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特開2020-55715誘電体材料、誘電体材料の製造方法及び静電チャック装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-55715(P2020-55715A)
(43)【公開日】2020年4月9日
(54)【発明の名称】誘電体材料、誘電体材料の製造方法及び静電チャック装置
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/117 20060101AFI20200313BHJP
   C04B 35/645 20060101ALI20200313BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20200313BHJP
【FI】
   C04B35/117
   C04B35/645
   H01L21/68 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-188375(P2018-188375)
(22)【出願日】2018年10月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】日▲高▼ 宣浩
(72)【発明者】
【氏名】木村 直人
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA03
5F131EA03
5F131EB11
5F131EB15
5F131EB72
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB81
5F131EB82
5F131EB84
5F131KA23
5F131KA54
(57)【要約】      (修正有)
【課題】静電チャックの均熱性を向上できる誘電体材料、この誘電体材料の製造方法、及び静電チャック装置の提供。
【解決手段】金属酸化物を主相とする複合焼結体からなる誘電体材料であって、前記複合焼結体は、複数の結晶粒が略同方向に配向しており、前記結晶粒の短軸方向の長さは0.1μm以上1.0μm以下であり、長軸方向の長さが0.2μm以上10μm以下であり、且つアスペクト比(長軸方向の長さ/短軸方向の長さ)が、2以上であることを特徴とする、誘電体材料。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物を主相とする複合焼結体からなる誘電体材料であって、
前記複合焼結体は、複数の結晶粒が略同方向に配向しており、
前記結晶粒の短軸方向の長さは0.1μm以上1.0μm以下であり、長軸方向の長さが0.2μm以上10μm以下であり、且つアスペクト比(長軸方向の長さ/短軸方向の長さ)が、2以上であることを特徴とする、誘電体材料。
【請求項2】
前記金属酸化物が酸化アルミニウムである、請求項1に記載の誘電体材料。
【請求項3】
前記複合焼結体が副相として炭化ケイ素を含む、請求項1又は2に記載の誘電体材料。
【請求項4】
前記複合焼結体のCuKα線を使用した粉末X線回折測定において、回折角2θが68°付近に存在する(113)回折ピークに対する、64.5°付近に存在する(110)回折ピークの強度比(I110/I113)が0.5以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の誘電体材料。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の誘電体材料の製造方法であって、
主相である金属酸化物を含む混合物を得る工程と、
前記混合物を一軸加圧下で焼結させる焼結工程を含み、前記焼結工程をホットフォージ法により行い、20MPaを超える加圧条件のもとで行う、誘電体材料の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の誘電体材料を形成材料とし、一主面が板状試料を載置する載置面である基体と、
前記基体において前記載置面とは反対側、または前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極と、を備える静電チャック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体材料、誘電体材料の製造方法及び静電チャック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラズマ工程を実施する半導体製造装置では、試料台に簡単に板状試料(ウエハ)を取付けて、固定することができるとともに、そのウエハを所望の温度に維持することができる静電チャック装置が用いられている。
静電チャック装置の誘電体層には、配向アルミナ焼結体が用いられることがある(特許文献1を参照)。
【0003】
近年、半導体を用いたデバイスは高集積化される傾向にある。そのため、デバイスの製造時には、配線の微細加工技術や三次元実装技術が必要とされている。このような加工技術を実施するにあたり、半導体製造装置には、ウエハの面内温度分布の差(換言すればウエハのプラズマ照射面とウエハ固定面との温度差)を低減させることが求められる。そのためウエハを固定する静電チャック部材には、温度制御のためウエハ裏面にヘリウムガスが流される。温度制御のため、流されるヘリウムガスのガス圧は増加する傾向にある。その一方、ウエハを固定するために高い吸着力(誘電率)が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2017/057273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、誘電率を高くすると、損失係数(誘電率×誘電正接)が大きくなり、高周波透過性が低下してしまう。そうすると、静電チャックを構成する誘電層がプラズマを吸収して発熱し、静電チャックの均熱性が担保できないという課題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、静電チャックの均熱性を向上できる誘電体材料、この誘電体材料の製造方法、及び静電チャック装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、下記[1]〜[6]の発明を包含する。
[1]金属酸化物を主相とする複合焼結体からなる誘電体材料であって、前記複合焼結体は、複数の結晶粒が略同方向に配向しており、前記結晶粒の短軸方向の長さは0.1μm以上1.0μm以下であり、長軸方向の長さが0.2μm以上10μm以下であり、且つアスペクト比(長軸方向の長さ/短軸方向の長さ)が、2以上であることを特徴とする、誘電体材料。
[2]前記金属酸化物が酸化アルミニウムである、[1]に記載の誘電体材料。
[3]前記複合焼結体が副相として炭化ケイ素を含む、[1]又は[2]に記載の誘電体材料。
[4]前記複合焼結体のCuKα線を使用した粉末X線回折測定において、回折角2θが68°付近に存在する(113)回折ピークに対する、64.5°付近に存在する(110)回折ピークの強度比(I110/I113)が0.5以上である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の誘電体材料。
[5][1]〜[4]のいずれか1つに記載の誘電体材料の製造方法であって、主相である金属酸化物を含む混合物を得る工程と、前記混合物を一軸加圧下で焼結させる焼結工程を含み、前記焼結工程をホットフォージ法により行い、20MPaを超える加圧条件のもとで行う、誘電体材料の製造方法。
[6][1]〜[4]のいずれか1つに記載の誘電体材料を形成材料とし、一主面が板状試料を載置する載置面である基体と、前記基体において前記載置面とは反対側、または前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極と、を備える静電チャック装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、静電チャックの均熱性を向上できる誘電体材料、この誘電体材料の製造方法、及び静電チャック装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の静電チャック装置を示す断面図である。
図2】実施例1の誘電体材料のSEM像である。
図3】比較例1の誘電体材料のSEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<誘電体材料>
本実施形態の誘電体材料は金属酸化物を主相とする複合焼結体からなる。前記複合焼結体は、複数の結晶粒が略同方向に配向している。
結晶粒の短軸方向の長さは0.1μm以上1.0μm以下であり、長軸方向の長さが0.2μm以上10μm以下であり、且つアスペクト比(長軸方向の長さ/短軸方向の長さ)が、2以上であることを特徴とする。
【0010】
≪複合焼結体≫
本実施形態に用いる複合焼結体としては、金属酸化物からなる焼結体であってもよく、金属酸化物と他の成分との複合焼結体であってもよい。本実施形態においては、金属酸化物と炭化ケイ素との複合焼結体であることが好ましい。
本実施形態に用いる複合焼結体の結晶粒は扁平形状であることが好ましい。さらに、結晶粒の短軸方向の長さは0.1μm以上1.0μm以下である。本実施形態においては、結晶粒の短軸方向の長さは0.15μm以上が好ましく、0.18μm以上がより好ましく、0.2μm以上が特に好ましい。また、結晶粒の短軸方向の長さは0.8μm以下が好ましく、0.7μm以下がより好ましく、0.5μm以下が特に好ましい。
上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
【0011】
本実施形態に用いる複合焼結体の結晶粒の長軸方向の長さは、0.2μm以上10μm以下である。本実施形態においては、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましく、2.0μm以上が特に好ましい。また、8μm以下が好ましく、6μm以下がより好ましく、5μm以下が特に好ましい。
上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
【0012】
本実施形態に用いる複合焼結体の結晶粒のアスペクト比は2以上であり、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、20以上が特に好ましい。
【0013】
本実施形態において、「長軸方向の長さ」、「短軸方向の長さ」は、以下の方法により算出できる。
SEMを使用し、複合焼結体の断面を結晶粒が視認可能な倍率で観察する。観察されるそれぞれの結晶粒について、幅が最大となる方向での幅の最大値を「長軸方向の長さ」とする。そして、「長軸方向の長さ」と直交する方向の最大値を「短軸方向の長さ」とし、「長軸方向の長さ」と「短軸方向の長さ」の平均値を算出する。
【0014】
本実施形態において、複数の結晶粒は略同方向に配向している。
「略同方向に配向」とは、例えば後述するような円板状を呈する本実施形態の複合焼結体を厚み方向で切断した断面において、断面を結晶粒が視認可能な倍率で観察した場合に、結晶粒の長軸方向が、略同方向に配向していることを指す。
なお、本実施形態に用いる複合焼結体を平面視方向から観察した場合には、結晶粒は中心から外側に向かって放射状に配向していてもよい。
【0015】
複数の結晶粒が略同方向に配向していることにより、面内方向の熱伝導率が面間方向の熱伝導率に比べて高く、面内方向の均熱が促進される。
ここで、「面内方向」とは、結晶粒が広がる二次元方向を意味する。「面間方向」とは、結晶粒の積層方向を意味する。
【0016】
本実施形態に用いる金属酸化物としては、酸化アルミニウム(Al)、酸化イットリウム(Y)、ムライト(3Al・2SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化スカンジウム(Sc)、酸化ネオジム(Nd)、酸化ニオブ(Nb)、酸化サマリウム(Sm)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化エルビウム(Er)、酸化セリウム(CeO)の群から選択された1種のみからなる金属、または2種以上を混合してなる混合物を例示することができる。
【0017】
本実施形態においては、金属酸化物は上記の中でも酸化アルミニウムが好ましい。
【0018】
本実施形態においては、複合焼結体は、副相として炭化ケイ素を含むことが好ましい。
複合焼結体に含まれる炭化ケイ素(SiC)は、α−SiC型の結晶構造を有する結晶粒(以下、α−SiC粒)と、β−SiC型の結晶構造を有する結晶粒(以下、β−SiC粒)とを有する。
【0019】
本実施形態の複合焼結体において、副相であるSiCの結晶粒は、金属酸化物の結晶粒が焼結してなる主相の、結晶粒界および結晶粒内に分散している。
【0020】
本実施形態の複合焼結体において、SiCの含有率は、金属酸化物100質量部に対し、1質量部以上かつ20質量部以下が好ましく、5質量部以上かつ10質量部以下がより好ましい。
【0021】
本実施形態の複合焼結体は、CuKα線を使用した粉末X線回折測定において、回折角2θが68°付近に存在する(113)回折ピークに対する、64.5°付近に存在する(110)回折ピークの強度比(I110/I113)が0.5以上であることが好ましく、0.7以上がより好ましく、1.0以上が特に好ましい。
回折ピークの強度比(I110/I113)が上記の範囲であると、より扁平な結晶粒であり、面内方向の均熱が促進される複合焼結体となる。
【0022】
<誘電体材料の製造方法>
本実施形態の誘電体材料の製造方法は、主相である金属酸化物を含む混合物を得る工程と、前記混合物を一軸加圧下で焼結させる焼結工程を含む。本実施形態において、焼結工程はホットフォージ法により行う。任意の工程として、プレ酸化工程を有していてもよい。
【0023】
[混合物を得る工程]
主相である金属酸化物を含む混合物を得る工程としては、例えば主相である金属酸化物と、副相材料とを、超音波ホモジナイザー、ビーズミル、超高圧粉砕機等の分散機を用いて分散媒中で分散処理することにより混合することが好ましい。
【0024】
なお、主相である金属酸化物と、副相材料を均一に混合していないと、複合化して得られる複合焼結体中のSiC粒子の分布が不均一となり、電気的特性の再現性およびその焼結体内での均一性が悪化するおそれがある。そのため、分散媒や分散剤、分散処理条件を適宜選定して均一に混合することが好ましい。なお、SiC粒子の分布は単一の粒子が凝集した2次粒子径の分布が均一となっていればよい。
【0025】
分散媒中で分散した絶縁性粒子とSiC粒子はスプレードライヤーなどの乾燥装置を使用して複合粒子とする。
【0026】
[任意工程:プレ酸化工程]
なお、本実施形態に係る誘電体材料の製造方法では、用いる炭化ケイ素粒子について、酸化性雰囲気下で加熱処理を施し、予め炭化ケイ素粒子の表面を酸化処理する工程を有するとよい。以下、上記酸化処理のことを「プレ酸化」と称する。
【0027】
プレ酸化の温度条件は、例えば300℃以上500℃以下が好ましい。プレ酸化温度が300℃以上であると、炭化ケイ素粒子の表面を酸化可能となる。また、プレ酸化温度が500℃以下であると、炭化ケイ素粒子の表面の酸化が進行し過ぎることがない。例えば、酸化温度を600℃以上とすると、炭化ケイ素粒子の表面の酸化が進行し過ぎる結果、粒子表面の酸化膜を介して炭化ケイ素粒子同士が結合し、粗大化するおそれがある。
【0028】
プレ酸化の時間は、10時間以上が好ましい。プレ酸化の時間が10時間未満である場合、酸化が十分に進行しにくい。プレ酸化の時間が長時間(例えば50時間)となっても構わないが、一定の酸化膜量が形成された後は、酸化膜量はほぼ変化しない。そのため、プレ酸化の時間は、例えば10時間以上20時間以下が好ましい。
【0029】
炭化ケイ素粒子をプレ酸化処理することにより、炭化ケイ素粒子の親水性が高まる。これにより、スラリー中での炭化ケイ素粒子の分散性が向上する。
【0030】
[焼結工程]
上記工程で得られた混合物を一軸加圧下で焼結させて、複合焼成物を得る工程は、ホットフォージ法により行う。
焼成工程は、ホットフォージ法により行う本焼成工程を必須工程とし、本焼成工程の前に任意の仮焼成工程を有していてもよい。
【0031】
・仮焼成工程
仮焼成工程は、本焼成工程よりも低い温度で焼結し、仮焼成工程が終了した段階で、焼結体の相対密度が95%以上まで緻密化する条件で焼結することが好ましい。
仮焼結工程の焼結温度としては1300℃以上1700℃以下とすることが好ましく、1400℃以上1700℃以下とすることがより好ましい。また、焼結を十分に行うため、1時間以上保持することが好ましい。
その際、焼結体のプレス圧は、20MPa以上であることが好ましく、30MPa以上であることがより好ましい。
【0032】
・本焼成工程
本焼成工程は、ホットフォージ法により実施する。具体的には、一軸方向に加圧する際に、加圧方向とは直交する方向においては保持せずに開放しながら加圧する。このように加圧することにより、加圧軸に対して結晶粒の長軸が垂直方向に配列する結晶粒を製造できる。
なお、焼成工程はダイスを利用したホットフォージ法でも実施することは可能である。この場合には、焼結する温度において塑性変形する材料を選定すればよい。
【0033】
ホットフォージ法における焼結条件としては、圧力は、20MPaを超える加圧条件のもとに行い、25MPa以上が好ましく、30MPa以上がより好ましい。
上記の圧力で一軸加圧しながら焼結することにより、アスペクト比が高い結晶粒にすることができる。
【0034】
本焼成工程の焼結温度は、1750℃以上1900℃以下とすることが好ましい。
また、昇温速度は、2℃/分以上10℃/分以下が好ましく、3℃/分以上5℃/分以下がより好ましい。
上記した焼結温度に保持する時間は、30分間以上10時間以下が好ましく、1時間以上8時間以下がより好ましい。
【0035】
焼成工程をホットフォージ法により行うことにより、結晶粒の短軸方向の長さと長軸方向の長さ、及びアスペクト比を本発明の範囲内に制御できる。さらに、ホットフォージ法により行うことにより、焼結体の結晶粒を扁平形状に制御できる。
【0036】
<静電チャック装置>
以下、図1を参照しながら、本実施形態に係る静電チャック装置について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
【0037】
図1は、本実施形態の静電チャック装置を示す断面図である。本実施形態の静電チャック装置1は、一主面(上面)側を載置面とした平面視円板状の静電チャック部2と、この静電チャック部2の下方に設けられて静電チャック部2を所望の温度に調整する厚みのある平面視円板状の温度調節用ベース部3と、を備えている。また、静電チャック部2と温度調節用ベース部3とは、静電チャック部2と温度調節用ベース部3の間に設けられた接着剤層8を介して接着されている。
以下、順に説明する。
【0038】
(静電チャック部)
静電チャック部2は、上面を半導体ウエハ等の板状試料Wを載置する載置面11aとした載置板11と、この載置板11と一体化され該載置板11の底部側を支持する支持板12と、これら載置板11と支持板12との間に設けられた静電吸着用電極13および静電吸着用電極13の周囲を絶縁する絶縁材層14と、を有している。載置板11および支持板12は、本発明における「基体」に該当する。本実施形態の静電チャック装置が備える基体は、前記本発明の誘電体材料を形成材料とする。
【0039】
載置板11および支持板12は、重ね合わせた面の形状を同じくする円板状の部材である。載置板11および支持板12は、機械的な強度を有し、かつ腐食性ガスおよびそのプラズマに対する耐久性を有するセラミックス焼結体からなる。載置板11および支持板12について、詳しくは後述する。
【0040】
載置板11の載置面11aには、直径が板状試料の厚みより小さい突起部11bが複数所定の間隔で形成され、これらの突起部11bが板状試料Wを支える。
【0041】
載置板11、支持板12、静電吸着用電極13および絶縁材層14を含めた全体の厚み、即ち、静電チャック部2の厚みは、一例として0.7mm以上かつ5.0mm以下である。
【0042】
例えば、静電チャック部2の厚みが0.7mmを下回ると、静電チャック部2の機械的強度を確保することが難しくなる。静電チャック部2の厚みが5.0mmを上回ると、静電チャック部2の熱容量が大きくなり、載置される板状試料Wの熱応答性が劣化し、静電チャック部の横方向の熱伝達の増加により、板状試料Wの面内温度を所望の温度パターンに維持することが難しくなる。なお、ここで説明した各部の厚さは一例であって、前記範囲に限るものではない。
【0043】
静電吸着用電極13は、電荷を発生させて静電吸着力で板状試料Wを固定するための静電チャック用電極として用いられるもので、その用途によって、その形状や、大きさが適宜調整される。
【0044】
静電吸着用電極13は、酸化アルミニウム−炭化タンタル(Al−Ta)導電性複合焼結体、酸化アルミニウム−炭化モリブデン(Al−MoC)導電性複合焼結体、酸化アルミニウム−タングステン(Al−W)導電性複合焼結体、酸化アルミニウム−炭化ケイ素(Al−SiC)導電性複合焼結体、窒化アルミニウム−タングステン(AlN−W)導電性複合焼結体、窒化アルミニウム−タンタル(AlN−Ta)導電性複合焼結体、酸化イットリウム−モリブデン(Y−Mo)導電性複合焼結体等の導電性セラミックス、あるいは、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の高融点金属により形成されることが好ましい。
【0045】
静電吸着用電極13の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、0.1μm以上かつ100μm以下の厚みを選択することができ、5μm以上かつ20μm以下の厚みがより好ましい。
【0046】
静電吸着用電極13の厚みが0.1μmを下回ると、充分な導電性を確保することが難しくなる。静電吸着用電極13の厚みが100μmを越えると、静電吸着用電極13と載置板11および支持板12との間の熱膨張率差に起因し、静電吸着用電極13と載置板11および支持板12との接合界面にクラックが入り易くなる。
【0047】
このような厚みの静電吸着用電極13は、スパッタ法や蒸着法等の成膜法、あるいはスクリーン印刷法等の塗工法により容易に形成することができる。
【0048】
絶縁材層14は、静電吸着用電極13を囲繞して腐食性ガスおよびそのプラズマから静電吸着用電極13を保護するとともに、載置板11と支持板12との境界部、すなわち静電吸着用電極13以外の外周部領域を接合一体化するものであり、載置板11および支持板12を構成する材料と同一組成または主成分が同一の絶縁材料により構成されている。
【0049】
(温度調整用ベース部)
温度調節用ベース部3は、静電チャック部2を所望の温度に調整するためのもので、厚みのある円板状のものである。この温度調節用ベース部3としては、例えば、その内部に冷媒を循環させる流路3Aが形成された液冷ベース等が好適である。
【0050】
この温度調節用ベース部3を構成する材料としては、熱伝導性、導電性、加工性に優れた金属、またはこれらの金属を含む複合材であれば特に制限はない。例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銅(Cu)、銅合金、ステンレス鋼(SUS) 等が好適に用いられる。この温度調節用ベース部3の少なくともプラズマに曝される面は、アルマイト処理が施されているか、あるいは酸化アルミニウム(Al、アルミナ)等の絶縁膜が成膜されていることが好ましい。以下、本明細書においては、酸化アルミニウムを「Al」として示す。
【0051】
温度調節用ベース部3の上面側には、接着層6を介して絶縁板7が接着されている。接着層6はポリイミド樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂等の耐熱性、および、絶縁性を有するシート状またはフィルム状の接着性樹脂からなる。接着層は例えば厚み5〜100μm程度に形成される。絶縁板7はポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの耐熱性を有する樹脂の薄板、シートあるいはフィルムからなる。
【0052】
なお、絶縁板7は、樹脂シートに代え、絶縁性のセラミック板でもよく、またAl等の絶縁性を有する溶射膜でもよい。
【0053】
(フォーカスリング)
フォーカスリング10は、温度調節用ベース部3の周縁部に載置される平面視円環状の部材である。フォーカスリング10は、例えば、載置面に載置されるウエハと同等の電気伝導性を有する材料を形成材料としている。このようなフォーカスリング10を配置することにより、ウエハの周縁部においては、プラズマに対する電気的な環境をウエハと略一致させることができ、ウエハの中央部と周縁部とでプラズマ処理の差や偏りを生じにくくすることができる。
【0054】
(その他の部材)
静電吸着用電極13には、静電吸着用電極13に直流電圧を印加するための給電用端子15が接続されている。給電用端子15は、温度調節用ベース部3、接着剤層8、支持板12を厚み方向に貫通する貫通孔16の内部に挿入されている。給電用端子15の外周側には、絶縁性を有する碍子15aが設けられ、この碍子15aにより金属製の温度調節用ベース部3に対し給電用端子15が絶縁されている。
【0055】
図では、給電用端子15を一体の部材として示しているが、複数の部材が電気的に接続して給電用端子15を構成していてもよい。給電用端子15は、熱膨張係数が互いに異なる温度調節用ベース部3および支持板12に挿入されているため、例えば、温度調節用ベース部3および支持板12に挿入されている部分について、それぞれ異なる材料で構成することとするとよい。
【0056】
給電用端子15のうち、静電吸着用電極13に接続され、支持板12に挿入されている部分(取出電極)の材料としては、耐熱性に優れた導電性材料であれば特に制限されるものではないが、熱膨張係数が静電吸着用電極13および支持板12の熱膨張係数に近似したものが好ましい。例えば、Al−TaCなどの導電性セラミック材料からなる。
【0057】
給電用端子15のうち、温度調節用ベース部3に挿入されている部分は、例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、コバール合金等の金属材料からなる。
【0058】
これら2つの部材は、柔軟性と耐電性を有するシリコン系の導電性接着剤で接続するとよい。
【0059】
静電チャック部2の下面側には、ヒータエレメント5が設けられている。ヒータエレメント5は、一例として、厚みが0.2mm以下、好ましくは0.1mm程度の一定の厚みを有する非磁性金属薄板、例えばチタン(Ti)薄板、タングステン(W)薄板、モリブデン(Mo)薄板等をフォトリソグラフィー法やレーザー加工により所望のヒータ形状、例えば帯状の導電薄板を蛇行させた形状の全体輪郭を円環状に加工することで得られる。
【0060】
このようなヒータエレメント5は、静電チャック部2に非磁性金属薄板を接着した後に、静電チャック部2の表面で加工成型することで設けてもよく、静電チャック部2とは異なる位置でヒータエレメント5を加工成形したものを、静電チャック部2の表面に転写印刷することで設けてもよい。
【0061】
ヒータエレメント5は、厚みの均一な耐熱性および絶縁性を有するシート状またはフィルム状のシリコン樹脂またはアクリル樹脂からなる接着層4により支持板12の底面に接着・固定されている。
【0062】
ヒータエレメント5には、ヒータエレメント5に給電するための給電用端子17が接続されている。給電用端子17を構成する材料は先の給電用端子15を構成する材料と同等の材料を用いることができる。給電用端子17は、それぞれ温度調節用ベース部3に形成された貫通孔3bを貫通するように設けられている。
【0063】
また、ヒータエレメント5の下面側には温度センサー20が設けられている。本実施形態の静電チャック装置1では、温度調節用ベース部3と絶縁板7を厚さ方向に貫通するように設置孔21が形成され、これらの設置孔21の最上部に温度センサー20が設置されている。なお、温度センサー20はできるだけヒータエレメント5に近い位置に設置することが望ましいため、図に示す構造から更に接着剤層8側に突き出るように設置孔21を延在して形成し、温度センサー20とヒータエレメント5とを近づけることとしてもよい。
【0064】
温度センサー20は一例として石英ガラス等からなる直方体形状の透光体の上面側に蛍光体層が形成された蛍光発光型の温度センサーであり、この温度センサー20が透光性および耐熱性を有するシリコン樹脂系接着剤等によりヒータエレメント5の下面に接着されている。
【0065】
蛍光体層は、ヒータエレメント5からの入熱に応じて蛍光を発生する材料からなる。蛍光体層の形成材料としては、発熱に応じて蛍光を発生する材料であれば多種多様の蛍光材料を選択できる。蛍光体層の形成材料は、一例として、発光に適したエネルギー順位を有する希土類元素が添加された蛍光材料、AlGaAs等の半導体材料、酸化マグネシウム等の金属酸化物、ルビーやサファイア等の鉱物を挙げることができ、これらの材料の中から適宜選択して用いることができる。
【0066】
ヒータエレメント5に対応する温度センサー20はそれぞれ給電用端子などと干渉しない位置であってヒータエレメント5の下面周方向の任意の位置にそれぞれ設けられている。
【0067】
これらの温度センサー20の蛍光からヒータエレメント5の温度を測定する温度計測部22は、一例として、温度調節用ベース部3の設置孔21の外側(下側)に前記蛍光体層に対し励起光を照射する励起部23と、蛍光体層から発せられた蛍光を検出する蛍光検出器24と、励起部23および蛍光検出器24を制御するとともに前記蛍光に基づき主ヒータの温度を算出する制御部25とから構成されている。
【0068】
さらに、静電チャック装置1は、温度調節用ベース部3から載置板11までをそれらの厚さ方向に貫通するように設けられたピン挿通孔28を有している。このピン挿通孔28には、板状試料離脱用のリフトピンが挿通される。ピン挿通孔28の内周部には筒状の碍子29が設けられている。
【0069】
さらに、静電チャック装置1は、温度調節用ベース部3から載置板11までをそれらの厚さ方向に貫通するように設けられた不図示のガス穴を有している。ガス穴は、例えばピン挿通孔28と同様の構成を採用することができる。ガス穴には、板状試料Wを冷却するための冷却ガスが供給される。冷却ガスは、ガス穴を介して載置板11の上面において複数の突起部11bの間に形成される溝19に供給され、板状試料Wを冷却する。
静電チャック装置1は、以上のような構成となっている。
【実施例】
【0070】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0071】
(熱伝導率)
熱伝導率は、レーザーフラッシュ法による熱拡散率の測定結果と、DSC法による比熱の測定結果とから算出した。
【0072】
(均熱性)
均熱性を評価するための試験体として、直径350mm×1mm厚の焼結体を作製し、試験体とした。詳しくは、直径350mmで厚さが1mmより厚い焼結体を作製した後に、表面を平面研削加工することで厚さを調節し、1mm厚の焼結体(試験体)を得た。
【0073】
得られた均熱性評価用の試験体を、ヒータを有する直径350mmの第1金属板と、直径350mmの第2金属板とで挟持した。
【0074】
加熱板を用いて試験体を加熱し、試験体の温度を加熱板側が高く、冷却板側が低くなるように温度勾配を与えた。加熱開始から5分後に、試験板の熱の流れが定常状態になったと考え、冷却板側の試験体の表面3カ所の温度を測定した。
【0075】
測定位置は、試験体の中心部(座標位置0,0)、試験体の中心部から270°方向に−160mm(座標位置−160,0)、中心部から90°方向に160mm(160,0)とした。
【0076】
3カ所の温度測定位置において、測定温度の最大値と最小値との差が5℃以内であれば、均熱性が良好であるとして評価した。また、測定温度の最大値と最小値との差が5℃を超える場合、均熱性が不良であるとして評価した。良好の場合を「〇」、不良の場合を「×」として表1に記載する。
【0077】
(結晶相の分析)
X線回折装置(PANalytial社製、機種名X’Pert PRO MPD)を用い、粉末X線回折法により、結晶相の同定を行った。
この際、アルミナのc軸に平行な面である(110)の回折線の強度を(113)面の回折線強度を基準とした(I110/I113)を配向性の指標とした。
【0078】
(結晶粒の粒径測定)
本実施例においては、複合焼結体の表面を3μmのダイヤモンドペーストで鏡面研磨した後、アルゴン雰囲気下、1400℃で30分サーマルエッチングを施した。
得られた複合焼結体の表面を、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー株式会社製、型番:S−4000)を用いて、拡大倍率10000倍で組織観察を行った。
【0079】
上記電子顕微鏡写真を画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(Mac−View Version4)に取り込み、200個以上の結晶粒の短軸方向の長さと、長軸方向の長さを算出させた。得られた各結晶粒の短軸方向の長さと、長軸方向の長さの算術平均値を、求める「短軸方向の長さ」又は「長軸方向の長さ」とした。
【0080】
(実施例1)
・混合物を得る工程
出発原料として、平均粒子径が30μmであり熱プラズマCVDで合成されたβ−SiC型の炭化ケイ素(β−SiC)粒子と、平均粒子径が0.15μmの酸化アルミニウム(Al)粒子とを用いた。
【0081】
β−SiC粒子とAl粒子との全体量に対し、β−SiC粒子が8.5質量%となるように秤量し、分散剤が入った蒸留水に投入した。β−SiC粒子とAl粒子とを投入した分散液について、超音波分散装置にて分散処理の後、2流粒子衝突型の粉砕混合装置を用いて粉砕混合した。
【0082】
得られた混合溶液について、スラリーに硝酸を添加し、スラリーのpHを6.5に調整した。
【0083】
pHを調整したスラリーをスプレードライ装置にて噴霧乾燥させ、β−SiCとAlとの混合粒子とした。
【0084】
・焼結工程
以下の実施例・比較例においては、ダイスを使用しないホットフォージを用いた。 混合工程で得た混合粒子をプレス圧8MPaで一軸プレス成形し、直径320mm×15mm厚の成形体とした。プレス圧を加えることなく500℃まで昇温させ、水分および分散剤(夾雑物)を除去した。その後、夾雑物を除去した成形体を大気中400℃に加熱し、成形体に含まれるβ−SiC粒子の表面を酸化した。得られた成形体を直径400mmの黒鉛製スペーサーで挟み、モールドを使用せずに加圧焼結を実施した。加圧焼結は、まず、成形体を、真空雰囲気下、プレス圧を加えることなく1200℃まで昇温させた。その後、アルゴン雰囲気下、プレス圧20MPa、1820℃で焼結を行い、実施例1の焼結体を得た。
【0085】
図2は、実施例1の複合焼結体についてSEM(Scanning Electron Microscope、走査型電子顕微鏡)像であり、複合焼結体の断面研磨後、表面をサーマルエッチングした面についての像である。
【0086】
実施例1の複合焼結体について、組成、焼結温度、焼結方法、焼結工程における圧力、結晶粒の短軸方向の長さ、長軸方向の長さ、アスペクト比、I110/I113、熱伝導率及び均熱性評価について、表1に記載する。
【0087】
(実施例2)
焼成工程において、圧力を40MPaに変更した以外は実施例1と同様の方法により、複合焼結体を製造した。
【0088】
実施例2の複合焼結体について、組成、焼結温度、焼結方法、焼結工程における圧力、結晶粒の短軸方向の長さ、長軸方向の長さ、アスペクト比、I110/I113、熱伝導率及び均熱性評価について、表1に記載する。
【0089】
(実施例3)
金属酸化物として酸化アルミニウムを用いた以外は実施例1と同様の方法により、複合焼結体を製造した。
【0090】
実施例3の複合焼結体について、組成、焼結温度、焼結方法、焼結工程における圧力、結晶粒の短軸方向の長さ、長軸方向の長さ、アスペクト比、I110/I113、熱伝導率及び均熱性評価について、表1に記載する。
【0091】
(比較例1)
焼成工程において、圧力を40MPaとし、ホットプレス法に変更した以外は実施例1と同様の方法により、複合焼結体を製造した。
具体的な条件は下記の通りである。
混合工程で得た混合粒子をプレス圧8MPaで一軸プレス成形し、直径320mm×15mm厚の成形体とした。プレス圧を加えることなく500℃まで昇温させ、水分および分散剤(夾雑物)を除去した。その後、夾雑物を除去した成形体を大気中400℃に加熱し、成形体に含まれるβ−SiC粒子の表面を酸化した。
【0092】
得られた成形体を黒鉛製のモールドにセットし、加圧焼結を行った。まず、成形体を、真空雰囲気下、プレス圧を加えることなく1200℃まで昇温させた。その後、アルゴン雰囲気下、プレス圧40MPa、1820℃で焼結を行い、比較例1の焼結体を得た。
【0093】
比較例1の複合焼結体について、組成、焼結温度、焼結方法、焼結工程における圧力、結晶粒の短軸方向の長さ、長軸方向の長さ、アスペクト比、I110/I113、熱伝導率及び均熱性評価について、表1に記載する。
【0094】
図3は、比較例1の複合焼結体についてSEM(Scanning Electron Microscope、走査型電子顕微鏡)であり、複合焼結体の断面研磨後、表面をサーマルエッチングした面についての像である。
【0095】
(比較例2)
焼成工程において、圧力を20MPaに変更した以外は実施例1と同様の方法により、複合焼結体を製造した。
【0096】
比較例2の複合焼結体について、組成、焼結温度、焼結方法、焼結工程における圧力、結晶粒の短軸方向の長さ、長軸方向の長さ、アスペクト比、I110/I113、熱伝導率及び均熱性評価について、表1に記載する。
【0097】
【表1】
【0098】
上記表1に示す結果の通り、本発明を適用した実施例1〜3は、結晶粒のアスペクト比が高く、扁平形状であった。このような複合焼結体を用いた実施例1〜3は、面内方向の熱伝導率が面間方向の熱伝導率に比べて高く、均熱性が良好であった。
これに対し、本発明を適せず、焼結工程をホットプレスにより実施した比較例1と、20MPaの加圧条件で実施した比較例2は、アスペクト比が小さく、粒状の結晶粒であって。このような複合焼結体を用いた比較例1〜2は、面内方向の熱伝導率と、面間方向の熱伝導率が同程度であり、均熱性が良好ではなかった。
【0099】
図2に示す結果の通り、実施例1の複合焼結体は、扁平形状の結晶粒であることが確認できた。これに対し、図3に示す結果の通り、比較例1の複合焼結体は、粒状の結晶粒であった。
【符号の説明】
【0100】
1…静電チャック装置、11…載置板(基体)、11a…載置面、12…支持板(基体)、13…静電吸着用電極、W…板状試料
図1
図2
図3