【解決手段】球状窒化アルミニウム粒子製造装置1では、チャンバ2内で処理する球状アルミナ粒子の窒化度合いに応じて発生する一酸化炭素ガス量の積算量に基づきマイクロ波の照射を終了するため、ばらつきのある局所的な温度監視値に基づいて窒化アルミニウムの焼成の進捗を管理する方法と比較して、窒化度合いのばらつきが抑えられ、所望の窒化度合いの球状窒化アルミニウム粒子を得ることができる。
チャンバ内で、球状アルミナ粒子と炭素系材料粉末とを含む混合原料に、窒素雰囲気中でマイクロ波を照射して、該球状アルミナ粒子の少なくとも一部を窒化して球状窒化アルミニウム粒子を製造する、球状窒化アルミニウム粒子の製造方法において、
前記チャンバから排出される排ガス中の一酸化炭素ガス量の積算量を算出する演算工程と、
前記積算量に基づいて前記マイクロ波の照射を終了するマイクロ波制御工程と、
を有する、球状窒化アルミニウム粒子の製造方法。
マイクロ波発振器を備えるチャンバ内で、球状アルミナ粒子と炭素系材料粉末とを含む混合原料に、窒素雰囲気中でマイクロ波を照射し、該球状アルミナ粒子の少なくとも一部を窒化して球状窒化アルミニウム粒子を製造する、球状窒化アルミニウム粒子製造装置であって、
前記チャンバから排出される排ガス中の一酸化炭素ガス量の積算量を算出する演算部と、
前記積算量に基づいて前記マイクロ波の照射を終了させるマイクロ波制御部と、
を備える、球状窒化アルミニウム粒子製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)本発明の球状窒化アルミニウム粒子製造装置により製造する球状窒化アルミニウム粒子について
本発明において、球状窒化アルミニウム粒子とは、主に、フィラー又は放熱用シートとしての性能を確保するために、球状アルミナ粒子の表面近傍を窒化することで改質し、球状アルミナ粒子の表面を窒化アルミニウムとなしたものをいうが、それ以外にも、窒化反応が進み、球状アルミナ粒子全体が、球状窒化アルミニウムと化したものも含んでいる。
【0012】
本発明において、球状窒化アルミニウム粒子を得るために用いる球状アルミナ粒子は真球状又は略真球状であればよい。球状アルミナ粒子は、例えば、レーザ粒度分布測定機(CILAS製CILAS-920)を用いて質量基準で求めた50質量%平均粒子径(D50)で5〜150μmであることが望ましい。これは、製造した球状窒化アルミニウム粒子を樹脂と混合し、フィラーとした場合に必要な熱伝導特性を得やすい粒子径であることによる。
【0013】
球状アルミナ粒子は、アルミナ粉末を球状に造粒することにより得られたものを使うことができる。球状アルミナ粉末は、例えばアルコキシド法、バイヤー法、アンモニウム明ばん熱分解法、又はアンモニウムドーソナイト熱分解法等によって得ることができる。造粒法としては、湿式撹拌造粒法、スプレードライ法等があるが、好ましくはスプレードライ法により造粒した粒子が使用される。スプレードライ法としては、ノズル法、ディスク法等の何れの方式であってもよい。
【0014】
炭素系材料粉末としては、例えば黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、無定形炭素等の粉末が挙げられ、天然由来であっても工業的に製造されたものであってもよい。好ましくは製造後の窒化アルミニウムの絶縁性能に影響を与えないために、金属含有率が1質量%以下、好ましくは金属含有率が0.1質量%以下であるものが望ましい。炭素系粉末は混合原料である球状アルミナ粒子を被覆するように存在することが望ましく、球状アルミナ粒子の上記平均径以下の平均粒径を有することがより望ましい。
【0015】
球状アルミナ粒子と炭素系材料粉体とを含む混合原料は、球状アルミナ粒子と炭素系材料粉体を乾式でボールミル等により混合することで調製することができる。混合の際に、例えば、水、アルコール等の液状分散媒を加えてもよいが、乾燥する手間がかかるので、好ましくは乾式で混合する。混合比は、下記反応式に基づき設定される。
【0016】
Al
2O
3 + 3C +N
2 → 2AlN +3CO … (2)
【0017】
また、本発明では、必ずしも混合する球状アルミナ粒子全体を窒化アルミニウムに変換させる必要はなく、後述のように球状アルミナ粒子の表層近傍を窒化アルミニウムに転換するだけでもよい。従って、上記反応式において、原料として用意された全Al
2O
3のモル当量に対応する量のカーボンを含む炭素原料を用意する必要はない。一方、表面から目的とする深さまで窒化するために必要な理論値よりもCを多くしておく。そうしておくことで、上記反応式の反応が進んだ際に、炭素C不足による一酸化炭素ガスの発生量の減少が生じないようにしてある。
【0018】
(2)本発明の球状窒化アルミニウム粒子製造装置の構成
図1は、本発明の球状窒化アルミニウム粒子製造装置の構成を示した概略図である。球状窒化アルミニウム粒子製造装置1は、チャンバ(加熱炉)2と、マイクロ波発振器3と、温度計測器としての放射温度計10と、一酸化炭素ガス分析器13と、制御部14とを備える。チャンバ2には、チャンバ2内の電磁界分布を均一化するためのスターラー5と、断熱材8a,8bが載置される載置台7とが内部に設けられており、チャンバ2の天板所定位置に形成された開口部に石英窓9が設けられている。
【0019】
断熱材8a,8bは、所定の厚みを有した板状又はファイバー状のものからなり、こう鉢8c全体を取り囲むように積層されている。なお、載置台7は、例えばマイクロ波透過性のアルミナ、シリカ、ムライト、トリジマイト、酸化マグネシウム、サイアロン、窒化アルミニウム等を主成分とした素材からなり、断熱材8a,8bは、マイクロ波透過性の繊維状のアルミナ、シリカ、ムライト等からなる。こう鉢8cは、例えばマイクロ波透過性の高純度アルミナ、シリカ、トリジマイト、酸化マグネシウム、サイアロン、窒化アルミニウム等からなり、球状アルミナ粒子と炭素系材料粉体とを含む混合原料6を、内部に収容している。
【0020】
なお、断熱材8a,8bに取り囲まれ、かつこう鉢8c内に収容された混合原料6は、チャンバ2に設けた石英窓9、断熱材8a,8b及びこう鉢8cに形成された開口部を通して、例えば放射温度計10により表面温度を監視し得る。放射温度計10は、計測している表面温度を温度データとして制御部14に送出する。
【0021】
チャンバ2には、マイクロ波発振器3からのマイクロ波を当該チャンバ2内へと導く導波路4が側壁の所定位置に設けられている。また、チャンバ2には、窒素ガス供給管11と排気ガス管12とが設けられている。窒素ガス供給管11は、図示しないボンベ等の窒素ガス貯留部と接続されており、当該窒素ガス貯留部内の窒素ガスをチャンバ2内に供給する。
【0022】
排気ガス管12は、チャンバ2内からの排ガスがオンライン分析可能な一酸化炭素ガス分析器13を経由させてチャンバ2外に排出する。なお、
図1では、窒素ガスが混合原料6の上側から供給され、排気ガスが混合原料6の下側から排気される構成としたが、本発明は、このような位置関係に限定されず、逆の位置関係であってもよい。
【0023】
一酸化炭素ガス分析器13によって行われる一酸化炭素ガス分析法としては、質量分析法、赤外線吸収法、定電位電解法等があり、いずれの方法を利用してもよい。
【0024】
また、
図1の構成では、オンライン分析可能な一酸化炭素ガス分析器13を用いたが、本発明はこれに限らず、排気ガス管12にガストラップを設け、サンプラーにより手動にて、その都度バッチ分析を行ってもよい。
【0025】
一酸化炭素ガス分析器13は、例えばマイクロ波発振器3からチャンバ2内へマイクロ波が照射されることでチャンバ2内から送られてくる排気ガス中の一酸化炭素ガス濃度を計測し、その測定結果を一酸化炭素ガスデータとして制御部14に送出する。チャンバ2内では、マイクロ波の照射が開始されると、炭素系材料粉末がマイクロ波を吸収することで、混合原料6の温度が上昇し、上記反応式に従い一酸化炭素(以下「CO」とする場合がある)が発生する。
【0026】
制御部14は、一酸化炭素ガス分析器13から受け取った一酸化炭素ガスデータを基に、チャンバ2内に発生した一酸化炭素ガスの発生量を積分して積算量を算出し、この積算量を監視する。なお、本実施形態の場合、一酸化炭素ガス量を積算し始める開始時間toは、放射温度計10から受け取った温度データを基に決定される(後述する)。
【0027】
ここで、制御部14には、所望するAlN生成率を基に決定した目標積算量が設定されている。制御部14は、一酸化炭素ガス量の積算量が目標積算量に到達すると、マイクロ波照射終了信号を生成し、これをマイクロ波発振器3に送出する。なお、制御部14に設定された目標積算量は、球状アルミナ粒子から所望の窒化度合い(AlN生成率)となった球状窒化アルミニウム粒子を製造できる積算量を予め調べおき、これに基づいて制御部14に設定されるものである。
【0028】
なお、所望の窒化度合いの達成後もマイクロ波の照射を継続した場合、球状窒化アルミニウム粒子の表面での窒化アルミニウムの成長が継続し、球状の窒化アルミニウムの粒子の表面に不均一な凹凸が発生する。表面の凹凸が大きな球状の窒化アルミニウムの粒子をフィラー材として用いると、樹脂中への球状窒化アルミニウム粒子の混合比率が低下し、フィラーとしての熱伝導性能が得られないという問題が発生する。
【0029】
本発明では、一酸化炭素ガス量の積算量を監視することによって、所望の窒化度合いの達成後もマイクロ波の照射が継続されることを防止でき、球状窒化アルミニウム粒子の窒化度合いを制御することができる。
【0030】
(3)本発明の概要
次に、本発明の概要を説明する。本発明における球状窒化アルミニウム粒子製造装置1は、チャンバ2から排出される排ガス中の一酸化炭素ガス量を積算して積算量を算出し、当該積算量に基づいてマイクロ波の照射終了タイミングを決定する。これにより、球状窒化アルミニウム粒子を製造する際、所望するAlN生成率(窒化アルミニウム生成率)を実現できる。
【0031】
ここで、チャンバ2内に投入される初期のAl
2O
3をX(mol)とし、AlN生成率をη(%)とした場合、総括反応は下記のように表すことができる。
【0032】
X・Al
2O
3+3X・C+X・N
2
→ X(1−η/100)・Al
2O
3
+3X(1−η/100)・C+X(1−η/100)・N
2
+2Xη/100・AlN+3Xη/100・CO …(3)
【0033】
上記式(3)に示す通り、Al
2O
3の還元や、窒化によって、アルミナから除去される酸素原子は、炭素原子と結合して一酸化炭素になる。従って、チャンバ2内で発生する一酸化炭素ガス量の積算量は、Al
2O
3が窒化アルミニウム(AlN)に還元される際に除去される酸素の量に比例する。AlN生成率がη(%)となるまでに発生する一酸化炭素ガス量の積算量をVco´(mol)とした場合、AlN生成率η(%)と積算量Vco´は下記の式(4)で表すことができる。
【0034】
η=Vco´/(3X)・100 … (4)
【0035】
よって、チャンバ2内に投入されているAl
2O
3の投入量X(mol)を規定し、所望するAlN生成率η(%)が決まれば、上記の式(4)より、目標とするAlN生成率η(%)となる一酸化炭素ガス量の積算量(目標積算量)Vco´を決定することができる(積算量決定工程)。
【0036】
そこで、本発明では、所望するAlN生成率η(%)に対応する一酸化炭素ガス量の積算量を目標積算量Vco´とし、これを制御部14に設定する。そして、チャンバ2から排出される排ガス中の一酸化炭素ガス量の積算量を算出して、この積算量が目標積算量Vco´に到達したときをマイクロ波の照射を終了すれば、所望するAlN生成率で球状窒化アルミニウム粒子を製造できる。
【0037】
ここで、AlN生成率(%)と熱伝導率(w/mk)との関係について説明する。
図2は、検証試験によって得られた、AlN生成率(%)と熱伝導率(w/mk)との正の相関を示すグラフを示している。なお、ここでの熱伝導率は、球状窒化アルミニウム粒子を樹脂(汎用エポキシBis-A型)と体積比80:20で混合し、平板上に成型して乾燥処理した板状成型体に対しての熱伝導率を測定した。
【0038】
熱伝導率の測定は定常法を用いて計測した。フィラー用途向けの熱伝導率としては、15(W/mk)以上であることが好ましく、
図2からAlN生成率(%)が45%以上であることが好ましいことが分かる。このように、
図2に示すような結果を基に、所望する熱伝導率となるAlN生成率η(%)を特定することができる。
【0039】
ここで、
図3は、球状窒化アルミニウム粒子の電子プローブマイクロ分析器(EPMA:Electron Probe Micro Analyzer)によるマッピング画像であるが、
図3から分かるように、窒化の度合いは球状窒化アルミニウム粒子表面から数μm〜数十μm程度であり、球状窒化アルミニウム粒子中央部は窒化されていないことが分かる。
【0040】
AlN生成率η(%)には、「球状窒化アルミニウム粒子を粉砕してX線回折により計測した、粒子の内部までも含めた真のAlN生成率」と、「球状窒化アルミニウム粒子を粉砕せずX線回折により状態を計測したAlN生成率(X線回折時生成率)」とがある。ここで、球状窒化アルミニウム粒子を粉砕してX線回折により計測した、粒子の内部までも含めた真のAlN生成率をηoとし、球状窒化アルミニウム粒子を粉砕せずX線回折により状態を計測したAlN生成率をηxとすると、下記の式(5)の関係となる。
【0041】
ηo=α・ηx (α<1) … (5)
【0042】
焼成後の試料を、そのままX線回折にかけることで、球状窒化アルミニウム粒子を粉砕せずX線回折により状態を計測したAlN生成率ηxが測定できる。一方、球状窒化アルミニウム粒子を粉砕してX線回折により計測した、粒子の内部までも含めた真のAlN生成率ηoは、焼成した試料を細かく粉砕して、内部に残留するAl
2O
3部分を表面に露出させた後にX線回折を行うことで測定できる。
【0043】
球状窒化アルミニウム粒子のフィラー材としての熱伝導率は、フィラー中に含まれる球状窒化アルミニウム粒子同士の表面の接触による熱伝導の度合いにより決定される。中心部分にAl
2O
3が残存していても、球状窒化アルミニウム粒子同士の接触による熱伝導の妨げとなる悪影響はなく、フィラー材としての熱伝導特性は、表面近傍のAlN生成率に依存するため、球状窒化アルミニウム粒子を粉砕せずX線回折により状態を計測したAlN生成率ηxにより決定される。
【0044】
よって、所望するAlN生成率η(%)を決定する際には、球状窒化アルミニウム粒子を粉砕せずX線回折により状態を計測したAlN生成率ηxを定めることが望ましい。このようにして、X線回折時の所望するAlN生成率ηxを定め、チャンバ2内に投入されているAl
2O
3の投入量X(mol)を規定することで、上記の式(4)より、目標とするAlN生成率ηxとなる一酸化炭素ガス量の積算量(目標積算量)Vco´を決定できる。
【0045】
(4)一酸化炭素ガス量の積算量の算出方法について
次に、一酸化炭素ガス量の積算量の算出方法について説明する。ここで、一酸化炭素ガス分析器13では、チャンバ2から排出される排ガス中から一酸化炭素ガス濃度(%)を検出することができる。よって、本実施形態では、例えば、一酸化炭素ガス分析器13により検出された一酸化炭素ガス濃度(%)から一酸化炭素ガス量を求め、求めた一酸化炭素ガス量を時間的に積算してゆくことで、一酸化炭素ガス量の積算量を算出することができる。
【0046】
このように、一酸化炭素ガス濃度(%)から一酸化炭素ガス量の積算量を算出する場合には、下記の式(6)より算出することができる。
【0048】
式(6)中、toは、積算量を算出し始める開始時間(sec)を示し、Vco(T)は、開始時間toから時間Tまでの積算量(mol)を示し、Fνは、時間tにおける標準状態換算でのチャンバ2内への窒素ガス流量(L/sec)を示し、ηcoは、時間tにおける一酸化炭素ガス濃度(%)を示す。
【0049】
ここで、チャンバ2から排出される排ガス中の一酸化炭素ガス量の積算量の算出単位と、目標とするAlN生成率η(%)から決めた一酸化炭素ガス量の目標積算量Vco´の単位とが同じであれば、算出した積算量と、目標積算量Vco´とを比較して、目標積算量Vco´を基準に最適なタイミングでマイクロ波の照射を終了するとができる。よって、本実施形態のように、一酸化炭素ガス量の積算量として、mol単位で算出する積算量である必要はなく、種々の算出手法で求めた、所定単位の積算量を適用できる。
【0050】
例えば、上記の式(6)のうち、窒素ガス流量Fν(L/sec)を一定とした場合、窒素ガス流量Fνは定数として規定できる。よって、窒素ガス流量Fνを省略して、単に、時系列に得られる一酸化炭素ガス濃度(%)を積分して求められる積算量を、チャンバ2から排出される排ガス中の一酸化炭素ガス量の積算量として算出してもよい。この場合、算出した積算量の算出単位に合わせた単位の目標積算量Vco´を規定すればよい。その他、一酸化炭素ガス量の積算量は、体積(l)、分子数等で求めてもよい。
【0051】
そうした場合には、式(4)の左辺に、原料量X(mol)との単位調整の係数A(mol/※※)をつければ、目標積算量Vco´の任意に選定した単位系(※※)との整合を得ることができる。
【0052】
(5)チャンバ内の残存酸素の燃焼により発生する一酸化炭素ガスの補正について
次に、チャンバ2内の残存酸素の燃焼により発生する一酸化炭素ガスの補正について説明する。ここで、
図4は、検証試験を行い、チャンバ2から排出される排ガス中の一酸化炭素ガス(CO)濃度及び二酸化炭素ガス(CO
2)を調べた結果と、放射温度計10によって混合原料6の表面温度(「表面」と表記)を調べた結果と、を示すグラフである。
【0053】
この検証試験では、
図1に示した球状窒化アルミニウム粒子製造装置1を作製し、平均粒径30μmの球状アルミナ粒子616gと、活性炭184gをV型混合機にて30分間混合して均一状態として800gの混合原料6を得た。そして、この混合原料6をアルミナ容器に充填し、周囲を断熱ファイバーで包んだ後チャンバ2内に設置して、マイクロ波にて焼成した。マイクロ波は、照射開始から約3.5時間後に混合原料6の焼成温度が1580.8℃となるように照射した。
【0054】
また、この検証試験では、一酸化炭素ガス分析器13に加えて、二酸化炭素ガス分析器(図示せず)も設け、一酸化炭素ガス濃度と二酸化炭素ガス濃度とを計測した。
【0055】
図4の結果から、一酸化炭素ガス濃度はマイクロ波の照射開始時間から約3時間経過後辺りで最大値に達した後、徐々に低下してゆき、約8時間が経過する頃には、低レベルに低減して低減の程度も小さくなっている。なお、本例では8時間経過を見てマイクロ波の照射を停止した。
【0056】
マイクロ波の照射開始後約0.5時間辺りに見られる一酸化炭素ガス濃度の小さいピークPは、並行して二酸化炭素ガス(CO
2)も発生していることから分かるように、チャンバ2内に残留している酸素により混合原料6中の炭素系材料が燃焼されて発生したものであり、本発明における窒化反応とは関係ない。
【0057】
従って、マイクロ波の照射開始後、一酸化炭素ガス濃度を計測し始めてから最初に現れる初期ピークPの周辺領域の一酸化炭素ガスは、一酸化炭素ガス量の積算量を算出する際に除去することが望ましいことが分かった。
【0058】
ここで、放射温度計10によって計測した混合原料6の表面温度との関係から、初期ピークPを考察すると、マイクロ波の照射開始後、大気中でのカーボンの燃焼開始温度とされる約500℃とおおよそ一致する温度条件となる、混合原料6の表面温度が200℃以上500℃未満の温度範囲で、初期ピークPが現れている。また、混合原料6の表面温度が800℃以上1000℃未満の温度範囲のときに、初期ピークPの下降した裾野領域が現れる傾向が見られた。これは、アルミナの還元により発生する一酸化炭素ガスとは関係無い、初期にチャンバ中に残存していた空気による原料炭素(活性炭)の燃焼が終了したことを示している。
【0059】
よって、放射温度計10により混合原料6の表面温度を計測し、マイクロ波の照射開始から温度が800℃以上になってから、一酸化炭素ガス量を積算して積算量を算出すれば、窒化反応とは関係ない、残存酸素が燃焼することにより生じる一酸化炭素ガスの影響を除去することができる。
【0060】
以上考察結果から、本発明の球状窒化アルミニウム粒子製造装置1では、混合原料6の表面温度が、800℃以上等の予め設定した設定温度になった時間toを制御部14により検出し、この時間toを一酸化炭素ガス量の積算を開始する開始時間toとして、一酸化炭素ガス量の積算量を算出することが望ましいことが分かる。
【0061】
なお、本実施形態においては、マイクロ波の照射開始後、混合原料6の表面温度が800℃以上1000℃未満の温度範囲になると、初期ピークPの下降領域が現れる傾向が見られたことから、混合原料6の表面温度が800℃以上になる時間を、一酸化炭素ガス量の積算を開始する開始時間toとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、初期ピークPの周辺を一段と確実に除去する場合には、一酸化炭素ガス濃度が再び上昇し始める1000℃以上になる時間を、一酸化炭素ガス量の積算を開始する開始時間toとすることが望ましい。
【0062】
(6)AlN生成率と一酸化炭素ガス量の積算量との相関関係を確認する検証試験
次に、AlN生成率と一酸化炭素ガス量の積算量との相関関係を確認する検証試験を行った。ここでは、
図1に示した球状窒化アルミニウム粒子製造装置1を作製し、チャンバ2内に投入する混合原料6を800gとした。また、混合原料6は、炭素原料として、活性炭及びカーボンブラックの種類を変えて5種類の混合原料6を用意した。
【0063】
標準状態換算でのチャンバ2内への窒素ガス流量Fν(L/sec)は50L/minとした。
【0064】
そして、それぞれの混合原料6をチャンバ2内に設置してマイクロ波を照射し、球状窒化アルミニウム粒子を製造した。この検証試験では、混合原料6毎に、それぞれチャンバ2内から排気される排ガス中の一酸化炭素ガス濃度を計測して一酸化炭素ガス量の積算量を算出しつつ、そのとき得られた球状窒化アルミニウム粒子についてX線回折によりAlN生成率を調べた。
【0065】
なお、一酸化炭素ガス量の積算量は、上記の式(6)を利用して積算量(vol%/g)を算出した。
【0066】
その結果、
図5に示すような結果が得られた。
図5は、横軸にAlN生成率(%)を示し、縦軸に一酸化炭素ガス量の積算量(vol%/g)を示し、炭素原料として、活性炭及びカーボンブラックの種類が異なる混合原料6毎に、それぞれP1〜P5で測定結果を示す。
図5から、AlN生成率(%)が上昇するに従い、一酸化炭素ガス量の積算量(vol%/g)も次第に増加することが確認でき、用いる炭素原料の種類に依存することなく、AlN生成率と一酸化炭素ガス量の積算量とに正の相関があることが確認できた。
【0067】
(7)制御部の構成
次に、上述した本発明の球状窒化アルミニウム粒子製造装置1について、制御部14に着目して説明する。
図6に示すように、制御部14は、マイクロ波制御部21、演算部22、記憶部23、積算開始判断部24、目標積算量決定部25、解析部26及びデータ取得部27がバスBを介して接続された構成を有する。
【0068】
データ取得部27は、例えば、AlN生成率(%)と、チャンバ2内に投入されるAl
2O
3の初期の投入量とが、図示しない操作部により入力されると、これを設定情報として受け取り、これらを目標積算量決定部25に送出する。
【0069】
目標積算量決定部25は、上記の式(4)が記憶されており、設定情報である投入量とAlN生成率とを用いて、上記の式(4)より、入力されたAlN生成率となる一酸化炭素ガス量の目標積算量Vco´を算出する(目標積算量決定工程)。目標積算量決定部25は、算出した目標積算量Vco´を、記憶部23に記憶させるとともに、マイクロ波制御部21に設定する。
【0070】
なお、ここでは、チャンバ2内に投入される初期のAl
2O
3の投入量Xが入力されることとしたが、本発明はこれに限らず、チャンバ2内に投入される初期のAl
2O
3の投入量Xは予め決められているものとし、目標積算量決定部25に予め設定されている値としてもよい(目標積算量決定工程)。
【0071】
その後、マイクロ波発振器3によるマイクロ波の照射が開始されると、放射温度計10によりチャンバ2内の混合原料6の表面温度が計測される。データ取得部27は、放射温度計10によりリアルタイムで計測されている、混合原料6の表面温度を温度データとして受け取り、これを積算開始判断部24に送出する。
【0072】
また、この際、一酸化炭素ガス分析器13により、チャンバ2内から排出される排ガス中の一酸化炭素ガス濃度が計測される。データ取得部27は、一酸化炭素ガス分析器13によりリアルタイムで計測されている一酸化炭素ガス濃度を一酸化炭素ガスデータとして受け取り、これを演算部22に送出する。
【0073】
ここで、積算開始判断部24は、温度データを監視しており、当該温度データが予め設定されている設定温度に到達したか否かを判断する。ここで、
図4において説明したように、マイクロ波を照射し始め、混合原料6の表面温度が所定温度になるまでの間に、チャンバ2内に残留している酸素により混合原料6中の炭素系材料が燃焼し、本発明における窒化反応とは関係ない一酸化炭素ガス(
図4に示す初期ピークP)が発生する。
【0074】
このため、積算開始判断部24に設定される設定温度は、チャンバ2内に残留している酸素により混合原料6中の炭素系材料が燃焼することにより生じる一酸化炭素ガスが発生し終わった時点の温度が設定されている。なお、このような設定温度は、
図4に示すように、チャンバ2内から排出される排ガス中の一酸化炭素ガス濃度を計測した過去の操業データ等により特定することができる。
【0075】
積算開始判断部24は、予め設定されている設定温度に温度データが到達すると、演算開始信号を生成し、これを演算部22に送出する。演算部22は、演算開始信号を受け取ると、データ取得部27から受け取っている一酸化炭素ガスデータを用いて、例えば、上記の式(6)に示す関係式を利用して、経時的に得られる一酸化炭素ガス量を積算してゆき、一酸化炭素ガス量の積算量を算出する。
【0076】
このように、演算部22は、一酸化炭素ガス量の積算量を算出する際、設定温度以降に得られた一酸化炭素ガスデータのみから一酸化炭素ガス量の積算量を算出しているため、チャンバ2内に残留している酸素により混合原料6中の炭素系材料が燃焼して発生する一酸化炭素ガス量が、積算量に含まれてしまうことを防止できる。
【0077】
演算部22は、マイクロ波発振器3によりマイクロ波が照射されている間、リアルタイムで算出している一酸化炭素ガス量の積算量をマイクロ波制御部21に送出する。マイクロ波制御部21は、演算部22で積算された積算量と、設定されている目標積算量Vco´とを比較して、積算量が目標積算量Vco´に到達したか否かを判断する。
【0078】
その結果、マイクロ波制御部21は、演算部22で積算された積算量が目標積算量Vco´に到達すると、マイクロ波照射終了信号を生成し、これをマイクロ波発振器3(
図1)に送出する。これにより、マイクロ波発振器3は、マイクロ波照射終了信号に基づいてマイクロ波の照射を終了し、マイクロ波による焼成を終える。
【0079】
このように、制御部14は、所望の窒化度合いの球状窒化アルミニウム粒子を得ることができる一酸化炭素ガス量の目標積算量Vco´を目安に、マイクロ波の照射を終了することができ、球状窒化アルミニウム粒子の窒化が進み過ぎず、所望の窒化度合いの球状窒化アルミニウム粒子を得ることができる。
【0080】
(8)解析部について
ここで、制御部14には、
図6に示すように、演算部22により算出した一酸化炭素ガス量の積算量から、チャンバ2内で生成される球状窒化アルミニウム粒子の窒化度合いを解析する解析部26を設けるようにしてもよい。
【0081】
この場合、演算部22により算出した一酸化炭素ガス量の積算量と、チャンバ2内に投入されたAl
2O
3の投入量X(mol)とが分かれば、上記の式(4)から、AlN生成率η(%)を算出することができる。よって、解析部26では、上記の式(4)から、マイクロ波発振器3によるマイクロ波の照射終了後、或いは、マイクロ波の照射中に、チャンバ2内で生成されるAlN生成率η(%)を算出し得、これを作業者に提示することで、球状窒化アルミニウム粒子の窒化度合いに関する解析情報を提示できる。
【0082】
なお、AlN生成率η(%)には、球状窒化アルミニウム粒子を粉砕してX線回折により計測した、粒子の内部までも含めた真のAlN生成率と、球状窒化アルミニウム粒子を粉砕せずX線回折により状態を計測したAlN生成率とがある。解析部26により算出されるAlN生成率η(%)は、球状窒化アルミニウム粒子を粉砕してX線回折により計測した、粒子の内部までも含めた真のAlN生成率をηoに相当する。
【0083】
よって、解析部26は、球状窒化アルミニウム粒子を粉砕してX線回折により計測した、粒子の内部までも含めた真のAlN生成率ηoと、球状窒化アルミニウム粒子を粉砕せずX線回折により状態を計測したAlN生成率ηxとの関係を規定した上記の式(5)から、球状窒化アルミニウム粒子を粉砕せずX線回折により状態を計測したAlN生成率ηxを算出することができる。
【0084】
このようにして解析部26は、作業者に対して、球状窒化アルミニウム粒子を粉砕せずX線回折により状態を計測したAlN生成率ηxを提示することで、球状窒化アルミニウム粒子の窒化度合いに関する解析情報を提示できる。
【0085】
(9)作用及び効果
以上の構成において、球状窒化アルミニウム粒子製造装置1では、チャンバ2内で、球状アルミナ粒子と炭素系材料粉末とを含む混合原料6に、窒素雰囲気中でマイクロ波を照射して、球状アルミナ粒子の少なくとも一部を窒化して球状窒化アルミニウム粒子を製造する。この際、球状窒化アルミニウム粒子製造装置1では、チャンバ2から排出される排ガス中の一酸化炭素ガス量の積算量を算出し(演算工程)、この積算量に基づいてマイクロ波の照射を終了するようにした(マイクロ波制御工程)。
【0086】
このように、球状窒化アルミニウム粒子製造装置1では、チャンバ2内で処理する球状アルミナ粒子全体の窒化度合いに応じて発生する一酸化炭素ガス量の積算量に基づきマイクロ波の照射を終了するため、ばらつきのある局所的な温度監視値に基づいて窒化アルミニウムの焼成の進捗を管理する方法と比較して、窒化度合いのばらつきが抑えられ、所望の窒化度合いの球状窒化アルミニウム粒子を得ることができる。
【0087】
(10)二酸化炭素ガス量を含めた積算量を用いる他の実施形態について
上述した実施形態においては、
図1に示すように、炭素ガス分析器として、一酸化炭素ガス分析器13のみを設け、チャンバ2内から排出される排ガス中の一酸化炭素ガス量の積算量を算出し、当該積算量に基づいてマイクロ波の照射を終了するようにしたが、本発明はこれに限らない。例えば、
図4に示すように、チャンバ2内から排出される排ガス中の二酸化炭素ガスも含めて積算量を算出するようにしてもよい。
【0088】
この場合、
図1との対応部分に同一符号を付して示す
図7のように、排気ガス管12は、チャンバ2内からの排ガスがオンライン分析可能な炭素ガス分析器33を経由させてチャンバ2外に排出する。炭素ガス分析器33には、上述した一酸化炭素ガス分析器13に加えて、二酸化炭素ガス分析器34が設けられている。
【0089】
なお、二酸化炭素ガス分析器34によって行われる二酸化炭素ガス分析法としては、質量分析法、赤外線吸収法、定電位電解法等があり、いずれの方法を利用してもよい。二酸化炭素ガス分析器34は、例えばマイクロ波発振器3からチャンバ2内へマイクロ波が照射されることでチャンバ2内から送られてくる排気ガス中の二酸化炭素ガス濃度を計測し、その測定結果を二酸化炭素ガスデータとして制御部14に送出する。
【0090】
これにより、制御部14は、演算部22によって、積算量として、一酸化炭素ガス量及び二酸化炭素ガス量を合わせ積算した積算量を算出する。なお、この場合、目標積算量Vco´も、一酸化炭素ガス量及び二酸化炭素ガス量を合わせた値となる(目標積算量決定工程)。
【0091】
なお、二酸化炭素は、混合原料6内の球状アルミナ粒子の還元時に発生した一酸化炭素の一部が炭素原子と二酸化炭素に分離平衡状態となることにより発生する。したがって、積算した一酸化炭素ガス及び二酸化炭素ガス中に含まれる酸素原子の数が、球状アルミナ粒子から還元除去された酸素原子の数と等しいと考えることができる。
【0092】
従って、一酸化炭素と合わせて二酸化炭素の発生量も積算して、目標積算量Vco´を決定する場合は、目標積算量Vco´中の炭素原子の数が、目標AlN生成率を得るのに必要な球状アルミナ粒子から還元除去される酸素原子量と等しくなる様に、目標積算量Vco´を決定すればよい。
【0093】
このように、一酸化炭素ガス量に加えて、二酸化炭素ガス量も合わせて積算量を算出することで、マイクロ波を照射して混合原料6中の炭素系材料を燃焼させる際に一部が二酸化炭素ガスとして排出されているが、このような二酸化炭素ガスも含めることができるので、一段と正確な判定を行うことができる。
【0094】
(11)その他の実施形態
なお、上述した実施形態においては、チャンバ2内に投入されているAl
2O
3の投入量X(mol)と、所望するAlN生成率η(%)とを決めて、上記の式(4)より、目標とするAlN生成率η(%)に対応する、一酸化炭素ガス量の目標積算量Vco´を決定するようにしたが、本発明はこれに限らない。
【0095】
例えば、
図5に示すように、AlN生成率(%)と、チャンバ2からの排ガス中における一酸化炭素ガス量の積算量との関係を示したデータから、検量線(以下、AlN生成率・積算量データと称する)を作製しておき、これを利用して目標積算量を決定してもよい。この場合、AlN生成率・積算量データの検量線を予め記憶しておき、設定情報として入力されたAlN生成率に対応する積算量を、AlN生成率・積算量データの検量線から特定して、これを目標積算量として決定する(目標積算量決定工程)。
【0096】
更に、より厳密には、球状アルミナ粒子と炭素系材料粉末とを含む混合原料6を焼成処理すると、一部がALON(AlON)と呼ばれる中間物質になる。ALONはアルミニウム、窒素、酸素の各原子が1対1対1で結合した物質で、酸素原子を含有している。このため、一酸化炭素ガスの積算量Vco中の酸素原子量は、ALONが生成される分だけ少なくなる。従って、試験焼成により得られたAlN生成率(球状窒化アルミニウム粒子を粉砕せずX線回折により状態を計測したときのAlN生成率)ηxと、一酸化炭素ガスの積算量Vcoとの関係(
図5)などを元に、こうしたALONの生成による影響を特定し、この特定した影響を補正して目標積算量Vco´を決定することが望ましい。
【0097】
なお、上述した実施形態においては、初期ピークPの周辺領域を除去するために、温度計測器による計測結果(温度データ)を基に、一酸化炭素ガス量の積算を開始する開示時間toを決定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、過去の操業データから得られた一酸化炭素ガス濃度の挙動を解析し、一酸化炭素ガス量の積算を開始する開示時間toを決定するようにしてもよい。
【0098】
この場合、
図4に示したように、マイクロ波の照射開始(時間0.0(hr))から、一酸化炭素ガス濃度が次第に上昇してゆき、初期ピークPが現れた後に下降し、再び上昇し始める一酸化炭素ガス濃度の変化(例えば、濃度の時間微分の符号変化)を検知して、一酸化炭素ガス濃度が上昇し始めた時間toから、一酸化炭素ガス量を積算して積算量を算出するようにしてもよい。
【0099】
また、上述した実施形態においては、温度計測器として、混合原料6の表面温度を計測する放射温度計10を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、チャンバ2内から排出される排ガスの温度を計測する温度計測器や、チャンバ2内の温度を計測する温度計測器等その他種々の温度計測器を適用してもよい。
【0100】
さらに、上述した実施形態においては、目標積算量Vco´を設定して、演算部22により算出した一酸化炭素ガス量の積算量が、目標積算量Vco´に到達すると、マイクロ波の照射を終了するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、目標積算量Vco´を設定せずに、演算部22により算出した一酸化炭素ガス量の積算量を単に提示するだけとし、積算量を基にした作業者の判断でマイクロ波の照射を終了するようにしてもよい。