【実施例】
【0049】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
【0050】
[粘度測定]
樹脂の粘度はE型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV−II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%〜90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
【0051】
[発泡の評価]
第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間で剥離が確認されるか、又はポリイミド層に亀裂が発生している場合を「発泡あり」とし、剥離や亀裂がない場合を「発泡なし」とした。
【0052】
[エッチング後寸法変化率の測定]
80mm×80mmのサイズの金属張積層板を準備した。この積層板の金属層の上に、ドライフィルムレジストを設けた後、露光、現像して、
図2に示すように、16個の直径1mmのレジストパターンを、全体が正四角形をなすように形成し、縦方向(MD)及び横方向(TD)のそれぞれ50mm間隔で5箇所を測定可能とする位置測定用ターゲットを調製した。
【0053】
調製したサンプルについて、温度;23±2℃、相対湿度;50±5%の雰囲気中にて、位置測定用ターゲットにおけるレジストパターンの縦方向(MD)及び横方向(TD)におけるターゲット間の距離を測定した後、レジストパターン開孔部の金属層の露出部分をエッチング(エッチング液の温度;40℃以下、エッチング時間;10分以内)により除去し、
図3に示すように、16個の金属層残存点を有する評価サンプルを調製した。この評価サンプルを温度;23±2℃、相対湿度;50±5%の雰囲気中にて24±4時間静置後、縦方向(MD)及び横方向(TD)における金属層残存点間の距離を測定した。縦方向及び横方向の各5箇所の常態に対する寸法変化率を算出し、各々の平均値をもってエッチング後寸法変化率とする。
各寸法変化率は下記数式により出した。
エッチング後寸法変化率(%)=(B−A)/A × 100
A ; レジスト現像後のターゲット間の距離
B ; 金属層エッチング後の金属層残存点間の距離
エッチング後寸法変化率の絶対値が、0.2%以下である場合を「良」、0.2%を超え0.4%以下である場合を「可」、0.4%を超える場合を「否」とする。
【0054】
[カールの評価]
フィルムカールは、金属張積層板の銅箔を全面エッチングし、銅箔除去後の100mm×100mmの寸法のポリイミドフィルムの第1のポリイミド層を下にして置いたときの4隅の浮き高さを測定した。4隅の浮き高さの平均値が10mmを超える場合を「カールあり」と評価した。
【0055】
[透湿度の評価]
JIS Z0208に準拠して、透湿カップに吸湿剤/塩化カルシウム(無水)を封入し、24時間後のカップの質量増加を水蒸気の透過量として評価した。
【0056】
[吸湿率の測定]
ポリイミドフィルムの試験片(幅4cm×長さ25cm)を2枚用意し、80℃で1時間乾燥した。乾燥後直ちに23℃/50%RHの恒温恒湿室に入れ、24時間以上静置し、その前後の重量変化から次式により求めた。
吸湿率(重量%)=[(吸湿後重量−乾燥後重量)/乾燥後重量]×100
【0057】
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
ポリイミドフィルム(10mm×40mm)を動的熱機械分析装置(DMA:ティーエイ・インスツルメント ジャパン社製、商品名:RSA−G2)にて20℃から500℃まで5℃/分で昇温させたときの動的粘弾性を測定し、ガラス転移温度(Tanδ極大値:℃)を求めた。
【0058】
[貯蔵弾性率の測定]
貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した。30℃における貯蔵弾性率が1.0×10
9Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率が1.0×10
8Pa以上であるポリイミドを「非熱可塑性ポリイミド」とし、30℃における貯蔵弾性率が1.0×10
9Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率が1.0×10
8Pa未満であるポリイミドを「熱可塑性ポリイミド」とする。
【0059】
[熱膨張係数(CTE)の測定]
厚み25μm、3mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、サーモメカニカルアナライザー(Bruker社製、商品名;4000SA)を用い、5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から300℃まで昇温させ、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、250℃から100℃までの平均熱膨張係数(熱膨張係数)を求めた。
【0060】
実施例及び比較例に用いた略号は、以下の化合物を示す。
m−TB:2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル
TPE−R:1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
TFMB:2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル
BAFL:9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン
PMDA:ピロメリット酸二無水物
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
【0061】
(合成例1)
1000mlのセパラブルフラスコに、75.149gのm−TB(353.42mmol)、850gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、74.851gのPMDA(342.82mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Aを得た。得られたポリアミド酸溶液Aの粘度は22,700cPであった。得られたポリアミド酸のイミド化後のポリイミドは非熱可塑性であった。また、得られたポリイミドフィルム(厚み;25μm)のCTEは6.4ppm/Kであった。
【0062】
(合成例2)
1000mlのセパラブルフラスコに、65.054gのm−TB(310.65mmol)、10.090gのTPE−R(34.52mmol)、850gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、73.856gのPMDA(338.26mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Bを得た。得られたポリアミド酸溶液Bの粘度は26,500cPであった。得られたポリアミド酸のイミド化後のポリイミドは非熱可塑性であり、ガラス転移温度(Tg)は303℃であった。また、得られたポリイミドフィルム(厚み;25μm)のCTEは16.2ppm/Kであり、吸湿率は0.61重量%、透湿度は64g/m
2/24hrであった。
【0063】
(合成例3)
1000mlのセパラブルフラスコに、89.621gのTFMB(279.33mmol)、850gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、60.379gのPMDA(276.54mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Cを得た。得られたポリアミド酸溶液Cの粘度は21,200cPであった。得られたポリアミド酸のイミド化後のポリイミドは非熱可塑性であった。また、得られたポリイミドフィルム(厚み;25μm)のCTEは0.5ppm/Kであった。
【0064】
(合成例4)
1000mlのセパラブルフラスコに、49.928gのTFMB(155.70mmol)、33.102gのm−TB(155.70mmol)、850gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、66.970gのPMDA(307.03mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Dを得た。得られたポリアミド酸溶液Dの粘度は21,500cPであった。得られたポリアミド酸のイミド化後のポリイミドは非熱可塑性であった。また、得られたポリイミドフィルム(厚み;25μm)のCTEは6.0ppm/Kであった。
【0065】
(合成例5)
300mlのセパラブルフラスコに、29.492gのBAPP(71.81mmol)、255gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、15.508gのPMDA(71.10mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Eを得た。得られたポリアミド酸溶液Eの粘度は10,700cPであった。得られたポリアミド酸のイミド化後のポリイミドは熱可塑性であり、ガラス転移温度(Tg)は312℃であった。また、得られたポリイミドフィルム(厚み;25μm)のCTEは63.1ppm/Kであり、吸湿率は0.54重量%、透湿度は64g/m
2/24hrであった。
【0066】
(合成例6)
300mlのセパラブルフラスコに、25.889gのTPE−R(88.50mmol)、255gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、19.111gのPMDA(87.62mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Fを得た。得られたポリアミド酸溶液Fの粘度は13,200cPであった。得られたポリアミド酸のイミド化後のポリイミドは非熱可塑性であった。また、得られたポリイミドフィルム(厚み;25μm)のCTEは57.7ppm/Kであった。
【0067】
(合成例7)
300mlのセパラブルフラスコに、27.782gのBAFL(79.73mmol)、255gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、17.218gのPMDA(78.94mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Gを得た。得られたポリアミド酸溶液Gの粘度は10,400cPであった。得られたポリアミド酸のイミド化後のポリイミドは非熱可塑性であった。また、得られたポリイミドフィルム(厚み;25μm)のCTEは52.0ppm/Kであった。
【0068】
[実施例1]
厚み12μmの電解銅箔上に、第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2μmとなるように均一に塗布した後、120℃から360℃まで段階的に昇温させて溶媒の除去及びイミド化を行った。得られた第1のポリイミド層に120W・min/m
2でコロナ処理を行った。次に、その上に、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが25μmとなるように均一に塗布した後、120℃で3分間加熱乾燥して溶媒を除去した。その後、130℃から360℃まで段階的に昇温させてイミド化を行い、金属張積層板1を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は2μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は27μmであり、比(L/L1)は、13.5であった。調製した金属張積層板1の樹脂面に粘着テープを貼り、垂直方向に瞬間的に引き剥がしによる剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0069】
[実施例2]
ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板2を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板2の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0070】
[実施例3]
ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板3を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板3の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0071】
[実施例4]
ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板4を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板4の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0072】
[実施例5]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板5を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板5の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0073】
[実施例6]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板6を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板6の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0074】
[実施例7]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板7を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板7の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0075】
[実施例8]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Aを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板8を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板8の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0076】
[実施例9]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板9を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板9の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0077】
[実施例10]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板10を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板10の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0078】
[実施例11]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板11を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板11の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0079】
[実施例12]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板12を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板12の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0080】
[実施例13]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Aを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板13を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板13の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0081】
[実施例14]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板14を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板14の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0082】
[実施例15]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板15を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板15の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0083】
[実施例16]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板16を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板16の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0084】
[実施例17]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Aを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板17を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板17の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0085】
[実施例18]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板18を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板18の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
【0086】
比較例1
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板19を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板19の剥離試験を行ったところ、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間剥離が生じた。
【0087】
比較例2
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例2と同様にして、金属張積層板20を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板20の剥離試験を行ったところ、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間剥離が生じた。
【0088】
比較例3
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例14と同様にして、金属張積層板21を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板21の剥離試験を行ったところ、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間剥離が生じた。
【0089】
比較例4
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例15と同様にして、金属張積層板22を調製した。実施例1と同様に、調製した金属張積層板22の剥離試験を行ったところ、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間剥離が生じた。
【0090】
[実施例19]
厚み12μmの電解銅箔上に、第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、120℃から360℃まで段階的に昇温させて溶媒の除去及びイミド化を行った。得られた第1のポリイミド層に120W・min/m
2でコロナ処理を行った。次に、その上に、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが20μmとなるように均一に塗布した後、その上に、第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布し、120℃で3分間加熱乾燥して溶媒を除去した。その後、130℃から360℃まで段階的に昇温させてイミド化を行い、金属張積層板23を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は2.5μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は25μmであり、比(L/L1)は、10.0であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0091】
[実施例20]
第1のポリイミド層及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを硬化後の厚みがそれぞれ2.7μmとなるように均一に塗布し、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが19.6μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板24を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は2.7μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は25μmであり、比(L/L1)は、9.3であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0092】
[実施例21]
第1のポリイミド層及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを硬化後の厚みがそれぞれ3.2μmとなるように均一に塗布し、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが18.6μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板25を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は3.2μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は25μmであり、比(L/L1)は、7.8であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「可」だった。
【0093】
[実施例22]
第1のポリイミド層及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みがそれぞれ1.7μmとなるように均一に塗布したこと、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが22μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、ポリアミド酸溶液A及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを塗布後の130℃から360℃までの昇温時間を1/3に短縮したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板26を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は1.7μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は25.4μmであり、比(L/L1)は、14.9であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0094】
[実施例23]
第1のポリイミド層及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みがそれぞれ1.8μmとなるように均一に塗布したこと、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが22μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、ポリアミド酸溶液A及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを塗布後の130℃から360℃までの昇温時間を1/3に短縮したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板27を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は1.8μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は25.6μmであり、比(L/L1)は、14.2であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0095】
[実施例24]
第1のポリイミド層及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みがそれぞれ2.2μmとなるように均一に塗布したこと、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが20μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、ポリアミド酸溶液A及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを塗布後の130℃から360℃までの昇温時間を1/3に短縮したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板28を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は2.2μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は24.4μmであり、比(L/L1)は、11.1であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0096】
[実施例25]
第1のポリイミド層及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みがそれぞれ2.4μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Dを硬化後の厚みが20.2μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板29を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は2.4μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は25μmであり、比(L/L1)は、10.4であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0097】
[実施例26]
第1のポリイミド層及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Fを硬化後の厚みがそれぞれ2.7μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Dを硬化後の厚みが20μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板30を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は2.7μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は25.4μmであり、比(L/L1)は、9.4であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0098】
[実施例27]
第1のポリイミド層及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Gを硬化後の厚みがそれぞれ3.2μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Dを硬化後の厚みが19μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板31を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は3.2μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は25.4μmであり、比(L/L1)は、7.9であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「可」だった。
【0099】
[実施例28]
厚み12μmの電解銅箔上に、ポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2.0μmとなるように均一に塗布した後、120℃で溶媒の除去を行った。その上にポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが50μmとなるように均一に塗布した後、120℃、3分で溶媒の除去を行った。更にその上にポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2.0μmとなるように均一に塗布した後、120℃で溶媒の除去を行い、120℃から360℃まで段階的に昇温させて溶媒の除去及びイミド化を行い、第1のポリイミド層を形成した片面金属張積層板28Bを得た。得られた片面金属張積層板28Bのポリイミド層に120W・min/m
2でコロナ処理を行った。次に、その上に、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが50μmとなるように均一に塗布、溶媒の除去した後、その上に、第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2.0μmとなるように均一に塗布し、120℃で3分間加熱乾燥して溶媒を除去した。その後、130℃から360℃まで段階的に昇温させてイミド化を行い、片面金属張積層板28を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は54μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は106μmであり、比(L/L1)は、1.96であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0100】
[実施例29]
第1のポリイミド層のうち2層を構成するためのポリアミド酸溶液E及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを、それぞれ硬化後の厚みが10μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例28と同様にして、片面金属張積層板29を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は70μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は130μmであり、比(L/L1)は、1.86であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0101】
[実施例30]
第1のポリイミド層のうち2層を構成するためのポリアミド酸溶液E及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを、それぞれポリアミド酸溶液Fとし、硬化後の厚みが2.0μmとなるように均一に塗布したこと、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Bを硬化後の厚みが50μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例28と同様にして、片面金属張積層板30を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は54μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は106μmであり、比(L/L1)は、1.96であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0102】
[実施例31]
第1のポリイミド層のうち2層を構成するためのポリアミド酸溶液F及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Fを、それぞれ硬化後の厚みが10μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例30と同様にして、片面金属張積層板31を調製した。第1のポリイミド層の厚み(L1)は70μmであり、絶縁樹脂層全体の厚み(L)は130μmであり、比(L/L1)は、1.86であった。発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
【0103】
比較例5
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板32を調製したところ、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールが確認された。
【0104】
比較例6
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例20と同様にして、金属張積層板33を調製したところ、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールが確認された。
【0105】
比較例7
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例21と同様にして、金属張積層板34を調製したところ、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールが確認された。
【0106】
比較例8
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例22と同様にして、金属張積層板35を調製したところ、発泡が確認された。
【0107】
比較例9
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例23と同様にして、金属張積層板36を調製したところ、発泡が確認された。
【0108】
比較例10
コロナ処理を行わなかったこと以外、実施例24と同様にして、金属張積層板37を調製したところ、発泡が確認された。
【0109】
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。