(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-2358(P2020-2358A)
(43)【公開日】2020年1月9日
(54)【発明の名称】低酸化物トレンチディッシング化学機械研磨
(51)【国際特許分類】
C09K 3/14 20060101AFI20191206BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20191206BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20191206BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20191206BHJP
【FI】
C09K3/14 550Z
C09K3/14 550D
B24B37/00 H
B24B37/10
H01L21/304 621D
H01L21/304 622D
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2019-123090(P2019-123090)
(22)【出願日】2019年7月1日
(31)【優先権主張番号】62/692,639
(32)【優先日】2018年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/692,633
(32)【優先日】2018年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】16/450,732
(32)【優先日】2019年6月24日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100210697
【弁理士】
【氏名又は名称】日浅 里美
(72)【発明者】
【氏名】シアオポー シー
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナ ピー.ムレラ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ ディー.ローズ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ホンチュン
(72)【発明者】
【氏名】マーク レナード オニール
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CB01
3C158CB03
3C158DA02
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158ED02
3C158ED08
3C158ED10
3C158ED11
3C158ED12
3C158ED22
3C158ED26
5F057AA09
5F057AA28
5F057BA11
5F057BB16
5F057DA03
5F057EA01
5F057EA11
5F057EA21
5F057EA26
5F057EA29
5F057EA31
(57)【要約】
【課題】酸化物トレンチディッシングを低減し、過研磨ウィンドウ安定性を改善する化学機械平坦化(CMP)研磨組成物、方法及び装置の提供。高く調節可能な酸化ケイ素除去速度、低い窒化ケイ素除去速度、及び調節可能なSiO
2:SiN選択性の提供。
【解決手段】セリアコートシリカ粒子等の研磨材、及び酸化物トレンチディッシング低減剤としてのマルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、又は組み合わせ等化学添加剤の独特の組み合わせを用いる組成物。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セリアコートコロイダルシリカ、セリアコート高純度コロイダルシリカ、セリアコートアルミナ、セリアコートチタニア、セリアコートジルコニア粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるセリアコート無機酸化物粒子;セリアコートポリスチレン粒子、セリアコートポリウレタン粒子、セリアコートポリアクリレート粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるセリアコート有機ポリマー粒子;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される研磨材粒子;
化学添加剤;
脱イオン(DI)水、蒸留水、及びアルコール有機溶媒からなる群から選択される溶媒;及び
任意選択的に、
バイオサイド;及び
pH調節剤
を含み、
2〜12のpHを有する化学機械研磨(CMP)組成物であって、
前記化学添加剤が、(a)
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5(R1〜R5の群におけるR)は、
(1)
(i)R1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(b):
【化2】
(式中、m又はnは、1〜5から独立に選択され、R6、R7、R8、及びR9の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される。)
に示される構造を有するポリオール分子単位であり、かつ、
(ii)R1〜R5の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される;及び
(2)
(i)R1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(b):
【化3】
(式中、m又はnは1〜5から独立に選択され、R6、R7、R8、及びR9の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される。)
に示される構造を有するポリオール分子単位であり、
(ii)R1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(c):
【化4】
(式中、OR11、OR12、OR13、及びOR14の群におけるORの1つは、構造(a)中のOに置き換わり、
R10、並びにR11、R12、R13、及びR14の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される。)
に示される六員環ポリオールであり、かつ、
(iii)R1〜R5の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される;
からなる群から選択される。);
に示されるように、その分子構造中に少なくとも4つのヒドロキシル官能基を有する、化学機械研磨(CMP)組成物。
【請求項2】
前記研磨材粒子が、0.05質量%〜10質量%の範囲であり、5nm〜500nmの範囲の平均粒子サイズを有し、
前記化学添加剤が、0.01質量%〜20.0質量%の範囲であり、その分子構造中に少なくとも6つのヒドロキシル官能基を有し、
前記組成物が3〜10のpHを有する、請求項1に記載の化学機械研磨(CMP)組成物。
【請求項3】
研磨材粒子が、20〜60℃の範囲の温度における≧30日の保存期間に亘って≦5.0%の平均粒子サイズMPS(nm)及びD99(nm)の変化を有し、D99(nm)は、99質量%の粒子が入る粒子サイズである、請求項2に記載の化学機械研磨(CMP)組成物。
【請求項4】
前記研磨材粒子が、5nm〜500nmの範囲の平均粒子サイズを有し、0.05質量%〜10質量%の濃度を有し、
前記化学添加剤が、(1)から選択されるR1、R2、R3、R4、及びR5(群R1〜R5におけるR)を有し、0.05質量%〜5質量%の範囲であり、
前記組成物が3〜10のpHを有し、
前記研磨材粒子が、20〜60℃の範囲の温度における≧30日の保存期間に亘って≦3.0%の平均粒子サイズMPS(nm)及びD99(nm)の変化を有し、D99(nm)は、99質量%の粒子が入る粒子サイズである、請求項1に記載の化学機械研磨(CMP)組成物。
【請求項5】
ポリオール分子単位(b)が、以下:
【化5】
に示されるように、n=2、かつ、m=1であり、R1〜R9の群におけるRの残りが全て水素原子であり、
前記溶媒が脱イオン(DI)水であり、
前記セリアコートコロイダルシリカ粒子が、≦2.0%の平均粒子サイズMPS(nm)及びD99(nm)の変化を有する、請求項4に記載の化学機械研磨(CMP)組成物。
【請求項6】
前記研磨材粒子が、5nm〜500nmの範囲の平均粒子サイズを有し、0.05質量%〜10質量%の濃度を有し、
前記化学添加剤が、(2)から選択されるR1、R2、R3、R4、及びR5(群R1〜R5におけるR)を有し、0.05質量%〜5質量%の範囲であり、
前記組成物が3〜10のpHを有し、
前記研磨材粒子が、20〜60℃の範囲の温度における≧30日の保存期間に亘って≦3.0%の平均粒子サイズMPS(nm)及びD99(nm)の変化を有し、D99(nm)は、99質量%の粒子が入る粒子サイズである、請求項1に記載の化学機械研磨(CMP)組成物。
【請求項7】
ポリオール分子単位(b)が、以下:
【化6】
に示されるように、n=2、かつ、m=1であり、R1〜R14の群におけるRの残りが全て水素原子であり、
前記溶媒が脱イオン(DI)水であり、
前記セリアコートコロイダルシリカ粒子が、≦2.0%の平均粒子サイズMPS(nm)及びD99(nm)の変化を有する、請求項6に記載の化学機械研磨(CMP)組成物。
【請求項8】
前記組成物が、
セリアコートコロイダルシリカ粒子;
マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される化学添加剤;及び
水
を含む、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項9】
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−イソチアゾリン−3−オン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される活性成分を有する0.0001質量%〜0.05質量%のバイオサイド;
酸性pH条件に関して硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機又は有機酸、及びこれらの混合物からなる群から選択されるか、アルカリ性pH条件に関して水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、有機四級アンモニウム水酸化物化合物、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される0質量%〜1質量%のpH調節剤;及び
これらの組み合わせ
からなる群から選択される1つを含む、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項10】
(a)半導体基材を与えることと;
(b)研磨パッドを与えることと;
(c)
セリアコートコロイダルシリカ、セリアコート高純度コロイダルシリカ、セリアコートアルミナ、セリアコートチタニア、セリアコートジルコニア粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるセリアコート無機酸化物粒子;セリアコートポリスチレン粒子、セリアコートポリウレタン粒子、セリアコートポリアクリレート粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるセリアコート有機ポリマー粒子;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される研磨材粒子;
化学添加剤;
脱イオン(DI)水、蒸留水、及びアルコール有機溶媒からなる群から選択される溶媒;及び
任意選択的に、
バイオサイド;及び
pH調節剤
を含み、
2〜12のpHを有する化学機械研磨(CMP)組成物であって、
前記化学添加剤が、(a)
【化7】
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5(群R1〜R5におけるR)は、
(1)
(i)R1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(b):
【化8】
(式中、m又はnは、1〜5から独立に選択され、R6、R7、R8、及びR9の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される。)
に示される構造を有するポリオール分子単位であり、かつ、
(ii)R1〜R5の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される;及び
(2)
(i)R1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(b):
【化9】
(式中、m又はnは1〜5から独立に選択され、R6、R7、R8、及びR9の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される。)
に示される構造を有するポリオール分子単位であり、
(ii)R1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(c):
【化10】
(式中、OR11、OR12、OR13、及びOR14の群におけるORの1つは、構造(a)中のOに置き換わり、
R10、並びにR10、R11、R12、R13、及びR14の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される。)
に示される六員環ポリオールであり、かつ、
(iii)R1〜R5の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される;
からなる群から選択される。);
に示されるように、その分子構造中に少なくとも4つのヒドロキシル官能基を有する、化学機械研磨(CMP)組成物を与えることと;
(d)前記半導体基材の表面を前記研磨パッド及び前記化学機械研磨組成物と接触させることと;
(e)二酸化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面を研磨することと
を含む、酸化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基材の化学機械研磨(CMP)方法であって、
前記酸化ケイ素膜が、化学気相堆積(CVD)、プラズマ増強CVD(PECVD)、高密度堆積CVD(HDP)、又はスピンオン酸化ケイ素膜、流動性CVD酸化物膜、炭素ドープ酸化物膜、窒素ドープ酸化物膜、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される方法。
【請求項11】
前記化学機械研磨(CMP)組成物が、
5nm〜500nmの範囲の平均粒子サイズを有する0.05質量%〜10質量%の研磨材粒子;
少なくとも6つのヒドロキシル官能基を分子構造中に有する0.01質量%〜20.0質量%の化学添加剤
を含み、
前記研磨材粒子が、20〜60℃の範囲の温度における≧30日の保存期間に亘って≦5.0%の平均粒子サイズMPS(nm)及びD99(nm)の変化を有し、D99(nm)は、99質量%の粒子が入る粒子サイズであり、
前記化学機械研磨(CMP)組成物が3〜10のpHを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記化学添加剤が、(1)から選択されるR1、R2、R3、R4、及びR5(群R1〜R5におけるR)を有し;
前記研磨材粒子が、20〜60℃の範囲の温度における≧30日の保存期間に亘って≦3.0%の平均粒子サイズMPS(nm)及びD99(nm)の変化を有し、D99(nm)は、99質量%の粒子が入る粒子サイズであり、
酸化物トレンチディッシング速度(Å/min)対ブランケット酸化物膜除去速度(Å/min)の比が≦0.1である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記化学添加剤中のポリオール分子単位(b)が、以下:
【化11】
に示されるように、n=2、かつ、m=1であり、R1〜R9の群におけるRの残りが全て水素原子であり、
前記溶媒が脱イオン(DI)水であり、
前記研磨材粒子が、≦2.0%の平均粒子サイズMPS(nm)及びD99(nm)の変化を有し、
酸化物トレンチディッシング速度(Å/min)対ブランケット酸化物膜除去速度(Å/min)の比が≦0.05である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記研磨材粒子が、セリアコートコロイダルシリカ粒子であり、
前記化学添加剤が、(2)から選択されるR1、R2、R3、R4、及びR5(群R1〜R5におけるR)を有し、
前記研磨材粒子が、20〜60℃の範囲の温度における≧30日の保存期間に亘って≦3.0%の平均粒子サイズMPS(nm)及びD99(nm)の変化を有し、D99(nm)は、99質量%の粒子が入る粒子サイズであり、
酸化物トレンチディッシング速度(Å/min)対ブランケットHDP膜除去速度(Å/min)の比が≦0.1である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記化学添加剤中のポリオール分子単位(b)が、以下:
【化12】
に示されるように、n=2、かつ、m=1であり、R1〜R14の群におけるRの残りが全て水素原子であり、
前記溶媒が脱イオン(DI)水であり、
前記研磨材粒子が、≦2.0%の平均粒子サイズMPS(nm)及びD99(nm)の変化を有し、
酸化物トレンチディッシング速度(Å/min)対ブランケット酸化物膜除去速度(Å/min)の比が≦0.05である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物が、
セリアコートコロイダルシリカ粒子;
マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される化学添加剤;及び
水
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物が、
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−イソチアゾリン−3−オン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される活性成分を有する0.0001質量%〜0.05質量%のバイオサイド;
酸性pH条件に関して硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機又は有機酸、及びこれらの混合物からなる群から選択されるか、アルカリ性pH条件に関して水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、有機四級アンモニウム水酸化物化合物、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される0質量%〜1質量%のpH調節剤;及び
これらの組み合わせ
からなる群から選択される1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記半導体基材が、窒化ケイ素表面をさらに含み、酸化ケイ素:窒化ケイ素の除去選択性が20超である、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
a.半導体基材;
b.研磨パッド;並びに
c.
セリアコートコロイダルシリカ、セリアコート高純度コロイダルシリカ、セリアコートアルミナ、セリアコートチタニア、セリアコートジルコニア粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるセリアコート無機酸化物粒子;セリアコートポリスチレン粒子、セリアコートポリウレタン粒子、セリアコートポリアクリレート粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるセリアコート有機ポリマー粒子;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される研磨材粒子;
化学添加剤;
脱イオン(DI)水、蒸留水、及びアルコール有機溶媒からなる群から選択される溶媒;及び
任意選択的に、
バイオサイド;及び
pH調節剤
を含み、
2〜12のpHを有する化学機械研磨(CMP)組成物であって、
前記化学添加剤が、(a)
【化13】
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5(群R1〜R5におけるR)は、
(1)
(i)R1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(b):
【化14】
(式中、m又はnは、1〜5から独立に選択され、R6、R7、R8、及びR9の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される。)
に示される構造を有するポリオール分子単位であり、かつ、
(ii)R1〜R5の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される;及び
(2)
(i)R1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(b):
【化15】
(式中、m又はnは1〜5から独立に選択され、R6、R7、R8、及びR9の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される。)
に示される構造を有するポリオール分子単位であり、
(ii)R1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(c):
【化16】
(式中、OR11、OR12、OR13、及びOR14の群におけるORの1つは、構造(a)中のOに置き換わり、
R10、並びにR10、R11、R12、R13、及びR14の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される。)
に示される六員環ポリオールであり、かつ、
(iii)R1〜R5の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択される;
からなる群から選択される。);
に示されるように、その分子構造中に少なくとも4つのヒドロキシル官能基を有する、化学機械研磨(CMP)組成物
を含む、酸化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基材の化学機械研磨(CMP)装置であって、
前記酸化ケイ素膜が、化学気相堆積(CVD)、プラズマ増強CVD(PECVD)、高密度堆積CVD(HDP)、又はスピンオン酸化ケイ素膜;及び流動性CVD酸化物膜、炭素ドープ酸化物膜、窒素ドープ酸化物膜、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記酸化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面が、前記研磨パッド及び前記化学機械研磨組成物と接触している装置。
【請求項20】
前記化学機械研磨(CMP)組成物が、
5nm〜500nmの範囲の平均粒子サイズを有する0.05質量%〜10質量%の研磨材粒子;
少なくとも6つのヒドロキシル官能基を分子構造中に有する0.01質量%〜20.0質量%の化学添加剤
を含み、
前記研磨材粒子が、20〜60℃の範囲の温度における≧30日の保存期間に亘って≦5.0%の平均粒子サイズMPS(nm)及びD99(nm)の変化を有し、D99(nm)は、99質量%の粒子が入る粒子サイズであり、
前記化学機械研磨(CMP)組成物が3〜10のpHを有する、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記化学添加剤が、(1)から選択されるR1、R2、R3、R4、及びR5(群R1〜R5におけるR)を有し;
前記研磨材粒子が、20〜60℃の範囲の温度における≧30日の保存期間に亘って≦3.0%の平均粒子サイズMPS(nm)及びD99(nm)の変化を有し、D99(nm)は、99質量%の粒子が入る粒子サイズであり、
酸化物トレンチディッシング速度(Å/min)対ブランケット酸化物膜除去速度(Å/min)の比が≦0.1である、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記化学添加剤中のポリオール分子単位(b)が、以下:
【化17】
に示されるように、n=2、かつ、m=1であり、R1〜R9の群におけるRの残りが全て水素原子であり、
前記溶媒が脱イオン(DI)水であり、
前記研磨材粒子が、≦2.0%の平均粒子サイズMPS(nm)及びD99(nm)の変化を有し、
酸化物トレンチディッシング速度(Å/min)対ブランケット酸化物膜除去速度(Å/min)の比が≦0.05である、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記研磨材粒子が、セリアコートコロイダルシリカ粒子であり、
前記化学添加剤が、(2)から選択されるR1、R2、R3、R4、及びR5(群R1〜R5におけるR)を有し、
前記研磨材粒子が、20〜60℃の範囲の温度における≧30日の保存期間に亘って≦3.0%の平均粒子サイズMPS(nm)及びD99(nm)の変化を有し、D99(nm)は、99質量%の粒子が入る粒子サイズであり、
酸化物トレンチディッシング速度(Å/min)対ブランケットHDP膜除去速度(Å/min)の比が≦0.1である、請求項19に記載の装置。
【請求項24】
前記化学添加剤中のポリオール分子単位(b)が、以下:
【化18】
に示されるように、n=2、かつ、m=1であり、R1〜R14の群におけるRの残りが全て水素原子であり、
前記溶媒が脱イオン(DI)水であり、
前記セリアコートコロイダルシリカ粒子が、≦2.0%の平均粒子サイズMPS(nm)及びD99(nm)の変化を有し、
酸化物トレンチディッシング速度(Å/min)対ブランケット酸化物膜除去速度(Å/min)の比が≦0.05である、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記組成物が、
セリアコートコロイダルシリカ粒子;
マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される化学添加剤;及び
水
を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項26】
前記組成物が、
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−イソチアゾリン−3−オン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される活性成分を有する0.0001質量%〜0.05質量%のバイオサイド;
酸性pH条件に関して硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機又は有機酸、及びこれらの混合物からなる群から選択されるか、アルカリ性pH条件に関して水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、有機四級アンモニウム水酸化物化合物、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される0質量%〜1質量%のpH調節剤;及び
これらの組み合わせ
からなる群から選択される1つを含む、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、参照により本開示に全体的に組み込まれる2018年6月29日に出願された米国仮出願第62/692633号及び第62/692639号の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
本発明は、酸化物及びドープ酸化物膜の研磨のための化学機械平坦化(CMP)に関する。
【0003】
マイクロエレクトロニクスデバイスの作製において、関与する重要な工程は、特に、選択された材料を回収し、かつ/または構造を平坦化する目的に関する化学機械研磨に関する表面の研磨である。
【0004】
例えば、SiN層は、SiO
2層の下に堆積されて、研磨ストップとして働く。係る研磨ストップの役割は、シャロートレンチアイソレーション(STI)構造において特に重要である。選択性は、酸化物研磨速度と窒化物研磨速度の比として特徴的に表現される。例は、窒化ケイ素(SiN)と比較される二酸化ケイ素(SiO
2)の増大した研磨選択性速度である。
【0005】
パターン化構造の全体的な平坦化において、酸化物トレンチディッシングの低減は、考慮すべき重要な因子である。より低いトレンチ酸化物損失は、隣接するトランジスタ間の電流漏れを防止する。ダイに亘る(ダイ内の)不均一なトレンチ酸化物損失は、トランジスタ性能及びデバイス歩留まりに影響する。深刻なトレンチ酸化物損失(高い酸化物トレンチディッシング)は、トランジスタの絶縁を悪くし、デバイス障害をもたらす。したがって、CMP研磨組成物において、酸化物トレンチディッシングを低減することにより、トレンチ酸化物損失を低減することが重要である。
【0006】
米国特許第5876490号は、研磨材粒子を含有し、通常の応力効果を示す研磨組成物を開示する。スラリーは、凹み(リセス)における研磨速度の低下をもたらす非研磨粒子をさらに含有し、一方で、研磨材粒子は高台での高い研磨速度を維持する。これは、改善された平坦化をもたらす。より具体的には、スラリーは、酸化セリウム粒子とポリマー電解質とを含み、これをシャロートレンチアイソレーション(STI)研磨応用のために用いることができる。
【0007】
米国特許第6964923号は、シャロートレンチアイソレーション(STI)研磨応用のための酸化セリウム粒子及びポリマー電解質を含有する研磨組成物を教示する。用いられるポリマー電解質としては、米国特許第5876490号と同様に、ポリアクリル酸の塩が挙げられる。セリア、アルミナ、シリカ及びジルコニアが研磨材として用いられる。係る列記されたポリ電解質の分子量は、300〜20000であるが、全体で<100000である。
【0008】
米国特許第6616514号は、化学機械研磨により、窒化ケイ素に優先して、物品の表面から第一の物質を除去するのに用いられる化学機械研磨スラリーを開示する。この発明による化学機械研磨スラリーは、研磨材と、水性媒体と、プロトンが解離しない有機ポリオールとを含み、前記有機ポリオールは、水性媒体中で解離性でない少なくとも3つのヒドロキシル基を有する化合物、又は水性媒体中で解離性でない少なくとも3つのヒドロキシル基を有する少なくとも1種のモノマーから形成されたポリマーを含む。
【0009】
しかし、酸化物トレンチディッシングの低減の重要性は、STI CMP研磨プロセスにおいて言及されていない。
【0010】
化学機械研磨(CMP)プロセスにおいて、二酸化ケイ素の高い除去速度、及び窒化ケイ素に対する二酸化ケイ素の高い選択性に加えて、低減された酸化物トレンチディッシング、及び改善された過研磨ウィンドウ安定性を提供することができる化学機械研磨組成物、方法及び装置に対するこの分野内の必要が依然としてあることは、上記から容易に明らかになるはずである。
【発明の概要】
【0011】
本発明の概要
本発明は、酸化物を研磨するためのCMP応用における化学機械研磨(CMP)組成物、方法及び装置を提供する。
【0012】
本発明は、高い酸化物膜除去速度、低いSiN膜除去速度、及び高く調節可能な酸化物:SiN選択性、研磨後のより低い全欠陥数、良好な平均粒子サイズ(nm)安定性を達成し、重要なことに、酸化物トレンチディッシングを大いに低減し、過研磨ウィンドウ安定性を改善する利益を提供する。
【0013】
1つの側面において、
セリアコート無機酸化物粒子、セリアコート有機ポリマー粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される研磨材粒子;
酸化物トレンチディッシング低減剤としての化学添加剤;
溶媒;及び
任意選択的に、
バイオサイド;及び
pH調節剤
を含み、
2〜12、好ましくは3〜10、より好ましくは4〜9のpHを有する、CMP研磨組成物が提供される。
【0014】
セリアコート無機酸化物粒子としては、以下に制限されるものではないが、セリアコートコロイダルシリカ、セリアコート高純度コロイダルシリカ、セリアコートアルミナ、セリアコートチタニア、セリアコートジルコニア、又は任意の他のセリアコート無機酸化物粒子が挙げられる。
【0015】
セリアコート有機ポリマー粒子としては、以下に制限されるものではないが、セリアコートポリスチレン粒子、セリアコートポリウレタン粒子、セリアコートポリアクリレート粒子、又は任意の他のセリアコート有機ポリマー粒子が挙げられる。
【0016】
好ましい研磨材粒子は、セリアコート無機酸化物粒子である、より好ましい研磨材粒子は、セリアコートシリカ粒子である。
【0017】
溶媒としては、以下に制限されるものではないが、脱イオン(DI)水、蒸留水、及びアルコール有機溶媒が挙げられる。
【0018】
化学添加剤は、分子単位構造中に複数のヒドロキシル官能基を含有する少なくとも1つのポリオール分子単位と結合した少なくとも1つの六員環構造モチーフエーテルを含有するか、分子単位構造中に複数のヒドロキシル官能基を含有する少なくとも1つのポリオール分子単位と、少なくとも1つの六員環ポリオールとを含有する。ポリオールは、ヒドロキシル基を含有する有機化合物である。
【0019】
酸化物トレンチディッシング低減剤としての化学添加剤は、少なくとも2つ、少なくとも4つ、又は少なくとも6つのヒドロキシル官能基をその分子構造中に含有する。
【0020】
化学添加剤の一般分子構造は、(a)に示される。
【化1】
【0021】
1つの実施態様において、一般分子構造におけるR1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(b)に示される構造を有するポリオール分子単位である。
【化2】
式中、n及びmは同じか異なることができ、m又はnは1〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、最も好ましくは1〜2から独立に選択される。R6〜R9は、同じか異なる原子又は官能基であることができ、各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択され、
R1〜R5の群におけるRの残りは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択されることができる。
【0022】
別の実施態様において、一般分子構造におけるR1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(b)に示される構造を有するポリオール分子単位であり、一般分子構造におけるR1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(c)に示される六員環ポリオールである。
【化3】
式中、
OR11、OR12、OR13、及びOR14の群におけるORの1つは、構造(a)中のOに置き換わり、
R10、並びにR10、R11、R12、R13、及びR14の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択され、
R1〜R5の群におけるRの残りは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択されることができる。
【0023】
一般分子構造において、R1〜R9の群におけるRの少なくとも2つ、好ましくは少なくとも4つ、より好ましくは6つは水素原子である。
【0024】
Rの1つだけ、たとえば一般分子構造におけるR1〜R5の群におけるR5だけがn=2、かつ、m=1を有するポリオール分子単位(b)であり、R1〜R9の群におけるRの残り全てが水素原子である場合、以下の2種の化学添加剤が得られる。
【化4】
【0025】
1つのR、たとえばR5がn=2、かつ、m=1を有するポリオール分子単位(b)であり、1つのR、たとえばR2が六員環ポリオールであり、R1〜R14の群におけるRの残り全てが水素原子である場合、以下の化学添加剤が得られる。
【化5】
【0026】
好ましい化学添加剤は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、及び組み合わせを含む。
【0027】
幾つかの実施態様において、CMP研磨組成物は、2つ又はそれより多くの部分にされ、使用の時点で混合されることができる。
【0028】
別の側面において、上記の化学機械研磨(CMP)組成物を用いる、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面(たとえばテトラエチルオルトシリケート、すなわちTEOS)を有する基材の化学機械研磨(CMP)方法が提供される。
【0029】
さらに別の側面において、記載の化学機械研磨(CMP)組成物を用いる、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材の化学機械研磨(CMP)装置が提供される。
【0030】
研磨される酸化物膜は、化学気相堆積(CVD)、プラズマ増強CVD(PECVD)、高密度堆積CVD(HDP)、又はスピンオン酸化物膜であることができる。
【0031】
上記の基材は、窒化ケイ素(SiN)表面をさらに含むことができる。SiO
2:SiNの除去選択性は、10超、好ましくは20超、より好ましくは30超である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、膜RR(A/分)及びTEOS:SiN選択性へのマルチトール又はラクチトールの影響を示す。
【
図2】
図2は、OP時間(秒)に対する酸化物トレンチディッシングへのマルチトール又はラクチトールの影響を示す。
【
図3】
図3は、ディッシング対OP除去量の傾きへのマルチトール又はラクチトールの影響を示す。
【
図4】
図4は、トレンチ損失速度(Å/min)へのマルチトール又はラクチトールの影響を示す。
【
図5】
図5は、膜RR(Å/min)、及び酸化物:SiNの選択性へのpHの影響を示す。
【
図6】
図6は、過研磨(OP)時間(秒)に対する酸化物トレンチディッシングへの種々のpHにおけるラクチトールの影響を示す。
【
図7】
図7は、ディッシング対OP除去量の傾きへの種々のpHにおけるラクチトールの影響を示す。
【
図8】
図8は、トレンチ損失速度(Å/min)への種々のpH条件におけるラクチトールの影響を示す。
【
図9】
図9は、50℃における平均粒子サイズ及びサイズ分布安定性試験の結果を示す。
【
図10】
図10は、50℃における平均粒子サイズ及びサイズ分布安定性試験の結果を示す。
【
図11】
図11は、50℃における平均粒子サイズ及びサイズ分布安定性試験の結果を示す。
【
図12】
図12は、TEOS及びSiN全欠陥数への種々の研磨組成物の影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の詳細な説明
本発明は、酸化物及びドープ酸化物膜のCMP応用研磨のための化学機械研磨(CMP)組成物、方法、及び装置に関する。
【0034】
パターン化構造の全体的な平坦化において、酸化物トレンチディッシングの低減は、考慮すべき重要な因子である。より低いトレンチ酸化物損失は、隣接するトランジスタ間の電流漏れを防止する。ダイに亘る、及び/又はダイ内の不均一なトレンチ酸化物損失は、トランジスタ性能及びデバイス歩留まりに影響する。深刻なトレンチ酸化物損失(高い酸化物トレンチディッシング)は、トランジスタの絶縁を悪くし、デバイス障害をもたらす。したがって、CMP研磨組成物において、酸化物トレンチディッシングを低減することにより、トレンチ酸化物損失を低減することが重要である。
【0035】
CMP組成物は、研磨材と、好適な化学添加剤との独特な組み合わせを含む。
【0036】
本発明は、化学機械研磨(CMP)組成物に酸化物トレンチディッシング低減添加剤として化学添加剤を導入することにより、酸性、中性及びアルカリ性pH条件を含む広いpH範囲における低減された酸化物トレンチディッシング、ひいては改善された過研磨ウィンドウ安定性を提供する。
【0037】
化学機械研磨(CMP)組成物は、高い酸化物膜除去速度、低いSiN膜除去速度、及び高いSiO
2:SiN選択性を提供する。
【0038】
化学機械研磨(CMP)組成物は、最小化された研磨性能変化量で堅固なCMP研磨性能を維持することにおいて非常に重要である、研磨材粒子の良好な平均粒子サイズ及びサイズ分布安定性をさらに提供する。
【0039】
1つの側面において、
セリアコート無機酸化物粒子、セリアコート有機ポリマー粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される研磨材粒子;
酸化物トレンチディッシング及び全欠陥数低減剤としての化学添加剤;
溶媒;及び
任意選択的に、
バイオサイド;及び
pH調節剤
を含み、
2〜12、好ましくは3〜10、より好ましくは4〜9のpHを有する、CMP研磨組成物が提供される。
【0040】
セリアコート無機酸化物粒子としては、以下に制限されるものではないが、セリアコートコロイダルシリカ、セリアコート高純度コロイダルシリカ、セリアコートアルミナ、セリアコートチタニア、セリアコートジルコニア、又は任意の他のセリアコート無機酸化物粒子が挙げられる。
【0041】
セリアコート有機ポリマー粒子としては、以下に制限されるものではないが、セリアコートポリスチレン粒子、セリアコートポリウレタン粒子、セリアコートポリアクリレート粒子、又は任意の他のセリアコート有機ポリマー粒子が挙げられる。
【0042】
本開示で開示される発明において、平均的な平均粒子サイズ、すなわち平均粒子サイズ(MPS)研磨材粒子は、2〜1000nm、5〜500nm、15〜400nm、又は25〜250nmの範囲である。MPSは、粒子の直径を指し、動的光散乱(DLS)法を用いて測定される。
【0043】
研磨材粒子の濃度は、0.01質量%〜20質量%、0.05質量%〜10質量%、又は0.1質量%〜5質量%の範囲である。
【0044】
好ましい研磨材粒子は、セリアコート無機酸化物粒子であり、より好ましい研磨材粒子は、セリアコートシリカ粒子である。
【0045】
溶媒としては、以下に制限されるものではないが、脱イオン(DI)水、蒸留水、及びアルコール有機溶媒が挙げられる。
【0047】
CMPスラリーは、0.0001質量%〜0.05質量%、0.0005質量%〜0.025質量%、又は0.001質量%〜0.01質量%のバイオサイドを含有することができる。
【0048】
バイオサイドとしては、以下に制限されるものではないが、Dupont/Dow Chemical Co.からのKathon
TM、Kathon
TM CG/ICP II、Dupont/Dow Chemical Co.からのBiobanが挙げられる。これらは、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、又は2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの活性成分を有する。
【0049】
CMPスラリーは、pH調節剤を含有することができる。
【0050】
酸性又は塩基性pH調節剤を用いて、最適化されたpH値に研磨組成物を調節することができる。
【0051】
酸性pH調節剤としては、以下に制限されるものではないが、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機又は有機酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0052】
pH調節剤としては、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、有機四級アンモニウム水酸化物化合物、有機アミン、及びよりアルカリ性方向に向けてpHを調節するのに用いることができる他の化学試薬等の塩基性pH調節剤も挙げられる。
【0053】
CMPスラリーは、0質量%〜1質量%、0.01質量%〜0.5質量%、又は0.1質量%〜0.25質量%のpH調節剤を含有する。
【0054】
CMPスラリーは、0.01質量%〜20質量%、0.025質量%〜10質量%、0.05質量%〜5質量%、又は0.1〜3.0質量%の化学添加剤を酸化物トレンチディッシング及び全欠陥数低減剤として含有する。
【0055】
化学添加剤は、分子単位構造中に複数のヒドロキシル官能基を含有する少なくとも1つのポリオール分子単位と結合した少なくとも1つの六員環構造モチーフエーテルを含有するか、分子単位構造中に複数のヒドロキシル官能基を含有する少なくとも1つのポリオール分子単位と、少なくとも1つの六員環ポリオールとを含有する。ポリオールは、ヒドロキシル基を含有する有機化合物である。
【0056】
酸化物トレンチディッシング低減剤としての化学添加剤は、少なくとも2つ、少なくとも4つ、又は少なくとも6つのヒドロキシル官能基をその分子構造中に含有する。
【0057】
化学添加剤の一般分子構造は、(a)に示される。
【化6】
【0058】
1つの実施態様において、一般分子構造におけるR1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(b)に示される構造を有するポリオール分子単位である。
【化7】
式中、n及びmは同じか異なることができ、m又はnは1〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、最も好ましくは1〜2から独立に選択され、R6〜R9は同じか異なる原子又は官能基であることができ、
R1〜R5の群におけるRの残りは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択されることができる。
【0059】
別の実施態様において、一般分子構造におけるR1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(b)に示される構造を有するポリオール分子単位であり、一般分子構造におけるR1〜R5の群における少なくとも1つのRは、(c)に示される六員環ポリオールである。
【化8】
式中、
OR11、OR12、OR13、及びOR14の群におけるORの1つは、構造(a)中のOに置き換わり、
R10、並びにR10、R11、R12、R13、及びR14の群における他のRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択され、
R1〜R5の群におけるRの残りは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立に選択されることができる。
【0060】
一般分子構造において、R1〜R9の群におけるRの少なくとも2つ、好ましくは4つ、より好ましくは6つは水素原子である。
【0061】
Rの1つだけ、たとえば一般分子構造におけるR1〜R5の群におけるR5だけがn=2、かつ、m=1を有するポリオール分子単位(b)であり、R1〜R9の群におけるRの残り全てが水素原子である場合、以下の2種の化学添加剤が得られる。
【化9】
【0062】
1つのR、たとえばR5がn=2、かつ、m=1を有するポリオール分子単位(b)であり、1つのR、たとえばR2が六員環ポリオールであり、R1〜R14の群におけるRの残り全てが水素原子である場合、以下の化学添加剤が得られる。
【化10】
【0063】
好ましい化学添加剤は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、及び組み合わせを含む。
【0064】
幾つかの実施態様において、CMP研磨組成物は、2つ又はそれより多くの部分にされ、使用の時点で混合されることができる。
【0065】
別の側面において、記載の化学機械研磨(CMP)組成物を用いる、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材の化学機械研磨(CMP)方法が提供される。
【0066】
さらに別の側面において、記載の化学機械研磨(CMP)組成物を用いる二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材の化学機械研磨(CMP)装置が提供される。
【0067】
研磨される酸化物膜は、化学気相堆積(CVD)、プラズマ増強CVD(PECVD)、高密度堆積CVD(HDP)、スピンオン酸化物膜、流動性CVD酸化物膜、炭素ドープ酸化物膜、又は窒素ドープ酸化物膜であることができる。
【0068】
上記の基材は、窒化ケイ素表面をさらに含むことができる。SiO
2:SiNの除去選択性は、10超、好ましくは20超、より好ましくは30超である。
【0069】
CMP組成物のディッシング性能は、酸化物トレンチディッシング速度(Å/分)対ブランケットHDP膜除去速度(Å/分)の比により特徴づけることもできる。
【0070】
この比が小さいほど、酸化物トレンチディッシングも低い。≦0.1、0.08、0.06、0.05、0.03又は0.02の比を有するCMP組成物は、良好な酸化物ディッシング性能を与える。
【0071】
CMP研磨組成物において、研磨材粒子安定性を維持して、一貫した所望のCMP研磨性能を確実にすることは非常に重要である。
【0072】
CMP研磨組成物中で化学添加剤を用いる場合、これらの化学添加剤は、組成物中の研磨材粒子の安定性に幾らかの影響を及ぼす可能性がある。
【0073】
例えば、マルチトール、ラクチトール、又はこれらの誘導体を研磨組成物中の酸化物トレンチ低減剤として用いる場合、これらの化学添加剤は、CMP研磨組成物中のセリアコート無機酸化物研磨材の安定性に幾らかの影響を及ぼす可能性がある。
【0074】
典型的には、研磨材粒子安定性は、高温にて、時間に対する平均粒子サイズ(MPS)(nm)、及び粒子サイズ分布パラメータD99(nm)変化を検査することにより試験される。
【0075】
特定のサイズよりも小さいサイズを有する粒子の質量パーセントとして粒子サイズ分布を定量化することができる。例えば、パラメータD99(nm)は、全てのスラリー粒子の99質量%が、D99(nm)以下の粒子直径を有するような粒子サイズ(直径)を表す。すなわち、D99(nm)は、粒子の99質量%が当たるか該当する粒子サイズである。
【0076】
MPS(nm)及びD99(nm)変化が小さいほど、研磨材粒子はより安定であり、したがってCMP研磨組成物もより安定である。
【0077】
粒子サイズ分布を、画像化、動的光散乱、流体力学的流体分別、ディスク遠心分離等の任意の適切な方法により測定することができる。
【0078】
MPS(nm)及びD99(nm)は、本件において両方とも動的光散乱により測定される。
【0079】
研磨材粒子安定性を与えるCMP組成物は、20〜60℃、25〜50℃の範囲の温度における少なくとも30日、40日、50日、60日、70日、又は100日の保存期間に関して≦6.0%、5.0%、3.0%、2.0%、1.0%、0.5%、0.3%、又は0.1%のMPS(nm)及びD99(nm)変化を有する。
【0080】
以下の非制限的な例は、本発明をさらに説明するために提示される。
【0081】
CMP方法論
以下に示される例において、CMP実験は、以下に与えられる手順及び実験条件を用いて実施された。
【0082】
用語
成分
セリアコートシリカ:約20ナノメートル(nm)〜500ナノメートル(nm)の範囲の平均粒子サイズを有する研磨材として用いられる。
【0083】
(種々のサイズの)セリアコートシリカ粒子は、日本のJGC Inc.により供給された。
【0084】
マルチトール、ラクチトール等の化学添加剤、及び他の化学原料は、ミズーリ州、セントルイスのSigma−Aldrichにより供給された。
【0085】
TEOS:テトラエチルオルトシリケート
【0086】
研磨パッド:研磨パッド、すなわちIC1010及び他のパッドは、CMP中に用いられ、Dow Inc.により供給された。
【0087】
パラメータ
一般
Å又はA:オングストローム−長さの単位
【0089】
CMP:化学機械平坦化=化学機械研磨
【0091】
DF:下向き圧力:CMP中に適用される圧力、psi単位
【0096】
PS:研磨ツールのプラテン回転速度、rpm(回転数毎分)
【0098】
Wt%:(列記された成分の)質量パーセント
【0099】
TEOS:SiN選択性:(TEOSの除去速度)/(SiNの除去速度)
【0101】
TEOS又はHDP除去速度:所与の下向き圧力にて測定されたTEOS又はHDP除去速度。CMPツールの下向き圧力は、例において2.0、3.0、又は4.0psiであった。
【0102】
SiN除去速度:所与の下向き圧力にて測定されたSiN除去速度。CMPツールの下向き圧力は、例において3.0psiであった。
【0103】
計測
膜は、Creative Design Engineering,Inc,20565Alves Dr.,Cupertino,CA,95014により製造されたResMap CDE、モデル168を用いて測定された。ResMapツールは、4点プローブシート抵抗ツールである。膜について、5mm端部除外にて49点の直径走査を行った。
【0104】
CMPツール
用いられたCMPツールは、Applied Materials,3050Boweres Avenue,Santa Clara,California,95054により製造された200mmMirra又は300mmReflexionである。DOW,Inc,451Bellevue Rd.,Newark,DE 19713により供給されたIC1000パッドを、ブランケット及びパターンウェハ研究に関してプラテン1上で用いた。
【0105】
IC1010又は他のパッドは、コンディショナー上で7lbsの下向き力にて18分間パッドをコンディショニングすることにより調整された。ツールの設定及びパッド調整を適格とするために、2つのタングステンモニターと2つのTEOSモニターが、Versum Materials Inc.により供給されたVersum(登録商標)STI2305スラリーにより、ベースライン条件で研磨された。
【0106】
ウェハ
研磨実験は、PECVD又はLECVD又はHD TEOSウェハを用いて実施された。これらのブランケットウェハは、Silicon Valley Microelectronics,2985 Kifer Rd.,Santa Clara,CA95051から購入した。
【0107】
研磨実験
ブランケットウェハ研究において、酸化物ブランケットウェハ及びSiNブランケットウェハは、ベースライン条件で研磨された。ツールベースライン条件は、テーブル速度;87rpm、ヘッド速度:93rpm、メンブレン圧:3.0psi、チューブ間圧力:3.1psi、保持リング圧:5.1psi、スラリー流速:200ml/分であった。
【0108】
スラリーは、SWK Associates,Inc.2920Scott Blvd.Santa Clara CA95054により供給されたパターン化ウェハ(MIT860)の研磨に用いられた。これらのウェハは、Veeco VX300プロファイラー/AFM装置で測定された。酸化物ディッシング測定に関して、3つの異なるサイズのピッチ構造が用いられた。ウェハは、中心、中央、及び端部のダイ位置で測定された。
【0109】
CMP研磨組成物から得られたTEOS:SiN選択性:(TEOSの除去速度)/(SiNの除去速度)は調節可能であった。
【0110】
実施例
以下の実施例において、0.2質量%のセリアコートシリカ、0.0001質量%〜0.05質量%の範囲のバイオサイド、及び脱イオン水を含む参照(ref.)研磨組成物が調製された。
【0111】
研磨組成物は、参照(0.2質量%のセリアコートシリカ、0.0001質量%〜0.05質量%の範囲のバイオサイド、及び脱イオン水)、及び0.01質量%〜2.0質量%の範囲の化学添加剤により調製された。
【0112】
異なるpH条件の例で用いられた組成物を除く例における全ての組成物は、5.35のpHを有していた。
【0113】
酸性pH条件及びアルカリ性pH条件のために用いられるpH調節剤は、それぞれ硝酸及び水酸化アンモニウムであった。
【0114】
例1
例1において、研磨組成物は、表1に示されるように調製された。化学添加剤マルチトール又はラクチトールは、それぞれ0.28質量%にて用いられた。
【0115】
異なる膜についての除去速度(RR、Å/min)が試験された。2種の選択された化学添加剤マルチトール及びラクチトールの膜除去速度及び選択性への影響が観察された。
【0116】
試験結果は、表1及び
図1に示された。
【表1】
【0117】
表1及び
図1に示される結果のように、研磨組成物への化学添加剤マルチトール又はラクチトールの添加は、SiN除去速度を大いに抑制し、一方で、依然として高いTEOS及びHDP膜除去速度を与え、したがって酸化物:SiN膜研磨選択性を大いに増加させた。
【0118】
例2
例2において、研磨組成物は、表2に示されるように調製された。化学添加剤マルチトール又はラクチトールは、それぞれ0.28質量%にて用いられた。全てのサンプルは、5.35のpHを有していた。
【0119】
異なる過研磨時間なし又はありでの酸化物トレンチディッシングが試験された。
【0120】
過研磨時間に対する酸化物トレンチディッシングへのマルチトール又はラクチトールの影響が観察された。
【0121】
試験結果は、表2及び
図2に示された。
【0122】
表2及び
図2に示される結果のように、化学添加剤マルチトール又はラクチトールの添加による研磨組成物は、60秒又は120秒の過研磨(OP)時間が適用された場合に、100μmピッチ及び200μmピッチそれぞれで低い酸化物トレンチディッシングを与えた。
【0123】
組成物は、化学添加剤マルチトール又はラクチトールを有さない参照研磨組成物と比較して、大きな酸化物トレンチディッシングの低減を与えた。
【表2】
【0124】
表3に、酸化物トレンチディッシング速度(Å/min)対ブランケットHDP膜除去速度(Å/min)の比を示した。
【表3】
【0125】
表3に示される結果のように、研磨組成物への酸化物トレンチディッシング低減剤としてのマルチトール又はラクチトールの添加は、トレンチディッシング速度対ブランケットHDP膜除去速度の比を大いに低減した。この比が低いほど、酸化物トレンチディッシングも低い。
【0126】
酸化物トレンチディッシング対OP除去量の傾きは、表4及び
図3に示された。
【0127】
表4及び
図3に示された結果は、化学添加剤マルチトール又はラクチトールを含む組成物がより低い傾きを与えたことを示し、このことは、低い酸化物トレンチディッシング、さらに過研磨工程において除去される酸化物膜を維持する良好な過研磨ウィンドウを示した。
【表4】
【0128】
表4及び
図3に示されたように、マルチトール又はラクチトール等の化学添加剤、及びセリアコートシリカを含むCMP研磨組成物は、セリアコートシリカ研磨材に基づく参照サンプルについて得られた傾き値と比較して、はるかに低い傾き値を再び示した。
【0129】
例3
例3において、トレンチ酸化物損失速度は、参照、及びマルチトール又はラクチトールを含む実施例組成物を用いる研磨組成物に関して比較された。
【0130】
試験結果は、表5及び
図4に示された。
【表5】
【0131】
表4に示される結果のように、研磨組成物への酸化物トレンチディッシング低減剤としてのマルチトール又はラクチトールの添加に関し、トレンチ損失速度は、係る化学添加剤を用いない参照サンプルに対して大いに低減された。
【0132】
例4
組成物は、表6に示されるように調製された。参照組成物は、いかなる化学添加剤も用いなかった。実施例組成物は、研磨材としての0.2質量%のセリアコートシリカ、化学添加剤としての0.28質量%のラクチトール、バイオサイド、DI水、及び種々のpH条件を与えるpH調節剤を含んでいた。
【0133】
種々の膜についての除去速度(RR、Å/min)が試験された。膜除去速度及び選択性に対するpH条件の影響が観察された。
【0134】
試験結果は、表6及び
図5に示された。
【0135】
表6及び
図5に示される結果のように、酸化物トレンチディッシング低減剤としてラクチトールを有する実施例組成物は、3つの異なるpH条件(酸性、中性及びアルカリ性)において、類似の高いTEOS及びHDP膜除去速度を与え、同様にSiN膜除去速度を抑制した。高いTEOS:SiN選択性も維持された。
【表6】
【0136】
表6及び
図5に示される結果のように、酸化物トレンチディッシング低減剤としてラクチトールを有する実施例組成物は、3つの異なるpH条件(酸性、中性及びアルカリ性)において、類似の高いTEOS及びHDP膜除去速度を与え、同様にSiN膜除去速度を抑制した。高いTEOS:SiN選択性も維持された。
【0137】
さらに、研磨時間に対し、化学添加剤としてラクチトールを含まない、又は含む組成物を用いて酸化物トレンチディッシングが試験された。
【0138】
過研磨時間に対する酸化物トレンチディッシングへの異なるpH条件におけるラクチトール含有研磨組成物の影響が観察された。
【0139】
試験結果は、表7及び
図6に示された。
【0140】
表7及び
図6に示される結果のように、化学添加剤ラクチトールを含む研磨組成物は、3つの異なる試験されたpH条件において、60秒又は120秒の過研磨時間が適用された際に、100μmピッチ、及び200μmピッチそれぞれで低い酸化物トレンチディッシングを与えた。
【0141】
酸化物トレンチディッシング低減剤としてラクチトールを含む組成物は、化学添加剤ラクチトールを有さない参照研磨組成物と比較して、大きな酸化物トレンチディッシングの低減を与えた。
【表7】
【0142】
異なるpHにおける酸化物トレンチディッシング速度(Å/min)対ブランケットHDP膜RR(Å/min)の比は、表8に示された。
【0143】
表8に示される結果のように、研磨組成物への酸化物トレンチディッシング低減剤としてのラクチトールの添加は、pH5.35において参照サンプルに関して得られる比と比較して、異なるpH条件におけるトレンチディッシング速度対ブランケットHDP膜除去速度の比を大いに低減した。
【表8】
【0144】
酸化物トレンチディッシング対OP除去量の傾きは、表9及び
図7に示された。
【表9】
【0145】
表9及び
図7に示された結果は、化学添加剤ラクチトールを含む組成物が、より小さいトレンチディッシング対過研磨除去量の傾きを与えたことを示し、このことは、3つの試験されたpH条件全てにおいて、低い酸化物トレンチディッシング、さらに過研磨工程において除去される酸化物膜を維持する良好な過研磨ウィンドウを示した。
【0146】
トレンチ酸化物損失速度が、(異なるpH条件において)ラクチトールを用いる研磨組成物と、pH5.35においてラクチトールを用いない参照との間で比較された。
【表10】
【0148】
表10及び
図8に示される結果のように、ラクチトールを用いない参照サンプルと比較して、異なるpH条件において、ラクチトールを含む研磨組成物に関し、トレンチ損失速度は大いに低減された。
【0149】
種々のpH条件において得られた研磨試験結果は、酸性、中性、又はアルカリ性pH条件の広いpH範囲で、開示された化学添加剤を含むCMP研磨組成物を用いることができることを示す。
【0150】
例5
この例において、化学添加剤を有する組成物中のセリアコートシリカ研磨材粒子の安定性は、平均粒子サイズの変化と粒子サイズ分布D99の変化を測定することにより検査された。
【0151】
参照組成物は、0.2質量%のセリアコートシリカ研磨材、及び非常に低濃度のバイオサイドを用いて調製され、pHは5.35に調節された。
【0152】
実施例組成物は、0.2質量%又は他の質量%のセリアコートシリカ研磨材、非常に低濃度のバイオサイド、種々の濃度の酸化物トレンチディッシング低減剤としてのマルチトール又はラクチトールを用いて製造され、pHは5.35に調節された。
【0153】
研磨組成物の研磨材粒子安定性試験は、50℃において少なくとも10日間実施された。
【0154】
研磨材粒子のMPS(nm)及びD99(nm)は、動的光散乱(DLS)法を用いて測定された。
【0155】
安定性試験結果は、表11及び
図9に示された。
【表11】
【0156】
データは、0.2質量%のセリアコートシリカ粒子が、50℃において22日までに8.26×10
-4未満及び0.4%未満の平均粒子サイズ変化を有していたことを示した。
【0157】
0.2質量%のセリアコートシリカ粒子は、0.15質量%のマルチトール、及び0.15質量%のラクチトールをそれぞれ有する組成物中で、50℃において32日目までに0.1%未満及び2.7%未満の平均粒子サイズ変化を有していた。
【0158】
データは、0.2質量%のセリアコートシリカ粒子が、0.15質量%のマルチトール、及び0.15質量%のラクチトールをそれぞれ有する組成物中で、50℃において32日目までに1.8%未満及び1.3%未満のD99変化を有していたことも示した。
【0159】
異なるMPS(120nm)を有する研磨材粒子を用いて、追加の安定性試験が実施され、マルチトールを含む組成物を用いてより長く(62日)実施された。結果は、表12及び
図10に示された。
【表12】
【0160】
データは、0.2質量%のセリアコートシリカ粒子が、50℃において62日目までにそれぞれ8.5×10
-4未満及び0.63%未満のMPS及びD99変化を有していたことも示した。
【0161】
さらに、粒子安定性試験は、より高濃度のセリアコートシリカ研磨材(0.2質量%超)、及び酸化物トレンチディッシング低減剤としてより高濃度のマルチトール(0.15質量%超)を含む研磨組成物について50℃にて実施された。
【0162】
試験結果は、表13及び
図11に示された。
【表13】
【0163】
データは、0.8質量%のセリアコートシリカ粒子が、それぞれ0.6質量%のマルチトールを有する組成物において、50℃において42日目まで、それぞれ0.41%未満及び0.23%未満のMPS及びD99変化を有していたことも示した。
【0164】
1.6質量%のセリアコートシリカ粒子は、それぞれ1.2質量%のマルチトールを有する組成物において、50℃において42日目まで、それぞれ1.2%未満及び1.6%未満のMPS及びD99変化を有していた。
【0165】
2.4質量%のセリアコートシリカ粒子は、それぞれ1.8質量%のマルチトールを有する組成物において、50℃において42日目まで、それぞれ0.33%未満及び0.23%未満のMPS及びD99変化を有していた。
【0166】
表9、10、及び11、並びに
図9、10、及び11に示される結果のように、研磨材としてのセリアコートシリカ粒子と共に、マルチトール又はラクチトールが酸化物トレンチディッシング低減剤としてとして用いられた場合、粒子MPS(nm)及び粒子サイズ分布D99(nm)の変化が、高温試験温度においてさえ、それぞれ1.8%未満及び2.7%未満であったように、研磨組成物は、非常に良好な研磨材粒子サイズ安定性を示した。
【0167】
したがって、研磨材粒子は、開示されたCMP研磨組成物中で安定であった。
【0168】
例6
以下の3種の研磨組成物は、欠陥数試験のために調製された。
【0169】
第一のサンプルは、0.5質量%の焼成セリア研磨材、0.05質量%のポリアクリレート塩、及び低濃度のバイオサイドを用いて製造された。第一のサンプルは、焼成セリア研磨材、及び分散及びトレンチディッシング低減のための化学添加剤としてのポリアクリレート塩で構成された既知の研磨CMP組成物であるため、選ばれた。
【0170】
第二のサンプルは、0.2質量%のセリアコートシリカ研磨材、0.28質量%のマルチトール、及び低濃度のバイオサイドを用いて調製され、第三のサンプルは、0.2質量%のセリアコートシリカ研磨材、0.28質量%のラクチトール、及び低濃度のバイオサイドを用いて調製された。全ての3種の配合物は、5.35のpH値を有する。
【0171】
比較のために用いられる類似の誘電体膜除去速度を得るために、より高濃度の焼成セリア研磨材が、サンプル1中で用いられた。
【0172】
研磨されたTEOS及びSiNウェハ上の全欠陥数は、上記の3種の研磨組成物を用いて比較された。全欠陥数結果は、表14及び
図12に示された。
【表14】
【0173】
表12及び
図12に示される全欠陥数結果のように、研磨材としてセリアコートシリカ粒子、及びトレンチディッシング低減剤としてマルチトール又はラクチトールのいずれかを用いる研磨組成物は、焼成セリア研磨材、及び化学添加剤としてのポリアクリレート塩で構成された既知の研磨組成物を用いて得られた全欠陥数より大いに低い、研磨されたTEOS及びSiNウェハ上での全欠陥数を与えた。
【0174】
したがって、本発明におけるCMP研磨組成物は、研磨中、及び研磨後の低減された全欠陥数を与える。
【0175】
実施例を含む上記に示された本発明の実施態様は、本発明から作り出すことのできる種々の例示的な実施態様である。種々の他の構成のプロセスを用いることができ、プロセスにおいて用いられる材料を、具体的に開示されたもの以外の種々の材料から選択することができることが企図される。
【外国語明細書】