【解決手段】CMP組成物は、セリア被覆シリカ粒子などの研磨剤としてのセリア被覆無機酸化物粒子、アセチレン結合及び末端ヒドロキシル基を有する少なくとも2つ又は複数のエトキシレート官能基を含む有機アセチレン分子、同じ分子内に少なくとも2つ又は複数のヒドロキシル官能基を有する有機分子及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる化学添加剤、水溶性溶媒、及び、場合により、殺生物剤及びpH調整剤を含み、ここで、組成物は2〜12、好ましくは3〜10、より好ましくは4〜9のpHを有する。
前記セリア被覆無機酸化物粒子はセリア被覆コロイドシリカ、セリア被覆高純度コロイドシリカ、セリア被覆アルミナ、セリア被覆チタニア、セリア被覆ジルコニア粒子及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記水溶性溶媒は、脱イオン(DI)水、蒸留水及びアルコール性有機溶媒からなる群より選ばれ、
前記殺生物剤は、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−−イソチアゾリン−3−オン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる活性成分を含み、
そして
前記pH調整剤は、酸性pH条件のために、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機酸又は有機酸及びそれらの混合物からなる群より選ばれ、又は、アルカリ性pH条件のために、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化有機第四級アンモニウム化合物、有機アミン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項1記載の化学機械研磨組成物。
前記アセチレン結合及び末端ヒドロキシル基を有する少なくとも2つのエトキシレート官能基を含む有機アセチレン分子は、エトキシル化アセチレングリコールを含む非イオン性界面活性剤を含み、そして
前記同じ分子内に少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する有機分子は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、リビトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、D−(−)−フルクトース、ソルビタン、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D−アラビノース、L−アラビノース、D−マンノース、L−マンノース、メソ-エリスリトール、β-ラクトース、アラビノース及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項1記載の化学機械研磨組成物。
前記アセチレン結合及び末端ヒドロキシル基を有する少なくとも2つのエトキシレート官能基を含む有機アセチレン分子は、エトキシル化アセチレングリコールを含む非イオン性界面活性剤を含み、そして
前記同じ分子内に少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する有機分子は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、D−(−)−フルクトース、β-ラクトース及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項1記載の化学機械研磨組成物。
前記組成物はセリア被覆コロイドシリカ粒子;エトキシル化アセチレングリコールを含む非イオン性界面活性剤;マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、D−(−)−フルクトース、β−ラクトース及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれるもの;及び水を含む、請求項1記載の化学機械研磨組成物。
前記組成物はセリア被覆コロイドシリカ粒子;エトキシル化アセチレングリコールを含む非イオン性界面活性剤0.001wt%〜0.25wt%;マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、D−(−)−フルクトース、β−ラクトース及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれるもの0.0025wt%〜1.0wt%;及び水を含む、請求項1記載の化学機械研磨組成物。
前記組成物はセリア被覆コロイドシリカ粒子;エトキシル化アセチレングリコールを含む非イオン性界面活性剤0.002wt%〜0.15wt%、マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、D−(−)−フルクトース、β−ラクトース及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれるもの0.05wt%〜0.5wt%;及び水を含み、前記組成物は4.5〜7.5のpHを有する、請求項1記載の化学機械研磨組成物。
前記アセチレン結合及び末端ヒドロキシル基を有する少なくとも2つのエトキシレート官能基を含む有機アセチレン分子は、エトキシル化アセチレングリコールを含む非イオン性界面活性剤を含み、そして
前記同じ分子内に少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する有機分子は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、リビトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、D−(−)−フルクトース、ソルビタン、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D−アラビノース、L−アラビノース、D−マンノース、L−マンノース、メソ−エリスリトール、β−ラクトース、アラビノース及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項10記載の方法。
前記化学機械研磨(CMP)組成物はセリア被覆コロイドシリカ粒子;エトキシル化アセチレングリコールを含む非イオン性界面活性剤;マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、D−(−)−フルクトース、β−ラクトース及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれるもの;及び水を含む、請求項10記載の方法。
前記化学機械研磨(CMP)組成物はセリア被覆コロイドシリカ粒子;エトキシル化アセチレングリコールを含む非イオン性界面活性剤0.002wt%〜0.15wt%;マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、D−(−)−フルクトース、β−ラクトース及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれるもの0.05wt%〜0.5wt%;及び水を含み、前記組成物は4.5〜7.5のpHを有する、請求項10記載の方法。
前記アセチレン結合及び末端ヒドロキシル基を有する少なくとも2つのエトキシレート官能基を含む有機アセチレン分子は、エトキシル化アセチレングリコールを含む非イオン性界面活性剤を含み、そして
前記同じ分子内に少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する有機分子は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、リビトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、D−(−)−フルクトース、ソルビタン、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D−アラビノース、L−アラビノース、D−マンノース、L−マンノース、メソ−エリスリトール、β−ラクトース、アラビノース及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項17記載のシステム。
前記化学機械研磨(CMP)組成物はセリア被覆コロイドシリカ粒子;エトキシル化アセチレングリコールを含む非イオン性界面活性剤;マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、D−(−)−フルクトース、β−ラクトース;及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれるもの及び水を含む、請求項17記載のシステム。
前記化学機械研磨(CMP)組成物はセリア被覆コロイドシリカ粒子;エトキシル化アセチレングリコールを含む非イオン性界面活性剤0.002wt%〜0.15wt%;マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、D−(−)−フルクトース、β−ラクトース及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれるもの0.05wt%〜0.5wt%;及び水を含み、前記組成物は4.5〜7.5のpHを有する、請求項17記載のシステム。
【発明の概要】
【0011】
発明の概要
本発明は、SiN膜の除去速度を抑制し、酸化ケイ素:窒化ケイ素の除去選択性(又はTEOS:SiN選択性)を高め、研磨されたパターン化ウエハ上の酸化物トレンチディッシングを低減するSTI CMP研磨組成物を提供する。
【0012】
本発明のSTI CMP研磨組成物はまた、酸性、中性及びアルカリ性のpH条件を含む広いpH範囲のシャロートレンチ分離(STI)CMP用途のための化学機械研磨(CMP)組成物にSiN膜除去速度抑制剤及び酸化物トレンチディッシング低減剤として化学添加剤を導入することにより高い酸化物対窒化物選択性を提供する。
【0013】
シャロートレンチ分離(STI)CMP用途のための開示される化学機械研磨(CMP)組成物は、セリア被覆無機酸化物研磨粒子、及び、酸化物トレンチディッシング低減剤及び窒化物抑制剤として適切な化学添加剤を使用する独特な組み合わせを有する。
【0014】
1つの態様において、
セリア被覆無機酸化物粒子、
アセチレン結合及び末端ヒドロキシル基を有する少なくとも2つのエトキシレート官能基を含む有機アセチレン分子、同じ分子内に少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する有機分子、及び、それらの組み合わせからなる群より選ばれる化学添加剤、
水溶性溶媒、及び、
場合により、
殺生物剤、及び、
pH調整剤、
を含むSTI CMP研磨組成物であって、ここで、該組成物は2〜12、好ましくは3〜10、より好ましくは4〜9、最も好ましくは4.5〜7.5のpHを有する、STI CMP研磨組成物は提供される。
【0015】
セリア被覆無機酸化物粒子としては、限定するわけではないが、セリア被覆コロイドシリカ、セリア被覆高純度コロイドシリカ、セリア被覆アルミナ、セリア被覆チタニア、セリア被覆ジルコニア又は他のセリア被覆無機酸化物粒子が挙げられる。
【0016】
水溶性溶媒としては、限定するわけではないが、脱イオン(DI)水、蒸留水及びアルコール性有機溶媒が挙げられる。
【0017】
化学添加剤の2つのタイプ又は群が存在する。
【0018】
群Iの化学添加剤は、アセチレン結合及び末端ヒドロキシル基を有する少なくとも2つ又は複数のエトキシレート官能基を含む有機アセチレン分子を含む。
【0019】
化学添加剤の群IIは、同じ非イオン性有機分子に少なくとも2つ又は複数のヒドロキシル基を含む。
【0020】
化学添加剤は、SiN膜除去速度抑制剤及び酸化物トレンチディッシング低減剤として機能する。
【0021】
化学添加剤の群Iは、アセチレン結合及び末端ヒドロキシル基を有する少なくとも2つのエトキシレート官能基を含む有機アセチレン分子を含み、以下に示すとおりの一般分子構造を有する。
【化1】
【0022】
一般分子構造において、R
1及びR
2は同じでも又は異なっていてもよく、それぞれは独立して、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基C
nH
2n+1から選ばれ、nは1〜12、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。
【0023】
エトキシレート繰り返し単位について、q及びmは同じでも又は異なっていてもよい。
【0024】
q及びmは、独立して、1〜100、好ましくは3〜50、より好ましくは5〜30より選ばれる。
【0025】
このタイプの化学添加剤の幾つかの例を以下に示す。
【化2】
【0026】
群Iの化学添加剤の例としては、限定するわけではないが、繰り返しエトキシレート単位の長さに依存する様々な親水性/親油性バランス(HLB)値(親水性基/疎水性基の質量%、例えば、構造中、親水性部分はエチレンオキシドであり、疎水性部分はプロピレンオキシドである)を有する非イオン性界面活性剤が挙げられる。異なる繰り返しエトキシレート単位はまた、脱イオン水への異なる溶解度を提供する。
【0027】
Evonikからの有機界面活性剤のDynol(商標)タイプ又はSurfynol(登録商標)タイプのエトキシル化アセチレングリコール界面活性剤などのエトキシル化アセチレングリコールを含む非イオン性界面活性剤は考えられ、そして群Iの化学添加剤として使用される。
【0028】
例は、Dynol(商標)604、Dynol(商標)607、Dynol(商標)800、Dynol(商標)810、Surfynol(登録商標)FS-85、Surfynol(登録商標)104、Surfynol(登録商標)465、Surfynol(登録商標)485、Surfynol(登録商標)5160、Surfynol(登録商標)PSA366; Surfynol(登録商標)SE;及びSurfynol(登録商標)SE-Fである。
【0029】
Dynol(商標)607及びDynol(商標)604は、構造(2)のエトキシル化−2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオを含む。
【0030】
1つの実施形態において、群IIの化学添加剤は、以下に示すとおりの分子構造を有する。
【化3】
【0031】
一般分子構造(a)において、nは2〜5,000、好ましくは3〜12、より好ましくは4〜6から選ばれる。
【0032】
これらの一般分子構造において、R
1、R
2及びR
3基は、同じ又は異なる原子又は官能基であることができる。
【0033】
R
1、R
2及びR
3は、水素、アルキル基C
nH
2n+1(nは1〜12、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3である)、アルコキシ、1つ以上のヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選ばれることができ、ここで、少なくとも2つは水素原子である。
【0034】
別の実施形態において、群IIの化学添加剤は以下に示すとおりの一般構造を有する。
【化4】
【0035】
この構造において、1つの−CHO官能基は分子の一方の末端に末端官能基として位置し、nは2〜5,000、3〜12、好ましくは4〜7から選ばれる。
【0036】
R
1及びR
2のそれぞれは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ以上のヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選ばれることができる。
【0037】
さらに別の実施形態において、群IIの化学添加剤は、少なくとも1つの(c)、少なくとも1つの(d)、少なくとも1つの(e)及びそれらの組み合わせを含む群から選ばれる分子構造を有する。
【化5】
【0038】
これらの一般分子構造において、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13及びR
14は、同じ又は異なる原子又は官能基であることができる。
【0039】
それらは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ以上のヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選ぶことができ、それらのうちの少なくとも2つ以上、好ましくは4つ以上は水素原子である。
【0040】
さらに、別の実施形態において、群IIの化学添加剤は、分子単位構造内に複数のヒドロキシル官能基を含む少なくとも1つのポリオール分子単位と結合した少なくとも1つの六員環構造モチーフエーテル、又は、分子単位構造内に複数のヒドロキシル官能基を含む少なくとも1つのポリオール分子単位及び少なくとも1つの六員環ポリオールを含む。ポリオールはヒドロキシル基を含む有機化合物である。
【0041】
化学添加剤の一般分子構造を(f)に示す。
【化6】
【0042】
構造(f)において、一般分子構造(f)のR
1〜R
5の基のうちの少なくとも1つのRは、(i)に示される構造を有するポリオール分子単位、
【化7】
(上式中、n及びmは同じであっても又は異なっていてもよく、m又はnは、独立して1〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、最も好ましくは1〜2から選ばれ、R
6〜R
9は、同じ又は異なる原子又は官能基であることができ、R
6、R
7、R
8及びR
9のそれぞれは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ以上のヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選ばれ、そのうちの少なくとも2つは水素原子である)であり、そして
R
1〜R
5の群における各Rの残りは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ以上のヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、下記(ii)、
【化8】
(上式中、構造(ii)は、(ii)におけるR
11〜R
14から1つのRを除去することにより、酸素炭素結合を介して構造(f)に結合され、残りのR
10〜R
14のそれぞれは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ以上のヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選ばれる)に示す構造を有する六員環ポリオール、
及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選ばれることができる。
【0043】
一般分子構造(f)は、R
1〜R
9の基の少なくとも2つ、少なくとも4つ又は少なくとも6つのRが水素原子である。したがって、化学添加剤は、それらの分子構造に少なくとも2つ、少なくとも4つ又は少なくとも6つのヒドロキシル官能基を含む。
【0044】
群IIの化学添加剤の例には、マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、リビトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、D−(−)−フルクトース、ソルビタン、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D−アラビノース、L−アラビノース、D−マンノース、L−マンノース、メソ−エリスリトール、β−ラクトース、アラビノース及びそれらの組み合わせが含まれる。好ましい化学添加剤は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、D−(−)−フルクトース、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D−(+)−マンノース、β-ラクトース及びそれらの組み合わせである。より好ましい化学添加剤は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、D−(−)−フルクトース、β-ラクトース及びそれらの組み合わせである。
【0045】
幾つかの実施形態において、CMP研磨組成物は2つ以上の成分に作製され、使用時に混合されうる。
【0046】
別の態様において、シャロートレンチ分離(STI)プロセスで上述した化学機械研磨(CMP)組成物を使用して、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材を化学機械研磨(CMP)する方法が提供される。
【0047】
別の態様において、シャロートレンチ分離(STI)プロセスで上述した化学機械研磨(CMP)組成物を使用して、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材を化学機械研磨(CMP)するシステムが提供される。
【0048】
研磨される酸化物膜は、化学気相堆積(CVD)、プラズマ強化CVD(PECVD)、高密度堆積CVD(HDP)又はスピンオン酸化物膜であることができる。
【0049】
上記で開示された基材は窒化ケイ素表面をさらに含むことができる。SiO
2:SiNの除去選択性は窒化ケイ素より大きく、30より大きく、好ましくは60より大きく、より好ましくは100より大きい。
【発明を実施するための形態】
【0050】
発明の詳細な説明
パターン化されたSTI構造のグローバル平坦化において、SiN除去速度を抑制すること及び様々なサイズの酸化物トレンチフィーチャにわたる酸化物トレンチディッシングを低減することは考慮すべき重要な要素である。より低いトレンチ酸化物損失は、隣接するトランジスタ間での電流漏れを防ぐ。ダイを横切る(ダイ内での)不均一なトレンチ酸化物損失はトランジスタの性能及びデバイス製造歩留まりに影響を及ぼす。重度のトレンチ酸化膜損失(高酸化物トレンチディッシング)はトランジスタの分離不良を引き起こし、デバイスの故障につながる。したがって、STI CMP研磨組成物における酸化物トレンチディッシングを低減することにより、トレンチ酸化物損失を低減することが重要である。
【0051】
本発明は、シャロートレンチ分離(STI)CMP用途のための化学機械研磨(CMP)組成物に関する。
【0052】
より具体的には、シャロートレンチ分離(STI)CMP用途のための開示された化学機械研磨(CMP)組成物は、セリア被覆無機酸化物研磨粒子及び酸化物トレンチディッシング低減剤及び窒化物除去速度抑制剤として適切な化学添加剤を使用する独特の組み合わせを有する。
【0053】
適切な化学添加剤としては、限定するわけではないが、アセチレン結合及び末端ヒドロキシル基を有する少なくとも2つのエトキシレート官能基を含む有機アセチレン分子(群I)、同じ分子上に少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する有機分子(群II)及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0054】
STI CMP研磨組成物中に両方の群の化学添加剤を使用すると、高い酸化物膜除去速度、低いSiN膜除去速度、高い調整可能な酸化物:SiN選択性を達成するという利点を提供し、より重要なことには、パターン化されたウエハを研磨する際に酸化物トレンチディッシングを有意に低減し、研磨ウィンドウの安定性を改善する。
【0055】
1つの態様において、STI CMP研磨組成物であって、
セリア被覆無機酸化物粒子、
アセチレン結合及び末端ヒドロキシル基を有する少なくとも2つのエトキシレート官能基を含む有機アセチレン分子、同じ分子内に少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する有機分子及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる化学添加剤、
水溶性溶媒、及び、
場合により、
殺生物剤、及び、
pH調整剤、
を含み、
ここで、前記組成物は2〜12、好ましくは3〜10、より好ましくは4〜9、最も好ましくは4.5〜7.5のpHを有する、組成物は提供される。
【0056】
セリア被覆無機酸化物粒子としては、限定するわけではないが、セリア被覆コロイドシリカ、セリア被覆高純度コロイドシリカ、セリア被覆アルミナ、セリア被覆チタニア、セリア被覆ジルコニア又は他のセリア被覆無機酸化物粒子が挙げられる。
【0057】
本明細書で開示される発明におけるこれらのセリア被覆無機酸化物粒子の粒度は10nm〜1,000nmの範囲であり、好ましい平均粒度は20nm〜500nmの範囲であり、より好ましい平均粒度は50nm〜250nmの範囲である。
【0058】
これらのセリア被覆無機酸化物粒子の濃度は、0.01wt%〜20wt%の範囲であり、好ましい濃度は0.05wt%〜10wt%の範囲であり、より好ましい濃度は0.1wt%〜5wt%の範囲である。
【0059】
好ましいセリア被覆無機酸化物粒子はセリア被覆コロイドシリカ粒子である。
【0060】
水溶性溶媒としては、限定するわけではないが、脱イオン(DI)水、蒸留水及びアルコール性有機溶媒が挙げられる。
【0062】
STI CMP組成物は、0.0001wt%〜0.05wt%、好ましくは0.0005wt%〜0.025wt%、より好ましくは0.001wt%〜0.01wt%で殺生物剤を含むことができる。
【0063】
殺生物剤としては、限定するわけではないが、Dupont/Dow Chemical Co.のKathon(商標)、Kathon(商標) CG/ICP II、Dupont/Dow Chemical Co.のBiobanが挙げられる。それらは5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの活性成分を有する。
【0064】
STI CMP組成物はpH調整剤を含むことができる。
【0065】
酸性又は塩基性のpH調整剤を使用して、STI研磨組成物を最適化されたpH値に調整することができる。
【0066】
pH調整剤としては、限定するわけではないが、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機酸又は有機酸及びそれらの混合物が挙げられる。
【0067】
pH調整剤としては、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化有機第四級アンモニウム化合物、有機アミン及びよりアルカリ性に向けてpHを調整するために使用することができるその他の化学試薬などの塩基性pH調整剤も挙げられる。
【0068】
STI CMP組成物は、0wt%〜1wt%、好ましくは0.01wt%〜0.5wt%、より好ましくは0.1wt%〜0.25wt%のpH調整剤を含む。
【0070】
群Iの化学添加剤は、アセチレン結合及び末端ヒドロキシル基を有する少なくとも2つ又は複数のエトキシレート官能基を含む有機アセチレン分子を含む。
【0071】
より具体的には、化学添加剤の群Iは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、直鎖又は分岐鎖アルキル基が炭素原子に結合されており、該炭素原子は別の炭素原子と三重結合を形成しており、そしてエトキシレート繰り返し単位が炭素原子に結合されており、該炭素原子は別の炭素原子と三重結合を形成しており、そして幾つかのヒドロキシル官能基は末端基として含まれる。
【0072】
化学添加剤の群IIは、同じ非イオン性有機分子に少なくとも2つ又は複数のヒドロキシル基を含む。
【0073】
STI CMP組成物は、0.0001wt%〜1.0wt%、好ましくは0.0005wt%〜0.5wt%、より好ましくは0.001wt%〜0.25wt%、最も好ましくは0.002wt%〜0.15wt%の群Iの化学添加剤を含む。
【0074】
STI CMP組成物は、0.001wt%〜2.0wt%、好ましくは0.0025wt%〜1.0wt%、好ましくは0.05wt%〜0.5wt%の群IIの化学添加剤を含む。
【0075】
アセチレン結合及び末端ヒドロキシル基を有する少なくとも2つのエトキシレート官能基を含む有機アセチレン分子である化学添加剤は、以下に示すとおりの一般分子構造を有する。
【化9】
【0076】
一般分子構造において、R
1及びR
2は同じでも又は異なっていてもよく、それぞれ独立して、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基C
nH
2n+1から選ばれ、式中、nは1〜12、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。
【0077】
エトキシレート基に関して、q及びmは同じでも又は異なっていてもよい。
【0078】
q及びmは、独立して1〜100、好ましくは3〜50、より好ましくは5〜30から選ばれる。
【0079】
このタイプの化学添加剤の幾つかの例を以下に示す。
【化10】
【0080】
群Iの化学添加剤の例としては、限定するわけではないが、繰り返しエトキシレート単位の長さに依存する様々な親水性/親油性バランス(HLB)値(親水性/疎水性基の質量%であり、例えば、構造中、親水性部分はエチレンオキシドであり、疎水性部分はプロピレンオキシドである)を有する非イオン性界面活性剤が挙げられる。異なる繰り返しエトキシレート単位はまた、脱イオン水への異なる溶解度を提供する。
【0081】
Evonikのエトキシル化アセチレングリコール界面活性剤であるDynol(商標)タイプ又はSurfynol(登録商標)タイプの有機界面活性剤は考えられ、群Iの化学添加剤として使用される。
【0082】
例えば、Dynol(商標)607及びDynol(商標)604は、構造(2)のエトキシル化−2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオを含む。
【0083】
1つの実施形態において、群IIの化学添加剤は、以下に示すとおりの分子構造を有する。
【化11】
【0084】
一般分子構造(a)において、nは2〜5,000、好ましくは3〜12、より好ましくは4〜6から選ばれる。
【0085】
これらの一般分子構造において、R
1、R
2及びR
3基は同じ又は異なる原子又は官能基であることができる。
【0086】
R
1、R
2及びR
3は、水素、アルキル基C
nH
2n+1(nは1〜12、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3である)、アルコキシ、1つ以上のヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選ぶことができ、ここで、少なくとも2つ以上、好ましくは4つ以上は水素原子である。
【0087】
R
1、R
2及びR
3がすべて水素原子であり、nが≧2である場合に、化学添加剤は少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する。そのような化学添加剤の幾つかの例の分子構造を以下に示す。
【化12】
【化13】
【0088】
別の実施形態において、群IIの化学添加剤は以下に示す一般構造を有する。
【化14】
【0089】
この構造において、1つの−CHO官能基は分子の一方の末端に末端官能基として位置しており、nは2〜5,000、3〜12、好ましくは4〜7から選ばれる。
【0090】
R
1及びR
2のそれぞれは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ以上のヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選ばれることができる。
【0091】
R
1及びR
2がすべて水素原子であり、n=3であるときに、化学添加剤はD−アラビノース又はL−アラビノースである。
【化15】
【0092】
R
1及びR
2がすべて水素原子であり、n=4であるときに、化学添加剤はD−マンノース又はL−マンノースである。
【化16】
【0093】
さらに別の実施形態において、群IIの化学添加剤は、少なくとも1つの(c)、少なくとも1つの(d)、少なくとも1つの(e)及びそれらの組み合わせを含む群より選ばれる分子構造を有する。
【化17】
【0094】
これらの一般分子構造において、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13及びR
14は同じ又は異なる原子又は官能基であることができる。
【0095】
それらは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ以上のヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選ばれることができ、ここで、それらのうちの少なくとも2つ以上、好ましくは4つ以上は水素原子である。
【0096】
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13及びR
14がすべて水素原子であるときに、少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する化学添加剤を提供する。
【0097】
そのような化学添加剤の幾つかの例の分子構造を以下に示す。
【化18】
【化19】
【化20】
【0098】
さらに、別の実施形態において、群IIの化学添加剤は、分子単位構造に複数のヒドロキシル官能基を含む少なくとも1つのポリオール分子単位に結合された少なくとも1つの六員環構造モチーフエーテル、又は、分子単位構造に複数のヒドロキシル官能基を含む少なくとも1つのポリオール分子単位及び少なくとも1つの六員環ポリオールを含む。ポリオールはヒドロキシル基を含む有機化合物である。
【0099】
化学添加剤は、それらの分子構造に少なくとも2つ、少なくとも4つ又は少なくとも6つのヒドロキシル官能基を含む。
【0100】
化学添加剤の一般分子構造を(f)に示す。
【化21】
【0101】
構造(f)において、一般分子構造(f)におけるR
1〜R
5の基のうちの少なくとも1つのRは、(i)
【化22】
(上式中、n及びmは同じでも又は異なっていてもよく、m又はnは、1〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、最も好ましくは1〜2から独立して選ばれ、R
6〜R
9は同じ又は異なる原子又は官能基であることができる)に示される構造を有するポリオール分子単位であり、そして
R
1〜R
5の基のうちの各Rの残りは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ以上のヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、(ii)
【化23】
(上式中、構造(ii)は、(ii)におけるR
11〜R
14から1つのRを除去することにより、酸素炭素結合を介して構造(f)に結合され、残りのR
10〜R
14のそれぞれは、水素、アルキル、アルコキシ、1つ以上のヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選ばれる)に示す構造を有する六員環ポリオール及びその組み合わせからなる群より独立して選ばれることができる。
【0102】
構造(i)を有する少なくとも1つのRを有する一般分子構造(f)において、R
1〜R
9の基のうちの少なくとも2つ、好ましくは4つ、より好ましくは6つのRは水素原子である。
【0103】
一般分子構造(f)において、R
1〜R
5の基のうちの1つのみのR、例えば、R
5が構造(i)を有するポリオール分子(n=2及びm=1)であり、そしてR
1〜R
9の基のうちの残りのRがすべて水素原子であるときに、下記の2つの化学添加剤は得られる。
【化24】
【0104】
一般分子構造(f)において、1つのR、例えば、R
5がn=2及びm=1のポリオール分子構造(i)であり、そして1つのR、例えば、R
2が六員環ポリオール構造(ii)であり、構造(ii)が、(ii)のうちの−R
14を除去することにより、酸素炭素結合を介して構造(f)に結合されており、R
1〜R
14の基のうちの残りのRがすべて水素原子であるときに、以下の化学添加剤は得られる。
【化25】
【0105】
群Iの化学添加剤は、Dynol(商標) 604、Dynol(商標) 607、Dynol(商標) 800、Dynol(商標) 810、Surfynol(登録商標)104、Surfynol(登録商標)486及びSurfynol(登録商標)5160などの様々なDynol(商標)タイプ又はSurfynol(登録商標)タイプの有機界面活性剤を含む。
【0106】
群IIの化学添加剤としては、マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、リビトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、D−(−)−フルクトース、ソルビタン、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D−アラビノース、L−アラビノース、D−マンノース、L−マンノース、メソ−エリスリトール、β−ラクトース、アラビノース及びそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい化学添加剤は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、D−(−)−フルクトース、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D−(+)−マンノース、β-ラクトース及びそれらの組み合わせである。より好ましい化学添加剤は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、D−ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、D−(−)−フルクトース、β-ラクトース及びそれらの組み合わせである。
【0107】
幾つかの実施形態において、CMP研磨組成物は2つ以上の成分に作製され、使用時に混合されうる。
【0108】
別の態様において、シャロートレンチ分離(STI)プロセスで上述した化学機械研磨(CMP)組成物を使用して、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材を化学機械研磨(CMP)する方法が提供される。
【0109】
別の態様において、シャロートレンチ分離(STI)プロセスで上述した化学機械研磨(CMP)組成物を使用して、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材を化学機械研磨(CMP)するシステムが提供される。
【0110】
研磨される酸化物膜は、化学気相堆積(CVD)、プラズマ強化CVD(PECVD)、高密度堆積CVD(HDP)又はスピンオン酸化物膜であることができる。
【0111】
上記で開示された基材は窒化ケイ素表面をさらに含むことができる。SiO
2:SiNの除去選択性は、30より大きく、好ましくは60より大きく、より好ましくは100より大きい。
【0112】
別の態様において、シャロートレンチ分離(STI)プロセスで上述した化学機械研磨(CMP)組成物を使用して、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材を化学機械研磨(CMP)する方法が提供される。研磨される酸化物膜は、CVD酸化物、PECVD酸化物、高密度酸化物又はスピンオン酸化物膜であることができる。
【0113】
本発明をさらに説明するために、以下の非限定的な例を提示する。
【0114】
CMP法
以下に示す例において、以下に示す手順及び実験条件を使用してCMP実験を実行した。
【0115】
用語集
成分
セリア被覆シリカ:約100ナノメートル(nm)の粒度を有する研磨剤として使用。そのようなセリア被覆シリカ粒子は、約20ナノメートル(nm)〜500ナノメートル(nm)の範囲の粒度を有することができる。
【0116】
セリア被覆シリカ粒子(様々なサイズ)は、日本のJGCC Inc.によって供給された。
【0117】
様々なDynol(商標)タイプ又はSurfynol(登録商標)タイプの有機界面活性剤などの化学添加剤は、ペンシルベニア州アレンタウンのEvonik Industriesから供給された。一方で、マルチトール、D−フルクトース、ズルシトール、D−ソルビトール及びその他の化学原料は、ミズーリ州セントルイスのSigma-Aldrichから供給された。
【0119】
研磨パッド:研磨パッド、IC1010、IC1000及びその他のパッドはCMP中に使用され、DOW, Inc.から供給された。
【0120】
パラメータ
全般
Å又はA:オングストローム−長さの単位
【0122】
CMP:化学機械平坦化=化学機械研磨
【0124】
DF:ダウンフォース:CMP中に課される圧力、単位psi
【0129】
PS:研磨ツールのプラテン回転速度、rpm(1分あたりの回転数)
【0131】
wt%:(リストされた成分の)質量パーセント
【0132】
TEOS:SiN選択性:(TEOSの除去速度)/(SiNの除去速度)
【0134】
TEOS又はHDP除去速度:所与のダウン圧力で測定されたTEOS又はHDP除去速度。上にリストされた例において、CMPツールのダウン圧力は2.0、3.0又は4.0psiであった。
【0135】
SiN除去速度:所与のダウン圧力で測定されたSiN除去速度。リストされた例において、CMPツールのダウン圧力は3.0psiであった。
【0136】
酸化ケイ素:窒化ケイ素の除去選択性(又はTEOS:SiN選択性):(TEOSの除去速度)/(SiNの除去速度)。
【0137】
計測
膜は、Creative Design Engineering, Inc., 20565 Alves Dr., Cupertino, CA,95014によって製造されたResMap CDEモデル168で測定された。ResMapツールは、4点プローブシート抵抗ツールである。膜に対して、5mmエッジ除外での49ポイント直径スキャンを行った。
【0138】
CMPツール
使用されたCMPツールは、3050 Boweres Avenue, Santa Clara, California, 95054のApplied Materialsによって製造された200mm Mirra又は300mm Reflexionである。DOW, Inc, 451 Bellevue Rd., Newark, DE 19713により供給されるIC1000パッドはプラテン1でブランケット及びパターン化ウエハの研究に使用した。
【0139】
IK4250UHパッド又はその他のパッドは、コンディショナーに7ポンドのダウンフォースでパッドを18分間条件調整することでブレークインした。ツール設定及びパッドブレークインを認定するために、2つのタングステンモニター及び2つのTEOSモニターを、Versum Materials Inc.により供給されたVersum(登録商標)STI2305組成物でベースライン条件にて研磨した。
【0140】
ウエハ
研磨実験は、PECVD又はLECVD又はHD TEOSウエハを使用して実施した。これらのブランケットウエハは、2985 Kifer Rd., Santa Clara, California, 95051のSilicon Valley Microelectronicsから購入した。
【0141】
研磨実験
ブランケットウエハの研究では、ベースライン条件で酸化物ブランケットウエハ及びSiNブランケットウエハを研磨した。ツールのベースライン条件は次のとおりであった。テーブル速度:87rpm、ヘッド速度:93rpm、膜圧:2.0psi又は3.0psi DF、組成物流速;200ml/分。テストに使用した研磨パッドは、Dow Chemicalsから供給されたIK4250UHパッドであった。
【0142】
実施例における組成物中の溶媒として脱イオン水を使用した。
【0143】
この組成物は、SWK Associates, Inc. 2920 Scott Blvd. Santa Clara, CA95054により供給されたパターン化ウエハ(MIT860)に対する研磨実験に使用した。これらのウエハは、Veeco VX300プロファイラー/AFM機器で測定した。酸化物ディッシングの測定には、3つの異なるサイズのピッチ構造を使用した。ウエハは、中心(center)、中央(middle)及びエッジのダイ位置で測定した。
【実施例】
【0144】
実施例
以下の実施例において、すべてのSTI研磨組成物は、0.0001wt%〜0.05wt%の範囲の非常に低い濃度の殺生物剤及び脱イオン水を含んでいた。
【0145】
例1
例1において、酸化物研磨に使用される研磨組成物を表1に示した。
【0146】
0.2wt%のセリア被覆シリカ粒子、非常に低濃度の殺生物剤及びDI水をすべての組成物で使用した。すべての組成物は5.35前後の同じのpH値であった。
【0147】
試験サンプルでは、マルチトールを0.28wt%で使用し、Surfynol(登録商標)PSA336又はSurfynol(登録商標)FS-85をそれぞれ0.05wt%又は0.012wt%で使用した。
【0148】
様々な膜の除去速度(Å/分でのRR)を試験した。膜除去速度及びTEOS:SiN膜の選択性に対する化学添加剤の効果を観察し、表1に示した。
【表1】
【0149】
使用された研磨工程条件は次のとおりであった。ダウのIK4250UHパッド、3.0psiのDF、87/93rpmのテーブル/ヘッド速度及びex-situ条件調整。
【0150】
表1に示す結果のように、研磨組成物にデュアル化学添加剤を使用すると、SiN膜除去速度が効果的に抑制された。TEOS:SiN選択性は増加した。
【0151】
特に、Surfynol(登録商標)FS-85を研磨組成物に0.012wt%の濃度で添加すると、SiN膜の除去速度が約49%抑制されるだけでなく、TEOS:SiNの選択性が78:1から142:1に増加した。
【0152】
例2
例2において、研磨に使用した研磨組成物を表2に示した。
【0153】
0.2wt%のセリア被覆シリカ粒子、非常に低濃度の殺生物剤及びDI水をすべての組成物で使用した。すべての組成物は5.35前後で同じpH値であった。
【0154】
Surfynol(登録商標)タイプの界面活性剤は、試験サンプルでそれぞれ0.05wt%又は0.012wt%で使用した。
【0155】
酸化物トレンチディッシングvs様々なオーバー研磨時間に対する化学添加剤の効果を試験し、結果を表2に示した。
【表2】
【0156】
表2に示す結果のように、デュアル化学添加剤を使用すると、すなわち、Surfynol(登録商標)FX-85又はSurfynol(登録商標)PSA336を研磨組成物の化学添加剤として添加すると、酸化物トレンチディッシングが様々なオーバー研磨時間に対して低減した。
【0157】
パターン化ウエハの研磨に使用された研磨条件は次のとおりであった。ダウのIK4250UHパッド、2.0psiのダウンフォース、87/93rpmのテーブル/ヘッド速度及びex-situ条件調整。
【0158】
酸化物トレンチ損失速度(Å/秒)に対する化学添加剤の効果を試験し、結果を表3に示した。
【0159】
表3に示す結果のように、デュアル化学添加剤を使用すると、すなわち、Surfynol(登録商標)FX-85又はSurfynol(登録商標)PSA336を研磨組成物の第二の化学添加剤として添加すると、様々なサイズの酸化物トレンチフィーチャにわたって酸化物トレンチ損失速度が低減した。
【表3】
【0160】
様々なサイズのパターン化フィーチャのSiN損失速度(Å/分)に対する化学添加剤の効果を試験し、結果を表4に示した。
【表4】
【0161】
表4に示す結果のように、デュアル化学添加剤を使用すると、すなわち、Surfynol(登録商標)FX-85又はSurfynol(登録商標)PSA336を研磨組成物の第二の化学添加剤として添加すると、様々なサイズのパターン化フィーチャにわたってSiN損失速度が低減した。
【0162】
酸化物トレンチディッシング速度(Å/秒)に対する添加剤としての化学添加剤の効果を試験し、結果を表5に示した。
【0163】
表5に示す結果のように、デュアル化学添加剤を使用すると、すなわち、研磨組成物の第二の化学添加剤としてSurfynol(登録商標)FS-85又はSurfynol(登録商標)PSA336を添加すると、様々なサイズの酸化物トレンチフィーチャにわたって酸化物トレンチディッシング速度が低減した。
【表5】
【0164】
例3
例3において、研磨に使用した研磨組成物を表6に示した。
【0165】
0.2wt%のセリア被覆シリカ粒子、非常に低濃度の殺生物剤及びDI水をすべての組成物で使用した。 すべての組成物は5.35前後の同じpH値であった。
【表6】
【0166】
試験サンプルでは、マルチトールを0.28wt%で使用し、Surfynol(登録商標)FS-85をそれぞれ0.006wt%、0.012wt%又は0.024wt%で使用した。
【0167】
研磨部品及び条件は次のとおりであった。ダウのIK4250UH研磨パッド、2.0psi DF、ex-situ条件調整及び87/93rpmのテーブル/ヘッド速度。
【0168】
様々な膜除去速度(Å/分でのRR)を試験した。様々な濃度の化学添加剤Surfynol(登録商標)FS-85が膜除去速度及びTEOS:SiN選択性に及ぼす効果を観察し、表6に示した。
【0169】
表6に示す結果のように、デュアル化学添加剤を使用すると、すなわち、研磨組成物中の群1の化学添加剤として3つの異なる濃度でSurfynol(登録商標)FS-85を添加すると、SiN膜除去速度が抑制され、TEOS:SiN選択性が増加した。
【0170】
例4
例4において、研磨に使用した研磨組成物を表7に示した。
【0171】
0.2wt%のセリア被覆シリカ粒子、非常に低濃度の殺生物剤及びDI水をすべての組成物で使用した。すべての組成物は5.35前後の同じpH値であった。
【表7】
【0172】
試験サンプルにおいて、マルチトールを0.28wt%で使用し、Surfynol(登録商標)FS-85をそれぞれ0.006wt%又は0.012wt%又は0.024wt%で使用した。
【0173】
研磨部品及び条件は次のとおりであった。ダウのIK4250UH研磨パッド、2.0psi DF、ex-situ条件調整及び87/93rpmのテーブル/ヘッド速度。
【0174】
酸化物トレンチディッシングvs様々なオーバー研磨時間に対する様々な濃度のSurfynol(登録商標)タイプの界面活性剤の影響を試験し、結果を表7に示した。
【0175】
表7に示す結果のように、デュアル化学添加剤を使用すると、すなわち、研磨組成物中の様々な濃度で第二の化学添加剤Surfynol(登録商標)FS-85を添加すると、様々なサイズのフィーチャにわたって酸化物トレンチディッシングをさらに低減し、研磨ウィンドウの安定性が改善した。
【0176】
Surfynol(登録商標)FS-85添加剤濃度の酸化物トレンチ損失速度(Å/秒)に対する効果を試験し、結果を表8に示した。
【表8】
【0177】
表8に示す結果のように、デュアル化学添加剤を使用すると、すなわち、研磨組成物中の群Iの化学添加剤として3つの異なる濃度でSurfynol(登録商標)FX-85を添加すると、様々なサイズの酸化物トレンチフィーチャにわたって酸化物トレンチ損失速度を低減させた。
【0178】
パターン化ウエハの研磨に使用される研磨条件は次のとおりである。ダウのIK4250UHパッド、2.0psiのダウンフォース、87/93rpmのテーブル/ヘッド速度及びex-situでの条件調整。
【0179】
Surfynol(登録商標)FS-85濃度が、様々なサイズのパターン化フィーチャ上のSiN損失速度(Å/秒)に及ぼす効果を試験し、結果を表9に示した。
【表9】
【0180】
表9に示す結果のように、デュアル化学添加剤を使用すると、すなわち、研磨組成物中の化学添加剤としての3つの異なる濃度でSurfynol(登録商標)FX-85を添加すると、様々なサイズのパターン化フィーチャにわたってSiN損失速度が低減した。
【0181】
Surfynol(登録商標)FS-85濃度が酸化物トレンチディッシング速度(Å/秒)に及ぼす効果を試験し、結果を表10に示した。
【0182】
表10に示す結果のように、デュアル化学添加剤を使用すると、すなわち、研磨組成物中の化学添加剤として3つの異なる濃度でSurfynol(登録商標)FS-85を添加すると、異なるサイズの酸化物トレンチフィーチャにわたって酸化物トレンチディッシング速度が低減した。
【表10】
【0183】
表10に示す結果のように、デュアル化学添加剤を使用すると、すなわち、研磨組成物中の化学添加剤として3つの異なる濃度でSurfynol(登録商標)FS-85を添加すると、様々なサイズの酸化物トレンチフィーチャにわたって酸化物トレンチディッシング速度が低減した。
【0184】
例5
例5において、研磨に使用された研磨組成物及び2つの異なる研磨ダウンフォースを表11に示した。
【0185】
0.2wt%のセリア被覆シリカ粒子、非常に低濃度の殺生物剤及びDI水をすべての組成物で使用した。すべての組成物は5.35前後の同じpH値であった。
【0186】
試験サンプルにおいて、マルチトールを0.28wt%で、Surfynol(登録商標)FS-85を0.012wt%でそれぞれ使用した。
【0187】
2つの異なるダウンフォース(2.0psi又は3.0psi)での異なる膜の除去速度(Å/分でのRR)を試験した。膜除去速度及びTEOS:SiN選択性に対するデュアル化学添加剤の効果を観察し、表11に示した。
【0188】
研磨部品及び条件は次のとおりであった。ダウのIK4250UH研磨パッド、2.0psi DF又は3.0psi DF、ex-situ条件調整及び87/93rpmテーブル/ヘッド速度。
【表11】
【0189】
表11に示す結果のように、異なる研磨ダウンフォース(DF)条件で同じ濃度のデュアル化学添加剤を使用すると、PECVD又はLPCVD SiN膜除去速度は両方のダウンフォース研磨条件で抑制された。TEOS:PECVD SiN選択性は有意に向上し、3.0psiDFは2.0psi DFよりも増加させた。
【0190】
酸化物トレンチディッシングに対する同じ濃度及び異なるダウンフォース条件でのデュアル化学添加剤の効果を観察し、表12に示した。
【0191】
研磨部品及び条件は次のとおりであった。ダウのIK4250UH研磨パッド、2.0psi DF又は3.0psi DF、ex-situ条件調整及び87/93rpmのテーブル/ヘッド速度。
【0192】
表12に示す結果のように、様々なサイズのフィーチャでの酸化物トレンチディッシングは、両方のダウンフォース研磨条件で低減した。また、3.0psi DF又は2.0psi DFでデュアル化学添加剤を使用すると、オーバー研磨ウィンドウの安定性が向上した。
【表12】
【0193】
様々なSurfynol(登録商標)系界面活性剤を使用して、さらに研磨試験を実施した。
【0194】
Surfynol(登録商標)タイプの添加剤が膜除去速度及びTEOS:SiN選択性に及ぼす効果を表13に示した。
【0195】
研磨試験は、2.0spi DF及び87/93 rpmテーブル/ヘッド速度でダウのIK4250UHパッドを使用して実施した。
【表13】
【0196】
表13に示す結果のように、同じ濃度の異なるSurfynol(登録商標)化学添加剤を用いて、TEOS:SiN選択性はほとんどのSurfynol(登録商標)化学添加剤で増加した。
【0197】
様々なサイズのフィーチャでの酸化物トレンチディッシングvs様々なオーバー研磨時間に対する同じ濃度の化学添加剤としての様々なSurfynol(登録商標)界面活性剤の効果を観察し、表14に示した。
【表14】
【0198】
研磨部品及び条件は次のとおりであった。ダウのIK4250UH研磨パッド、2.0psi DF、ex-situ条件調整及び87/93rpmのテーブル/ヘッド速度。
【0199】
表14に示す結果のように、同じ濃度の異なるSurfynol(登録商標)化学添加剤で、様々なサイズのフィーチャを有する酸化物トレンチディッシングは、ほとんどのSurfynol(登録商標)化学添加剤である程度減少した。
【0200】
例6
例6において、酸化物研磨に使用される研磨組成物を表15に示した。
【0201】
2wt%のセリア被覆シリカ粒子、非常に低濃度の殺生物剤及びDI水をすべての組成物で使用した。すべての組成物は5.35前後の同じpH値であった。
【0202】
試験サンプルにおいて、D-ソルビトールを0.15wt%で使用し、Dynol(商標) 607を0.05wt%で使用した。
【0203】
様々な膜の除去速度(Å/分でのRR)を、ダウのIC1010パッド及び3.1psiの負荷ダウンフォースで試験した。
【0204】
膜の除去速度及びTEOS:SiN膜の選択性に対するデュアル化学添加剤の効果を観察し、表15に示した。
【表15】
【0205】
表15に示す結果のように、デュアル化学添加剤を使用すると、すなわち、研磨組成物中にDynol(商標)系界面活性剤分子を添加すると、SiN膜除去速度を効果的に抑制した。TEOS:SiN選択性は向上した。
【0206】
酸化物トレンチディッシングvs様々なオーバー研磨時間に対するデュアル化学添加剤の効果を試験し、結果を表16に示した。
【0207】
表16に示す結果のように、デュアル化学添加剤を使用すると、すなわち、研磨組成物中の化学添加剤としてDynol(商標) 607を添加すると、非常に低い酸化物トレンチディッシングvs様々なオーバー研磨時間を提供した。
【表16】
【0208】
様々なサイズのパターン化フィーチャのSiN損失速度(Å/秒)に対するデュアル化学添加剤の効果を試験し、結果を表17に示した。
【表17】
【0209】
表17に示す結果のように、デュアル化学添加剤を使用すると、すなわち、研磨組成物に化学添加剤としてDynol(商標) 607を添加すると、様々なサイズのパターン化フィーチャにわたってSiN損失速度が低減した。
【0210】
例7
例7において、酸化物研磨に使用される研磨組成物を表18に示した。すべての組成物は、0.4wt%のセリア被覆シリカ粒子、非常に低濃度の殺生物剤及びDI水を有していた。すべての研磨組成物は、5.35前後の同じpH値であった。
【0211】
試験サンプルにおいて、D−ソルビトールを0.275wt%で使用し、Dynol(商標) 607を0.01wt%で使用した。
【0212】
様々な膜の除去速度(Å/分でのRR)を、ダウのIC1010パッド及び3.1psiの負荷ダウンフォースで試験した。膜除去速度及びTEOS:SiN膜選択性に対する化学添加剤の効果を観察し、表18に示した。
【表18】
【0213】
Dynol(商標) 607を研磨組成物に単独で使用したときに、約9:1の低いTEOS:SiN選択性が得られた。
【0214】
D−ソルビトールを研磨組成物に単独で使用したときに、約44:1のTEOS:SiN選択性が得られた。
【0215】
研磨組成物がD−ソルビトール及びDynol(商標) 607の組み合わせ、すなわち、デュアル化学添加剤を有するときに、TEOS:SiN除去選択性が予想外に78:1に増加した。
【0216】
酸化物トレンチディッシングvs様々なオーバー研磨時間に対する化学添加剤の効果を試験し、結果を表19に示した。
【表19】
【0217】
表19に示す結果のように、60秒及び120秒のオーバー研磨時間条件にわたり、デュアル化学添加剤としてDynol(商標) 607及びD−ソルビトールの両方を含む研磨組成物は、Dynol(商標) 607又はD−ソルビトールのいずれかをそれぞれ唯一の化学添加剤として使用した研磨組成物から得られた酸化物トレンチディッシングよりも、2つの試験された酸化物トレンチフィーチャにわたって、より低い酸化物トレンチディッシングを提供した。
【0218】
また、表19に示すように、Dynol(商標) 607及びD−ソルビトールを研磨組成物中のデュアル化学添加剤として添加すると、非常に低い酸化物トレンチディッシングvs様々なオーバー研磨時間を提供し、様々なパターン化フィーチャvsオーバー研磨時間にわたって有意な酸化物トレンチディッシングの低減を示した。
【0219】
様々なサイズのパターン化フィーチャのSiN損失速度(Å/秒)に対する化学添加剤の効果を試験し、結果を表20に示した。
【表20】
【0220】
表20に示す結果のように、研磨組成物にデュアル化学添加剤を添加すると、様々なサイズのパターン化フィーチャにわたってSiN損失速度が有意に低減した。
【0221】
様々なサイズのパターン化フィーチャ上の酸化物トレンチ損失速度(Å/秒)に対する化学添加剤の効果を試験し、結果を表21に示した。
【0222】
表21に示す結果のように、研磨組成物にデュアル化学添加剤を添加すると、様々なサイズのパターン化フィーチャにわたって酸化物トレンチ損失速度が有意に低減した。
【表21】
【0223】
様々なサイズのパターン化フィーチャ上での酸化物トレンチディッシング速度(Å/秒)に対する化学添加剤の効果を試験し、結果を表22に示した。
【表22】
【0224】
表22に示す結果のように、研磨組成物にデュアル化学添加剤を添加すると、様々なサイズのパターン化フィーチャにわたって酸化物トレンチディッシング速度が有意に低減した。
【0225】
例8
例8において、酸化物研磨に使用される研磨組成物を表23に示した。0.2wt%のセリア被覆シリカ粒子、非常に低濃度の殺生物剤及びDI水をすべての組成物に使用した。すべての組成物は5.35前後の同じpH値であった。
【0226】
試験サンプルにおいて、マルチトールを0.28wt%で使用し、Surfynol(登録商標)FS-85を0.012wt%で使用した。
【0227】
様々な膜除去速度(Å/分でのRR)を、ダウのIC1010パッド及び3.1psiの負荷ダウンフォースで試験した。化学添加剤マルチトール/又はSurfynol(登録商標)FS-85又はマルチトール+Surfynol(登録商標)FS-85の膜除去速度及びTEOS:SiN膜選択性に対する効果を観察し、表23に示した。
【表23】
【0228】
表23に示す結果のように、Surfynol(登録商標)FS-85界面活性剤を研磨組成物中でマルチトールとともに使用すると、Surfynol(登録商標)FS-85又はマルチトールを研磨組成物中の単一の化学添加剤として使用して得られるSiN膜除去速度と比較して、SiN膜除去速度を効果的に抑制した。Surfynol(登録商標)FS-85とマルチトールとの両方をデュアル化学添加剤として使用すると、TEOS:SiN選択性が向上した。
【0229】
具体的には、Surfynol(登録商標)FS-85とマルチトールとの両方を研磨組成物中のデュアル化学添加剤として一緒に使用したときに、TEOS:SiN選択性はマルチトールのみを使用する場合の24:1又はSurfynol(登録商標)FS-85のみを使用する場合の8:1から73:1に増加した。
【0230】
Surfynol(登録商標)FS-85及びマルチトールの酸化物トレンチディッシングvs様々なオーバー研磨時間に対する効果を試験し、結果を表24に示した。
【表24】
【0231】
表24に示す結果のように、同じ研磨組成物にデュアル化学添加剤としてSurfynol(登録商標)FS-85及びマルチトールを添加すると、非常に低い酸化物トレンチディッシングvs様々なオーバー研磨時間を提供し、様々なパターン化フィーチャvsオーバー研磨時間にわたって有意な酸化物トレンチディッシングの低減を示した。
【0232】
60秒又は120秒のオーバー研磨時間条件で、Surfynol(登録商標)FS-85とマルチトールとの両方をデュアル化学添加剤として含む研磨組成物は、Surfynol(登録商標)FS-85又はマルチトールをそれぞれ唯一の化学添加剤として使用した研磨組成物から得られた酸化物トレンチディッシングよりも、2つの試験された酸化物トレンチフィーチャにわたってはるかに低い酸化物トレンチディッシングを提供した。
【0233】
Surfynol(登録商標)FS-85界面活性剤及びマルチトールが様々なサイズのパターン化フィーチャ上でのSiN損失速度(Å/秒)に及ぼす効果を試験し、結果を表25に示した。
【0234】
表25に示す結果のように、同じ研磨組成物中にデュアル化学添加剤としてSurfynol(登録商標)FS-85及びマルチトールを添加すると、様々なサイズのパターン化フィーチャにわたってSiN損失速度が有意に低減し、研磨組成物のそれぞれ唯一の化学添加剤としてSurfynol(登録商標)FS-85又はマルチトールのいずれかを使用した研磨組成物から得られたSiN損失速度よりも、2つの試験されたパターン化フィーチャにわたってSiN損失速度がはるかに低減した。
【表25】
【0235】
Surfynol(登録商標)FS-85界面活性剤及びマルチトールが、様々なサイズのパターン化フィーチャ上での酸化物トレンチ損失速度(Å/秒)に及ぼす効果を試験し、結果を表26に示した。
【表26】
【0236】
表26に示す結果のように、同じ研磨組成物にデュアル化学添加剤としてSurfynol(登録商標)FS-85及びマルチトールを添加すると、様々なサイズのパターン化フィーチャにわたって酸化物トレンチ損失速度が有意に低減し、Surfynol(登録商標)FS-85又はマルチトールのいずれかを研磨組成物中の唯一の化学添加剤としてそれぞれ使用した研磨組成物から得られた酸化物トレンチ損失速度よりも、2つの試験されたパターン化フィーチャにわたって、はるかに低い酸化物トレンチ損失速度を提供した。
【0237】
Surfynol(登録商標)FS-85界面活性剤及びマルチトールが、様々なサイズのパターン化フィーチャ上での酸化物トレンチディッシング速度(Å/秒)に及ぼす効果を試験し、結果を表27に示した。
【0238】
表27に示す結果のように、同じ研磨組成物にデュアル化学添加剤としてSurfynol(登録商標)FS-85及びマルチトールを添加すると、様々なサイズのパターン化フィーチャにわたって酸化物トレンチディッシング速度が有意に低減し、Surfynol(登録商標)FS-85又はマルチトールをそれぞれ唯一の化学添加剤として使用した研磨組成物から得られた酸化物トレンチディッシング速度よりも、2つの試験されたパターン化フィーチャにわたって低い酸化物トレンチディッシング速度を提供した。
【表27】
【0239】
実施例は、群I及び群IIの両方を研磨組成物中のデュアル化学添加剤として使用すると、TEOS:SiN除去選択性が大幅に増加したことを実証した。さらに、酸化物トレンチディッシング速度、酸化物トレンチ損失速度及びSiN損失速度は、試験されたパターン化フィーチャにわたって大幅に低減した。
【0240】
実施例を含む上記の本発明の実施形態は、本発明で作られることができる多数の実施形態の例示である。プロセスの他の多くの構成は使用されてよく、プロセスで使用される材料は、具体的に開示されたもの以外の多くの材料から選ぶことができるものと考えられる。