特開2020-23472(P2020-23472A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧
特開2020-23472粒子の製造方法、並びに、それにより製造された粒子及び医薬
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-23472(P2020-23472A)
(43)【公開日】2020年2月13日
(54)【発明の名称】粒子の製造方法、並びに、それにより製造された粒子及び医薬
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/14 20060101AFI20200121BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20200121BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20200121BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20200121BHJP
   A61K 31/196 20060101ALN20200121BHJP
【FI】
   A61K9/14
   A61K47/38
   A61K47/32
   A61P29/00
   A61K31/196
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2019-111757(P2019-111757)
(22)【出願日】2019年6月17日
(31)【優先権主張番号】特願2018-142550(P2018-142550)
(32)【優先日】2018年7月30日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(71)【出願人】
【識別番号】507219686
【氏名又は名称】静岡県公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】尾上 誠良
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀行
(72)【発明者】
【氏名】森永 匡彦
(72)【発明者】
【氏名】森谷 樹
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA32
4C076EE11Z
4C076EE31Z
4C076FF25
4C076FF31
4C076FF61
4C076GG08
4C206AA01
4C206AA10
4C206FA31
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA12
4C206ZB11
(57)【要約】
【課題】医薬等に好適な、コア・シェル構造を有する粒子を簡易な工程で製造可能な粒子の製造方法の提供。
【解決手段】生理活性物質及び少なくとも2種の分散剤を含有する粒子組成液を液滴化する液滴化工程と、少なくとも、前記少なくとも2種の分散剤のうちの1種が表面側に偏在するように、液滴化した前記粒子組成液を固化させる固化工程と、を含む粒子の製造方法である。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理活性物質及び少なくとも2種の分散剤を含有する粒子組成液を液滴化する液滴化工程と、
少なくとも、前記少なくとも2種の分散剤のうちの1種が表面側に偏在するように、液滴化した前記粒子組成液を固化させる固化工程と、
を含むことを特徴とする粒子の製造方法。
【請求項2】
前記少なくとも2種の分散剤の接触角が互いに異なる請求項1に記載の粒子の製造方法。
【請求項3】
前記液滴化工程が、液滴化手段による前記粒子組成液の吐出により行われる請求項1から2のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【請求項4】
生理活性物質及び少なくとも2種の分散剤を含み、
少なくとも、前記少なくとも2種の分散剤のうちの1種の分散剤が表面側に偏在し、
体積平均粒径が1μm以上100μm以下であることを特徴とする粒子。
【請求項5】
前記表面側に偏在する前記分散剤の接触角が、前記分散剤よりも内側に偏在する他の分散剤の接触角よりも大きい請求項4に記載の粒子。
【請求項6】
コア・シェル構造を有し、
前記コア・シェル構造におけるシェル部が、前記表面側に偏在する前記分散剤により形成された請求項4から5のいずれかに記載の粒子。
【請求項7】
前記分散剤のうちの少なくともいずれかがpH応答性材料である請求項4から6のいずれかに記載の粒子。
【請求項8】
前記pH応答性材料が、pH5.0以上で溶解する請求項7に記載の粒子。
【請求項9】
前記pH応答性材料が、セルロース系ポリマー及びメタクリル酸系ポリマーの少なくともいずれかである請求項7から8のいずれかに記載の粒子。
【請求項10】
前記pH応答性材料が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートの少なくともいずれかである請求項7から9のいずれかに記載の粒子。
【請求項11】
前記生理活性物質が医薬化合物である請求項4から10のいずれかに記載の粒子。
【請求項12】
前記体積平均粒径が1μm以上50μm以下である請求項4から11のいずれかに記載の粒子。
【請求項13】
前記体積平均粒径が1μm以上10μm以下である請求項4から12のいずれかに記載の粒子。
【請求項14】
請求項4から12のいずれかに記載の粒子を含有することを特徴とする医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子の製造方法、並びに、それにより製造された粒子及び医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医薬等の生理活性物質をコーティングすることにより、徐放性や腸溶性などの機能を付与する様々な製剤技術が用いられている。
【0003】
製剤技術としては、例えば、徐放性や腸溶性を有する基剤を用いて、錠剤化、コーティング顆粒化、カプセル化などを行う製剤方法などが挙げられる。錠剤化やコーティング顆粒化を行うには、湿式の転動造粒法などを用いて、まずコア部の造粒を行い、次にコア部を上記基剤でコーティングするため工程数が多くなる。さらに、コーティングを確実に行うように厚めに処理して粒径が大きくなる場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、医薬等に好適な、多層構造、例えばコア・シェル構造を有し、かつ粒径が小さい粒子を簡易な工程で製造可能な粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段としての本発明の粒子の製造方法は、
生理活性物質及び少なくとも2種の分散剤を含有する粒子組成液を液滴化する液滴化工程と、
少なくとも、前記少なくとも2種の分散剤のうちの1種が表面側に偏在するように、液滴化した前記粒子組成液を固化させる固化工程と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、医薬等に好適な、多層構造、例えばコア・シェル構造を有し、かつ粒径が小さい粒子を簡易な工程で製造可能な粒子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、液滴化手段の一例を示す断面図である。
図2図2は、液柱共鳴液滴吐出ユニットの一例を示す断面図である。
図3A図3Aは、吐出孔の構造の一例を示す概略図である。
図3B図3Bは、吐出孔の構造の他の一例を示す概略図である。
図3C図3Cは、吐出孔の構造の他の一例を示す概略図である。
図3D図3Dは、吐出孔の構造の他の一例を示す概略図である。
図4A図4Aは、N=1、片側固定端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。
図4B図4Bは、N=2、両側固定端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。
図4C図4Cは、N=2、両側開放端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。
図4D図4Dは、N=3、片側固定端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。
図5A図5Aは、N=4、両側固定端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。
図5B図5Bは、N=4、両側開放端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。
図5C図5Cは、N=5、片側固定端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。
図6A図6Aは、液滴吐出時の液柱共鳴液室内の圧力波形と速度波形の一例を示す概略図である。
図6B図6Bは、液滴吐出時の液柱共鳴液室内の圧力波形と速度波形の他の一例を示す概略図である。
図6C図6Cは、液滴吐出時の液柱共鳴液室内の圧力波形と速度波形の他の一例を示す概略図である。
図6D図6Dは、液滴吐出時の液柱共鳴液室内の圧力波形と速度波形の他の一例を示す概略図である。
図6E図6Eは、液滴吐出時の液柱共鳴液室内の圧力波形と速度波形の他の一例を示す概略図である。
図7図7は、液滴化手段での実際の液滴吐出の様子の一例を示す図である。
図8図8は、液滴吐出速度の駆動周波数に対する依存性を示すグラフである。
図9図9は、粒子製造装置の一例を示す概略図である。
図10図10は、気流通路の一例を示す概略図である。
図11A図11Aは、薄膜状にした粒子組成液を乾燥する前の様子の一例を示す光学顕微鏡写真である。
図11B図11Bは、薄膜状にした粒子組成液を乾燥している様子の一例を示す光学顕微鏡写真である。
図11C図11Cは、薄膜状にした粒子組成液を乾燥した後の様子の一例を示す光学顕微鏡写真である。
図12図12は、粒子のコア・シェル構造の一例を示す概略図である。
図13図13は、粒子のコア・シェル構造の他の一例を示す概略図である。
図14図14は、コア・シェル粒子を医薬とした際に、溶出試験第1液(pH1.2)を用いてジクロフェナクの溶出量を検出した結果の一例を示すグラフである。
図15図15は、コア・シェル粒子を医薬とした際に、溶出試験第2液(pH6.8)を用いてジクロフェナクの溶出量を検出した結果の一例を示すグラフである。
図16図16は、コア・シェル粒子を医薬とした際に、溶出試験第1液(pH1.2)を用いてシクロスポリンAの溶出量を検出した結果の一例を示すグラフである。
図17図17は、コア・シェル粒子を医薬とした際に、溶出試験第1液(pH6.8)を用いてシクロスポリンAの溶出量を検出した結果の一例を示すグラフである。
図18図18は、コア・シェル粒子を医薬とした際に、シクロスポリンAを経口投与したマウスにおける血中のシクロスポリンAの濃度を検出した結果の一例を示すグラフである。
図19図19は、40℃、75%相対湿度条件下で24時間保存する前と後における、粒子の状態の一例を示す走査型電子顕微鏡写真の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(粒子の製造方法)
本発明の粒子の製造方法は、生理活性物質及び少なくとも2種の分散剤を含有する粒子組成液を液滴化する液滴化工程と、少なくとも、少なくとも2種の分散剤のうちの1種が表面側に偏在するように、液滴化した粒子組成液を固化させる固化工程と、を含む。
【0009】
本発明の粒子の製造方法は、以下のような従来の技術に対する知見に基づくものである。従来のコア・シェル構造を有する粒子を製造する技術では、まずコア部の造粒を行い、次にコア部をコーティングしてシェル部を形成するため工程数が多くなるほか、コーティングを確実に行うようにすると粒径のさらなる小径化は難しいという問題がある。
【0010】
そこで、本発明の粒子の製造方法では、まず、液滴化工程において生理活性物質及び少なくとも2種の分散剤を含有する粒子組成液を吐出して液滴化する。次に、固化工程において、液滴化させた粒子組成液の溶媒を揮発させると、分散剤分子間での相互作用が大きくなる。このとき、少なくとも2種の分散剤は接触角の大きさが互いに異なるため、分散剤が互いに相分離(局在化)しやすくなる。すると、液滴となった粒子組成液中で、少なくとも、少なくとも2種の分散剤のうちの1種が表面側に偏在するようになり、その状態で溶媒の揮発が更に進むと液滴化した粒子組成液が固化して粒子が形成されるため、偏在した状態で粒子が形成され、結果として多層構造を有する粒子が得られる。また、固化した粒子の粒径は、粒子組成液を吐出する量に依存し、液滴化した粒子組成液から溶媒が揮発した後の体積分の粒径となる。このため、トナー粒子の製造技術を応用することにより粒子組成液を吐出する量を微小に調整することで、本発明の粒子の製造方法では、粒子の粒径を小径化することができる。したがって、本発明の粒子の製造方法では、例えば、表面側に偏在して固化した分散剤がシェル部となり、内側に偏在して固化した分散剤がコア部となるコア・シェル構造を有するなどの多層構造粒子であって、かつ粒径が小さい粒子を簡易な工程で製造することができる。
【0011】
なお、本明細書では、多層構造のうち、二層構造のものを特に「コア・シェル構造」と称し、コア・シェル構造を有する「粒子」を「コア・シェル粒子」と称することがある。また特に、コア・シェル構造においては、外側の層を「シェル部」、内側の層を「コア部」と称することがある。コア部及び/又はシェル部は、1種の分散剤で構成されていてもよいし、複数種の分散剤で構成されていてもよい。
また、粒子の製造方法は、後述する粒子製造装置により好適に行うことができる。
【0012】
粒子の製造方法は、液滴化工程と、固化工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。なお、以下の説明においては、別段の記載のない限り、「コア・シェル構造」を有する粒子の製造を例として記載するが、当業者であればかかる記載を適宜改変し、「多層構造」を有する粒子の製造方法について理解することが可能である。例えば、コア部及び/又はシェル部が複数の分散剤で構成される場合において、前記複数種の分散剤がさらに層構造を構成するような場合として多層構造を理解可能である。
【0013】
<液滴化工程>
前記液滴化工程は、生理活性物質及び少なくとも2種の分散剤を含有する粒子組成液を液滴化する工程である。
前記液滴化工程は、後述する液滴化手段により好適に行うことができる。
【0014】
<<粒子組成液>>
前記粒子組成液は、生理活性物質及び少なくとも2種の分散剤を含有し、更に必要に応じて、例えば溶媒などのその他の成分を含有する。前記粒子組成液は、典型的には溶媒に少なくとも2種の分散剤を分散させたものであり、したがって典型的にはさらに溶媒を含むものであるが、例えば分散剤を昇温等により溶融したものであってもよい。以下の説明においては、別段の記載のない限り溶媒を含む態様を例として記載する。
【0015】
−分散剤−
前記分散剤は、前記粒子組成液中の前記生理活性物質の分散に好適に用いることができる。また、前記分散剤は、本発明の粒子の製造方法により製造した粒子においては、錠剤や顆粒などの剤形を有する医薬で言うところの「コーティング剤」、「結着剤」、「バインダー」などの役割を担うものでもある。
【0016】
前記分散剤は、前記粒子組成液に少なくとも2種が含有される。
固化工程において、前記少なくとも2種の分散剤のうちの少なくとも1種が表面側に偏在するようにして固化するには、前記少なくとも2種の分散剤の接触角の大きさが互いに異なるようにする。これにより、固化工程において、液滴化した粒子組成液の溶媒を揮発させると、分散剤分子間での相互作用の影響が大きくなる。このとき、種類の異なる分散剤において接触角の大きさが互いに異なる場合、同種の分散剤どうしで偏在しやすくなる。すると、液滴化した粒子組成液では、少なくとも2種の分散剤のうちの少なくとも1種が表面側に偏在するようになり、その状態で前記溶媒の揮発が更に進むと液滴化した粒子組成液が固化して粒子が形成されるため、偏在した状態で粒子が形成され、結果として多層構造を有する粒子が得られる。
【0017】
互いの分散剤の接触角の差としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0°以上が好ましく、10.0°以上がより好ましい。互いの分散剤の接触角の差が好ましい範囲内であると、互いの分散剤が相分離しやすくなる点で有利である。
【0018】
分散剤の接触角を測定する方法としては、特に制限はなく、当該技術分野において公知の方法を目的に応じて適宜選択することができ、例えば、接触角計を用いて測定する方法などが挙げられる。具体的には例えば、分散剤を良溶媒に溶解させた溶液を平板上に塗布することなどによって薄膜化し、該分散剤薄膜と水との接触角を接触角計により計測するなどの方法が挙げられる。
前記接触角計としては、例えば、FIBRO system製の携帯式接触角計PG−X+/モバイル接触角計などが挙げられる。
【0019】
少なくとも2種の分散剤における相分離の確認方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記分散剤を良溶媒に溶解させた溶液をバーコーターで薄膜状にして乾燥させ、光学顕微鏡を用いて確認する方法などが挙げられる。
前記光学顕微鏡としては、例えば、オリンパス株式会社製のOLYMPUS BX51などが挙げられる。
【0020】
前記少なくとも2種の分散剤は、接触角が大きい分散剤の方が、接触角が小さい分散剤よりも表面側に偏在しやすくなる。したがって、前記表面側に偏在させる少なくとも1種の分散剤としては、前記粒子の内側に偏在させる他の分散剤の接触角よりも大きいものを選択するのがよい。このとき生理活性物質は、より親和性の高い分散剤が存在する方へより多く偏在することとなる。したがって、少なくとも2種の分散剤のうち接触角の小さい方の分散剤として生理活性物質との親和性がより高い分散剤を選択することにより、より多くの生理活性物質をコア側に遍在させるなどの制御も可能となる。
【0021】
このため、例えば、多くの医薬などのように、生理活性物質として水溶性化合物を用いる場合には、前記溶媒を親油性とすることにより、生理活性物質を内側に偏在させてコア部を形成し、表面側に偏在させて固化した一の分散剤でコア部をコーティングするようなシェル部を形成することができる。また、生理活性物質として油溶性化合物を用いる場合には、前記溶媒を親水性とすることにより、生理活性物質を内側に偏在させてコア部を形成し、表面側に偏在させて固化した一の分散剤でコア部をコーティングするようなシェル部を形成することができる。
【0022】
すなわち、本発明の粒子の製造方法により製造された粒子は、例えば、コア・シェル構造などの多層構造を有し、コア・シェル構造におけるシェル部が、表面側に偏在する一の分散剤により形成されるようにすることができる。
【0023】
前記分散剤としては、医薬等に含有され得る物質として許容されるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂質類、糖類、シクロデキストリン類、アミノ酸類、有機酸類などの他、高分子量のポリマーなどが挙げられる。
【0024】
前記脂質類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中鎖又は長鎖のモノグリセリド、ジグリセリド又はトリグリセリド、リン脂質、植物油(例えば、大豆油、アボカド油、スクアレン油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、ナタネ油、サフラワー油、ヒマワリ油等)、魚油、調味油、水不溶性ビタミン、脂肪酸、及びこれらの混合物を含み、これらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
前記糖類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グルコース、マンノース、イドース、ガラクトース、フコース、リボース、キシロース、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、ツラノース、ラフィノース、マルトトリオース、アカルボース、シクロデキストリン類、アミロース(デンプン)、セルロースなどの単糖類や多糖類の他、グリセリン、ソルビトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトールなどの糖アルコール(ポリオール)、並びにこれらの誘導体などが挙げられる。
【0026】
前記シクロデキストリン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、α−シクロデキストリン、又はシクロデキストリン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
前記アミノ酸類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バリン、リジン、ロイシン、スレオニン、イソロイシン、アスパラギン、グルタミン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、セリン、グルタミン酸、メチオニン、アルギニン、グリシン、アラニン、チロシン、プロリン、ヒスチジン、システイン、トリプトファン、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記有機酸類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、フマル酸、没食子酸、グルタル酸、乳酸、リンゴ酸、マイレン酸、コハク酸、酒石酸、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
分散剤における相溶性の観点から、特に好ましい組み合わせとして、ヒドロキシプロピルセルロースと、ヒドキシプロピルセルロースアセテートサクシネートとの組合せが挙げられる。
【0029】
前記ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドキシプロピルセルロースアセテートサクシネートとしては、重量平均分子量や置換度及び分子量や置換度に依存すると考えられる粘度が異なる種々の製品が各社から市販されており、いずれも本発明に使用することができる。
【0030】
前記ヒドロキシプロピルセルロースの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15,000以上400,000以下が好ましい。なお、前記重量平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
前記ヒドロキシプロピルセルロースの2質量%水溶液(20℃)粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2.0mPa・s以上4,000mPa・s以下が好ましい。
【0031】
前記ヒドロキシプロピルセルロースとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分子量15,000以上30,000以下、かつ粘度2.0mPa・s以上2.9mPa・s以下のHPC−SSL等、分子量30,000以上50,000以下、かつ粘度3.0mPa・s以上5.9mPa・s以下のHPC−SL等、分子量55,000以上70,000以下、かつ粘度6.0mPa・s以上10.0mPa・s以下のHPC−L等、分子量110,000以上150,000以下、かつ粘度150mPa・s以上400mPa・s以下のHPC−M等、分子量250,000以上400,000以下、かつ粘度1,000mPa・s以上4,000mPa・s以下のHPC−H等、(以上、日本曹達株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、分子量15,000以上30,000以下、かつ粘度2.0mPa・s以上2.9mPa・s以下のHPC−SSLが好ましい。
【0032】
高分子量のポリマーとは、1つ以上のモノマーの間に繰り返しの共有結合を含み、重量平均分子量が15,000以上の化合物を意味する。
【0033】
前記ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性セルロース、ポリアルキレングリコール、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアリルアミン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、生分解性ポリエステル、ポリグリコール酸、ポリアミノ酸、ゼラチン、ポリリンゴ酸、ポリジオキサノン、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記水溶性セルロース類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ヒドキシプロピルセルロースアセテートサクシネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
前記ポリアルキレングリコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、又はこれらの共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
前記ポリ(メタ)アクリルアミドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−トリル(メタ)アクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)(メタ)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)(メタ)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
前記ポリ(メタ)アクリル酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のホモポリマー、アクリル酸−メタクリル酸共重合体等のコポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
前記ポリ(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0039】
前記ポリアリルアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジアリルアミン、トリアリルアミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
前記ポリビニルピロリドンとしては、市販品を用いることができる。前記市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラスドンC−15(ISP TECHNOLOGIES社製)、コリドンVA64、コリドンK−30、コリドンCL−M(以上、KAWARLAL社製)、コリコートIR(BASF社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
前記ポリビニルアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
前記ポリ酢酸ビニルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、酢酸ビニル/イタコン酸コポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
前記生分解性ポリエステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ乳酸、ポリ−ε−カプロラクトン、サクシネート系重合体、ポリヒドロキシアルカノエートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記サクシネート系重合体として、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリヒドロキシアルカノエートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリヒドロキシプロピオネート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシパリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
前記ポリグリコール酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳酸−グリコール酸コポリマー、グリコール酸−カプロラクトンコポリマー、グリコール酸−炭酸トリメチレンコポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
前記ポリアミノ酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ−α−グルタミン酸、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、ポリセリン等のアミノ酸単独重合体、又はこれらの共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
前記ゼラチンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、ゼラチン加水分解物、ゼラチン酵素分散物、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
前記ゼラチン誘導体とは、ゼラチン分子に疎水性基を共有結合させて誘導体化したゼラチンを意味する。前記疎水性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ−ε−カプロラクトン等のポリエステル類;コレステロール、ホスファチジルエタノールアミン等の脂質;アルキル基、ベンゼン環を含む芳香族基;複素芳香族基等、又はこれらの混合物などが挙げられる。
【0048】
前記タンパク質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コラーゲン、フィブリン、アルブミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多糖類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸、デンプン、ペクチンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0049】
前記分散剤の含有量としては、本発明における粒子の全量に対して、50質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上99質量%以下がより好ましい。前記含有量が50質量%以上95質量%以下であると、生理活性物質がコア部に含まれる場合、その溶出を制御しやすくなるなどの点で有利である。
【0050】
また、前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも2種の分散剤のうちのいずれかがpH応答性材料であることが好ましい。
ここで、pH応答性材料とは、pHに応答して溶解性が変化する材料を意味する。pH応答性材料として、例えば、pH5.0以上で溶解する材料などが挙げられる。この場合、pH5.0以上で溶解するpH応答性材料を分散剤として表面側に偏在させてシェル部を形成し、生理活性物質として医薬を溶解させた分散剤を粒子の内側に偏在させてコア部を形成すると、腸溶性を有する錠剤を製造することができる。
【0051】
前記pH応答性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セルロース系ポリマー、メタクリル酸系ポリマー、ビニル系ポリマー、アミノ酸、キトサン、ペクチン、アルギン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記pH応答性材料が前記セルロース系ポリマー及び前記メタクリル酸系ポリマーの少なくともいずれかであると、他のpH応答性材料よりも接触角が比較的大きいため、粒子を製造した時にシェル側に分布しやすくなり、腸溶性の医薬としての粒子を製造しやすくなる点で好ましい。
【0052】
前記セルロース系ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテートトリメリテートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記セルロース系ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートの少なくともいずれかであると、他のpH応答性材料よりも接触角が比較的大きいため、コア・シェル粒子を製造した時にシェル側に分布しやすくなり、腸溶性の医薬としての粒子を製造しやすくなる点で好ましい。
【0053】
前記メタクリル酸系ポリマーとしては、例えば、アミノアルキルメタクリル酸エステルコポリマー、メタクリル酸コポリマー、メタクリル酸エステルコポリマー、アンモニオアルキルメタクリル酸エステルコポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記メタクリル酸系ポリマーがアンモニオアルキルメタクリル酸エステルコポリマーであると、他のpH応答性材料よりも接触角が比較的大きいため、コア・シェル粒子を製造した時にシェル側に分布しやすくなり、腸溶性の医薬としての粒子を製造しやすくなる点で好ましい。
【0054】
分散剤の組合せとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、互いに相溶することなく、相分離することが好ましい。分散剤が2種であれば、具体的な好ましい組合せとしては、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリグリコール酸、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのいずれかと、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンピロリドン、及びポリアルキレングリコールのいずれかとの組合せが好ましい。
【0055】
また、シェル側に局在化させる分散剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、デキストラン硫酸、アルギン酸、カラギーナン、ヘパラン硫酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ムチン硫酸、アラビアゴム、キトサン、プルラン、ペクチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびメチルセルロースなどの硫酸エステル及びこれらのナトリウム等の金属塩,ヒアルロン酸、キサンタンガム、アルギン酸、ポリグルタミン酸、カルメロース、カルボキシルメチルデキストランおよびカルボキシルデキストラン及びこれらのナトリウム等の金属塩,アクリル酸系重合体,ポリビニル硫酸などを用いる態様も好ましい。これらの分散剤は、高い粘膜付着性を示すため、シェル側に局在化することにより、粘膜付着性の機能性粒子となるため、特に生理活性物質が医薬化合物である場合には、長時間粘膜にとどまることにより薬物動態を改善することができる。中でも特にヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートは、本発明により粘膜付着性が見出された分散剤であり、特に好ましい。
【0056】
−生理活性物質−
前記生理活性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬化合物、機能性食品化合物、機能性化粧品化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。生理活性物質は、例えば水難溶解性化合物であってもよいし、水溶性化合物であってもよい。用いられる生理活性物質および製造される粒子の所望の性質に基づいて、溶媒や分散剤などを適宜選択することができる。
【0057】
−溶媒−
前記溶媒は、目的に応じて、例えば、前記生理活性物質、前記分散剤の親水性、親油性を考慮して適宜選択することができる。典型的には、溶媒は生理活性物質や分散剤を溶解させることを目的とするものであり、したがって例えば水難溶性の生理活性物質を用いる場合は、かかる生理活性物質を溶解可能な親油性溶媒を用いることが好ましい。
【0058】
前記溶媒としては、例えば、水、脂肪族ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、1,4−ジオキサン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、有機酸類(例えば、酢酸、プロピオン酸等)、エステル類(例えば、酢酸エチル等)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶解性の面から脂肪族ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、又はこれらの混合溶媒が好ましく、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、メタノール、エタノール、又はこれらの混合溶媒がより好ましい。
【0059】
前記溶媒の含有量としては、本発明における粒子組成液の全量に対して、70質量%以上99.5質量%以下が好ましく、90質量%以上99質量%以下がより好ましい。前記含有量が、70質量%以上99.5質量%以下であると、材料の溶解性及び溶液粘度の点から生産安定性の面で有利である。
【0060】
−−−医薬化合物−−−
前記医薬に使用される医薬化合物は、前記機能性粒子や前記医薬組成物の形態を達成するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
具体的には、例えば、固体分散体に適用される水難溶解性化合物は、本発明の粒子の製造方法を用いて粒子とすることにより、経口投与等した場合でもバイオアベイラビリティを向上することができる。前記水難溶性化合物とは、水/オクタノール分配係数のlogP値が3以上であり、水溶性化合物とは、水/オクタノール分配係数のlogP値が3未満である化合物を意味する。前記水/オクタノール分配係数は、JIS Z 7260−107(2000)フラスコ振とう法に準拠して測定することができる。また、前記医薬化合物には、医薬として有効である限り、塩、水和物等のいずれの形態も包含される。
【0061】
前記水溶性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アバカビル、アセトアミノフェン、アシクロビル、アミロライド、アミトリプチリン、アンチピリン、アトロピン、ブスピロン、カフェイン、カプトプリル、クロロキン、クロルフェニラミン、シクロホスファミド、ジクロフェナク、デシプラミン、ジアゼパム、ジルチアゼム、ジフェンヒドラミン、ジソピラミド、ドキシン、ドキシサイクリン、エナラプリル、エフェドリン、エタンブトール、エチニルエストラジオール、フルオキセチン、イミプラミン、グルコース、ケトロール、ケトプロフェン、ラベタロール、レボドパ、レボフロキサシン、メトプロロール、メトロニダゾール、ミダゾラム、ミノサイクリン、ミソプロストール、メトホルミン、ニフェジピン、フェノバルビタール、プレドニゾロン、プロマジン、プロプラノロール、キニジン、ロシグリタゾン、サリチル酸、テオフィリン、バルプロ酸、ベラパミル、ジドブジンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0062】
前記水難溶性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ノルフロキサシン、タモキシフェン、シクロスポリン、グリベンクラミド、トログリタゾン、ニフェジピン、フェナセチン、フェニトイン、ジギトキシン、ニルバジピン、ジアゼパム、クロラムフェニコール、インドメタシン、ニモジピン、ジヒドロエルゴトキシン、コルチゾン、デキサメタゾン、ナプロキセン、ツルブテロール、プロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、プランルカスト、トラニラスト、ロラチジン、タクロリムス、アンプレナビル、ベクサロテン、カルシトロール、クロファジミン、ジゴキシン、ドキセルカルシフェロール、ドロナビノール、エトポジド、イソトレチノイン、ロピナビル、リトナビル、プロゲステロン、サキナビル、シロリムス、トレチノイン、バルプロ酸、アムホテリシン、フェノルドパム、メルファラン、パリカルシトール、プロポフォル、ボリコナゾール、ジプラシドン、ドセタキセル、ハロペリドール、ロラゼパム、テニポジド、テストステロン、バルルビシンなどが挙げられる。
【0063】
前記医薬化合物の含有量としては、本発明における粒子の全量に対して、1質量%以上95質量%以下が好ましく、1質量%以上50質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上95質量%以下であると、コア・シェル粒子を製造した場合にコア部に含まれる前記医薬化合物の溶出を制御しやすくなる点で有利である。
【0064】
−−機能性食品化合物−−
前記機能性食品化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ルテイン、ゼアキサンチン、リポ酸、フラボノイド、脂肪酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸としては、例えば、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸などが挙げられる。
【0065】
−−機能性化粧品化合物−−
前記機能性化粧品化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコール類、脂肪アルコール類、及びポリオール類、アルデヒド類、アルカノールアミン類、アルコキシル化アルコール類(例えば、アルコール類、脂肪アルコール類等のポリエチレングリコール誘導体類)、アルコキシル化アミド類、アルコキシル化アミン類、アルコキシル化カルボン酸類、塩を含むアミド類(例えば、セラミド類等)、アミン類、塩及びアルキル置換誘導体類を含むアミノ酸、エステル類、アルキル置換及びアシル誘導体類、ポリアクリル酸類、アクリルアミドコポリマー類、アジピン酸コポリマー水、アミノシリコーン類、生物学的ポリマー類及びその誘導体、ブチレンコポリマー類、炭水化物(例えば、ポリサッカライド類、キトサン、その誘導体類等)、カルボン酸類、カーボマー類、エステル類、エーテル類、及びポリマーエーテル類(例えば、PEG誘導体類、PPG誘導体類等)、グリセリルエステル類及びその誘導体、ハロゲン化合物類、塩を含むヘテロ環化合物類、親水性コロイド類並びに塩及びゴムを含む誘導体類(例えば、セルロース誘導体類、ゼラチン、キサンタンガム、天然ゴム類等)、イミダゾリン類、無機物質(粘土、TiO、ZnO等)、ケトン類(例えば、樟脳等)、イセチオネート類、ラノリン及びその誘導体類、有機塩類、塩を含むフェノール類(例えば、パラベン類等)、燐化合物類(例えば、リン酸誘導体類等)、ポリアクリレート類及びアクリレートコポリマー類、タンパク質及び酵素誘導体類(例えば、コラーゲン等)、塩を含む合成ポリマー類、シロキサン類及びシラン類、ソルビタン誘導体類、ステロール類、スルホン酸類及びその誘導体類、ワックス類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0066】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記その他の成分としては、例えば、賦形剤、矯味剤、崩壊剤、流動化剤、吸着剤、滑沢剤、矯臭剤、界面活性剤、香料、着色剤、抗酸化剤、隠蔽剤、静電気防止剤、湿潤剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記その他の成分は、本発明の粒子を含有する医薬におけるその他の成分として添加してもよい。
【0067】
前記賦形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳糖、ショ糖、マンニトール、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、パラチノース、トレハロース、ソルビトール、結晶セルロース、タルク、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0068】
前記矯味剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、L−メントール、白糖、D−ソルビトール、キシリトール、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、グルタミン酸ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0069】
前記崩壊剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチ、トウモロコシデンプンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0070】
前記流動化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、タルクなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記軽質無水ケイ酸としては、市販品を用いることができる。前記市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アドソリダー101(フロイント産業株式会社製:平均細孔径:21nm)などが挙げられる。
【0071】
前記吸着剤としては、市販品を用いることができる。前記市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、商品名:カープレックス(成分名:合成シリカ、DSL.ジャパン株式会社の登録商標)、商品名:アエロジル(日本アエロジル株式会社の登録商標)200(成分名:親水性フュームドシリカ)、商品名:サイリシア(成分名:非晶質二酸化ケイ素、富士シリシア化学株式会社の登録商標)、商品名:アルカマック(成分名:合成ヒドロタルサイト、協和化学株式会社の登録商標)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0072】
前記滑沢剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、タルクなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0073】
前記矯臭剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トレハロース、リンゴ酸、マルトース、グルコン酸カリウム、アニス精油、バニラ精油、カルダモン精油などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0074】
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリソルベート80等のポリソルベート;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物;ラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0075】
前記香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レモン油、オレンジ油、はっか油などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0076】
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、食用黄色5号、食用青色2号、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
前記抗酸化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、L−システイン、亜硫酸ナトリウム、ビタミンEなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0078】
前記隠蔽剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0079】
前記静電気防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、タルク、酸化チタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0080】
前記湿潤剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリソルベート80、ラウリル酸硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、マクロゴール、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0081】
前記その他の成分の含有量としては、本発明における粒子の全量に対して、1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上10質量%以下であると、分散剤による再分散性を損なわず、かつ均一性に問題を認めにくい点から有利である。
【0082】
前記粒子組成液の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5mPa・s以上15.0mPa・s以下が好ましく、0.5mPa・s以上10.0mPa・s以下がより好ましい。なお、前記粘度は、例えば、粘弾性測定装置(装置名:MCRレオメーター、AntonPaar社製)を用いて、25℃、シアレート10s−1の条件により測定することができる。
【0083】
前記粒子組成液の表面張力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10mN/m以上75mN/m以下が好ましく、20mN/m以上50mN/m以下がより好ましい。なお、前記表面張力は、例えば、ハンディ表面張力計(装置名:PocketDyne、KRUSS社製)を用いて、最大泡圧法により25℃、ライフタイム1,000msの条件により測定できる。
【0084】
前記粒子組成液としては、前記生理活性物質と分散剤が溶解した状態のもの、前記生理活性物質と分散剤が分散した状態のもの、又は吐出させる条件下で粒子組成液の状態のものであれば溶媒を含まなくてもよく、粒子成分が溶融している状態のものであってもよい。
【0085】
[粒子組成液の調製方法]
前記粒子組成液の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)前記生理活性物質と樹脂を、前記分散剤と共に前記溶媒に添加して、0.03mmから10mmの範囲のジルコニアビーズと共に自転公転型撹拌機(株式会社シンキー製)を用いて、100rpm以上5,000rpm以下にて数分から数時間混合撹拌して分散させる方法、(ii)前記生理活性物質と樹脂を、前記分散剤と共に前記溶媒に添加して、撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌して分散させる方法などが挙げられる。
【0086】
<<液滴化手段>>
前記液滴化手段は、生理活性物質及び少なくとも2種の分散剤を含有する粒子組成液を液滴化する手段である。
前記液滴化手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記粒子組成液を吐出して液滴化する方法を用いるものが好ましい。
本発明においては、前記液滴化工程が、例えば、液滴化手段による前記粒子組成液の吐出により行われることが好ましい。
【0087】
前記粒子組成液を吐出して液滴化する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液柱共鳴法、膜振動法、液振動法、レイリー分裂法、サーマル法、スプレードライ法などが挙げられる。これらの中でも、液柱共鳴法が好ましい。液柱共鳴法が好ましい理由としては、膜振動法及び液振動法と比較すると、キャビテーションの発生がなく連続生産性に優れる。また、レイリー分裂法と比較すると、吐出性、連続生産性、及び生産安定性に優れる。さらに、サーマル法と比較すると、加熱しないため適性材料が限定されず、連続生産性に優れる。そして、スプレードライ法と比較すると、粒度分布がシャープであり、粒径コントロール性に優れる。
【0088】
前記液柱共鳴法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液柱共鳴液室内に収容された、生理活性物質を含む粒子組成液に振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、前記定在波の腹となる領域に、前記定在波の振幅方向に形成された吐出口から前記粒子組成液を吐出する方法などが挙げられる。
【0089】
前記液柱共鳴法の前記液滴化手段は、液柱共鳴液室を有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
【0090】
前記液柱共鳴液室には、前記粒子組成液が充填され、後述する振動発生手段によって発生する液柱共鳴定在波により圧力分布が形成される。そして、液柱共鳴定在波において振幅の大きな部分であって圧力変動が大きい、定在波の腹となる領域に配置されている吐出口から前記粒子組成液を吐出して液滴化する。
【0091】
前記吐出口は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ノズルプレート等に設けられた吐出孔の開口部の出口であり、前記ノズルプレートに複数形成されている。
前記吐出口の開口数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2個以上3,000個以下が好ましい。前記開口数が、2個以上3,000個以下であると、生産性を向上できる。
【0092】
前記吐出口の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上40μm以下が好ましく、6μm以上40μm以下がより好ましい。前記直径が、1μm以上であると、形成される液滴が非常に小さくなることを抑制でき、粒子を得やすくなり、また、粒子の構成成分として固形粒子が含有された構成の場合でも吐出口において閉塞を頻繁に発生して生産性が低下することを防止できる。また、40μm以下であると、液滴の直径が大きくなることを抑制でき、これを乾燥させて、所望の粒径3μm以上6μm以下を得る場合、溶媒により粒子組成を非常に希薄な液に希釈する必要がなく、一定量の粒子を得るために乾燥エネルギーが大量に必要になることを防止できる。
【0093】
なお、振動発生手段は、所定の周波数で駆動できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、圧電体を用いたものが好ましい。
前記圧電体としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスなどが挙げられ、一般に変位量が小さいため積層して使用されることが多い。この他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電ポリマーや、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶などが挙げられる。
前記所定の周波数としては、生産性の点から、150kHz以上が好ましく、300kHz以上500kHz以下がより好ましい。
【0094】
<固化工程>
前記固化工程は、少なくとも、少なくとも2種の分散剤のうちの1種が表面側に偏在するように、液滴化した前記粒子組成液を固化させる工程である。
前記固化工程は、後述する固化手段により好適に行うことができる。
【0095】
前記固化工程としては、前記粒子組成液を固体状態にできれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記固化工程としては、例えば、前記粒子組成液が固体原材料を揮発可能な溶媒に溶解乃至分散させたものであれば、前記粒子組成液を吐出して液滴化した後、搬送気流中で液滴を乾燥させ、前記粒子組成液が含有する前記溶媒を揮発させるようにしてもよい。
【0096】
前記固化工程において、液滴化させた粒子組成液の溶媒を揮発させると、分散剤分子間での相互作用の影響が大きくなる。このとき、種類の異なる分散剤において接触角の大きさが互いに異なる場合、同種の分散剤どうしで偏在しやすくなる。すると、液滴化した粒子組成液では、少なくとも、少なくとも2種の分散剤のうちの1種が表面側に偏在するようになり、その状態で前記溶媒の揮発が更に進むと液滴化した粒子組成液が固化して粒子が形成されるため、偏在した状態で粒子が形成され、結果として多層構造を有する粒子が得られる。これにより、前記固化工程では、表面側に偏在して固化した少なくとも1種の分散剤を含む層が最外層となり、内側に偏在して固化した分散剤が最内層となる多層構造を有し、かつ粒径が小さい粒子を製造することができる。
【0097】
前記溶媒の乾燥としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、噴射する気体の温度や蒸気圧、気体種類等を適宜選定して乾燥状態を調整するようにしてもよい。また、完全に乾燥していなくとも、捕集された粒子が固体状態を維持していれば、回収後に別工程で追加乾燥させてもよい。前記例に従わなくとも、温度変化や化学的反応等の適用により実施することもできる。
【0098】
<その他の工程>
その他の工程としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、捕集工程などが挙げられる。
その他の工程は、その他の手段により好適に行うことができる。
【0099】
前記捕集工程は、前記固化工程で乾燥して固化させた粒子を捕集する工程である。
前記捕集工程としては、後述する捕集手段により好適に行うことができる。
【0100】
前記捕集手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サイクロン捕集、バックフィルターなどが挙げられる。
【0101】
(粒子)
本発明の粒子は、生理活性物質及び少なくとも2種の分散剤を含有し、更に必要に応じて、添加剤などのその他成分を含有する。本発明の粒子は、固形又は半固形粒子を含む。
【0102】
前記粒子の構造としては、多層構造を有することが好ましく、特にコア・シェル構造を有することが好ましい。コア・シェル構造におけるシェル部が、表面側に偏在する分散剤により形成されることが好ましい。前記粒子の構造がコア・シェル構造であるとは、例えば、図12図13に示すように、前記最表層のシェル成分66が他の成分であるコア成分67を内包するような構造である。
【0103】
前記粒子がコア・シェル構造(多層構造)を有するか否かを確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。コア・シェル構造(多層構造)の確認方法としては、例えば、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡や走査型プローブ顕微鏡等で粒子断面を観察する方法などが挙げられる。また、他の確認方法としては、飛行時間型二次イオン質量法を用いてシェル成分を測定し、コア成分と異なることを判断できればコア・シェル粒子であると確認する方法が挙げられる。さらに、他の確認方法としては、電子染色や溶解処理等の前処理を行うことも可能で、例えば、水溶性成分と非水溶性成分のコア・シェル粒子等の場合は、粒子断面を水に浸漬させて、水溶性成分を完全に溶解させた断面を走査型電子顕微鏡で観察をすることで、粒子断面の残存部分が非水溶性成分、空隙部分に水溶性成分が分布していたと判断して、コア・シェル粒子であると判断してもよい。
【0104】
前記粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球形などが挙げられる。
【0105】
前記粒子の大きさとしては、前記粒子の体積平均粒径(Dv)としては、1μm以上100μm以下であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上50μm以下であることが好ましく、1μm以上10μm以下であることがより好ましい。前記体積平均粒径(Dv)が1μm以上10μm以下であると、単位重量当りの粒子の表面積を大きく保つことができるため、単位時間当たりの薬剤溶出量を増大させることができるという利点がある。前記体積平均粒径(Dv)が1μm未満になると粒子同士の凝集が生じ、粒子を1次粒子で存在させることが困難になる。
【0106】
前記粒子の粒度分布の指標の一つであるSPAN FACTOR((D90−D10)/D50)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0以上1.20以下が好ましく、0以上1.00以下がより好ましく、0以上0.50以下が特に好ましい。前記SPAN FACTOR((D90−D10)/D50)が、0以上1.20以下であると、粒度分布が狭いことにより、医薬のバイオアベイラビリティを向上できる。
なお、D90は体積90%径、D50は体積50%径、D10は体積10%径を意味する。また、前記体積平均粒径、前記D90、前記D50、前記D10及び前記SPAN FACTORは、例えば、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(装置名:マイクロトラックMT3000II、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて解析を行うことができる。
【0107】
前記粒子は、例えば、コア部及び/又はシェル部を構成する分散剤等を適宜選択することにより、若しくは、分散剤、添加剤、その他の成分と混合することにより、所望の機能性を付与して機能性粒子を製造することができる。
前記機能性粒子としては、例えば、即時放出性粒子、徐放性粒子、pH依存放出性粒子、pH非依存放出性粒子、腸溶性コーティング粒子、放出制御コーティング粒子、ナノ結晶含有粒子、粘膜付着性粒子,粘膜透過性粒子などが挙げられる。例えば、医薬組成物に含有せしめた場合にその薬物動態を制御可能な機能性粒子として、徐放性粒子、腸溶性コーティング粒子、粘膜付着性粒子などが挙げられる。
【0108】
徐放性粒子の製造において好適に用いられる分散剤としては、これに限定するものではないが、例えばPLGAなどが挙げられる。徐放性粒子とすることにより、生理活性物質が体内で持続的に放出され続けるため、例えば生理活性物質の血中濃度を上記に亘り維持することができる。
腸溶性コーティング粒子の製造において好適に用いられる分散剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートなどが挙げられる。かかる分散剤を表面に局在させるように組み合わせる分散剤を選択することにより、腸溶性コーティング粒子を製造することができる。腸溶性コーティング粒子は、胃で溶けずに腸で溶ける性質を有するため、生理活性物質を腸まで送達させることが可能となる。
粘膜付着性粒子の製造において好適に用いられる分散剤としては、ムチンと相互作用するポリマー、例えば正に帯電しているポリマーや、ムチンの鎖状構造に物理的に絡まりやすいポリマーが挙げられる。具体的には、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、デキストラン硫酸、アルギン酸、カラギーナン、ヘパラン硫酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ムチン硫酸、アラビアゴム、キトサン、プルラン、ペクチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびメチルセルロースなどの硫酸エステル及びこれらのナトリウム等の金属塩,ヒアルロン酸、キサンタンガム、アルギン酸、ポリグルタミン酸、カルメロース、カルボキシルメチルデキストランおよびカルボキシルデキストラン及びこれらのナトリウム等の金属塩,アクリル酸系重合体,ポリビニル硫酸
などが挙げられる。かかる分散剤を表面に局在させるように組み合わせる分散剤を選択することにより、粘膜付着性粒子を製造することができる。粘膜付着性粒子は、生体に経口投与された生理活性物質の吸収点の1つである粘膜に長時間滞留することにより、生理活性物質の生体吸収性を改善し、持続的吸収を達成することができる。
【0109】
また、前記医薬化合物、前記機能性食品化合物、又は前記機能性化粧品化合物を含む粒子組成液を用いて製造される粒子は、例えば、医薬、食品、化粧品などに好適に用いることができる。
【0110】
(医薬)
前記医薬としては、前記粒子に前記医薬化合物が含有されていれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、更に必要に応じて、分散剤、添加剤、その他の成分を含有する。
【0111】
前記医薬の製剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、大腸デリバリー製剤、リピッドマイクロスフェア製剤、ドライエマルション製剤、自己乳化型製剤、ドライシロップ、経鼻投与用粉末製剤、経肺投与用粉末製剤、ワックスマトリックス製剤、ハイドロゲル製剤、高分子ミセル製剤、粘膜付着型製剤、胃内浮遊製剤、リポソーム製剤、固体分散体製剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0112】
前記医薬の剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、坐剤、他の固形の剤形等;鼻内用乃至肺投与用のエアロゾル等;注射用剤、眼内用剤、耳内用剤、経口用剤等の液剤などが挙げられる。
【0113】
前記医薬の投与経路としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口投与、鼻腔投与、直腸投与、膣投与、皮下投与、静脈内投与、肺投与などが挙げられる。これらの中でも、経口投与が好ましい。
【0114】
−−食品−−
前記食品としては、前記粒子に前記機能性食品化合物が含有されていれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、更に必要に応じて、分散剤、添加剤、その他の成分を含有する。
前記食品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;種々の形態の健康食品や栄養補助食品などが挙げられる。
【0115】
−−化粧品−−
前記化粧品としては、前記粒子に前記機能性化粧品化合物が含有されていれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、更に必要に応じて、分散剤、添加剤、その他の成分を含有する。
前記化粧品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スキンケア化粧品、メークアップ化粧品、ヘアケア化粧品、ボディケア化粧品、フレグランス化粧品などが挙げられる。
前記スキンケア化粧品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メーク落とし用クレンジング組成物、洗顔料、乳液、化粧水、美容液、皮膚保湿剤、パック剤、ひげそり用化粧料(例えば、シェーブフォーム、プレシェーブローション、アフターシェーブローション等)などが挙げられる。
前記メークアップ化粧品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ファンデーション、口紅及びマスカラ等
前記ヘアケア化粧品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、整髪料(例えば、ヘアジェル、ヘアセットローション、ヘアリキッド、ヘアミスト等)などが挙げられる。
前記ボディケア化粧品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボディソープ、日焼け止め化粧料、マッサージクリームなどが挙げられる。
前記フレグランス化粧品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、香水(例えば、パフューム、パルファム等)、オードパルファム(例えば、パフュームコロン等)、オードトワレ(例えば、パフュームドトワレ、パルファンドトワレ等)、オーデコロン(例えば、コロン、フレッシュコロン等)などが挙げられる。
【0116】
本発明の粒子の製造方法は、粒子製造装置により好適に行うことができる。
ここで、粒子製造装置について説明する。
【0117】
図1は、液滴化手段11の概略断面図である。前記液滴化手段11は、液共通供給路17及び液柱共鳴液室18を有する。前記液柱共鳴液室18は、長手方向の両端の壁面のうち一方の壁面に設けられた液共通供給路17と連通されている。また、前記液柱共鳴液室18は、両端の壁面と連結する壁面のうち一つの壁面に液滴21を吐出する吐出口19と、吐出口19と対向する壁面に設けられ、かつ液柱共鳴定在波を形成するために高周波振動を発生する振動発生手段20とを有する。なお、振動発生手段20には、図示していない高周波電源が接続している。図1中、符号9は弾性板を、符号12は気流通路を、符号14は粒子組成液を示す。
【0118】
図2は、液柱共鳴液滴吐出ユニットの一例を示す断面図である。粒子組成液14は、図示されない液循環ポンプにより液供給管を通って、図2に示す液柱共鳴液滴形成ユニット10の液共通供給路17内に流入し、共通供給路17から図1に示す液滴化手段11の液供給路17aを通って、液柱共鳴液室18に供給される。そして、粒子組成液14が充填されている液柱共鳴液室18内には、振動発生手段20によって発生する液柱共鳴定在波により圧力分布が形成される。そして、液柱共鳴定在波において振幅の大きな部分であって圧力変動が大きい、定在波の腹となる領域に配置されている吐出口19から液滴21が吐出される。この液柱共鳴による定在波の腹となる領域は、定在波の節以外の領域であり、定在波の圧力変動が液を吐出するのに十分な大きさの振幅を有する領域が好ましく、圧力定在波の振幅が極大になる位置(速度定在波としての節)から極小になる位置に向かって±1/4波長の領域がより好ましい。
【0119】
定在波の腹になる領域であれば、吐出口が複数で開口されていても、それぞれからほぼ均一な液滴を形成することができ、更には効率的に液滴の吐出を行うことができ、吐出口の詰まりも生じ難くなる。なお、液共通供給路17を通過した粒子組成液14は図示されない液戻り管を流れて原料収容器に戻される。液滴21の吐出によって液柱共鳴液室18内の粒子組成液14の量が減少すると、液柱共鳴液室18内の液柱共鳴定在波の作用による吸引力が作用し、液供給路17aから供給される粒子組成液14の流量が増加する。そして、液柱共鳴液室18内に粒子組成液14が補充される。そして、液柱共鳴液室18内に粒子組成液14が補充されると、液供給路17aを通過する粒子組成液14の流量が元に戻る。
【0120】
液滴化手段11における液柱共鳴液室18は、金属やセラミックス、シリコーンなどの駆動周波数において粒子組成液の共鳴周波数に影響を与えない程度の高い剛性を持つ材質により形成されるフレームが、それぞれ接合されて形成されている。また、図1に示すように、液柱共鳴液室18の長手方向の両端の壁面間の長さLは、後述するような液柱共鳴原理に基づいて決定される。また、図2に示す液柱共鳴液室18の幅Wは、液柱共鳴に余分な周波数を与えないように、液柱共鳴液室18の長さLの2分の1より小さいことが好ましい。更に、液柱共鳴液室18は、生産性を飛躍的に向上させるために1つの液滴形成ユニット10に対して複数配置されていることが好ましい。液柱共鳴液室18の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、操作性と生産性との両立の点から、100個以上2,000個以下が好ましい。また、液柱共鳴液室毎に、液供給のための液供給路17aが液共通供給路17から連通接続されており、液供給路17aには複数の液柱共鳴液室18と連通している。
【0121】
また、液滴化手段11における振動発生手段20は、所定の周波数で駆動できるものであれば特に制限はないが、圧電体を、弾性板9に貼りあわせた形態が好ましい。前記周波数としては、生産性の点から、150kHz以上が好ましく、300kHz以上500kHz以下がより好ましい。前記弾性板は、圧電体が接液しないように液柱共鳴液室の壁の一部を構成している。前記圧電体は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスなどが挙げられ、一般に変位量が小さいため積層して使用されることが多い。この他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電ポリマーや、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶などが挙げられる。更に、振動発生手段20は、1つの液柱共鳴液室毎に個別に制御できるように配置されていることが好ましい。また、上記の1つの材質のブロック状の振動部材を液柱共鳴液室の配置にあわせて、一部切断し、弾性板を介してそれぞれの液柱共鳴液室を個別制御できるような構成が好ましい。
【0122】
図2から分かるように、吐出口19の開口を多数設けることができ、生産効率が高くなる点から、吐出口19を液柱共鳴液室18内の幅方向に設ける構成を採用することが好ましい。また、吐出口19の開口配置によって液柱共鳴周波数が変動するため、液柱共鳴周波数は液滴の吐出を確認して適宜決定することが望ましい。
【0123】
図3A図3Dは、吐出孔の構造の一例を示す概略図である。図3A図3Dに示すように、吐出孔の断面形状は吐出孔の接液面(入口)から吐出口(出口)に向かって開口径が小さくなるようなテーパー形状として記載されているが、適宜断面形状を選択することができる。
【0124】
図3Aは、吐出孔の接液面から吐出口19に向かって、ラウンド形状を持ちながら開口径が狭くなるような形状を有しており、吐出口において液にかかる圧力が最大となるため、吐出の安定化に際しては最も好ましい形状である。
図3Bは、吐出孔の接液面から吐出口19に向かって、一定の角度を持って開口径が狭くなるような形状を有しており、このノズル角度24は、適宜変更することができる。図3Aの形状と同様に、このノズル角度によって吐出口付近において液にかかる圧力を高めることができる。前記ノズル角度24としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60°以上90°以下が好ましい。前記ノズル角度が、60°以上であると、液に圧力がかかりやすく、更に加工もしやすくなる。前記ノズル角度24が、90°以下であると、吐出孔の出口付近で圧力がかかるため、安定して液滴化を行うことができる。したがって、前記ノズル角度24としては、90°(図3Cに相当する)を最大値とすることが好ましい。
図3Dは、図3A図3Bとを組み合わせた形状である。このように段階的に形状を変更してもよい。
【0125】
次に、液柱共鳴における液滴形成ユニットによる液滴形成のメカニズムについて説明する。
先ず、図1の液滴化手段11内の液柱共鳴液室18において生じる液柱共鳴現象の原理について説明する。
液柱共鳴液室内の粒子組成液の音速をcとし、振動発生手段20から媒質である粒子組成液に与えられた駆動周波数をfとした場合、粒子組成液の共鳴が発生する波長λは、下記式1で表される。
λ=c/f ・・・(式1)
【0126】
また、図1の液柱共鳴液室18において固定端側のフレームの端部から液共通供給路17側の端部までの長さをLとする。そして、液共通供給路17側のフレームの端部の高さh1(約80μm)は連通口の高さh2(約40μm)の約2倍あり、当該端部が閉じている固定端と等価であるとする。このような両側固定端の場合には、長さLが波長λの4分の1の偶数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、下記式2で表される。
L=(N/4)λ ・・・(式2)
ただし、前記式2中、Lは、液柱共鳴液室の長手方向の長さを表し、Nは、偶数を表し、λは、粒子組成液の共鳴が発生する波長を表す。
【0127】
更に、両端が完全に開いている両側開放端の場合にも前記式2が成り立つ。
同様にして、片方側が圧力の逃げ部がある開放端と等価で、他方側が閉じている(固定端)の場合、つまり片側固定端又は片側開放端の場合には、長さLが波長λの4分の1の奇数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、前記式2のNが奇数で表現される。
最も効率の高い駆動周波数fは、前記式1及び前記式2より、下記式3が導かれる。
f=N×c/(4L) ・・・(式3)
ただし、前記式3中、Lは、液柱共鳴液室の長手方向の長さを表し、cは、粒子組成液の音波の速度を表し、Nは、自然数を表す。
しかし、実際には、粒子組成液は共鳴を減衰させる粘性を持つために無限に振動が増幅されるわけではなく、Q値を持ち、後述する式4、式5に示すように、前記式3に示す最も効率の高い駆動周波数fの近傍の周波数でも共鳴は発生する。
【0128】
図4Aは、N=1、片側固定端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。図4Bは、N=2、両側固定端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。図4Cは、N=2、両側開放端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。図4Dは、N=3、片側固定端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。また、図5Aは、N=4、両側固定端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。図5Bは、N=4、両側開放端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。図5Cは、N=5、片側固定端の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。
図4及び図5において、実線は速度分布を表し、破線は圧力分布を表す。本来は、疎密波(縦波)であるが、図4A図4D及び図5A図5Cのように、表記することが一般的である。実線が速度定在波、点線が圧力定在波である。例えば、N=1の片側固定端の場合を示す図4Aから分かるように、速度分布の場合閉口端において速度分布の振幅がゼロとなり、開口端で振幅が最大となり、直感的にわかりやすい。液柱共鳴液室の長手方向の両端の間の長さをLとしたとき、粒子組成液が液柱共鳴する波長をλとし、整数Nが1〜5の場合に定在波が最も効率よく発生する。また、両端の開閉状態によっても定在波パターンは異なるため、それらも併記した。後述するが、吐出口の開口や供給側の開口の状態によって、端部の条件が決まる。
【0129】
なお、音響学において、開口端とは、媒質の移動速度が極大となり、逆に圧力はゼロとなる端を意味し、閉口端とは、長手方向の媒質(液)の移動速度がゼロとなり、逆に圧力は極大となる端を意味する。閉口端は音響的に硬い壁として考え、波の反射が発生する。理想的に完全に閉口、もしくは開口している場合は、波の重ね合わせによって図4A図4D及び図5A図5Cのような形態の共鳴定在波を生じる。しかし、吐出口の数や開口位置によっても定在波のパターンは変動し、前記式3より求めた位置からずれた位置に共鳴周波数が現れる。この場合には、適宜駆動周波数を調整することにより安定した液滴化条件を作り出すことができる。例えば、粒子組成液の音速cが1,200m/s、液柱共鳴液室の長さLが1.85mmを用い、両端に壁面が存在して、両側固定端と完全に等価のN=2の共鳴モードを用いた場合、前記式2より、最も効率の高い共鳴周波数は324kHzと導かれる。他の例では、粒子組成液の音速cが1,200m/s、液柱共鳴液室の長さLが1.85mmと、上記と同じ条件を用い、両端に壁面が存在して、両側固定端と等価のN=4の共鳴モードを用いた場合、前記式2より、最も効率の高い共鳴周波数は648kHzと導かれる。このように同じ構成の液柱共鳴液室においても、より高次の共鳴を利用することができる。
図1に示す液滴化手段11における液柱共鳴液室は、両端が閉口端状態と等価であるか、吐出口の開口の影響で、音響的に軟らかい壁として説明できるような端部であることが周波数を高めるためには好ましいが、それに限らず開放端であってもよい。ここでの吐出口の開口の影響とは、音響インピーダンスが小さくなり、特にコンプライアンス成分が大きくなることを意味する。よって、図4B及び図5Aのような液柱共鳴液室の長手方向の両端に壁面を形成する構成は、両側固定端の共鳴モード、そして吐出口側が開口とみなす片側開放端の全ての共鳴モードが利用できる点から好ましい。
【0130】
また、吐出口の開口数、開口配置位置、吐出口の断面形状も駆動周波数を決定する因子となり、駆動周波数はこれに応じて適宜決定することができる。例えば、吐出口の数を多くすると、徐々に固定端であった液柱共鳴液室の先端の拘束が緩くなり、ほぼ開口端に近い共鳴定在波が発生し、駆動周波数は高くなる。更に、最も液供給路側に存在する吐出口の開口配置位置を起点に緩い拘束条件となり、また吐出口の断面形状がラウンド形状となったりフレームの厚みによる吐出口の体積が変動したり、実際上の定在波は短波長となり、駆動周波数よりも高くなる。このように決定された駆動周波数で振動発生手段に電圧を与えたとき、振動発生手段が変形し、駆動周波数にて最も効率よく共鳴定在波を発生する。また、共鳴定在波が最も効率よく発生する駆動周波数の近傍の周波数でも液柱共鳴定在波は発生する。つまり、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さをL、液供給側の端部に最も近い吐出口までの距離をLeとする。このとき、L及びLeの両方の長さを用いて下記式4及び式5で決定される範囲の駆動周波数fを主成分とした駆動波形を用いて振動発生手段を振動させ、液柱共鳴を誘起して液滴を吐出口から吐出して液滴化することが可能である。
N×c/(4L)≦f≦N×c/(4Le) ・・・(式4)
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le) ・・・(式5)
ただし、前記式4及び前記式5中、Lは、液柱共鳴液室の長手方向の長さを表し、Leは、液供給路側の端部と、該端部に最も近い吐出孔の中心部との距離を表し、cは、粒子組成液の音波の速度を表し、Nは、自然数を表す。
【0131】
なお、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さLと、液供給側の端部に最も近い吐出口までの距離Leの比(L/Le)が、下記式6を満たすことが好ましい。
Le/L>0.6 ・・・(式6)
【0132】
以上説明した液柱共鳴現象の原理を用いて、図1の液柱共鳴液室18において液柱共鳴圧力定在波が形成され、液柱共鳴液室18の一部に配置された吐出口19において連続的に吐出して液滴化する。なお、定在波の圧力が最も大きく変動する位置に吐出口19を配置すると、液滴化効率が高くなり、低い電圧で駆動することができる点から好ましい。また、吐出口19の個数としては、1つの液柱共鳴液室18に1つでもよいが、2つ以上である(複数個配置する)ことが生産性の点から好ましく、具体的には、2個以上100個以下が好ましい。前記吐出口の個数が、2個以上であると、生産性を向上でき、100個以下であると、吐出口19から所望の液滴を形成させる際に、振動発生手段20に与える電圧を低く抑えることができ、振動発生手段20としての圧電体の挙動を安定させることができる。
【0133】
また、複数の吐出口19を有する場合、吐出口間のピッチ(隣接する吐出孔の中心部間の最短間隔)としては、20μm以上、液柱共鳴液室の長さ以下が好ましい。前記吐出口間のピッチが、20μm以上であると、隣り合う吐出口より放出された液滴同士が衝突して大きな滴となってしまう確率を低くすることができ、粒子の粒径分布を良好にすることができる。
【0134】
次に、液滴形成ユニットにおける液滴吐出ヘッド内の液柱共鳴液室で生じる液柱共鳴現象の様子について、図6A図6Eを用いて説明する。なお、図6A図6Eにおいて、液柱共鳴液室内に記した実線は、液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における速度をプロットした速度分布を示し、液共通供給路側から液柱共鳴液室への方向を+とし、その逆方向を−とする。また、液柱共鳴液室内に記した点線は、液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における圧力値をプロットした圧力分布を示し、大気圧に対して正圧を「+」とし、負圧は「−」とする。また、正圧であれば図中の下方向に圧力が加わることになり、負圧であれば図中の上方向に圧力が加わることになる。更に、図6A図6Eにおいて、上述したように液供給路側が開放されているが、液供給路17aと液柱共鳴液室18とが連通する開口の高さ(図1に示す高さh2)に比して固定端となるフレームの高さ(図1に示す高さh1)が約2倍以上である。このため、図6A図6Eでは、液柱共鳴液室18がほぼ両側固定端であるという近似的な条件のもとでの速度分布及び圧力分布の時間的なそれぞれの変化を示している。図6A図6Eにおいて、実線は速度分布を表し、破線は圧力分布を表す。
【0135】
液滴化手段の液柱共鳴流路で生じる液柱共鳴現象の様子の一例を示す概略図である。
図6Aは、液滴吐出時の液柱共鳴液室18内の圧力波形と速度波形を示している。また、図6Bは、液滴吐出直後の液引き込みを行った後再びメニスカス圧が増加してくる。これらの図6A、及び図6Bに示すように、液柱共鳴液室18における吐出口19が設けられている流路内での圧力は極大となっている。その後、図6Cに示すように、吐出口19付近の正の圧力は小さくなり、負圧の方向へ移行して液滴21が吐出される。
【0136】
そして、図6Dに示すように、吐出口19付近の圧力は極小になる。このときから液柱共鳴液室18への粒子組成液14の充填が始まる。その後、図6Eに示すように、吐出口19付近の負の圧力は小さくなり、正圧の方向へ移行する。この時点で、粒子組成液14の充填が終了する。そして、再び、図6Aに示すように、液柱共鳴液室18の液滴吐出領域の正の圧力が極大となって、吐出口19から液滴21が吐出される。このように、液柱共鳴液室内には振動発生手段の高周波駆動によって液柱共鳴による定在波が発生する。そして、圧力が最も大きく変動する位置となる液柱共鳴による定在波の腹に相当する液滴吐出領域に吐出口19が配置されていることから、当該腹の周期に応じて液滴21が吐出口19から連続的に吐出される。
【0137】
次に、実際に液柱共鳴現象によって液滴が吐出された構成の一例について説明する。図7は、液滴化手段での実際の液滴吐出の様子の一例を示す図である。この一例は、図1において液柱共鳴液室18の長手方向の両端間の長さLが1.85mm、N=2の共鳴モードであって、第一から第四の吐出口がN=2モード圧力定在波の腹の位置に吐出口を配置し、駆動周波数を340kHzのサイン波で行った吐出をレーザーシャドウグラフィ法にて撮影した様子を図7に示す。同図から分かるように、非常に径の揃った、速度もほぼ揃った液滴の吐出が実現している。
【0138】
また、図8は、駆動周波数290kHz以上395kHz以下の同一振幅サイン波にて駆動した際の、液滴吐出速度の駆動周波数に対する依存性を示すグラフである。同図から分かるように、第一〜第四のノズルにおいて駆動周波数が340kHz付近では各ノズルからの吐出速度が均一となって、かつ最大吐出速度となっている。この特性結果から、液柱共鳴周波数の第二モードである340kHzにおいて、液柱共鳴定在波の腹の位置で均一吐出が実現していることが分かる。また、図8の特性結果から、第一モードである130kHzにおいての液滴吐出速度ピークと、第二モードである340kHzにおいての液滴吐出速度ピークとの間では、液滴は吐出しないという液柱共鳴の特徴的な液柱共鳴定在波の周波数特性が、液柱共鳴液室内で発生していることが分かる。
【0139】
図9は、粒子製造装置の一例を示す概略図である。粒子製造装置1は、主に、液滴吐出手段2、乾燥捕集ユニット60、搬送気流排出口65、及び粒子貯留部63を有する。液滴吐出手段2には、粒子組成液14を収容する原料収容器13が液供給管16と液戻り管22で接続されている。液供給管16には、原料収容器13に収容されている粒子組成液14を液供給管16を通して液滴吐出手段2に供給し、更に液戻り管22を通って原料収容器13に戻すために液供給管16内の粒子組成液14を圧送する液循環ポンプ15とが連結されている。これにより、粒子組成液14を随時液滴吐出手段2に供給できる。液供給管16にはP1、乾燥捕集ユニット60にはP2の圧力測定器が設けられており、液滴吐出手段2への送液圧力および、乾燥捕集ユニット内の圧力は圧力計P1、P2によって管理される。このときに、P1の圧力測定値がP2の圧力測定値よりも大きい場合には、粒子組成液14が吐出孔から染み出すおそれがあり、P1の圧力測定値がP2の圧力測定値よりも小さい場合には、液滴吐出手段2に気体が入り、吐出が停止する恐れがあるため、P1の圧力測定値とP2の圧力測定値とがほぼ同じあることが好ましい。
【0140】
チャンバー61内では、搬送気流導入口64から作られる下降気流(搬送気流)101が形成されている。液滴吐出手段2から吐出された液滴21は、重力よってのみではなく、搬送気流101によっても下方に向けて搬送され、搬送気流排出口65を通り、捕集手段62によって捕集され、粒子貯留部63に貯留される。
【0141】
噴射された液滴同士が乾燥前に接触すると、液滴同士が合体し一つの粒子になってしまう(以下この現象を「合着」とも称することがある)。均一な粒径分布を有する粒子を得るためには、噴射された液滴どうしの距離を保つ必要がある。しかしながら、噴射された液滴は一定の初速度を持っているが空気抵抗により、やがて失速する。失速した粒子には後から噴射された液滴が追いついてしまい、結果として合着する。この現象は定常的に発生するため、この粒子を捕集すると粒径分布はひどく悪化することとなる。合着を防ぐためには液滴の速度低下を無くし、液滴同士を接触させないように搬送気流101によって合着を防ぎながら、液滴を乾燥させつつ搬送することが好ましく、最終的には捕集手段まで粒子を運ぶことが好ましい。
【0142】
図9に示されるように、搬送気流101は、その一部を第一の気流として液滴吐出手段近傍に液滴吐出方向と同一方向に配置することにより、液滴吐出直後の液滴速度低下を防ぎ、合着を防止することができる。また、図10は、気流通路の一例を示す概略図である。図10に示すように、気流通路12において、吐出方向に対して横方向であってもよい。あるいは図示していないが角度を持っていてもよく、液滴吐出手段より液滴が離れるような角度を持っていることが好ましい。図10のように液滴吐出に対して横方向から合着防止気流を与える場合は吐出口から合着防止気流によって液滴が搬送された際に軌跡が重ならないような方向であることが好ましい。
上記のように第一の気流によって合着を防いだ後に、第二の気流によって捕集手段まで乾燥粒子を運んでもよい。
【0143】
第一の気流の速度は、液滴噴射速度と同じかそれ以上であることが好ましい。液滴噴射速度より合着防止気流の速度が遅いと、合着防止気流本来の目的である液滴を接触させないという機能を発揮させることが難しくなることがある。
第一の気流の性状は、液滴同士が合着しないような条件を追加することができ、第二の気流と必ずしも同じでなくともよい。また、合着防止気流に粒子表面の乾燥を促進させるような化学物質を混入したり、物理的作用を期待して付与したりしてもよい。
搬送気流101は、特に気流の状態として限定されることはなく、層流や旋回流や乱流であってもよい。搬送気流101を構成する気体の種類は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、空気を用いても、窒素等の不燃性気体を用いてもよい。また、搬送気流101の温度は、適宜調整可能であり、生産時において変動のないことが好ましい。また、チャンバー61内に搬送気流101の気流状態を変えるような手段を有していてもよい。搬送気流101は、液滴21同士の合着を防止すだけでなく、チャンバー61に付着することを防止することに用いてもよい。
【0144】
図9で示された捕集手段によって得られた粒子に含まれる残留溶剤量が多い場合は、これを低減するために必要に応じて、二次乾燥を行うことが好ましい。二次乾燥としては、流動床乾燥や真空乾燥のような一般的な公知の乾燥手段を用いることができる。
【実施例】
【0145】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0146】
(実施例1)
[粒子組成液の調製]
生理活性物質としてジクロフェナク(商品名:Diclofenac、東京化成工業株式会社製)1.0質量部、分散剤1としてヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAs−HG、信越化学工業株式会社製)49.5質量部と、分散剤2としてヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL、重量平均分子量:15,000以上30,000以下、20℃粘度:2.0mPa・s以上2.9mPa・s以下、日本曹達株式会社製)49.5質量部、及び溶媒としてアセトン(山一化学工業株式会社製)4,900質量部を、撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を平均孔径1μmのフィルター(商品名:マレクス、メルク社製)に通し、粒子組成液Aを得た。粒子組成液Aに用いた生理活性物質、分散剤1、及び分散剤2を表1に示す。
また、分散剤1及び分散剤2が互いに相分離することは、粒子組成液Aをバーコーターで薄膜状にして乾燥前、乾燥中、及び乾燥後に光学顕微鏡(装置名:OLYMPUS BX51、オリンパス株式会社製)を用いてそれぞれ確認した。乾燥前の様子を図11A、乾燥中の様子を図11B、及び乾燥後の様子を図11Cに示す。図11A図11B、及び図11Cに示すように、乾燥前(5質量%)の段階では分散剤1及び分散剤2が互いに相溶しているが、乾燥中の段階から、相分離が確認でき、乾燥後も相分離状態を維持していた。また、分散剤1及び分散剤2の接触角は、各分散剤の溶媒を用いて5質量%溶液とし、スライドガラス上にバーコーターを用いて、分散剤溶液の薄膜を形成し、溶媒を揮発させて分散剤の薄膜を作製して、接触角計(FIBRO system製の携帯式接触角計PG−X+/モバイル接触角計)を用いて測定した。
【0147】
−材料特性−
分散剤の相分離:有
分散剤の接触角:ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAs−HG)=65.2°、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL)=53.2°
【0148】
[粒子の製造]
得られた粒子組成液Aを、図1において吐出口の開口数を液柱共鳴液室1つ当たり1個とした液柱共鳴液滴吐出装置(装置名:GEN4、株式会社リコー製)を用いて、前記吐出口から吐出して液滴化し、図9の装置を使用して乾燥させて粒子Aを製造した。
なお、液柱共鳴条件及び粒子製造条件は下記の通りである。
【0149】
−液柱共鳴条件−
共鳴モード:N=2
液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さ:L=1.8mm
液柱共鳴液室の液共通供給路側のフレームの端部の高さ:h1=80μm
液柱共鳴液室の連通口の高さ:h2=40μm
【0150】
−粒子製造条件−
吐出口の形状:真円
吐出口の直径:8.0μm
吐出口の開口数:1個(液柱共鳴液室1つ当たり)
液柱共鳴液室の数:384室
乾燥エアー温度:40℃
乾燥空気流量:装置内乾燥窒素 100L/分間
印加電圧:12.0V
駆動周波数:310kHz
【0151】
<体積平均粒径評価>
製造した粒子Aに対して、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(装置名:マイクロトラックMT3000II、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて、体積平均粒径(Dv)を測定し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
[評価基準]
◎:1.00μm以上10.0μm以下
○:10.0μm超50.0μm以下
△:50.0μm超100μm以下
×:100μm超
【0152】
<粒度分布評価>
製造した粒子Aに対して、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(装置名:マイクロトラックMT3000II、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて、粒度分布:SPAN FACTOR((D90−D10)/D50)を測定し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
なお、累積90体積%(D90)は4.28μm、累積50体積%(D50)は33.48μm、累積10体積%(D10)は2.80μm、粒度分布SPAN FACTOR((D90−D10)/D50)は0.44であった。
[評価基準]
◎:0.00以上0.50以下
○:0.50超1.00以下
△:1.00超1.20以下
×:1.20超
【0153】
<コア・シェル構造の有無評価>
製造した粒子A(10個)に対して、走査型電子顕微鏡(装置名:MERLIN、CARL ZEISS製)を用いて粒子断面を観察し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。なお、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAs−HG、接触角=65.2°)がシェル部であり、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL、接触角=53.2°)がコア部であった。
[評価基準]
◎:粒子がコア・シェル構造である
×:粒子がコア・シェル構造でない
【0154】
(実施例2)
[粒子組成液の調製]
生理活性物質としてジクロフェナク(商品名:Diclofenac、東京化成工業株式会社製)1.0質量部、分散剤1としてポリ乳酸−グリコール酸(PLGA7520、富士フイルム和光純薬株式会社製)49.5質量部と、分散剤2としてポリエチレングリコール(PEG−8000、富士フイルム和光純薬株式会社製)49.5質量部、及び溶媒としてアセトン(山一化学工業株式会社製)3,920質量部とイオン交換水980質量部を、撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を平均孔径1μmのフィルター(商品名:マレクス、メルク社製)に通し、粒子組成液Bを得た。粒子組成液Bに用いた生理活性物質、分散剤1、及び分散剤2を表1に示す。
また、実施例2の分散剤1及び分散剤2が互いに相分離することは、実施例1と同様に、光学顕微鏡を用いて確認した。
【0155】
−材料特性−
分散剤の相分離:有
分散剤の接触角:ポリ乳酸−グリコール酸(PLGA7520)=68.6°、ポリエチレングリコール(PEG−8000)=41.0°
【0156】
実施例1において、粒子組成液Aを粒子組成液Bに変更した以外は、実施例1と同様にして、粒子Bを製造して評価を実施した。結果を表2に示す。なお、ポリ乳酸−グリコール酸(PLGA7520、接触角=68.6°)がシェル部であり、ポリエチレングリコール(PEG−8000、接触角=41.0°)がコア部であった。
【0157】
(実施例3)
[粒子組成液の調製]
生理活性物質としてプレドニゾロン(商品名:Prednizolone、東京化成工業株式会社製)1.0質量部、分散剤1としてポリビニルカプロラクタム−ポリビニル酢酸−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(Soluplus、BASF社製)49.5質量部と、分散剤2としてポリエチレングリコール(PEG−8000、富士フイルム和光純薬株式会社製)49.5質量部、及び溶媒としてエタノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)3,920質量部とイオン交換水980質量部を、撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を平均孔径1μmのフィルター(商品名:マレクス、メルク社製)に通し、粒子組成液Cを得た。粒子組成液Cに用いた生理活性物質、分散剤1、及び分散剤2を表1に示す。
また、実施例3の分散剤1及び分散剤2が互いに相分離することは、実施例1と同様に、光学顕微鏡を用いて確認した。
【0158】
−材料特性−
分散剤の相分離:有
分散剤の接触角:ポリビニルカプロラクタム−ポリビニル酢酸−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(Soluplus)=54.2°、ポリエチレングリコール(PEG−8000)=41.0°
【0159】
実施例1において、粒子組成液Aを粒子組成液Cに変更した以外は、実施例1と同様にして、粒子Cを製造して評価を実施した。結果を表2に示す。なお、ポリビニルカプロラクタム−ポリビニル酢酸−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(Soluplus、接触角=54.2°)がシェル部であり、ポリエチレングリコール(PEG−8000、接触角=41.0°)がコア部であった。
【0160】
(実施例4)
[粒子組成液の調製]
生理活性物質としてプレドニゾロン(商品名:Prednizolone、東京化成工業株式会社製)1.0質量部、分散剤1としてアンモニオアルキルメタクリレートコポリマー(EudragitRLPO、EVONIK社製)49.5質量部と、分散剤2としてポリビニルピロリドン(コリドン−K30、KAWARLAL社製)49.5質量部、及び溶媒としてアセトン(山一化学工業株式会社製)4,900質量部を、撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を平均孔径1μmのフィルター(商品名:マレクス、メルク社製)に通し、粒子組成液Dを得た。粒子組成液Dに用いた生理活性物質、分散剤1、及び分散剤2を表1に示す。
また、実施例4の分散剤1及び分散剤2が互いに相分離することは、実施例1と同様に、光学顕微鏡を用いて確認した。
【0161】
−材料特性−
分散剤の相分離:有
分散剤の接触角:アンモニオアルキルメタクリレートコポリマー(EudragitRLPO)=59.3°、ポリビニルピロリドン(コリドン−K30)=41.5°
【0162】
実施例1において、粒子組成液Aを粒子組成液Dに変更した以外は、実施例1と同様にして、粒子Dを製造して評価を実施した。結果を表2に示す。なお、アンモニオアルキルメタクリレートコポリマー(EudragitRLPO、接触角=59.3°)がシェル部であり、ポリビニルピロリドン(コリドン−K30、接触角=41.5°)がコア部であった。
【0163】
(実施例5)
[粒子組成液の調製]
生理活性物質としてプレドニゾロン(商品名:Prednizolone、東京化成工業株式会社製)1.0質量部、分散剤1としてポリ乳酸−グリコール酸(PLGA−7520、富士フイルム和光純薬株式会社製)49.5質量部と、分散剤2としてヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(商品名:HPMCP HP−55、信越化学工業株式会社製)49.5質量部、及び溶媒としてアセトン(山一化学工業株式会社製)4,900質量部を、撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を平均孔径1μmのフィルター(商品名:マレクス、メルク社製)に通し、粒子組成液Eを得た。粒子組成液Eに用いた生理活性物質、分散剤1、及び分散剤2を表1に示す。
また、実施例5の分散剤1及び分散剤2が互いに相分離することは、実施例1と同様に、光学顕微鏡を用いて確認した。
【0164】
−材料特性−
分散剤の相分離:有
分散剤の接触角:ポリ乳酸−グリコール酸(PLGA7520)=68.6°、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP HP−55)=57.1°
【0165】
実施例1において、粒子組成液Aを粒子組成液Eに変更した以外は、実施例1と同様にして、粒子Eを製造して評価を実施した。結果を表2に示す。なお、ポリ乳酸−グリコール酸(PLGA7520、接触角=68.6°)がシェル部であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP HP−55、接触角=57.1°)がコア部であった。
【0166】
(実施例6)
[粒子組成液の調製]
生理活性物質としてシクロスポリンA(商品名:CyclosporineA、東京化成工業株式会社製)1.0質量部、分散剤1としてヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAs−HG、信越化学工業株式会社製)49.5質量部と、分散剤2としてヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL、重量平均分子量:15,000以上30,000以下、20℃粘度:2.0mPa・s以上2.9mPa・s以下、日本曹達株式会社製)49.5質量部、及び溶媒としてアセトン(山一化学工業株式会社製)4,900質量部を、撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を平均孔径1μmのフィルター(商品名:マレクス、メルク社製)に通し、粒子組成液Fを得た。粒子組成液Fに用いた生理活性物質、分散剤1、及び分散剤2を表1に示す。
また、実施例6の分散剤1及び分散剤2が互いに相分離することは、実施例1と同様に、光学顕微鏡を用いて確認した。
【0167】
−材料特性−
分散剤の相分離:有
分散剤の接触角:ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAs−HG)=65.2°、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL)=53.2°
【0168】
実施例1において、粒子組成液Aを粒子組成液Fに変更した以外は、実施例1と同様にして、粒子Fを製造して評価を実施した。結果を表2に示す。なお、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAs−HG、接触角=65.2°)がシェル部であり、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL、接触角=53.2°)がコア部であった。
【0169】
(比較例1)
[粒子組成液の調製]
生理活性物質としてジクロフェナク(商品名:Dicrlofenac、東京化成工業株式会社製)1.0質量部、分散剤1としてヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名:HPMCAs−HG、信越化学工業株式会社製)99.0質量部と、及び溶媒としてアセトン(山一化学工業株式会社製)4,900質量部を、撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を平均孔径1μmのフィルター(商品名:マレクス、メルク社製)に通し、粒子組成液Gを得た。粒子組成液Fに用いた生理活性物質及び分散剤1を表1に示す。なお、粒子組成液Gは、分散剤2に該当する材料を含有していない。このため、比較例1では粒子組成液G中で相分離する現象は確認できなかった。
【0170】
−材料特性−
分散剤の相分離:無
分散剤の接触角:ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名:HPMCAs−HG)=65.2°
【0171】
実施例1において、粒子組成液Aを粒子組成液Gに変更した以外は、実施例1と同様にして、粒子Gを製造して評価を実施した。結果を表2に示す。なお、粒子Gでは、コア・シェル構造が確認できなかった。
【0172】
(比較例2)
[粒子組成液の調製]
生理活性物質としてシクロスポリンA(商品名:CyclosporineA、東京化成工業株式会社製)1.0質量部、分散剤1としてヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC−SSL、日本曹達株式会社製)99.0質量部と、及び溶媒としてアセトン(山一化学工業株式会社製)4,900質量部を、撹拌装置(装置名:マグネチックスターラー、アズワン株式会社製)を用いて、1,000rpmにて1時間混合撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を平均孔径1μmのフィルター(商品名:マレクス、メルク社製)に通し、粒子組成液Hを得た。粒子組成液Hに用いた生理活性物質及び分散剤1を表1に示す。なお、粒子組成液Hは、分散剤2に該当する材料を含有していない。このため、比較例1では粒子組成液H中で相分離する現象は確認できなかった。
【0173】
−材料特性−
分散剤の相分離:無
分散剤の接触角:ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC−SSL)=53.2°
【0174】
実施例1において、粒子組成液Aを粒子組成液Hに変更した以外は、実施例1と同様にして、粒子Hを製造して評価を実施した。結果を表2に示す。なお、粒子Hでは、コア・シェル構造が確認できなかった。
【0175】
【表1】
【0176】
【表2】
【0177】
表2の結果から、実施例1〜6では、接触角が互いに異なる2種の分散剤を粒子組成液に含有させ、粒子組成液を吐出により液滴化し、液滴中の溶媒が揮発して2種の分散剤が相分離した状態で固化する。このため、実施例1〜6では、コア・シェル構造を有し、かつ粒径が小さい粒子を製造することができた。比較例1及び2では、分散剤が1種であるため、分散剤が相分離することなくコア・シェル構造を有することはなかった。このことから、本発明の粒子の製造方法により、医薬等に好適な、コア・シェル構造を有し、かつ粒径が小さい粒子を簡易な工程で製造することができることが分かった。
【0178】
<製剤評価>
実施例1で製造したジクロフェナクを含有する粒子Aに対して、胃及び小腸のpH環境を模倣した試験液を用いて製剤としての溶出特性を評価した。具体的には、試験液として日本薬局方溶出試験第1液(塩化ナトリウム2.0gを塩酸7.0mLおよび水に溶かして1,000mLとした液、pH1.2)及び溶出試験第2液(リン酸塩緩衝液pH6.8(リン酸二水素カリウム3.4gと無水リン酸水素二ナトリウム3.55gを水に溶かして1,000mLとした液)と水を1:1で混和した液、pH6.8)50mLを用い、37±0.5℃、回転数50回転/分間にて行った。溶出試験第1液ではジクロフェナク原末又は粒子Aをジクロフェナク量として1mg、溶出試験第2液ではジクロフェナク量として2mg秤量して試験に用いた。試験液に溶出したジクロフェナク量については紫外可視吸光度計(281nm)を検出器とした高速液体クロマトグラフを使用して定量し、製剤としての溶出特性を評価した。カラムはCPACELL PAK C18 SG120(充填剤粒子径 5μm、4.6×150mm、SHISEIDO)、カラム温度40℃、試料注入量を20μLで移動相は0.1%ギ酸とHPLCグレードメタノールを40:60で混合してアイソクラティックモードで分析した。試験条件を表3に示し、結果を表4及び表5に示す。
【0179】
【表3】
【0180】
溶出試験第1液(pH1.2)を用いてジクロフェナクの溶出量を検出した結果を表4及び図14に示す。また、溶出試験第2液(pH6.8)を用いてジクロフェナクの溶出量を検出した結果を表5及び図15に示す。
溶出試験第1液(pH1.2)を用いた結果としては、ジクロフェナク原末では速やかな溶出が確認できたのに対し、粒子Aではジクロフェナクの溶出が抑制されたことが確認できた。また、溶出試験第2液(pH6.8)を用いた結果としては、いずれもジクロフェナクの徐放的な溶出を示した。これらの結果から、実施例1で製造した粒子Aは腸溶性製剤としての機能を有すると考えられる。これは、pH依存的な溶出特性を有するヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネートが表面側(シェル部)に偏在したため、粒子AはpHに依存的な溶出性を示したと考えられる。すなわち、本発明の粒子の製造方法により、腸溶性粒子を製造することができたと考えられる。
【0181】
【表4】
【0182】
【表5】
【0183】
実施例6で製造したシクロスポリンAを含有する粒子Fに対して、胃及び小腸のpH環境を模倣した試験液を用いて製剤としての溶出特性を評価した。具体的には、試験液として日本薬局方溶出試験第1液(塩化ナトリウム2.0gを塩酸7.0mLおよび水に溶かして1000mLとした液、pH1.2)及び溶出試験第2液(リン酸塩緩衝液pH6.8(リン酸二水素カリウム3.4gと無水リン酸水素二ナトリウム3.55gを水に溶かして1000mLとした液)と水を1:1で混和した液、pH6.8)50mLを用い、37±0.5℃、回転数50回転/分にて行った。いずれの試験液においても、シクロスポリンA原末又は粒子BをシクロスポリンA量として、2mg秤量して試験に用いた。試験液に溶出したシクロスポリンA量についてはシングル四重極質量分析計([m/z=1203])を検出器とした超高速液体クロマトグラフを使用して定量し、製剤としての溶出特性を評価した。カラムは、Aquity UPLC BEC C18 Column(充填剤粒子径1.7μm,2.1×50mm,Waters)、カラム温度を60℃、試料注入量を5μLで移動相は流速0.25mL/min、移動相A=アセトニトリル、移動相B=5mMの酢酸アンモニウムを使用し、0〜1.0分:A 80%、1.0〜2.5分:A 80〜95%のグラジエントモードで分析した。
【0184】
溶出試験第1液(pH1.2)を用いてシクロスポリンAの溶出量を検出した結果を表6及び図16に示す。また、溶出試験第2液(pH6.8)を用いてシクロスポリンAの溶出量を検出した結果を表7及び図17に示す。
【0185】
溶出試験第1液(pH1.2)を用いた結果としては、シクロスポリンA原末及び粒子Fのいずれの検体においても、シクロスポリンAの溶出量は乏しかった。一方、溶出試験第2液(pH6.8)を用いた結果としては、シクロスポリンA原末は溶出試験第1液における溶出と同等であったが、粒子FはシクロスポリンAの溶出特性を大幅に改善し、徐放的な薬物溶出を示した。これらの結果から、シクロスポリンA原末は水への溶解性の低さのためこのような結果となったが、粒子Fのようなコアシェル粒子とすることで薬物の溶解性改善、pH依存性の薬物放出および徐放性放出の同時達成を可能とした。これは、pH依存的な溶出特性を有するヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネートが表面側(シェル部)に偏在したため、粒子FはpHに依存的な溶出性を示したと考えられる。
【0186】
【表6】
【0187】
【表7】
【0188】
粒子Fにおいて、コア・シェル構造がシクロスポリンAの消化管吸収性に与える影響を検討するために、シクロスポリンA原末および粒子Fに加え、粒子Hをラットに対してシクロスポリンA量として10mg/kgで経口的に投与し、シクロスポリンAの血中濃度推移を解析した。
【0189】
動物実験として、9〜10週齢のSprague−Dawley(SD)系雄性ラットを日本エスエルシー株式会社より購入した。本試験は、シクロスポリンA原末投与群、粒子F投与群および粒子H投与群の3群(n=5〜6)に分けて実施した。24時間前から絶食したラットに、シクロスポリンA量として10mg/kgとなるように調製した検体の水懸濁液を経口ゾンデおよび1mLシリンジを用いて投与した。血液サンプル(約400μL)はシクロスポリンA原末、粒子Fおよび粒子Hを経口投与後、0.5、1、3、5、7、12、24、48時間にラット尾静脈から採取し、10,000×g、4°Cで10分間遠心分離し血漿を得た。シクロスポリンAの濃度測定は、シングル四重極質量分析計([m/z=1,203])を検出器とした超高速液体クロマトグラフを使用して定量し、薬物の経時的な血中濃度推移を評価した。内部標準物質としてタモキシフェンを用いた内部標準法により定量した。また、カラムは、Aquity UPLC BEC C18 Column(充填剤粒子径1.7μm、2.1×50mm、Waters)、カラム温度を60℃、試料注入量を5μLで移動相は流速0.25mL/min、移動相A=アセトニトリル、移動相B=5mMの酢酸アンモニウムを使用し、0〜1.0分:A 80%、1.0〜2.5分:A 80〜95%のグラジエントモードで分析した。
【0190】
シクロスポリンA量として10mg/kgを経口投与した際の血中濃度推移を図18に、このときの薬物動態学的パラメーターを表8に示す。表8中、各薬物動態学的パラメーターは、平均±標準偏差で示した。
シクロスポリンA原末は水への溶解性が低いために経口吸収性が悪く、最大血中濃度としても100ng/mL程度であった。一方、粒子Fおよび粒子H投与群においては、いずれもシクロスポリンAの経口吸収性改善を示した。粒子Hは、水溶性の高いセルロース誘導体であるヒドロキシプロピルセルロースで構成されており、シクロスポリンAの固体分散体化による溶解性の改善がこのような吸収性向上に寄与したと考えられる。粒子Fは、シクロスポリンA原末および粒子Hと比較して、最高血中濃度Cmaxでそれぞれ10倍及び1.2倍、血中濃度−時間曲線下面積(Area Under the Curve:AUC)はそれぞれ27及び1.4倍であり、顕著な経口吸収性の改善を示した。
加えて、平均滞留時間(Mean Residence Time:MRT)においては、シクロスポリンA原末および粒子Hと比較して、それぞれ5.6時間および2.2時間延長しており、薬物全身曝露時間の延長を示した。このような粒子Fにおける吸収性向上および全身暴露時間の延長は、シェル部分のポリマーであるヒドロキシプロピルメチルセルロースが粘膜付着特性を有するためであると考えられる。
【0191】
【表8】
【0192】
ヒドロキシプロピルセルロース表面を、より吸湿性の低いヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートでコートしている粒子Fにおける粒子の保存安定性を評価するため、粒子Fおよび粒子Hの40℃、75%相対湿度条件下で24時間保存後における粒子の状態を走査型電子顕微鏡によって観察した。結果を図19に示す。
【0193】
粒子Hは、熱湿度条件下での保存後において粒子の顕著な凝集がみられた。これは、粒子Hが、吸湿性の高いヒドロキシプロピルセルロースで構成されるためであると考えられる。一方、粒子Fは、保存前後においても性状の大きな違いは見られなかった。これは、比較的吸湿性の低いセルロース誘導体であるヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートによって、ヒドロキシプロピルセルロース表面が被覆されているためだと考えられる。以上の結果より、コア・シェル粒子化により、保存安定性が向上したものと考えられる。
【0194】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 生理活性物質及び少なくとも2種の分散剤を含有する粒子組成液を液滴化する液滴化工程と、
少なくとも、前記少なくとも2種の分散剤のうちの1種が表面側に偏在するように、液滴化した前記粒子組成液を固化させる固化工程と、
を含むことを特徴とする粒子の製造方法である。
<2> 前記少なくとも2種の分散剤の接触角が互いに異なる前記<1>に記載の粒子の製造方法である。
<3> 前記液滴化工程が、液滴化手段による前記粒子組成液の吐出により行われる前記<1>から<2>のいずれかに記載の粒子の製造方法である。
<4> 生理活性物質及び少なくとも2種の分散剤を含み、
少なくとも、前記少なくとも2種の分散剤のうちの1種の分散剤が表面側に偏在し、
体積平均粒径が1μm以上100μm以下であることを特徴とする粒子である。
<5> 前記表面側に偏在する前記分散剤の接触角が、前記分散剤よりも内側に偏在する他の分散剤の接触角よりも大きい前記<4>に記載の粒子である。
<6> コア・シェル構造を有し、
前記コア・シェル構造におけるシェル部が、前記表面側に偏在する前記分散剤により形成された前記<4>から<5>のいずれかに記載の粒子である。
<7> 前記分散剤のうちの少なくともいずれかがpH応答性材料である前記<4>から<6>のいずれかに記載の粒子である。
<8> 前記pH応答性材料が、pH5.0以上で溶解する前記<7>に記載の粒子である。
<9> 前記pH応答性材料が、セルロース系ポリマー及びメタクリル酸系ポリマーの少なくともいずれかである前記<7>から<8>のいずれかに記載の粒子である。
<10> 前記pH応答性材料が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートの少なくともいずれかである前記<7>から<9>のいずれかに記載の粒子である。
<11> 前記生理活性物質が医薬化合物である前記<4>から<10>のいずれかに記載の粒子である。
<12> 前記体積平均粒径が1μm以上50μm以下である前記<4>から<11>のいずれかに記載の粒子である。
<13> 前記体積平均粒径が1μm以上10μm以下である前記<4>から<12>のいずれかに記載の粒子である。
<14> 前記<4>から<12>のいずれかに記載の粒子を含有することを特徴とする医薬である。
【0195】
前記<1>から<3>のいずれかに記載の粒子の製造方法、前記<4>から<13>に記載の粒子、及び前記<14>に記載の医薬によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0196】
【特許文献1】特許第5995284号公報
【符号の説明】
【0197】
11 液滴化手段
14 粒子組成液
18 液柱共鳴液室
19 吐出口
21 液滴
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19