特開2020-66538(P2020-66538A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2020-66538リチウム金属複合酸化物の余剰リチウム量の評価方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-66538(P2020-66538A)
(43)【公開日】2020年4月30日
(54)【発明の名称】リチウム金属複合酸化物の余剰リチウム量の評価方法
(51)【国際特許分類】
   C01G 53/00 20060101AFI20200403BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20200403BHJP
【FI】
   C01G53/00 A
   H01M4/525
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-198692(P2018-198692)
(22)【出願日】2018年10月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 治朗
(72)【発明者】
【氏名】中野内 将三
(72)【発明者】
【氏名】小向 哲史
【テーマコード(参考)】
4G048
5H050
【Fターム(参考)】
4G048AA04
4G048AA08
4G048AB01
4G048AC06
4G048AD03
4G048AE05
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA08
5H050FA17
5H050GA15
5H050GA27
5H050GA28
(57)【要約】
【課題】余剰リチウム量を精度良く評価できるリチウム金属複合酸化物の余剰リチウム量の評価方法を提供する。
【解決手段】リチウム金属複合酸化物粒子を炭酸ガス雰囲気下に置き、前記リチウム金属複合酸化物粒子が含む水酸化リチウムを炭酸化する炭酸化工程と、
前記炭酸化工程後のリチウム金属複合酸化物粒子のトータルカーボン量である炭酸化後TCを測定するトータルカーボン量評価工程と、
前記炭酸化後TCから、前記リチウム金属複合酸化物粒子の余剰リチウム量を算出する余剰リチウム量算出工程と、を有するリチウム金属複合酸化物の余剰リチウム量の評価方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム金属複合酸化物粒子を炭酸ガス雰囲気下に置き、前記リチウム金属複合酸化物粒子が含む水酸化リチウムを炭酸化する炭酸化工程と、
前記炭酸化工程後のリチウム金属複合酸化物粒子のトータルカーボン量である炭酸化後TCを測定するトータルカーボン量評価工程と、
前記炭酸化後TCから、前記リチウム金属複合酸化物粒子の余剰リチウム量を算出する余剰リチウム量算出工程と、を有するリチウム金属複合酸化物の余剰リチウム量の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム金属複合酸化物の余剰リチウム量の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯電子機器の普及に伴い、高いエネルギー密度を有する小型で軽量な非水系電解質二次電池の開発が強く望まれている。また、ハイブリット自動車を始めとする電気自動車用の電池として高出力の二次電池の開発が強く望まれている。
【0003】
このような要求を満たす二次電池として、リチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池は、負極および正極と電解質等で構成され、負極および正極の活物質は、リチウムを脱離および挿入することの可能な材料が用いられている。
【0004】
リチウムイオン二次電池は、現在研究開発が盛んに行われているところであるが、中でも、層状またはスピネル型のリチウム金属複合酸化物を正極活物質に用いたリチウムイオン二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高いエネルギー密度を有する電池として実用化が進んでいる。
【0005】
これまで主に提案されている正極活物質としては、合成が比較的容易なリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)や、コバルトよりも安価なニッケルを用いたリチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)、マンガンを用いたリチウムマンガン複合酸化物(LiMn)などを挙げることができる。
【0006】
ところで、上述のようなリチウム金属複合酸化物は、例えばリチウム化合物と、前駆体である金属酸化物との混合物を焼成して作製され、焼成後のリチウム金属複合酸化物の表面には未反応の余剰リチウム化合物が存在している場合がある。そして、余剰リチウム化合物の残留量が多いと、正極活物質のペーストの安定性などに影響を与え、リチウムイオン二次電池作製時の生産性に影響を及ぼす場合がある。また、係る未反応の余剰リチウム化合物は、電池過充電時のガス発生量に影響を与える場合もある。
【0007】
このため、未反応余剰リチウム化合物残留量を精度よく定量評価することが重要となる。
【0008】
リチウム金属複合酸化物の余剰リチウム量の評価方法として、例えば特許文献1にはリチウムニッケル複合酸化物を溶液に添加してスラリー化した後、表面に存在するリチウム化合物がスラリー中の全アルカリ分であるとみなした上で、スラリーのpHを酸で滴定することによりアルカリ分(リチウム化合物)の量を求め、次いでそれからリチウム換算して求める旨開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2013−26199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示された評価方法によれば、リチウム−金属複合酸化物粒子表面あるいは粒界に存在する余剰リチウム化合物に加えて、リチウム−金属複合酸化物結晶内部から微量のリチウムが溶出し、定量評価結果に上乗せされることがあった。このため、真に粒子表面に存在する余剰リチウム化合物を正確には評価できない恐れがあった。
そこで上記従来技術が有する問題に鑑み、本発明の一側面では、余剰リチウム量を精度良く評価できるリチウム金属複合酸化物の余剰リチウム量の評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、リチウム金属複合酸化物粒子を炭酸ガス雰囲気下に置き、前記リチウム金属複合酸化物粒子が含む水酸化リチウムを炭酸化する炭酸化工程と、
前記炭酸化工程後のリチウム金属複合酸化物粒子のトータルカーボン量である炭酸化後TCを測定するトータルカーボン量評価工程と、
前記炭酸化後TCから、前記リチウム金属複合酸化物粒子の余剰リチウム量を算出する余剰リチウム量算出工程と、を有するリチウム金属複合酸化物の余剰リチウム量の評価方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、余剰リチウム量を精度良く評価できるリチウム金属複合酸化物の余剰リチウム量の評価方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
【0014】
本実施形態のリチウム金属複合酸化物の余剰リチウム量の評価方法は以下の工程を有することができる。
【0015】
リチウム金属複合酸化物粒子を炭酸ガス雰囲気下に置き、リチウム金属複合酸化物粒子が含む水酸化リチウムを炭酸化する炭酸化工程。
炭酸化工程後のリチウム金属複合酸化物粒子のトータルカーボン量である炭酸化後TCを測定するトータルカーボン量評価工程。
炭酸化後TCから、リチウム金属複合酸化物粒子の余剰リチウム量を算出する余剰リチウム量算出工程。
【0016】
本発明の発明者は、余剰リチウム量を精度良く評価できるリチウム金属複合酸化物の余剰リチウムの評価方法について鋭意検討を行った。
【0017】
通常、リチウム金属複合酸化物粒子の表面や粒界に、余剰リチウムは炭酸リチウム(LiCO)や、水酸化リチウム(LiOH)となって付着している。そして、本発明の発明者の検討によれば、リチウム金属複合酸化物粒子を炭酸ガス雰囲気下に置き、炭酸化を行うことで、リチウム金属複合酸化物粒子の表面や、粒界に付着した水酸化リチウムを選択的に炭酸化し、炭酸リチウムに変換できる。このため、炭酸化後のリチウム金属複合酸化物粒子の炭素含有量を評価することで、リチウム金属複合酸化物粒子の表面や粒界に予め付着していた炭酸リチウムと、リチウム金属複合酸化物粒子の表面や粒界に予め付着していた水酸化リチウムが炭酸化により変換された炭酸リチウムとの含有量の合計を評価、算出できる。そして、評価に当たってリチウム金属複合酸化物を水等の溶液に浸漬する必要がないため、リチウム金属複合酸化物の結晶内部からのリチウムの溶出も抑制できる。
【0018】
従って、評価、算出した炭酸化後の該炭酸リチウムの含有量から、リチウム金属複合酸化物の余剰リチウム量を精度良く評価できることを見出し、本発明を完成させた。
【0019】
以下、各工程について説明する。
【0020】
炭酸化工程では、リチウム金属複合酸化物粒子を炭酸ガス雰囲気下に置くことで、リチウム金属複合酸化物粒子の表面、あるいは粒界に存在する水酸化リチウムを炭酸化し、炭酸リチウムに変換することができる。
【0021】
炭酸化工程ではまず、例えばリチウム金属複合酸化物粒子を密閉容器内に配置し、該密閉容器内の空気を除去した後、炭酸ガス(二酸化炭素)を密閉容器内に充填することができる。
【0022】
用いる密閉容器としては特に限定されず、炭酸ガス等の気体の移動を規制することができる容器であれば良く、安価で取扱い性にも優れることから、例えばアルミニウムパウチ容器等のパウチ容器を好適に用いることができる。パウチ容器の場合、例えばパウチ容器内にリチウム金属複合酸化物粒子を配置した後、容器内の空気を手等により押し出すことにより容器内の空気を容易に除去できるため、係る観点からも好適に用いることができる。
【0023】
密閉容器のサイズや、密閉容器内に配置するリチウム金属複合酸化物粒子の量は特に限定されないが、リチウム金属複合酸化物粒子の表面等に存在する水酸化リチウムを炭酸化するために十分な量の炭酸ガスを供給できるように、容器のサイズや、容器内に配置するリチウム金属複合酸化物の量を選択することが好ましい。例えば、容器内に配置するリチウム金属複合酸化物粒子15gに対する、密閉容器内の最大体積の割合が100cm以上となるように選択することが好ましい。なお、リチウム金属複合酸化物粒子15gに対する、密閉容器の最大体積の割合の上限も特に限定されないが、過度に大きくする必要はないことから、例えば10000cm以下とすることが好ましい。ここでいう密閉容器の最大体積とは、密閉容器内に25℃、大気圧で気体を充填した場合に充填可能な最大の体積を意味する。
【0024】
炭酸化工程における炭酸ガス雰囲気とは、炭酸ガスを含有する雰囲気であれば良く、炭酸ガス濃度は特に限定されない。このため、密閉容器内に供給する炭酸ガスの濃度も特に限定されないが、リチウム金属複合酸化物粒子の表面等に存在する水酸化リチウムが炭酸ガス以外と反応することを抑制するため、供給する炭酸ガスの濃度は例えば80体積%以上とすることが好ましい。密閉容器内に供給する炭酸ガスの濃度の上限も特に限定されず、炭酸ガスのみから構成することもできることから100体積%以下とすることができる。
【0025】
なお、密閉容器内に炭酸ガスを供給する前に、密閉容器内の空気を除去しておくことが好ましいが、その程度についても特に限定されず、例えばパウチ容器を手で押圧し空気を容器から押し出す程度であっても良く、真空ポンプ等で空気を排気、除去しても良い。
【0026】
密閉容器内に炭酸ガスを供給した際の密閉容器内の気体の圧力、すなわち密閉容器内の炭酸ガス(炭酸含有ガス)の圧力についても特に限定されない。ただし、炭酸ガスの分圧を十分に高め、リチウム金属複合酸化物粒子の表面等に配置された水酸化リチウムとの反応性を高めるため、係る密閉容器内の気体の圧力は、0.9気圧以上であることが好ましく、1気圧以上であることがより好ましい。なお、密閉容器内の気体の圧力の上限は特に限定されないが、高くしようとすると密閉容器の耐圧性能を高める必要が生じるため、2気圧以下であることが好ましく、1.5気圧以下であることがより好ましい。
【0027】
そして、炭酸ガスを充填した容器を放置、もしくは振り混ぜることで炭酸化処理を行うことができる。なお、炭酸ガスを充填後、炭酸ガスの圧力を保持する時間は特に限定されないが、リチウム金属複合酸化物粒子の表面等に配置された水酸化リチウムの炭酸化を十分に進行させるため、例えば30秒以上は保持することが好ましい。ただし、過度に長い時間保持したとしても、炭酸化の程度に大きな差は生じないことから、炭酸ガスを充填後、炭酸ガスの圧力を保持する時間は1時間以下であることが好ましく5分以下であることがより好ましい。
【0028】
なお、炭酸化工程は、大気中の水分による影響を避けるため、乾燥空気の充填されたグローブボックス内で実施することが好ましい。この際、グローブボックスに用いる乾燥空気は脱炭酸化処理が施され、炭酸ガスの含有量が抑制されていることが好ましい。また、炭酸化工程を実施する温度は特に限定されないが、室温近傍、例えば10℃以上35℃以下で実施することが好ましい。
【0029】
そして、トータルカーボン量評価工程では、炭酸化工程後のリチウム金属複合酸化物粒子のトータルカーボン量である炭酸化後TC(トータルカーボン)を測定することができる。
【0030】
トータルカーボン量の測定は、全有機体炭素計(TOC:Total Organic Carbon)等により実施することができる。
【0031】
余剰リチウム量算出工程では、炭酸化後TCから、リチウム金属複合酸化物粒子の余剰リチウム量を算出できる。
【0032】
余剰リチウム量は、例えば以下の手順により算出することができる。
【0033】
測定した炭酸化後TCは質量として算出されるため、これをまず物質量に換算する。
【0034】
係る炭酸化後TCから換算して求めた炭素の物質量は、炭酸化工程後のリチウム金属複合酸化物粒子の表面等に存在する炭酸リチウム(LiCO)に含まれる炭素の物質量である。このため、係る炭酸化後TCから換算して求めた炭素の物質量を、炭酸化工程後にリチウム金属複合酸化物粒子の表面等に存在した炭酸リチウムの物質量とすることができる。
【0035】
そして、係る炭酸リチウムに含まれるリチウムが余剰リチウムであるから、該炭酸リチウムの物質量から余剰リチウムの物質量を算出することができる。
【0036】
なお、余剰リチウム量はリチウム金属複合酸化物粒子に占める余剰リチウムの質量割合で表されることが一般的である。そこで、算出した余剰リチウムの物質量をリチウムの質量に換算し、評価に供したリチウム金属複合酸化物粒子の質量に占める割合を算出することで、余剰リチウム量とすることができる。
【0037】
また、炭酸化を行う前のリチウム金属複合酸化物粒子のトータルカーボン量である炭酸化前TCも同様に全有機体炭素計により測定できる。このため、炭酸化後TCと、炭酸化前TCとを用いて例えば炭酸化工程前のリチウム金属複合酸化物粒子の表面等に水酸化リチウムとして付着、存在していた余剰リチウム量を算出することもできる。
【0038】
この場合、本実施形態のリチウム金属複合酸化物の余剰リチウム量の評価方法はさらに、以下の工程を有することもできる。
【0039】
炭酸化工程前のリチウム金属複合酸化物粒子のトータルカーボン量である炭酸化前TCを測定する炭酸化前トータルカーボン量評価工程。
炭酸化前TCから、炭酸化工程前のリチウム金属複合酸化物粒子が含有する炭酸リチウムに由来する余剰リチウム量を算出する炭酸リチウム由来余剰リチウム量算出工程。
【0040】
炭酸リチウム由来余剰リチウム量算出工程で算出した余剰リチウム量は、炭酸化工程前に炭酸リチウムとして存在した余剰リチウムの量となる。そして、上述の余剰リチウム量算出工程で算出した余剰リチウム量の内、炭酸リチウム由来余剰リチウム量算出工程で算出した余剰リチウム量を除いた残部は、炭酸化工程前に水酸化リチウムとして存在した余剰リチウム量となる。
【0041】
以上に説明した本実施形態のリチウム金属複合酸化物の余剰リチウムの評価方法によれば、リチウム金属複合酸化物の粒子の表面に付着した余剰リチウム量を精度良く評価することが可能になる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例を参照しながら本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
評価を行うリチウム金属複合酸化物粒子として、Li1.0Ni0.82Co0.15Al0.03で表されるリチウムニッケル複合酸化物の粒子を用意した。
【0043】
そして、脱炭酸化処理がなされた乾燥空気(露点−50℃以下)の充填されたグローブボックス内において、密閉容器である内部の最大体積が400cmであるアルミニウムパウチ内に、上記リチウムニッケル複合酸化物の粒子を15g入れ、容器内の空気を手で押し出した。
【0044】
次に、該密閉容器内に100体積%の炭酸ガスを供給し、密閉容器内の気体の圧力を1気圧とし、密閉した。密閉後、密閉容器を1分間手で振り、リチウムニッケル複合酸化物の粒子の表面等に配置された水酸化リチウムの炭酸化を行った(炭酸化工程)。なお、炭酸化工程は室温(25℃)で実施した。
【0045】
密閉容器内に炭酸ガスを供給してから30秒経過後、密閉容器を開け、炭酸ガスを系外に放出させた。密閉容器から回収したリチウムニッケル複合酸化物の粒子について、全有機体炭素計(LECO社製、型式:CS−600)を用いて、トータルカーボン量である炭酸化後TCを測定した(トータルカーボン量評価工程)。
【0046】
次に、測定した炭酸化後TCから、リチウムニッケル複合酸化物粒子の余剰リチウム量を算出したところ、0.05質量%であることが確認できた(余剰リチウム量算出工程)。
【0047】
余剰リチウム量は以下の手順により算出した。
【0048】
測定した炭酸化後TCは質量として算出されるため、これを物質量に換算した。
【0049】
係る炭酸化後TCから換算して求めた炭素の物質量は、炭酸化工程後のリチウムニッケル複合酸化物粒子の表面等に存在する炭酸リチウム(LiCO)に含まれる炭素の物質量である。このため、係る炭酸化後TCから換算して求めた炭素の物質量を、炭酸化工程後にリチウムニッケル複合酸化物粒子の表面等に存在する炭酸リチウムの物質量とした。
【0050】
そして、係る炭酸リチウムに含まれるリチウムが余剰リチウムであるから、該炭酸リチウムの物質量から余剰リチウムの物質量を算出した。
【0051】
次いで、余剰リチウムの物質量をリチウムの質量に換算し、評価に供したリチウムニッケル複合酸化物粒子の質量に占める割合を算出することで、上記余剰リチウム量を求めた。
【0052】
また、炭酸化工程前のリチウムニッケル複合酸化物の粒子について、全有機体炭素計を用いてトータルカーボン量である炭酸化前TCを求めた(炭酸化前トータルカーボン量評価工程)。
【0053】
そして、炭酸化後TCに替えて、炭酸化前TCを用いた点以外は余剰リチウム量算出工程と同様に計算を行い、炭酸化工程前のリチウムニッケル複合酸化物粒子の表面等に配置されていた炭酸リチウムに由来する余剰リチウム量を算出したところ0.02質量%であることが確認できた(炭酸リチウム由来余剰リチウム量算出工程)。
【0054】
従って、以上の結果から炭酸化を行う前のリチウムニッケル複合酸化物粒子の表面等に配置されていた余剰リチウム量は0.05質量%であり、そのうち0.02質量%が炭酸リチウムとして含まれているリチウムであり、0.03質量%が水酸化リチウムとして含まれているリチウムであることを確認できた。
【0055】
以上に説明した本実施例の余剰リチウムの評価方法によれば、リチウム金属複合酸化物を水等の溶液に浸漬する必要がないため、リチウム金属複合酸化物の結晶内部からのリチウムの溶出を抑制しつつ、余剰リチウムを正確に評価できることを確認できた。