該透明基板上に配置され、屈折率が1.2〜1.8の無機フィラーと透明樹脂硬化物とを含有する、平均厚さが0.01〜1μmの反射防止層と、該反射防止層上に配置され、有機黒色顔料、無機黒色顔料及び混色擬似黒色顔料からなる群から選択される少なくとも1種の遮光成分と樹脂硬化物とを含有する、平均厚さが0.1〜30μmの遮光層とからなり、前記反射防止層と前記遮光層との界面における前記反射防止層の表面粗さが40〜200nmである遮光膜
前記反射防止層用樹脂組成物層中の光硬化性透明樹脂及び前記遮光層用樹脂組成物層中の光硬化性樹脂がともにアルカリ可溶性であり、前記現像処理がアルカリ現像処理であることを特徴とする請求項4に記載の表示装置用基板の製造方法。
前記遮光層用樹脂組成物層中の光硬化性樹脂がアルカリ可溶性であり、前記現像処理がアルカリ現像処理であることを特徴とする請求項6に記載の表示装置用基板の製造方法。
平均厚さが0.01〜1μmであり、表面粗さが40〜200nmである反射防止層用樹脂組成物層を形成することが可能な光硬化性樹脂組成物及び有機溶媒を含有する樹脂組成物溶液であって、
前記光硬化性樹脂組成物が、屈折率が1.2〜1.8であり、平均粒子径が25〜300nmであり、前記有機溶媒中で分散可能な無機フィラーを樹脂組成物全体に対して5〜95質量%と、光硬化性透明樹脂を樹脂組成物全体に対して1.54〜95質量%と、光重合性モノマーを前記光硬化性透明樹脂と前記光重合性モノマーとの合計量に対して0〜50質量%と、光重合開始剤を前記光硬化性透明樹脂と前記光重合性モノマーとの合計量100質量部に対して0〜30質量部含有するものであり、
前記有機溶媒の含有量が、前記光硬化性樹脂組成物と前記有機溶媒との合計量に対して80〜99.9質量%であり、
溶液粘度が1〜4mPa・secであることを特徴とする反射防止層用樹脂組成物溶液。
平均厚さが0.01〜1μmであり、表面粗さが40〜200nmである反射防止層を形成することが可能な熱硬化性樹脂組成物及び有機溶媒を含有する樹脂組成物溶液であって、
前記熱硬化性樹脂組成物が、屈折率が1.2〜1.8であり、平均粒子径が25〜300nmであり、前記有機溶媒中で分散可能な無機フィラーを樹脂組成物全体に対して5〜95質量%と、熱硬化性透明樹脂及び熱硬化性単量体のうちの少なくとも1種を樹脂組成物全体に対して3.2〜94.06質量%と、熱硬化剤を前記熱硬化性透明樹脂と前記熱硬化性単量体との合計量100質量部に対して1〜25質量部含有するものであり、
前記有機溶媒の含有量が、前記反射防止層用樹脂組成物と前記有機溶媒との合計量に対して80〜99.9質量%であり、
溶液粘度が1〜4mPa・secであることを特徴とする反射防止層用樹脂組成物溶液。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0018】
先ず、本発明の表示装置用基板について説明する。本発明の表示装置用基板は、透明基板、及びこの透明基板上に配置され、屈折率が特定の範囲内にある無機フィラーと透明樹脂硬化物を含有し、平均厚さが特定の範囲内にある反射防止層と、この反射防止層上に配置され、有機黒色顔料、混色擬似黒色顔料及び無機黒色顔料からなる群から選択される少なくとも1種の遮光成分と樹脂硬化物とを含有し、平均厚さが特定の範囲内にある遮光層とからなり、前記反射防止層と前記遮光層との界面における前記反射防止層の表面粗さが特定の範囲内にある遮光膜を備えるものである。
【0019】
本発明に用いられる透明基板としては特に制限はなく、例えば、ガラス基板、透明樹脂フィルム(PETフィルム、PENフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等)を始め、公知の表示装置に用いられる透明基板が挙げられる。
【0020】
本発明にかかる遮光膜は、反射防止層と遮光層とからなるものであり、本発明の表示装置用基板において、カラーフィルターやCMOSセンサー等のブラックマトリックス、タッチパネル用額縁(ベゼル)、ブラックカラムスペーサー、黒色隔壁(バンク材)等を構成するものである。また、このような遮光膜は前記透明基板上に配置されており、より詳細には、反射防止層が前記透明基板上に配置され、遮光層が前記反射防止層上に配置されている。
【0021】
前記反射防止層は屈折率が1.2〜1.8の無機フィラーを含有するものである。このような屈折率を有する無機フィラーは後述する遮光成分の屈折率より小さい屈折率を有するものである。このような屈折率の小さい無機フィラーを用いることにより、遮光膜の反射率が低減され、遮光膜での光の反射が抑制される。このような無機フィラーの屈折率としては、1.3〜1.6が好ましく、1.4〜1.5がより好ましい。
【0022】
このような屈折率を有する無機フィラーとしては、シリカ(屈折率:1.46)、フッ化マグネシウム(屈折率:1.38)、フッ化リチウム(屈折率:1.39)、フッ化カルシウム(屈折率:1.40)等が挙げられ、中でも、シリカ(屈折率:1.46)が特に好ましい。また、このような無機フィラー(特に、シリカ)は、有機溶媒中で分散可能なように製造又は表面処理されていることが好ましい。このような有機溶媒中で分散可能なように製造又は表面処理されたシリカとしては、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、オルガノシリカゾルが挙げられ、例えば、日産化学株式会社製のオルガノシリカゾル、株式会社アドマテックス製のアドマファイン及びアドマナノ、扶桑化学工業株式会社製コロイダルシリカ、オルガノシリカゾル及びシリカナノパウダー、日本アエロジル株式会社製ヒュームドシリカ等の商品名で販売されているもののうち有機溶剤に分散可能なものを用いることができる。
【0023】
前記無機フィラーの平均粒子径としては、25〜300nmが好ましく、30〜260nmがより好ましく、30〜220nmが特に好ましい。前記無機フィラーの平均粒子径が前記下限未満になると、前記反射防止層と前記遮光層との界面における前記反射防止層の表面粗さが所定の範囲の下限未満となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記反射防止層と前記遮光層との界面における前記反射防止層の表面粗さが所定の範囲の上限を超える傾向にある。なお、無機フィラーの平均粒子径は動的光散乱法等を利用した粒度分布測定により求めることができる。
【0024】
前記無機フィラーの含有量としては、反射防止層全体に対して5〜95質量%が好ましく、15〜90質量%がより好ましく、25〜85質量%が特に好ましい。前記無機フィラーの含有量が前記下限未満になると、前記反射防止層と前記遮光層との界面における前記反射防止層の表面粗さが所定の範囲の下限未満となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記反射防止層と前記遮光層との界面における前記反射防止層の表面粗さが所定の範囲の上限を超える傾向にある。
【0025】
また、前記反射防止層は透明樹脂硬化物を含有するものである。このような透明樹脂硬化物としては特に制限はなく、例えば、後述する光硬化性透明樹脂や熱硬化性透明樹脂、熱硬化性単量体の硬化物が挙げられる。前記透明樹脂硬化物の含有量としては、反射防止層全体に対して4〜95質量%が好ましく、9〜85質量%がより好ましく、14〜75質量%が特に好ましい。前記透明樹脂硬化物の含有量が前記下限未満になると、前記反射防止層と前記遮光層との界面における前記反射防止層の表面粗さが所定の範囲の上限を超える傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記反射防止層と前記遮光層との界面における前記反射防止層の表面粗さが所定の範囲の下限未満となる傾向にある。
【0026】
本発明にかかる遮光膜において、前記反射防止層の平均厚さは0.01〜1μmである。前記反射防止層の平均厚さが前記下限未満になると、前記反射防止層と前記遮光層との界面における前記反射防止層の表面粗さが所定の範囲の上限を超える傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記反射防止層と前記遮光層との界面における前記反射防止層の表面粗さが所定の範囲の下限未満となる傾向にある。このような反射防止層の平均厚さとしては、前記反射防止層の表面粗さが所定の範囲内になりやすいという観点から、0.02〜0.5μmが好ましく、0.04〜0.3μmがより好ましい。なお、反射防止層の平均厚さは、触針式段差形状測定装置を用いて反射防止層表面と透明基板表面との段差を測定し、これを平均することによって求めることができる。
【0027】
前記遮光層は有機黒色顔料、無機黒色顔料及び混色擬似黒色顔料からなる群から選択される少なくとも1種の遮光成分を含有するものである。有機黒色顔料としては、ペリレンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、ラクタムブラック等が挙げられる。無機黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄、チタンブラック等が挙げられる。混色擬似黒色顔料としては、赤、青、緑、紫、黄、シアニン、マゼンタ等のうちの2種以上の顔料を混合して疑似黒色化したものが挙げられる。これらの遮光成分は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、これらの遮光成分の中でも、遮光性、表面平滑性、分散安定性、樹脂との相溶性が良好であるという観点から、カーボンブラックが特に好ましい。
【0028】
前記遮光成分の平均粒子径としては、10〜300nmが好ましく、30〜250nmがより好ましく、50〜220nmが特に好ましい。前記遮光成分の平均粒子径が前記下限未満になると、前記遮光層の遮光性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記遮光層の表面平滑性、前記遮光成分の分散均一性が低下する傾向にある。なお、遮光成分の平均粒子径は動的光散乱法等を利用した粒度分布測定により求めることができる。
【0029】
前記遮光成分の含有量としては、遮光成分としてカーボンブラックを使用する場合には、遮光層全体に対して10〜65質量%が好ましく、15〜60質量%がより好ましく、20〜55質量%が特に好ましい。また、遮光成分としてカーボンブラック以外のものを使用する場合には、遮光層全体に対して10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%が特に好ましい。前記遮光成分の含有量が前記下限未満になると、前記遮光層の遮光性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記遮光層の表面平滑性、前記遮光成分の分散均一性が低下する傾向にある。
【0030】
また、前記遮光層は樹脂硬化物を含有するものである。このような樹脂硬化物としては特に制限はなく、例えば、後述する光硬化性樹脂の硬化物が挙げられる。前記樹脂硬化物の含有量としては、遮光成分としてカーボンブラックを使用する場合には、遮光層全体に対して34〜90質量%が好ましく、39〜85質量%がより好ましく、44〜80質量%が特に好ましい。また、遮光成分としてカーボンブラック以外のものを使用する場合には、遮光層全体に対して9〜90質量%が好ましく、19〜80質量%がより好ましく、29〜70質量%が特に好ましい。前記樹脂硬化物の含有量が前記下限未満になると、前記遮光層の表面平滑性、前記遮光成分の分散均一性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記遮光層の遮光性が低下する傾向にある。
【0031】
本発明にかかる遮光膜において、前記遮光層の平均厚さは0.1〜30μmである。前記遮光層の平均厚さが前記下限未満になると、前記遮光層の遮光性が低下し、他方、前記上限を超えると、アルカリ現像に要する時間が長くなり、生産性が低下する。このような遮光層の平均厚さとしては、遮光性と生産性を両立させるという観点から、0.5〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。なお、遮光層の平均厚さは、触針式段差形状測定装置を用いて遮光膜表面と透明基板表面との段差を測定し、これを平均して遮光膜の平均厚さを求め、この遮光膜の平均厚さから前記反射防止層の平均厚さを差引くことによって求めることができる。
【0032】
また、本発明にかかる遮光膜においては、前記反射防止層と前記遮光層との界面における前記反射防止層の表面粗さが40〜200nmである。前記反射防止層の表面粗さが前記下限未満になると、遮光膜の反射率が十分に低減されず、遮光膜での光の反射を十分に防止することができない。他方、前記反射防止層の表面粗さが前記上限を超えると、遮光膜の平坦性を所望のレベルにすることが困難になる。このような反射防止層の表面粗さとしては、遮光膜の反射率が低くなり、遮光膜での光の反射が抑制され、また、遮光膜の平坦性を担保するという観点から、50〜180nmが好ましく、80〜160nmがより好ましい。
【0033】
次に、本発明の表示装置用基板の製造方法について説明する。本発明の第一の表示装置用基板の製造方法は、透明基板、及びこの透明基板上に配置されている、反射防止層と遮光層とからなる遮光膜を備えている表示装置用基板の製造方法であって、
前記透明基板上に、屈折率が特定の範囲内にある無機フィラーと光硬化性透明樹脂とを含有し、平均厚さが0.01〜1μmであり、表面粗さが40〜200nmである反射防止層用樹脂組成物層を形成する工程と、
前記反射防止層用樹脂組成物層上に、有機黒色顔料、無機黒色顔料及び混色擬似黒色顔料からなる群から選択される少なくとも1種の遮光成分と光硬化性樹脂とを含有する遮光層用樹脂組成物層を形成する工程と、
前記反射防止層用樹脂組成物層及び前記遮光層用樹脂組成物層に一括で露光処理を施した後、一括で現像処理を施し、さらに、加熱処理(ポストベーク)を施して、前記無機フィラーと透明樹脂硬化物とを含有する反射防止層及び前記遮光成分と樹脂硬化物とを含有し、平均厚さが0.1〜30μmである遮光層を形成する工程と、
を含む方法である。
【0034】
また、本発明の第二の表示装置用基板の製造方法は、透明基板、及び該透明基板上に配置されている、反射防止層と遮光層とからなる遮光膜を備えている表示装置用基板の製造方法であって、
前記透明基板上に、屈折率が特定の範囲内にある無機フィラーと熱硬化性透明樹脂及び熱硬化性単量体のうちの少なくとも1種とを含有する反射防止層用樹脂組成物に加熱硬化処理を施して、平均厚さが0.01〜1μmであり、表面粗さが40〜200nmである反射防止層を形成する工程と、
前記反射防止層上に、有機黒色顔料、無機黒色顔料及び混色擬似黒色顔料からなる群から選択される少なくとも1種の遮光成分と光硬化性樹脂とを含有する遮光層用樹脂組成物に露光処理を施した後、現像処理を施し、さらに、加熱処理(ポストベーク)を施して、平均厚さが0.1〜30μmである遮光層を形成する工程と、
を含む方法である。このような第二の表示装置用基板の製造方法においては、前記遮光層(遮光層パターン)を形成した後、必要に応じて、前記反射防止層のうち、上部に遮光層が形成されていない部分(現像処理において上部の遮光層用樹脂組成物層が除去された部分)の反射防止層をエッチング処理により除去して、反射防止層についてもパターンを形成してもよい。
【0035】
本発明の第一及び第二の表示装置用基板の製造方法に用いられる透明基板、屈折率が特定の範囲内にある無機フィラー、及び遮光成分は、前述の本発明の表示装置用基板の説明において記載した透明基板、無機フィラー、及び遮光成分である。
【0036】
本発明の第一の表示装置用基板の製造方法に用いられる反射防止層用樹脂組成物(以下、「第一の反射防止層用樹脂組成物」という)は前記無機フィラーと光硬化性透明樹脂とを含有するものである。この光硬化性透明樹脂としては、光照射(例えば、UV照射)により硬化する透明樹脂であれば特に制限はないが、現像性に優れているという観点から、アルカリ可溶性の光硬化性透明樹脂が好ましく、さらに、光硬化性、パターニング特性にも優れているという観点から、特開2017−72760号公報に記載された、重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂、すなわち、エポキシ基を2個以上有する化合物(より好ましくは、ビスフェノール類とエピハロヒドリンとを反応させて得られるエポキシ化合物)と(メタ)アクリル酸(「アクリル酸及び/又はメタアクリル酸」を意味する)との反応物に、さらに多価カルボン酸又はその酸無水物を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート酸付加物が好ましく、ビスフェノールフルオレン化合物から誘導されるエポキシアクリレート酸付加物が特に好ましい。
【0037】
このような第一の反射防止層用樹脂組成物において、前記無機フィラーの含有量としては、第一の反射防止層用樹脂組成物全体に対して5〜95質量%が好ましく、15〜90質量%がより好ましく、25〜85質量%が特に好ましい。また、前記光硬化性透明樹脂の含有量としては、第一の反射防止層用樹脂組成物全体に対して1.54〜95質量%が好ましく、3.46〜85質量%がより好ましく、5.38〜75質量%が特に好ましい。前記無機フィラーの含有量が前記下限未満になると(或いは、前記光硬化性透明樹脂の含有量が前記上限を超えると)、形成される反射防止層と遮光層との界面における前記反射防止層の表面粗さが所定の範囲の下限未満となる傾向にあり、他方、前記無機フィラーの含有量が前記上限を超えると(或いは、前記光硬化性透明樹脂の含有量が前記下限未満になると)、形成される反射防止層と遮光層との界面における前記反射防止層の表面粗さが所定の範囲の上限を超える傾向にある。
【0038】
また、このような第一の反射防止層用樹脂組成物には光重合性モノマーが含まれていてもよい。これにより、反射防止層を光加工する場合の感度を適正化したり、形成される反射防止層の表面硬度等の膜の機械物性を適正化したりすることが可能になる。このような光重合性モノマーとしては特に制限はなく、例えば、特開2017−72760号公報に記載された、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー(例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する(メタ)アクリル酸エステル類)が挙げられる。このような光重合性モノマーの含有量としては、前記光硬化性透明樹脂と光重合性モノマーとの合計量に対して、0〜50質量%が好ましく、0〜40質量%がより好ましく、0〜30質量%が特に好ましい。
【0039】
さらに、前記第一の反射防止層用樹脂組成物には光重合開始剤が含まれていることが好ましい。このような光重合開始剤としては特に制限はなく、例えば、特開2017−72760号公報に記載された光重合開始剤が挙げられるが、これらの中でも、オキシムエステル系重合開始剤が特に好ましい。このような光重合開始剤の含有量は、前記第一の反射防止層用樹脂組成物の光硬化性等に応じて適宜設定することができ、例えば、光硬化性樹脂と光重合性モノマーとの合計量100質量部に対して0〜30質量部であることが好ましく、0〜25質量部であることがより好ましい。
【0040】
また、透明基板の耐熱性が低く、現像後の加熱処理(ポストベーク)を150℃以下といった低温で行う場合には、前記第一の反射防止層用樹脂組成物にアゾ系重合開始剤が含まれていることが好ましい。これにより、現像後の加熱時(ポストベーク時)の前記第一の反射防止層用樹脂組成物の熱ラジカル重合性が向上する。このようなアゾ系重合開始剤としては特に制限はなく、例えば、特開2017−181976号公報に記載されたアゾ系重合開始剤が挙げられる。このようなアゾ系重合開始剤の含有量としては特に制限はなく、前記第一の反射防止層用樹脂組成物の熱ラジカル重合性等に応じて適宜設定することができる。
【0041】
さらに、前記第一の反射防止層用樹脂組成物には、必要に応じて、分散剤、前記光重合開始剤及びアゾ系重合開始剤以外の重合開始剤、連鎖移動剤、増感剤、非感光性樹脂、硬化剤、硬化促進剤、酸化防止剤、可塑剤、充填材、カップリング剤、界面活性剤、染料等の各種添加剤を配合することができる。
【0042】
また、前記第一の反射防止層用樹脂組成物は、溶液の状態で(すなわち、第一の反射防止層用樹脂組成物溶液として)使用することが好ましい。これにより、均一な反射防止層用樹脂組成物層を形成することができる。このような第一の反射防止層用樹脂組成物溶液に用いられる有機溶媒としては特に制限はなく、例えば、特開2017−72760号公報に記載された溶剤が挙げられる。このような有機溶媒は、前記第一の反射防止層用樹脂組成物と有機溶媒との合計量に対して有機溶媒量が80〜99.9質量%となるように配合することが好ましく、前記第一の反射防止層用樹脂組成物溶液の溶液粘度(B型又はE型粘度計)が1〜4mPa・secとなるように配合することがより好ましい。このような溶液粘度の好ましい範囲はコーティングの方法によって異なるため、前記有機溶媒量の好ましい範囲もコーティングの方法によって異なる。例えば、スピンコート法の場合には、前記有機溶媒量の好ましい範囲の下限値近くの80〜85質量%が好ましく、スリットコート法の場合には、前記有機溶媒量の好ましい範囲の上限値付近の99.0〜99.9質量%が好ましい。
【0043】
本発明の第一の反射防止層用樹脂組成物溶液として典型的な配合組成を有するものは、光硬化性樹脂組成物及び有機溶媒を含有する樹脂組成物溶液であって、
前記光硬化性樹脂組成物が、屈折率が1.2〜1.8であり、平均粒子径が30〜220nmであり、前記有機溶剤中で分散可能なシリカ粒子を樹脂組成物全体に対して25〜85質量%と、エポキシ(メタ)アクリレート酸付加物を樹脂組成物全体に対して15〜75質量%含有するものであり、
前記有機溶媒の含有量が、前記光硬化性樹脂組成物と前記有機溶媒の合計量に対して80〜99.9質量%であり、
溶液粘度が1〜4mPa・secである、樹脂組成物溶液である。このような第一の反射防止層用樹脂組成物溶液において、エポキシ(メタ)アクリレート酸付加物としては、ビスフェノールフルオレン化合物から誘導されるエポキシアクリレート酸付加物が特に好ましい。
【0044】
一方、本発明の第二の表示装置用基板の製造方法に用いられる反射防止層用樹脂組成物(以下、「第二の反射防止層用樹脂組成物」という)は前記無機フィラーと熱硬化性透明樹脂及び熱硬化性単量体のうちの少なくとも1種とを含有するものである。この熱硬化性透明樹脂及び熱硬化性単量体としては、加熱処理により硬化する透明樹脂及び単量体であれば特に制限はなく、例えば、特開2016−161926号公報に記載された、エチレン性不飽和二重結合又は環状反応性基を有する樹脂(エポキシ化合物、オキセタン化合物等)及びエチレン性不飽和二重結合又は環状反応性基を有する単量体が挙げられる。
【0045】
このような第二の反射防止層用樹脂組成物において、前記無機フィラーの含有量としては、第二の反射防止層用樹脂組成物全体に対して5〜95質量%が好ましく、15〜90質量%がより好ましく、25〜85質量%が特に好ましい。また、前記熱硬化性透明樹脂及び熱硬化性単量体のうちの少なくとも1種の含有量としては、第二の反射防止層用樹脂組成物全体に対して3.2〜94.06質量%が好ましく、7.2〜84.16質量%がより好ましく、11.2〜74.26質量%が特に好ましい。前記無機フィラーの含有量が前記下限未満になると(或いは、前記熱硬化性透明樹脂の含有量が前記上限を超えると)、形成される反射防止層と遮光層との界面における前記反射防止層の表面粗さが所定の範囲の下限未満となる傾向にあり、他方、前記無機フィラーの含有量が前記上限を超えると(或いは、前記熱硬化性透明樹脂の含有量が前記下限未満になると)、形成される反射防止層と遮光層との界面における前記反射防止層の表面粗さが所定の範囲の上限を超える傾向にある。
【0046】
また、前記第二の反射防止層用樹脂組成物には熱硬化剤が含まれていることが好ましい。このような熱硬化剤としては、例えば、アミン系化合物、多価カルボン酸系化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ジシアンジアミド、ルイス酸錯化合物等のエポキシ化合物の熱硬化剤として用いられるものが挙げられ、中でも、多価カルボン酸系化合物が好ましい。このような多価カルボン酸系化合物としては、多価カルボン酸、多価カルボン酸の無水物、及び多価カルボン酸の熱分解性エステルが挙げられる。多価カルボン酸は1分子中に2つ以上のカルボキシ基を有する化合物であり、具体的には、コハク酸、マレイン酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロヘキセン−4,5−ジカルボン酸、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸、フタル酸、3,6−ジヒドロフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸等が挙げられる。多価カルボン酸の無水物としては上記に例示した多価カルボン酸の無水物が挙げられる。このような多価カルボン酸の無水物としては分子間酸無水物を用いてもよいが、一般には分子内で閉環した酸無水物が用いられる。多価カルボン酸の熱分解性エステルとしては、上記に例示した多価カルボン酸の熱分解性エステル(例えば、t−ブチルエステル、1−(アルキルオキシ)エチルエステル、1−(アルキルスルファニル)エチルエステル等〔ただし、前記アルキルは炭素数1〜20の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、この炭化水素基は直鎖状、分岐状、環状のいずれの構造を有していてもよく、また、任意の置換基を有していてもよい〕)が挙げられる。また、多価カルボン酸系化合物として、2つ以上のカルボキシ基を有する重合体又は共重合体を用いることもでき、そのカルボキシ基は無水物基又は熱分解性エステル基を形成していてもよい。このような2つ以上のカルボキシ基を有する重合体又は共重合体としては特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル酸を構成成分として含む重合体又は共重合体、無水マレイン酸を構成成分として含む共重合体、テトラカルボン酸二無水物をジアミンやジオールと反応させて酸無水物を開環させた化合物等が挙げられる。これらの多価カルボン酸系化合物の中でも、フタル酸、3,6−ジヒドロフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸の各多価カルボン酸の無水物が好ましい。このような熱硬化剤の含有量は、前記第二の反射防止層用樹脂組成物の熱硬化性等に応じて適宜設定することができ、例えば、熱硬化性透明樹脂と熱硬化性単量体との合計量100質量部に対して1〜25質量部であることが好ましい。
【0047】
さらに、前記第二の反射防止層用樹脂組成物には、必要に応じて、分散剤、非熱硬化性樹脂、硬化促進剤、酸化防止剤、可塑剤、充填材、カップリング剤、界面活性剤、染料等の各種添加剤を配合することができる。
【0048】
また、前記第二の反射防止層用樹脂組成物は、溶液の状態で(すなわち、第二の反射防止層用樹脂組成物溶液として)使用することが好ましい。これにより、均一な反射防止層用樹脂組成物層を形成することができる。このような第二の反射防止層用樹脂組成物溶液に用いられる有機溶媒としては特に制限はなく、例えば、特開2016−161926号公報に記載された溶剤が挙げられる。このような有機溶媒は、前記第二の反射防止層用樹脂組成物と有機溶媒との合計量に対して有機溶媒量が80〜99.9質量%となるように配合することが好ましく、前記第二の反射防止層用樹脂組成物溶液の溶液粘度(B型又はE型粘度計)が1〜4mPa・secとなるように配合することがより好ましい。このような溶液粘度の好ましい範囲はコーティングの方法によって異なるため、前記有機溶媒量の好ましい範囲もコーティングの方法によって異なる。例えば、スピンコート法の場合には、前記有機溶媒量の好ましい範囲の下限値近くの80〜85質量%が好ましく、スリットコート法の場合には、前記有機溶媒量の好ましい範囲の上限値付近の99.0〜99.9質量%が好ましい。
【0049】
本発明の第二の反射防止層用樹脂組成物溶液として典型的な配合組成を有するものは、熱硬化性樹脂組成物及び有機溶媒を含有する樹脂組成物溶液であって、
前記熱硬化性樹脂組成物が、屈折率が1.2〜1.8であり、平均粒子径が30〜220nmであり、前記有機溶剤中で分散可能なシリカ粒子を樹脂組成物全体に対して25〜85質量%と、エポキシ化合物を樹脂組成物全体に対して12〜74.26質量%と、熱硬化剤を前記エポキシ化合物100質量部に対して1〜25質量部含有するものであり、
前記有機溶媒の含有量が、前記光硬化性樹脂組成物と前記有機溶媒の合計量に対して80〜99.9質量%であり、
溶液粘度が1〜4mPa・secである、樹脂組成物溶液である。
【0050】
本発明の第一及び第二の表示装置用基板の製造方法に用いられる遮光層用樹脂組成物は前記遮光成分と光硬化性樹脂とを含有するものである。この光硬化性樹脂としては、光照射(例えば、UV照射)により硬化する樹脂であれば特に制限はないが、現像性に優れているという観点から、アルカリ可溶性の光硬化性樹脂が好ましく、さらに、光硬化性、パターニング特性にも優れているという観点から、特開2017−72760号公報に記載された、重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂、すなわち、エポキシ基を2個以上有する化合物(より好ましくは、ビスフェノール類とエピハロヒドリンとを反応させて得られるエポキシ化合物)と(メタ)アクリル酸(「アクリル酸及び/又はメタアクリル酸」を意味する)との反応物に、さらに多価カルボン酸又はその酸無水物を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート酸付加物が好ましく、ビスフェノールフルオレン化合物から誘導されるエポキシアクリレート酸付加物が特に好ましい。
【0051】
このような遮光層用樹脂組成物において、前記遮光成分の含有量としては、遮光層用樹脂組成物全体に対して10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%が特に好ましい。また、前記光硬化性樹脂の含有量としては、遮光層用樹脂組成物全体に対して5.54〜90質量%が好ましく、11.7〜80質量%がより好ましく、17.8〜70質量%が特に好ましい。前記遮光成分の含有量が前記下限未満になると(或いは、前記光硬化性樹脂の含有量が前記上限を超えると)、形成される遮光層の遮光性が低下する傾向にあり、他方、前記遮光成分の含有量が前記上限を超えると(或いは、前記光硬化性樹脂の含有量が前記下限未満になると)、形成される遮光層の表面平滑性、前記遮光成分の分散安定性が低下する傾向にある。
【0052】
また、このような遮光層用樹脂組成物には光重合性モノマーが含まれていてもよい。これにより、遮光層を光加工する場合の感度を適正化したり、形成される遮光層の表面硬度等の膜の機械物性を適正化したりすることが可能になる。このような光重合性モノマーとしては、特開2017−72760号公報に記載された、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー(例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する(メタ)アクリル酸エステル類)が挙げられる。このような光重合性モノマーの含有量としては、前記光硬化性樹脂と光重合性モノマーとの合計量に対して、1〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。
【0053】
さらに、前記遮光層用樹脂組成物には光重合開始剤が含まれていることが好ましい。このような光重合開始剤としては特に制限はなく、例えば、特開2017−72760号公報に記載された光重合開始剤が挙げられるが、これらの中でも、オキシムエステル系重合開始剤が特に好ましい。このような光重合開始剤の含有量は、前記遮光層用樹脂組成物の光硬化性等に応じて適宜設定することができ、例えば、光硬化性樹脂及び光重合性モノマーの合計量100質量部に対して0.3〜30質量部であることが好ましく、1〜25質量部であることがより好ましい。
【0054】
また、透明基板の耐熱性が低く、現像後の加熱処理(ポストベーク)を150℃以下といった低温で行う場合には、前記遮光層用樹脂組成物にアゾ系重合開始剤が含まれていることが好ましい。これにより、現像後の加熱時(ポストベーク時)の前記遮光層用樹脂組成物の熱ラジカル重合性が向上する。このようなアゾ系重合開始剤としては特に制限はなく、例えば、特開2017−181976号公報に記載されたアゾ系重合開始剤が挙げられる。このようなアゾ系重合開始剤の含有量としては特に制限はなく、前記遮光層用樹脂組成物の熱ラジカル重合性等に応じて適宜設定することができる。
【0055】
さらに、前記遮光層用樹脂組成物には、必要に応じて、分散剤、前記光重合開始剤及びアゾ系重合開始剤以外の重合開始剤、連鎖移動剤、増感剤、非感光性樹脂、硬化剤、硬化促進剤、酸化防止剤、可塑剤、充填材、カップリング剤、界面活性剤、色調整用顔料、染料等の各種添加剤を配合することができる。
【0056】
また、前記遮光層用樹脂組成物は、溶液の状態で(すなわち、遮光層用樹脂組成物溶液として)使用することが好ましい。これにより、均一な遮光層用樹脂組成物層を形成することができる。このような遮光層用樹脂組成物溶液に用いられる有機溶媒としては特に制限はなく、例えば、特開2017−72760号公報に記載された溶剤が挙げられる。このような有機溶媒は、前記遮光層用樹脂組成物と有機溶媒との合計量に対して有機溶媒量が60〜90質量%となるように配合することが好ましく、前記遮光層用樹脂組成物溶液の溶液粘度(B型又はE型粘度計)が1〜30mPa・secとなるように配合することがより好ましい。
【0057】
本発明の第一の表示装置用基板の製造方法においては、先ず、前記透明基板上に、前記第一の反射防止層用樹脂組成物からなる層(以下、「第一の反射防止層用樹脂組成物層」という)を形成する。
【0058】
前記第一の反射防止層用樹脂組成物層の平均厚さは0.01〜1μmである。前記第一の反射防止層用樹脂組成物層の平均厚さが前記下限未満になると、前記第一の反射防止層用樹脂組成物層の表面粗さが所定の範囲の上限を超える傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記第一の反射防止層用樹脂組成物層の表面粗さが所定の範囲の下限未満となる傾向にある。このような第一の反射防止層用樹脂組成物層の平均厚さとしては、前記第一の反射防止層用樹脂組成物層の表面粗さが所定の範囲内になりやすいという観点から、0.02〜0.5μmが好ましく、0.04〜0.3μmがより好ましい。なお、第一の反射防止層用樹脂組成物層の平均厚さは、触針式段差形状測定装置を用いて第一の反射防止層用樹脂組成物層表面と透明基板表面との段差を測定し、これを平均することによって求めることができる。
【0059】
また、前記第一の反射防止層用樹脂組成物層の表面粗さは40〜200nmである。前記第一の反射防止層用樹脂組成物層の表面粗さが前記下限未満になると、得られる遮光膜の反射率が十分に低減されず、遮光膜での光の反射を十分に防止することができない。他方、前記第一の反射防止層用樹脂組成物層の表面粗さが前記上限を超えると、得られる遮光膜の平坦性を所望のレベルにすることが困難になる。このような第一の反射防止層用樹脂組成物層の表面粗さとしては、得られる遮光膜の反射率が低くなり、遮光膜での光の反射が抑制され、また、遮光膜の平坦性を担保するという観点から、50〜180nmが好ましく、80〜160nmがより好ましい。なお、第一の反射防止層用樹脂組成物層の表面粗さは、触針式段差形状測定装置を用いて第一の反射防止層用樹脂組成物層表面の凹凸形状を測定して粗さ曲線を求め、この粗さ曲線において無作為に抽出した0.1mmの部分について粗さの算術平均値を求め、これを第一の反射防止層用樹脂組成物層の表面粗さとすることによって求めることができる。
【0060】
このような第一の反射防止層用樹脂組成物層を形成する方法としては、例えば、前記透明基板上に、前記第一の反射防止層用樹脂組成物溶液を塗布した後、加熱処理(プレベーク)を施すことにより有機溶媒を除去する方法が挙げられる。
【0061】
次に、このようにして形成した第一の反射防止層用樹脂組成物層上に、前記遮光層用樹脂組成物からなる層(以下、「遮光層用樹脂組成物層」という)を形成する。このような遮光層用樹脂組成物層を形成する方法としては、例えば、前記第一の反射防止層用樹脂組成物層上に、前記遮光層用樹脂組成物溶液を塗布した後、加熱処理(プレベーク)を施すことにより有機溶媒を除去する方法が挙げられる。
【0062】
第一の反射防止層用樹脂組成物溶液を塗布する方法及び遮光層用樹脂組成物溶液を塗布する方法としては、例えば、公知の溶液浸漬法、スプレー法のほか、ローラーコーター、ランドコーター、スリットコーター、スピンコーター等を用いる方法が挙げられる。プレベークにおける加熱温度及び加熱時間は、使用する有機溶媒の種類等に応じて適宜設定することができ、例えば、加熱温度を60〜110℃(前記透明基板の耐熱温度を超えないように設定)に、加熱時間を1〜3分間に設定することができる。
【0063】
次に、このようにして形成した前記第一の反射防止層用樹脂組成物層及び前記遮光層用樹脂組成物層に、所望の遮光膜パターン形成用マスクを用いて一括で露光処理を施し、前記第一の反射防止層用樹脂組成物層の感光部分(露光部分)の光硬化性透明樹脂及び前記遮光層用樹脂組成物層の感光部分(露光部分)の光硬化性樹脂を光硬化させる。露光処理条件は、使用する光硬化性樹脂や光重合開始剤の種類等に応じて適宜設定することができる。
【0064】
次に、露光後の第一の反射防止層用樹脂組成物層及び遮光層用樹脂組成物層に一括で現像処理を施して、前記第一の反射防止層用樹脂組成物層及び前記遮光層用樹脂組成物層の未露光部分の樹脂組成物を除去することによって、前記無機フィラーと透明樹脂硬化物(前記第一の反射防止層用樹脂組成物の硬化物)とを含有する反射防止層及び前記遮光成分と樹脂硬化物(前記遮光層用樹脂組成物の硬化物)とを含有する遮光層が同時に形成される。さらに、前記反射防止層及び前記遮光層を十分に硬化させたり、現像液を十分に除去して前記透明基板と前記反射防止層との密着性を向上させたりするために、前記反射防止層及び前記遮光層に加熱処理(ポストベーク)を施すことによって、前記透明基板上に、前記反射防止層と前記遮光層とからなる遮光膜(遮光膜パターン)を備えている本発明の表示装置用基板を得ることができる。
【0065】
前記現像処理方法としては特に制限はなく、公知の現像方法を採用することができ、現像処理条件は、使用する光硬化性透明樹脂及び光硬化性樹脂の種類等に応じて適宜設定することができる。また、前記第一の反射防止層用樹脂組成物層中の光硬化性透明樹脂及び前記遮光層用樹脂組成物層中の光硬化性樹脂がアルカリ可溶性である場合には、アルカリ現像液を用いて現像処理(アルカリ現像処理)を行うことが好ましい。アルカリ現像液としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩や水酸化物の水溶液等の公知のアルカリ現像液を用いることができる。
【0066】
また、ポストベークにおける加熱温度及び加熱時間は、使用する透明基板や樹脂組成物の種類等に応じて適宜設定することができ、例えば、透明基板としてガラス基板等の耐熱性が十分なものを使用する場合には、加熱温度を180〜250℃に、加熱時間を20〜60分間に設定することができる。
【0067】
このようにして形成された遮光層の平均厚さは0.1〜30μmである。前記遮光層の平均厚さが前記下限未満になると、遮光性が低下し、他方、前記上限を超えると、前記アルカリ現像に要する時間が長くなり、生産性が低下する。このような遮光層の平均厚さとしては、遮光性と生産性を両立させるという観点から、0.5〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。なお、遮光層の平均厚さは、触針式段差形状測定装置を用いて遮光層表面と透明基板表面との段差を測定し、これを平均して前記反射防止層と前記遮光層とからなる遮光膜の平均厚さを求め、この遮光膜の平均厚さから前記第一の反射防止層用樹脂組成物層の平均厚さを差引くことによって求めることができる。
【0068】
このように、本発明の第一の表示装置用基板の製造方法においては、第一の反射防止層用樹脂組成物及び遮光層用樹脂組成物のいずれにも光硬化性樹脂を使用しているため、第一の反射防止層用樹脂組成物層及び遮光層用樹脂組成物層に対して露光処理及び現像処理を一括で行うことができる。
【0069】
一方、本発明の第二の表示装置用基板の製造方法においては、先ず、前記透明基板上に、前記第二の反射防止層用樹脂組成物に加熱硬化処理を施して、前記無機フィラーと透明樹脂硬化物(前記第二の反射防止層用樹脂組成物の硬化物)とを含有する反射防止層を形成する。
【0070】
前記反射防止層の平均厚さは0.01〜1μmである。前記反射防止層の平均厚さが前記下限未満になると、前記反射防止層の表面粗さが所定の範囲の上限を超える傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記反射防止層の表面粗さが所定の範囲の下限未満となる傾向にある。このような反射防止層の平均厚さとしては、前記反射防止層の表面粗さが所定の範囲内になりやすいという観点から、0.02〜0.5μmが好ましく、0.04〜0.3μmがより好ましい。なお、反射防止層の平均厚さは、触針式段差形状測定装置を用いて反射防止層表面と透明基板表面との段差を測定し、これを平均することによって求めることができる。
【0071】
また、前記反射防止層の表面粗さは40〜200nmである。前記反射防止層の表面粗さが前記下限未満になると、得られる遮光膜の反射率が十分に低減されず、遮光膜での光の反射を十分に防止することができない。他方、前記反射防止層の表面粗さが前記上限を超えると、得られる遮光膜の平坦性を所望のレベルにすることが困難になる。このような反射防止層の表面粗さとしては、得られる遮光膜の反射率が更に低くなり、遮光膜での光の反射が更に抑制され、また、遮光膜の平坦性を担保するという観点から、50〜180nmが好ましく、80〜160nmがより好ましい。なお、反射防止層の表面粗さは、触針式段差形状測定装置を用いて反射防止層表面の凹凸形状を測定して粗さ曲線を求め、この粗さ曲線において無作為に抽出した0.1mmの部分について粗さの算術平均値を求め、これを反射防止層の表面粗さとすることによって求めることができる。
【0072】
このような反射防止層を形成する方法としては、例えば、前記透明基板上に、前記第二の反射防止層用樹脂組成物溶液を塗布した後、この第二の反射防止層用樹脂組成物に加熱硬化処理を施す方法が挙げられる。
【0073】
第二の反射防止層用樹脂組成物溶液を塗布する方法としては、例えば、公知の溶液浸漬法、スプレー法のほか、ローラーコーター、ランドコーター、スリットコーター、スピンコーター等を用いる方法が挙げられる。
【0074】
また、加熱硬化処理条件は、使用する透明基板や第二の反射防止層用樹脂組成物の種類等に応じて適宜設定することができ、例えば、透明基板としてガラス基板等の耐熱性が十分なものを使用する場合には、加熱温度を180〜250℃に、加熱時間を20〜60分間に設定することができる。
【0075】
次に、このようにして形成した反射防止層上に、前記遮光層用樹脂組成物からなる層(以下、「遮光層用樹脂組成物層」という)を形成する。このような遮光層用樹脂組成物層を形成する方法としては、例えば、前記第二の反射防止層用樹脂組成物層上に、前記遮光層用樹脂組成物溶液を塗布した後、加熱処理(プレベーク)を施すことにより有機溶媒を除去する方法が挙げられる。
【0076】
遮光層用樹脂組成物溶液を塗布する方法としては、例えば、公知の溶液浸漬法、スプレー法のほか、ローラーコーター、ランドコーター、スリットコーター、スピンコーター等を用いる方法が挙げられる。プレベークにおける加熱温度及び加熱時間は、使用する有機溶媒の種類等に応じて適宜設定することができ、例えば、加熱温度を60〜110℃(前記透明基板の耐熱温度を超えないように設定)に、加熱時間を1〜3分間に設定することができる。
【0077】
次に、このようにして形成した前記遮光層用樹脂組成物層に、所望の遮光膜パターン形成用マスクを用いて露光処理を施し、前記遮光層用樹脂組成物層の感光部分(露光部分)の光硬化性樹脂を光硬化させる。露光処理条件は、使用する光硬化性樹脂や光重合開始剤の種類等に応じて適宜設定することができる。
【0078】
次に、露光後の遮光層用樹脂組成物層に現像処理を施して、前記遮光層用樹脂組成物層の未露光部分の樹脂組成物を除去することによって、前記遮光成分と樹脂硬化物(前記遮光層用樹脂組成物の硬化物)とを含有する遮光層が形成される。さらに、前記遮光層を十分に硬化させたり、現像液を十分に除去するために、前記遮光層に加熱処理(ポストベーク)を施すことによって、前記透明基板上に、前記反射防止層と前記遮光層とからなる遮光膜(遮光膜パターン)を備えている本発明の表示装置用基板を得ることができる。
【0079】
前記現像処理方法としては特に制限はなく、公知の現像方法を採用することができ、現像処理条件は、使用する光硬化性樹脂の種類等に応じて適宜設定することができる。また、前記遮光層用樹脂組成物層中の光硬化性樹脂がアルカリ可溶性である場合には、アルカリ現像液を用いて現像処理(アルカリ現像処理)を行うことが好ましい。アルカリ現像液としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩や水酸化物の水溶液等の公知のアルカリ現像液を用いることができる。
【0080】
また、ポストベークにおける加熱温度及び加熱時間は、使用する透明基板や樹脂組成物の種類等に応じて適宜設定することができる。
【0081】
このようにして形成された遮光層の平均厚さは0.1〜30μmである。前記遮光層の平均厚さが前記下限未満になると、遮光性が低下し、他方、前記上限を超えると、前記アルカリ現像に要する時間が長くなり、生産性が低下する。このような遮光層の平均厚さとしては、遮光性と生産性を両立させるという観点から、0.5〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。なお、遮光層の平均厚さは、触針式段差形状測定装置を用いて遮光層表面と透明基板表面との段差を測定し、これを平均して前記反射防止層と前記遮光層とからなる遮光膜の平均厚さを求め、この遮光膜の平均厚さから前記反射防止層の平均厚さを差引くことによって求めることができる。
【実施例】
【0082】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で使用した無機フィラー及び遮光成分の平均粒子径、反射防止層(又は反射防止層用樹脂組成物層)及び遮光層の平均厚さ、並びに反射防止層(又は反射防止層用樹脂組成物層)の表面粗さは以下の方法により測定した。
【0083】
<無機フィラー及び遮光成分の平均粒子径測定>
無機フィラー又は遮光成分の粒子を、粒子濃度が0.1〜0.5質量%となるように、樹脂組成物溶液に使用する有機溶媒に分散させた。得られた分散液中の粒子の粒度分布を、粒度分布計(大塚電子株式会社製「粒径アナライザーFPAR−1000」)を用いて動的光散乱法により測定し、得られた粒度分布をキュムラント法により解析して平均粒子径(平均二次粒子径)を求めた。
【0084】
<反射防止層(又は反射防止層用樹脂組成物層)の平均厚さ測定>
触針式段差形状測定装置(ケーエルエー・テンコール社製「P−10」)を用い、測定範囲500μm、走査速度50μm/秒、サンプリングレート20Hzの条件で、ガラス基板表面と反射防止層表面(又は反射防止層用樹脂組成物層表面)との段差を測定し、その平均値を反射防止層(又は反射防止層用樹脂組成物層)の平均厚さとした。
【0085】
<遮光層の平均厚さ測定>
触針式段差形状測定装置(ケーエルエー・テンコール社製「P−10」)を用い、測定範囲500μm、走査速度50μm/秒、サンプリングレート20Hzの条件で、ガラス基板表面と遮光層表面との段差を測定し、その平均値を反射防止層と遮光層とからなる遮光膜の平均厚さとした。この遮光膜の平均厚さから前記反射防止層(又は反射防止層用樹脂組成物層)の平均厚さを差引くことによって遮光層の平均厚さ(=遮光膜の平均厚さ−反射防止層(又は反射防止層用樹脂組成物層)の平均厚さ)を求めた。
【0086】
<反射防止層(又は反射防止層用樹脂組成物層)の表面粗さ測定>
触針式段差形状測定装置(ケーエルエー・テンコール社製「P−10」)を用い、測定範囲500μm、走査速度10μm/秒、サンプリングレート100Hzの条件で、反射防止層表面(又は反射防止層用樹脂組成物層表面)の凹凸形状を測定して粗さ曲線を求め、この粗さ曲線において無作為に抽出した長さ0.1mmの部分について粗さの算術平均値を求め、これを反射防止層(又は反射防止層用樹脂組成物層)の表面粗さとした。その結果を表1に示す。
【0087】
また、実施例及び比較例で使用したアルカリ可溶性の光硬化性透明樹脂は以下の方法により合成した。なお、合成例で使用した原料を以下に示す。
BPFE:ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物(9,9−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)フルオレンとクロロメチルオキシランとの反応物(エポキシ当量:
250g/eq)。
AA:アクリル酸。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート。
TEAB:臭化テトラエチルアンモニウム。
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物。
THPA:テトラヒドロ無水フタル酸。
BzMA:ベンジルメタクリレート。
DCPMA:ジシクロペンタニルメタクリレート。
GMA:グリシジルメタクリレート。
St:スチレン。
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル。
TDMAMP:トリスジメチルアミノメチルフェノール。
HQ:ハイドロキノン。
TEA:トリエチルアミン。
【0088】
(合成例1)
還留冷却器付き四つ口フラスコ(容量500ml)中に、BPFE(114.4g(0.23モル))、AA(33.2g(0.46モル))、PGMEA(157g)及びTEAB(0.48g)を仕込み、100〜105℃で20時間撹拌して反応させた。次いで、前記フラスコ内の反応生成物にBPDA(35.3g(0.12モル))及びTHPA(18.3g(0.12モル))を添加し、120〜125℃で6時間撹拌して光硬化性カルド樹脂を含有する樹脂溶液を得た。この樹脂溶液の固形分濃度は56.1質量%であり、酸価(固形分換算)は103mgKOH/gであり、GPC分析によるMwは3600であった。
【0089】
(合成例2)
還留冷却器付き四つ口フラスコ(容量1L)中に、PGMEA(300g)を入れ、フラスコ内の気相を窒素で置換した後、120℃に昇温した。このフラスコ内にモノマー混合物(BzMA(35.2g(0.20モル))、DCPMA(77.1g(0.35モル))、GMA(49.8g(0.35モル))及びSt(10.4g(0.10モル))の液状混合物にAIBN(10g)を溶解した混合溶液)を滴下ロートから2時間かけて滴下し、その後、120℃で2時間撹拌して共重合体溶液を得た。
【0090】
次いで、フラスコ系内の気相を空気で置換した後、このフラスコ内の前記共重合体溶液にAA(24.0g(グリシジル基の95%))、TDMAMP(0.8g)及びHQ(0.15g)を添加し、120℃で6時間撹拌して重合性不飽和基含有共重合体溶液を得た。
【0091】
さらに、この重合性不飽和基含有共重合体溶液にTHPA(45.7g(AA添加モル数の90%))、TEA(0.5g)を添加し、120℃で4時間反応させて光硬化性アクリル樹脂を含有する樹脂溶液を得た。この樹脂溶液の固形分濃度は46質量%であり、酸価(固形分換算)は68mgKOH/gであり、GPC分析によるMwは7900であった。
【0092】
さらに、実施例及び比較例で使用したその他の各成分を以下に示す。
(熱硬化性透明樹脂)
エポキシ樹脂:2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(株式会社ダイセル有機合成カンパニー製「EHPE3150」)。
(光重合性モノマー)
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物(日本化薬株式会社製「DPHA」)。
(硬化剤)
TMA:トリメリット酸。
(重合開始剤)
OXE02:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(BASFジャパン株式会社製「イルガキュアOXE02」)。
(無機フィラー)
シリカA:ヒュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製「アエロジル」)、屈折率:1.46、平均粒子径(分布測定:動的光散乱法、分布解析:キュムラント法):170nm。
シリカB:オルガノシリカゾル(日産化学株式会社製「PMA―ST」)、屈折率:1.46、平均粒子径(分布測定:動的光散乱法、分布解析:キュムラント法):20nm。
(遮光成分)
カーボンブラック:カーボンブラック(三菱ケミカル株式会社製「MA14」)、平均粒子径(分布測定:動的光散乱法、分布解析:キュムラント法):150nm。
(有機溶媒)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート。
【0093】
(実施例1)
先ず、各成分が表1に示す含有量となるように、合成例1で得られた光硬化性カルド樹脂を含有する樹脂溶液、シリカA及びPGMEAを混合して反射防止層用樹脂組成物溶液を調製した。また、各成分が表1に示す含有量となるように、合成例1で得られた光硬化性カルド樹脂を含有する樹脂溶液、DPHA、カーボンブラック、OXE02及びPGMEAを混合して遮光層用樹脂組成物溶液を調製した。
【0094】
次に、ガラス基板上に、反射防止層用樹脂組成物溶液をスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で1分間加熱(プレベーク)して、平均厚さが80nmの反射防止層用樹脂組成物層を形成した。この反射防止層用樹脂組成物層の表面粗さは75nmであった。
【0095】
この反射防止層用樹脂組成物層上に、遮光層用樹脂組成物溶液をスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で1分間加熱(プレベーク)して遮光層用樹脂組成物層を形成した。
【0096】
このようにして形成した反射防止層用樹脂組成物層と遮光層用樹脂組成物層とからなる積層塗膜に、露光ギャップを100μmに調整して、ライン/スペース=20μm/20μmの遮光膜パターン形成用マスクを被せ、i線強度30mW/cm
2の超高圧水銀ランプを用いて50mJ/cm
2の紫外線を照射して一括で露光を行い、感光部分の樹脂を光硬化させた。露光後の積層塗膜に、0.04%水酸化カリウム水溶液を用い、24℃、1kgf/cm
2圧の条件でシャワー現像を開始し、パターンが現れ始めた後、さらに20秒間シャワー現像を継続した。その後、5kgf/cm
2圧でスプレー水洗を行い、積層塗膜の未露光部分を除去して、反射防止層パターンと遮光層パターンとがこの順で積層されている遮光膜パターンをガラス基板上に形成した。その後、この遮光膜パターンに、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間加熱処理(ポストベーク)を施した。なお、前記遮光層パターンの平均厚さは1.3μmであった。
【0097】
(実施例2〜3)
反射防止層用樹脂組成物溶液において、各成分が表1に示す含有量となるように、合成例1で得られた光硬化性カルド樹脂の樹脂溶液及びシリカAの配合量を変更した以外は実施例1と同様にして、反射防止層パターンと遮光層パターンとがこの順で積層されている遮光膜パターンをガラス基板上に形成した。なお、実施例2で得られた反射防止層用樹脂組成物層の表面粗さは98nmであり、実施例3で得られた反射防止層用樹脂組成物層の表面粗さは142nmであった。
【0098】
(実施例4)
平均厚さが40nmの反射防止層用樹脂組成物層を形成した以外は実施例3と同様にして、反射防止層パターンと遮光層パターンとがこの順で積層されている遮光膜パターンをガラス基板上に形成した。なお、実施例4で得られた反射防止層用樹脂組成物層の表面粗さは150nmであった。
【0099】
(実施例5)
平均厚さが200nmの反射防止層用樹脂組成物層を形成した以外は実施例3と同様にして、反射防止層パターンと遮光層パターンとがこの順で積層されている遮光膜パターンをガラス基板上に形成した。なお、実施例5で得られた反射防止層用樹脂組成物層の表面粗さは50nmであった。
【0100】
(実施例6)
反射防止層用樹脂組成物溶液において、合成例1で得られた光硬化性カルド樹脂の樹脂溶液の代わりに合成例2で得られた光硬化性アクリル樹脂の樹脂溶液を用いた以外は実施例3と同様にして、反射防止層パターンと遮光層パターンとがこの順で積層されている遮光膜パターンをガラス基板上に形成した。なお、実施例6で得られた反射防止層用樹脂組成物層の表面粗さは131nmであった。
【0101】
(実施例7)
先ず、各成分が表1に示す含有量となるように、合成例1で得られた光硬化性カルド樹脂の樹脂溶液、エポキシ樹脂、TMA、シリカA及びPGMEAを混合して反射防止層用樹脂組成物溶液を調製した。また、実施例1と同様にして遮光層用樹脂組成物溶液を調製した。
【0102】
次に、ガラス基板上に、反射防止層用樹脂組成物溶液をスピンコーターを用いて塗布した後、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間加熱硬化処理を施して、平均厚さが80nmの反射防止層を形成した。この反射防止層の表面粗さは65nmであった。
【0103】
この反射防止層上に、遮光層用樹脂組成物溶液をスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で1分間加熱(プレベーク)して遮光層用樹脂組成物層を形成した。
【0104】
このようにして形成した遮光層用樹脂組成物層に、露光ギャップを100μmに調整して、ライン/スペース=20μm/20μmの遮光膜パターン形成用マスクを被せ、i線強度30mW/cm
2の超高圧水銀ランプを用いて50mJ/cm
2の紫外線を照射して露光を行い、感光部分の樹脂を光硬化させた。露光後の遮光層用樹脂組成物層に、0.04%水酸化カリウム水溶液を用い、24℃、1kgf/cm
2圧の条件でシャワー現像を開始し、パターンが現れ始めた後、さらに20秒間シャワー現像を継続した。その後、5kgf/cm
2圧でスプレー水洗を行い、遮光層用樹脂組成物層の未露光部分を除去して、反射防止層と遮光層パターンとがこの順で積層されている遮光膜パターンをガラス基板上に形成した。その後、この遮光膜パターンに、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間加熱処理(ポストベーク)を施した。なお、前記遮光層パターンの平均厚さは1.3μmであった。
【0105】
(実施例8)
反射防止層用樹脂組成物溶液において、各成分が表1に示す含有量となるように、エポキシ樹脂、TMA、シリカA及びPGMEAを混合した以外は実施例7と同様にして、反射防止層と遮光層パターンとがこの順で積層されている遮光膜パターンをガラス基板上に形成した。なお、実施例8で得られた反射防止層の表面粗さは70nmであった。
【0106】
(比較例1)
反射防止層を形成しなかった以外は実施例1と同様にして、遮光層パターンのみからなる遮光膜パターンをガラス基板上に形成した。
【0107】
(比較例2)
反射防止層用樹脂組成物溶液において、各成分が表1に示す含有量となるように、合成例1で得られた光硬化性カルド樹脂の樹脂溶液及びPGMEAを混合した以外は実施例1と同様にして、反射防止層パターンと遮光層パターンとがこの順で積層されている遮光膜パターンをガラス基板上に形成した。なお、比較例2で得られた反射防止層用樹脂組成物層の表面粗さは11nmであった。
【0108】
(比較例3)
平均粒子径が170nmのシリカAの代わりに平均粒子径が20nmのシリカBを用いた以外は実施例3と同様にして、反射防止層パターンと遮光層パターンとがこの順で積層されている遮光膜パターンをガラス基板上に形成した。なお、比較例3で得られた反射防止層用樹脂組成物層の表面粗さは30nmであった。
【0109】
<遮光度(OD値)測定>
得られた遮光膜パターン付きガラス基板について、光学濃度計(サカタインクスエンジニアリング株式会社製「X−Rite361T(V)」)を用いて光学濃度(OD値)を測定し、これをガラス基板の光学濃度(OD値)で補正して遮光膜の遮光度(OD値)を求めた。その結果を表1に示す。
【0110】
<反射率測定>
得られた遮光膜パターン付きガラス基板の遮光膜パターンが形成されていない面側から、分光測色計(株式会社日立ハイテクサイエンス製「UH4150」)を用いて、C光源、2°視野の条件で反射率[%]を測定した。その結果を表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
表1に示したように、特定の表面粗さを有する反射防止層用樹脂組成物層を硬化させることによって形成した反射防止層を備える遮光膜パターン(実施例1〜6)及び特定の表面粗さを有する反射防止層を備える遮光膜パターン(実施例7〜8)は、反射防止層のない遮光膜パターン(比較例1)、反射防止層に無機フィラーが含まれていない遮光膜パターン(比較例2)、及び表面粗さが小さい反射防止層用樹脂組成物層を硬化させることによって形成した反射防止層を備える遮光膜パターン(比較例3)に比べて、反射率が低減されることが確認された。