【解決手段】本組成物は、研磨剤、固体状態もしくは水溶性触媒、エチレンイミン単位、プロピレンイミン単位、およびそれらの組み合わせを含むオリゴマーもしくはポリマーのWの腐食防止剤、1000〜2000000の範囲の分子量を有する、ポリスチレンスルホン酸またはポリアクリル酸、それらのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩の化学添加剤、溶媒、および酸性のpHを含んでいる。本組成物は、研磨された基材に低いディッシングおよび低い浸食の水準をもたらし、一方で同時に比較的に高い酸化物除去速度、高いバリア膜除去速度および低いW除去速度をもたらす。
前記固体状態触媒が、鉄コーティングシリカ、鉄コーティングアルミナ、鉄コーティングチタニア、鉄コーティングジルコニア、鉄コーティング有機ポリマーナノサイズ粒子、鉄コーティング無機金属酸化物、およびそれらの組合わせからなる群から選択された、請求項1記載の化学機械平坦化(CMP)組成物。
前記pH調整剤が、(1)硝酸、スルホン酸、リン酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択された無機酸、(2)水酸化アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよびそれらの組み合わせからなる群から選択された無機塩基、からなる群から選択された、請求項1記載の化学機械平坦化(CMP)組成物。
前記誘電体層もしくはバリア層の少なくとも1つが、酸化物膜を含む誘電体層であり、3psiで、タングステンの除去速度が100Å/分超であり、前記酸化物膜の除去速度が500Å/分超である、請求項11記載の方法。
タングステンの除去速度が、3psiの下向き力で、100Å/分超、好ましくは150Å/分超、そしてより好ましくは200Å/分超であり、前記誘電体層の除去速度が、3psiで、500Å/分超、好ましくは700Å/分超である、請求項11記載の方法。
【背景技術】
【0002】
本発明は、包括的に、半導体ウエハ上のタングステン含有基材の化学機械平坦化(CMP)およびそのためのスラリー組成物に関する。本発明は、平坦化された基材上の小さいディッシング/プラグリセスおよび少ないアレイ浸食が望まれるおよび/または要求される、タングステンCMPバフ研磨およびバリア用途に特に有用である。
【0003】
半導体基材の平坦化のための化学機械平坦化(化学機械研磨、CMP)は、今日、当業者に広く知られており、そして多くの特許および公開された文献出版物中に記載されている。CMPについての入門的な参照文献には、以下のものがある:G. B. Shinnら、"Chemical-Mechanical Polish"、第15章、p.415-460、Handbook of Semiconductor Manufacturing Technology、編集者: Y. Nishi、R. Doering, Marcel Dekker、New York City (2000)。
【0004】
典型的なCMPプロセスでは、基材(例えば、ウエハ)は、プラテンに取り付けられた回転する研磨パッドと接触して配置される。CMPスラリー(または組成物、これらは交換可能)、典型的には研磨剤および化学的に反応性の混合物、は、基材のCMP処理の間にパッドに供給される。CMPプロセスの間に、パッド(プラテンに固定されている)および基材は回転され、一方で、ウエハ保持システムまたは研磨ヘッドは、基材に対して圧力(下向き力)を加える。スラリーは、平坦化される基材膜と、化学的および機械的な相互作用することによって、基材に平行なパッドの回転の動きの効果のために、平坦化(研磨)プロセスを成し遂げる。研磨は、このような方法で、効果的に基材を平坦化するという通常の目的をもって、基材上の所望の膜が、除去されるまで継続される。典型的には、金属CMPスラリーは、酸化性の水性媒体中に懸濁された研磨剤材料、例えばシリカまたはアルミナを含んでいる。
【0005】
集積回路、例えば半導体ウエハの製造において用いられる多くの数の材料がある。それらの材料は、通常は3つの分類、誘電体材料、接着および/またはバリア層、ならびに電導層、に分けられる。種々の基材、例えば、誘電体材料、例えばテトラエチルオルソシリケート(TEOS)、プラズマ促進テトラエチルオルソシリケート(PETEOS)、および低k誘電体材料、バリア/接着層、例えばタンタル、チタン、窒化タンタル、および窒化チタン、ならびに電導層、例えば銅、アルミニウム、タングステンおよび貴金属の使用が、当業界で知られている。
【0006】
集積回路は、よく知られている多層配線によって相互接続されている。相互接続構造は、通常は金属被覆の第1の層、相互接続層、金属被覆の第2の層、および典型的には金属被覆の第3のそして次の層を有している。層間の誘電体材料、例えば二酸化ケイ素およびしばしば低k材料、がシリコン基材またはウエル中の金属被覆の異なる層を電気的に絶縁するのに用いられる。異なる相互接続層の間の電気的な接続は、金属で被覆されたビア、そして特にはタングステンビアの使用によってなされている。米国特許第4,789,648号明細書には、多層の金属被覆層および絶縁膜中の金属被覆されたビアの調製方法が記載されている。同様の方法で、金属接点が、相互接続層およびウエル中に形成された装置の間の電気的な接続を形成するのに用いられる。金属ビアおよび接点は、通常はタングステンで充填されており、そして金属層、例えばタングステン金属層を誘電体材料と接着させるのに、通常は接着層、例えば窒化チタン(TiN)および/またはチタンを用いている。
【0007】
1つの半導体製造プロセスでは、金属被覆されたビアまたは接点は、ブランケットタングステン堆積、それに続くCMP工程によって形成される。典型的なプロセスでは、ビア孔は、層間誘電体(ILD)を通して、相互接続線まで、または半導体基材までエッチングされる。次いで、薄い接着層、例えば窒化チタンおよび/またはチタンが、通常はILDの上に形成され、そしてエッチングされたビア孔中に導かれる。次いで、タングステン膜が、接着層を覆って、そしてビア中にブランケット堆積される。この堆積は、ビア孔がタングステンで充填されるまで継続される。最後に、過剰のタングステンが、化学機械研磨(CMP)によって除去されて、金属ビアが形成される。
【0008】
金属(例えば、タングステン)の除去速度の誘電体基部の除去速度に対する比は、金属と誘電体で構成される基材のCMP処理における、金属の除去の誘電体の除去に対する「選択性」と称される。
【0009】
誘電体に対する金属の除去の高い選択性を有するCMPスラリーが用いられた場合には、金属層は、容易に過剰研磨され、金属化された領域にくぼみまたは「ディッシング」効果を発生させる。このフィーチャの変形は、半導体製造における平版印刷の制約および他の制約のために容認できるものではない。
【0010】
半導体製造に相応しくない他のフィーチャの変形は、「浸食」と称される。浸食は、誘電体の領域と、金属ビアもしくはトレンチの緊密なアレイとの間の微細構造の差異である。CMPでは、緊密なアレイ中の材料は、周りの誘電体の領域よりもより速い速度で除去もしくは浸食される可能性がある。このことが、誘電体の領域と緊密な金属(例えば、銅またはタングステン)アレイとの間の微細構造の差異を引き起こす。
【0011】
業界標準がより小さな装置のフィーチャに向かう傾向にあるので、ICチップのナノ構造の優れた平坦化を実現するCMPスラリーに対して、常にますます高まる要求が存在する。特には、45nmの技術ノードおよびより小さなフィーチャサイズに対しては、スラリー製品は、金属と誘電体との間で小さな除去速度選択性を提供しなければならず、それによって、十分な除去速度と低い欠陥水準を維持しながら、浸食を低下させる。更には、CMP消耗品の競争市場においては、特にCMPスラリーの濃縮を通じた低い所有経費は、急速に業界標準となりつつある。
【0012】
典型的に用いられるCMPスラリーは、2つの機能、化学的成分と機械的成分を有している。スラリーの選択における有用な考慮すべき事項は、「消極的エッチング速度」である。消極的エッチング速度は、金属(例えば、銅)が、化学的成分だけによって溶解される速度であり、そして化学的成分と機械的成分の両方が介在する場合の除去速度よりも有意に低くなければならない。大きな消極的エッチング速度は、金属トレンチおよびビアのディッシングをもたらし、そして従って、好ましくは、消極的エッチング速度は、10ナノメートル/分未満である。
【0013】
研磨される可能性がある3つの一般的な種類の層が存在する。第1の層は、中間層誘電体(ILD)、例えば酸化ケイ素および窒化ケイ素である。第2の層は、金属層、例えばタングステン、銅、アルミニウムなどであり、それらは能動装置を接続するのに用いられる。本明細書は、金属層、特にはタングステンを研磨することに向けられている。第3の層は、接着/バリア層、例えば窒化チタンである。
【0014】
金属のCMPの場合には、化学的作用は、2つの形態の一方で起こると一般には考えらえる。第1の機構は、溶液中の化学薬品が、金属層と反応して、金属の表面上に酸化物層を継続的に形成する。このことは、通常は、溶液への酸化剤、例えば過酸化水素、硝酸第二鉄などの添加を必要とする。次いで、粒子の機械的な研磨作用が継続的に、そして同時に金属層の上に形成されたこの酸化物層を除去する。それらの2つのプロセスの賢明なバランスで、除去速度と研磨された表面の品質の点で、最適な結果が得られる。
【0015】
第2の機構では、保護的な酸化物層は形成されない。その代わりに、溶液中の成分が、金属を化学的に攻撃し、そして溶解し、一方で機械的な作用は、主として、より大きな表面積を化学的な攻撃に継続的に暴露すること、粒子と金属との間の摩擦によって局所温度を上昇させること(それは、溶解速度を増加させる)、および表面への、そして表面からの反応物と生成物の拡散を、混合することによって、そして境界層の厚さを低減させることによって促進すること、のようなプロセスによる溶解速度の機械的な促進の1つのである。
【0016】
W CMPバフ研磨またはバリアプロセスは、後WバルクCMPの重要なCMP工程である。WバルクCMPプロセスによる過剰なW層の除去の後の、それに続くCMP工程は、W CMPバフ研磨またはバリアプロセスと称され、その中で、Wパターン化されたウエハは、パターン化されたウエハの全体に亘って向上した平坦性を得ること、およびWプラグリセスまたはWトレンチのディッシングを向上させることのために更に研磨され、それによって集積電子チップの製造収率を向上させる。
【0017】
スラリー組成物は、CMP工程において重要な要素である。酸化剤、研磨剤および他の有用な添加剤の選択に応じて、研磨スラリーは、所望の研磨速度での金属層の効果的な研磨を提供し、一方でタングステンビアを有する領域における表面欠陥、欠陥、腐食および酸化物の浸食を最小化するように調製することができる。更には、研磨スラリーは、現在の集積回路技術において用いられる他の薄膜材料、例えばチタン、窒化チタンなどに制御された研磨選択性を提供するように用いることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
半導体工業は、ますますより小さくなるフィーチャサイズに向かって動き続けているので、低ディッシングおよびプラグリセス効果を与えることができる、タングステンCMPプロセスならびに、W CMPバフ研磨スラリーまたはバリアスラリーを含むスラリーに対する大きな要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
その要求は、タングステン、誘電体膜、例えば酸化物膜、およびバリア膜、例えばTiNもしくはTiもしくはTaNもしくはTaを含む基材のWバフ研磨またはバリア研磨のための、ここに開示された組成物、方法および平坦化システムを用いることによって満足される。
【0020】
1つの態様では、CMP研磨組成物は、Wバフ研磨またはバリア研磨のためのCMPのために提供される。このCMP研磨組成物は、
研磨剤、
触媒、
Wの腐食防止剤、
浸食およびWトレンチディッシングを低減させる化学添加剤、
酸化剤、
pH調整剤、ならびに、
溶媒、
を含んでおり、
pH範囲は、2.0〜8.0、2〜6.5、2.0〜4、2.0〜3.0、または2.0〜2.5である。
【0021】
研磨剤としては、限定されるものではないが、アルミナ、セリア、ゲルマニア(酸化ゲルマニウム)、シリカ、高純度コロイド状シリカ、チタニア、ジルコニア、複合材粒子研磨剤、例えばセリアコートシリカ、シリカコートアルミナ、およびそれらの組み合わせが挙げられる。高純度コロイド状シリカまたはコロイド状シリカは、好ましい研磨剤である。
【0022】
触媒としては、固体状態および水溶性触媒が挙げられる。
【0023】
固体状態触媒としは、限定するものではないが、鉄コーティングシリカまたは鉄コーティング無機金属酸化物、例えば鉄コーティングアルミナ、鉄コーティングチタニア、鉄コーティングジルコニア、鉄コーティング有機ポリマーナノサイズ粒子が挙げられる。それらの鉄コーティングナノサイズ粒子は、球の形状、繭の形状、集合体の形状またはいずれかの他の形状を有することができる。
【0024】
水溶性触媒としては、下記に示した一般的な分子構造を有する金属配位子錯体が挙げられる。
M(n+)−Lm
【0025】
金属配位子錯体中の金属イオンMとして、限定するものではないが、セシウム、Ce、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Auイオンおよび他の金属イオンが挙げられる。
【0026】
n+は、金属配位子錯体中の金属イオンの酸化数を表し、そして1+、2+、または3+、または他の正の電荷である。
【0027】
通常、金属配位子錯体を形成するのに用いられる配位子分子Lとしては、限定するものではないが、有機アミン、モノ−、ビ−、トリ−、テトラ−もしくはそれ以上のカルボキシル官能基を有する有機酸、スルホン酸もしくはリン酸官能基、モノ−、ビ−、トリ−、テトラ−もしくはそれ以上のカーボネートまたはスルホネートまたはホスフェート官能基を有する有機酸塩(アンモニウム塩、カリウム塩またはナトリウム塩)、ピリジン分子およびその誘導体、ビピリジン分子およびその誘導体、テルピリジンおよびその誘導体、有機芳香族酸およびそれらの塩、ピコリン酸およびその誘導体などが挙げられる。
【0028】
mは、鉄配位子錯体中のカチオン性鉄中心に直接および化学的に結合された配位子分子の数を表している。mの数は、それぞれ1、2、3、4、5または6であることができ、これは金属配位子錯体を形成するのに選択された配位子に依存する。
【0029】
鉄配位子錯体触媒が好ましい。また、第二鉄化合物の他の無機塩、例えば、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄またはリン酸第二鉄の塩、も水溶性触媒として用いることができる。
【0030】
W腐食防止剤としては、限定するものではないが、エチレンイミン単位、プロピレンイミン単位もしくはその組合せを含むオリゴマーまたはポリマーが挙げられる。例えば、オリゴマーまたはポリマーは、約500〜4000000、1000〜2000000、3000〜200000、2000〜20000、または1000〜15000の分子量を有している。
【0031】
浸食およびWトレンチディッシングを低減させる化学添加剤としては、限定するものではないが、ポリスチレンスルホン酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩、ポリアクリル酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩、それらの組み合わせが挙げられる。
【0032】
本スラリーのポリエチレンイミン(PEI)は、分岐もしくは直鎖のいずれかであることができる。好ましいポリエチレンイミンは、分岐したポリエチレンイミンである。好ましくは、ポリエチレンイミンの少なくとも半分は分岐している。直鎖のポリエチレンイミンは、第1級、第2級および第3級アミノ基を含む分岐したPEIとは対照的に、全てが第2級アミンを含んでいる。
【0033】
分岐ポリエチレンイミンは、式(−NHCH
2CH
2−)
x[−N(CH
2CH
2NH
2)CH
2CH
2−]
yによって表すことができ、ここでxは2から40超であることができ、そしてyは2から40超であることができ、好ましくはxおよびyのそれぞれは、独立して11〜40であり、あるいはxおよびyのそれぞれは、独立して6〜10であり、更にはまた、xおよびyは、独立して2〜5であり、以下に示されている。
【化1】
【0034】
PEIは、静的なエッチングまたは浸食を、本質的に皆無、すなわち20Å/分以下、まで低減させる。攻撃的なタングステンスラリーの1つの問題は、例えば、研磨が起こらない、すなわち酸化系によって形成された酸化物コーティングを除去するのに十分な研磨剤の動きがない、休止期間の間に、化学薬品がタングステンを攻撃する可能性があることである。
【0035】
ポリスチレンスルホン酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩、あるいはポリアクリル酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩は、以下の一般的な分子構造を有している。
【化2】
式中、Rは、Na
+、K
+またはNH
4+であり、ポリスチレンスルホン酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩ではnは1〜5000であり、そしてポリアクリル酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩では、nは1〜20000である。
【0036】
ポリスチレンスルホン酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩は、1000〜2000000の範囲の分子量を有しており、好ましい分子量は3000〜200000である。また、ポリアクリル酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩は、浸食およびWトレンチディッシングを低減させるように不動態化剤として用いられ、そのようなポリアクリル酸は、1000〜4000000の範囲の分子量を有しており、好ましい分子量は2000〜20000の範囲である。
【0037】
ポリスチレンスルホン酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩、あるいはポリアクリル酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩は、1ppm〜10000ppmの範囲、好ましくは25ppm〜2500ppmの範囲、そしてより好ましくは50ppm〜500ppmの範囲である。
【0038】
pH調整剤が、CMP組成物のpHを所望の水準に調整するように用いられる。
【0039】
pH調整剤としては、限定するものではないが、無機酸、例えば硝酸、スルホン酸、もしくはリン酸、および無機塩基、例えば水酸化アンモニウム、水酸化カリウムもしくは水酸化ナトリウムが挙げられる。硝酸が好ましい。
【0040】
好適な酸化剤としては、限定するものではないが、1種もしくは2種以上の過酸化化合物が挙げられ、それは少なくとも1つの過酸化基(−O−O−)を含んでいる。
【0041】
好適な過酸化化合物としては、限定するものではないが、例えば、過酸化物(例えば、過酸化水素および尿素過酸化水素)、過硫酸塩(例えば、モノ過硫酸塩およびジ過硫酸塩)、過炭酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、およびそれらの酸、およびそれらの組み合わせなど、ペルオキシ酸(例えば、過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、それらの塩)、それらの混合物などが挙げられる。好ましい酸化剤としては、過酸化水素、尿素過酸化水素、過酸化ナトリウムもしくは過酸化カリウム、過酸化ベンジル、ジ−t−ブチルペルオキシド、過酢酸、モノ過硫酸、ジ過硫酸、ヨウ素酸、およびそれらの塩、およびそれらの混合物が挙げられる。過酸化水素(H
2O
2)または過ヨウ素酸は、好ましい酸化剤である。1つの態様では、酸化剤は、過酸化水素である。強酸の酸化剤、例えば硝酸もまた用いることができる。過酸化水素が好ましい。
【0042】
液体成分の主要な部分を提供する溶媒は、水または、水と混和性である他の液体との水の混合物であることができる。他の液体の例としては、アルコール、例えばメタノールおよびエタノールがある。有利には、溶媒は水である。
【0043】
1つの態様では、本発明は、0.1〜20質量%の範囲、例えば0.5〜5質量%の範囲の研磨剤である、形成する液体中に懸濁された研磨剤、2.0〜8.0のpH、好ましくは酸性の2〜6.5、2.0〜4、2.0〜3.0、または2.0〜2.5を与えるのに十分な酸、1ppm〜100000ppm、好ましくは100ppm〜10000pp、そしてより好ましくは500ppm〜2500ppmの範囲のペルオキシ酸化剤、1〜100ppmの範囲のポリエチレンイミン、ならびに1ppm〜10000ppm、好ましくは25ppm〜2500ppm、そしてより好ましくは50ppm〜500ppmの範囲のポリスチレンスルホン酸またはポリアクリル酸、そのアンモニウム塩、カリウム塩、もしくはナトリウム塩、ならびに水を含む化学機械研磨組成物である。本組成物は、フッ化物含有化合物を含まない。
【0044】
他の態様では、以下の工程を含むCMP研磨方法が、タングステンを含有する少なくとも1つの表面、および誘電体層またはバリア層の少なくとも1つを含む基材をCMP研磨する方法ために提供される。
半導体基材を準備する工程、
研磨パッドを準備する工程、
開示された化学機械研磨(CMP)組成物を準備する工程、
半導体基材の表面を、研磨パッドおよび化学機械研磨組成物と接触させる工程、ならびに、
表面を研磨する工程。
ここで、少なくとも1つの誘電体層またはバリア層のタングステンに対する除去選択性は、1:1〜10:1、1.5:1〜9:1、2:1〜8:1、または2.5:1〜6:1である。
【0045】
1つの態様では、本発明は、タングステンを含む少なくとも1つの表面、酸化物およびバリア膜、例えばTiNもしくはTiもしくはTaNもしくはTaを有する基材の化学機械研磨方法であり、この方法は、その表面を、形成される液体中に懸濁され、0.1〜20質量%、例えば0.5〜5質量%の研磨剤である研磨剤、2.0〜8.0、2〜6.6、2.0〜4、2.0〜3.0、または2.0〜2.5のpHを与えるのに十分な酸、1ppm〜100000ppm、好ましくは100ppm〜10000ppm、そしてより好ましくは500ppm〜2500ppmの範囲のペルオキシ酸化剤、1〜100ppmのポリエチレンイミン、ならびに1ppm〜10000ppm、好ましくは25ppm〜2500ppm、そしてより好ましくは50ppm〜500ppmの範囲のポリスチレンスルホン酸またはポリアクリル酸、そのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩、ならびに水含む化学機械研磨組成物と移動可能に接触させることを含んでいる。本組成物は、フッ化物含有化合物を含まない。
【0046】
この研磨は、3psiで、分当たりに100、150または200オングストローム超のタングステン、500、または700Å/分超の酸化物膜、ならびに500Å/分超のTiNを除去する。
【0047】
ポリエチレンイミンの量は、0.1〜4ppmの範囲、例えば0.3〜3ppmの範囲である。用語「ppm」は、スラリー(組成物)の全質量の百万分の一を意味している。より多量のポリエチレンイミンの使用は、低減されたタングステン除去速度をもたらし、一方で、静的エッチング腐食保護が付加される。
【0048】
他の態様では、
半導体基材
研磨パッド、
上記の化学機械研磨(CMP)組成物、
を含むCMP研磨システムが、タングステンを含む少なくとも1つの表面および誘電体層もしくはバリア層の少なくとも1つを含む基材のCMP研磨のために提供され、
半導体基材の表面は、研磨パッドおよび化学機械研磨組成物と接触される。
【0049】
本願の重要な部分を形成する添付された図面には、以下のことが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明は、タングステン、酸化物、およびバリア膜、例えばTiNもしくはTiもしくはTaNもしくはTaを含む基材の化学機械研磨に使用されるW CMPバフ研磨またはバリア研磨用組成物に関する。
【0054】
本CMP研磨組成物は、
研磨剤、
触媒、
Wの腐食防止剤、
浸食およびWトレンチディッシングを低減させる化学添加剤、
酸化剤、
pH調整剤、ならびに、
溶剤、
を含んでおり、
pH範囲は、2.0〜8.0、2〜6.5、2.0〜4、2.0〜3.0または2.0〜2.5である。
【0055】
研磨剤としては、限定するものではないが、アルミナ、セリア、ゲルマニア(酸化ゲルマニウム)、シリカ、高純度コロイド状シリカ、チタニア、ジルコニア、複合材粒子研磨剤、例えばセリアコートシリカ、シリカコートアルミナ、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0056】
これらの研磨材粒子は、いずれかの形状、例えば球状または繭状の形状を有している。
【0057】
高純度コロイド状シリカ(その高純度のために)コロイド状シリカは、TEOSまたはTMOSから調製され、そのような高純度コロイド状シリカ粒子は、非常に少ないごく微量の金属の水準、典型的には、ppbの水準、または非常に小さなppmの水準、例えば1ppm未満、を有している。
【0058】
研磨剤粒子の形状は、TEMまたはSEM法によって測定される。平均研磨剤サイズまたは粒子径分布は、いずれかの好適な技術、例えばディスク遠心分離(DC)法、または動的光散乱(DLS)、コロイド動的手法(colloidal dynamic method)、またはマルバーン粒子径分析器を用いて測定することができる。
【0059】
研磨剤粒子は、20nm〜180nm、30nm〜150nm、35〜80nm、または40〜75nmの範囲の大きさを有している。
【0060】
研磨剤の濃度は、0.01質量%〜20質量%、0.01質量%〜10質量%、0.01質量%〜7.5質量%、0.1質量%〜6.0質量%、0.1質量%〜5.0質量%、0.1質量%〜4.0質量%、0.1質量%〜2.0質量%、0.1質量%〜1.0質量%の範囲であり、これは膜の除去速度を調整する、特には誘電体膜の除去速度を調整するために選択される。
【0061】
好ましい態様では、研磨剤と液体の全質量に対して、少なくとも0.01質量%の研磨剤が存在する。スラリー中の研磨剤の水準は、限定されないが、しかしながら研磨剤と液体の全質量に対して、好ましくは5質量%未満、より好ましくは約4質量%以下、そして幾つかの態様では、1質量%未満である。
【0062】
1つの態様では、研磨剤はシリカ(コロイド状シリカまたはヒュームドシリカ)である。他の態様では、研磨剤は、コロイド状シリカである。
【0063】
種々の態様では、スラリーは、異なるサイズを有する2種もしくは3種以上の異なる研磨剤から構成されることができる。それらの態様では、研磨剤の全水準は、好ましくは1質量%未満である。
【0064】
触媒としては、固体状態の触媒および水溶性の触媒が挙げられる。
【0065】
活性化剤または触媒は、流体中に存在する少なくとも1種の遊離ラジカル生成化合物によって、遊離ラジカルの形成を促進する材料である。この活性化剤が金属イオン、または金属含有化合物である場合は、それは、流体と接触する固体の表面と結合された薄層中にある。活性化剤が、非金属含有物質である場合には、それは流体中に溶解されていることができる。活性化剤は、所望のものを促進するのに十分である量で存在することが好ましい
【0066】
例えば、米国特許第7014669号、第6362104号、第5958288号、第8241375号、第7887115号、第6930054号明細書、米国特許出願公開第2014/315386号、第2016/280962号明細書、および韓国特許出願公開第1020110036294号明細書(それらを参照することによって本明細書の内容とする)の活性化剤または触媒を、この能力において用いることができる。
【0067】
活性化剤は、スラリー中に存在することができ、またはそれは研磨パッド上に存在することができ、または酸化剤を含むスラリーがパッドとウエハ基材との間を通過する前に活性剤と接触する場所に存在することができる。
【0068】
活性化剤は、1つもしくは2つ以上のことなく形態で存在することができる。活性化剤の異なる形態の例としては、限定するものではないが、(i)スラリー中に可溶な活性化剤化合物、(ii)活性化剤化合物で変性された表面を有する粒子、(iii)粒子の核および表面の両方に含まれた活性化剤を有する粒子、(iv)表面に露出された活性化剤を含むコア−シエル複合材粒子、が挙げられる。
【0069】
固体状態触媒としては、限定するものではないが、鉄コーティングシリカまたは鉄コーティング無機金属酸化物、例えば鉄コーティングアルミナ、鉄コーティングチタニア、鉄コーティングジルコニア、鉄コーティング有機ポリマーナノサイズ粒子が挙げられる。それらの鉄コーティングナノサイズ粒子は、球状の形状、繭型、集合体の形状またはいずれかの他の形状を有することができる。
【0070】
固体状態触媒は、15ppm〜5000ppm、好ましくは50ppm〜3000ppm、そしてより好ましくは100ppm〜1000ppmの範囲の濃度を有している。
【0071】
水溶性触媒としては、以下の一般的な分子構造を有する金属配位子錯体が挙げられる。
M(n+)−Lm
【0072】
金属配位子錯体中の金属イオンMとしては、限定するものではないが、セシウム、Ce、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Auイオンおよび他の金属イオンが挙げられる。
【0073】
n+は、金属配位子錯体中の金属イオンの酸化数を表し、そして1+、2+、または3+、または他の正の電荷である。
【0074】
通常、金属配位子錯体を形成するのに用いられる配位子分子Lとしては、限定するものではないが、有機アミン、モノ−、ビ−、トリ−、テトラ−もしくはそれ以上のカルボキシル官能基を有する有機酸、スルホン酸もしくはリン酸官能基、モノ−、ビ−、トリ−、テトラ−もしくはそれ以上のカーボネートもしくはスルホネートもしくはホスフェート官能基を有する有機酸塩(アンモニウム塩、カリウム塩またはナトリウム塩)、ピリジン分子およびその誘導体、ビピリジン分子およびその誘導体、テルピリジンおよびその誘導体、有機芳香族酸およびそれらの塩、ピコリン酸およびその誘導体などが挙げられる。カルボキシル官能基が好ましい。
【0075】
mは、鉄配位子錯体中のカチオン性鉄中心に直接および化学的に結合された配位子分子の数を表している。mの数は、それぞれ1、2、3、4、5または6であることができ、これは金属配位子錯体を形成するのに選択された配位子に依存する。
【0076】
鉄配位子錯体触媒が好ましい。また、第二鉄化合物の他の無機塩、例えば、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄またはリン酸第二鉄の塩、も水溶性触媒として用いることができる。
【0077】
ここで、本発明のW CMP研磨組成物中で触媒として用いられる鉄配位子錯体の例が以下に列挙されている。
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0078】
可溶性触媒の濃度は、質量基準で、5ppm〜10000ppm、好ましくは10ppm〜3000ppm、そしてより好ましくは50ppm〜500ppmの範囲である。
【0079】
W腐食防止剤としては、限定するものではないが、エチレンイミン単位、プロピレンイミン単位、もしくはそれらの組合わせを含むオリゴマーまたはポリマーが挙げられる。
【0080】
例えば、オリゴマーまたはポリマーは、約500〜4000000、1000〜2000000、3000〜200000、2000〜20000、または1000〜15000の分子量を有している。
【0081】
浸食およびWトレンチディッシングを低減させる化学添加剤としては、限定するものではないが、ポリスチレンスルホン酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩、ポリアクリル酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩、それらの組合わせが挙げられる。
【0082】
スラリーのポリエチレンイミン(PEI)は、分岐または直鎖のいずれかであることができる。好ましいポリエチレンイミンは、分岐したポリエチレンイミンである。好ましくは、ポリエチレンイミンの少なくとも半分が分岐している。第1級、第2級および第3級アミノ基を含む分岐したPEIとは対照的に、直鎖のポリエチレンイミンは、全て第2級アミンを含んでいる。
【0083】
分岐したポリエチレンイミンは、式(−NHCH
2CH
2−)
x[−N(CH
2CH
2NH
2)CH
2CH
2−]
yによって表すことができ、ここでxは2から40超であることができ、そしてyは2から40超であることができ、好ましくはxおよびyのそれぞれは、独立して11〜40であり、あるいはxおよびyのそれぞれは、独立して6〜10であり、更にはまた、xおよびyは、独立して2〜5であり、以下に示されている。
【化7】
【0084】
PEIは、静的なエッチングまたは浸食を、本質的に皆無、すなわち20Å/分以下、まで低減させる。攻撃的なタングステンスラリーの1つの問題は、例えば、研磨が起こらない、すなわち酸化系によって形成された酸化物コーティングを除去するのに十分な研磨剤の動きがない、休止期間の間に、化学薬品がタングステンを攻撃する可能性があることである。PEIが存在しない場合には、鉄触媒の過酸化物系での静的エッチングは200〜300Å/分の高さであることができる。
【0085】
スラリー中のPEIの濃度水準は、使用の時点で、0.1ppm〜10ppm、そして好ましくは0.5ppm〜5ppm未満、例えば1ppm〜3ppmの範囲である。
【0086】
ポリスチレンスルホン酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩、あるいはポリアクリル酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩は、以下の一般的な分子構造を有している。
【化8】
式中、Rは、Na
+、K
+、NH
4+であり、ポリスチレンスルホン酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩ではnは1〜5000であり、そしてポリアクリル酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩ではnは1〜20000である。
【0087】
ポリスチレンスルホン酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩は、1000〜2000000の範囲の分子量、好ましくは3000〜200000の範囲の分子量を有している。また、浸食およびWトレンチディッシングを低減させる不動態化剤として用いられるポリアクリル酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩、例えばポリアクリル酸は、1000〜4000000の範囲の分子量、好ましくは2000〜20000の範囲の分子量を有している。
【0088】
ポリスチレンスルホン酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩、あるいはポリアクリル酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩は、1ppm〜10000ppm、好ましくは25ppm〜2500ppm、そしてより好ましくは50ppm〜500ppmの範囲である。
【0089】
pH調整剤は、CMP組成物のpHを所望の水準に調整するのに用いられる。
【0090】
pH調整剤としては、限定するものではないが、無機酸、例えば硝酸、スルホン酸、またはリン酸、ならびに無機塩基、例えば水酸化アンモニア、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムが挙げられる。
【0091】
好適な酸化剤としては、限定するものではないが、少なくとも1つのペルオキシ基(−O−O−)を含む1種もしくは2種以上の過酸化化合物が挙げられる。
【0092】
好適な過酸化化合物としては、限定するものではないが、例えば、過酸化物(例えば、過酸化水素および尿素過酸化水素)、過硫酸塩(例えば、モノ過硫酸塩およびジ過硫酸塩)、過炭酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、およびそれらの酸、およびそれらの組み合わせなど、ペルオキシ酸(例えば、過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、それらの塩)、それらの混合物などが挙げられる。好ましい酸化剤としては、過酸化水素、尿素過酸化水素、過酸化ナトリウムもしくは過酸化カリウム、過酸化ベンジル、ジ−t−ブチルペルオキシド、過酢酸、モノ過硫酸、ジ過硫酸、ヨウ素酸、およびそれらの塩、およびそれらの混合物が挙げられる。過酸化水素(H
2O
2)または過ヨウ素酸は、好ましい酸化剤である。1つの態様では、酸化剤は、過酸化水素である。強酸の酸化剤、例えば硝酸もまた用いることができる。ペルオキシ酸化剤または強酸酸化剤は、典型的には1ppm〜100000ppm、好ましくは100ppm〜10000ppm、そしてより好ましくは500ppm〜2500ppmの量で存在する。
【0093】
1つの態様では、酸化剤は、研磨組成物中に存在する鉄もしくは銅化合物の存在で遊離ラジカルを形成することができる1種の過酸化化合物(例えば、過酸化水素)であり、それは向上したタングステン除去速度をもたらす。
【0094】
液体成分の主要な部分を与える溶媒は、水または、水と混和性の他の液体と水との混合物であることができる。他の液体の例としては、アルコール、例えばメタノールおよびエタノールがある。有利には、溶媒は水である。
【0095】
本発明の方法で用いられるスラリー組成物は、2.0〜8.0、好ましくは酸性の2〜6.5、2.0〜4、2.0〜3.0、または2.0〜2.5のpHを有している。
【0096】
スラリー中のフッ素化合物の存在は、それらが誘電体を攻撃するので好ましくない。好ましい態様では、研磨組成物は、フッ化物化合物を含まない。
【0097】
幾つかのCMP特許には、ポリアミンアゾールがCMPスラリーの成分として記載されている。ポリアミンアゾールは、ポリエチレンイミンではないことが、ここで強調される。
【0098】
本発明の方法は、タングステンおよび誘電体層もしくはバリア層で構成される基材の化学機械平坦化への前述の(上記の)組成物の使用を伴う。
【0099】
誘電体層の例としては、限定するものではないが、酸化物膜、例えばTEOS、例えばTEOS、PETEOS、および低k誘電体材料、バリア/接着層、例えばタンタル、チタン、窒化タンタル、窒化チタン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0100】
タングステンおよび、誘電体層もしくはバリア層の少なくとも1つを含む表面を含む半導体基材の化学機械研磨方法が開示される。
【0101】
本方法では、基材(例えば、ウエハ)は、CMP研磨装置の回転するプラテンに固定して取り付けられた研磨パッドに向けて、下向きにして配置される。このようにして、研磨され、そして平坦化される基材は、研磨パッドに直接に接触して配置される。基材を所定の位置に保持し、そしてCMP処理の間に基材の裏面に対して下向きの圧力を加えるように、ウエハ保持システムまたは研磨ヘッドが用いられ、一方でプラテンおよび基材は回転される。研磨組成物(スラリー)が、CMP処理の間にパッドへと適用(通常は連続的に)され、基材を平坦化するように材料の除去をもたらす。
【0102】
以下の工程を含むCMP研磨方法が、タングステンおよび、誘電体層もしくはバリア層の少なくとも1つを含む少なくとも1つの表面を含む基材をCMP研磨するために提供される。
半導体基材を準備する工程、
研磨パッドを準備する工程、
開示された化学機械研磨(CMP)組成物を準備する工程、
半導体基材の表面を研磨パッドおよび化学機械研磨組成物と接触させる工程、ならびに、
表面を研磨する工程、
ここで、少なくとも1つの誘電体層もしくはバリア層のタングステンに対する除去選択性は、1:1〜10:1、1.5:1〜9:1、2:1〜8:1、または2.5:1〜6:1である。
【0103】
1つの態様では、本発明は、タングステン、酸化物およびバリア膜、例えばTiNもしくはTiもしくはTaNもしくはTaを含む少なくとも1つの表面を有する基材を化学機械研磨する方法であり、この方法は、表面を化学機械研磨組成物と動かしながら接触させることを含み、化学機械研磨組成物は、液体中に懸濁された研磨剤であって、研磨剤が0.1〜20質量%、例えば0.5〜5質量%を形成している研磨剤、2.0〜8.0、2〜6.5、2.0〜4、2.0〜3.0、または2.0〜2.5のpHを与えるのに十分な酸、1ppm〜100000pppm、好ましくは100ppm〜10000ppm、そしてより好ましくは500ppm〜2500ppmの範囲のペルオキシ酸化剤、10〜100ppmのポリエチレンイミン、ならびに1ppm〜10000ppm、好ましくは25ppm〜2500ppm、そしてより好ましくは50ppm〜500ppmの範囲の、ポリスチレンスルホン酸またはポリアクリル酸、そのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩、ならびに水、を含んでいる。本組成物は、フッ化物含有化合物を含まない。
【0104】
研磨によって、3psiで、1分間当たりに100、150もしくは200オングストローム超のタングステン、500もしくは700Å/分超の酸化物膜、そして500Å/分超のTiNが除去される。
【0105】
ポリエチレンイミンの量は、0.1〜4ppm、例えば0.3〜3ppmの範囲である。用語「ppm」は、スラリー(組成物)の全質量の百万分の一を意味している。より大量のポリエチレンイミンの使用は、低減されたタングステン除去をもたらし、一方で、静的エッチング腐食保護が付加される。
【0106】
他の態様では、以下の物を含むCMP研磨システムが、タングステンおよび、誘電体層もしくはバリア層の少なくとも1つを含む少なくとも1つの表面を含む基材をCMP研磨するために提供される。
半導体基材、
研磨パッド、
上記の化学機械研磨(CMP)組成物、
ここで、半導体基材の表面は、研磨パッドおよび化学機械研磨組成物と接触している。
【0107】
他の態様では、本発明は、タングステンを含む基材の化学機械研磨方法であり、この方法は、基材の表面を、a)研磨剤、およびb)液体成分と動かしながら接触させることを含み、b)液体成分は、水、2〜5、例えば2.5〜4.5の範囲のpHを与えるのに十分な酸、好ましくは無機酸、1ppm〜100000ppm、好ましくは100ppm〜10000ppm、そしてより好ましくは500ppm〜2500ppmの範囲のペルオキシ酸化剤、高温でペルオキシ酸化剤と反応して相乗的にタングステン除去速度を増加させる鉄化合物の固体触媒、ならびに0.1〜10ppmの範囲のポリエチレンイミン、を含んでおり、好ましい態様では、この液体成分は、カルボン酸を実質的に含まず、そしてこの研磨で、3psiで、1分間当たりに100オングストローム(「Å/分」)超のタングステンが除去され、そして500Å/分超の酸化物膜が除去される。鉄が、研磨剤の表面に結合されている場合には、その時は、スラリー中の全鉄は、典型的には、スラリーの全質量を基準として、5ppm〜20ppmである。
【0108】
更に他の態様では、本発明は、タングステン、酸化物およびバリア膜、例えばTiNもしくはTiもしくはTaNもしくはTaを含む基材の化学機械研磨方法であり、この方法は、タングステンをその上に有する表面を、a)液体中に懸濁されてスラリーを形成する研磨剤と動かしながら接触させることを含んでおり、このスラリーは、0.1〜20質量%、例えば0.5〜5質量%の研磨剤を含み、この液体は、水、2〜5のpHを与えるのに十分な酸、1ppm〜100000ppm、このましくは100ppm〜10000ppm、そしてより好ましくは500ppm〜2500ppmの範囲のペルオキシ酸化剤、10〜100ppmのポリエチレンイミン、ならびに1ppm〜10000ppm、好ましくは25ppm〜2500ppm、そしてより好ましくは50ppm〜500ppmの範囲のポリスチレンスルホン酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩を含んでいる。この同じ濃度範囲が、ポリアクリル酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩に適用され、この液体は、フッ化物含有化合物を実質的に含まず、この研磨で、1分間当たりに100オングストローム(Å/分)超のタングステン、および500Å/分超の酸化物膜が除去される。
【0109】
更に他の態様では、本発明は、タングステンを含む基材の化学機械研磨方法であり、この方法は、タングステンをその上に有する表面を、a)シリカを含む研磨剤、およびb)液体成分と、動かしながら接触させることを含み、この液体成分は、水、2〜5のpHを与えるのに十分な酸、ペルオキシ酸化剤、ならびに0.1〜10ppmのポリエチレンイミン、および0.01〜4ppmのテトラエチレンペンタミンを含み、この研磨で、1分間当たりに100オングストローム超のタングステン、および500Å/分超の酸化物膜が除去される。
【0110】
他の態様では、本発明は、タングステン、酸化物およびバリア膜を含む基材の化学機械研磨方法であり、この方法は、基材の表面を、a)研磨剤、およびb)液体成分と動かしながら接触させることを含み、b)液体成分は、水、2〜5のpHを与えるのに十分な酸、高温でペルオキシ酸化剤と反応してペルオキシ酸化剤から遊離ラジカルを発生させてタングステン除去速度を調整する1ppm〜60ppmの鉄化合物、ならびに0.1〜10ppmのポリエチレンイミンを含み、および1ppm〜1000ppm、ポリエチレンイミンの好ましい濃度範囲は0.05〜500ppmであり、ポリエチレンイミンのより好ましい範囲は10〜100ppmであり、ポリスチレンスルホン酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩の濃度範囲は、1ppm〜10000ppmであり、好ましい濃度範囲は25ppm〜2500ppmであり、そしてより好ましい濃度範囲は50ppm〜500ppmである。同じ濃度範囲はポリアクリル酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩にも適用され、同じ濃度範囲は、ポリアクリル酸またはそのアンモニウム塩、カリウム塩もしくはナトリウム塩にも適用され、そしてこの研磨で、1分間当たりに100オングストローム超のタングステン、および500Å/分超の酸化物膜が除去される。
【0111】
CMPスラリー供給者の間の増大する傾向は、製品の濃縮によって、彼らの顧客の消耗品の費用を低減させることである。濃縮されたスラリーを提供するという慣習は、CMP業界に亘る要求となってきている。しかしながら、濃縮の水準は、製品の安定性および貯蔵寿命を損なわないように慎重に選択されなければならない。
【0112】
本発明の好ましいスラリーは、第1の(より小さい)サイズの鉄コーティングシリカおよび鉄をその上に有しない第2の(より大きい)サイズのシリカを含んでいる。最も好ましいのは、中間のサイズの第3の研磨剤をも含む態様である。鉄でコーティングされた研磨剤およびコーティングされていない研磨剤を有することの結果、特定の化合物、例えばカルボン酸が排除されなければならない。一般に、有機材料もまた、経時変化に悪影響を与え、それ故に、好ましい総有機物(酸化剤を除く)は0.1〜10ppmの範囲である。従って、存在するいずれかの有機腐食防止剤は、数ppm以下の量で効果的でなければならない。ポリエチレンイミン、特には、分岐ポリエチレンイミンは、好ましい腐食防止剤である。
【0113】
我々は、長期の経時変化効果を悪化させる可能性がある有機物を最小化するスラリーの濃縮物に関してさえも、スラリー濃縮物は、特にはディッシングに関して、そして絶対的なタングステン除去速度に関して、経時変化への幾らかの効果を示すことを見出した。スラリー濃縮物は酸化剤を含まず、酸化剤は、スラリー濃縮物が、水および酸化剤とタンクで混合されて研磨スラリーを形成するときに加えられることに注意しなければならない。スラリーを、種々の成分をそれに加えることによって調整することが知られている。ここでの本発明は、2種の異なるスラリー濃縮物(便宜上、第1のスラリー濃縮物および第2のスラリー濃縮物と称される)を、経時変化に対するスラリー性能を標準的にするように混合する方法であり、スラリー濃縮物の混合比は、第1のスラリー濃縮物の長期間経時変化に依存する。
【実施例】
【0114】
本発明は、以下の例によって更に説明される。
全般
【0115】
全てのパーセントは、特に断りのない限り、質量パーセントである。
CMP方法
【0116】
以下の例において、CMP実験は、下記の手順および実験条件を用いて実施された。
用語集
成分
鉄コーティングシリカ:2.5質量%の固形分濃度の、約45ナノメートル(nm)の粒子径を有するコロイド状シリカ、このシリカ粒子は、鉄原子が、シリカ粒子上の利用可能な結合サイトの約25%に結合されているような程度に、鉄でコーティングされている。
Col Sil:日本のJGC Inc.または日本のFuso Chemical Inc.によって供給されるコロイド状シリカ粒子(種々のサイズを有する)。
エチレンイミンオリゴマー混合物:Sigma-Aldrich(St. Louis、ミズーリ州)によって供給される少量のテトラエチレンペンタミン(この製品のMSDSから5%以上で20%以下)を有するポリエチレンイミン。
PEI:ポリエチレンイミン(Aldrich、Milwaukee、ウィスコンシン州)。
Sigma-Aldrichによって供給されるポリスチレンスルホン酸。
Sigma-Aldrichによって供給される、ポリスチレンスルホネートのアンモニウム塩。
TEOS:テトラエチルオルソシリケート
研磨パッド:研磨パッド、DOW, Inc.から供給されたIC1000およびIC1010が、CMPの間に用いられた。
パラメータ
一般
ÅもしくはA:長さの単位
BP:背圧、単位はpsi
CMP:化学機械平坦化=化学機械研磨
CS:保持体速度
DF:下向き力:CMPの間に加えられる圧力、単位はpsi
min:分間
mL:ミリリットル
mV:ミリボルト
psi:ポンド毎平方インチ
PS:研磨機のプラテン回転速度、rpm(毎分回転数)
SF:スラリー流量、mL/分
Wt.%:質量パーセント(列挙された成分について)
TEOS:W選択性: (TEOSの除去速度)/(Wの除去速度)
【0117】
タングステン除去速度:与えられた下向き力で測定されたタングステン除去速度。以下の例において、CMP機の下向き力は、3.0psiであった。
【0118】
TEOS除去速度:与えられた下向き力で測定されたTEOS除去速度。以下の例において、CMP機の下向き力は、3.0psiであった。
CMP法
【0119】
以下に示された例において、CMP実験は、下記の手順および実験条件を用いて実施された。
方法
【0120】
タングステン膜は、Creative Design Engineering, Inc.(20565 Alves Dr., Cupertino, CA, 95014)によって製造されたResMap CDE, model 168で測定された。ResMap装置は、4点プローブのシート抵抗計である。タングステン膜について、5mmの端部を除外して、49点の直径方向スキャンが行われた。
CMP装置
【0121】
用いられたCMP装置は、Applied Materials(3050 Boweres Avenue, Santa Clara, California, 95054)によって製造された200mmMirraまたは300mmReflexionである。DOW, Inc.(451 Bellevue Rd., Newark, DE 19713)によって供給されたIC1000パッドが、プラテン1上で、ブランケットウエハおよびパターンウエハの検討のために用いられた。
【0122】
IC1000パッドは、このパッドを18分間に亘って調整することによって慣らし運転された。調整装置上で7ポンドの下向き力で。装置の設定およびパッドの慣らし運転を適格とするために、2つのタングステンモニタおよび2つのTEOSモニタが、Versum Materials Inc.によって供給されたVersum(商標)W5900で、基準条件で研磨された。
ウエハ
【0123】
研磨実験は、CVD堆積されたタングステンウエハおよびPECVD TEOSウエハを用いて行われた。それらのブランケットウエハは、Silicon Valley Microelectronics(2985 Kifer Rd., Santa Clara, CA 95051)から購入された。膜厚の明細を以下にまとめた:シリコン上にW:8000ÅのCVDタングステン、240ÅのTiN、5000ÅのTEOS.
研磨実験
【0124】
ブランケットウエハの検討では、タングステンブランケットウエハおよびTEOSブランケットウエハが、基準条件で研磨された。この装置の基準条件は、テーブル速度;120rpm、ヘッド速度;123rpm、膜圧力;3.0psi、チューブ間圧力;6.0psi、保持リング圧力;6.5psi、スラリー流量:120mL/分もしくは300mL/分。
【0125】
SWK Associates, Inc.(2920 Scott Blvd. Santa Clara, CA 95054)によって供給されたスラリーが、パターン化されたウエハ(SKW754又はSWK854)の研磨実験に用いられた。それらのウエハは、Veeco VX300プロファイラ/AFM instrumentで測定された。100×100ミクロンの線構造がディッシング測定に用いられ、そして1×1ミクロのアレイが浸食測定に用いられた。ウエハは、中心、中間および端部のダイ位置で測定された。
例1
【0126】
この例では、研磨は固体触媒を有するCMP組成物を用いて実施された。
【0127】
表1に示された例1のスラリー組成物は、4倍に濃縮されていた(使用時点の濃度の4倍)。ディッシングおよび浸食のデータが、使用の時点の水準への希釈の後に、新鮮(0日間)および数日経過後の試料の両方を用いて、得られた。
【0128】
全てのスラリー組成物は、3.015質量%のコロイド状シリカを研磨剤として、0.1005質量%のFeコーティングシリカ、0.1質量%のH
2O
2、0.00033質量%(3.3ppm)のポリエチレンイミンを腐食防止剤として、HNO
3をpH調整剤として有していた。更に、幾つかの組成物では、種々の濃度のPSSAまたはその塩が浸食低減化学添加剤として、100ppm〜1000ppmの範囲の濃度で用いられた。このスラリー組成物は、約2.1のpHを有していた。
【0129】
試料1および試料2は、PSSAを有する2つの試料であった。試料1は、250ppmのPSSAを1倍濃度として有しており、そして試料2は400ppmのPSSAを1.6倍濃度として有していた。
【0130】
試料3〜5は、比較試料であり、PSSAを有していなかった。
【0131】
WおよびTEOS(Ox)の除去速度、W浸食およびWプラグリセスが、これらのスラリーを用いて試験された。結果を表1に示した。
【表1】
【0132】
表1の結果は、
図1に示された結果もまた、PSSAを用いた2つの試料が、有意な浸食低減を有し、一方で非常に小さいWプラグリセスを維持していることを、明確に示している。
【0133】
また、W CMPバフ研磨組成物は、高い、そして調整可能なTEOS膜除去速度、高い、そして調整可能なバリア膜、例えばTiN膜、除去速度、ならびに調整可能なW膜除去速度を与えた。
【0134】
W CMPバフ研磨組成物で得られた、TEOS:W選択性((TEOSの除去速度)/(Wの除去速度))は、調整可能であり、そして2:1〜9:1、潜在的には1:1〜10:1、の範囲であった。
【0135】
CMPスラリー供給者の間での増大する傾向は、製品の濃縮によって彼らの顧客の消費品の費用を低下させることである。濃縮されたスラリーを提供するという慣習は、CMP業界に亘る要求となってきている。しかしながら、濃縮の水準は、製品の安定性および貯蔵寿命を損なわないように慎重に選択されなければならない。表1中の例のスラリー組成物は、4倍に濃縮されていた(使用の時点の濃度の4倍)。ディッシングおよび浸食のデータが、使用の時点の水準への希釈の後の、新鮮(0日間)および数日経過後の試料の両方を用いて、得られた。
例2
【0136】
この例では、可溶性の鉄配位子触媒を有するCMP組成物を用いて研磨が実施された。
【0137】
この例では、タングステンブランケットウエハおよびTEOSブランケットウエハが、基準条件で研磨された。装置基準条件は、テーブル速度は120rpm、ヘッド速度が123rpm、膜圧力が3.0psi、チューブ間圧力が3.0psi、保持リング圧力が7.5psi、スラリー流量が120mL/分であった。
【0138】
全ての試料は、硝酸HNO
3を用いて2.1に調整されたpHを有していた。
【0139】
対照試料1は、100ppnのグルコン酸鉄水和物、500ppmのグルコン酸、研磨剤として4.0質量%のコロイド状シリカから構成され、そして0.15質量%のH
2O
2が酸化剤として用いられた(使用の時点で)。
【0140】
全ての他の試料は、対照試料1中の全ての化学成分、および付加的な成分を有していた。
【0141】
試料2は、腐食防止剤として、0.00033質量%のポリエチレンイミン(PEI)を用いていた。
【0142】
試料3および試料4の両方は、酸の形態のPSSAを、膜除去速度および酸化物:W選択性の調整剤として、それぞれ0.025質量%と0.04質量%で用いた。
【0143】
試料5は、0.00033質量%のポリエチレンイミン(PEI)を腐食防止剤として、そして0.025質量%の酸の形態のPSSAを、膜除去速度および酸化物:W選択性調整剤として用いた。
【0144】
試料6は、0.00033質量%のポリエチレンイミン(PEI)を腐食防止剤として、そして0.04質量%の酸の形態のPSSAを、膜除去速度および酸化物:W選択性調整剤として用いた。
【0145】
試料7は、0.00033質量%のポリエチレンイミン(PEI)を腐食防止剤として、そして0.06質量%の酸の形態のPSSAを、膜除去速度および酸化物:W選択性調整剤として用いた。
【0146】
全ての試料は、硝酸HNO
3を用いて、2.1に調整されたpHを有していた。
【0147】
ブランケットウエハ研磨試験結果が、表2に列挙されており、そして
図2に示されている。
【表2】
【0148】
表2および
図2に示された結果のように、腐食防止剤PEIが配合物中で単独で用いられた場合(すなわち、PSSAを含まない)には、W除去速度は、異なるパーセントで抑制され、そして酸化物膜の除去速度は増加した。
【0149】
酸化物膜の除去速度は、PSSAを単独で用いる場合は(すなわちPEIを含まない)、若干低下し、そして酸化物:W選択性は、若干増加した。
【0150】
配合物中にPEIおよびPSSA添加剤の両方が用いられた場合には、対照の試料から得られた除去速度と比較して、W除去速度は更に抑制され、そして酸化物の除去速度は、若干抑制された。
【0151】
同じ腐食防止剤濃度を維持し、一方でPSSA濃度を増加させた場合には、W除去速度は156Å/分まで更に低下した。酸化物:W選択性は、4.7:1まで増加した。
【0152】
また、データから、W除去速度は、PSSA添加剤濃度を増加させることによって、更に抑制されることが示された。従って、TEOS:W選択性((TEOSの除去速度)/(Wの除去速度))は、調整可能であり、そして1:1〜5:1、潜在的には1:1〜10:1の範囲であった。
例3
【0153】
この例では、腐食防止剤、PEI、および選択性調整剤、PSSAの、単独で用いられた、または一緒に用いられた場合の、Wパターン化ウエハの研磨の浸食への効果が試験された。
【0154】
20%の超過時間での研磨が、表2に列挙された同じスラリー配合物を用いて、予め研磨され、そして調製されたWパターン化ウエハを研磨するために用いられた。
【0155】
浸食のデータが表3に列挙されており、そして
図3に示されている。
【表3】
【0156】
腐食防止剤PEIが単独で用いられた(すなわち、PSSAを含まない)場合には、50%、70%および90%密度のフィーチャの浸食は、若干低減された。
【0157】
選択性調整剤PSSAが、配合物中で単独で用いられた場合には(すなわち、PEIを含まない)、50%、70%および90%密度のフィーチャの浸食は、若干低減された。
【0158】
PEIとPSSA添加剤の両方が、同じ配合物に用いられた場合には、50%の大きな100×100μmフィーチャの浸食は、PEIおよびPSSAを用いない対照試料で得られた浸食の値と比較して、全てが有意に低下した。
【0159】
同じ腐食防止剤濃度を維持し、一方でPSSA濃度を増加した場合には、50%の大きな100×100フィーチャの大きなフィーチャの浸食は、低いままであった。使用の時点でのPSSA濃度が、250ppmから400ppmに増加した場合には、70%および90%の密度のフィーチャの浸食が更に低下された。
【0160】
0.0003質量%のPEIおよび0.06質量%のPSSAを腐食防止剤および選択性調整剤として用いた場合には(試料7)、50%、70%および90%の密度のフィーチャの浸食は、対照の試料で得られた349Å、792Å、および1085Åから、247Å、48Å、および315Åへと低下し、これは水溶性の鉄化合物が触媒として、PEIが腐食防止剤として、そしてPSSAが選択性調整剤として用いられた場合の、有意な浸食の低下を表していた。
【0161】
上記に列挙された本発明の態様は、実施例を含めて、本発明で創出することができる多くの態様の例示である。本プロセスの多くの他の構成を用いることができ、そして本プロセスで用いられた材料は、具体的に開示された材料の他の多くの材料から選び出すことができることが企図されている。