【解決手段】セラミックスからなる静電チャック部材2と、金属からなる温度調整用ベース部材3と、温度調整用ベース部材3内に挿入され、静電チャック部材2に設けられた静電吸着用電極13に電圧を印加する給電用端子16と、を備える静電チャック装置1であって、静電吸着用電極13と給電用端子16は導電性接着層17を介して接続され、導電性接着層17は、炭素繊維と樹脂を含み、炭素繊維のアスペクト比が100以上である静電チャック装置1。
セラミックスからなる静電チャック部材と、金属からなる温度調整用ベース部材と、前記温度調整用ベース部材内に挿入され、前記静電チャック部材に設けられた静電吸着用電極に電圧を印加する給電用端子と、を備える静電チャック装置であって、
前記静電吸着用電極と前記給電用端子は導電性接着層を介して接続され、
前記導電性接着層は、炭素繊維と樹脂を含み、
前記炭素繊維のアスペクト比が100以上である静電チャック装置。
前記導電性接着層は、室温での体積抵抗率が1000Ω・cm以下、150℃でのせん断強度が1MPa以上10MPa以下、歪量が100%以上400%以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の静電チャック装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の静電チャック装置の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0018】
(第1の実施形態)
<静電チャック装置>
以下、
図1を参照しながら、本実施形態に係る静電チャック装置について説明する。
なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率等は適宜異ならせてある。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態の静電チャック装置を示す断面図である。
図1に示すように、静電チャック装置1は、円板状の静電チャック部材2と、静電チャック部材2を所望の温度に調整する円板状の温度調節用ベース部材3と、これら静電チャック部材2および温度調整用ベース部材3を接合・一体化する接着剤層4と、を有している。
以下の説明においては、載置板11の載置面11a側を「上」、温度調整用ベース部材3側を「下」として記載し、各構成の相対位置を表すことがある。
【0020】
[静電チャック部材]
静電チャック部材2は、上面が半導体ウエハ等の板状試料を載置する載置面11aとされたセラミックスからなる載置板11と、載置板11の載置面11aとは反対の面側に設けられた支持板12と、これら載置板11と支持板12との間に挟持された静電吸着用電極13と、載置板11と支持板12とに挟持され静電吸着用電極13の周囲を囲む環状の絶縁材14と、静電吸着用電極13に接するように温度調節用ベース部材3の固定孔15内に設けられた給電用端子16と、を有している。
【0021】
[載置板]
載置板11の載置面11aには、半導体ウエハ等の板状試料を支持するための多数の突起が立設され(図示略)ている。さらに、載置板11の載置面11aの周縁部には、ヘリウム(He)等の冷却ガスが漏れないように、この周縁部を一周するように、断面四角形状の環状突起部が設けられていてもよい。さらに、この載置面11a上の環状突起部に囲まれた領域には、環状突起部と高さが同一であり横断面が円形状かつ縦断面が略矩形状の複数の突起部が設けられていてもよい。
【0022】
載置板11を構成するセラミックスとしては、体積固有抵抗値が10
13Ω・cm以上かつ10
15Ω・cm以下程度であり、機械的な強度を有し、しかも腐食性ガスおよびそのプラズマに対する耐久性を有するものであれば特に制限されるものではない。このようなセラミックスとしては、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)焼結体、窒化アルミニウム(AlN)焼結体、酸化アルミニウム(Al
2O
3)−炭化ケイ素(SiC)複合焼結体等が好適に用いられる。
【0023】
載置板11の厚さは、0.3mm以上かつ3.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以上かつ1.5mm以下であることがより好ましい。載置板11の厚さが0.3mm以上であれば、耐電圧性に優れる。一方、載置板11の厚さが3.0mm以下であれば、静電チャック部材2の静電吸着力が低下することがなく、載置板11の載置面11aに載置される板状試料と温度調整用ベース部材3との間の熱伝導性が低下することもなく、処理中の板状試料の温度を好ましい一定の温度に保つことができる。
【0024】
[支持板]
支持板12は、載置板11と静電吸着用電極13を下側から支持している。
【0025】
支持板12は、載置板11を構成するセラミックスと同様の材料からなる。
支持板12の厚さは、0.3mm以上かつ3.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以上かつ1.5mm以下であることがより好ましい。支持板12の厚さが0.3mm以上であれば、充分な耐電圧を確保することができる。一方、支持板12の厚さが3.0mm以下であれば、静電チャック部材2の静電吸着力が低下することがなく、載置板11の載置面11aに載置される板状試料と温度調整用ベース部材3との間の熱伝導性が低下することもなく、処理中の板状試料の温度を好ましい一定の温度に保つことができる。
【0026】
[静電吸着用電極]
静電吸着用電極13では、電圧を印加することにより、載置板11の載置面11aに板状試料を保持する静電吸着力が生じる。
【0027】
静電吸着用電極13を構成する材料としては、チタン、タングステン、モリブデン、白金等の高融点金属、グラファイト、カーボン等の炭素材料、炭化ケイ素、窒化チタン、炭化チタン等の導電性セラミックス等が好適に用いられる。これらの材料の熱膨張係数は、載置板11の熱膨張係数に出来るだけ近似していることが望ましい。
【0028】
静電吸着用電極13の厚さは、5μm以上かつ200μm以下であることが好ましく、10μm以上かつ100μm以下であることがより好ましい。静電吸着用電極13の厚さが5μm以上であれば、充分な導電性を確保することができる。一方、静電吸着用電極13の厚さが200μm以下であれば、載置板11の載置面11aに載置される板状試料と温度調整用ベース部材3との間の熱伝導性が低下することがなく、処理中の板状試料の温度を望ましい一定の温度に保つことができる。また、プラズマ透過性が低下することがなく、安定にプラズマを発生させることができる。
【0029】
静電吸着用電極13は、スパッタ法や蒸着法等の成膜法、あるいはスクリーン印刷法等の塗工法により容易に形成することができる。
【0030】
[絶縁材]
絶縁材14は、静電吸着用電極13を囲繞して腐食性ガスおよびそのプラズマから静電吸着用電極13を保護するためのものである。
絶縁材14は、載置板11および支持板12と同一組成、または主成分が同一の絶縁性材料から構成されている。絶縁材14により、載置板11と支持板12とが、静電吸着用電極13を介して接合一体化されている。
【0031】
[給電用端子]
給電用端子16は、静電吸着用電極13に電圧を印加するためのものである。
給電用端子16の数、形状等は、静電吸着用電極13の形態、すなわち単極型か、双極型かにより決定される。
【0032】
給電用端子16の材料は、耐熱性に優れた導電性材料であれば特に制限されるものではない。給電用端子16の材料としては、熱膨張係数が静電吸着用電極13および支持板12の熱膨張係数に近似したものであることが好ましく、例えば、コバール合金、ニオブ(Nb)等の金属材料、各種の導電性セラミックスが好適に用いられる。
【0033】
[導電性接着層]
導電性接着層17は、温度調節用ベース部材3の固定孔15内および支持板12の貫通孔18内に設けられている。また、導電性接着層17は、静電吸着用電極13と給電用端子16の間に介在して、静電吸着用電極13と給電用端子16を電気的に接続している。
【0034】
導電性接着層17を構成する導電性接着剤は、炭素繊維と樹脂を含む。
【0035】
樹脂としては、熱応力により凝集破壊を起こし難いものであれば特に限定されず、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポシキ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、伸縮度が高く、熱応力の変化によって凝集破壊し難い点から、シリコーン樹脂が好ましい。
【0036】
炭素繊維は、アスペクト比(繊維長/繊維径)が100以上であり、125以上であることが好ましく、175以上であることがより好ましい。
炭素繊維のアスペクト比が100未満では、導電性接着層17中の炭素繊維の接触点が充分に確保できずに、体積抵抗率を充分に低くできないため好ましくない。
【0037】
炭素繊維は、アスペクト比(繊維長/繊維径)が220以下であることが好ましく、210以下であることがより好ましく、200以下であることがさらに好ましい。
炭素繊維のアスペクト比が220以下であれば、導電性接着剤層17中の炭素繊維同士の接触点を充分に確保できるために、必要とする体積抵抗率を得ることができるため好ましい。
【0038】
炭素繊維は、繊維径が10nm以上200nm以下であることが好ましく、50nm以上150nm以下であることがより好ましく、75nm以上125nm以下であることがさらに好ましい。
炭素繊維径が10nm以上200nm以下であれば、炭素繊維同士の接触点を充分に確保できるため、必要とする体積抵抗率を有する導電性接着層17を得ることができる。また、炭素繊維径が10nm未満では、繊維径が小さ過ぎるために、炭素繊維同士の接触点が形成され難く、必要とする体積抵抗率を得ることができない。一方、炭素繊維径が200nmを超えると、炭素繊維同士が凝集しやすく、繊維の凝集体として存在するために、炭素繊維同士が接触していない領域が発生し、結果として、必要とする体積抵抗率を得ることができない。
【0039】
炭素繊維は、繊維長が5μm以上200μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることがさらに好ましい。
炭素繊維の繊維長が5μm以上200μm以下であれば、炭素繊維が鎖状につながり、少ない添加量でも必要とする体積抵抗率を有する導電性接着層17を得ることができる。また、炭素繊維の繊維長が5μm未満では、繊維長が短すぎて、充分な導電性を得られるようなパスがつながらない。従って、必要とする体積抵抗率が得られず好ましくない。一方、炭素繊維の繊維長が200μmを超えると、炭素繊維の長さが長すぎるため、炭素繊維同士が凝集しやすく、繊維の凝集体として存在するために、炭素繊維同士が接触していない領域が発生し、結果として、必要とする体積抵抗率を得ることができない。
【0040】
本実施形態の静電チャック装置1では、炭素繊維の繊維径および繊維長を、例えば、走査型電子顕微鏡(商品名:JSM−7500F、日本電子社製)を用いて、100検体測定し、その平均値とする。
【0041】
導電性接着層17における炭素繊維の含有量は、4体積%以上15体積%以下であることが好ましく、5体積%以上13体積%以下であることがより好ましく、8体積%以上12体積%以下であることがさらに好ましい。
導電性接着層17における炭素繊維の含有量が4体積%以上であれば、導電性接着層17中の導電パスが充分に形成され、導電性接着層17の体積抵抗率を小さくすることができるため好ましい。一方、導電性接着層17における炭素繊維の含有量が15体積%を超えると、導電性接着剤の粘度が急激に上昇するので好ましくない。これは、炭素繊維の含有量が15体積%を超えると、繊維の形状が針状であることから繊維同士の摩擦が大きくなることに加え、繊維が絡み付く確率が格段に向上するために、接着剤の粘性が上昇すると考えられる。
【0042】
導電性接着層17は、室温(23℃)での体積抵抗率が1000Ω・cm以下であることが好ましく、100Ω・cm以下であることがより好ましく、10Ω・cm以下であることがさらに好ましい。
導電性接着層17の室温での体積抵抗率が1000Ω・cm以下であれば、静電吸着用電極13に充分な電圧を印加することが可能である。また、導電性接着層17の室温での体積抵抗率が1000Ω・cmを超えると、体積抵抗率が高すぎるため、導電性接着層17が発熱し、熱の特異点が発生するため好ましくない。
【0043】
導電性接着層17の体積抵抗率は、以下のようにして測定される。
四フッ化エチレン樹脂基板上に、硬化後の厚さが1mm、面積が4cm
2となるように、導電性接着剤を塗布して塗膜を形成した後、その塗膜を150℃で1時間加熱して、硬化させる。
硬化後の塗膜(導電性接着層17)について、例えば、低抵抗抵抗率計(商品名:ロレスタ−GX MCP−T700、三菱ケミカルアナリテック社製)を用いて、体積抵抗率を測定する。導電性接着層17の体積抵抗率を5回測定し、その平均値を算出し、導電性接着層17の体積抵抗率とする。
【0044】
導電性接着層17は、150℃でのせん断強度が1MPa以上10MPa以下であることが好ましく、1MPa以上5MPa以下であることがより好ましく、1MPa以上3MPa以下であることがさらに好ましい。
導電性接着層17の150℃でのせん断強度が1MPa以上であれば、導電性接着層17の凝集破壊を起こすことを抑制することができる。一方、導電性接着層17の150℃でのせん断強度が10MPa以下であれば、導電性が得られる充分な炭素繊維を含有することになるので、必要とする体積抵抗率を有することができる。
【0045】
導電性接着層17のせん断強度は、実施例に示す方法により測定される。
【0046】
導電性接着層17は、歪量が100%以上400%以下であることが好ましく、150%以上400%以下であることがより好ましく、200%以上370%以下であることがさらに好ましい。
導電性接着層17の歪量が100%以上400%以下であれば、導電性接着層17の凝集破壊を起こすことを抑制することができる。導電性接着層17の歪量が100%未満であれば、徐々に樹脂が硬化し、凝集破壊を起こす。歪量が400%を超える導電性接着層17は、炭素繊維の添加量が少ないために、必要とする体積抵抗率を有することができない。
【0047】
導電性接着層17の歪量は、実施例に示す方法により測定される。
【0048】
[温度調整用ベース部材]
温度調整用ベース部材3は、金属およびセラミックスの少なくとも一方からなる厚みのある円板状のものである。温度調整用ベース部材3の躯体は、プラズマ発生用内部電極を兼ねた構成とされている。温度調整用ベース部材3の躯体の内部には、水、Heガス、N
2ガス等の冷却媒体を循環させる流路21が形成されている。
【0049】
温度調整用ベース部材3の躯体は、外部の高周波電源22に接続されている。また、温度調整用ベース部材3の固定孔15内には、その外周が絶縁材料23により囲繞された給電用端子16が、絶縁材料23を介して固定されている。給電用端子16は、外部の直流電源24に接続されている。
【0050】
温度調整用ベース部材3を構成する材料は、熱伝導性、導電性、加工性に優れた金属、またはこれらの金属を含む複合材であれば特に制限されるものではない。温度調整用ベース部材3を構成する材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレス鋼(SUS)、チタン(Ti)等が好適に用いられる。
温度調整用ベース部材3における少なくともプラズマに曝される面は、アルマイト処理またはポリイミド系樹脂による樹脂コーティングが施されていることが好ましい。また、温度調整用ベース部材3の全面が、前記のアルマイト処理または樹脂コーティングが施されていることがより好ましい。
【0051】
温度調整用ベース部材3にアルマイト処理または樹脂コーティングを施すことにより、温度調整用ベース部材3の耐プラズマ性が向上するとともに、異常放電が防止される。したがって、温度調整用ベース部材3の耐プラズマ安定性が向上し、また、温度調整用ベース部材3の表面傷の発生も防止することができる。
【0052】
[接着剤層]
接着剤層4は、静電チャック部2と、冷却用ベース部3とを接着一体化するものである。
【0053】
接着剤層4の厚さは、100μm以上かつ200μm以下であることが好ましく、130μm以上かつ170μm以下であることがより好ましい。
接着剤層4の厚さが上記の範囲内であれば、静電チャック部2と冷却用ベース部3との間の接着強度を十分に保持することができる。また、静電チャック部2と冷却用ベース部3との間の熱伝導性を十分に確保することができる。
【0054】
接着剤層4は、例えば、シリコーン系樹脂組成物を加熱硬化した硬化体、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等で形成されている。
シリコーン系樹脂組成物は、シロキサン結合(Si−O−Si)を有するケイ素化合物であり、耐熱性、弾性に優れた樹脂であるので、より好ましい。
【0055】
このようなシリコーン系樹脂組成物としては、特に、熱硬化温度が70℃〜140℃のシリコーン樹脂が好ましい。
ここで、熱硬化温度が70℃を下回ると、静電チャック部2と冷却用ベース部3とを対向させた状態で接合する際に、接合過程で硬化が十分に進まないことから、作業性に劣ることになるため好ましくない。一方、熱硬化温度が140℃を超えると、静電チャック部2および冷却用ベース部3との熱膨張差が大きく、静電チャック部2と冷却用ベース部3との間の応力が増加し、これらの間で剥離が生じることがあるため好ましくない。
【0056】
シリコーン樹脂としては、硬化後のヤング率が8MPa以下の樹脂が好ましい。ここで、硬化後のヤング率が8MPaを超えると、接着剤層4に昇温、降温の熱サイクルが負荷された際に、静電チャック部2と冷却用ベース部3との間の熱膨張差を吸収することができず、接着剤層4の耐久性が低下するため、好ましくない。
【0057】
接着剤層4には、平均粒径が1μm以上かつ30μm以下であり、好ましくは1μm以上かつ20μm以下であり、さらに好ましくは1μm以上かつ10μm以下である無機酸化物、無機窒化物、無機酸窒化物からなるフィラー、例えば、窒化アルミニウム(AlN)粒子の表面に酸化ケイ素(SiO
2)からなる被覆層が形成された表面被覆窒化アルミニウム(AlN)粒子が含有されていることが好ましい。
表面被覆窒化アルミニウム(AlN)粒子は、シリコーン樹脂の熱伝導性を改善するために混入されたもので、その混入率を調整することにより、接着剤層4の熱伝達率を制御することができる。
【0058】
すなわち、表面被覆窒化アルミニウム(AlN)粒子の混入率を高めることにより、接着剤層4を構成する有機系接着剤の熱伝達率を大きくすることができる。
また、窒化アルミニウム(AlN)粒子の表面に酸化ケイ素(SiO
2)からなる被覆層が形成されているので、表面被覆が施されていない単なる窒化アルミニウム(AlN)粒子と比較して優れた耐水性を有している。したがって、シリコーン系樹脂組成物を主成分とする接着剤層4の耐久性を確保することができ、その結果、静電チャック装置1の耐久性を飛躍的に向上させることができる。
【0059】
表面被覆窒化アルミニウム(AlN)粒子は、窒化アルミニウム(AlN)粒子の表面が、優れた耐水性を有する酸化ケイ素(SiO
2)からなる被覆層により被覆されているので、窒化アルミニウム(AlN)が大気中の水により加水分解されることがなく、窒化アルミニウム(AlN)の熱伝達率が低下することもなく、接着剤層4の耐久性が向上する。
なお、表面被覆窒化アルミニウム(AlN)粒子は、半導体ウエハ等の板状試料Wへの汚染源となることもなく、この点からも好ましいフィラーということができる。
【0060】
また、この接着剤層4は、ヤング率が1GPa以下で、柔軟性(ショア硬さがA100以下)を有する熱硬化型アクリル樹脂接着剤で形成されていてもよい。この場合は、フィラーは含有していてもよく、含有していなくてもよい。
【0061】
本実施形態の静電チャック装置1によれば、静電吸着用電極13と給電用端子16は導電性接着層17を介して接続され、導電性接着層17は、炭素繊維と樹脂を含み、炭素繊維のアスペクト比が100以上であるため、導電性接着層17における炭素繊維の含有量が少なくても、高導電性で、かつせん断応力に強い(すなわち、せん断応力に追従する、軟らかい状態を保つ)導電性接着層17が得られる。従って、長期にわたって、繰り返し使用による導電性接着層17の凝集破壊を防止する静電チャック装置1が得られる。
【0062】
以下、本実施形態の静電チャック装置の製造方法について説明する。
まず、酸化アルミニウム−炭化ケイ素(Al
2O
3−SiC)複合焼結体または酸化イットリウム(Y
2O
3)焼結体により、載置板11および支持板12となる一対の板状体を作製する。
例えば、炭化ケイ素粉末および酸化アルミニウム粉末を含む混合粉末または酸化イットリウム粉末を所望の形状に成形して成形体とし、その後、その成形体を1400℃〜2000℃程度の温度、非酸化性雰囲気下、好ましくは不活性雰囲気下にて所定時間、焼成することにより、一対の板状体を得ることができる。
【0063】
次いで、支持板12となる板状体に、導電性接着層17を形成するための貫通孔18を形成し、この貫通孔18に導電性接着剤を充填する。
次いで、導電性接着剤を介して、支持板12となる板状体に給電用端子16を接合する。このとき、導電性接着剤を加熱し、硬化させて、導電性接着層17を形成する。
次いで、給電用端子16が接合された板状体の表面の所定領域に、給電用端子16に接触するように、上述した導電性セラミックス等の導電材料を有機溶媒に分散した静電吸着用内部電極形成用塗布液を塗布し乾燥して、静電吸着用内部電極形成層とし、さらに、この板状体上の静電吸着用内部電極形成層を形成した領域以外の領域に、この板状体と同一組成または主成分が同一の粉末材料を含む絶縁材層を形成する。
【0064】
次いで、一方の板状体上に形成した静電吸着用内部電極形成層および絶縁材層の上に、他方の板状体を重ね合わせ、これらを高温、高圧下にてホットプレスして一体化する。このホットプレスにおける雰囲気は、真空、あるいはAr、He、N
2等の不活性雰囲気が好ましい。
また、ホットプレスにおける一軸加圧の際の圧力は5MPa〜10MPaであることが好ましく、温度は1400℃〜1850℃であることが好ましい。
【0065】
このホットプレスにより、静電吸着用内部電極形成層が焼成されて導電性複合焼結体からなる静電吸着用内部電極13となり、同時に、2つの板状体がそれぞれ載置板11および支持板12となって、静電吸着用内部電極13および絶縁材層14と接合一体化され、静電チャック部2となる。
【0066】
次いで、冷却用ベース部3の一主面3aの所定領域に、シリコーン系樹脂組成物からなる接着剤を塗布する。ここで、接着剤の塗布量を、静電チャック部2と冷却用ベース部3とが接合一体化できるように調整する。
この接着剤の塗布方法としては、ヘラ等を用いて手動で塗布する他、バーコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
【0067】
冷却用ベース部3の一主面3aに接着剤を塗布した後、静電チャック部2と、接着剤を塗布した冷却用ベース部3とを重ね合わせる。
また、立設した給電用端子16を、冷却用ベース部3中に穿孔された固定孔15に挿入し嵌め込む。
次いで、静電チャック部2を冷却用ベース部3に対して所定の圧力にて押圧し、静電チャック部2と冷却用ベース部3を接合一体化する。これにより、静電チャック部2と冷却用ベース部3が接着剤層4を介して接合一体化されたものとなる。
【0068】
以上により、静電チャック部2および冷却用ベース部3は、接着剤層4を介して接合一体化された本実施形態の静電チャック装置1が得られる。
【0069】
なお、本実施形態に係る板状試料としては、半導体ウエハに限るものではなく、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ等の平板型ディスプレイ(FPD)用ガラス基板等であってもよい。また、その基板の形状や大きさに合わせて本実施形態の静電チャック装置を設計すればよい。
【0070】
(2)第2の実施形態
<静電チャック装置>
図2は、本実施形態の静電チャック装置を示す断面図である。なお、
図2において、
図1に示した第1の実施形態の静電チャック装置と同一の構成には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図2に示す静電チャック装置100は、円板状の静電チャック部材2と、静電チャック部材2を所望の温度に調整する円板状の温度調節用ベース部材3と、これら静電チャック部材2および温度調整用ベース部材3を接合・一体化する接着剤層4と、を有している。
【0071】
本実施形態の静電チャック装置100が、上述の第1の実施形態の静電チャック装置1と異なる点は、
図2に示すように、支持板12の貫通孔18内において、導電性接着層17と静電吸着用電極13の間に、静電吸着用電極側給電用端子110が介在している点である。
【0072】
静電吸着用電極側給電用端子110は、給電用端子16と同様の材質からなる。
【0073】
静電吸着用電極側給電用端子110の厚みは、特に限定するものではないが、支持板12の厚み以下であり、好ましくは静電チャック部材2と同一平面内にあることである。また、静電吸着用電極側給電用端子110は、静電吸着用電極13と給電用端子16の導通を確保するためのものであるので、導電性接着層17を用いた場合は、導電性並びに熱応力緩和性に優れるため、静電吸着用電極側給電用端子110を省略してもよい。
なお、静電吸着用電極側給電用端子110が支持板12より飛び出ている場合、冷却用ベース3と接着する際に接触し破損する等施工性に劣るため、好ましくない。
【0074】
本実施形態の静電チャック装置100によれば、導電性接着層17と静電吸着用電極13の間に、静電吸着用電極側給電用端子110が介在しているため、導電性接着層17における炭素繊維の含有量が少なくても、高導電性で、かつせん断応力に強い(すなわち、せん断応力に追従する、軟らかい状態を保つ)導電性接着層17が得られる。従って、長期にわたって、繰り返し使用による導電性接着層17の凝集破壊を防止する静電チャック装置100が得られる。
【実施例】
【0075】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0076】
「実施例1」
(導電性接着剤の作製)
シリコーン樹脂(商品名:TSE−3221、モメンティブパフォーマンスマテリアルジャパン社製)96体積%に、カーボンナノチューブ(CNT、繊維径:80nm、繊維長10μm、アスペクト比(繊維長/繊維径):125)を4体積%添加し、このシリコーン樹脂とカーボンナノチューブの組成物を、自公転式攪拌機(商品名:あわとり練太郎、シンキー社製)にて、10分混練して、実施例1の導電性接着剤を得た。
なお、カーボンナノチューブの繊維径および繊維長を、走査型電子顕微鏡(商品名:JSM−7500F、日本電子社製)を用いて、100検体測定し、その平均値とした。
【0077】
(導電性接着層の体積抵抗率の測定)
四フッ化エチレン樹脂基板上に、硬化後の厚さが1mm、面積が4cm
2となるように、導電性接着剤を塗布して塗膜を形成した後、その塗膜を150℃で1時間加熱して、硬化させた。
硬化後の塗膜(導電性接着層)について、低抵抗抵抗率計(商品名:ロレスタ−GX MCP−T700、三菱ケミカルアナリテック社製)を用いて、体積抵抗率を測定した。塗膜の体積抵抗率を5回測定し、その平均値を算出した。塗膜の体積抵抗率を測定する際の環境温度を室温(23℃)とした。結果を表1に示す。
【0078】
(導電性接着層のせん断強度および歪量の測定)
図3に示すように、長さ(
図3に示すA)60mm、幅(
図3に示すB)25mm、厚さ(
図3に示すC)4.9mmの長方形板状の2枚の被着体200,200を、上記の導電性接着剤からなる導電性接着層300を介して接着した。
2枚の被着体200,200を、導電性接着剤を介して重ねた後、導電性接着剤を150℃で1時間加熱して、硬化させて、導電性接着層300とするとともに、導電性接着層300を介して、2枚の被着体200,200を接着し、せん断試験用試料400とした。
導電性接着層300の長さ(
図3に示すD)を8mm、幅(
図3に示すB)を25mm、厚さ(
図3に示すE)を0.2mmとした。
せん断試験用試料400を、引張試験機(商品名:5582型万能材料試験機、インストロン社製)を用いて、
図3に示す矢印方向(せん断試験用試料400の厚さ方向と垂直な方向)に、引張速度1mm/minで引っ張って、導電性接着層300が破断するまでの応力−歪曲線を求めた。せん断試験用試料400を引っ張る際の環境温度を150℃とした。
導電性接着層300のせん断強度を、応力−歪曲線を求める測定における応力の最大値とした。導電性接着剤の歪量を、応力−歪曲線を求める測定における変位量(せん断試験用試料400の厚さ方向と垂直な方向における、導電性接着層300の変位量)と導電性接着層300の厚さから算出し、応力−歪曲線を求める測定における応力の最大値における値を、導電性接着層300の歪量とした。結果を表1に示す。
【0079】
(静電チャック装置の作製)
公知の方法により、内部に厚み10μmの静電吸着用内部電極が埋設された静電チャック部材を作製した。
この静電チャック部材の載置板は、炭化ケイ素を8.5質量%含有する酸化アルミニウム−炭化ケイ素複合焼結体であり、直径は320mm、厚さは4.0mmの円板状であった。
また、支持板も載置板と同様、炭化ケイ素を8.5質量%含有する酸化アルミニウム−炭化ケイ素複合焼結体であり、直径は320mm、厚さは4.0mmの円板状であった。
【0080】
次いで、これら載置板および支持板を接合一体化することにより、静電チャック部材を作製した後、この静電チャック部材の全体の厚さを1.0mm、かつ載置板の表面を平坦面に研磨加工した。
【0081】
一方、直径350mm、高さ25mmのアルミニウム製の温度調節用ベース部材を機械加工により作製した。この温度調節用ベース部材の内部には冷媒を循環させる流路を形成した。
【0082】
次いで、支持板に貫通孔を形成し、この貫通孔に導電性接着剤を充填した。
次いで、導電性接着剤を介して、支持板に給電用端子を接合した。このとき、導電性接着剤を150℃で1時間加熱して、導電性接着剤を硬化させ、導電性接着層を形成した。
次いで、温度調節用ベース部材の一主面の所定領域に、シリコーン系樹脂組成物からなる接着剤を塗布した後、静電チャック部材と、接着剤を塗布した温度調節用ベース部材とを重ね合わせた。このとき、温度調整用ベース部材の固定孔に給電用端子を挿通した。
【0083】
次いで、静電チャック部材を温度調節用ベース部材に対して35kgの圧力で押圧し、50℃にて5時間保持した後、110℃にて12時間加熱し、静電チャック部材と温度調節用ベース部材を接合一体化した。
【0084】
次いで、載置板の表面を研磨加工することにより、この表面を平坦面とし、次いで、この表面にブラスト加工を施すことにより、この表面の周縁部に、幅500μm、高さ30μmの環状突起部を形成し、この表面のうち環状突起部に囲まれた領域に直径500μm、高さ30μmの円柱状の複数の突起部を、それぞれ形成した。これにより、この表面のうちブラスト加工により掘削された領域、すなわち環状突起部および複数の突起部を除く領域は、封止用媒体の流路となった。
以上の工程により、実施例1の静電チャック装置を得た。
【0085】
(静電チャック装置のヘリウムガスのリーク量の測定)
静電チャック装置を稼働させて、1000時間後の冷却ガスのヘリウムガスのリーク量が5sccm未満の場合を「○」、5sccm以上の場合を「×」と評価した。ヘリウムガスのリーク量を測定する際の環境温度を室温(23℃)とした。結果を表1に示す。
【0086】
「実施例2」
シリコーン樹脂(商品名:TSE−3221、モメンティブパフォーマンスマテリアルジャパン社製)96体積%に、カーボンナノチューブ(繊維径:120nm、繊維長23.4μm、アスペクト比(繊維長/繊維径):195)を4体積%添加したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の導電性接着剤を得た。
また、実施例1と同様にして、実施例2の導電性接着剤の体積抵抗率、並びに、実施例2の導電性接着層のせん断強度および歪量を測定した。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例2の静電チャック装置を作製し、静電チャック装置のヘリウムガスのリーク量を測定した。結果を表1に示す。
【0087】
「実施例3」
シリコーン樹脂(商品名:TSE−3221、モメンティブパフォーマンスマテリアルジャパン社製)90体積%に、カーボンナノチューブ(繊維径:120nm、繊維長23.4μm、アスペクト比(繊維長/繊維径):195)を10体積%添加したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の導電性接着剤を得た。
また、実施例1と同様にして、実施例3の導電性接着剤の体積抵抗率、並びに、実施例3の導電性接着層のせん断強度および歪量を測定した。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例3の静電チャック装置を作製し、静電チャック装置のヘリウムガスのリーク量を測定した。結果を表1に示す。
【0088】
「実施例4」
シリコーン樹脂(商品名:TSE−3221、モメンティブパフォーマンスマテリアルジャパン社製)85体積%に、カーボンナノチューブ(繊維径:120nm、繊維長23.4μm、アスペクト比(繊維長/繊維径):195)を15体積%添加したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の導電性接着剤を得た。
また、実施例1と同様にして、実施例4の導電性接着剤の体積抵抗率、並びに、実施例4の導電性接着層のせん断強度および歪量を測定した。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例4の静電チャック装置を作製し、静電チャック装置のヘリウムガスのリーク量を測定した。結果を表1に示す。
【0089】
「比較例1」
導電性接着剤として、エポキシ樹脂30体積%と球状の銀粒子70体積%とを含む導電性樹脂(商品名:デュラルコ120、太陽金網株式会社製)を用いた。
また、実施例1と同様にして、比較例1の導電性接着剤の体積抵抗率、並びに、比較例1の導電性接着層のせん断強度および歪量を測定した。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例1の静電チャック装置を作製し、静電チャック装置のヘリウムガスのリーク量を測定した。結果を表1に示す。
【0090】
「比較例2」
シリコーン樹脂(商品名:TSE−3221、モメンティブパフォーマンスマテリアルジャパン社製)96体積%に、カーボンナノチューブ(繊維径:150nm、繊維長8μm、アスペクト比(繊維長/繊維径):53)を4体積%添加したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の導電性接着剤を得た。
また、実施例1と同様にして、比較例2の導電性接着剤の体積抵抗率、並びに、比較例2の導電性接着層のせん断強度および歪量を測定した。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例2の静電チャック装置を作製し、静電チャック装置のヘリウムガスのリーク量を測定した。結果を表1に示す。
【0091】
「比較例3」
シリコーン樹脂(商品名:TSE−3221、モメンティブパフォーマンスマテリアルジャパン社製)80体積%に、カーボンナノチューブ(繊維径:120nm、繊維長23.4μm、アスペクト比(繊維長/繊維径):195)を20体積%添加して、シリコーン樹脂とカーボンナノチューブの組成物とした。
しかしながら、この組成物は、自公転式攪拌機では混練することができなかった。
また、この組成物は非常に硬く、静電チャック装置の当該箇所に均一に塗布することができなかった。
【0092】
「参考例」
シリコーン樹脂(商品名:TSE−3221、モメンティブパフォーマンスマテリアルジャパン社製)を150℃で1時間加熱して、硬化させた。
得られた硬化物について、実施例1と同様にして、体積抵抗率、並びに、せん断強度および歪量を測定した。結果を表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
表1の結果から、実施例1〜実施例4と比較例1〜比較例3を比較すると、実施例1〜実施例4は、繰り返し使用によるヘリウムガスのリーク量が少ないことから、繰り返し使用による導電性接着剤の凝集破壊が防止され、静電チャック装置の静電吸着力が低下することを防止できることが分かった。
【0095】
また、実施例3と実施例4を比較すると、これらの実施例の静電チャック装置の特性はほぼ同じであることが分かった。これは、針状のカーボンナノチューブ同士が接触することにより、導電性接着層におけるカーボンナノチューブの含有量が少なくても導電パスを形成するため、導電性接着層の体積抵抗率が低くなること、その体積抵抗率がカーボンナノチューブの含有量が10体積%と15体積%では、すでに飽和しているため、同等の結果が得られたと考えられる。
【0096】
また、実施例3および実施例4よりも、カーボンナノチューブの含有量が多い(20体積%)比較例3では、針状のカーボンナノチューブであるがゆえに、カーボンナノチューブ間の摩擦が大きくなることに加え、カーボンナノチューブ同士が絡み付きやすくなるため、組成物の粘度が急激に増大し、混合が不可能になったと考えられる。よって、所定の形成の導電性接着層を形成することができずに、評価ができなかった。
【0097】
また、実施例2と比較例2を比較すると、カーボンナノチューブの繊維径が同等であって、カーボンナノチューブのアスペクト比が小さく、導電性接着層におけるカーボンナノチューブの含有量が同等の場合には、アスペクト比が小さいカーボンナノチューブを用いた比較例2は、導電性接着層の体積抵抗率が高くなることが分かった。これは、カーボンナノチューブのアスペクト比がある程度大きくないと、充分な導電パスを形成することができないため、カーボンナノチューブのアスペクト比が小さい比較例2では、導電性接着層の体積抵抗率が高くなると想定される。
セラミックスからなる静電チャック部材と、金属からなる温度調整用ベース部材と、前記温度調整用ベース部材内に挿入され、前記静電チャック部材に設けられた静電吸着用電極に電圧を印加する給電用端子と、を備える静電チャック装置であって、
前記静電吸着用電極と前記給電用端子は導電性接着層を介して接続され、
前記導電性接着層は、炭素繊維と樹脂を含み、
前記炭素繊維のアスペクト比が100以上であり、
前記導電性接着層における前記炭素繊維の含有量は、4体積%以上15体積%以下である静電チャック装置。
前記導電性接着層は、室温での体積抵抗率が1000Ω・cm以下、150℃でのせん断強度が1MPa以上10MPa以下、歪量が100%以上400%以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の静電チャック装置。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、セラミックスからなる静電チャック部材と、金属からなる温度調整用ベース部材と、前記温度調整用ベース部材内に挿入され、前記静電チャック部材に設けられた静電吸着用電極に電圧を印加する給電用端子と、を備える静電チャック装置であって、前記静電吸着用電極と前記給電用端子は導電性接着層を介して接続され、前記導電性接着層は、炭素繊維と樹脂を含み、前記炭素繊維のアスペクト比が100以上であ
セラミックスからなる静電チャック部材と、金属からなる温度調整用ベース部材と、前記温度調整用ベース部材内に挿入され、前記静電チャック部材に設けられた静電吸着用電極に電圧を印加する給電用端子と、を備える静電チャック装置であって、
前記静電吸着用電極と前記給電用端子は導電性接着層を介して接続され、
前記導電性接着層は、炭素繊維と樹脂を含み、
前記炭素繊維のアスペクト比が100以上、200以下であり、
前記導電性接着層における前記炭素繊維の含有量は、4体積%以上15体積%以下であり、
前記導電性接着層は、150℃でのせん断強度が1MPa以上10MPa以下、歪量が100%以上400%以下である静電チャック装置。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、セラミックスからなる静電チャック部材と、金属からなる温度調整用ベース部材と、前記温度調整用ベース部材内に挿入され、前記静電チャック部材に設けられた静電吸着用電極に電圧を印加する給電用端子と、を備える静電チャック装置であって、前記静電吸着用電極と前記給電用端子は導電性接着層を介して接続され、前記導電性接着層は、炭素繊維と樹脂を含み、前記炭素繊維のアスペクト比が100以上