【課題】異物の形成がより少なく、厚みのムラのより小さなラミネート層を得ることが可能な、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子及びその製造方法、並びに、このポリブチレンテレフタレート樹脂粒子を用いた加熱調理用耐熱性紙材の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子は、異なる粒径を有する粒子を含有するものであって、目開き1.4mmの篩上残分の平均粒径が2mm以上6mm以下であり、該樹脂粒子は、粒径が50μm以上1000μm以下の画分からなるポリブチレンテレフタレート細粒子を5質量ppm以上100質量ppm以下含有する。
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子のうち、粒径が1.4mm超8.0mm以下の画分からなるポリブチレンテレフタレート粗粒子の表面の少なくとも一部に、前記ポリブチレンテレフタレート細粒子が付着している、請求項1に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂粒子。
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子のうち、ポリブチレンテレフタレート粗粒子及びポリブチレンテレフタレート細粒子のいずれにも該当しない粒径の粒子の含有量が10質量ppm以下である、請求項2に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂粒子。
末端カルボキシル基含有量が60ミリ当量/kg未満であるポリブチレンテレフタレート樹脂からなる、請求項1から3のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂粒子。
請求項1から4のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂粒子を加熱溶融して耐熱紙にラミネートし、ラミネート後のポリブチレンテレフタレート樹脂の結晶化割合を10〜30%となるようにする、電子レンジ及び160〜220℃に達するオーブンレンジで使用可能な加熱調理用耐熱性紙材の製造方法。
【背景技術】
【0002】
近年、電子レンジやオーブン等の加熱調理機を用いてそのまま調理できる食品が一般化している。その容器としては、紙、陶器、プラスチック、耐熱ガラス、アルミニウム等が用いられ、其々用途に応じて使い分けされている。
【0003】
その中でも、紙を用いた容器は、安価であり、また廃棄処理が容易である等の利点があるため、広く使用されている。ここで、紙を使用した容器としては、紙の片面又は両面に耐熱性のある合成樹脂フイルムを積層して複合材料化したものが用いられている。耐熱性のある合成樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が用いられている。
【0004】
しかし、ポリエチレンテレフタレート樹脂をラミネートした紙容器では、加熱調理した際、その紙容器が原因となる食品の味や臭いへの変化を少なくすることが求められていた。また、食品との剥離性を高めることが求められており、パンやケーキ等の付着を低減することが求められていた。
【0005】
また、ポリメチルペンテン樹脂を積層した紙容器では、ヒートシール性、ガスバリア性を高めることが求められており、より具体的には、紙臭を食品に移行し難くし、内容物の食品臭を外に洩れ難くすることが求められていた。また、低温時の衝撃強度を高めることも求められており、冷凍庫等からの取り出し時に落下しても容器が破損し難いことが求められていた。
【0006】
また、ポリプロピレン樹脂を積層した紙容器では、耐熱性を高めることが求められており、より具体的には、油分を多く含む食品の高温調理に適した容器が求められていた。また、ガスバリア性を高めることが求められており、紙臭を食品に移行し難くし、内容物の食品臭を外に洩れ難くすることが求められていた。
【0007】
こうした課題を解決すべく、特許文献1には、ポリブチレンテレフタレート樹脂を積層した紙容器が開示されている。この紙容器は、加熱調理後の食品の風味を損なわないという大きな利点を持っており、加熱調理用の紙容器として好適である。しかしながら、特許文献1にて提案されている加熱調理用の紙容器は、電子レンジの調理には適しているものの、さらに高温のオーブン用の容器としての成形や、これを用いた調理に十分に耐える紙容器が求められていた。
【0008】
また、特許文献2には、紙等の基材フイルムもしくはシートに、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレートコポリマーあるいは1,4−ジシクロヘキサンジメチレンテレフタレート−イソフタレートコポリマーを、押出加工前の樹脂の極限粘度に対する押出加工後の樹脂の極限粘度の比率を、85%以上に保持して押出ラミネートしてなる低結晶化度ポリエステル層が設けられているポリエステルコート積層フイルムが提案されている。この積層体は、ポリエステルの持つ耐薬品性、耐油性、ガス遮断性、防浸性に優れ、且つ適度のヒートシール性を呈することが記載されている。しかしながら、実施例に具体的に記載されているものはポリエチレンテレフタレートやその共重合体であり、ポリブチレンテレフタレート樹脂は記載されていない。また、特許文献2のポリエステルコート積層フイルムは、本発明の紙容器が想定しているような高温のオーブンでの加熱調理の用途には、変形や変色、表面平滑性の変化等の面で不向きである。
【0009】
また、特許文献3には、末端カルボキシル基含量が、35ミリ当量/kg以下のポリブチレンテレフタレート系樹脂と酸化防止剤とで構成される樹脂組成物からなる成形品が提案されている。この成形品は、耐溶剤抽出性を有しているが、この成形品からなる容器も高温での調理等を意図したものではなく、耐熱紙にラミネートした積層体やそれを成形してなる加熱調理用耐熱性紙容器の有用性については、何も示唆していない。
【0010】
さらに、特許文献4には、末端カルボキシル基含有量が60ミリ当量/kg未満であるポリブチレンテレフタレート樹脂を耐熱紙にラミネートした積層体を成形してなる加熱調理用耐熱性紙容器が提案されている。これに対し、異物の形成がより少なく、厚みのムラのより小さなラミネート層を得るための手法が求められていた。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0024】
<ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子について>
本発明に係るポリブチレンテレフタレート樹脂粒子は、異なる粒径を有する粒子を含有するポリブチレンテレフタレート樹脂粒子であって、目開き1.4mmの篩上残分の平均粒径が2mm以上6mm以下であり、この樹脂粒子は、粒径が50μm以上1000μm以下の画分からなるポリブチレンテレフタレート細粒子を5質量ppm以上100質量ppm以下含有するものである。
【0025】
本明細書における「目開き1.4mmの篩上残分の平均粒径」は、JIS K 0069に準拠した乾式篩い分け試験法により測定される、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子の目開き1.4mmの篩上残分における質量基準の累積粒度分布のメジアン径D50を指し、「粒径が50μm以上1000μm以下の画分」は、JIS Z 8825:2013に準拠したレーザ回折・散乱法により測定される、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子全体における質量基準の累積粒度分布から求めることができる。また、「粒径が1.4mm超8.0mm以下の画分」は、JIS K 0069に準拠した乾式篩い分け試験法により測定される、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子全体における質量基準の累積粒度分布から求めることができる。
【0026】
ここで、ポリブチレンテレフタレート粗粒子は、粒径が1.4mm超8.0mm以下の画分のものである。ポリブチレンテレフタレート粗粒子を99.9900質量%以上含有する場合、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子から後述するラミネート層を形成したときに、ポリブチレンテレフタレート樹脂の結晶化割合の必要以上の上昇が抑えられるため、局所的な結晶成長によるラミネート層への異物の形成や、過剰な結晶化に伴う靱性低下によるラミネート層の破れを低減することができる点で好ましい。また、ラミネート層の吐出安定性を向上することができる点でも好ましい。ポリブチレンテレフタレート粗粒子の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子の全質量に対して、99.9920質量%以上がより好ましく、99.9950質量%以上がさらに好ましい。他方で、ポリブチレンテレフタレート粗粒子の含有量の上限は、ラミネート層の厚みのムラを小さくすることができるため、99.9995質量%以下が好ましく、99.9990質量%以下がより好ましく、99.9980質量%以下がさらに好ましい。
【0027】
また、ポリブチレンテレフタレート細粒子は、粒径が50μm以上1000μm以下の画分のものである。ポリブチレンテレフタレート細粒子を質量基準で5ppm以上含有することで、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子からラミネート層を形成したときのネックインによるラミネート層の厚みのムラを小さくすることができる。そのため、ポリブチレンテレフタレート細粒子の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子の全質量に対して、10ppm以上が好ましく、15ppm以上がより好ましく、20ppm以上がさらに好ましい。
【0028】
他方で、ポリブチレンテレフタレート細粒子の含有量の上限は、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子の全質量に対して、80ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましい。結晶化が進み易いポリブチレンテレフタレート細粒子の含有量を100ppm以下にすることで、局所的な結晶成長によるラミネート層への異物の形成を抑えることができる。
【0029】
したがって、目開き1.4mmの篩上残分の平均粒径が2mm以上6mm以下であるポリブチレンテレフタレート樹脂粒子において、粒径が1.4mm超8.0mm以下の画分からなるポリブチレンテレフタレート粗粒子を99.9000質量%以上99.9995質量%以下含有し、また、粒径が50μm以上1000μm以下の画分からなるポリブチレンテレフタレート細粒子を5質量ppm以上100質量ppm以下含有することで、異物の形成が少なく、厚みのムラの小さなラミネート層をより安定して形成することができる。
【0030】
ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子は、ポリブチレンテレフタレート粗粒子の表面の少なくとも一部に、ポリブチレンテレフタレート細粒子が付着していることが好ましく、ポリブチレンテレフタレート粗粒子とポリブチレンテレフタレート細粒子との混合物であることがより好ましい。ポリブチレンテレフタレート粗粒子の表面の少なくとも一部に、ポリブチレンテレフタレート細粒子が付着するように構成することで、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子を加熱溶融する際のスクリュへの食い込み性を高めることができ、ひいてはラミネート層の吐出安定性を向上することができる。
【0031】
また、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子は、ポリブチレンテレフタレート粗粒子及びポリブチレンテレフタレート細粒子のいずれにも該当しない粒径の粒子(以下、「他の粒径の粒子」という場合がある。)を、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子の全質量に対して0質量%超含んでいてもよい。他の粒径の粒子としては、具体的には、粒径50μm未満の粒子、粒径1000μm(1.0mm)超1.4mm以下の粒子、粒径8.0mm超の粒子が含まれうる。それらを含むことにより、より簡便な手段、例えばポリブチレンテレフタレート粗粒子を容器内で振盪する手段によっても、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂粒子を得ることが可能になり得る。しかしながら、より均質なラミネート層を得るためには、他の粒径の粒子の含有量は少ないことが好ましい。より具体的には、他の粒径の粒子の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子の全質量に対して10質量ppm以下にすることが好ましく、8質量ppm以下にすることがより好ましく、5質量ppm以下にすることがさらに好ましく、1質量ppm以下にすることが特に好ましく、0質量ppmにすることが最も好ましい。
【0032】
なお、ポリブチレンテレフタレート粗粒子を構成する「粒径が1.4mm超8.0mm以下の画分」の測定方法と、ポリブチレンテレフタレート細粒子を構成する「粒径が50μm以上1000μm以下の画分」の測定方法が異なるため、他の粒径の粒子の含有量は、計算上負の数になることがある。本明細書では、他の粒径の粒子の含有量が負の数と計算された場合も、0質量ppmとして扱う。
【0033】
ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子に含まれるポリブチレンテレフタレート樹脂は、多価アルコール成分である1,4−ブタンジオールを主成分とするジオール成分を、多価カルボン酸成分であるテレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分又はそのアルコールエステル成分とを縮合して得られるブチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルであり、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、ポリブチレンテレフタレートを主体とする共重合体であってもよい。ここで、ポリブチレンテレフタレート樹脂は、多価カルボン酸−多価アルコールのエステル単位のうち、ブチレンテレフタレート単位を60モル%以上含むことが好ましい。
【0034】
このポリブチレンテレフタレート樹脂は、高分子鎖末端のカルボキシル基含有量(215℃のベンジルアルコールに溶解し、水酸化ナトリウムで滴定して求めた値)が、60ミリ当量/kg(以下、「m当量/kg」と略称する。)未満のものが好ましく、50m当量/kg未満のものがより好ましい。
【0035】
カルボキシル基含有量を60m当量/kg以下にすることで、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子から得られるラミネート層について、高温での加熱によっても樹脂の加水分解が抑えられるため、加熱調理によってラミネート層の艶がなくなり、触感が悪くなり又はポリマー臭がする等の不具合を低減することができる。
【0036】
このようなポリブチレンテレフタレート樹脂を得る方法としては、公知の合成方法により得られたポリブチレンテレフタレート樹脂を、例えば、固相重合により、溶出成分のオリゴマー量を低減させる方法や、カルボキシル基(−OH基)を含む反応性モノマーと反応させることにより減少させる等の方法がある。
【0037】
ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子には、ポリブチレンテレフタレート樹脂のほか、加熱調理したときに食品により抽出されず、且つ、食品を汚染しない物質であれば、染料や顔料等の着色剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤、潤滑剤、結晶化促進剤並びに結晶化遅延剤等の添加剤を含有させることができる。これらは目的に応じて複数含有してもよい。また、本発明の効果を妨げない範囲であれば、他の熱可塑性樹脂や無機充填剤を、さらなる成分として要求性能に応じて含有させることもできる。
【0038】
他方で、これらの添加剤やさらなる成分には、例えば着色剤や無機充填剤等のように、粒子として存在するものがある。そして、これらの粒子は、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子中に溶融混練された状態にならず、ポリブチレンテレフタレート細粒子と同様に、ポリブチレンテレフタレート粗粒子の外部に添加されて混合された状態で、ラミネートに供される場合がある。このようなポリブチレンテレフタレート樹脂粒子以外の粒子の含有量は、1.00質量%以下であることが好ましく、0.50質量%以下であることがより好ましく、0.10質量%以下であることがさらに好ましく、0.01質量%以下であることが特に好ましく、0.00質量%であることが最も好ましい。このような粒子の含有量を低減させることで、ポリブチレンテレフタレート樹脂の加工性を高めることができ、また、外観に優れた加熱調理用耐熱性紙材を得ることができる。
【0039】
<ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子の製造方法について>
本発明に係るポリブチレンテレフタレート樹脂粒子の製造方法は、上述のポリブチレンテレフタレート樹脂粒子が得られる限り、特に限定されるものではないが、例えば、粒径が1.4mm超8.0mm以下の画分からなるポリブチレンテレフタレート粗粒子と、粒径が50μm以上1000μm以下の画分からなるポリブチレンテレフタレート細粒子との混合物を形成する方法を用いることができる。その中でも、ポリブチレンテレフタレート粗粒子とポリブチレンテレフタレート細粒子の混合比を精密に調整することができるため、粒径が1.4mm超8.0mm以下の画分からなるポリブチレンテレフタレート粗粒子と、粒径が50μm以上1000μm以下の画分からなるポリブチレンテレフタレート細粒子とを別々に用意し、ポリブチレンテレフタレート粗粒子にポリブチレンテレフタレート細粒子を5質量ppm以上100質量ppm以下添加することで、上述のポリブチレンテレフタレート樹脂粒子を得ることが好ましい。
【0040】
ここで、ポリブチレンテレフタレート細粒子の添加量の下限は、質量基準で5ppm以上にすることで、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子からラミネート層を形成したときのネックインによるラミネート層の厚みのムラを小さくすることができる。そのため、ポリブチレンテレフタレート細粒子の添加量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子の全質量に対して、10ppm以上が好ましく、15ppm以上がより好ましく、20ppm以上がさらに好ましい。
【0041】
また、ポリブチレンテレフタレート細粒子の添加量の上限は、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子の全質量に対して、80ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましい。結晶化が進み易いポリブチレンテレフタレート細粒子の添加量を100ppm以下にすることで、局所的な結晶成長によるラミネート層への異物の形成を抑えることができる。
【0042】
ポリブチレンテレフタレート粗粒子とポリブチレンテレフタレート細粒子との混合物を形成する他の方法としては、より簡便に上述のポリブチレンテレフタレート樹脂粒子を得ることができるため、ポリブチレンテレフタレート粗粒子を容器に入れて振盪し、ポリブチレンテレフタレート粗粒子を一部破砕してポリブチレンテレフタレート細粒子にしてこれらの混合物を形成することで、上述のポリブチレンテレフタレート樹脂粒子を得る方法を用いることができる。さらには、ポリブチレンテレフタレート粗粒子の製造や搬送の工程の中で、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子同士の接触、あるいはポリブチレンテレフタレート樹脂粒子と配管等との接触によって、ポリブチレンテレフタレート粗粒子が一部破砕されてポリブチレンテレフタレート細粒子になり、このポリブチレンテレフタレート細粒子がポリブチレンテレフタレート粗粒子と混合物を形成する場合についても、得られるポリブチレンテレフタレート粗粒子とポリブチレンテレフタレート細粒子の含有量が上記範囲内であれば、本発明の態様に含まれる。なお、ポリブチレンテレフタレート粗粒子とポリブチレンテレフタレート細粒子の含有量は、必要に応じて篩分け等の分級によって調整してもよい。
【0043】
<加熱調理用耐熱性紙材の製造方法について>
本発明に係る加熱調理用耐熱性紙材の製造方法は、上述のポリブチレンテレフタレート樹脂粒子を加熱溶融して耐熱紙にラミネートし、ラミネート後のポリブチレンテレフタレート樹脂の結晶化割合を10〜30%となるようにするものである。
【0044】
[耐熱紙]
上述のポリブチレンテレフタレート樹脂粒子のラミネートに用いられる耐熱紙としては、パルプ繊維を用いない合成紙と、木材パルプ等のパルプ繊維を原料とするパルプ紙のいずれを用いることができる。その中でも、耐熱性の観点からパルプ紙を用いることがより好ましい。
【0045】
耐熱紙としては、食品等を包む調理用紙容器や包装紙等として使用可能なものを用いることができる。また、耐熱性の許容できる範囲内で、延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムやポリ塩化ビニリデンコート延伸ポリエチレンテレフタレートフイルム、セロハン、低密度、中密度又は高密度のポリエチレン、アイオノマー、ポノプロピレン等のプラスチックフイルムもしくはシートあるいはアルミニウム箔等と、耐熱紙との積層体であってもよいが、コスト面やポリマー臭の問題、廃棄の問題等の観点から、このような積層体にしなくてもよい。
【0046】
また、耐熱紙の厚さや坪量等についても、調理目的に応じて種々のものを用いることができるが、例えば秤量10〜350g/m
2、好ましくは20〜300g/m
2の板紙を用いることができる。その中でも、調理用紙容器や包装紙の変形を低減させるためには、耐熱紙の秤量をより大きく(例えば30g/m
2以上)することが好ましいが、加工性を確保するためには、耐熱紙の秤量を200g/m
2以下にすることが好ましく、100g/m
2以下にすることがより好ましい。
【0047】
[ポリブチレンテレフタレート樹脂の耐熱紙へのラミネート]
このような耐熱紙に、上述のポリブチレンテレフタレート樹脂粒子の溶融物をラミネートすることで、加熱調理用耐熱性紙材を得ることができる。ポリブチレンテレフタレート樹脂のラミネートには、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂を加熱溶融して、この樹脂を耐熱紙のラミネート面に供給してラミネート層を形成する方法が用いられる。このとき、ポリブチレンテレフタレート樹脂を加熱溶融して耐熱紙にラミネートする際の条件を制御することで、ラミネートされたポリブチレンテレフタレート樹脂の結晶化割合(X線回折法により測定した値)を、10〜30%の範囲内とすることが好ましい。
【0048】
ポリブチレンテレフタレート樹脂の結晶化割合を10%以上にすることで、加熱調理の際におけるポリブチレンテレフタレート樹脂の結晶化を低減し、加熱調理時に結晶化に伴う収縮によって引き起こされる、容器の変形を抑えることができる。また、ポリブチレンテレフタレート樹脂の結晶化割合を30%以下にすることで、ラミネートした積層体を熱プレス等によって容器等に成形する際の柔軟性や延伸性、靭性を高め、且つラミネート層の破れを低減することができる。したがって、結晶化割合を10〜30%の範囲にコントロールすることにより、容器成形性や加熱調理時の形状崩れや変形、外観の変化を抑えることができる。
【0049】
耐熱紙にラミネートする際、このような結晶化割合のポリブチレンテレフタレート樹脂積層体を得る手段としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂を耐熱紙にラミネートする際の樹脂の温度を管理することや、ラミネートした後の積層体を冷却及び加圧するチルロールの温度を管理することが挙げられ、これらにより所望の結晶化割合にコントロールすることができる。
【0050】
ここで、ポリブチレンテレフタレート樹脂をラミネートする際の樹脂の温度は、例えば260℃以上にすることができ、280℃以上にすることが好ましい。他方で、樹脂温度の上限は、例えば300℃以下にすることができる。
【0051】
また、ポリブチレンテレフタレート樹脂をラミネートした後の積層体を冷却及び加圧する際、チルロールの温度を40〜70℃に調節することが好ましく、50〜70℃に調節することがより好ましい。
【0052】
ポリブチレンテレフタレート樹脂の耐熱紙へのラミネートの方法としては、慣用の方法、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、圧縮成形、プレス成形等の方法等を用いることができる。また、ラミネート品は切削加工等の二次加工を施してもよい。
【0053】
ラミネートにより得られる積層体における、ポリブチレンテレフタレート樹脂層の厚さは、5μm以上が好ましい。この厚さを5μm以上にすることで、ピンホールの発生や、サージングによる厚みムラを低減することができるため、ラミネート層を安定して得ることができる。また、ポリブチレンテレフタレート樹脂層の厚さの上限は、100μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましい。本発明では、上述のポリブチレンテレフタレート樹脂粒子を用いることで、異物の形成がより少なく、厚みのムラのより小さなラミネート層を得ることが可能になるため、ポリブチレンテレフタレート樹脂層の厚さをより薄くすることが可能である。そのため、ラミネート層の形成や、ラミネート層を形成した耐熱紙の成形を行い易くすることができ、また、ポリブチレンテレフタレート樹脂の使用量を低減することもできる。
【0054】
ここで、ポリブチレンテレフタレート樹脂をラミネートした積層体は、ポリブチレンテレフタレート樹脂と耐熱紙との2層で構成してもよく、他の層を加えた3層以上で構成してもよい。このとき、積層体の少なくとも一方の表面に、ポリブチレンテレフタレート樹脂層が設けられていることが好ましい。
【0055】
ラミネートの方法の一例としては、実施例に記載される例のほか、115mmφの押出機を使用して、スリット幅1.0mmのT−ダイにより、290〜300℃の溶融ポリブチレンテレフタレート樹脂を、秤量10〜350g/m
2の板紙に、10〜50μmの厚さとなるように、ラミネート速度35m/分でラミネートを行う例が挙げられる。そして、この方法を用いてラミネートを行い、且つ、温度を40〜60℃に調節したチルロールで冷却及び加圧しながら巻き取ることで得られる積層体は、上記範囲の結晶化割合にコントロールされている。
【0056】
[加熱調理用耐熱性紙材の特性及び用途]
本発明の加熱調理用耐熱性紙材は、耐熱性や成形性に優れ、加熱調理後の容器形状の崩れや変形、外観の変化がなく、食品との適度な密着性並びに剥離性を有しており、電子レンジのみならず、オーブン等の高温での加熱調理後の容器の形状や表面性状の保持に優れており、食品へのポリマー臭の移行がない。そのため、温度が160〜190℃程度、又は、より厳しい190〜220℃に達する高温での加熱調理の用途に好ましく用いることができる。
【0057】
他方で、ポリブチレンテレフタレート樹脂の融点以上の温度での加熱調理の用途は、ポリブチレンテレフタレート樹脂が溶融するため好ましくない。この意味から、一般的に低温域〜中温域と言われている、タルト、スポンジケーキ、フルーツケーキ、パウンドケーキ、シュー、マドレーヌ等の焼成や、グラタン、ドリア等の加熱調理には最適である。勿論、ポリブチレンテレフタレート樹脂の融点を超えない範囲であれば、他の食品の加熱調理にも好適である。
【0058】
このような加熱調理用耐熱性紙材は、そのまま食品等を包む包装紙等として用いることができる。また、この加熱調理用耐熱性紙材からは、加熱調理用耐熱性紙容器を得ることもできる。加熱調理用耐熱性紙容器を得る方法は特に限定されるものではなく、公知の種々の方法を採用することができる。一例として、加熱調理用耐熱性紙材を適当な大きさにカッティングし、熱プレス等により加熱成形することで、加熱調理用耐熱性紙容器を得ることができる。
【0059】
この加熱調理用耐熱性紙容器は、最内層(食品と接する側の表層)及び最外層(食品と接しない側の表層)の一方又は両方に、ポリブチレンテレフタレート樹脂層があるように構成することが好ましい。その中でも、食品と容器が適度に密着していることが好ましい場合は、ポリブチレンテレフタレート樹脂を最内層として構成することが好ましく、食品と容器が強固に密着していることが好ましい場合は、耐熱紙を最内層として構成することが好ましい。食品の種類や製造工程に応じて、最内層及び最外層の一方又は両方にポリブチレンテレフタレート樹脂層を用いることで、其々要求に応じた容器を得ることができる。
【0060】
また、積層体の最外層が耐熱紙となるように構成してもよいが、ポリブチレンテレフタレート樹脂を最外層となるように構成することで、容器の外側に付着した水分による紙のふやけや油染みを防ぐことができるとともに、艶、光沢のある外観となるため、商品価値をさらに向上することができる。
【0061】
特に、ポリブチレンテレフタレート樹脂層を加熱調理用耐熱性紙容器の最内層とし、且つ、公知の適切な蓋材を組み合わせることで、ポリブチレンテレフタレート樹脂のヒートシール性、ガスバリア性、耐低温衝撃性、イージーピーリング性、耐熱性等の特長を生かした容器を得ることができる。すなわち、グラタン、ドリア等を容器に充填した後、ヒートシールにより完全密閉して冷凍保存することができる。また、これを調理する際には、冷凍庫から取り出した後、イージーピーリング性によって簡単に蓋を剥がすことができるため、すぐにオーブン等を用いて調理することができる。
【実施例】
【0062】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0063】
[実施例1]
粒径が1.4mm超8.0mm以下の画分からなるポリブチレンテレフタレート粗粒子を99.9970質量%、粒径が50μm以上1000μm以下の画分からなるポリブチレンテレフタレート細粒子を30質量ppm混合して、目開き1.4mmの篩上残分の平均粒径が4mmのポリブチレンテレフタレート樹脂粒子を得た。ここで、目開き1.4mmの篩上残分の平均粒径と、粒径1.4mm超8.0mm以下の画分の大きさは、JIS K0069に準拠した乾式篩い分け試験法により測定した。また、粒径が50μm以上1000μm以下の画分の大きさは、堀場製作所社製、型番:LA−960を用いて、JIS Z 8825:2013に準拠したレーザ回折・散乱法により特定した。このポリブチレンテレフタレート樹脂粒子に含まれるポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基含有量は、15m当量/kgであった。
【0064】
秤量30g/m
2のパルプ紙からなる板紙を耐熱紙として用い、このポリブチレンテレフタレート樹脂粒子を耐熱紙にラミネートした。ここで、ポリブチレンテレフタレート樹脂のラミネートは、ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子を290〜300℃に加熱して溶融して得られる溶融ポリブチレンテレフタレート樹脂を、90mmφの押出機を用いて、スリット幅0.8mmのT−ダイによって、25μmの厚さとなるように、ラミネート速度35m/分で行い、耐熱紙のラミネート面にラミネート層を形成した。次いで、温度を60℃に調節したチルロールで冷却及び加圧しながら、得られる積層体を巻き取ることで、加熱調理用耐熱性紙材を得た。
【0065】
得られた加熱調理用耐熱性紙材に積層されたポリブチレンテレフタレート樹脂を耐熱紙から引き剥がし、X線回折法によりラミネート層の結晶化割合を測定したところ、20%となった。
【0066】
また、加熱調理用耐熱性紙材について、所定の大きさにカッティングし、熱プレスを用いてポリブチレンテレフタレート樹脂層が内側になるように140℃で加熱成形し、ヒートセットすることで、加熱調理用耐熱性紙容器を得た。得られた加熱調理用耐熱性紙容器のラミネート層について、各評価を行った。
【0067】
[実施例2]
粒径が1.4mm超8.0mm以下の画分からなるポリブチレンテレフタレート粗粒子を99.9985質量%、粒径が50μm以上1000μm以下の画分からなるポリブチレンテレフタレート細粒子を15質量ppm混合して、目開き1.4mmの篩上残分の平均粒径が4mmのポリブチレンテレフタレート樹脂粒子を得た。目開き1.4mmの篩上残分の平均粒径と粒径1.4mm超8.0mm以下の画分の大きさ、及び粒径が50μm以上1000μm以下の画分の大きさは、実施例1と同様にして特定した。このポリブチレンテレフタレート樹脂粒子に含まれるポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基含有量は、8m当量/kgであった。
【0068】
このポリブチレンテレフタレート樹脂粒子について、実施例1と同様の手順で加熱調理用耐熱性紙材及び加熱調理用耐熱性紙容器を得た。ここで、加熱調理用耐熱性紙材のラミネート層における結晶化割合は15%となった。得られた加熱調理用耐熱性紙容器のラミネート層について、上記実施例1と同様に評価した。
【0069】
[実施例3]
粒径が1.4mm超8.0mm以下の画分からなるポリブチレンテレフタレート粗粒子を99.9940質量%、粒径が50μm以上1000μm以下の画分からなるポリブチレンテレフタレート細粒子を60質量ppm混合して、目開き1.4mmの篩上残分の平均粒径が4mmのポリブチレンテレフタレート樹脂粒子を得た。目開き1.4mmの篩上残分の平均粒径と粒径1.4mm超8.0mm以下の画分の大きさ、及び粒径が50μm以上1000μm以下の画分の大きさは、実施例1と同様にして特定した。このポリブチレンテレフタレート樹脂粒子に含まれるポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基含有量は、10m当量/kgであった。
【0070】
このポリブチレンテレフタレート樹脂粒子について、実施例1と同様の手順で加熱調理用耐熱性紙材及び加熱調理用耐熱性紙容器を得た。ここで、加熱調理用耐熱性紙材のラミネート層における結晶化割合は25%となった。得られた加熱調理用耐熱性紙容器のラミネート層について、上記実施例1と同様に評価した。
【0071】
[比較例1]
ポリブチレンテレフタレート粗粒子の含有量を本発明の範囲より少なくし、ポリブチレンテレフタレート細粒子の含有量を本発明の範囲より多くして、実施例1と同様の実験を行った。すなわち、粒径が1.4mm超8.0mm以下の画分からなるポリブチレンテレフタレート粗粒子を99.9881質量%、粒径が50μm以上1000μm以下の画分からなるポリブチレンテレフタレート細粒子を119質量ppm混合して、目開き1.4mmの篩上残分の平均粒径が4mmのポリブチレンテレフタレート樹脂粒子を得た。
【0072】
このポリブチレンテレフタレート樹脂粒子について、実施例1と同様の手順で加熱調理用耐熱性紙材及び加熱調理用耐熱性紙容器を得た。得られた加熱調理用耐熱性紙材のラミネート層における結晶化割合は35%となり、好適な範囲を上回っていた。また、得られた加熱調理用耐熱性紙容器のラミネート層について、上記実施例1と同様に評価した。
【0073】
[評価]
ラミネート層の厚みのムラについては、その原因となるネックインの発生度合いを指標として、目視観察により評価した。顕著なネックインの発生が見られたものを×、ネックインの発生がやや見られたものを△、ネックインの発生が僅かであったものを○とした。
【0074】
ラミネート層への異物の有無については、各実施例及び比較例の加熱調理用耐熱性紙材10m
2における、ラミネート層への異物の有無を評価した。このとき、ラミネート層に異物が認められたものを×、ラミネート層に異物が認められないものを○とした。
【0075】
ラミネート層の吐出安定性については、各実施例及び比較例の加熱調理用耐熱性紙材を得る際における、押出機のダイからの吐出状態をもとに判定した。押出機を10時間連続で運転した際に、ラミネート層の切れ、破れ及び撚れといった不具合の発生回数が、6回以上であったものを×、2回以上5回以下であったものを△、1回以下であったものを○とした。
【0076】
ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子の安息角については、各実施例及び比較例のポリブチレンテレフタレート樹脂粒子を、内径70mm、深さ12mmのシャーレに、内容積の約半分に相当する量を、最密充填するような操作をしないように投入した後、シャーレの蓋を閉じて円筒部分を水平面に置き、水平方向にゆっくり回転させ、シャーレの内部にあるペレットが回転によって崩れる直前の傾斜角を測定する、いわゆる傾斜法により測定を行った。この測定を3回行った平均値を、表1に記載する。
【0077】
【表1】
【0078】
表1に示されるとおり、実施例1〜3で得られた加熱調理用耐熱性紙材及び加熱調理用耐熱性紙容器では、ラミネート層の厚みのムラや、ラミネート層への異物の有無について、いずれも「○」又は「△」となり、優れた結果となった。他方で、比較例1で得られた加熱調理用耐熱性紙材及び加熱調理用耐熱性紙容器では、ラミネート層への異物の有無や吐出安定性が「×」であり、ラミネート層への異物形成や吐出安定性の面で劣る結果となった。ここで、吐出安定性を悪化させる因子の一つとして、押出機ホッパーにおけるポリブチレンテレフタレート樹脂粒子のブリッジングが挙げられ、通常、安息角の大きい材料ほどブリッジングが起こり易い。しかしながら、表1の実施例及び比較例では、安息角と吐出安定性には相関性が見られていないため、ポリブチレンテレフタレート粗粒子とポリブチレンテレフタレート細粒子の含有量を本発明の範囲内とすることで、安息角の大きい材料であってもブリッジングを抑制でき、吐出安定性を高められることが推察される。
【0079】
従って、本発明によれば、異物の形成がより少なく、厚みのムラのより小さなラミネート層を有する加熱調理用耐熱性紙材や、それを用いた加熱調理用耐熱性紙容器を、より安定した生産状態で得られることが推察される。
【0080】
[加熱調理用耐熱性紙容器の加熱料理特性]
また、実施例1〜3で得られた加熱調理用耐熱性紙容器について、市販の家庭用ケーキ生地(日本製粉社製ケーキミックスM520)を該ケーキ生地の調理指示に従って調理したものを、得られた加熱調理用耐熱性紙容器に充填し、該ケーキ生地の調理指示に従って200℃で18分間焼成した後、空調室(23℃,50%RH)にて1日放置した。
【0081】
その結果、加熱調理後の容器は、加熱調理前の容器の容器に対して、形状の変形が認められず、また、ポリブチレンテレフタレート樹脂層の表面における艶や光沢性、平滑性についても変化が生じなかった。また、加熱調理後の容器や、焼成後のケーキ生地から、ポリブチレンテレフタレート樹脂に特有のテトラヒドロフラン臭は認められなかった。
【0082】
従って、本発明によれば、高温での加熱調理後の容器の形状、表面性状の保持に優れ、食品へのポリマー臭の移行がなく、高温での加熱調理用の耐熱性容器として好適な、加熱調理用耐熱性紙材や加熱調理用耐熱性紙容器を得られることも推察される。
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子のうち、粒径が1.4mm超8.0mm以下の画分からなるポリブチレンテレフタレート粗粒子の表面の少なくとも一部に、前記ポリブチレンテレフタレート細粒子が付着している、請求項1又は2に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂粒子。
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂粒子のうち、ポリブチレンテレフタレート粗粒子及びポリブチレンテレフタレート細粒子のいずれにも該当しない粒径の粒子の含有量が10質量ppm以下である、請求項3に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂粒子。