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特開2020-33643ケイ素及び窒素を含有する膜を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-33643(P2020-33643A)
(43)【公開日】2020年3月5日
(54)【発明の名称】ケイ素及び窒素を含有する膜を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20200207BHJP
   C23C 16/50 20060101ALI20200207BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20200207BHJP
   C23C 16/56 20060101ALI20200207BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20200207BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20200207BHJP
【FI】
   C23C16/455
   C23C16/50
   C23C16/42
   C23C16/56
   H01L21/318 B
   H01L21/31 C
   H01L21/318 C
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2019-157068(P2019-157068)
(22)【出願日】2019年8月29日
(31)【優先権主張番号】62/724,205
(32)【優先日】2018年8月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】16/553,091
(32)【優先日】2019年8月27日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100210686
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ハリピン チャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】シンチエン レイ
(72)【発明者】
【氏名】キム ム−ソン
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA06
4K030AA09
4K030AA13
4K030AA16
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA40
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA08
4K030DA09
4K030EA03
4K030FA01
4K030FA10
4K030HA01
4K030JA10
4K030LA02
4K030LA15
5F045AA08
5F045AA15
5F045AA20
5F045AB31
5F045AB33
5F045AB34
5F045AC07
5F045AC11
5F045AC12
5F045AC15
5F045AC16
5F045AC17
5F045AD03
5F045AD04
5F045AD05
5F045AD06
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045AD10
5F045AD11
5F045AD12
5F045AD13
5F045BB07
5F045EE19
5F045HA11
5F045HA16
5F058BA09
5F058BA11
5F058BC08
5F058BC10
5F058BC11
5F058BC12
5F058BF07
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF30
5F058BF37
5F058BH01
5F058BH16
5F058BH17
5F058BJ06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】X線光電子分光で測定した場合に約1原子%以下の炭素含有量、好ましくは化学量論的な窒化ケイ素を堆積、又、X線光電子分光で測定した場合に約1原子%以下の酸素含有量;99%以上の段差被覆性、及び5.0以下の誘電率を有する窒化ケイ素又は炭素ドープ窒化ケイ素を堆積するための化合物、組成物及びそれを使用する方法を提供する。
【解決手段】2つのSi−C−Si結合を有する特定のケイ素前駆体群より選択される少なくとも1つのケイ素前駆体を、約550℃以下の範囲の1つ又は複数の温度、好ましくは300℃以下の1つ又は複数の温度に加熱された反応器に導入し、プラズマALDプロセスで基材上に窒化ケイ素膜を形成する方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマALDプロセスによりケイ素及び窒素を含有する膜を形成する方法であって、
a)表面特徴を含む基材を反応器に提供する工程と、
b)約600℃以下の範囲の1つ又は複数の温度に前記反応器を加熱して、任意選択で、前記反応器を100torr以下の圧力で維持する工程と、
c)1−クロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1−ブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ブロモ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,1,3,3,5,5,5−オクタクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,3,5,5−ヘキサクロロ−1,5−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−3,3−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,5,5−ペンタクロロ−1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,5,5−テトラクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1−ヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラヨード−1,3−ジシラシクロブタン、及び1,3−ジヨード−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタンからなる群より選択される、2つのSi−C−Si結合を有する少なくとも1つのケイ素前駆体を前記反応器に導入して、前記基材にケイ素含有種を形成する工程と、
d)第1の不活性ガスを使用して、工程cからの未反応のケイ素前駆体及び/又は反応副産物を前記反応器からパージする工程と、
e)アンモニア源を含むプラズマを前記反応器に提供して、前記ケイ素含有種と反応させて、窒化ケイ素膜を形成する工程と、
f)第2の不活性ガスを使用して、工程eからの更なる反応副産物を前記反応器からパージする工程と、
g)必要に応じて工程c〜fを繰り返して、前記窒化ケイ素膜を所定の厚さにする工程とを含む、方法。
【請求項2】
前記窒化ケイ素膜が、炭素ドープ窒化ケイ素膜である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記窒化ケイ素膜を400〜1000℃の範囲の温度でのスパイクアニールで処理する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記窒化ケイ素膜の堆積の間又は前記窒化ケイ素膜の堆積の後のいずれかに、前記窒化ケイ素膜をUV光源にさらす工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
水素又は不活性ガス又は窒素を含むプラズマに前記窒化ケイ素膜をさらす工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
周辺温度〜1000℃の範囲の1つ又は複数の温度で前記窒化ケイ素膜を酸素源で処理して、その場又は前記反応器とは異なるチャンバーのいずれかで、前記窒化ケイ素膜を酸窒化ケイ素膜に変換する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記窒化ケイ素膜が炭素ドープ窒化ケイ素膜であり、酸素源で処理する工程が、前記炭素ドープ窒化ケイ素膜を炭素ドープ酸窒化ケイ素膜に変換する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
X線光電子分光で測定した場合に、約5原子%以下の炭素含有量、約5原子%以下の酸素含有量、及び約7以下の誘電率(k)を有する、請求項1に記載の方法で形成された膜。
【請求項9】
X線光電子分光で測定した場合に、約3原子重量%以下の炭素含有量を有する、請求項8に記載の膜。
【請求項10】
X線光電子分光で測定した場合に、約2原子重量%以下の炭素含有量を有する、請求項9に記載の膜。
【請求項11】
X線光電子分光で測定した場合に、約1原子重量%以下の炭素含有量を有する、請求項10に記載の膜。
【請求項12】
300〜1000℃の温度で、前記窒化ケイ素膜に熱アニールを行う工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
300〜1000℃の温度で、前記炭素ドープ窒化ケイ素膜に熱アニールを行う工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
25〜600℃の範囲の温度で、不活性ガスプラズマ又は水素/不活性ガスプラズマ又は窒素プラズマを用いて前記窒化ケイ素膜にプラズマ処理を行う工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
25〜600℃の範囲の温度で、不活性ガスプラズマ又は水素/不活性ガスプラズマ又は窒素プラズマを用いて前記炭素ドープ窒化ケイ素膜にプラズマ処理を行う工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
25〜600℃の範囲の温度で、不活性ガスプラズマ又は水素/不活性ガスプラズマ又は窒素プラズマを用いて前記酸窒化ケイ素膜にプラズマ処理を行う工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
25〜600℃の範囲の温度で、不活性ガスプラズマ又は水素/不活性ガスプラズマ又は窒素プラズマを用いて前記炭素ドープ酸窒化ケイ素膜にプラズマ処理を行う工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
h)窒素源を含むプラズマを前記反応器に提供して、前記ケイ素含有種と反応させて、窒化ケイ素膜を更に形成する工程と、
i)第2の不活性ガスを用いて更なる反応副産物を前記反応器からパージする工程とをさらに含み、
工程c〜fを繰り返す工程g)がまた、工程h及びiを繰り返すことを含み、必要に応じて工程c〜iを繰り返して、前記窒化ケイ素膜を所定の厚さにする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
約7以下の誘電率(k)、約5原子%以下の酸素含有量、約5原子%以下の炭素含有量、及び約2.7g/cm以上の密度を有する、請求項18に記載の膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2018年8月29日出願の米国仮特許出願第62/724,205号の優先権を主張し、その全ての内容は、全ての許容される目的について、その文献を参照することにより本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本発明は、電子デバイスの製作のための組成物及び方法に関する。より具体的には、本発明は、7.0未満の誘電率及び高い耐酸素アッシング性のケイ素含有膜、例えば、限定されないが、化学量論的な窒化ケイ素膜、炭素ドープ窒化ケイ素膜、及び炭素ドープ酸窒化ケイ素膜の堆積のための化合物、組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
窒化ケイ素膜は、様々な用途のために半導体で使用される。例えば、窒化ケイ素膜は、集積回路のための最終的な不働態かつ機械的保護の層、ケイ素の選択的酸化のためのマスク層、DRAMキャパシタ又は3D NANDフラッシュメモリチップにおける積層酸化物−窒化物−酸化物(O−N−O)層の誘電体材料の1つとして、又はシャロートレンチアイソレーション用途におけるCMP停止層として使用される。1つの特定の用途において、3D NANDフラッシュにおけるO−N−O積層体には、リン酸中での高いウェットエッチ速度を持ち、低い応力を持つ窒化ケイ素が要求される。
【0004】
Olsenの「Analysis of LPCVD Process Conditions for the Deposition of Low Stress Silicon Nitride(5 Materials Science in Semiconductor Process 51(2002))」では、低圧化学気相堆積により、低い応力を持つ窒化ケイ素膜の堆積を最適化するために使用されるより広い範囲のプロセス条件が記載されている。その結果として示されたのは、ガス流量を増加することによる2.3超の屈折率の増加によって大きく残留応力が低減されず、堆積速度及び膜不均一性に大きな悪影響を及ぼしたことである。
【0005】
Taylorらの「Hexachlorodisilane as a Precursor in the LPCVD of Silicon Dioxide and Silicon Oxynitride Films(136 J.Electrochem.Soc.2382(1989))」では、Si2Cl6、N2及びNH3の気相混合物を使用したLPCVDにより二酸化ケイ素及び酸窒化ケイ素の膜を成長することが記載されている。二酸化ケイ素及び酸窒化ケイ素の膜は、600〜850℃の温度範囲でHCDS、N2O及びNH3の気相混合物を使用したLPCVDにより成長する。堆積した二酸化ケイ素膜及び酸窒化ケイ素膜は、典型的に1原子パーセント未満である低い塩素含有量を示した。
【0006】
M.Tanakaらの「Film Properties of Low−k Silicon Nitride Films Formed by Hexachlorodisilane and Ammonia(147 J.Electrochem.Soc.2284(2000))」では、低温プロセスについて記載され、ヘキサクロロジシラン(HCD)を使用した低圧化学気相堆積(LPCVD)により形成された窒化ケイ素(SiN)が良好な段差被覆性を持つことが記載されている。
【0007】
特開2000−100812号明細書では、源ガスとしてSiCl4及びNH3を使用して膜を堆積するための方法が記載されている。基材表面は、堆積の前にNH3を使用して窒素化することができる。改善した絶縁体の特性を有する極めて薄い膜が形成される。窒化ケイ素膜は、半導体集積回路のキャパシタ絶縁体膜として有用である。
【0008】
米国特許第6,355,582号明細書では、窒化ケイ素膜を形成するための方法であって、膜形成を受ける基材は加熱され、四塩化ケイ素及びアンモニアガスが所定の温度に加熱された基材に供給される方法が記載されている。
【0009】
米国特許第10,049,882号明細書では、高さの差を有する構造上に誘電体膜を形成する工程を含む、半導体装置を製造する原子層堆積(ALD)法が記載されている。当該方法は、基材上に高さの差を持つ構造を形成する工程と、当該構造上に誘電体層構造を形成する工程とを含む。誘電体層構造を形成する工程は、高さの差を持つ構造上に窒化ケイ素を含む第1の誘電体層を形成することを含む。第1の誘電体層を形成することは、ケイ素前駆体としてペンタクロロジシラン(PCDS)又はジイソプロピルアミンペンタクロロジシラン(DPDC)を含む第1のガスと、窒素成分を含む第2のガスとを基材を含むチャンバーに供給して、第1の誘電体層を、高さの差を有する構造上にその場で形成することを含む。
【0010】
国際公開第2018/063907号では、クロロジシラザン類、それから合成されたケイ素−ヘテロ原子化合物、当該ケイ素−ヘテロ原子化合物を含有する装置、クロロジシラザン、ケイ素−ヘテロ原子化合物、及び装置を製造する方法、並びにクロロジシラザンケイ素−ヘテロ原子化合物、及びデバイスの使用について開示されている。
【0011】
国際公開第2018/057677号では、膜形成で使用するためのケイ素前駆体としてトリクロロジシランを含む組成物が開示されている。当該組成物は、ケイ素前駆体化合物と、不活性ガス、分子状水素、炭素前駆体、窒素前駆体、及び酸素前駆体の少なくとも1つとを含む。この文献はまた、ケイ素前駆体化合物を使用して基材上にケイ素含有膜を形成する方法、並びにそれによって形成されたケイ素含有膜を開示している。
【0012】
米国特許第9,984,868号明細書では、基材上に窒化ケイ素膜を堆積する周期的方法が開示されている。1つの実施形態において、そのような方法は、ケイ素前駆体としてのハロゲンシランを反応器に供給すること、反応器にパージガスを供給すること、及びイオン化した窒素前駆体を反応器に提供して、基材と反応させて、窒化ケイ素膜を形成することを含む。
【0013】
最後に、米国特許出願公開第2009/155606号明細書では、基材上に窒化ケイ素膜を堆積する周期的方法が開示されている。1つの実施形態において、方法は、基材を処理する反応器にクロロシランを供給すること、反応器にパージガスを供給すること、及び反応器にアンモニアプラズマを提供することを含む。当該方法により、窒化ケイ素膜を低いプロセス温度及び高い堆積速度で形成することが可能となる。得られる窒化ケイ素膜は、比較的少ない不純物及び比較的高い品質を有する。また、高いアスペクト比及び薄く均一な厚さを有する特徴部上に良好な段差被覆性を有する窒化ケイ素膜を形成することができる。
【0014】
当技術分野において、電子産業内の幾つかの用途のために、高炭素含有量(例えば、X線光電子分光(XPS)により測定した場合に約10原子%以上の炭素含有量)がドープしたケイ素含有膜を堆積するための組成物及びそれを使用した方法を提供するニーズが存在している。
【0015】
したがって、化学気相堆積(CVD)プロセス又は原子層堆積(ALD)プロセス又はALD型プロセス、例えば、限定されないが、周期的化学気相堆積プロセスを使用して、高品質な窒化ケイ素又は炭素ドープ窒化ケイ素を形成するためのプロセスを開発するニーズが存在している。1つの特定の用途、例えば、3D NANDフラッシュにおけるO−N−O積層体では、リン酸中での高いウェットエッチ速度及び/又は低い応力を示す窒化ケイ素膜、酸窒化ケイ素膜、又は炭酸窒化ケイ素膜が要求される。さらに、CVD、ALD又はALD型プロセスにおいて、1つ又は複数の膜特性、例えば、限定されないが、純度及び/又は密度を改善するために、低温の堆積(例えば、約500℃以下の1つ又は複数の温度での堆積)を開発することが望まれることがある。
【0016】
上述の特許、特許出願及び文献の開示は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
当技術分野において、以下の特性:a)X線光電子分光(XPS)で測定した場合に約5原子%以下、約3原子%以下、約2原子%以下、約1原子%以下の炭素含有量、好ましくは化学量論的な窒化ケイ素;b)X線光電子分光(XPS)で測定した場合に約5原子%以下、約3原子%以下、約2原子%以下、約1原子%以下の酸素含有量;90%以上、95%以上、99%以上の段差被覆性、7.0以下、6.0以下、及び5.0以下の誘電率を有する窒化ケイ素又は炭素ドープ窒化ケイ素を堆積するための組成物及びそれを使用する方法を提供するニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述のニーズは、ある点において、プラズマALDプロセスにより炭素ドープ窒化ケイ素膜を形成するための方法を提供することで満たされる。当該方法によれば、表面特徴を含む基材は反応器に導入される。反応器は、約550℃以下の範囲の1つ又は複数の温度、好ましくは300℃以下の1つ又は複数の温度に加熱される。反応器は、100torr以下の圧力で維持することができる。1−クロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1−ブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ブロモ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,1,3,3,5,5,5−オクタクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,3,5,5−ヘキサクロロ−1,5−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−3,3−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,5,5−ペンタクロロ−1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,5,5−テトラクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1−ヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラヨード−1,3−ジシラシクロブタン、及び1,3−ジヨード−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタンからなる群より選択される2つのSi−C−Si結合を有する少なくとも1つのケイ素前駆体が反応器に導入されて、基材上にケイ素含有種が形成される。
【0019】
反応器は、適切な不活性ガスを用いて任意の未消費の前駆体及び/又は反応副産物がパージされる。窒素を含むプラズマが反応器に導入され、ケイ素含有種と反応して、炭素ドープ窒化ケイ素膜が形成される。
【0020】
次いで、反応器は、再度、適切な不活性ガスを用いて任意の反応副産物がパージされる。1つ又は複数の前駆体を導入する工程、任意選択のパージする工程、プラズマを導入する工程、及び任意選択の再パージする工程は必要に応じて繰り返されて、堆積した炭素ドープ窒化ケイ素膜を所定の厚さにする。
【0021】
上述のニーズ及び他のニーズは、プラズマALDプロセスにより窒化ケイ素膜、炭素ドープ窒化ケイ素膜、又は炭素ドープ酸窒化ケイ素膜を形成するための方法でさらに満たされる。当該方法によれば、表面特徴を含む基材が反応器に導入される。反応器は、約550℃以下の範囲の1つ又は複数の温度、好ましくは300℃以下の1つ又は複数の温度に加熱される。反応器は、100torr以下の圧力で維持することができる。1−クロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1−ブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ブロモ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,1,3,3,5,5,5−オクタクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,3,5,5−ヘキサクロロ−1,5−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−3,3−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,5,5−ペンタクロロ−1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,5,5−テトラクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1−ヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラヨード−1,3−ジシラシクロブタン、及び1,3−ジヨード−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタンからなる群より選択される2つのSi−C−Si結合を有する少なくとも1つのケイ素前駆体が反応器に導入され、基材上にケイ素含有種が形成される。
【0022】
反応器は、適切な不活性ガスを用いて、任意の未消費の前駆体及び/又は反応副産物がパージされる。アンモニア源を含むプラズマが反応器に導入され、ケイ素含有種と反応して、窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜が形成される。
【0023】
次いで、反応器は、再度、適切な不活性ガスを用いて、任意の反応副産物がパージされる。1つ又は複数の前駆体を導入する工程、任意選択のパージする工程、プラズマを導入する工程、及び任意選択の再パージする工程は必要に応じて繰り返されて、窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を所定の厚さにする。
【0024】
任意選択で、次いで、得られる窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜は、約周辺温度〜1000℃、好ましくは約100〜400℃の範囲の1つ又は複数の温度で酸素源にさらされ、窒化ケイ素膜を酸窒化ケイ素膜に変換するか、又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を炭素ドープ酸窒化ケイ素膜に変換する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
説明を通じて、「ALD又はALD型」という用語は、限定されないが、以下のプロセス:a)ケイ素前駆体及び反応性ガスを含む各反応剤を、反応器、例えば、シングルウエハALD反応器、半バッチ式ALD反応器、又はバッチ炉ALD反応器中に連続して導入すること;並びに、b)基材を、各セクションが不活性ガスカーテンより分離されている反応器、すなわち、空間的ALD反応器又はロールツーロールALD反応器の様々なセクションに移動又は回転することで、ケイ素前駆体及び反応性ガスを含む各反応剤を基材にさらすことを含むプロセスを言い表す。
【0026】
説明を通じて、「アンモニアを含む(including/comprising)プラズマ」という用語は、プラズマ生成器によりその場又はリモートで生成される反応性ガス又はガス混合物を言い表す。ガス又はガス混合物は、アンモニア、アンモニアとヘリウムの混合物、アンモニアとネオンの混合物、アンモニアとアルゴンの混合物、アンモニアと窒素の混合物、アンモニアと水素の混合物、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0027】
説明を通じて、「不活性ガスプラズマ」という用語は、プラズマ生成器によりその場又はリモートで生成される反応性不活性ガス又は不活性ガス混合物を言い表す。不活性ガス又は不活性ガス混合物は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0028】
説明を通じて、「アッシング」という用語は、半導体製造プロセスにおいて、酸素源を含むプラズマ、例えば、O2/不活性ガスプラズマ、O2プラズマ、CO2プラズマ、COプラズマ、H2/O2プラズマ、又はそれらの組み合わせを使用して、フォトレジスト又は炭素ハードマスクを除去するプロセスを言い表す。
【0029】
説明を通じて、「耐損傷性」という用語は、酸素アッシングプロセスの後の膜特性を言い表す。良好な又は高い耐損傷性とは、酸素アッシング後の以下の膜特性として定義される:膜誘電率が7未満である;バルク内(膜中の50Å超の深さ)の炭素含有量がアッシング前に5原子%以内である;膜の表面近傍(50Å未満の深さ)とバルク(50Å超の深さ)との間の希HF中のエッチ速度の差により観測して、損傷された膜が50Å未満であることと定義される。
【0030】
説明を通じて、「アルキル炭化水素」という用語は、直鎖又は分枝状C1〜C20炭化水素、環状C6〜C20炭化水素を言い表す。例示の炭化水素としては、限定されないが、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカンが挙げられる。
【0031】
説明を通じて、「芳香族炭化水素」という用語は、C6〜C20芳香族炭化水素を言い表す。例示の芳香族炭化水素としては、限定されないが、トルエン、メシチレンが挙げられる。
【0032】
説明を通じて、「不活性ガス」という用語は、非反応性ガスを言い表す。例示の不活性ガスとしては、限定されないが、ヘリウム、アルゴン、ネオン、窒素及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
説明を通じて、本明細書で使用される場合、「段差被覆性」という用語は、ビア若しくはトレンチのいずれか又は両方を有する構造化した又は特徴化した基材における、堆積した膜の2つの厚さの割合として規定され、底部段差被覆性は、特徴部の底部の厚さを特徴部の頂部の厚さで割った比(%)であり、中央部段差被覆性は、特徴部の側壁上の厚さを特徴部の頂部の厚さで割った比(%)である。本明細書で説明する方法を使用して堆積した膜は、その膜がコンフォーマルであることを示す約80%以上又は約90%以上の段差被覆性を示す。
【0034】
説明を通じて、本明細書で使用される場合、「窒素/窒素源を含む(including/comprising)プラズマ」という用語は、プラズマ生成器によりその場又はリモートで生成される反応性ガス又はガス混合物を言い表す。ガス又はガス混合物は、窒素、窒素とヘリウムの混合物、窒素とネオンの混合物、窒素とアルゴンの混合物、アンモニアと窒素の混合物、窒素と水素の混合物、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0035】
本明細書で説明されるのは、以下の特性:a)X線光電子分光(XPS)で測定した場合に約5原子%以下、約3原子%以下、約2原子%以下、約1原子%以下の炭素含有量、好ましくは化学量論的な窒化ケイ素;b)X線光電子分光(XPS)で測定した場合に約5原子%以下、約3原子%以下、約2原子%以下、約1原子%以下の酸素含有量;90%以上、95%以上、99%以上の段差被覆性を有する窒化ケイ素又は炭素ドープ窒化ケイ素を堆積するためのケイ素前駆体組成物、及びそのような組成物を含む方法である。
【0036】
1つの態様において、ケイ素含有膜を堆積するための組成物は、(a)1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロ−1,3−ジシラプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロ−2−メチル−1,3−ジシラプロパン、1,1,3,3,3−ヘキサクロロ−2,2−ジメチル−1,3−ジシラプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロ−2−エチル−1,3−ジシラプロパン、1−クロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1−ブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ブロモ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,1,3,3,5,5,5−オクタクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,3,5,5−ヘキサクロロ−1,5−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−3,3−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,5,5−ペンタクロロ−1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,5,5−テトラクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1−ヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラヨード−1,3−ジシラシクロブタン、及び1,3−ジヨード−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタンからなる群より選択される、1つのSi−C−Si結合又は2つのSi−C−Si結合を有する少なくとも1つのケイ素前駆体化合物と、(b)少なくとも1つの溶媒とを含む。
【表1】
【表2-1】
【表2-2】
本明細書で説明される組成物の幾つかの実施形態において、例示の溶媒としては、限定されないが、エーテル、3級アミン、アルキル炭化水素、芳香族炭化水素、3級アミノエーテル、シロキサン、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。幾つかの実施形態において、1つのSi−C−Si結合又は2つのSi−C−Si結合を有する化合物の沸点と溶媒の沸点との差は40℃以下である。溶媒中のケイ素前駆体化合物の重量パーセント(wt%)は、1〜99wt%、又は10〜90wt%、又は20〜80wt%、又は30〜70wt%、又は40〜60wt%、又は50〜50wt%で変えることができる。幾つかの実施形態において、組成物は、従来の直接液体注入設備及び方法を使用して、ケイ素含有膜のための反応チャンバーに直接液体注入により輸送することができる。
【0037】
本明細書で説明される方法の1つの実施形態において、5原子%以下の炭素含有量を有する窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜がプラズマALDプロセスを使用して堆積される。この実施形態において、方法は、
a.表面特徴を含む1つ又は複数の基材を反応器に設置する工程と、
b.周辺温度〜約600℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱し、任意選択で、反応器を100torr以下の圧力で維持する工程と、
c.1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロ−1,3−ジシラプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロ−2−メチル−1,3−ジシラプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロ−2,2−ジメチル−1,3−ジシラプロパン、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロ−2−エチル−1,3−ジシラプロパンからなる群より選択される1つのSi−C−Si結合を有する少なくとも1つのケイ素前駆体を反応器に導入する工程と、
d.不活性ガスを用いてパージして、それにより、任意の未反応のケイ素前駆体を除去し、パージガス及びケイ素前駆体を含む組成物を形成する工程と、
e.アンモニア源を含むプラズマを反応器に提供して、表面と反応させて、窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を形成する工程と、
f.不活性ガスを用いてパージして、任意の反応副産物を除去する工程と、
g.工程c〜fを繰り返して、所望の厚さの窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を得る工程と、
h.任意選択で、400〜1000℃の温度での熱アニール若しくはスパイクアニール又はUV光源で窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を後堆積処理する工程であって、UV露光工程が膜堆積中、又は堆積が完了した後のいずれかに行うことができる工程と、
i.任意選択で、水素又は不活性ガス又は窒素を含むプラズマに窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜をさらす後堆積処理を行い、膜の物理特性の少なくとも1つを改善する工程とを含む。
【0038】
本明細書で説明される方法の別の実施形態において、5原子%以下の炭素含有量を有する窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜がプラズマALDプロセスを使用して堆積される。この実施形態において、方法は、
a.表面特徴を含む1つ又は複数の基材を反応器に設置する工程と、
b.周辺温度〜約600℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱し、任意選択で、反応器を100torr以下の圧力で維持する工程と、
c.1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロ−1,3−ジシラプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロ−2−メチル−1,3−ジシラプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロ−2,2−ジメチル−1,3−ジシラプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロ−2−エチル−1,3−ジシラプロパン、1−クロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1−ブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ブロモ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,1,3,3,5,5,5−オクタクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,3,5,5−ヘキサクロロ−1,5−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−3,3−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,5,5−ペンタクロロ−1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,5,5−テトラクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1−ヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラヨード−1,3−ジシラシクロブタン、及び1,3−ジヨード−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタンからなる群より選択される1つのSi−C−Si結合又は2つのSi−C−Si結合を有する少なくとも1つのケイ素前駆体を反応器に導入する工程と、
d.不活性ガスを用いてパージして、それにより、任意の未反応のケイ素前駆体を除去し、パージガス及びケイ素前駆体を含む組成物を形成する工程と、
e.アンモニア源を含むプラズマを反応器に提供して、表面と反応させて、窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を形成する工程と、
f.不活性ガスを用いてパージして、任意の反応副産物を除去する工程と、
g.工程c〜fを繰り返して、所望の厚さの窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を得る工程とを含む。
【0039】
本明細書で説明される方法の1つの実施形態において、5原子%以下の炭素含有量を有する窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜がプラズマALDプロセスを使用して堆積される。この実施形態において、方法は、
a.表面特徴を含む1つ又は複数の基材を反応器に(例えば従来のALD反応器に)設置する工程と、
b.周辺温度〜約600℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱し、任意選択で、反応器を100torr以下の圧力で維持する工程と、
c.1−クロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1−ブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ブロモ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,1,3,3,5,5,5−オクタクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,3,5,5−ヘキサクロロ−1,5−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−3,3−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,5,5−ペンタクロロ−1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,5,5−テトラクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1−ヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラヨード−1,3−ジシラシクロブタン、及び1,3−ジヨード−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタンからなる群より選択される2つのSi−C−Si結合を有する少なくとも1つのケイ素前駆体を反応器に導入する工程と、
d.不活性ガスを用いてパージする工程と、
e.アンモニア源を含むプラズマを反応器に提供して、表面と反応させて、窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を形成する工程と、
f.不活性ガスを用いてパージして、反応副産物を除去する工程と、
g.工程c〜fを繰り返して、所望の厚さの窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を得る工程と、
h.任意選択で、400〜1000℃の温度でのスパイクアニール又はUV光源で窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を後堆積処理する工程であって、UV露光工程が膜堆積中、又は堆積が完了した後のいずれかに行うことができる工程と、
i.任意選択で、水素又は不活性ガス又は窒素を含むプラズマに窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜をさらす後堆積処理を行い、膜の物理特性の少なくとも1つを改善する工程とを含む。
【0040】
本明細書で説明される方法の1つの実施形態において、5原子%以下の炭素含有量を有する炭素ドープ酸窒化ケイ素膜がプラズマALDプロセスを使用して堆積される。この実施形態において、方法は、
a.表面特徴を含む1つ又は複数の基材を反応器に(例えば従来のALD反応器に)設置する工程と、
b.周辺温度〜約600℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱し、任意選択で、反応器を100torr以下の圧力で維持する工程と、
c.1−クロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1−ブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ブロモ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,1,3,3,5,5,5−オクタクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,3,5,5−ヘキサクロロ−1,5−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−3,3−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,5,5−ペンタクロロ−1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,5,5−テトラクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1−ヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラヨード−1,3−ジシラシクロブタン、及び1,3−ジヨード−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタンからなる群より選択される2つのSi−C−Si結合を有する少なくとも1つのケイ素前駆体を反応器に導入する工程と、
d.不活性ガスを用いてパージする工程と、
e.アンモニア源を含むプラズマを反応器に提供して、表面と反応させて、窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を形成する工程と、
f.不活性ガスを用いてパージして、反応副産物を除去する工程と、
g.工程c〜fを繰り返して、所望の厚さの窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を得る工程と、
h.約周辺温度〜1000℃又は約100〜400℃の範囲の1つ又は複数の温度で窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を後堆積処理して、その場で又は別のチャンバーで窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を酸窒化ケイ素膜又は炭素ドープ酸窒化ケイ素膜に変換する工程とを含む。
【0041】
本明細書で説明される方法のまた別の実施形態において、5原子%以下の炭素含有量を有する窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜がプラズマALDプロセスを使用して堆積される。この実施形態において、方法は、
a.表面特徴を含む1つ又は複数の基材を反応器に設置する工程と、
b.周辺温度〜約600℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱し、任意選択で、反応器を100torr以下の圧力で維持する工程と、
c.1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロ−1,3−ジシラプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロ−2−メチル−1,3−ジシラプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロ−2,2−ジメチル−1,3−ジシラプロパン、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロ−2−エチル−1,3−ジシラプロパンからなる群より選択される1つのSi−C−Si結合を有する少なくとも1つのケイ素前駆体を反応器に導入する工程と、
d.不活性ガスを用いてパージして、それにより、任意の未反応のケイ素前駆体を除去し、パージガス及びケイ素前駆体を含む組成物を形成する工程と、
e.アンモニア源を含む第1のプラズマを反応器に提供して、表面と反応させて、窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を形成する工程と、
f.不活性ガスを用いてパージして、任意の反応副産物を除去する工程と、
g.窒素源を含む第2のプラズマを反応器に提供して、表面と反応させて、窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を形成する工程と、
h.不活性ガスを用いてパージして、任意の反応副産物を除去する工程と、
i.工程c〜hを繰り返して、所望の厚さの窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を得る工程とを含む。
【0042】
本明細書で説明される方法のまた別の実施形態において、5原子%以下の炭素含有量を有する窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜がプラズマALDプロセスを使用して堆積される。この実施形態において、方法は、
a.表面特徴を含む1つ又は複数の基材を反応器に設置する工程と、
b.周辺温度〜約600℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱し、任意選択で、反応器を100torr以下の圧力で維持する工程と、
c.1−クロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1−ブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ブロモ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,1,3,3,5,5,5−オクタクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,3,5,5−ヘキサクロロ−1,5−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−3,3−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,5,5−ペンタクロロ−1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,5,5−テトラクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1−ヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラヨード−1,3−ジシラシクロブタン、及び1,3−ジヨード−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタンからなる群より選択される2つのSi−C−Si結合を有する少なくとも1つのケイ素前駆体を反応器に導入する工程と、
d.不活性ガスを用いてパージして、それにより、任意の未反応のケイ素前駆体を除去し、パージガス及びケイ素前駆体を含む組成物を形成する工程と、
e.窒素源を含む第1のプラズマを反応器に提供して、表面と反応させて、窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を形成する工程と、
f.不活性ガスを用いてパージして、任意の反応副産物を除去する工程と、
g.アンモニア源を含む第2のプラズマを反応器に提供して、表面と反応させて、窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を形成する工程と、
h.不活性ガスを用いてパージして、任意の反応副産物を除去する工程と、
i.工程c〜hを繰り返して、所望の厚さの窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜を得る工程とを含む。
【0043】
1つの実施形態において、基材は少なくとも1つの特徴を含み、当該特徴は、1:9以上のアスペクト比、180nm以下の開口を持つパターントレンチを含む。
【0044】
幾つかの実施形態において、導入工程での反応器の温度は、約室温(例えば20℃)〜約600℃の範囲の1つ又は複数の温度である。基材温度についての代替的な範囲は、以下の端点:20、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、及び500℃のうち1つ又は複数を有する。例示の温度範囲としては、以下:20〜300℃、100〜300℃、又は100〜350℃が挙げられる。
【0045】
また別の実施形態において、ケイ素含有膜を堆積するためのベッセルは、本明細書で説明される1つ又は複数のケイ素前駆体化合物を含む。1つの特定の実施形態において、当該ベッセルは、少なくとも1つの加圧可能なベッセル(好ましくは、米国特許第7334595号、同第6077356号、同第5069244号、及び同第5465766号に開示されるような設計を有するステンレス鋼のもの;これらの開示は参照することにより本明細書に組み込まれる)である。容器は、ガラス(ホウケイ酸ガラス又はクオーツガラス)又は316、316L、304若しくは304Lのステンレス鋼合金(UNS表示S31600、S31603、S30400、S30403)のいずれかを含むことができ、CVD又はALDプロセスのための反応器に1つ又は複数の前駆体の輸送を可能とする適切なバルブ及び継手を備える。この又は他の実施形態において、ケイ素前駆体は、ステンレス鋼で構成される加圧可能なベッセルに提供され、前駆体の純度は、98wt%以上又は99.5wt%以上であり、これらは半導体用途に適切である。ケイ素前駆体化合物は、好ましくは、金属イオン、例えば、Al3+、Fe2+、Fe3+、Ni2+、Cr3+イオンを実質的に含まない。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、それがAl3+、Fe2+、Fe3+、Ni2+、Cr3+に関する場合は、約5ppm(重量)未満、好ましくは約3ppm未満、より好ましくは約1ppm未満、最も好ましくは約0.1ppm未満であること、それがAl、Fe、Ni、Crに関する場合は、ICP−MSにより測定した場合に約5ppm(重量)未満、好ましくは約3ppm未満、より好ましくは約1ppm未満、最も好ましくは約0.1ppm未満であることを意味する。幾つかの実施形態において、そのようなベッセルはまた、望まれる場合は、当該前駆体を1つ又は複数の追加の前駆体と混合するための手段を有することができる。これら又は他の実施形態において、1つ又は複数のベッセルの内容物を追加の前駆体と事前混合することができる。代替的に、ケイ素前駆体及び/又は他の前駆体は、別々のベッセルにおいて、又は、保管中にケイ素前駆体及び他の前駆体を別々に維持するための分離手段を有する単一のベッセルにおいて維持することができる。
【0046】
ケイ素含有膜は、半導体基材のような基材の少なくとも表面上に堆積される。本明細書で説明される方法では、基材は、当技術分野で周知の様々な材料で構成されることができ、及び/又は当該材料でコーティングされることができ、当該材料としては、ケイ素の膜、例えば、結晶性ケイ素又は非晶性ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、非晶性炭素、酸炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、ゲルマニウム、ゲルマニウムドープケイ素、ホウ素ドープケイ素、金属(例えば、銅、タングステン、アルミニウム、コバルト、ニッケル、タンタル)、金属窒化物、例えば、窒化チタン、窒化タンタル、金属酸化物、III/V族金属又はメタロイド、例えば、GaAs、InP、GaP及びGaN、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。これらのコーティングは、半導体基材を完全にコーティングしていてもよく、多層の様々な材料中に存在してもよく、材料の下地層を露出するために部分的にエッチングされていてもよい。表面はまた、当該表面上に、基材を部分的にコーティングするために現像され、パターンを含んで露出されたフォトレジスト材料を有することができる。幾つかの実施形態において、半導体基材は、ポア、ビア、トレンチ及びそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの表面特徴を含む。ケイ素含有膜の適用可能性としては、限定されないが、FinFET又はナノシートのための低kスペーサ、自己整合パターニングプロセス(例えば、SADP、SAQP、又はSAOP)のための犠牲ハードマスクが挙げられる。
【0047】
ケイ素含有膜又はコーティングを形成するために使用される堆積方法は堆積プロセスである。本明細書で説明される方法に適切な堆積プロセスの例としては、限定されないが、化学気相堆積プロセス又は原子層堆積プロセスが挙げられる。本明細書で使用される場合、「化学気相堆積プロセス」という用語は、基材を、基材表面上で反応及び/又は分解する1つ又は複数の揮発性前駆体にさらして、所望の堆積物を製造する任意のプロセスを言い表す。本明細書で使用される場合、「原子層堆積プロセス」という用語は、様々な組成の基材上に材料の膜を堆積する自己限定的な(例えば、各反応サイクルで堆積される膜材料の量が一定な)連続表面化学を言い表す。本明細書で使用される前駆体、反応剤及び源は「ガス状」として説明されることがあるが、前駆体が、不活性ガスを含むか又は含まずに、直接気化、バブリング又は昇華により反応器に輸送される液体又は固体のいずれかであることができることが理解される。ある場合において、気化した前駆体はプラズマ生成器を通過することができる。
【0048】
1つの実施形態において、ケイ素含有膜は、ALDプロセスを使用して堆積される。別の実施形態において、ケイ素含有膜は周期的CVD(CCVD)プロセスを使用して堆積される。更なる実施形態において、ケイ素含有膜は熱ALDプロセスを使用して堆積される。本明細書で使用される場合、「反応器」という用語は、限定されないが、反応チャンバー又は堆積チャンバーを含む。
【0049】
幾つかの実施形態において、本明細書で説明される方法は、反応器に導入する前に又は導入中に1つ又は複数の前駆体を分離する周期的CVD法又はALD法を使用することで、1つ又は複数の前駆体の事前反応を防止する。これに関連して、ALDプロセス又はCCVDプロセスのような堆積技術は、ケイ素含有膜を堆積するために使用される。1つの実施形態において、1つ又は複数のケイ素含有前駆体、酸素源、窒素含有源、又は他の前駆体若しくは反応剤に交互に基材表面をさらすことで、典型的なシングルウエハALD反応器、半バッチ式ALD反応器、又はバッチ炉ALD反応器において、ALDプロセスにより膜が堆積される。膜成長は、堆積温度、各前駆体又は反応剤のパルス長、及び表面反応の自己限定的な制御により進行する。しかしながら、基材の表面が飽和した後、膜成長が停止する。別の実施形態において、ケイ素前駆体及び反応性ガスを含む各反応剤は、各セクションが不活性ガスカーテンより分離されている反応器、すなわち、空間的ALD反応器又はロールツーロールALD反応器の様々なセクションに移動又は回転することで、基材にさらされる。
【0050】
堆積方法に応じて、幾つかの実施形態において、本明細書で説明されるケイ素前駆体及び任意選択の他のケイ素含有前駆体は、所定のモル容量、又は約0.1〜約1000マイクロモルで反応器に導入することができる。この又は他の実施形態において、前駆体は所定の時間で反応器に導入することができる。幾つかの実施形態において、時間は、約0.001〜約500秒間の範囲である。
【0051】
幾つかの実施形態において、本明細書で説明される方法を使用して堆積される窒化ケイ素膜又は炭素ドープ窒化ケイ素膜は、酸素源、酸素を含む反応剤又は前駆体、すなわち、水蒸気で処理され、炭素ドープ酸窒化物に変換される。酸素源は少なくとも1つの酸素源の形態で反応器に導入されることがあり、及び/又は、堆積プロセスで使用される他の前駆体中に偶然に存在することがある。適切な酸素源ガスとしては、例えば、空気、水(H2O)(例えば、脱イオン水、精製水、蒸留水、水蒸気、水蒸気プラズマ、過酸化水素、含酸素水、空気、水と他の有機液体を含む組成物)、酸素(O2)、酸素プラズマ、オゾン(O3)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化炭素(CO)、過酸化水素(H22)、水を含むプラズマ、水及びアルゴンを含むプラズマ、過酸化水素、水素を含む組成物、水素及び酸素を含む組成物、二酸化炭素(CO2)、空気、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。幾つかの実施形態において、酸素源は、約1〜約10000標準立法センチメートル(sccm)又は約1〜約1000sccmの範囲の流量で反応器に導入される酸素源ガスを含む。酸素源は、約0.1〜約100秒間の範囲の時間で導入することができる。触媒はルイス塩基、例えば、ピリジン、ピペラジン、トリメチルアミン、tert−ブチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、エチレンジアミン、アンモニア、又は他の有機アミンから選択される。
【0052】
ALDプロセス又は周期的CVDプロセスにより膜が堆積される実施形態において、前駆体パルスは、0.01秒間超のパルス幅を有することができ、酸素源は0.01秒間未満のパルス幅を有することができ、水パルス幅は0.01秒間未満のパルス幅を有することができる。
【0053】
幾つかの実施形態において、酸素源は反応器に連続的に流れ、前駆体パルス及びプラズマが順番に導入される。前駆体パルスは、0.01秒間超のパルス幅を有することができ、パルス幅は0.01〜100秒間の範囲であることができる。
【0054】
幾つかの実施形態において、ケイ素含有膜はケイ素及び窒素を含む。これらの実施形態において、本明細書で説明される方法を使用して堆積されたケイ素含有膜は、窒素含有源の存在下で形成される。窒素含有源は、少なくとも1つの窒素源の形態で反応器に導入されてもよく、及び/又は、堆積プロセスで使用される他の前駆体中に偶然存在していてもよい。
【0055】
適切なアンモニア含有ガスとしては、例えば、アンモニア、アンモニアと不活性ガスの混合物、アンモニアと窒素の混合物、アンモニアと水素の混合物、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0056】
幾つかの実施形態において、窒素源は、約1〜約10000標準立法センチメートル(sccm)又は約1〜約1000sccmの範囲の流量で反応器に導入される。窒素含有源は、約0.1〜約100秒間の範囲の時間で導入することができる。膜が窒素源及び酸素源の両方を使用するALDプロセス又は周期的CVDプロセスで堆積される実施形態において、前駆体パルスは、0.01秒間超のパルス幅を有することができ、窒素源は、0.01秒間未満のパルス幅を有することができ、水のパルス幅は0.01秒間未満のパルス幅を有することができる。また別の実施形態において、パルス間のパージ時間は、0秒間程度低くすることができるか、又は間のパージなく連続的にパルス化される。
【0057】
本明細書で説明される堆積方法は、パージガスを使用して反応器から不要又は未反応の材料をパージする1つ又は複数の工程を含む。未消費の反応剤及び/又は反応副産物をパージするのに使用されるパージガスは、前駆体と反応しない不活性ガスである。例示のパージガスとしては、限定されないが、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、水素(H2)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態において、Arのようなパージガスは、約0.1〜約1000秒間で約10〜約10000sccmの範囲の流量で反応器に供給され、それにより、反応器に残ることがある未反応材料及び任意の副産物をパージする。
【0058】
前駆体、酸素源、アンモニア含有源、及び/又は他の前駆体、源ガス、及び/又は反応剤を供給する各々の工程は、得られる膜の化学量論的な組成を変えるためにそれらを供給するための時間を変えることで行うことができる。
【0059】
前駆体、アンモニア含有源、水素プラズマのような還元剤、他の前駆体又はそれらの組み合わせの少なくとも1つにエネルギーを適用して反応を誘発し、基材上に膜又はコーティングを形成する。そのようなエネルギーは、限定されないが、熱、プラズマ、パルスプラズマ、ヘリコンプラズマ、高密度プラズマ、誘導結合プラズマ、X線、電子ビーム、光子、リモートプラズマ法、及びそれらの組み合わせにより供給することができる。
【0060】
幾つかの実施形態において、二次RF周波数源は、基材表面でのプラズマ特性を改質するために使用することができる。堆積にプラズマを用いる実施形態において、プラズマ生成プロセスは、プラズマが反応器内で直接生成される直接プラズマ生成プロセス、又は代替的に、プラズマが反応器の外部で生成され反応器に供給されるリモートプラズマ生成プロセスを含むことができる。
【0061】
ケイ素前駆体及び/又は他のケイ素含有前駆体は、様々な方法で、CVD反応器又はALD反応器のような反応チャンバーに輸送することができる。1つの実施形態において、液体輸送システムを利用することができる。代替的な実施形態において、複合液体輸送及びフラッシュ気化プロセスユニット、例えば、Shoreview,MNのMSP Corporation製のターボ気化装置を用いることができ、低揮発性材料を容量輸送することが可能となり、それにより、前駆体の熱分解なく再現可能な輸送及び堆積がもたらされる。液体輸送配合物中において、本明細書で説明される前駆体は原液形態で輸送することができるか、又は代替的に、溶媒の配合物又はそれを含む組成物の中で用いることができる。したがって、幾つかの実施形態において、基材上に膜を形成するための所望の最終使用用途において望ましくかつ有利であることができるように、前駆体配合物は、適切な性質の1つ又は複数の溶媒成分を含むことができる。
【0062】
この又は他の実施形態において、本明細書で説明される方法の工程は、様々な順序で行うことができ、連続して又は同時に(例えば、別の工程の少なくとも一部の間に)行うことができ、それらの組み合わせであることができる。前駆体及び窒素含有源ガスを供給する各々の工程は、得られるケイ素含有膜の化学量論的組成を変えるためにそれらを供給するための時間を変えることで行うことができる。
【0063】
本明細書で説明される方法のまた更なる実施形態において、膜又は堆積した膜は処理工程を受ける。処理工程は、堆積工程の少なくとも一部の間に、堆積工程の後に、又はそれらの組み合わせに行うことができる。例示の処理工程としては、限定されないが、膜の1つ又は複数の特性に影響を及ぼすための高温熱アニールを通じた処理、プラズマ処理、紫外(UV)光処理、レーザー、電子ビーム処理及びそれらの組み合わせが挙げられる。本明細書で説明される1つ又は2つのSi−C−Si結合を有するケイ素前駆体を用いて堆積される膜は、同一の条件下で既に開示されたケイ素前駆体を用いて堆積した膜と比べた場合に、改善した特性、例えば、限定されないが、処理工程の前の膜のウェットエッチ速度より低いウェットエッチ速度、又は処理工程の前の密度より高い密度を有する。1つの特定の実施形態において、堆積プロセス中に、堆積した膜は間欠的に処理される。これらの間欠的又は堆積中処理は、各ALDサイクルの後、複数回のALDの後、例えば、限定されないが、1回(1)のALDサイクルごと、2回(2)のALDサイクルごと、5回(5)ALDサイクルごと、又は10回(10)以上のALDサイクルごとに行うことができる。
【0064】
高温アニール工程で膜が処理される実施形態において、アニール温度は、100℃以上又は堆積温度より高い。この又は他の実施形態において、アニール温度は、約400〜約1000℃の範囲である。この又は他の実施形態において、真空(<760torr)、不活性環境、又は酸素含有環境(例えばオゾン、H2O、H22、N2O、NO2又はO2)でアニール処理を行うことができる。
【0065】
膜がUV処理で処理される実施形態において、膜は、広帯域UV、又は代替的に、約150ナノメートル(nm)〜約400nmの範囲の波長を有するUV源にさらされる。1つの特定の実施形態において、堆積される膜は、所望の膜厚に達した後、堆積チャンバーとは異なるチャンバーでUVにさらされる。
【0066】
膜がプラズマで処理される実施形態において、炭素ドープ酸化ケイ素のような不働態層は、次のプラズマ処理において塩素及び窒素不純物が膜に侵入するのを防ぐために堆積される。不働態層は、原子層堆積又は周期的化学気相堆積を使用して堆積することができる。
【0067】
膜がプラズマで処理される実施形態において、プラズマ源は、水素プラズマ、水素及びヘリウムを含むプラズマ、水素及びアルゴンを含むプラズマからなる群より選択される。水素プラズマは膜誘電率を低減し、後のプラズマアッシングプロセスに対する耐損傷性を向上させ、バルク中の炭素含有量をほぼ不変に維持する。
【0068】
以下の例は、本発明の幾つかの態様を例示しており、添付の特許請求の範囲に記載の範囲に限定されない。
【実施例】
【0069】
以下の例において、別段の記載がない限り、基材として5〜20Ω・cmの抵抗率を有するシリコンウエハ上に堆積したサンプル膜から特性を得た。13.56MHz直接プラズマを持つシャワーヘッド設計を有するCN−1反応器を使用して全て膜の堆積を行った。
【0070】
典型的なプロセス条件において、別段の記載がない限り、約1〜約5torrの範囲の圧力でチャンバー圧力を固定した。追加の不活性ガスを使用してチャンバー圧力を維持した。
【0071】
膜の堆積は、熱ALD及びプラズマALD(PEALD)について、表3及び4に示された工程を含んでいた。表3の工程a〜dは1つのPEALDサイクルを構成し、工程a〜dを繰り返した。別段の特定がない限り、合計で100又は200又は300又は500回のサイクルを行い所望の膜厚を得た。
【表3】
【表4】
【表5】
【0072】
堆積した膜の反射率(RI)及び厚さをエリプソメーターを使用して測定した。膜の不均一性を標準的な式:%不均一性=((最大厚さ−最小厚さ)/(2×平均(avg)厚さ))を使用して計算した。膜の構造及び組成をフーリエ変換赤外(FTIR)分光及びX線光電子分光(XPS)を使用して分析した。膜の密度をX線反射系(XRR)を使用して測定した。
【0073】
例1:1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタン及びNH3/アルゴンプラズマを使用したALD窒化ケイ素
シリコンウエハを、13.56MHz直接プラズマを持つシャワーヘッド設計を備えたCN−1反応器に設置し、1torrのチャンバー圧力で300℃に加熱した。バブリング又はベーパードローを使用して、ケイ素前駆体として1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタンを反応器に蒸気として輸送した。
【0074】
ALDサイクルを工程e及びfを除き表3に示されるプロセス工程で構成し、以下のプロセスパラメータを使用した。
a.反応器に1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタンの蒸気を導入する
アルゴン流:前駆体容器を通る100sccm
パルス:2秒間
Ar流:1000sccm
b.パージする
アルゴン流:1000sccm
パージ時間:10秒間
c.アンモニアプラズマを導入する
アルゴン流:1000sccm
アンモニア流:100sccm
プラズマ電力:300W
パルス:10秒間
d.パージする
アルゴン流:1000sccm
パージ時間:5秒間
工程a〜dを250サイクル繰り返して58.0原子%の窒素、39.7原子%のケイ素、2.3原子%の酸素、及び0.12原子%の塩素の組成を持つ30nmの窒化ケイ素を得た。反射率(RI)は約1.90であった。堆積した窒化ケイ素は、24時間周辺空気にさらしても変化せず、これは窒化ケイ素が安定した膜であることを示す。
【0075】
例2:1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタン及びNH3/アルゴンプラズマを使用したALD窒化ケイ素
シリコンウエハを、13.56MHz直接プラズマを持つシャワーヘッド設計を備えたCN−1反応器に設置し、1torrのチャンバー圧力で300℃に加熱した。バブリングを使用して、1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタンを反応器に蒸気として輸送した。ALDサイクルを工程e及びfを除き表3に示されるプロセス工程で構成し、以下のプロセスパラメータを使用した。
a.反応器に1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタンの蒸気を導入する
アルゴン流:前駆体容器を通る100sccm
パルス:2秒間
アルゴン流:1000sccm
b.不活性ガスパージする
アルゴン流:1000sccm
パージ時間:10秒間
c.アンモニアプラズマを導入する
アルゴン流:1000sccm
アンモニア流:25sccm
プラズマ電力:300W
パルス:10秒間
d.パージする
アルゴン流:1000sccm
パージ時間:5秒間
工程a〜dを250サイクル繰り返して58.0原子%の窒素、39.6原子%のケイ素、2.2原子%の酸素、及び0.27原子%の塩素の組成を持つ30nmの窒化ケイ素を得た。炭素は検出されなかった。反射率(RI)は約1.90であった。
【0076】
例3:1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、NH3/アルゴンプラズマ及び窒素/Arプラズマを使用したALD窒化ケイ素
【0077】
シリコンウエハを、13.56MHz直接プラズマを持つシャワーヘッド設計を備えたCN−1反応器に設置し、1torrのチャンバー圧力で300℃に加熱した。バブリングを使用して、1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタンを反応器に蒸気として輸送した。ALDサイクルを表4に示されるプロセス工程で構成し、以下のプロセスパラメータを使用した。
a.反応器に1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタンの蒸気を導入する
アルゴン流:前駆体容器を通る100sccm
パルス:2秒間
アルゴン流:1000sccm
b.不活性ガスパージする
アルゴン流:1000sccm
パージ時間:20秒間
c.アンモニアプラズマを導入する
アルゴン流:1000sccm
アンモニア流:50sccm
プラズマ電力:100W
パルス:10秒間
d.パージする
アルゴン流:1000sccm
パージ時間:5秒間
e.窒素プラズマを導入する
アルゴン流:1000sccm
窒素流:500sccm
プラズマ電力:100W
パルス:5秒間
f.パージする
アルゴン流:1000sccm
パージ時間:5秒間
【0078】
工程a〜fを400サイクル繰り返して40.76原子%の窒素、37.04原子%のケイ素、0.23原子%の酸素、0.17原子%の塩素、0.28原子%の炭素の組成を持つ24nmの窒化ケイ素を得た。密度は2.73g/cm3であった。反射率(RI)は約1.90であった。
【0079】
例4:1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、窒素/Arプラズマ及びNH3/アルゴンプラズマを使用したALD窒化ケイ素
【0080】
シリコンウエハを、13.56MHz直接プラズマを持つシャワーヘッド設計を備えたCN−1反応器に設置し、1torrのチャンバー圧力で300℃に加熱した。バブリングを使用して、1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタンを反応器に蒸気として輸送した。ALDサイクルを表5に示されるプロセス工程で構成し、以下のプロセスパラメータを使用した。
a.反応器に1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタンの蒸気を導入する
アルゴン流:前駆体容器を通る100sccm
パルス:2秒間
アルゴン流:1000sccm
b.不活性ガスパージする
アルゴン流:1000sccm
パージ時間:30秒間
c.窒素プラズマを導入する
アルゴン流:1000sccm
窒素流:500sccm
プラズマ電力:100W
パルス:5秒間
d.パージする
アルゴン流:1000sccm
パージ時間:5秒間
e.アンモニアプラズマを導入する
アルゴン流:1000sccm
アンモニア流:50sccm
プラズマ電力:100W
パルス:10秒間
f.パージする
アルゴン流:1000sccm
パージ時間:5秒間
【0081】
工程a〜fを400サイクル繰り返して58.78原子%の窒素、38.30原子%のケイ素、2.43原子%の酸素、0.50原子%の塩素、0.28原子%の炭素の組成を持つ40nmの窒化ケイ素を得た。密度は2.75g/cm3であった。反射率(RI)は約1.90であった。
【0082】
上記において幾つかの具体的な実施形態及び実施例を参照して本発明が例示及び説明されたが、それでもなお、本発明が、示された細部に限定されることは意図されない。むしろ、本発明の趣旨から逸脱することなく、特許請求の範囲の同等物の領域及び範囲内で細部に様々な変更を行うことができる。例えば、本明細書で広く規定した全ての範囲は、その広い範囲内にある全てのより狭い範囲内にある範囲を包含することが明示的に意図される。
【手続補正書】
【提出日】2019年11月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
上記において幾つかの具体的な実施形態及び実施例を参照して本発明が例示及び説明されたが、それでもなお、本発明が、示された細部に限定されることは意図されない。むしろ、本発明の趣旨から逸脱することなく、特許請求の範囲の同等物の領域及び範囲内で細部に様々な変更を行うことができる。例えば、本明細書で広く規定した全ての範囲は、その広い範囲内にある全てのより狭い範囲内にある範囲を包含することが明示的に意図される。
本発明の実施形態としては、以下の実施形態を挙げることができる。
(付記1)
プラズマALDプロセスによりケイ素及び窒素を含有する膜を形成する方法であって、
a)表面特徴を含む基材を反応器に提供する工程と、
b)約600℃以下の範囲の1つ又は複数の温度に前記反応器を加熱して、任意選択で、前記反応器を100torr以下の圧力で維持する工程と、
c)1−クロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1−ブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ブロモ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,1,3,3,5,5,5−オクタクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,3,5,5−ヘキサクロロ−1,5−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−3,3−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,5,5−ペンタクロロ−1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,5,5−テトラクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1−ヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラヨード−1,3−ジシラシクロブタン、及び1,3−ジヨード−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタンからなる群より選択される、2つのSi−C−Si結合を有する少なくとも1つのケイ素前駆体を前記反応器に導入して、前記基材にケイ素含有種を形成する工程と、
d)第1の不活性ガスを使用して、工程cからの未反応のケイ素前駆体及び/又は反応副産物を前記反応器からパージする工程と、
e)アンモニア源を含むプラズマを前記反応器に提供して、前記ケイ素含有種と反応させて、窒化ケイ素膜を形成する工程と、
f)第2の不活性ガスを使用して、工程eからの更なる反応副産物を前記反応器からパージする工程と、
g)必要に応じて工程c〜fを繰り返して、前記窒化ケイ素膜を所定の厚さにする工程とを含む、方法。
(付記2)
前記窒化ケイ素膜が、炭素ドープ窒化ケイ素膜である、付記1に記載の方法。
(付記3)
前記窒化ケイ素膜を400〜1000℃の範囲の温度でのスパイクアニールで処理する工程をさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記4)
前記窒化ケイ素膜の堆積の間又は前記窒化ケイ素膜の堆積の後のいずれかに、前記窒化ケイ素膜をUV光源にさらす工程をさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記5)
水素又は不活性ガス又は窒素を含むプラズマに前記窒化ケイ素膜をさらす工程をさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記6)
周辺温度〜1000℃の範囲の1つ又は複数の温度で前記窒化ケイ素膜を酸素源で処理して、その場又は前記反応器とは異なるチャンバーのいずれかで、前記窒化ケイ素膜を酸窒化ケイ素膜に変換する工程をさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記7)
前記窒化ケイ素膜が炭素ドープ窒化ケイ素膜であり、酸素源で処理する工程が、前記炭素ドープ窒化ケイ素膜を炭素ドープ酸窒化ケイ素膜に変換する、付記6に記載の方法。
(付記8)
X線光電子分光で測定した場合に、約5原子%以下の炭素含有量、約5原子%以下の酸素含有量、及び約7以下の誘電率(k)を有する、付記1に記載の方法で形成された膜。
(付記9)
X線光電子分光で測定した場合に、約3原子重量%以下の炭素含有量を有する、付記8に記載の膜。
(付記10)
X線光電子分光で測定した場合に、約2原子重量%以下の炭素含有量を有する、付記9に記載の膜。
(付記11)
X線光電子分光で測定した場合に、約1原子重量%以下の炭素含有量を有する、付記10に記載の膜。
(付記12)
300〜1000℃の温度で、前記窒化ケイ素膜に熱アニールを行う工程をさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記13)
300〜1000℃の温度で、前記炭素ドープ窒化ケイ素膜に熱アニールを行う工程をさらに含む、付記2に記載の方法。
(付記14)
25〜600℃の範囲の温度で、不活性ガスプラズマ又は水素/不活性ガスプラズマ又は窒素プラズマを用いて前記窒化ケイ素膜にプラズマ処理を行う工程をさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記15)
25〜600℃の範囲の温度で、不活性ガスプラズマ又は水素/不活性ガスプラズマ又は窒素プラズマを用いて前記炭素ドープ窒化ケイ素膜にプラズマ処理を行う工程をさらに含む、付記2に記載の方法。
(付記16)
25〜600℃の範囲の温度で、不活性ガスプラズマ又は水素/不活性ガスプラズマ又は窒素プラズマを用いて前記酸窒化ケイ素膜にプラズマ処理を行う工程をさらに含む、付記6に記載の方法。
(付記17)
25〜600℃の範囲の温度で、不活性ガスプラズマ又は水素/不活性ガスプラズマ又は窒素プラズマを用いて前記炭素ドープ酸窒化ケイ素膜にプラズマ処理を行う工程をさらに含む、付記7に記載の方法。
(付記18)
h)窒素源を含むプラズマを前記反応器に提供して、前記ケイ素含有種と反応させて、窒化ケイ素膜を更に形成する工程と、
i)第2の不活性ガスを用いて更なる反応副産物を前記反応器からパージする工程とをさらに含み、
工程c〜fを繰り返す工程g)がまた、工程h及びiを繰り返すことを含み、必要に応じて工程c〜iを繰り返して、前記窒化ケイ素膜を所定の厚さにする、付記1に記載の方法。
(付記19)
約7以下の誘電率(k)、約5原子%以下の酸素含有量、約5原子%以下の炭素含有量、及び約2.7g/cm以上の密度を有する、付記18に記載の膜。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマALDプロセスによりケイ素及び窒素を含有する膜を形成する方法であって、
a)表面特徴を含む基材を反応器に提供する工程と、
)600℃以下の範囲の1つ又は複数の温度に前記反応器を加熱して、前記反応器を100torr以下の圧力で維持する工程と、
c)1−クロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1−ブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラクロロ−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラブロモ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジクロロ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ブロモ−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,1,3,3,5,5,5−オクタクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,3,5,5−ヘキサクロロ−1,5−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−3,3−ジメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,3,5,5−ペンタクロロ−1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1,1,5,5−テトラクロロ−1,3,5−トリシラペンタン、1−ヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3−トリヨード−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラヨード−1,3−ジシラシクロブタン、及び1,3−ジヨード−1,3−ジメチル−1,3−ジシラシクロブタンからなる群より選択される、2つのSi−C−Si結合を有する少なくとも1つのケイ素前駆体を前記反応器に導入して、前記基材にケイ素含有種を形成する工程と、
d)第1の不活性ガスを使用して、工程cからの未反応のケイ素前駆体及び/又は反応副産物を前記反応器からパージする工程と、
e)アンモニア源を含むプラズマを前記反応器に提供して、前記ケイ素含有種と反応させて、窒化ケイ素膜を形成する工程と、
f)第2の不活性ガスを使用して、工程eからの更なる反応副産物を前記反応器からパージする工程と、
)工程c〜fを繰り返して、前記窒化ケイ素膜を所定の厚さにする工程とを含む、方法。
【請求項2】
前記窒化ケイ素膜が、炭素ドープ窒化ケイ素膜である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記窒化ケイ素膜を400〜1000℃の範囲の温度でのスパイクアニールで処理する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記窒化ケイ素膜の堆積の間又は前記窒化ケイ素膜の堆積の後のいずれかに、前記窒化ケイ素膜をUV光源にさらす工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
水素又は不活性ガス又は窒素を含むプラズマに前記窒化ケイ素膜をさらす工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
周辺温度〜1000℃の範囲の1つ又は複数の温度で前記窒化ケイ素膜を酸素源で処理して、その場又は前記反応器とは異なるチャンバーのいずれかで、前記窒化ケイ素膜を酸窒化ケイ素膜に変換する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記窒化ケイ素膜が炭素ドープ窒化ケイ素膜であり、酸素源で処理する工程が、前記炭素ドープ窒化ケイ素膜を炭素ドープ酸窒化ケイ素膜に変換する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記窒化ケイ素膜が、X線光電子分光で測定した場合に、5原子%以下の炭素含有量、5原子%以下の酸素含有量、及び7以下の誘電率(k)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記窒化ケイ素膜が、X線光電子分光で測定した場合に、3原子重量%以下の炭素含有量を有する、請求項8に記載の方法
【請求項10】
前記窒化ケイ素膜が、X線光電子分光で測定した場合に、2原子重量%以下の炭素含有量を有する、請求項9に記載の方法
【請求項11】
前記窒化ケイ素膜が、X線光電子分光で測定した場合に、1原子重量%以下の炭素含有量を有する、請求項10に記載の方法
【請求項12】
300〜1000℃の温度で、前記窒化ケイ素膜に熱アニールを行う工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
300〜1000℃の温度で、前記炭素ドープ窒化ケイ素膜に熱アニールを行う工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
25〜600℃の範囲の温度で、不活性ガスプラズマ又は水素/不活性ガスプラズマ又は窒素プラズマを用いて前記窒化ケイ素膜にプラズマ処理を行う工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
25〜600℃の範囲の温度で、不活性ガスプラズマ又は水素/不活性ガスプラズマ又は窒素プラズマを用いて前記炭素ドープ窒化ケイ素膜にプラズマ処理を行う工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
25〜600℃の範囲の温度で、不活性ガスプラズマ又は水素/不活性ガスプラズマ又は窒素プラズマを用いて前記酸窒化ケイ素膜にプラズマ処理を行う工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
25〜600℃の範囲の温度で、不活性ガスプラズマ又は水素/不活性ガスプラズマ又は窒素プラズマを用いて前記炭素ドープ酸窒化ケイ素膜にプラズマ処理を行う工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
h)窒素源を含むプラズマを前記反応器に提供して、前記ケイ素含有種と反応させて、窒化ケイ素膜を更に形成する工程と、
i)第2の不活性ガスを用いて更なる反応副産物を前記反応器からパージする工程とをさらに含み、
工程c〜fを繰り返す工程g)が、工程h及びiを繰り返すことをさらに含み、工程c〜iを繰り返して、前記窒化ケイ素膜を所定の厚さにする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記窒化ケイ素膜が、7以下の誘電率(k)、5原子%以下の酸素含有量、5原子%以下の炭素含有量、及び2.7g/cm以上の密度を有する、請求項18に記載の方法
【外国語明細書】
2020033643000001.pdf