの第2端部10Cb側の端部は、第2出力部としての出力部11Cdaとなっている。
【0078】
第3導波路11Ccは、屈曲しており、第1端部10Caから第2端部10Cbまで延伸している。第3導波路11Ccの第2端部10Cb側の端部は、第1出力部としての出力部11Ccaとなっている。第3導波路11Ccと第1合分波器11Ceとは幅方向において並んでいる。
【0079】
第3導波路11Ccは、第5導波路11Cc1と、第6導波路11Cc2と、第2合分波器11Cc3と、第7導波路11Cc4とを備える。第5導波路11Cc1と第6導波路11Cc2とは一方の端部が第1端部10Ca側まで延伸し、他方の端部が第2合分波器11Cc3に光学的に接続している。第7導波路11Cc4は一方の端部が第2端部10Cb側まで延伸し、他方の端部が第2合分波器11Cc3に光学的に接続している。第7導波路11Cc4は出力部11Ccaを構成している。第2合分波器11Cc3は、長手方向に延伸している。第2合分波器11Cc3は、公知の構成を有しており、たとえば方向性結合器型や多モード干渉型、Y分岐型などの、導波路を含む構造を有するものである。
【0080】
第1導波路11Ca、第2導波路11Cb、第3導波路11Cc、第4導波路11Cdおよび第1合分波器11Ceは、ジルコニアを含む石英系ガラスからなる。第1導波路11Ca、第2導波路11Cb、第3導波路11Cc、第4導波路11Cdおよび第1合分波器11Ceの、クラッド12Cに対する比屈折率差Δは特に限定されない。
【0081】
第1導波路11Ca、第2導波路11Cb、第3導波路11Cc、第4導波路11Cdおよび第1合分波器11Beは、所定の波長の可視光をシングルモードで導波する条件に、その断面サイズと比屈折率差Δとの関係が設定されているが、マルチモードで導波する条件に設定されていてもよい。
【0082】
本実施形態では、第1導波路11Caは、第1可視光としての赤色光L1が第1端部10Ca側から入力され、赤色光L1をシングルモードで導波する構成を有する。第2導波路11Cbは、第2可視光としての緑色光L3aが第1端部10Ba側から入力され、緑色光L3aをシングルモードで導波する構成を有する。第1合分波器11Ceは、第1導波路11Caから入力された赤色光L1と第2導波路11Cbから入力された緑色光L3aとを合波して第4導波路11Cdへ出力する。第4導波路11Cdは、入力された赤色光L1と緑色光L3aとを導波し、出力部11Cdaから出力する。
【0083】
一方、第3導波路11Ccにおいて、第5導波路11Cc1は、第3可視光としての青色光L2が第1端部10Ca側から入力され、青色光L2をシングルモードで導波する構成を有する。第6導波路11Cc2は、第3可視光とは波長が異なる第4可視光としての緑色光L3bが第1端部10Ca側から入力され、緑色光L3bをシングルモードで導波する構成を有する。第2合分波器11Cc3は、第5導波路11Cc1から入力された青色光L2と第6導波路11Cc2から入力された緑色光L3bとを合波して第7導波路11Cc4へ出力する。第7導波路11Cc4は、入力された青色光L2と緑色光L3bとを導波し、出力部11Ccaから出力する。
【0084】
ここで、出力部11Ccaと出力部11Cdaとは近接している。これにより、合分波素子10Cは、赤色光L1と、青色光L2と、緑色光L3a、L3bとの4つの可視光を、1つのビームとみなせるRGB光L7として出力する。第2端部10Cbにおける出力部11Ccaと出力部11Cdaとの距離は、たとえば10μm以下である。
【0085】
合分波素子10Cは、合分波器としては2つの第1合分波器11Ceおよび第2合分波器11Cc3を備えており、赤色光L1、青色光L2および緑色光L3a、L3bの4つの可視光をRGB光L7として出力する。これにより、実施形態1と同様に、合分波素子10Bは、小型であり、特に長手方向において短く、さらに安定して広帯域を実現することができる。また、合分波素子10Cは、第3導波路11Ccと第4導波路11Cdとの2つの導波路を近接させている。これにより、実施形態1と同様に、合分波素子10Bは製造が容易であり、コア形状やビーム形状の個体差が低減される。
【0086】
また、赤色光L1、青色光L2および緑色光L3を出力する光源が半導体レーザ素子である場合、緑色レーザ光源は、赤色レーザ光源や青色レーザ光源よりも出力が低い場合がある。これに対して、合分波素子10Cでは、緑色光として、緑色光L3a、L3bを入力できる。その結果、合分波素子10は、入力される緑色光L3aと緑色光L3bとの合計の強度と、赤色光L1および青色光L2との間の強度差を減少させることができる。
【0087】
また、合分波素子10Cと、実施形態1の可視光源21、22および2つの可視光源23を組み合わせて、小型の光源モジュールを構成することができる。
【0088】
なお、本実施形態では、第4可視光が緑色光であるが、第4可視光は青色光、赤色光、またはその他の色のなど、他の波長の可視光であってもよい。また、第1〜第3可視光の波長についても、他の波長の可視光でもよい。
【0089】
さらには、5以上の可視光を合波する場合には、可視光の数よりも1つ以上少ない合分波器と、可視光の数よりも1つ以上少ない出力部とを近接させることで、本発明の実施形態に係る合分波素子を構成できる。
【0090】
また、上記実施形態では、各導波路はジルコニアを含んでいるが、ゲルマニアを含んでいてもよい。屈折率を高めるドーパントよらず合分波素子の小型化と製造容易性とが実現される。
【0091】
また、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。