【課題】酸化物トレンチディッシングを低減し、過研磨ウィンドウ安定性を改善する化学機械平坦化(CMP)研磨組成物、方法及び装置の提供。高く調節可能な酸化ケイ素除去速度、低い窒化ケイ素除去速度、及び調節可能なSiO
【解決手段】セリアコートシリカ粒子等の研磨材、及び酸化物トレンチディッシングを低減添加剤としてのマルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、リビトール、D−ソルビトール、マンニトール、ダルシトール、イジトール、D−(−)−フルクトース、ソルビタン、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D−アラビノース、L−アラビノース、D−マンノース、L−マンノース、メソ−エリスリトール、ベータ−ラクトース、アラビノース、又はこれらの組み合わせ等の化学添加剤の独特の組み合わせを用いる組成物。
前記研磨材粒子が、20〜60℃の範囲の温度における≧30日の保存期間に亘って≦5.0%の平均粒子サイズMPS(nm)及びD99(nm)の変化を有し、D99(nm)は、99質量%の粒子が入る粒子サイズである、請求項2に記載の化学機械研磨(CMP)組成物。
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−イソチアゾリン−3−オン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される活性成分を有する0.0001質量%〜0.05質量%のバイオサイド;
酸性pH条件に関して硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機又は有機酸、及びこれらの混合物からなる群から選択されるか、アルカリ性pH条件に関して水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、有機四級アンモニウム水酸化物化合物、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される0質量%〜1質量%のpH調節剤;及び
これらの組み合わせ
からなる群から選択される1つを含む、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
(a)半導体基材を与えることと;
(b)研磨パッドを与えることと;
(c)
セリアコートコロイダルシリカ、セリアコート高純度コロイダルシリカ、セリアコートアルミナ、セリアコートチタニア、セリアコートジルコニア粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるセリアコート無機酸化物粒子;セリアコートポリスチレン粒子、セリアコートポリウレタン粒子、セリアコートポリアクリレート粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるセリアコート有機ポリマー粒子、;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される0.05質量%〜10質量%の研磨材粒子;
0.01質量%〜20.0質量%の化学添加剤;
脱イオン(DI)水、蒸留水、及びアルコール有機溶媒からなる群から選択される溶媒;及び
任意選択的に、
バイオサイド;及び
pH調節剤
を含み、
2〜12のpHを有する化学機械研磨(CMP)組成物であって、
前記化学添加剤が、
(A)分子構造(a):
【化8】
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5(R1〜R5の群におけるR)は、
(1)
(i)R1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(b):
【化9】
(式中、m又はnは、1〜5から独立に選択され、R6、R7、R8、及びR9の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される。)
に示される構造を有するポリオール分子単位であり、かつ、
(ii)R1〜R5の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される;及び
(2)
(i)R1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(b):
【化10】
(式中、m又はnは1〜5から独立に選択され、R6、R7、R8、及びR9の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される。)
に示される構造を有するポリオール分子単位であり、
(ii)R1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(c):
【化11】
(式中、OR11、OR12、OR13、及びOR14の群におけるORの1つは、構造(a)中のOに置き換わり、
R10、並びにR11、R12、R13、及びR14の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される。)
に示される六員環ポリオールであり、かつ、
(iii)R1〜R5の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される;
からなる群から選択される。);
(B)少なくとも1つの(d)、少なくとも1つの(e)、少なくとも1つの(f)、少なくとも1つの(g)、少なくとも1つの(h)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される分子構造:
【化12】
(式中、nは3〜12から選択され、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、及びR14は、同じか異なる原子又は官能基であることができ、各Rは、水素、酸素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択され、その少なくとも4つは水素原子である。)
からなる群から選択される、化学機械研磨(CMP)組成物を与えることと;
(d)前記半導体基材の表面を前記研磨パッド及び前記化学機械研磨組成物と接触させることと;
(e)二酸化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面を研磨することと
を含む、酸化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基材の化学機械研磨(CMP)方法であって、
前記酸化ケイ素膜が、化学気相堆積(CVD)、プラズマ増強CVD(PECVD)、高密度堆積CVD(HDP)、スピンオン酸化ケイ素膜、流動性CVD酸化物膜、炭素ドープ酸化物膜、窒素ドープ酸化物膜、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される方法。
a.半導体基材;
b.研磨パッド;並びに
c.
セリアコートコロイダルシリカ、セリアコート高純度コロイダルシリカ、セリアコートアルミナ、セリアコートチタニア、セリアコートジルコニア粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるセリアコート無機酸化物粒子;セリアコートポリスチレン粒子、セリアコートポリウレタン粒子、セリアコートポリアクリレート粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるセリアコート有機ポリマー粒子、;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される0.05質量%〜10質量%の研磨材粒子;
0.01質量%〜20.0質量%の化学添加剤;
脱イオン(DI)水、蒸留水、及びアルコール有機溶媒からなる群から選択される溶媒;及び
任意選択的に、
バイオサイド;及び
pH調節剤
を含み、
2〜12のpHを有する化学機械研磨(CMP)組成物であって、
前記化学添加剤が、少なくとも4つのヒドロキシル官能基を有し、
(A)分子構造(a):
【化15】
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5(R1〜R5の群におけるR)は、
(1)
(i)R1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(b):
【化16】
(式中、m又はnは、1〜5から独立に選択され、R6、R7、R8、及びR9の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される。)
に示される構造を有するポリオール分子単位であり、かつ、
(ii)R1〜R5の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される;及び
(2)
(i)R1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(b):
【化17】
(式中、m又はnは1〜5から独立に選択され、R6、R7、R8、及びR9の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される。)
に示される構造を有するポリオール分子単位であり、
(ii)R1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(c):
【化18】
(式中、OR11、OR12、OR13、及びOR14の群におけるORの1つは、構造(a)中のOに置き換わり、
R10、並びにR11、R12、R13、及びR14の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される。)
に示される六員環ポリオールであり、かつ、
(iii)R1〜R5の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される;
からなる群から選択される。);
(B)少なくとも1つの(d)、少なくとも1つの(e)、少なくとも1つの(f)、少なくとも1つの(g)、少なくとも1つの(h)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される分子構造:
【化19】
(式中、nは3〜12から選択され、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、及びR14は、同じか異なる原子又は官能基であることができ、各Rは、水素、酸素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択され、その少なくとも4つは水素原子である。)
からなる群から選択される、化学機械研磨(CMP)組成物;
を含む、酸化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基材の化学機械研磨(CMP)装置であって、
前記酸化ケイ素膜が、化学気相堆積(CVD)、プラズマ増強CVD(PECVD)、高密度堆積CVD(HDP)、スピンオン酸化ケイ素膜、流動性CVD酸化物膜、炭素ドープ酸化物膜、窒素ドープ酸化物膜、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記酸化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面が、前記研磨パッド及び前記化学機械研磨組成物と接触している装置。
【発明の概要】
【0011】
本発明の概要
本発明は、酸化物トレンチディッシング低減添加剤組成物として化学添加剤を導入することにより、酸性、中性及びアルカリ性pH条件を含む広いpH範囲における低減された酸化物トレンチディッシング、ひいては改善された過研磨ウィンドウ安定性のための化学機械研磨(CMP)研磨組成物、方法及び装置を提供する。
【0012】
本発明は、高い酸化物膜除去速度、低いSiN膜除去速度、高く調節可能な酸化物:SiN選択性、研磨後のより低い全欠陥数、及び良好な平均粒子サイズ(nm)安定性を達成する利益も提供する。
【0013】
1つの側面において、
セリアコート無機酸化物粒子、セリアコート有機ポリマー粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される研磨材粒子;
酸化物トレンチディッシング低減剤としての化学添加剤;
溶媒;及び
任意選択的に、
バイオサイド;及び
pH調節剤
を含み、
2〜12、好ましくは3〜10、より好ましくは4〜9のpHを有する、CMP研磨組成物が提供される。
【0014】
セリアコート無機酸化物粒子としては、以下に制限されるものではないが、セリアコートコロイダルシリカ、セリアコート高純度コロイダルシリカ、セリアコートアルミナ、セリアコートチタニア、セリアコートジルコニア、又は任意の他のセリアコート無機酸化物粒子が挙げられる。
【0015】
セリアコート有機ポリマー粒子としては、以下に制限されるものではないが、セリアコートポリスチレン粒子、セリアコートポリウレタン粒子、セリアコートポリアクリレート粒子、又は任意の他のセリアコート有機ポリマー粒子が挙げられる。
【0016】
溶媒としては、以下に制限されるものではないが、脱イオン(DI)水、蒸留水、及びアルコール有機溶媒が挙げられる。
【0017】
酸化物トレンチディッシング低減剤としての化学添加剤は、少なくとも2つ又はそれより多く、好ましくは4つ又はそれより多く、より好ましくは6つ又はそれより多くのヒドロキシル官能基をその分子構造中に含有する。
【0018】
1つの実施態様において、化学添加剤は、以下に示される一般分子構造を有する。
【化1】
【0019】
一般分子構造において、nは2〜5000、3〜12、好ましくは4〜7から選択される。
【0020】
R1、R2、及びR3は、同じか異なる原子又は官能基であることができる。
【0021】
R1〜R3の群におけるRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択されることができ、その少なくとも2つ又はそれより多く、好ましくは4つ又はそれより多くは水素原子である。
【0022】
R1、R2、及びR3が同じであり、かつ、水素原子である場合、化学添加剤は、複数のヒドロキシル官能基を有する。
【0023】
係る化学添加剤の幾つかの例の分子構造は、以下に列記される。
【化2-1】
【化2-2】
【0024】
別の実施態様において、化学添加剤は、以下に示される構造を有する。
【化3】
【0025】
この構造において、1つの−CHO官能基は、末端官能基として分子の1つの端部に位置し、nは2〜5000、3〜12、好ましくは4〜7から選択される。
【0026】
R1及びR2の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択されることができる。
【0027】
R1及びR2が全て水素原子であり、かつ、n=3である場合、化学添加剤は、D−アラビノース又はL−アラビノースである。
【化4】
【0028】
R1及びR2が全て水素原子であり、かつ、n=4である場合、化学添加剤は、D−マンノース又はL−マンノースである。
【化5】
【0029】
さらに別の実施態様において、化学添加剤は、少なくとも1つの(f)、少なくとも1つの(g)、少なくとも1つの(h)、及びこれらの組み合わせで構成された群から選択される分子構造を有する。
【化6】
【0030】
これらの一般分子構造において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、及びR14は、同じか異なる原子又は官能基であることができる。
【0031】
これらは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択されることができ、その少なくとも2つ又はそれより多く、好ましくは4つ又はそれより多くは水素原子である。
【0032】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、及びR14が全て水素原子である場合、それは、複数のヒドロキシル官能基を有する化学添加剤を与える。
【0033】
係る化学添加剤の幾つかの例の分子構造は、以下に列記される。
【化7-1】
【化7-2】
【0034】
さらに、別の実施態様において、化学添加剤は、分子単位構造中に複数のヒドロキシル官能基を含有する少なくとも1つのポリオール分子単位と結合した少なくとも1つの六員環構造モチーフエーテルを含有するか、分子単位構造中に複数のヒドロキシル官能基を含有する少なくとも1つのポリオール分子単位と、少なくとも1つの六員環ポリオールとを含有する。ポリオールは、ヒドロキシル基を含有する有機化合物である。
【0035】
酸化物トレンチディッシング低減剤としての化学添加剤は、少なくとも2つ、少なくとも4つ、又は少なくとも6つのヒドロキシル官能基をその分子構造中に含有する。
【0036】
化学添加剤の一般分子構造は、(a)において示される。
【化8】
【0037】
1つの実施態様において、一般分子構造におけるR1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(b)に示される構造を有するポリオール分子単位である。
【化9】
式中、n及びmは同じか異なることができ、m又はnは1〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、最も好ましくは1〜2から独立に選択され、R6〜R9は同じか異なる原子又は官能基であることができ、
R1〜R5の群におけるRの残りは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択されることができる。
【0038】
別の実施態様において、一般分子構造におけるR1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(b)に示される構造を有するポリオール分子単位であり、一般分子構造におけるR1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(c)に示される六員環ポリオールである。
【化10】
式中、
OR11、OR12、OR13、及びOR14の群におけるORの1つは、構造(a)中のOに置き換わり、
R10、並びにR10、R11、R12、R13、及びR14の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択され、
R1〜R5の群におけるRの残りは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択されることができる。
【0039】
一般分子構造において、R1〜R9の群におけるRの少なくとも2つ、好ましくは少なくとも4つ、より好ましくは少なくとも6つは水素原子である。
【0040】
Rの1つだけ、たとえば一般分子構造におけるR1〜R5の群におけるR5だけがn=2、かつ、m=1を有するポリオール分子単位(b)であり、R1〜R9の群におけるRの残り全てが水素原子である場合、以下の2種の化学添加剤が得られる。
【化11】
【0041】
1つのR、たとえばR5がn=2、かつ、m=1を有するポリオール分子単位(b)であり、1つのR、たとえばR2が六員環ポリオールであり、R1〜R14の群におけるRの残り全てが水素原子である場合、以下の化学添加剤が得られる。
【化12】
【0042】
化学添加剤は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、リビトール、D−ソルビトール、マンニトール、ダルシトール、イジトール、D−(−)−フルクトース、ソルビタン、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D−アラビノース、L−アラビノース、D−マンノース、L−マンノース、メソ-エリスリトール、ベータ−ラクトース、アラビノース、及びこれらの組み合わせを含む。好ましい化学添加剤は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、D−ソルビトール、マンニトール、ダルシトール、イジトール、D−(−)−フルクトース、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D−(+)−マンノース、ベータ−ラクトース、及びこれらの組み合わせである。より好ましい化学添加剤は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、D−ソルビトール、マンニトール、ダルシトール、D−(−)−フルクトース、ベータ−ラクトース、及びこれらの組み合わせである。
【0043】
幾つかの実施態様において、CMP研磨組成物は、2つ又はそれより多くの部分にされ、使用の時点で混合されることができる。
【0044】
別の側面において、上記の化学機械研磨(CMP)組成物を用いる、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面(たとえばテトラエチルオルトシリケート、すなわちTEOS)を有する基材の化学機械研磨(CMP)方法が提供される。
【0045】
さらに別の側面において、上記の化学機械研磨(CMP)組成物を用いる、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材の化学機械研磨(CMP)装置が提供される。研磨される酸化物膜は、化学気相堆積(CVD)、プラズマ増強CVD(PECVD)、高密度堆積CVD(HDP)、スピンオン酸化物膜、又は流動性CVD酸化物膜、炭素ドープ酸化物膜、又は窒素ドープ酸化物膜であることができる。
【0046】
上記の基材は、窒化ケイ素(SiN)表面をさらに含むことができる。SiO
2:SiNの除去選択性は、10超、好ましくは20超、より好ましくは30超である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明の詳細な説明
本発明は、酸化物の研磨のための化学機械研磨(CMP)組成物、方法、及び装置に関する。
【0048】
パターン化構造の全体的な平坦化において、酸化物トレンチディッシングの低減は、考慮すべき重要な因子である。より低いトレンチ酸化物損失は、隣接するトランジスタ間の電流漏れを防止する。ダイに亘る、及び/又はダイ内の不均一なトレンチ酸化物損失は、トランジスタ性能及びデバイス歩留まりに影響する。深刻なトレンチ酸化物損失(高い酸化物トレンチディッシング)は、トランジスタの絶縁を悪くし、デバイス障害をもたらす。したがって、CMP研磨組成物において、酸化物トレンチディッシングを低減することにより、トレンチ酸化物損失を低減することが重要である。
【0049】
CMP組成物は、研磨材と、好適な化学添加剤との独特な組み合わせを含む。
【0050】
本発明は、化学機械研磨(CMP)組成物に酸化物トレンチディッシング低減添加剤として化学添加剤を導入することにより、酸性、中性及びアルカリ性pH条件を含む広いpH範囲における低減された酸化物トレンチディッシング、ひいては改善された過研磨ウィンドウ安定性を提供する。
【0051】
化学機械研磨(CMP)組成物は、高い酸化物膜除去速度、低いSiN膜除去速度、及び高いSiO
2:SiN選択性を提供する。
【0052】
化学機械研磨(CMP)組成物は、研磨材として焼成セリア粒子を用いるCMP研磨組成物と比較して、大きな全欠陥数の低減も提供した。
【0053】
化学機械研磨(CMP)組成物は、最小化された研磨性能変化量で堅固なCMP研磨性能を維持することにおいて非常に重要である、研磨材粒子の良好な平均粒子サイズ及びサイズ分布安定性をさらに提供する。
【0054】
1つの側面において、
セリアコート無機酸化物粒子、セリアコート有機ポリマー粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される研磨材粒子;
酸化物トレンチディッシング低減剤としての化学添加剤;
溶媒;及び
任意選択的に、
バイオサイド;及び
pH調節剤
を含み、
2〜12、好ましくは3〜10、より好ましくは4〜9のpHを有する、CMP研磨組成物が提供される。
【0055】
セリアコート無機酸化物粒子としては、以下に制限されるものではないが、セリアコートコロイダルシリカ、セリアコート高純度コロイダルシリカ、セリアコートアルミナ、セリアコートチタニア、セリアコートジルコニア、又は任意の他のセリアコート無機酸化物粒子が挙げられる。
【0056】
セリアコート有機ポリマー粒子としては、以下に制限されるものではないが、セリアコートポリスチレン粒子、セリアコートポリウレタン粒子、セリアコートポリアクリレート粒子、又は任意の他のセリアコート有機ポリマー粒子が挙げられる。
【0057】
研磨材粒子の平均的な平均粒子サイズ、すなわち平均粒子サイズ(MPS)は、2〜1000nm、5〜500nm、15〜400nm、又は25〜250nmの範囲である。MPSは、粒子の直径を指し、動的光散乱(DLS)法を用いて測定される。
【0058】
研磨材粒子の濃度は、0.01質量%〜20質量%の範囲であり、好ましい濃度は0.05質量%〜10質量%の範囲であり、より好ましい濃度は0.1質量%〜5質量%の範囲である。
【0059】
好ましい研磨材粒子は、セリアコート無機酸化物粒子であり、より好ましい研磨材粒子は、セリアコートシリカ粒子である。
【0060】
溶媒としては、以下に制限されるものではないが、脱イオン(DI)水、蒸留水、及びアルコール有機溶媒が挙げられる。
【0062】
CMPスラリーは、0.0001質量%〜0.05質量%、好ましくは0.0005質量%〜0.025質量%、より好ましくは0.001質量%〜0.01質量%のバイオサイドを含有することができる。
【0063】
バイオサイドとしては、以下に制限されるものではないが、Dupont/Dow Chemical Co.からのKathon
TM、Kathon
TM CG/ICP II、Dupont/Dow Chemical Co.からのBiobanが挙げられる。これらは、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、又は2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの活性成分を有する。
【0064】
CMPスラリーは、pH調節剤を含有することができる。
【0065】
酸性又は塩基性pH調節剤を用いて、最適化されたpH値に研磨組成物を調節することができる。
【0066】
pH調節剤としては、以下に制限されるものではないが、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機又は有機酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0067】
pH調節剤としては、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、有機四級アンモニウム水酸化物化合物、有機アミン、及びよりアルカリ性方向に向けてpHを調節するのに用いることができる他の化学試薬等の塩基性pH調節剤も挙げられる。
【0068】
CMPスラリーは、0質量%〜1質量%、好ましくは0.01質量%〜0.5質量%、より好ましくは0.1質量%〜0.25質量%のpH調節剤を含有する。
【0069】
CMPスラリーは、0.01質量%〜20質量%、0.025質量%〜10質量%、0.05質量%〜5質量%、又は0.1〜3.0質量%の化学添加剤を酸化物トレンチディッシング及び全欠陥数低減剤として含有する。
【0070】
酸化物トレンチディッシング低減剤としての化学添加剤は、少なくとも2つ又はそれより多く、好ましくは4つ又はそれより多く、より好ましくは6つ又はそれより多くのヒドロキシル官能基をその分子構造中に含有する。
【0071】
1つの実施態様において、化学添加剤は、以下に示される一般分子構造を有する。
【化13】
【0072】
一般分子構造において、nは2〜5000、3〜12、好ましくは4〜7から選択される。
【0073】
R1、R2、及びR3は、同じか異なる原子又は官能基であることができる。
【0074】
R1〜R3の群におけるRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択されることができ、その少なくとも2つ又はそれより多く、好ましくは4つ又はそれより多くは水素原子である。
【0075】
R1、R2、及びR3が同じであり、かつ、水素原子である場合、化学添加剤は、複数のヒドロキシル官能基を有する。
【0076】
係る化学添加剤の幾つかの例の分子構造は、以下に列記される。
【化14-1】
【化14-2】
【0077】
別の実施態様において、化学添加剤は、以下に示される構造を有する。
【化15】
【0078】
この構造において、1つの−CHO官能基は、末端官能基として分子の1つの端部に位置し、nは2〜5000、3〜12、好ましくは4〜7から選択される。
【0079】
R1及びR2は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択されることができる。
【0080】
R1及びR2が全て水素原子であり、かつ、n=3である場合、化学添加剤は、D−アラビノース又はL−アラビノースである。
【化16】
【0081】
R1、R2、及びR3が全て水素原子であり、かつ、n=4である場合、化学添加剤は、D−マンノース又はL−マンノースである。
【化17】
【0082】
さらに別の実施態様において、化学添加剤は、少なくとも1つの(f)、少なくとも1つの(g)、少なくとも1つの(h)、及びこれらの組み合わせで構成された群から選択される分子構造を有する。
【化18】
【0083】
これらの一般分子構造において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、及びR14は、同じか異なる原子又は官能基であることができる。
【0084】
これらは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択されることができ、その少なくとも2つ又はそれより多く、好ましくは4つ又はそれより多くは水素原子である。
【0085】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、及びR14が全て水素原子である場合、それは、複数のヒドロキシル官能基を有する化学添加剤を与える。
【0086】
係る化学添加剤の幾つかの例の分子構造は、以下に列記される。
【化19-1】
【化19-2】
【0087】
さらに、別の実施態様において、化学添加剤は、分子単位構造中に複数のヒドロキシル官能基を含有する少なくとも1つのポリオール分子単位と結合した少なくとも1つの六員環構造モチーフエーテルを含有するか、分子単位構造中に複数のヒドロキシル官能基を含有する少なくとも1つのポリオール分子単位と、少なくとも1つの六員環ポリオールとを含有する。ポリオールは、ヒドロキシル基を含有する有機化合物である。
【0088】
酸化物トレンチディッシング低減剤としての化学添加剤は、少なくとも2つ、少なくとも4つ、又は少なくとも6つのヒドロキシル官能基をその分子構造中に含有する。
【0089】
化学添加剤の一般分子構造は、(a)に示される。
【化20】
【0090】
1つの実施態様において、一般分子構造におけるR1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(b)に示される構造を有するポリオール分子単位である。
【化21】
式中、n及びmは同じか異なることができ、m又はnは1〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、最も好ましくは1〜2から独立に選択され、R6〜R9は同じか異なる原子又は官能基であることができ、
R1〜R5の群におけるRの残りは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択されることができる。
【0091】
別の実施態様において、一般分子構造におけるR1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(b)に示される構造を有するポリオール分子単位であり、一般分子構造におけるR1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(c)に示される六員環ポリオールである。
【化22】
式中、
OR11、OR12、OR13、及びOR14の群におけるORの1つは、構造(a)中のOに置き換わり、
R10、並びにR10、R11、R12、R13、及びR14の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択され、
R1〜R5の群におけるRの残りは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択されることができる。
【0092】
一般分子構造において、R1〜R9の群におけるRの少なくとも2つ、好ましくは4つ、より好ましくは6つは水素原子である。
【0093】
Rの1つだけ、たとえば一般分子構造におけるR1〜R5の群におけるR5だけがn=2、かつ、m=1を有するポリオール分子単位(b)であり、R1〜R9の群におけるRの残り全てが水素原子である場合、以下の2種の化学添加剤が得られる。
【化23】
【0094】
1つのR、たとえばR5がn=2、かつ、m=1を有するポリオール分子単位(b)であり、1つのR、たとえばR2が六員環ポリオールであり、R1〜R14の群におけるRの残り全てが水素原子である場合、以下の化学添加剤が得られる。
【化24】
【0095】
化学添加剤は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、リビトール、D−ソルビトール、マンニトール、ダルシトール、イジトール、D−(−)−フルクトース、ソルビタン、スクロース、イノシトール、グルコース、D−アラビノース、L−アラビノース、D−マンノース、L−マンノース、メソ-エリスリトール、リボース、ベータ−ラクトース、及びこれらの組み合わせを含む。好ましい化学添加剤は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、D−ソルビトール、マンニトール、ダルシトール、イジトール、D−(−)−フルクトース、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D−(+)−マンノース、ベータ−ラクトース、及びこれらの組み合わせである。より好ましい化学添加剤は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、D−ソルビトール、マンニトール、ダルシトール、D−(−)−フルクトース、ベータ−ラクトース、及びこれらの組み合わせである。
【0096】
幾つかの実施態様において、CMP研磨組成物は、2つ又はそれより多くの部分にされ、使用の時点で混合されることができる。
【0097】
別の側面において、上記の化学機械研磨(CMP)組成物を用いる、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材の化学機械研磨(CMP)方法が提供される。研磨される酸化物膜は、CVD酸化物、PECVD酸化物、高密度酸化物、スピンオン酸化物膜、流動性CVD酸化物膜、炭素ドープ酸化物膜、又は窒素ドープ酸化物膜であることができる。
【0098】
研磨される酸化物膜は、化学気相堆積(CVD)、プラズマ増強CVD(PECVD)、高密度堆積CVD(HDP)、又はスピンオン酸化物膜であることができる。
【0099】
上記の基材は、窒化ケイ素表面をさらに含むことができる。SiO
2:SiNの除去選択性は、10超、好ましくは20超、より好ましくは30超である。
【0100】
CMP組成物のディッシング性能は、酸化物トレンチディッシング速度(Å/分)対ブランケットHDP膜除去速度(Å/分)の比により特徴づけることもできる。
【0101】
この比が小さいほど、酸化物トレンチディッシングも低い。≦0.1、0.08、0.06、0.05、0.03又は0.02の比を有するCMP組成物は、良好な酸化物ディッシング性能を与える。
【0102】
CMP研磨組成物において、研磨材粒子安定性を維持して、一貫した所望のCMP研磨性能を確実にすることは非常に重要である。
【0103】
CMP研磨組成物中で化学添加剤を用いる場合、これらの化学添加剤は、組成物中の研磨材粒子の安定性に幾らかの影響を及ぼす可能性がある。
【0104】
例えば、マルチトール、ラクチトール、又はこれらの誘導体を研磨組成物中の酸化物トレンチ低減剤として用いる場合、これらの化学添加剤は、CMP研磨組成物中のセリアコート無機酸化物研磨材の安定性に幾らかの影響を及ぼす可能性がある。
【0105】
典型的には、研磨材粒子安定性は、高温にて、時間に対する平均粒子サイズ(MPS)(nm)、及び粒子サイズ分布パラメータD99(nm)変化を検査することにより試験される。
【0106】
特定のサイズよりも小さいサイズを有する粒子の質量パーセントとして粒子サイズ分布を定量化することができる。例えば、パラメータD99(nm)は、全てのスラリー粒子の99質量%が、D99(nm)以下の粒子直径を有するような粒子サイズ(直径)を表す。すなわち、D99(nm)は、粒子の99質量%が当たるか該当する粒子サイズである。
【0107】
MPS(nm)及びD99(nm)変化が小さいほど、研磨材粒子はより安定であり、したがってCMP研磨組成物もより安定である。
【0108】
粒子サイズ分布を、画像化、動的光散乱、流体力学的流体分別、ディスク遠心分離等の任意の適切な方法により測定することができる。
【0109】
MPS(nm)及びD99(nm)は、本件において両方とも動的光散乱により測定される。
【0110】
研磨材粒子安定性を与えるCMP組成物は、20〜60℃、25〜50℃の範囲の温度における少なくとも30日、40日、50日、60日、70日、又は100日の保存期間に関して≦6.0%、5.0%、3.0%、2.0%、1.0%、0.5%、0.3%、又は0.1%のMPS(nm)及びD99(nm)変化を有する。
【0111】
以下の非制限的な例は、本発明をさらに説明するために提示される。
【0112】
CMP方法論
以下に示される例において、CMP実験は、以下に与えられる手順及び実験条件を用いて実施された。
用語
成分
【0113】
セリアコートシリカ:約100ナノメートル(nm)の粒子サイズを有する研磨材として用いられる。係るセリアコートシリカ粒子は、約5ナノメートル(nm)〜500ナノメートル(nm)の範囲の粒子サイズを有することができる。
【0114】
(種々のサイズの)セリアコートシリカ粒子は、日本のJGC Inc.により供給された。
【0115】
D−ソルビトール、ダルシトール、フルクトース、マルチトール、ラクチトール等の化学添加剤、及び他の化学原料は、ミズーリ州、セントルイスのSigma−Aldrichにより供給された。
【0116】
TEOS:テトラエチルオルトシリケート
【0117】
研磨パッド:研磨パッド、すなわちIC1010及び他のパッドは、CMP中に用いられ、Dow Inc.により供給された。
【0118】
パラメータ
一般
Å又はA:オングストローム−長さの単位
【0120】
CMP:化学機械平坦化=化学機械研磨
【0122】
DF:下向き圧力:CMP中に適用される圧力、psi単位
【0127】
PS:研磨ツールのプラテン回転速度、rpm(回転数毎分)
【0129】
Wt%:(列記された成分の)質量パーセント
【0130】
TEOS:SiN選択性:(TEOSの除去速度)/(SiNの除去速度)
【0132】
TEOS又はHDP除去速度:所与の下向き圧力にて測定されたTEOS又はHDP除去速度。CMPツールの下向き圧力は、上記の例において2.0、3.0、又は4.0psiであった。
【0133】
SiN除去速度:所与の下向き圧力にて測定されたSiN除去速度。CMPツールの下向き圧力は、列記された例において3.0psiであった。
【0134】
計測
膜は、Creative Design Engineering,Inc,20565Alves Dr.,Cupertino,CA,95014により製造されたResMap CDE、モデル168を用いて測定された。ResMapツールは、4点プローブシート抵抗ツールである。膜について、5mm端部除外にて49点の直径走査を行った。
【0135】
CMPツール
用いられたCMPツールは、Applied Materials,3050Boweres Avenue,Santa Clara,California,95054により製造された200mmMirra又は300mmReflexionである。DOW,Inc,451Bellevue Rd.,Newark,DE 19713により供給されたIC1000パッドを、ブランケット及びパターンウェハ研究に関してプラテン1上で用いた。
【0136】
IC1010又は他のパッドは、コンディショナー上で7lbsの下向き力にて18分間パッドをコンディショニングすることにより調整された。ツールの設定及びパッド調整を適格とするために、2つのタングステンモニターと2つのTEOSモニターが、Versum Materials Inc.により供給されたVersum(登録商標)STI2305スラリーにより、ベースライン条件で研磨された。
【0137】
ウェハ
研磨実験は、PECVD又はLECVD又はHD TEOSウェハを用いて実施された。これらのブランケットウェハは、Silicon Valley Microelectronics,2985 Kifer Rd.,Santa Clara,CA95051から購入した。
【0138】
研磨実験
ブランケットウェハ研究において、酸化物ブランケットウェハ及びSiNブランケットウェハは、ベースライン条件で研磨された。ツールベースライン条件は、テーブル速度;87rpm、ヘッド速度:93rpm、メンブレン圧;3.0psi、チューブ間圧力;3.1psi、保持リング圧;5.1psi、スラリー流;200ml/minであった。
【0139】
スラリーは、SWK Associates,Inc.2920Scott Blvd.Santa Clara CA95054により供給されたパターン化ウェハ(MIT860)上での研磨実験において用いられた。これらのウェハは、Veeco VX300プロファイラー/AFM装置で測定された。酸化物ディッシング測定に関して、3つの異なるサイズのピッチ構造が用いられた。ウェハは、中心、中央、及び端部のダイ位置で測定された。
【0140】
CMP研磨組成物から得られたTEOS:SiN選択性:(TEOSの除去速度)/(SiNの除去速度)は調節可能であった。
【0141】
実施例
以下の実施例において、0.2質量%のセリウムコートシリカ、0.0001質量%〜0.05質量%の範囲のバイオサイド、及び脱イオン水を含む研磨組成物が参照(ref.)として調製された。
【0142】
研磨組成物は、参照(0.2質量%のセリウムコートシリカ、0.0001質量%〜0.05質量%の範囲のバイオサイド、及び脱イオン水)に0.01質量%〜2.0質量%の化学添加剤を加えることにより調製された。
【0143】
pH条件の例を除く全ての例で、組成物のpHは5.35であった。
【0144】
酸性pH条件及びアルカリ性pH条件のために用いられるpH調節剤は、それぞれ硝酸及び水酸化アンモニウムであった。
【0145】
例1
実施例のスラリーは、参照スラリーに加えられた0.15質量%の化学添加剤を有する。
【0146】
膜除去速度及び選択性に対する種々の選択された化学添加剤の影響が観察された。
【0147】
異なる膜についての除去速度(RR、Å/min)が試験された。試験結果は、表1に示された。
【0148】
表1に示される結果のように、セリアコートシリカに基づくスラリーは、TEOSに関してより高い除去速度を提供した。
【表1】
【0149】
表1にさらに示される結果のように、メソ−エリスリトールを除く化学添加剤D−ソルビトール、D−マンニトール、D−マンノース、及びキシリトールは、参照と比較してSiN除去速度を抑制し、一方で依然として高いTEOS及びHDP膜除去速度を与え、高い酸化物:SiN選択性を提供した。
【0150】
例2
例2において、化学添加剤を含まない、0.2質量%のセリアコートシリカ研磨材に基づく配合物が、参照として用いられた。
【0151】
化学添加剤は、実施例スラリーにおいて、研磨材としての0.2質量%のセリアコートシリカと共に、それぞれ0.15質量%(0.15X)濃度にて用いられた。
【0152】
試験結果は、表2に示された。表1のHDP RR(Å/min)も表2に示された。
【0153】
表3に、酸化物トレンチディッシング速度(Å/min)対ブランケットHDP膜除去速度(Å/min)の比を示した。
【表2】
【0154】
試験結果は、表2に示された。表1のHDP RR(A/min)も表2に示された。
【0155】
表3に、酸化物トレンチディッシング速度(Å/min)対ブランケットHDP膜除去速度(Å/min)の比を示した。
【表3】
【0156】
表2及び3において示される結果のように、研磨組成物への酸化物トレンチディッシング低減剤としての種々の化学添加剤の添加は、異なる効果を示した。
【0157】
D−ソルビトール及びD−マンニトールを用いる研磨組成物は、参照と比較して、100μmピッチ及び200μmピッチ両方のそれぞれに、大きな酸化物トレンチディッシングの低減を与えた。
【0158】
キシリトールを用いる研磨組成物は、参照と比較して、研磨における酸化物トレンチディッシングに影響がないことを示した。D−(+)−マンノース又はメソ−エリスリトールを用いる研磨組成物は、参照より悪い酸化物トレンチディッシングを有していた。
【0159】
酸化物トレンチディッシング対過研磨除去量の傾きに対する化学添加剤の影響は、表4に示された。
【表4】
【0160】
表4に示される結果のように、D−ソルビトール又はD−マンニトールを用いる研磨組成物は、参照と比較して、酸化物トレンチディッシング対100μm及び200μm特徴上の過研磨量のはるかに小さい傾き値を与えた。
【0161】
他の添加剤は、参照と比較して、ディッシングの改善を与えなかった。
【0162】
例3
膜除去速度(RR、Å/min)及び選択性に対する種々の選択された化学添加剤の影響が観察された。これらの化学添加剤は、研磨材としての0.2質量%のセリアコートシリカと共に、それぞれ0.1質量%濃度にて用いられた。
【0163】
試験結果は、表5に示された。
【表5】
【0164】
表5に示される結果のように、これらの化学添加剤D−ソルビトール、D−(−)−フルクトース、マルチトール、及びダルシトールは、参照と比較してSiN除去速度を抑制し、依然として高いTEOS及びHDP膜除去速度を与えた。
【0165】
D−(−)−フルクトースを有するCMP組成物は、SiNの除去に加えてTEOSの除去を抑制するが、依然として高いTEOS:SiN選択性を与えた。
【0166】
過研磨時間に対する酸化物トレンチディッシングへの種々の選択された化学添加剤の影響が観察された。
【0167】
試験結果は、表6に示された。表5のHDP RR(Å/min)も表6に示された。
【表6】
【0168】
表6に示される過研磨時間に対する酸化物トレンチディッシングの結果のように、化学添加剤を含むCMP組成物は、100μmピッチ、及び200μmピッチそれぞれに対し、より低い酸化物トレンチディッシングを与えた。組成物は、参照組成物と比較して、大きな酸化物トレンチディッシングの低減を与えた。
【0169】
表7に、酸化物トレンチディッシング速度(Å/min)対ブランケットHDP膜除去速度(Å/min)の比を示した。
【0170】
表7に示される結果のように、化学添加剤の研磨組成物に対する添加は、pH5.35において、トレンチディッシング速度対ブランケットHDP膜除去速度の比を、参照サンプルから得られた比より大いに低減させた。
【表7】
【0171】
種々のサイズのピッチディッシング対酸化物過研磨量の傾きは、表8に示された。
【表8】
【0172】
表8に示される種々のサイズのピッチディッシング対酸化物過研磨量の傾きの結果のように、化学添加剤及びセリアコートシリカ研磨材に基づくCMP研磨組成物は、参照により得られた傾きの値と比較して、はるかに低い傾きの値を与えた。
例4
例4において、除去速度、及びTEOS:SiN選択性が試験され、試験は、pH5.35において、異なる濃度を有する化学添加剤を含むCMP研磨組成物を用いて実施された。
【0173】
試験結果は、表9に記載された。
【表9】
【0174】
表9に示される結果のように、組成物中で用いられるD−ソルビトールの濃度が増加した場合、類似のTEOS除去速度が得られ、HDP膜除去速度が増加し、TEOS:SiN選択性も若干又は大いに増加した。
【0175】
種々のサイズのピッチ特徴上での選択された化学添加剤D−ソルビトール濃度による過研磨時間に対する酸化物トレンチディッシングへの影響が試験された。
【0176】
試験結果は、表10に示された。
【表10】
【0177】
表10に示される結果のように、異なる濃度でD−ソルビトールを含む3つの試験されたCMP研磨組成物の全ては、100μmピッチ及び200μmピッチの両方において低い酸化物トレンチディッシングを与えた。
【0178】
また、化学添加剤D−ソルビトール濃度が増加するほど、酸化物トレンチディッシングはさらに低減される。
【0179】
表10に示される結果のように、異なる濃度でD−ソルビトールを含む3つの試験されたCMP研磨組成物の全ては、100μmピッチ及び200μmピッチの両方において低い酸化物トレンチディッシングを与えた。
【0180】
また、化学添加剤D−ソルビトール濃度が増加するほど、酸化物トレンチディッシングはさらに低減される。
【0181】
表11に、異なる濃度のD−ソルビトールを含む組成物によるトレンチディッシング速度(Å)/ブランケットHDP RR(Å/min)の比を示した。
【表11】
【0182】
表11に示される結果のように、pH5.35において組成物中で用いられるD−ソルビトールは全て、種々の試験された濃度に亘って、トレンチディッシング速度対ブランケットHDP膜除去速度の比を大いに低減した。
【0183】
したがって、D−ソルビトールを、広い濃度範囲において効果的な酸化物トレンチディッシング低減剤として用いることができる。
【0184】
種々のサイズのピッチディッシング対酸化物過研磨量の傾きが試験され、結果が表12に示された。
【表12】
【0185】
表12に示される種々のサイズのピッチディッシング対酸化物過研磨量の傾きの結果のように、CMP研磨組成物中の種々の濃度のD−ソルビトールは、参照サンプルと比較して、全て類似の傾き値を与えた。
【0186】
また、D−ソルビトール濃度が増加するほど、ゼロ秒における過研磨時間での種々のサイズのピッチディッシング対酸化物過研磨の傾きは、緩やかに減少した。
【0187】
例5
例5において、試験は、異なるpH値を有するCMP研磨組成物を用いて実施された。
【0188】
研磨材としての0.2質量%のセリアコートシリカ、及び化学添加剤としての0.1質量%のD−ソルビトールで構成された組成物は、3つの異なるpH条件にて試験された。
【0189】
異なる膜についての除去速度(RR、Å/min)が試験された。試験結果は、表13に示された。
【表13】
【0190】
表10に示される結果のように、組成物は、酸性、中性又はアルカリ性pH条件において、高いTEOS及びHDP膜除去速度、低いSiN除去速度、及び高いTEOS:SiN選択性を提供することにより、一貫性のある性能を示した。
【0191】
過研磨時間に対する酸化物トレンチディッシングへのCMP研磨組成物を用いるpH条件の影響に関する試験結果が実施された。
【0193】
表14に示される結果のように、類似の過研磨時間に対する酸化物トレンチディッシング及びHDP膜除去速度が、3つの異なるpH条件において、同じ濃度の研磨材としてのセリアコートシリカ、及び酸化物トレンチディッシング低減剤としてのD−ソルビトールに関して得られた。
【表14】
【0194】
表15に、トレンチディッシング速度(Å)/ブランケットHDP RR(Å/min)の比の結果を示した。
【表15】
【0195】
表15に示される結果のように、異なるpH条件において、研磨組成物中で酸化物トレンチディッシング低減剤として用いられる化学添加剤D−ソルビトールの添加は、比の大きな低減を示し、広いpHウィンドウにおいて、D−ソルビトールを、非常に効果的な酸化物トレンチディッシング低減剤として用いることができることが示された。
【0196】
例6
例6において、膜除去速度及び選択性に対する前記の幾つかの種類の化学添加剤から選択された種々の化学添加剤の影響が観察された。
【0197】
8.132mMにおいて、同じモル濃度の全ての試験された化学添加剤がそれぞれ用いられた。
【0198】
pH条件試験の例を除くすべての例は、5.35のpHを有していた。
【0199】
pH条件試験で用いられる例に関して、pH調節剤は、酸性pH条件及びアルカリ性pH条件に関して用いられ、それぞれ硝酸及び水酸化アンモニウムであった。
【0200】
異なる膜についての除去速度(RR、Å/min)及び除去選択性が試験された。試験結果は、表16に示された。
【0201】
表16に示される結果のように、研磨組成物中で8.132mM濃度にて用いられた場合、これらの化学添加剤は、参照と比較して、類似のTEOS膜除去速度、HDP膜除去速度を与え、若干又は大いに抑制されたSiN除去速度を与えた。
【表16】
【0202】
酸化物:SiN選択性は、若干増加(アラビノース、myo−イノシトール)から大いに増加(マルチトール、リボース、及びベータ−ラクトース)まで変動した。これらの試験された化学種の中で、マルチトールは、最も効率的なSiN除去速度抑制化学添加剤として示され、リボース及びベータ−ラクトースも、かなり効率的なSiN除去速度抑制添加剤として示された。
【0203】
例7
以下の化学添加剤、マルチトール、D−ソルビトール、ラクチトール、リボース、及びベータ−ラクトースを、pH5.35において0.2質量%のセリアコートシリカ研磨材を含む研磨組成物中で用い、酸化物パターン化ウェハの研磨についての研磨試験を実施した。化学添加剤は、組成物中で0.15質量%にて用いられた。
【0204】
膜除去速度及び選択性に対する種々の化学添加剤の影響が観察された。
【0206】
表17に示される結果のように、すべての組成物は、参照サンプルと比較して、類似の高いTEOS膜除去速度、増加したHDP膜の高い除去速度、大いに抑制されたSiN除去速度、大いに増加した酸化物:SiN選択性を与えた。
【表17】
【0207】
過研磨時間に対する酸化物トレンチディッシングへの種々の化学添加剤の影響が観察された。これらの化学添加剤は、研磨材としての0.2質量%のセリアコートシリカと共に、それぞれ0.15質量%(0.15X)濃度にて用いられ、すべての配合物のpHは5.35であった。
【0208】
試験結果は、表18に示された。
【表18】
【0209】
表18に示される過研磨時間に対する酸化物トレンチディッシングの結果のように、これらの化学添加剤の全ては、CMP研磨組成物中でセリアコートシリカ研磨材と共に用いられた場合、参照と比較して、100μmピッチ及び200μmピッチ特徴上で、60秒又は120秒それぞれの過研磨時間に対し、大いに低減された酸化物トレンチディッシング与え、大きな酸化物トレンチディッシングの低減を提供した。
【0210】
表19は、トレンチディッシング速度(Å)/ブランケットHDP RR(Å/min)の比の結果を示した。
【表19】
【0211】
表19に示される結果のように、化学添加剤を用いる全ての試験された研磨組成物は、トレンチディッシング速度対ブランケットHDP膜除去速度の比の大きな低減を示し、このことは、これらの化学添加剤全てを、本発明のCMP研磨組成物において、非常に効果的な酸化物トレンチディッシング低減剤として用いることができることを示す。
【0212】
実施例8
研磨組成物は、参照(0.2質量%のセリアコートシリカ0.0001質量%〜0.05質量%の範囲のバイオサイド、及び脱イオン水)を用いて調製され、マルチトール又はラクチトールが0.28質量%にて用いられた。
【0213】
すべての例の組成物は、5.35のpHを有していた。
【0214】
異なる膜についての除去速度(RR、Å/min)が試験された。2つの選択された化学添加剤マルチトール及びラクチトールの膜除去速度及び選択性に対する影響が観察された。
【0215】
試験結果は、表20に示された。
【表20】
【0216】
表20に示される結果のように、研磨組成物への化学添加剤マルチトール又はラクチトールの添加は、SiN除去速度を大いに抑制し、一方で依然として高いTEOS及びHDP膜除去速度を与え、したがって、大いに増加した酸化物:SiN膜研磨選択性を与えた。
【0217】
例9
例8の例の組成物が、この例において用いられた。
【0218】
異なる過研磨時間なし又はありでの酸化物トレンチディッシングが試験された。過研磨時間に対する酸化物トレンチディッシングへのマルチトール又はラクチトールの影響が観察された。
【0219】
試験結果は、表21に示された。
【表21】
【0220】
表21に示される結果のように、化学添加剤マルチトール又はラクチトールの添加による研磨組成物は、60秒又は120秒の過研磨時間が適用された際に、100μmピッチ、及び200μmピッチそれぞれで低い酸化物トレンチディッシングを与えた。
【0221】
組成物は、化学添加剤マルチトール又はラクチトールを有さない参照組成物と比較して、大きな酸化物トレンチディッシングの低減を与えた。
【0222】
表22は、トレンチディッシング速度(Å)/ブランケットHDP RR(Å/min)の比の結果を示した。
【表22】
【0223】
表22に示される結果のように、研磨組成物への酸化物トレンチディッシング低減剤としてのマルチトール又はラクチトールの添加は、トレンチディッシング速度対ブランケットHDP膜除去速度の比を大いに低減した。この比が低いほど、酸化物トレンチディッシングは低い。
【0224】
酸化物トレンチディッシング対OP除去量の傾きは、表23に示された。
【表23】
【0225】
表23に示された結果は、化学添加剤マルチトール又はラクチトールを含む組成物がより低い傾きを与えたことを示し、このことは、低い酸化物トレンチディッシング、さらに過研磨工程において除去される酸化物膜を維持する良好な過研磨ウィンドウを示した。
【0226】
表23に示されたように、これらの化学添加剤マルチトール又はラクチトール、及びセリアコートシリカに基づくCMP研磨組成物は、セリアコートシリカ研磨材に基づく参照サンプルについて得られた傾き値と比較して、はるかに低い傾き値を再び示した。
【0227】
例10
例10において、トレンチ酸化物損失速度は、表24に示されるように、マルチトール又はラクチトールを用いる研磨組成物、及び参照に関して比較された。
【表24】
【0228】
表24に示される結果のように、研磨組成物へのマルチトール又はラクチトールの酸化物トレンチディッシング低減剤としての添加に関し、トレンチ損失速度は、いかなる化学添加剤も含まない参照サンプルに対して大いに低減された。
【0229】
例11
組成物は、表19に示されるように調製された。
【0230】
組成物は、研磨材として0.2質量%のセリアコートシリカ、化学添加剤として0.28質量%のラクチトール、バイオサイド、DI水、及び種々のpH条件を提供するpH調節剤を用いた。
【0231】
種々の膜についての除去速度(RR、Å/min)が試験された。膜除去速度及び選択性に対するpH条件の影響が観察された。
【0232】
試験結果は、表25に示された。
【表25】
表25に示される結果のように、研磨組成物への酸化物トレンチディッシング低減剤としてのラクチトールの添加は、3つの異なるpH条件(酸性、中性又はアルカリ性)において、類似のTEOS及びHDP膜除去速度、非常に効果的に抑制されたSiN膜除去速度を与え、化学添加剤としてラクチトールを用いない参照サンプルと比較して、はるかに高いTEOS:SiN選択性を生み出した。
【0233】
化学添加剤としてラクチトールを含まない、又は含む酸化物トレンチディッシング、過研磨時間が試験された。
【0234】
過研磨時間に対する酸化物トレンチディッシングへの異なるpH条件におけるラクチトール含有研磨組成物の影響が観察された。
【0236】
表26に示される結果のように、ラクチトールの添加による研磨組成物は、異なるpH条件において、60秒又は120秒の過研磨時間が適用された際に、100μmピッチ、及び200μmピッチそれぞれで低い酸化物トレンチディッシングを与えた。
【0237】
酸化物トレンチディッシング低減剤としてラクチトールを含む組成物は、化学添加剤ラクチトールを有さない参照研磨組成物と比較して、大きな酸化物トレンチディッシングの低減を与えた。
【表26】
【0238】
表27は、異なるpHにおけるトレンチディッシング速度(A)/ブランケットHDP RR(Å/min)の比を示した。
【表27】
【0239】
表27に示される結果のように、研磨組成物への酸化物トレンチディッシング低減剤としてのラクチトールの添加は、pH5.35において参照サンプルに関して得られる比と比較して、異なるpH条件におけるトレンチディッシング速度対ブランケットHDP膜除去速度の比を大いに低減した。
【0240】
異なるpH条件における酸化物トレンチディッシング対OP除去量の傾きは、表28に示された。
【表28】
【0241】
表28に示された結果は、化学添加剤ラクチトールを含む組成物が、より小さいトレンチディッシング対過研磨除去量の傾きを与えたことを示し、このことは、異なるpH条件において、低い酸化物トレンチディッシング、さらに過研磨工程において除去される酸化物膜を維持する良好な過研磨ウィンドウを示した。
【0242】
表28に示されるように、ラクチトール及びセリアコートシリカに基づくCMP研磨組成物は、pH5.35においてセリアコートシリカ研磨材に基づく参照サンプルについて得られた傾き値と比較して、種々のpH条件においてはるかに低い傾き値を再び示した。
【0243】
例11において、トレンチ酸化物損失速度が、種々のpH条件においてラクチトールを用いる研磨組成物、又はpH5.35においてラクチトールを含まない研磨組成物に関して比較され、表29に示された。
【表29】
【0244】
表29に示される結果のように、種々のpH条件における研磨組成物への酸化物トレンチディッシング低減剤としてのラクチトールの添加は、化学添加剤としてラクチトールを用いない参照サンプルに対して、トレンチ損失速度を大いに低減させた。
【0245】
酸化物トレンチディッシング低減剤としてラクチトールを用い、種々のpH条件において得られた研磨試験結果は、CMP研磨組成物を、酸性、中性、又はアルカリ性pH条件を含む広いpH範囲において用いることができることを示した。
【0246】
例12
研磨組成物中の酸化物トレンチ低減剤として、マルチトール又はラクチトール又はこれらの誘導体等の好適な化学添加剤を用いた場合、これらの化学添加剤は、CMP研磨組成物中のセリアコート無機酸化物研磨材の安定性に幾らかの影響を及ぼす可能性がある。CMP研磨組成物において、良好な研磨材粒子安定性を有することにより、一貫した所望のCMP研磨性能を確実にすることは非常に重要である。
【0247】
典型的には、研磨材粒子安定性は、高温にて、時間に対するMPS(nm)(=平均粒子サイズ)、及びD99(nm)変化を検査することにより試験される。MPS(nm)及びD99(nm)変化が小さいほど、本発明の研磨組成物はより安定である。
【0248】
この例において、化学添加剤を有する組成物中のセリアコートシリカ研磨材粒子の安定性は、平均粒子サイズの変化と粒子サイズ分布D99の変化を測定することにより検査された。
【0249】
試験サンプルは、0.2質量%又は他の質量%のセリアコートシリカ研磨材、非常に低濃度のバイオサイド、酸化物トレンチディッシング低減剤としての0.15質量%のマルチトール、0.15質量%のラクチトール、又は0.0787質量%のMyo−イノシトールを用いて製造され、pHは5.35に調節された。
【0250】
研磨組成物の研磨材安定性試験は、50℃において少なくとも10日間以上実施された。
【0251】
試験された研磨組成物のMPS(nm)又はD99(nm)は、DLS法(DLS=動的光散乱)を用いて測定された。
【0252】
用いられた化学添加剤を含むセリアコートシリカ研磨材の安定性試験結果は、表30に示された。
【表30】
【0253】
0.15質量%のマルチトール、0.15質量%のラクチトール、及び0.0787質量%のMyo−イノシトールを有する組成物において、0.2質量%のセリアコートシリカ粒子は、50℃において4日目まで0.23%、0.34%及び0.39%のMPS変化をそれぞれ有していた。
【0254】
0.15質量%のマルチトールを有する組成物中の0.2質量%のセリアコートシリカ粒子は、50℃において18日目までに1.9%未満の平均粒子サイズ変化を有していた。
【0255】
0.0787質量%のmyo−イノシトールを有する組成物中の0.2質量%のセリアコートシリカ粒子は、50℃において11日目まで0.83%未満の平均粒子サイズ変化を有していた。
【0256】
0.15質量%のラクチトールを有する組成物中の0.2質量%のセリアコートシリカは、50℃において32日目まで1.3%未満の平均粒子サイズ変化を有していた。
【0257】
さらなる安定性試験は、表31に示された。
【表31】
【0258】
0.15質量%のラクチトールを有する組成物中の0.2質量%のセリアコートシリカ粒子は、50℃において62日目までそれぞれ8.34×10
-4未満の平均粒子サイズ変化及び0.63%未満のD99変化を有していた。
【0259】
さらに、粒子安定性試験は、より高濃度のセリアコートシリカ研磨材(0.2質量%超)、及び酸化物トレンチディッシング低減剤として、より高濃度のマルチトール(0.15質量%超)を含む研磨組成物について50℃にて実施された。
【0261】
データは、0.8質量%のセリアコートシリカ粒子が、それぞれ0.6質量%のマルチトールを有する組成物において、50℃において42日目まで、それぞれ0.41%未満及び0.23%未満のMPS及びD99変化を有していたことを示した。
【表32】
【0262】
データは、0.8質量%のセリアコートシリカ粒子が、それぞれ0.6質量%のマルチトールを有する組成物において、50℃において42日目まで、それぞれ0.41%未満及び0.23%未満のMPS及びD99変化を有していたことも示した。
【0263】
1.6質量%のセリアコートシリカ粒子は、それぞれ1.2質量%のマルチトールを有する組成物において、50℃において42日目まで、それぞれ1.2%未満及び1.6%未満のMPS及びD99変化を有していた。
【0264】
2.4質量%のセリアコートシリカ粒子は、それぞれ1.8質量%のマルチトールを有する組成物において、50℃において42日目まで、それぞれ0.33%未満及び0.23%未満のMPS及びD99変化を有していた。
【0265】
表30〜32に示される結果のように、研磨材としてのセリアコートシリカ粒子と共に、マルチトール、ラクチトール又はMyo−イノシトールが酸化物トレンチディッシング低減剤としてとして用いられた場合、研磨組成物は、高温試験温度においてさえ、MPS(nm)及びD99(nm)の非常に良好なサイズ安定性を示した。
【0266】
セリアコートコロイダルシリカ研磨材、及び酸化物トレンチディッシング低減剤としてのより高濃度のマルチトールで構成された研磨組成物は全て、高温にてMPS(nm)及びD99(nm)の非常に良好な粒子サイズ安定性を示した。
【0267】
例13
本発明のCMP研磨組成物を用いる別の重要な利益は、研磨材として焼成セリア粒子を用いる代わりに、研磨材としてセリアコートコロイダルシリカ複合粒子を用いることにより得られる、研磨中及び研磨後の低減された全欠陥数である。
【0268】
以下の3種の研磨組成物は、欠陥試験のために調製された。第一のサンプルは、0.5質量%の焼成セリア研磨材、0.05質量%のポリアクリレート塩、及び低濃度のバイオサイドを用いて製造され、第二のサンプルは、0.2質量%のセリアコートシリカ研磨材、0.28質量%のマルチトール、及び低濃度のバイオサイドを用いて製造され、第三のサンプルは、0.2質量%のセリアコートシリカ研磨材、0.28質量%のラクチトール、及び低濃度のバイオサイドを用いて製造された。比較されるべき類似の誘電体膜除去速度を得るために、より高濃度の焼成セリア研磨材が、サンプル1中で用いられた。
【0269】
全ての3種の配合物は、5.35のpH値を有していた。
【0270】
研磨されたTEOS及びSiNウェハ上の全欠陥数は、上記の3種の研磨組成物を用いて比較された。全欠陥数結果は、表33に示された。
【0271】
表33に示される全欠陥数結果のように、研磨材としてセリアコートシリカ粒子、及びトレンチディッシング低減剤としてマルチトール又はラクチトールのいずれかを用いる研磨組成物は、焼成セリア研磨材、及び化学添加剤としてのポリアクリレート塩で構成された研磨組成物を用いて得られた全欠陥数より大いに低い、研磨されたTEOS及びSiNウェハ上での全欠陥数を与えた。
【表33】
【0272】
例14
以下の4種の研磨組成物は、欠陥試験のために調製された。
【0273】
第一の2種の研磨組成物は、焼成セリア研磨材、酸化物トレンチディッシング低減剤としての0.28質量%のマルチトール又は0.28質量%のラクチトール、及び低濃度のバイオサイドを用いて製造され、他の2種の研磨組成物は、セリアコートシリカ研磨材、酸化物トレンチディッシング低減剤としての0.28質量%のマルチトール又は0.28質量%のラクチトール、及び低濃度のバイオサイドを用いて製造された。全ての4種の配合物は、5.35のpH値を有する。
【0274】
全ての化学添加剤は、同じ質量%にて用いられたが、種々の研磨材、例えば研磨材として焼成セリア対セリアコートシリカ粒子が用いられた。
【0275】
膜除去速度、及びTEOS:SiN選択性に対する種々の研磨材の影響が観察され、結果は、表34に示された。
【表34】
【0276】
表34に示される結果のように、研磨材としてセリアコートシリカを用いた研磨組成物は、研磨材として焼成セリアを用いた研磨組成物から得られた膜除去速度より、はるかに高いTEOS及びHDP膜除去速度を与えた。
【0277】
研磨されたTEOS及びSiNウェハ上の規格化された全欠陥数が、上記の4種の研磨組成物を用いて比較された。規格化された全欠陥数の結果は、表35に示された。
【表35】
【0278】
表35に示された規格化された全欠陥数結果のように、研磨材としてセリアコートシリカ粒子、及びトレンチディッシング低減剤としてマルチトール又はラクチトールを用いた研磨組成物は、焼成セリア研磨材、及び酸化物トレンチディッシング低減化学添加剤としてのマルチトール又はラクチトールで構成された研磨組成物を用いて得られた規格化された全欠陥数より大いに低い、研磨されたTEOS及びSiNウェハ上の規格化された全欠陥数を与えた。
【0279】
実施例を含む上記に示された本発明の実施態様は、本発明から作り出すことのできる種々の例示的な実施態様である。種々の他の構成のプロセスを用いることができ、プロセスにおいて用いられる材料を、具体的に開示されたもの以外の種々の材料から選択することができることが企図される。