【解決手段】本発明の酸化チタンペーストは、酸化チタン粒子と窒素を含む5員環を有する化合物を含有する酸化チタン粒子の分散溶液であって、前記酸化チタン粒子が、シェラー径の比(D
)が0.2〜1.0であり、酸化チタン粒子のキュムラント多分散指数(PDI)が0.50以下である酸化チタン粒子の分散溶液と、溶媒と、バインダとを含む。また、本発明の酸化チタン膜は、本発明の酸化チタンペーストを成膜することにより得られる。さらに、本発明の色素増感太陽電池は、この酸化チタン膜に増感色素を担持した光半導体電極により構成される。
窒素を含む5員環を有する化合物を含有する酸化チタン粒子の分散溶液であって、前記酸化チタン粒子のX線回折パターンにおける(001)面の回折ピークの半値幅から算出するシェラー径(DXRD(001))に対する、(100)面の回折ピーク半値幅から算出するシェラー径(DXRD(100))の比(DXRD(100)/DXRD(001))が、0.2〜1.0であり、JIS Z8828に準拠して測定した前記酸化チタン粒子のキュムラント多分散指数(PDI)が0.50以下である酸化チタン粒子の分散溶液と、溶媒と、バインダと、を含む酸化チタンペースト。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[酸化チタン粒子の製造方法]
本発明の酸化チタン粒子の製造方法は、チタンアルコキシド又はチタン金属塩の加水分解生成物と、窒素を含む5員環を有する化合物とを混合して混合溶液を作製する工程(A)、及び混合溶液を加熱及び加圧して酸化チタン微粒子を生成させる工程(B)を含む。これにより、TMAHを使用しなくても、優れた特性を有する酸化チタン粒子を製造できる。
【0010】
(工程(A))
工程(A)では、チタンアルコキシド又はチタン金属塩の加水分解生成物と、窒素を含む5員環を有する化合物とを混合して混合溶液を作製する。
【0011】
(チタンアルコキシド及びチタン金属塩)
工程(A)で用いるチタンアルコキシドには、たとえば、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラノルマルプロポキシチタン及びテトラノルマルブトキシチタンなどが挙げられる。加水分解速度の制御性及び入手容易性の観点から、好ましいチタンアルコキシドは、テトライソプロポキシチタン及びテトラノルマルブトキシチタンであり、より好ましいチタンアルコキシドはテトライソプロポキシチタンである。工程(A)で用いるチタン金属塩には、たとえば、四塩化チタン及び硫酸チタンなどが挙げられる。
【0012】
(加水分解生成物)
工程(A)で使用される加水分解生成物は、上記チタンアルコキシド又はチタン金属塩が加水分解して生成した生成物であれば特に限定されない。たとえば、加水分解生成物は、メタチタン酸やオルトチタン酸と呼ばれる含水酸化チタンのケーキ状物質である。そのケーキ状物質の内部には加水分解の過程で生成されたアルコール類や塩酸、硫酸が含有されている。これらの物質は結晶成長の際に阻害物質となるため、純水を用いデカンテーション、ヌッチェ法、限外濾過法などの方法を用い洗浄することが好ましい。
【0013】
(窒素を含む5員環を有する化合物)
工程(A)で用いる窒素を含む5員環を有する化合物は、水熱合成の触媒としての機能を有する。工程(A)で用いる窒素を含む5員環を有する化合物には、たとえば、ピロール、イミダゾール、インドール、プリン、ピロリジン、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、フラザン、カルバゾール及び1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネンなどが挙げられる。狭小な粒度分布を有し、結晶性の優れた酸化チタン粒子を製造できることから、好ましい窒素を含む5員環を有する化合物は、5員環が含む窒素の数は1である、窒素を含む5員環を有する化合物である。そのような窒素を含む5員環を有する化合物には、たとえば、ピロール、インドール、ピロリジン、イソチアゾール、イソオキサゾール、フラザン、カルバゾール及び1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネンなどが挙げられる。また、狭小な粒度分布を有し、結晶性の優れた酸化チタン粒子を製造できることから、より好ましい窒素を含む5員環を有する化合物は、5員環が飽和複素環である化合物である。そのような窒素を含む5員環を有する化合物には、たとえば、ピロリジン及び1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0014】
窒素を含む5員環を有する化合物の配合量は、加水分解生成物中のチタン原子1molに対して、好ましくは0.01〜1.0molであり、より好ましくは0.1〜0.7molであり、さらに好ましくは0.1〜0.5molである。
【0015】
(水)
工程(A)では、所望により、濃度調整等のために、チタンアルコキシド又はチタン金属塩の加水分解生成物及び窒素を含む5員環を有する化合物に適宜水を添加してもよい。
工程(A)で用いる水には、たとえば脱イオン水、蒸留水及び純水などが挙げられる。
【0016】
(混合)
チタンアルコキシド又はチタン金属塩の加水分解生成物と、窒素を含む5員環を有する化合物とを混合する混合方法は、均一な混合溶液を作製できれば、特に限定されない。たとえば、上記原料を攪拌機、ビーズミル、ボールミル、アトライター及びディゾルバーなどを使用して混合することができる。
【0017】
(pH)
混合溶液のpHは、好ましくは9〜13であり、より好ましくは11〜13である。混合溶液のpHを変えることにより、得られる酸化チタン粒子の平均粒径を制御することができる。混合溶液のpHが9よりも小さい場合、窒素を含む5員環を有する化合物の核形成への触媒作用が小さくなる場合がある。これにより、工程(B)で混合溶液中に生成する粒子の核の核生成速度が遅くなり、混合溶液中に生成する粒子の核の数が少なくなる場合がある。そのため、個々の粒子の粒子径は大きくなり、得られる酸化チタン粒子の平均粒径が大きくなりすぎてしまう場合がある。一方、混合溶液のpHが13よりも大きいと、工程(B)で混合溶液中に生成する粒子の核の核生成速度が速くなり、混合溶液中に生成する粒子の核の数が多くなりすぎてしまう場合がある。これにより、個々の粒子の粒子径は小さくなり、得られる酸化チタン粒子の平均粒径が小さくなりすぎてしまう場合がある。また、混合溶液のpHが13よりも大きいと、混合溶液の分散性が変化し、工程(B)で生成する酸化チタン粒子の粒度分布幅が大きくなりすぎてしまう場合がある。
【0018】
(混合溶液中のチタンの濃度)
混合溶液中におけるチタンの濃度は、チタン原子濃度で、好ましくは0.05〜3.0mol/kgであり、より好ましくは0.5〜2.5mol/kgである。混合溶液中におけるチタンの濃度が0.05mol/kgよりも小さいと、工程(B)で混合溶液中に生成する粒子の核の核生成速度が遅くなり、混合溶液中に生成する粒子の核の数が少なくなる場合がある。そのため、個々の粒子の粒子径は大きくなり、得られる酸化チタン粒子の平均粒径が大きくなりすぎてしまう場合がある。一方、混合溶液中におけるチタンの濃度が3.0mol/kgよりも大きいと、工程(B)で混合溶液中に生成する粒子の核の核生成速度が速くなり、混合溶液中に生成する粒子の核の数が多くなりすぎてしまう場合がある。これにより、個々の粒子の粒子径は小さくなり、得られる酸化チタン粒子の平均粒径が小さくなりすぎてしまう場合がある。また、混合溶液中におけるチタンの濃度が3.0mol/kgよりも大きいと、混合溶液の分散性が変化し、工程(B)で生成する酸化チタン粒子の粒度分布幅が大きくなりすぎてしまう場合がある。
【0019】
(混合溶液中のチタン原子と窒素を含む5員環を有する化合物とのモル比)
混合溶液中のチタン原子と窒素を含む5員環を有する化合物とのモル比は、好ましくは1.00:0.01〜1.00:1.00の範囲であり、より好ましくは1.00:0.10〜1.00:0.70の範囲である。混合溶液中のチタン原子と窒素を含む5員環を有する化合物とのモル比が1.00:0.01〜1.00:1.00の範囲であると、粒度分布幅が狭く、結晶性の優れた酸化チタン粒子が合成できる。
【0020】
(工程(B))
工程(B)では、混合溶液を加熱及び加圧して酸化チタン微粒子を生成させる。工程(B)は、好ましくは高温高圧容器(オートクレーブ)を使用して実施される。工程(B)では、混合溶液の水熱反応により酸化チタン微粒子を生成させる。加熱及び加圧による反応が完了したあとは、酸化チタン微粒子が溶液中に分散した分散溶液が得られる。
【0021】
(加熱及び加圧)
工程(B)における加熱温度は、好ましくは150〜350℃であり、より好ましくは150〜210℃である。また、工程(B)における圧力は、密閉容器において混合溶液を上記温度に加熱したときの圧力である。工程(B)における加熱温度及び圧力が上述の範囲であると、上記加水分解生成物を混合溶液中の水に溶解させることができるとともに、酸化チタン粒子の核を生成させ、その核を成長させて酸化チタン粒子を生成させることができる。室温から加熱温度まで混合溶液を昇温させるときの昇温時間は、好ましくは1〜3時間である。
【0022】
(攪拌)
工程(B)では、好ましくは、混合溶液を攪拌しながら混合溶液を加熱及び加圧する。攪拌速度は、たとえば、100〜300rpm程度で、好ましくは200rpmである。
【0023】
(加熱時間)
工程(B)における上記加熱温度での加熱時間は、好ましくは3〜12時間であり、より好ましくは4〜9時間である。加熱時間が3時間よりも短いと、反応がすべて終わらない場合があり、加熱時間が12時間より長いと、混合溶液の反応が完了した後も加熱を長時間続けてしまう場合がある。
なお、反応完了後、酸化チタン微粒子が溶液中に分散した分散溶液が得られるが、所望により、不純物除去等のために、得られた酸化チタン粒子を純水等で洗浄してもよい。
反応完了後の酸化チタン粒子を含む分散溶液は、そのまま用いられてもよく、分散溶液から固液分離などで回収して乾燥し、酸化チタン粒子として用いられてもよく、用途に応じて所望の形態にすればよい。
本発明の製造方法で得られた酸化チタン粒子を含む分散溶液や、この分散溶液を乾燥して得られる酸化チタン粒子は、色素増感太陽電池の半導体層や絶縁層用の酸化チタン粒子として用いられてもよく、光触媒用の光触媒粒子として用いられてもよい。
【0024】
(酸化チタン粒子及び酸化チタン粒子の分散溶液)
以上の本発明の酸化チタン粒子の製造方法によって、たとえば、平均粒径が5〜100nmであるアナターゼ単相を含む酸化チタン粒子及びそれを含有する酸化チタン粒子の分散溶液を得ることができる。
【0025】
(酸化チタン粒子の分散溶液の粒度分布)
工程(B)で混合溶液が水熱反応すると、酸化チタン粒子は、酸化チタン粒子の分散溶液として得られる。その分散溶液中の酸化チタン粒子の粒度分布幅は、たとえば、20〜92nmであり、酸化チタン粒子の90%累積強度粒度分布径D90は、たとえば、58nm以下である。また、工程(A)及び工程(B)の条件によっては、酸化チタン粒子の粒度分布幅を18〜52nmとし、酸化チタン粒子の90%累積強度粒度分布径D90を42nm以下にし、さらに、酸化チタン粒子の粒度分布幅を13〜41nmとし、酸化チタン粒子の90%累積強度粒度分布径D90を32nm以下にすることができる。したがって、本発明の酸化チタン粒子の製造方法によって、極めて狭小な粒度分布幅を有する酸化チタン粒子を得ることができる。
【0026】
(酸化チタン粒子の分散溶液のPDI)
本発明の酸化チタン粒子分散溶液中における酸化チタン粒子の、JIS Z8828に準拠して測定したキュムラント多分散指数(PDI)は、好ましくは0.50以下であり、より好ましくは0.30以下である。PDIは、Polydispersity indexの略で、値が小さいほど単分散性が良いことを意味する。酸化チタン粒子のPDIが0.50以下であると、粒度分布幅が狭く、色素増感太陽電池の半導体電極として用いた場合に、高い光電変換効率が得られる。
PDIは値が小さいほど好ましいので下限値は特に限定されないが、PDIは0.01以上や、0.10以上や、0.15以上等であってもよい。
【0027】
(酸化チタン粒子の分散溶液の平均粒径)
本発明の酸化チタン粒子の製造方法で得られる酸化チタン粒子の分散溶液の平均粒径(50%累積強度粒度分布径D50)は、好ましくは10〜100nmであり、より好ましくは15〜80nmである。酸化チタン粒子の平均粒径が10nm未満であると、ペーストに配合した時に分散性を維持できず、100nmを超えると、色素増感太陽電池の半導体電極として用いた場合に、色素を十分に吸着できない。
【0028】
(酸化チタン粒子のBET比表面積)
酸化チタン粒子のBET比表面積は、好ましくは40〜150m
2/gであり、より好ましくは50〜100m
2/gである。酸化チタン粒子のBET比表面積が40m
2/g未満であると、色素増感太陽電池の半導体電極として用いた場合、色素を十分に吸着できない場合があり、150m
2/gを超えると、ペーストに配合した時に分散性を維持できない場合がある。
【0029】
(酸化チタン粒子のD
XRD(100)/D
XRD(001))
酸化チタン粒子のD
XRD(100)/D
XRD(001)は、好ましくは0.2〜1.0であり、より好ましくは0.4〜0.8であり、さらに好ましくは0.5〜0.8である。酸化チタン粒子D
XRD(100)/D
XRD(001)が0.2〜1.0であると、色素増感太陽電池の半導体電極として用いた場合、高い光電変換効率が得られる。なお、D
XRD(100)/D
XRD(001)は、酸化チタン粒子のX線回折パターンにおける(001)面の回折ピーク半値幅から算出するシェラー径に対する(100)面の回折ピーク半値幅から算出するシェラー径の比である。
【0030】
したがって、本発明の酸化チタン粒子の製造方法によって、狭小な粒度分布を有するとともに形状が安定し、結晶性に優れた酸化チタン粒子を得られる。
【0031】
上述したように、工程(B)の後、酸化チタン粒子は分散溶液の状態になる。酸化チタン粒子は、分散溶液から分離して使用してもよい。また、酸化チタン粒子を分散溶液の状態で使用してもよい。工程(B)の後に生成される酸化チタン粒子の分散溶液の透明性は高いので、この分散溶液を用いて作製した塗布膜の透明性も高くなる。このような分散溶液の透明性の高さから、本発明の酸化チタン粒子の製造方法によって製造された酸化チタン粒子は、光触媒、透明性超親水膜及び色素増感太陽電池の光半導体多孔質膜の用途に特に適している。
【0032】
工程(B)の後に生成される酸化チタン粒子の分散溶液は、後述するバインダとの相溶性を向上させるために、水を別の溶媒に置換して用いてもよい。
別の溶媒としては、バインダとの相溶性がよく、水と置換されても、上記酸化チタン粒子の特性及び分散溶液の特性を維持できる溶媒であれば特に限定されない。このような溶媒としては、アルコール類が好ましく、メタノールやエタノールが特に好ましい。
すなわち、本発明の酸化チタン粒子の分散溶液は、窒素を含む5員環を有する化合物を含有し、前記酸化チタン粒子のX線回折パターンにおける(001)面の回折ピークの半値幅から算出するシェラー径(D
XRD(001))に対する、(100)面の回折ピーク半値幅から算出するシェラー径(D
XRD(100))の比(D
XRD(100)/D
XRD(001))が、0.2〜1.0であり、前記酸化チタン粒子のJIS Z8828に準拠して測定したキュムラント多分散指数(PDI)が0.50以下である。
【0033】
本発明の酸化チタン粒子の製造方法では、窒素を含む5員環を有する化合物は、加水分解生成物中のチタン原子1molに対して、好ましくは0.01〜1.0mol、より好ましくは0.1〜0.7mol、さらに好ましくは0.1〜0.5mol配合される。そのため、本発明の酸化チタン粒子の分散溶液中の窒素を含む5員環を有する化合物の含有量は、チタン原子1molに対して、好ましくは0.01〜1.0molであり、より好ましくは0.1〜0.7molであり、さらに好ましくは0.1〜0.5molである。
【0034】
[酸化チタン粒子の分散溶液]
本発明の酸化チタン粒子の分散溶液は、窒素を含む5員環を有する化合物を含有する酸化チタン粒子の分散溶液であり、酸化チタン粒子のX線回折パターンにおける(001)面の回折ピークの半値幅から算出するシェラー径(D
XRD(001))に対する、(100)面の回折ピーク半値幅から算出するシェラー径(D
XRD(100))の比(D
XRD(100)/D
XRD(001))が、0.2〜1.0であり、酸化チタン粒子の、JIS Z8828に準拠して測定したキュムラント多分散指数が0.50以下である。
なお、窒素を含む5員環を有する化合物、シェラー径(D
XRD(100))の比(D
XRD(100)/D
XRD(001))及び酸化チタン粒子のキュムラント多分散指数については、本発明の酸化チタン粒子の製造方法で説明したものと同じであるので、説明を省略する。
【0035】
[酸化チタンペースト]
本発明の酸化チタンペーストは、本発明の製造方法によって製造された酸化チタン粒子及び本発明の酸化チタン粒子の分散溶液の少なくとも一方と、溶媒と、バインダとを含む。溶媒には、ターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、アセテート、トルエン、メタノールやエタノール等の各種アルコール及びキシレンなどが挙げられる。また、バインダには、たとえばエチルセルロース、ポリビニルブチラール、メタクリル樹脂及びブチルメタクリレートなどが挙げられる。酸化チタンペーストは、分散剤、活性剤及び可塑剤などの添加剤をさらに含んでもよい。なお、上述の分散溶液の状態の酸化チタン粒子を使用して本発明の酸化チタンペーストを作製してもよい。
また、本発明の酸化チタン粒子は、5員環を有する化合物を用いて製造されるため、洗浄等が十分でない場合には、本発明の酸化チタンペーストは、換言すれば、酸化チタン粒子と、溶媒と、バインダと、窒素を含む5員環を有する化合物とを含む酸化チタンペーストである。
5員環を有する化合物は完全に除去されているのが好ましいが、莫大な手間とコストがかかり、現在の技術では困難である。そのため、実用上は本発明の酸化チタンペーストには、5員環を有する化合物が3ppm以上含有されていることが好ましい。本発明の酸化チタンペーストは、5員環を有する化合物が3〜100ppm含有されていることが好ましく、3〜50ppm含有されていることがより好ましく、3〜30ppm含有されていることがさらに好ましい。
【0036】
[酸化チタン膜]
本発明の酸化チタン膜は、本発明のチタンペーストを塗布し、焼成することにより得られる。酸化チタンペーストを塗布する方法には、たとえば、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、スプレー法、ブレードコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、リバースコート法、スクリーン印刷法、印刷転写法及びインクジェット法などが挙げられる。塗布した酸化チタンペーストは、所望により乾燥した後、焼成される。これにより、本発明の酸化チタン膜が形成する。焼成温度は、酸化チタン粒子同士が結合して酸化チタン多孔質体が形成するような温度であれば特に限定されない。
【0037】
[色素増感太陽電池]
本発明の色素増感太陽電池は、導電性基板、増感色素を担持した光半導体電極、対向電極及び電解質を含み、光半導体電極は、本発明の酸化チタン膜を有する。
【0038】
色素増感太陽電池は、導電性基板上に形成された色素を吸着した半導体微粒子含有層からなる光半導体電極、電解質及び対向電極から構成される。特にNature(第353巻、737〜740頁、1991年)及び米国特許4927721号等には、色素によって増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子及び太陽電池、ならびにこれを作製するための材料及び製造技術が開示されている。色素増感太陽電池の光半導体電極用途に酸化チタン粒子を使用する場合、酸化チタン粒子の平均粒径、結晶性、粒度分布、純度及び結晶面などが、色素増感太陽電池の太陽光変換効率に大きく影響する。
【0039】
本発明の酸化チタン膜は、本発明の酸化チタン粒子の製造方法により製造された酸化チタン粒子を用いているので、酸化チタン粒子の粒子径が小さく、結晶性及び純度が高く、粒度分布が狭い。したがって、本発明の酸化チタン粒子の製造方法により製造された酸化チタン粒子を色素増感太陽電池の光半導体電極用途に使用することによって、色素増感太陽電池の太陽光変換効率を高くすることができる。また、本発明の酸化チタン膜を色素増感太陽電池の光半導体電極用途に使用した場合、光半導体電極の透明性を増大させることができるとともに、光半導体電極に担持させる色素の量を増やすことができる。
【0040】
以下、本発明の酸化チタン膜を光半導体電極として用いた場合の色素増感太陽電池の作製方法の一例を示す。色素増感太陽電池の作製方法は、導電性基板を作製する工程、光半導体電極を形成する工程、半導体電極に色素を担持させる工程、対向電極を配置する工程及び電解質を注入する工程を含む。
【0041】
(導電性基板を作製する工程)
透明基板を準備し、この上に透明導電層を形成して、導電性基板を作製する。透明導電層はスパッタリング法、CVD法及び塗布法など公知の成膜技術を用いて形成することができる。また、透明導電層が形成された市販の透明基板を透明導電性基板として使用することもできる。透明導電層には、たとえば、スズドープ酸化インジウム(ITO)層、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)層、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)/ITO複合層、酸化スズ層、酸化亜鉛層及びTiO
2/Ag/TiO
2複合層などがある。また、導電性基板の電気伝導性を向上させるために、Ag及びCuなどの金属格子配線を導電性基板にさらに設けてもよい。
【0042】
(光半導体電極を形成する工程)
本発明の酸化チタンペーストを上述の透明導電性基板上にスクリーン印刷し、乾燥し、焼成することによって、本発明の酸化チタン膜を形成する。この酸化チタン膜が光半導体電極となる。
【0043】
本発明の酸化チタンペーストの焼成温度は、好ましくは250〜600℃であり、より好ましくは400〜550℃である。酸化チタンペーストの焼成温度が250℃よりも低いと、酸化チタン粒子間の良好な結合が得られないため、光半導体電極の抵抗が高くなる場合がある。また、酸化チタンペーストの焼成温度が600℃よりも低いと、酸化チタン粒子の粒成長が大きくなり、光半導体電極の比表面積が小さくなりすぎてしまう場合がある。
【0044】
(半導体電極に色素を担持させる工程)
所定の溶媒中に増感色素を溶解させて増感色素溶液を作製する。増感色素溶液の作製に用いる溶媒には、たとえば、メタノール、エタノール、2プロパノール、1ブタノール及びt−ブタノールなどのアルコール類、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル及び3メトキシプロピオニトリルなどのニトリル類、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0045】
増感色素溶液の作製に用いる増感色素として、金属錯体系色素及び有機色素などを使用することができる。金属錯体色素には、金属フタロシアニン、クロロフィル、ヘミンならびにルテニウム、オスミウム、鉄及び亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種を含有する金属錯塩などが挙げられる。好ましい金属錯体色素はルテニウム金属錯体である。好ましいルテニウム金属錯体には、たとえば、ルテニウムビピリジン錯体及びルテニウムターピリジン錯体が挙げられる。有機色素には、クマリン誘導体系色素、ポリエン系色素、メロシアニン系色素、アゾ系色素、キノン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、スチリル系色素及びキサンテン系色素などが挙げられる。好ましい有機色素はクマリン誘導体系色素である。
【0046】
光半導体電極を形成した導電性基板を増感色素溶液に浸漬することにより、光半導体電極に増感色素を担持させる。
【0047】
(対向電極を配置する工程)
光半導体電極に対向する位置に対向電極を配置する。対向電極には、たとえば、Al及びSUSなどの金属電極、ならびにガラス及びプラスチックなどから構成される基板と、その基板上に形成されたPt、C、Ni、Cr、ステンレス、フッ素ドープ酸化スズ及びITOなどの導電層とから構成される導電性基板電極などが挙げられる。
【0048】
(電解質を注入する工程)
光半導体電極と対向電極との間に電解質を注入して、光半導体電極と対向電極との間に電解質を介在させることによって色素増感太陽電池を得ることができる。色素増感太陽電池の電解質として、固体電解質及び液体電解質を使用することができる。色素増感太陽電池の電解質には、たとえば、ヨウ素系電解質、臭素系電解質、セレン系電解質及び硫黄系電解質などが挙げられる。好ましい電解質はヨウ素系電解質であり、好ましいヨウ素系電解質は、I
2、LiI及びジメチルプロピルイミダゾリウムヨージドからなる群より選択される少なくとも1種をアセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピレンカーボネート及びエチレンカボネートなどの有機溶剤に溶かすことにより得られる溶液である。なお、液体電解質を用いる場合は、光半導体電極と対向電極との間に隔壁を設けた後、光半導体電極と対向電極との間の空間内に電解質を注入する。
【0049】
たとえば、以上のようにして、本発明の酸化チタン膜を用いて色素増感太陽電池を作製することができる。本発明の酸化チタン膜を光半導体電極として用いることによって、十分に高い光電変換率を有する色素増感太陽電池を得ることができる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例は、本発明を限定するものではない。
【0051】
[試料の作製]
以下のようにして、実施例1〜6及び比較例1〜6の酸化チタン粒子の分散溶液を作製した。
【0052】
(実施例1)
容量2Lのビーカーに純水1Lを投入し、攪拌しながらテトライソプロポキシチタン(日本曹達(株)製、品名:A−1)を1mol滴下し、白色懸濁液を得た。この白色懸濁液をろ過してチタンアルコキシドの加水分解生成物を得た。次いで、チタン原子の含有量が1molになる量の上記加水分解生成物、加水分解生成物中のチタン原子1molに対して0.15molになる量のピロリジン(関東化学(株)製)、ならびに加水分解生成物、ピロリジン及び純水の合計量が1kgになるような量の純水をオートクレーブ(植田技研社製、型番:SR−200)に投入し、混合して混合溶液を作製した。そして、オートクレーブの中で210℃の加熱温度で混合溶液を4時間30分間加熱して、実施例1の酸化チタン粒子の分散溶液を作製した。なお、オートクレーブの中は密閉されているので、オートクレーブの中で混合溶液を210℃の加熱温度に加熱することによって、混合溶液は加圧される。
【0053】
(実施例2)
ピロリジンの代わりに、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0.]−5−ノネン(東京化成工業(株)製)を配合した以外は、実施例1と同様にして実施例2の酸化チタン粒子の分散溶液を作製した。
【0054】
(実施例3)
加熱温度を210℃から230℃に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例3の酸化チタン粒子の分散溶液を作製した。
【0055】
(実施例4)
加水分解生成物中のチタン原子1molに対して0.19molとなるような配合量にピロリジンの配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして実施例4の酸化チタン粒子の分散溶液を作製した。
【0056】
(実施例5)
ピロリジンの代わりに、加水分解生成物中のチタン原子1molに対して0.19molとなるような配合量の1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0.]−5−ノネン(東京化成工業(株)製)を配合した以外は、実施例1と同様にして実施例5の酸化チタン粒子の分散溶液を作製した。
【0057】
(実施例6)
加水分解生成物中のチタン原子1molに対して0.12molとなるような配合量にピロリジンの配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして実施例6の酸化チタン粒子の分散溶液を作製した。
【0058】
(比較例1)
ピロリジンの代わりに、25wt%のテトラメチルアンモニウム=ヒドロキシド水溶液(多摩化学工業(株)製)を配合した以外は、実施例1と同様にして比較例1の酸化チタン粒子の分散溶液を作製した。
【0059】
(比較例2)
ピロリジンの代わりに、トリエタノールアミン(関東化学(株)製)を配合した以外は、実施例1と同様にして比較例2の酸化チタン粒子の分散溶液を作製した。しかし、酸化チタンは凝集沈降し、比較例2の酸化チタン粒子の分散溶液では、酸化チタン粒子を良好に分散させることはできなかった。
【0060】
(比較例3)
ピロリジンの代わりに、エタノールアミン(関東化学(株)製)を配合した以外は、実施例1と同様にして比較例3の酸化チタン粒子の分散溶液を作製した。しかし、酸化チタンは凝集沈降し、比較例3の酸化チタン粒子の分散溶液では、酸化チタン粒子を良好に分散させることはできなかった。
【0061】
(比較例4)
ピロリジンの代わりに、ジエタノールアミン(関東化学(株)製)を配合した以外は、実施例1と同様にして比較例4の酸化チタン粒子の分散溶液を作製した。しかし、酸化チタンは凝集沈降し、比較例4の酸化チタン粒子の分散溶液では、酸化チタン粒子を良好に分散させることはできなかった。
【0062】
(比較例5)
ピロリジンの代わりに、ジエチレントリアミン(関東化学(株)製)を配合した以外は、実施例1と同様にして比較例5の酸化チタン粒子の分散溶液を作製した。しかし、酸化チタンは凝集沈降し、比較例5の酸化チタン粒子の分散溶液では、酸化チタン粒子を良好に分散させることはできなかった。
【0063】
(比較例6)
ピロリジンの代わりに、モルホリン(関東化学(株)製)を配合した以外は、実施例1と同様にして比較例5の酸化チタン粒子の分散溶液を作製した。しかし、酸化チタンは凝集沈降し、比較例6の酸化チタン粒子の分散溶液では、酸化チタン粒子を良好に分散させることはできなかった。
【0064】
[試料の評価]
以下のようにして、実施例1〜6及び比較例1〜6の酸化チタン粒子の分散溶液を評価した。
【0065】
(酸化チタン粒子のBET比表面積)
酸化チタン粒子の分散溶液をろ過して酸化チタン粒子を分散溶液から分離させた。そして、酸化チタン粒子を純水で洗浄した後、200℃の温度で酸化チタン粒子を乾燥した。乾燥した酸化チタン粒子のBET比表面積を、比表面積計(日本ベル(株)製、型番:BELSORP−mini)を使用して測定した。
【0066】
(酸化チタン粒子の平均粒径、90%累積強度粒度分布径D90(μm))
酸化チタン粒子の分散溶液における酸化チタン粒子の平均粒径(50%累積強度粒度分布径)及び90%累積強度粒度分布径D90を、粒度分布計((株)堀場製作所製、型番:SZ−100)を使用して測定した。
【0067】
(酸化チタン粒子の分散溶液のPDI)
酸化チタン粒子の分散溶液における酸化チタン粒子のキュムラント多分散指数(PDI)を、粒度分布計 型番SZ−100((株)堀場製作所製)で測定した。
【0068】
(酸化チタン粒子の結晶相の同定及びD
XRD(100)/D
XRD(001))
酸化チタン粒子の分散溶液をろ過して酸化チタン粒子を分散溶液から分離させた。そして、酸化チタン粒子を純水で洗浄した後、200℃の温度で酸化チタン粒子を乾燥した。乾燥した酸化チタン粒子の結晶相及びX線回折パターンのD
XRD(100)/D
XRD(001)を、X線回折装置(スペクトリス社製、型番:X’Pert PRO)を使用して調べた。D
XRD(100)/D
XRD(001)は、酸化チタン粒子のX線回折パターンにおける(001)面の回折ピーク半値幅から算出するシェラー径に対する(100)面の回折ピーク半値幅から算出するシェラー径の比である。
【0069】
(色素増感太陽電池の光電変換効率の測定)
実施例1〜6及び比較例1の酸化チタン粒子の分散溶液を用いて色素増感太陽電池を作製し、色素増感太陽電池の光電変換効率を測定した。色素増感太陽電池は以下のように作製した。なお、比較例2〜6の酸化チタン粒子は分散が不良で酸化チタンペーストが得られなかったので、比較例2〜6の酸化チタン粒子の分散溶液を用いて色素増感太陽電池を作製することはできなかった。
<酸化チタンペーストの作製>
実施例1〜6及び比較例1の酸化チタン粒子の分散溶液の溶媒をエタノールで置換し、アルコール分散溶液を作製した。アルコール分散溶液を酸化チタンとして26質量部となるように秤量したアルコール分散溶液と、エチルセルロース(ダウ・ケミカル社製、商品名:エトセル)を8質量部、及びターピネオール(関東化学(株)製)を66質量部混合し混合溶液を作製した。エバポレータ(東京理化器械(株)製、型番:N−1110)を使用して余分なエタノールを混合溶液から除去した。余分なエタノールを除去した混合溶液を、3本ロールミル(EXAKT社製、型番:M−50)を使用して混錬して酸化チタンペーストを得た。
【0070】
<酸化チタンペーストを使用した色素増感太陽電池の作製>
透明導電膜付き基板(日本板硝子(株)製)に、スクリーン印刷法で、5mm×5mmの大きさ及び焼成後の膜厚が7μmになるように酸化チタンペーストを塗布した。そして、塗布した酸化チタンペーストを焼成して、酸化チタン膜(酸化チタン多孔質体)を透明導電膜付き基板上に形成し、酸化チタン膜(酸化チタン多孔質体)付き基板を作製した。このようにして得られた酸化チタン膜(酸化チタン多孔質体)付き基板を、3×10
−4mol/Lの濃度のRu金属錯体色素(Black Dye色素)溶液(DYESOL社製)10mL中に24時間浸漬して増感色素を酸化チタン膜(酸化チタン多孔質体)に担持させた。次いで、酸化チタン膜(酸化チタン多孔質体)付き基板と、表面に白金膜が形成された対極基板と、相互に対向するように、色素増感太陽電池用の容器に配置し、基板間に液体電解質(1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムのヨウ素塩(関東化学(株)製)0.6M、ヨウ化リチウム(関東化学(株))0.1M、ヨウ素(関東化学(株)製)0.05M、タ−シャリ−ブチルピリジン(関東化学(株)製)0.5Mをアセトニトリル(関東化学社製)に加えて作製した液体電解質)を注入、容器を密封して色素増感太陽電池を作製した。
【0071】
<光電変換効率の測定>
ソ−ラ−シミュレ−タ−(山下電装(株)製、型番:YSS−100AAH)を用いて、色素増感太陽電池に、擬似太陽光を照射し、電流電圧測定装置(エーディーシー社製、型番:6243)にてI−V特性を測定することによって光電変換効率を求めた。ただし、色素増感太陽電池の作製によるI−V特性の測定はバラつきが大きいため、リファレンスとして比較例1の酸化チタンの分散溶液で作製した光半導体電極を用いた色素増感太陽電池の光電変換特性で規格化して実施例1〜6及び比較例1の酸化チタンの分散溶液で作製した光半導体電極を用いた色素増感太陽電池の光電変換効率を求めた。
【0072】
[評価結果]
実施例1〜6及び比較例1〜6の酸化チタンの分散溶液の評価結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
※1 DBN:1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0.]−5−ノネン
※2 TMAH:25wt%のテトラメチルアンモニウム=ヒドロキシド水溶液
※3 TEA:トリエタノールアミン
※4 DEA:ジエタノールアミン
※5 DETA:ジエチレントリアミン
【0074】
[結果]
実施例1〜6の評価結果と比較例1の評価結果とを比較することにより、本発明によれば、TMAHを使用しなくても、優れた特性を有する酸化チタン粒子を製造できることがわかった。また、実施例1〜6の評価結果と比較例2〜6の評価結果とを比較することにより、窒素を含む5員環を有する化合物は、他のアミン化合物に比べて、水熱合成により酸化チタン粒子を生成させるための触媒として優れていることがわかった。さらに、実施例1〜6の評価結果と比較例1〜6の評価結果とを比較することにより、本発明の酸化チタン粒子の製造方法により製造された酸化チタン粒子(酸化チタン粒子の分散溶液)を用いることにより、光電変換効率が良好な色素増感太陽電池を得られることがわかった。
【0075】
<酸化チタンペーストに含まれる窒素を含む5員環を有する化合物(ピロリジン)の量>
実施例4、6、比較例1の酸化チタンペーストに含有されるピロリジンの量を測定した。
各実施例、比較例で得られた酸化チタンペーストを酸溶液で抽出し、キャピラリー電気泳動法にて測定した。その結果、実施例4の酸化チタンペーストには20ppm、実施例6の酸化チタンペーストには11ppmのピロリジンが検出され、比較例1の酸化チタンペーストは検出下限以下であり、ピロリジンは検出されなかった。
この評価結果より、実施例4、6の酸化チタンペーストには、触媒として使用した窒素を含む5員環を有する化合物が微量残留していることが確認された。