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特開2020-81364情報処理装置、システム、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-81364(P2020-81364A)
(43)【公開日】2020年6月4日
(54)【発明の名称】情報処理装置、システム、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 7/04 20060101AFI20200508BHJP
【FI】
   A61B7/04 U
   A61B7/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-220174(P2018-220174)
(22)【出願日】2018年11月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 裕哉
(72)【発明者】
【氏名】貞森 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】大下 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】儀賀 普嗣
(57)【要約】
【課題】遠隔診察における機器の利便性を向上させることが一例として挙げられる。
【解決手段】情報処理装置10は、取得部110および第1表示制御部130を備える。取得部110は、患者を聴診するための電子聴診器520の状態を示す状態情報を取得する。第1表示制御部130は、状態情報に基づき、医師が見るべき第1表示部510の表示内容を制御する。状態情報は、たとえば電子聴診器520が測定可能な状態であるか否かを示す情報を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を聴診するための電子聴診器の状態を示す状態情報を取得する取得部と、
前記状態情報に基づき、医師が見るべき第1表示部の表示内容を制御する第1表示制御部とを備える情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記第1表示部の表示内容は少なくとも一時的に前記患者を含む画像を含み、
前記第1表示制御部は、前記状態情報に基づき、前記画像を取得するためのカメラの画角および方向の少なくとも一方を制御する情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記第1表示部の表示内容は少なくとも一時的に前記患者を含む画像を含み、
前記第1表示制御部は、前記状態情報に基づき、複数のカメラから前記画像を取得するための前記カメラを選択する情報処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記第1表示制御部は、前記状態情報に基づき、前記第1表示部に前記電子聴診器から取得した音データおよび前記音データの解析結果の少なくとも一方を表示するタイミングを制御する情報処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記状態情報は、前記電子聴診器が測定可能な状態であるか否かを示す情報を含む情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置において、
前記状態情報は、前記電子聴診器の電源がオンであるかオフであるかを示す情報と、前記電子聴診器が測定中であるか否かを示す情報との少なくともいずれかを含む情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記状態情報に基づき、前記患者が見るべき第2表示部の表示内容を制御する第2表示制御部をさらに備える情報処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理装置において、
前記第2表示制御部は、前記状態情報に基づき前記第2表示部に前記電子聴診器の使用に関するガイド情報を表示させるタイミングを制御する情報処理装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記電子聴診器で取得された音データに基づき、前記患者の異常を検知する検知部をさらに備え、
前記第1表示制御部は、前記検知部が前記異常を検知した時に、前記第1表示部に前記異常が検知された旨の表示をさせる情報処理装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の情報処理装置と
前記電子聴診器とを備えるシステム。
【請求項11】
患者を聴診するための電子聴診器の状態を示す状態情報を取得する取得ステップと、
前記状態情報に基づき、医師が見るべき第1表示部の表示内容を制御する第1表示制御ステップとを含む情報処理方法。
【請求項12】
請求項11に記載の情報処理方法の各ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、システム、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔医療における診察では、医師による患者とのビデオ通話による問診が主に行われ、問診内容から診断が下されることが多い。ここで、電子聴診器を用いることで、遠隔診察における聴診が可能となり、診断精度の向上が期待できる。
【0003】
特許文献1には、電話回線等の狭帯域の伝送路を用いて聴診器の音を伝送する遠隔聴診装置に関する技術が開示されている。特許文献1の技術では、聴診器で得られた電気信号を濾波器や符号化器等を介して出力することが記載されている。そうすることで、異なる周波数の聴診音を切り替えて送受信可能である。
【0004】
特許文献2には、聴診器を用いる使用者に対して、聴診器を当てるべき位置をガイダンスする装置が記載されている。医師は、生体音を再生させて視聴することにより、患者の診断を行うことができる。特許文献2の技術では、たとえば、所定の条件を満たす場合に生体音の再測定が行われるように、ガイダンスが行われる。そうすることにより、医師が複数回分の生体音を再生可能となり医師の診断精度が高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−301066号公報
【特許文献2】特開2014−30625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
遠隔診察の問診では、医師は患者の表情や顔色、患部等を良く観察する必要がある。一方、聴診を行う場合、医師は患者のどの位置を聴診しているかを正しく把握する必要がある。このように、問診時と聴診時で医師が特に必要とする情報は異なる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、遠隔診察における機器の利便性を向上させることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、
患者を聴診するための電子聴診器の状態を示す状態情報を取得する取得部と、
前記状態情報に基づき、医師が見るべき第1表示部の表示内容を制御する第1表示制御部とを備える情報処理装置である。
【0009】
請求項10に記載の発明は、
請求項1から9のいずれか一項に記載の情報処理装置と
前記電子聴診器とを備えるシステムである。
【0010】
請求項11に記載の発明は、
患者を聴診するための電子聴診器の状態を示す状態情報を取得する取得ステップと、
前記状態情報に基づき、医師が見るべき第1表示部の表示内容を制御する第1表示制御ステップとを含む情報処理方法である。
【0011】
請求項12に記載の発明は、
請求項11に記載の情報処理方法の各ステップをコンピュータに実行させるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る情報処理装置の構成を例示する図である。
図2】実施形態に係る情報処理方法を例示するフローチャートである。
図3】実施例1に係る情報処理装置およびシステムの構成を例示する図である。
図4】実施例1に係る医師側端末、患者側端末、およびサーバの使用環境を例示する図である。
図5】医師側端末のハードウエア構成の一例を示す図である。
図6】患者側端末のハードウエア構成の一例を示す図である。
図7】サーバのハードウエア構成の一例を示す図である。
図8】実施例1に係る情報処理装置の動作を例示するフローチャートである。
図9】問診モードにおける第1表示部の表示内容を例示する図である。
図10】聴診モードにおける第1表示部の表示内容の第1例を示す図である。
図11】聴診モードにおける第1表示部の表示内容の第2例を示す図である。
図12】聴診位置の指定または表示を行うマップを例示する図である。
図13】聴診モードにおける第1表示部の表示内容の第3例を示す図である。
図14】実施例2に係る情報処理装置およびシステムの構成を例示する図である。
図15】実施例3に係る情報処理装置およびシステムの構成を例示する図である。
図16】問診モードにおける第2表示部の表示内容を例示する図である。
図17】聴診モードにおける第2表示部の表示内容を例示する図である。
図18】実施例3に係る情報処理装置の使用方法を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
以下に示す説明において、情報処理装置10の各構成要素は、特に説明する場合を除き、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。情報処理装置10の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶メディア、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置には様々な変形例がある。
【0015】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る情報処理装置10の構成を例示する図である。本実施形態に係る情報処理装置10は、取得部110および第1表示制御部130を備える。取得部110は、患者を聴診するための電子聴診器520の状態を示す状態情報を取得する。第1表示制御部130は、状態情報に基づき、医師が見るべき第1表示部510の表示内容を制御する。
【0016】
本実施形態に係るシステム20は、情報処理装置10および電子聴診器520を備える。本実施形態に係るシステム20は、遠隔診察に用いられるシステムである。
【0017】
電子聴診器520は患者の聴診に用いられる。電子聴診器520では患者の生体音が検出され、電気信号に変換される。そして生体音の音波波形を示す音データが通信ネットワークを通じて医師側端末に送信される。医師は、医師側端末で音データを再生等させることにより、患者の生体音を確認することができる。
【0018】
また、患者側で用いられる端末にはカメラが接続されており、医師は患者の様子を見て確認することができる。医師は、問診時にはたとえば患者の顔や患部を良く観察することが好ましい。一方、聴診時には、医師は、患者のどの位置に電子聴診器520があてられているかを正しく把握することが好ましい。
【0019】
本実施形態に係る情報処理装置10によれば、電子聴診器520の状態情報に基づいて、医師が診るべき第1表示部510の表示内容を第1表示制御部130が切り替える。たとえば電子聴診器520が音を検出可能な状態であるとき、第1表示部510の表示モードが聴診に適した聴診モードとなり、電子聴診器520が音を検出可能な状態にないとき、第1表示部510の表示モードが問診に適した問診モードとなる。
【0020】
図2は、実施形態に係る情報処理方法を例示するフローチャートである。本情報処理方法は、取得ステップS110と第1表示制御ステップS130とを含む。取得ステップS110では、患者を聴診するための電子聴診器520の状態を示す状態情報が取得される。第1表示制御ステップS130では、状態情報に基づき、医師が見るべき第1表示部510の表示内容が制御される。本実施形態に係る情報処理方法は、情報処理装置10により実現可能である。
【0021】
以上、本実施形態によれば、第1表示制御部130が、状態情報に基づき、医師が見るべき第1表示部510の表示内容を制御する。したがって、遠隔診察における機器操作が簡単化され、利便性が向上する。また、医師が適切な情報を容易に得られるため、診断精度が向上する。
【0022】
(実施例1)
図3は、実施例1に係る情報処理装置10およびシステム20の構成を例示する図である。実施例1に係る情報処理装置10およびシステム20は、それぞれ実施形態に係る情報処理装置10およびシステム20の構成を有する。
【0023】
図4は、実施例1に係る医師側端末51、患者側端末52、およびサーバ55の使用環境を例示する図である。医師側端末51、患者側端末52、およびサーバ55は通信ネットワーク500を介して互いに接続されている。たとえば医師側端末51、患者側端末52、およびサーバ55の協働により、遠隔診察が実現される。
【0024】
情報処理装置10は、医師側端末51、患者側端末52、およびサーバ55のいずれかにより実現される。すなわち、医師側端末51、患者側端末52、およびサーバ55の少なくともいずれかは、その機能構成部として、情報処理装置10の機能構成部である取得部110、および第1表示制御部130を含む。取得部110による情報の取得、および第1表示制御部130による電子聴診器520の制御の少なくとも一方は、通信ネットワーク500を介して行われても良い。なお、遠隔診察はサーバ55を用いず、医師側端末51および患者側端末52により実現されても良い。
【0025】
医師側端末51、患者側端末52、およびサーバ55の各機能構成部は、たとえば各機能構成部を実現するハードウエアとソフトウエアとの組み合わせ(例:電子回路とそれを制御するプログラムの組み合わせなど)で実現される。
【0026】
図5は、医師側端末51のハードウエア構成の一例を示す図である。医師側端末51は計算機1000を用いて実現される。計算機1000は任意の計算機である。例えば計算機1000は、SoC(System On Chip)、Personal Computer(PC)、サーバマシン、タブレット端末、又はスマートフォンなどである。計算機1000は、医師側端末51を実現するために設計された専用の計算機であってもよいし、汎用の計算機であってもよい。
【0027】
計算機1000は、バス1020、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120を有する。バス1020は、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1040などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。プロセッサ1040は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの種々のプロセッサである。メモリ1060は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。ストレージデバイス1080は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又は ROM(Read Only Memory)などを用いて実現される補助記憶装置である。
【0028】
入出力インタフェース1100は、計算機1000と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば入出力インタフェース1100には、第1表示部510、カメラ512、音出力部513、マイク514、および入力装置516が接続されている。入力装置516はたとえばキーボードやマウス等である。なお、入出力インタフェース1100には第1表示部510と入力装置516を兼ねたタッチパネルが接続されていても良い。
【0029】
ネットワークインタフェース1120は、計算機1000を通信ネットワーク500に接続するためのインタフェースである。この通信ネットワーク500は、例えば LAN(Local Area Network)や WAN(Wide Area Network)である。ネットワークインタフェース1120がネットワークに接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
【0030】
ストレージデバイス1080は、医師側端末51の各機能構成部を実現するプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1040は、これら各プログラムモジュールをメモリ1060に読み出して実行することで、各プログラムモジュールに対応する機能を実現する。
【0031】
図6は、患者側端末52のハードウエア構成の一例を示す図である。患者側端末52は計算機2000を用いて実現される。計算機2000は任意の計算機である。この計算機2000は、バス2020、プロセッサ2040、メモリ2060、ストレージデバイス2080、入出力インタフェース2100、及びネットワークインタフェース2120を有する。これらは、図5に示したバス1020、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120と同様である。ただし、入出力インタフェース2100には、電子聴診器520、第2表示部521、カメラ522、音出力部523、マイク524、および入力装置526が接続されている。なお、入出力インタフェース2100には第2表示部521と入力装置526を兼ねたタッチパネルが接続されていても良い。
【0032】
図7は、サーバ55のハードウエア構成の一例を示す図である。サーバ55は計算機5000を用いて実現される。計算機5000は任意の計算機である。この計算機5000は、バス5020、プロセッサ5040、メモリ5060、ストレージデバイス5080、入出力インタフェース5100、及びネットワークインタフェース5120を有する。これらは、図5に示したバス1020、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120と同様である。ただし、入出力インタフェース5100には、ディスプレイ、スピーカー等の出力装置551、およびマイク、キーボード、マウス等の入力装置553が接続されている。
【0033】
医師側端末51は第1表示部510、カメラ512、音出力部513およびマイク514を備える。医師側端末51は主に医師に用いられる。第1表示部510は医師が見るべきディスプレイである。カメラ512は、医師の様子、中でも主に医師の顔を撮影するウェブカメラ等の撮影装置である。音出力部513は、電子聴診器520で取得された生体音や、患者側端末52のマイク524で取得された患者の声等を音として出力する装置であり、たとえばスピーカー、ヘッドホンまたはイヤホンである。マイク514は、医師の声を取得する。医師は、音出力部513およびマイク514を用いて患者側端末52を用いる患者および補助者と会話ができる。
【0034】
患者側端末52は、電子聴診器520、第2表示部521、カメラ522、音出力部523、およびマイク524を備える。患者側端末52は主に、患者または補助者に用いられる。補助者は診察を補助する者であり、たとえば介護者、看護者、他の医師等が挙げられる。電子聴診器520は、患者の生体音を取得するための聴診器である。第2表示部521は、患者が見るべきディスプレイである。カメラ522は、患者の様子を撮影するウェブカメラ等の撮影装置である。音出力部523は、医師側端末51のマイク514で取得された医師の声等を音として出力する装置であり、たとえばスピーカー、ヘッドホンまたはイヤホンである。マイク524は患者の声等を取得する。患者および補助者は、音出力部523およびマイク524を用いて医師側端末51を用いる医師と会話ができる。
【0035】
電子聴診器520について以下に詳しく説明する。電子聴診器520は聴診において患者の生体音を検出する。電子聴診器520は生体音を電気信号に変換するセンサを備える。そして、電子聴診器520からは生体音を示す音データが出力される。センサはたとえば、マイクロフォンまたは振動センサである。マイクロフォンは生体音に起因した空気の振動を電気信号に変換する。この電気信号の信号レベル値は、空気の振動の音圧を示す。一方、振動センサは、生体音に起因した媒質(例えば、対象者の体表)の振動を電気信号に変換する。この電気信号の信号レベル値は、媒質の振動変位を示す。たとえば、振動センサがダイヤフラムを備える場合、媒質の振動がダイヤフラムに伝達され、ダイヤフラムの振動が電気信号に変換される。なお、電気信号はアナログ信号であっても良いしデジタル信号であっても良い。また、電子聴診器520はセンサに加え、電気信号を処理する回路等を含んで構成される。電気信号を処理する回路としてはたとえばA/D変換回路およびフィルタ回路が挙げられる。ただし、電気信号の処理は情報処理装置10で行われても良い。
【0036】
取得部110は音データを取得する。音データは電気信号を示すデータであり、電子聴診器520で得られた電気信号の信号レベル値を時系列で示すデータである。すなわち、音データは音波の波形を表す。
【0037】
電子聴診器520はさらに状態情報を出力し、その状態情報を取得部110が取得する。状態情報は、電子聴診器520が測定可能な状態であるか否かを示す情報を含む。
【0038】
電子聴診器520の使用方法の例について説明する。電子聴診器520のユーザ(たとえば患者または補助者)は、生体音の測定に先立ち電子聴診器520の電源をオンにする。そうすることで電子聴診器520が測定のスタンバイ状態となる。その上で、ユーザは電子聴診器520の検出部(たとえばチェストピース)を患者の体にあてる。電子聴診器520の検出部には、圧力センサが備えられており、検出部が患者の体に当てられたことを検出できる。この圧力センサは測定スイッチを構成しており、圧力センサが圧力を検知している間、電子聴診器520で生体音が測定される。検出部が患者の体から離れると測定が停止する。また、ユーザが電子聴診器520の電源をオフにすることで、電子聴診器520の動作が終了する。
【0039】
なお、電源のオンとオフの切り替えは、電子聴診器520の本体に設けられた電源スイッチにより行えるほか、患者側端末52の計算機2000に対する所定の切り替え操作によって行えても良い。また、圧力センサとは別途操作可能なスイッチが、測定スイッチとしてさらに電子聴診器520に設けられていても良い。
【0040】
状態情報はたとえば、電子聴診器520の電源がオンであるかオフであるかを示す情報と、電子聴診器520が測定中であるか否かを示す情報との少なくともいずれかを含む。電源のオンとオフはたとえば上記した電源スイッチで切り替えられる。また、電子聴診器520が測定中であるか否かはたとえば上記した測定スイッチにより切り替えられる。
【0041】
第1表示制御部130はたとえば電子聴診器520が測定中となったときに聴診中と判定し、表示モードを聴診モードとする。ただし、第1表示制御部130は、電子聴診器520の電源がオンになったときに聴診準備中と判定し、表示モードを聴診モードとしても良い。また、第1表示制御部130はたとえば電子聴診器520が測定中でなくなったときに聴診中でないと判定し、表示モードを問診モードとする。ただし、第1表示制御部130は、電子聴診器520の電源がオフになったときに聴診が終了したと判定し、表示モードを問診モードとしても良い。なお、各モードについては詳しく後述する。
【0042】
状態情報はたとえば電子聴診器520の状態を示すデジタル信号を含んでも良い。たとえばデジタル信号がローレベルおよびハイレベルのうち一方であるとき、電子聴診器520が測定可能な状態であることを示し、他方であるとき、電子聴診器520が測定可能な状態でないことを示す。ただし、デジタル信号に加えてまたは代えて、状態情報は、電子聴診器520の状態が切り替わった時に出力される信号やコマンドを含んでも良い。この信号やコマンドは、たとえば、電子聴診器520が測定可能な状態になったことを示す情報、または、測定可能な状態でなくなったことを示す情報である。第1表示制御部130は、取得部110が新たな信号またはコマンドを取得しない限り、それまでの状態が継続していると判定できる。なお、測定可能な状態とは、電子聴診器520が測定中である状態または電子聴診器520の電源がオンである状態の少なくとも一方である。
【0043】
また、音データが状態情報を兼ねても良い。たとえば情報処理装置10において音データの波形に特定のパターンが含まれる場合に、第1表示制御部130は電子聴診器520が測定中であると判定できる。特定のパターンとはたとえば呼吸音や心音に相当するパターンである。音データの波形に特定のパターンが含まれるか否かはたとえば予め記憶部等に保持された参照パターンとのパターンマッチングにより判定される。なお、記憶部はストレージデバイス1080、ストレージデバイス2080、およびストレージデバイス5080の少なくともいずれかである。
【0044】
図8は、実施例1に係る情報処理装置10の動作を例示するフローチャートである。第1表示制御部130は状態情報に基づいて問診モードと聴診モードとを切り替える。第1表示制御ステップS130は、ステップS131、ステップS133,およびステップS134を含む。以下に詳しく説明する。
【0045】
取得部110は電子聴診器520から状態情報を常時受け付ける(取得ステップS110)。そして、ステップS131において第1表示制御部130は、状態情報に基づいて上記したように、聴診中または聴診準備中であるか否かを判定する。この判定は予め定められた間隔(たとえば1秒ごと)に行われる。次いで、ステップS131において聴診中または聴診準備中であると判定された場合(ステップS131のYes)、第1表示制御部130は第1表示部510の表示を聴診モードにする(ステップS133)。一方、ステップS131において聴診中または聴診準備中でないと判定された場合(ステップS131のNo)、第1表示制御部130は第1表示部510の表示を問診モードにする(ステップS134)。ステップS133およびステップS134に次いで、第1表示制御部130はステップS135を行う。ステップS135では、診察が継続しているか否かが判定される。具体的にはたとえば医師側端末51および患者側端末52の少なくとも一方に対し終了の操作が行われた場合に診察が終了したと判定され、それ以外の場合に診察が継続していると判定される。診察が継続している場合(ステップS135のNo)、状態情報の受け付け(ステップS110)および電子聴診器520の判定(ステップS131)が繰り返し行われる。こうすることにより、問診中と聴診中とで第1表示部510の表示内容が適切に切り替えられる。一方、診察が終了する場合(ステップS135のYes)、情報処理装置10の処理が終了する。
【0046】
図9は問診モードにおける第1表示部510の表示内容を例示する図である。本図の例では、第1表示部510には患者の顔の画像が大きく表示されている。この画像はカメラ522により得られた画像であり、すなわちカメラ522は患者の顔に向かってズームされている。なお、問診モードにおいて、カメラ522は患者の患部に向かってズームされ、第1表示部510には患者の患部の画像が大きく表示されても良い。第1表示部510のこのような表示内容により、医師は患者の顔色や表情、患部の状況等を確認して診断の助けとすることができる。また、本図の例では第1表示部510に医師の顔の画像も表示されている。この画像はカメラ512により撮影された画像であり、患者側端末52の第2表示部521にも同時に表示される。第1表示部510に医師の顔の画像が表示されることにより、医師はカメラ512で取得され、患者側端末52で表示される画像を確認できる。
【0047】
図10は、聴診モードにおける第1表示部510の表示内容の第1例を示す図である。本図の例では、患者の顔を大きく写した画像の代わりに、患者の胸部の全体を含む画像が表示されている。また、図9と同様、第1表示部510には医師の顔の画像も表示されている。くわえて、上記した通り、取得部110は聴診で得られた生体音を示す音データをさらに取得する。そして取得された音データは音出力部513から出力される。第1表示部510に患者の胸部の全体を含む画像が表示されることにより、医師は患者の体のどの位置の生体音が取得されているかを正確に把握しながら聴診をすることができ、正確な診断が行える。また、必要に応じて電子聴診器520のユーザに、聴診の位置等をアドバイスできる。
【0048】
上記したように、第1表示部510の表示内容は少なくとも一時的に患者を含む画像を含む。ここで第1表示制御部130は、取得部110で取得された状態情報に基づき、画像を取得するためのカメラ522の画角および方向の少なくとも一方を制御する。具体的にはカメラ522の画角および方向の少なくとも一方は第1表示制御部130からの制御信号により制御される。第1表示制御部130は、問診モードにおいては患者の顔や患部を見やすくし、聴診モードにおいては患者の体のどの位置が聴診されているかを把握しやすくするよう、制御を行う。すなわち第1表示制御部130は、聴診モードにおけるカメラ522の画角を問診モードにおけるカメラ522の画角よりも広くする。また、第1表示制御部130は、聴診モードにおいてカメラ522の方向を患者の体に向ける。このようにカメラ522の画角および方向の少なくとも一方が制御されることにより、一つのカメラ522のみを用いる場合でも画像の切り替えが可能である。
【0049】
制御信号はカメラ522の画角および方向を示す信号である。各モードでの画角および方向を示す情報は、予め第1表示制御部130からアクセス可能な記憶部(たとえばストレージデバイス1080、ストレージデバイス2080、およびストレージデバイス5080のいずれか)に保持されており、第1表示制御部130はそれを読み出して制御に用いることができる。また、患者側端末52または医師側端末51のユーザは、診察に先立ち、各モードでの画角および方向を設定することができる。そして、設定された画角および方向を示す情報が記憶部に保持される。
【0050】
なお、問診モードと聴診モードとは、上記したように状態情報に基づき切り替えられる他、ユーザが各端末に対して切り替え操作を行うことにより切り替えることもできる。
【0051】
図3の例において、情報処理装置10は解析部150をさらに備える。解析部150は、取得部110が取得した音データを解析する。そして、第1表示制御部130は、状態情報に基づき、第1表示部510に電子聴診器520から取得した音データおよび音データの解析結果の少なくとも一方を表示するタイミングを制御する。第1表示制御部130は、たとえば第1表示部510の表示が聴診モードに切り替わった時に、音データおよび音データの解析結果の少なくとも一方を、第1表示部510に表示させても良い。また、第1表示制御部130は、たとえば第1表示部510の表示が聴診モードに切り替わってから、予め定められた時間が経過した時点で音データおよび音データの解析結果の少なくとも一方を、第1表示部510に表示させても良い。
【0052】
図11は聴診モードにおける第1表示部510の表示内容の第2例を示す図である。本図の例において第1表示部510の表示内容には、聴診されている患者の画像および医師の顔の画像に加え、聴診位置を示すマップおよび音データの解析結果が含まれる。
【0053】
図12は、聴診位置の指定または表示を行うマップを例示する図である。たとえば電子聴診器520のユーザは、各位置の聴診に先立ち、電子聴診器520をあてる位置を患者側端末52に入力する。たとえば患者側端末52の第2表示部521には、本図のような体の形を示す図(マップ)と、聴診の候補となる位置を示すマークが合わせて示される。そして、患者側端末52のユーザは、聴診を行う対象の位置を、マウス等の入力装置526を用いて選択し、患者側端末52に入力する。患者側端末52はその入力を受け付ける。入力された位置は第2表示部521に表示されるマップにおいて、たとえば色等により識別可能に表示される。このような聴診位置を示すマップと、聴診中の患者の画像と合わせて確認することにより、医師は聴診位置を正確に把握することができる。また、電子聴診器520で得られた音データに位置を示す情報が関連づけられ、解析等に用いられる。
【0054】
図11の例において第1表示部510には、音データの解析結果として呼吸数および各音成分の強度が表示されている。解析部150はたとえば取得された音データの振幅の大きさに基づいて呼吸の周期を算出し、1分あたりの呼吸数を算出する。
【0055】
また、解析部150は、たとえば取得された音データの波形に対してパターンマッチングを行うことで各音成分の強度を導出する。音成分としてはたとえば正常肺胞呼吸音、類鼾音、笛声音、捻髪音、水泡音等が挙げられる。パターンマッチングのための複数の参照波形データはあらかじめ解析部150からアクセス可能な記憶部(たとえばストレージデバイス1080、ストレージデバイス2080、またはストレージデバイス5080)に保持されており、解析部150はそれを読み出して取得する。各参照波形データは、各音成分に関連付けられている。そして、解析部150は取得部110で取得された音データと各参照波形データとのパターンマッチングを行い、各参照波形データとの類似度を算出する。そして、算出された類似度を、各成分の強度とする。
【0056】
ただし、解析部150は以下の様な方法で各音成分の強度を導出しても良い。解析部150からアクセス可能な記憶部には予め、複数の参照情報が保持されている。各参照情報は、特定の音成分に関連づけられており、その音成分の発生時期および周波数特性を含む情報である。たとえば、捻髪音は呼吸のうち吸気相において比較的高めの周波数帯に現れる。一方、水泡音は吸気相および呼気相の両方において比較的低めの周波数帯に現れる。そこで、発生時期ごとかつ周波数特性ごとのパラメータを含む参照情報を用いることで、より精度良く各音成分の強度を導出できる。
【0057】
参照情報は、たとえばパラメータとして、高周波数帯(750Hz〜4kHz)の呼気相数値、高周波数帯の吸気相数値、低周波数帯(0Hz〜750Hz)の呼気相数値、および低周波数帯の吸気相数値の4つの数値を含む。ここで各数値は音成分の出現確率に対応する。そして、解析部150は、音データに基づき高周波数帯の呼気相のパワー、高周波数帯の吸気相のパワー、低周波数帯の呼気相のパワー、および低周波数帯の吸気相のパワーを算出する。これらのパワーのバランスが、参照情報のパラメータのバランスに近いほど、その音成分が含まれる確率が高いと言える。したがって、解析部150は、参照情報に含まれるパラメータと、算出したパワーとを用いて尤度(一致度合い)を算出し、算出された尤度を各成分の強度とする。なお、解析部150の解析方法はこれらの例に限定されない。
【0058】
そして、第1表示制御部130は、上記したようなタイミングで、音データの解析結果を第1表示部510に表示させる。医師は第1表示部510に表示された解析結果を参考にして、診断を行うことができる。
【0059】
なお、本実施例に係る情報処理装置10は必ずしも解析部150を備えていなくても良い。
【0060】
図3の例において、情報処理装置10は検知部160をさらに備える。検知部160は、電子聴診器520で取得された音データに基づき、患者の異常を検知する。具体的には検知部160は、解析部150の解析結果に基づき患者の異常を検知することができる。すなわち、解析部150で導出された各成分の強度が、予め定められた基準値を上回る場合、検知部160は患者に異常があると判定する(すなわち異常を検知する)。基準値は成分毎に独立に定められ、検知部160からアクセス可能な記憶部(たとえばストレージデバイス1080、ストレージデバイス2080、またはストレージデバイス5080)に保持されている。また、検知部160は、解析部150で導出された呼吸数が予め定められた回数を上回る場合、検知部160は患者に異常があると判定する(すなわち異常を検知する)。
【0061】
図13は聴診モードにおける第1表示部510の表示内容の第3例を示す図である。本図は、検知部160が異常を検知した場合の表示内容を示している。第1表示制御部130は、検知部160が異常を検知した時に、第1表示部510に異常が検知された旨の表示をさせる。
【0062】
なお、本実施例に係る情報処理装置10は必ずしも検知部160を備えていなくても良い。
【0063】
また、問診モードにおいて、第1表示部510にはさらに過去の聴診結果や診断結果等が、医師側端末51に対する操作に応じて表示されても良い。
【0064】
以上、本実施例によれば、実施形態と同様、第1表示制御部130が、状態情報に基づき、医師が見るべき第1表示部510の表示内容を制御する。したがって、遠隔診察における機器操作が簡単化され、利便性が向上する。また、医師が適切な情報を容易に得られるため、診断精度が向上する。
【0065】
(実施例2)
図14は、実施例2に係る情報処理装置10およびシステム20の構成を例示する図である。本実施例に係る情報処理装置10およびシステム20は、以下に説明する点を除いて実施例1に係る情報処理装置10およびシステム20とそれぞれ同じである。
【0066】
本実施例において第1表示部510の表示内容は少なくとも一時的に患者を含む画像を含む。そして、取得部110は、複数のカメラ522から患者を含む画像を取得可能である。すなわち、計算機2000の入出力インタフェース2100には複数のカメラ522が接続されている。そして、第1表示制御部130は、状態情報に基づき、複数のカメラ522から、第1表示部510に表示させる画像を取得するためのカメラ522を選択する。以下に詳しく説明する。
【0067】
本実施例に係る問診モードでの第1表示部510の表示内容は図9で例示される。また、本実施例に係る聴診モードでの第1表示部510の表示内容は図10図11、および図13で例示される。
【0068】
本実施例において複数のカメラ522は互いに異なる範囲を撮影するように設けられている。たとえば複数のカメラ522のうち一つのカメラ522である第1のカメラ522は、他のカメラ522よりも患者の顔を大きく撮影するように設置されている。また、複数のカメラ522のうち一つのカメラ522である第2のカメラ522は、他のカメラ522よりも患者の患部を大きく撮影するように設置されていてもよい。問診モードでは、第1のカメラ522や第2のカメラ522のカメラ522の画像が第1表示部510の表示内容に含まれる。なお、複数のカメラ522に第1のカメラ522と第2のカメラ522の両方が含まれる場合、問診モードにおいて医師側端末51に対する操作に応じてこれらのカメラ522の画像が切り替え可能である。ただし、第1のカメラ522による画像と第2のカメラ522による画像の両方が同時に表示されても良い。
【0069】
一方、複数のカメラ522には、患者の胸部の全体を撮影する用に設置された第3のカメラ522が含まれる。そして聴診モードにおいて第1表示部510の表示内容には、この第3のカメラ522で取得された画像が含まれる。
【0070】
第1表示制御部130は実施例1と同様、状態情報に基づいて問診モードと聴診モードとを切り替える。その結果、複数のカメラ522で得られる画像のうち第1表示部510で表示される画像が、状態情報に基づいて切り替えられる。したがって、画像の切り替えが瞬時に行える。
【0071】
以上、本実施例によれば、実施形態と同様、第1表示制御部130が、状態情報に基づき、医師が見るべき第1表示部510の表示内容を制御する。したがって、遠隔診察における機器操作が簡単化され、利便性が向上する。また、医師が適切な情報を容易に得られるため、診断精度が向上する。
【0072】
(実施例3)
図15は、実施例3に係る情報処理装置10およびシステム20の構成を例示する図である。本実施形態に係る情報処理装置10およびシステム20は第2表示制御部170をさらに備える点を除いて実施例1および実施例2の少なくともいずれかに係る情報処理装置10およびシステム20とそれぞれ同じである。第2表示制御部170は、状態情報に基づき、患者が見るべき第2表示部521の表示内容を制御する。以下に詳しく説明する。
【0073】
図16は問診モードにおける第2表示部521の表示内容を例示する図である。本図の例において、第2表示部521には医師側端末51のカメラ512で取得された医師の顔の画像が大きく表示されている。第2表示部521のこのような表示内容により、患者や補助者は医師の表情等を見ながら安心して問診を受けられる。また、本図の例では第2表示部521に患者の顔の画像も表示されている。この画像はカメラ522により撮影された画像であり、医師側端末51の第1表示部510にも同時に表示される。電子聴診器520に患者の顔の画像が表示されることにより、患者や補助者はカメラ522により撮影され、医師側端末51で表示される画像を確認できる。
【0074】
図17は、聴診モードにおける第2表示部521の表示内容を例示する図である。本図の例では、第2表示部521の表示内容には医師の顔の画像に加え、第1表示部510に同時に表示される患者の画像、音データの解析結果、および、聴診位置を示すマップが含まれる。
【0075】
第2表示制御部170は、第1表示制御部130が第1表示部510の表示モードを切り替えるのと同様に、状態情報に基づいて第2表示部521における問診モードと聴診モードとの切り替えを行う。たとえば第2表示部521における問診モードと聴診モードとの切り替えは、第1表示部510における問診モードと聴診モードとの切り替えと同時に行うことができる。
【0076】
また、第2表示制御部170は、状態情報に基づき第2表示部521に電子聴診器520の使用に関するガイド情報を表示させるタイミングを制御してもよい。第2表示部521はたとえば第2表示部521の表示内容を聴診モードに切り替えた直後に、ガイド情報の表示を開始することができる。なお、ガイド情報は上記したようなカメラ512やカメラ522で得られる画像等と合わせて第2表示部521に表示される。
【0077】
図18は、実施例3に係る情報処理装置10の使用方法を例示するフローチャートである。本図を参照し、情報処理装置10の動作について説明する。問診モードから聴診モードに切り替わると、医師側端末51の第1表示部510には図12のようなマップが表示される。そして、医師は、患者が聴診すべき位置をマップ上で指定する(ステップS210)。医師側端末51がその指定を受け付けると、患者側端末52の第2表示部521において図12のようなマップが表示され、そのマップ上において医師側端末51で指定された位置が明示される(ステップS220)。位置の明示はたとえば、マップにおいて指定された位置のマークの色が変わる等して行われる。
【0078】
電子聴診器520のユーザは、第2表示部521を確認し、指定された位置を電子聴診器520で聴診する(ステップS230)。そしてその位置の聴診が完了すると、ユーザは完了した旨の入力を患者側端末52に対して行う(ステップS240)。すると、医師側端末51の第1表示部510に指定位置の聴診が完了した旨が表示される(ステップS250)。このようなステップS210からステップS250を必要に応じて繰り返すことにより、聴診が容易に行える。また、医師側と患者側とで適切なコミュニケーションを図りつつ、スムーズな診察が行われる。また、電子聴診器520で得られた音データに対して、その際の指定位置を示す情報が関連づけられる。そうすることにより、データの管理と解析が容易となる。
【0079】
上記のステップS210からステップS250において第1表示部510および第2表示部521に表示されるマップ等がガイド情報に相当する。ここで、第2表示部521に表示されるガイド情報はたとえば上記のように医師側端末51におけるリアルタイムの誘導操作に基づくものとすることができる。また、ガイド情報には電子聴診器520の操作方法が含まれても良い。その場合、第2表示部521は特に、状態情報に基づき、電子聴診器520の電源がオンになったときにガイド情報を表示させることが好ましい。
【0080】
以上、本実施例によれば、実施形態と同様、第1表示制御部130が、状態情報に基づき、医師が見るべき第1表示部510の表示内容を制御する。したがって、遠隔診察における機器操作が簡単化され、利便性が向上する。また、医師が適切な情報を容易に得られるため、診断精度が向上する。
【0081】
くわえて、本実施例によれば、第2表示制御部170は、状態情報に基づき、患者が見るべき第2表示部521の表示内容を制御する。したがって、よりスムーズに遠隔診察が行われる。
【0082】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。たとえば、上述の説明で用いたシーケンス図やフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施形態では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【0083】
以下、参考形態の例を付記する。
1−1. 患者を聴診するための電子聴診器の状態を示す状態情報を取得する取得部と、
前記状態情報に基づき、医師が見るべき第1表示部の表示内容を制御する第1表示制御部とを備える情報処理装置。
1−2. 1−1.に記載の情報処理装置において、
前記第1表示部の表示内容は少なくとも一時的に前記患者を含む画像を含み、
前記第1表示制御部は、前記状態情報に基づき、前記画像を取得するためのカメラの画角および方向の少なくとも一方を制御する情報処理装置。
1−3. 1−1.に記載の情報処理装置において、
前記第1表示部の表示内容は少なくとも一時的に前記患者を含む画像を含み、
前記第1表示制御部は、前記状態情報に基づき、複数のカメラから前記画像を取得するための前記カメラを選択する情報処理装置。
1−4. 1−1.から1−3.のいずれか一つに記載の情報処理装置において、
前記第1表示制御部は、前記状態情報に基づき、前記第1表示部に前記電子聴診器から取得した音データおよび前記音データの解析結果の少なくとも一方を表示するタイミングを制御する情報処理装置。
1−5. 1−1.から1−4.のいずれか一つに記載の情報処理装置において、
前記状態情報は、前記電子聴診器が測定可能な状態であるか否かを示す情報を含む情報処理装置。
1−6. 1−5.に記載の情報処理装置において、
前記状態情報は、前記電子聴診器の電源がオンであるかオフであるかを示す情報と、前記電子聴診器が測定中であるか否かを示す情報との少なくともいずれかを含む情報処理装置。
1−7. 1−1.から1−6.のいずれか一つに記載の情報処理装置において、
前記状態情報に基づき、前記患者が見るべき第2表示部の表示内容を制御する第2表示制御部をさらに備える情報処理装置。
1−8. 1−7.に記載の情報処理装置において、
前記第2表示制御部は、前記状態情報に基づき前記第2表示部に前記電子聴診器の使用に関するガイド情報を表示させるタイミングを制御する情報処理装置。
1−9. 1−1.から1−8.のいずれか一つに記載の情報処理装置において、
前記電子聴診器で取得された音データに基づき、前記患者の異常を検知する検知部をさらに備え、
前記第1表示制御部は、前記検知部が前記異常を検知した時に、前記第1表示部に前記異常が検知された旨の表示をさせる情報処理装置。
2−1. 1−1.から1−9.のいずれか一つに記載の情報処理装置と
前記電子聴診器とを備えるシステム。
3−1. 患者を聴診するための電子聴診器の状態を示す状態情報を取得する取得ステップと、
前記状態情報に基づき、医師が見るべき第1表示部の表示内容を制御する第1表示制御ステップとを含む情報処理方法。
3−2. 3−1.に記載の情報処理方法において、
前記第1表示部の表示内容は少なくとも一時的に前記患者を含む画像を含み、
前記第1表示制御ステップでは、前記状態情報に基づき、前記画像を取得するためのカメラの画角および方向の少なくとも一方を制御する情報処理方法。
3−3. 3−1.に記載の情報処理方法において、
前記第1表示部の表示内容は少なくとも一時的に前記患者を含む画像を含み、
前記第1表示制御ステップでは、前記状態情報に基づき、複数のカメラから前記画像を取得するための前記カメラを選択する情報処理方法。
3−4. 3−1.から3−3.のいずれか一つに記載の情報処理方法において、
前記第1表示制御ステップでは、前記状態情報に基づき、前記第1表示部に前記電子聴診器から取得した音データおよび前記音データの解析結果の少なくとも一方を表示するタイミングを制御する情報処理方法。
3−5. 3−1.から3−4.のいずれか一つに記載の情報処理方法において、
前記状態情報は、前記電子聴診器が測定可能な状態であるか否かを示す情報を含む情報処理方法。
3−6. 3−5.に記載の情報処理方法において、
前記状態情報は、前記電子聴診器の電源がオンであるかオフであるかを示す情報と、前記電子聴診器が測定中であるか否かを示す情報との少なくともいずれかを含む情報処理方法。
3−7. 3−1.から3−6.のいずれか一つに記載の情報処理方法において、
前記状態情報に基づき、前記患者が見るべき第2表示部の表示内容を制御する第2表示制御ステップをさらに含む情報処理方法。
3−8. 3−7.に記載の情報処理方法において、
前記第2表示制御ステップでは、前記状態情報に基づき前記第2表示部に前記電子聴診器の使用に関するガイド情報を表示させるタイミングを制御する情報処理方法。
3−9. 3−1.から3−8.のいずれか一つに記載の情報処理方法において、
前記電子聴診器で取得された音データに基づき、前記患者の異常を検知する検知ステップをさらに含み、
前記第1表示制御ステップでは、前記検知ステップで前記異常が検知された時に、前記第1表示部に前記異常が検知された旨の表示をさせる情報処理方法。
4−1. 3−1.から3−9.のいずれか一つに記載の情報処理方法の各ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0084】
10 情報処理装置
20 システム
51 医師側端末
52 患者側端末
55 サーバ
110 取得部
130 第1表示制御部
150 解析部
160 検知部
170 第2表示制御部
500 通信ネットワーク
510 第1表示部
512,522 カメラ
513,523 音出力部
514,524 マイク
516,526,553 入力装置
520 電子聴診器
521 第2表示部
551 出力装置
1000,2000,5000 計算機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18