【解決手段】生コンクリートの注文情報D2に基づいて、納入先に生コンクリートを納入可能な複数の出荷工場fnを選択する発注先選択手段3と、前記発注先選択手段3で選択した前記複数の出荷工場fnを対象として、前記注文情報D2により注文されている総量の生コンクリートの出荷配分を決定する出荷配分手段5と、前記出荷配分手段5による前記出荷配分の決定結果に基づいて、出荷が割り当てられている出荷工場fnに生コンクリートの出荷を依頼する発注手段6と、を備えている生コンクリートの受発注システム1。
前記出荷配分手段は、前記発注先選択手段により選択された前記複数の出荷工場のそれぞれについて、単位時間当たりにおける生コンクリートの納入量を示す納入効率を導出し、該納入効率に基づいて前記出荷配分を決定する、
請求項1に記載の生コンクリートの受発注システム。
前記発注先選択手段は、前記出荷工場が原料を調達する原料製造業者を指定するための業者指定情報及び前記生コンクリートの種類を指定する種類指定情報の少なくとも何れか一方を指定可能であり、前記複数の出荷工場から前記業者指定情報及び前記種類指定情報のうち指定された情報に該当する前記出荷工場を選択する、
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の生コンクリートの受発注システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、消費者に生コンクリートを納入できる工場は複数存在する一方で、上記従来のシステムは、消費者が生コンクリートを発注したい製造者を指定するように構成されているため、発注先に偏りが生じると、消費者が所望するタイミングで生コンクリートを受け取ることができず、発注先や納入日を変更する手間が生じることがある。
【0005】
そのため、上記従来のシステムでは、生コンクリートの納入が非効率になることが問題となっている。
【0006】
そこで、本発明は、生コンクリートを効率よく納入できる生コンクリートの受発注システム、受発注プログラム、及び受発注方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の生コンクリートの受発注システムは、
生コンクリートの注文情報に基づいて、納入先に生コンクリートを納入可能な複数の出荷工場を選択する発注先選択手段と、
前記発注先選択手段で選択した前記複数の出荷工場を対象として、前記注文情報により注文されている総量の生コンクリートの出荷配分を決定する出荷配分手段と、
前記出荷配分手段による前記出荷配分の決定結果に基づいて、出荷が割り当てられている出荷工場に生コンクリートの出荷を依頼する発注手段と、を備えている。
【0008】
上記構成の生コンクリートの受発注システムによれば、発注された生コンクリートの納入に対応できる出荷工場を複数選択したうえで、この複数の出荷工場を対象として注文された総量の生コンクリートの出荷を配分できる。
【0009】
そのため、上記構成の生コンクリートの受発注システムは、複数の出荷工場を利用して発注された総量の生コンクリートを手配することができるため、注文に則して発注者に生コンクリートを滞りなく出荷できる。
【0010】
本発明の前記生コンクリートの受発注システムにおいて、
前記出荷配分手段は、前記発注先選択手段により選択された前記複数の出荷工場のそれぞれについて、単位時間当たりにおける生コンクリートの納入量を示す納入効率を導出し、該納入効率に基づいて前記出荷配分を決定するように構成されていてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、出荷工場に対して出荷能力を超えた分量の生コンクリートが発注されることを防止でき、これにより、発注先の変更が必要となる手間が生じないようにすることができる。
【0012】
この場合、
前記出荷配分手段は、前記出荷工場が所有し且つ前記納入先に前記生コンクリートを納入可能な車両の前記生コンクリートの積載量の総和である前記出荷工場の前記生コンクリートの出荷可能量Sと、前記出荷工場から前記納入先までの前記生コンクリートの運搬時間Tとに基づいて、前記納入効率Rを下式(1)により導出するように構成されていてもよい。
【0013】
【数1】
【0014】
生コンクリートの運搬は車両によって行われているが、上記構成の生コンクリートの受発注システムでは、生コンクリートの納入に利用できる車両の数を考慮して納入効率を導出できるため、車両を手配できない出荷工場に生コンクリートの発注がかかることを防ぐことができる。
【0015】
本発明の生コンクリートの受発注システムにおいて、
前記発注先選択手段は、前記出荷工場が原料を調達する原料製造業者を指定するための業者指定情報及び前記生コンクリートの種類を指定する種類指定情報の少なくとも何れか一方を指定可能であり、前記複数の出荷工場から前記業者指定情報及び前記種類指定情報のうち指定された情報に該当する前記出荷工場を選択するように構成されていてもよい。
【0016】
生コンクリートの注文時においては、原料製造業者が注文者から指定される場合があるが、上記構成の生コンクリートの受発注システムでは、出荷配分を行う対象とする出荷工場を注文者の指定を満たす出荷工場に絞ったうえで出荷配分できるため、生コンクリートの手配を効率よく行うことができる。
【0017】
本発明の生コンクリートの受発注プログラムは、
コンピュータを、
生コンクリートの注文情報に基づいて、納入先に生コンクリートを納入可能な複数の出荷工場を選択する発注先選択手段と、
前記発注先選択手段で選択した前記複数の出荷工場を対象として、前記注文情報により注文されている総量の生コンクリートの出荷配分を決定する出荷配分手段と、
前記出荷配分手段による前記出荷配分の決定結果に基づいて、出荷が割り当てられている出荷工場に生コンクリートの出荷を依頼する発注手段として機能させる。
【0018】
上記構成の生コンクリートの受発注プログラムによれば、発注された生コンクリートの納入に対応できる出荷工場を複数選択したうえで、この複数の出荷工場を対象として注文された総量の生コンクリートの出荷を配分できるため、複数の出荷工場を利用して発注された総量の生コンクリートを手配することができ、これにより、注文に則して発注者に生コンクリートを滞りなく出荷できるようになる。
【0019】
本発明の生コンクリートの受発注方法は、
生コンクリートの注文情報に基づいて、納入先に生コンクリートを納入可能な複数の出荷工場を選択し、
選択した前記複数の出荷工場を対象として、前記注文情報により注文されている総量の生コンクリートの出荷配分を決定し、
前記出荷配分の決定結果に基づいて、出荷が割り当てられている出荷工場に生コンクリートの出荷を依頼する。
【0020】
上記構成の生コンクリートの受発注方法によれば、発注された生コンクリートの納入に対応できる出荷工場を複数選択したうえで、この複数の出荷工場を対象として注文された総量の生コンクリートの出荷を配分できるため、複数の出荷工場を利用して発注された総量の生コンクリートを手配することができ、これにより、注文に則して発注者に生コンクリートを滞りなく出荷できるようになる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明の生コンクリートの受発注システム、受発注プログラム、及び受発注方法は、複数の出荷工場を利用して生コンクリートを手配できるため、生コンクリートを効率よく納入できるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係る生コンクリートの受発注システムについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0024】
生コンクリートの受発注システム(以下、受発注システム1と称する)1は、
図1に示すように、注文者Cからの注文に則して生コンクリートの出荷工場fnに生コンクリートを発注するシステムである。
【0025】
受発注システム1は、
図2に示すように、注文者Cからの生コンクリートの注文内容を示す注文情報を取得する受注手段2と、予め登録されている出荷工場fnの集合である出荷工場群Fの中から、生コンクリートの発注先の候補とする出荷工場fnを複数選択する発注先選択手段3と、注文された総量の生コンクリートを発注先選択手段3で選択した複数の出荷工場fnによって納入できるか否かを判定する需給確認手段4と、発注先選択手段3で選択した複数の出荷工場fnを対象として、注文されている総量の生コンクリートの出荷配分を決定する出荷配分手段5と、出荷配分手段5による出荷配分の決定結果に基づいて、出荷が割り当てられた出荷工場fnに生コンクリートの出荷を依頼する発注手段6と、出荷配分が決定した後において生コンクリートの供給量が不足した場合に、不足している分量の生コンクリートを補うための補填手段7と、を備えている。
【0026】
なお、受発注システム1は、例えば、パソコン等の端末に上記の受注手段2、発注先選択手段3、需給確認手段4、出荷配分手段5、発注手段6を発揮させる受発注プログラムを組み込むことで構築することができる。
【0027】
受注手段2は、生コンクリートの注文内容を示す注文情報を入力するための注文入力手段20を有する。注文入力手段20は、例えば、入力フォームや、選択フォームを表示し、注文者Cがこれらのフォームに注文に必要な情報を入力できるように構成されていればよい。
【0028】
図3に示すように、受注手段2に入力可能な注文情報D2には、生コンクリートの納入日時を示す納入日時情報D20と、生コンクリートの納入量を示す納入量情報D21と、生コンクリートの納入先を示す納入先情報D22と、出荷工場fnが原料を調達する原料製造業者を示す業者指定情報D23と、生コンクリートの種類を示す種類指定情報D24と、現場への生コンクリートの納入回数を示す納入回数情報D25と、ポンプ車に生コンクリートの圧送前に供給するモルタル(いわゆる、先行モルタル)の量を示す先行モルタル量情報D26と、が含まれている。なお、原料製造業者とは、セメント製造業者や、砕石製造業者、コンクリート用の混和材の製造業者等のことである。
【0029】
なお、納入回数情報D25に設定されている生コンクリートの納入回数が1回である場合、納入日時情報D20には、生コンクリートを納入する日付と時刻とが設定されていればよい。また、納入回数情報D25に設定されている生コンクリートの納入回数が複数回である場合、納入日時情報D20には、生コンクリートを納入する日付と時間帯(納入を開始する時刻から納入を完了する時刻までの時間帯)が設定されていればよい。この場合、納入日時情報D20に設定されている時間帯と納入回数情報D25に設定されている納入回数とに基づいて、納入ピッチを算出することも可能となる。
【0030】
発注先選択手段3は、
図2に示すように、受発注システム1に登録されている出荷工場群Fの中から、注文者Cが指定する条件を満たし、且つ納入日時に納入先へ生コンクリートを納入可能な出荷工場fnを選択するように構成されている。
【0031】
なお、本実施形態で注文者Cが指定する条件とは、出荷工場fnが原料を調達する原料製造業者を示す業者情報である。また、生コンクリートを納入可能な出荷工場fnとは、所有している車両(アジテータ車)の中に、納入日時に納入先に向かうことができる車両がある出荷工場fnのことである。
【0032】
ここで、工場情報について説明する。工場情報は、受発注システム1の記憶手段(図示しない)に記憶されている。
【0033】
工場情報D3には、
図4(a)に示すように、出荷工場fnの所在地を示す所在地情報D30と、出荷工場fnが原料を調達する原料製造業者を示す業者情報D31と、出荷工場fnで取り扱っている生コンクリートの種類を示す取扱種類情報D32と、出荷工場fnが所有する車両に関する情報である車両情報D33と、出荷工場fnの操業時間を示す操業時間情報D34と、が含まれている。
【0034】
車両情報D33には、
図4(b)に示すように、車両ごとに固有に付与される識別情報D330と、該識別情報D330に関連付けられている積載量情報D331と、該識別情報D330に関連付けられている予約情報D332と、が含まれている。
【0035】
予約情報D332は、例えば、操業時間に対応する時間幅のタイムテーブルD333と、該タイムテーブルD333上での予約状況(予約の有無)を示す予約表示情報D334と、を有するように構成されていればよい。
【0036】
発注先選択手段3は、
図2、及び
図4(a)に示すように、複数の工場情報D3の中から業者指定情報D23に該当する業者情報D31を有する工場情報D3を選択する業者別選択手段30と、複数の工場情報D3の中から生コンクリートの納入の可否に基づいて工場情報D3を選択する納入可否別選択手段31と、複数の工場情報D3の中から種類指定情報D24に該当する取扱種類情報D32を有する工場情報D3を選択する種類別選択手段32と、を有する。
【0037】
納入可否別選択手段31は、複数の工場情報D3の中から納入先への生コンクリートの運搬が可能である出荷工場fnの工場情報D3を選択する運搬可否別選択手段310と、複数の出荷工場fnの中から生コンクリートの発注を受付可能な出荷工場fn(納入日時に納入先に向かうことができる車両がある出荷工場fn)の工場情報D3を選択する予約別選択手段311と、を有する。
【0038】
運搬可否別選択手段310は、
図2、及び
図3、
図4(a)に示すように、工場情報D3の所在地情報D30と納入先情報D22とに基づいて出荷工場fnから納入先に向かう往路の移動に要する運搬時間を導出し、該運搬時間と出荷工場fnから納入先に生コンクリートを運搬する際に許容される時間(運搬許容時間)とを比較し、運搬時間が運搬許容時間以下である場合は運搬可能、運搬時間が運搬許容時間をより長い場合は運搬不可と判定するように構成されている。
【0039】
なお、出荷工場fnで製造した生コンクリートは、出荷工場fnから出荷された後、時間が経過するとともに固化が進行するため、運搬許容時間は、生コンクリートを使用できる状態で納入できる範囲内の時間(例えば60分)に設定されていることが好ましい。
【0040】
予約別選択手段311は、納入日時により示される時刻から運搬時間分を遡った時刻から納入日時により示される時刻までの時間帯を示す納入時間帯情報を導出する運搬時間帯導出処理と、操業時間中に生コンクリートを運搬して納入先に届けることができるか否かを判定する操業判定処理と、各車両情報D33を対象として納入時間帯情報が示す時間帯における予約の有無を判定する(すなわち、納入時間帯情報が示す時間帯内に予約が入っていない空き車両であるかを判定する)予約判定処理と、操業判定処理及び予約判定処理の判定結果に基づいて出荷工場fnを選択する選択判定処理と、を実行可能である。
【0041】
操業判定処理は、操業時間中に生コンクリートの出荷から納入までを行えるか否かを判定するための処理であり、具体的には、操業時間情報D34が示す時間帯が納入時間帯情報が示す時間帯全体を含んでいるか否かによって判定を行うように構成されている。
【0042】
なお、操業判定処理では、操業時間情報D34が示す時間帯が納入時間帯情報が示す時間帯全体を含んでいる場合に、操業時間中に生コンクリートを運搬して納入先に届けることができると判定され、納入時間帯情報が示す時間帯に操業時間情報D34が示す時間帯外と重なっている時間帯がある場合は、操業時間中に生コンクリートを運搬して納入先に届けることができないと判定される。
【0043】
予約判定処理では、予約情報D332に納入時間帯情報が示す時間帯に予約があることを示す情報がない場合に、予約可能であると判定され(すなわち、空き車両であると判定され)、予約情報D332に納入時間帯情報が示す時間帯に予約があることを示す情報がある場合は、予約不可であると判定される。
【0044】
そして、予約状況別判定処理は、操業判定処理において操業時間中に生コンクリートを運搬して納入先に届けることができると判定され、且つ予約判定処理において予約可能であると判定された場合に、選択判定処理で出荷工場fnを選択するように構成されている。
【0045】
このように、発注先選択手段3は、出荷工場群Fの中から前記空き車両がある出荷工場fnを選択でき、業者別選択手段30と種類別選択手段32によって注文者Cが指定した条件を満たす出荷工場fnを選択することができるように構成されている。
【0046】
なお、本実施形態では、発注先選択手段3が選択した工場情報D3を発注先候補情報と称し、発注先候補情報が示す出荷工場fnを発注先候補と称して以下の説明を行う。
【0047】
需給確認手段4は、発注先候補の生コンクリートの出荷可能量の総和と、納入量情報D21で示される生コンクリートの総量とを比較し、出荷可能量の総和が納入量情報D21で示される生コンクリートの総量以上であれば生コンクリートを納入可能と判定し、出荷可能量の総和が納入量情報D21で示される生コンクリートの総量よりも少なければ生コンクリートを納入不可と判定するように構成されている。
【0048】
なお、発注先候補における生コンクリートの出荷可能量は、前記空き車両の積載量と、納入時間帯情報が示す時間帯内において納入先に向かうことができる回数とを乗算することで算出した車両別出荷可能量の総和により求められる。
【0049】
出荷配分手段5は、発注先候補の単位時間当たりにおける生コンクリートの納入量を示す納入効率を導出する納入効率導出手段50と、該納入効率に基づいて発注先候補への生コンクリートの出荷配分を決定する配分決定手段51と、を有する。
【0050】
納入効率導出手段50は、上述の出荷可能量Sと、運搬時間Tとに基づいて、下式(1)により納入効率Rを導出する。
【0052】
出荷配分手段5は、納入効率Rに基づいて生コンクリートの出荷配分を決定するように構成されている。本実施形態の出荷配分手段5は、発注先候補の全てに対して納入効率Rの高さに応じた出荷配分を決定するように構成されている。
【0053】
より具体的に説明すると、出荷配分手段5は、納入効率Rと各発注先候補情報について導出された納入効率Rの総和R
Tとに基づいて、下式(2)により発注先候補情報への生コンクリートの配分割合である配分率D
nを導出する。
【0055】
発注先候補への配分量V
dは、納入量V
nと、配分率D
nとに基づいて下式(3)により導出される。
【0057】
発注手段6は、発注先候補に対して配分量に相当する分量の生コンクリートを、納入日時情報D20が示す日時に納入先情報D22が示す納入先に運搬するよう発注を行うように構成されている。
【0058】
補填手段7は、需給確認手段4と同様に、発注先候補の生コンクリートの出荷可能量の総和と、納入量情報D21で示される生コンクリートの総量とを比較し、出荷可能量の総和が納入量情報D21で示される生コンクリートの総量以上であれば生コンクリートを納入可能と判定し、出荷可能量の総和が納入量情報D21で示される生コンクリートの総量よりも少なければ生コンクリートを納入不可と判定するように構成されている。
【0059】
なお、補填手段7は、納入不可と判定した場合、不足している分量の生コンクリートを補うための処理、例えば、発注先候補以外の出荷工場fnに生コンクリートの出荷を要請や、車両の手配等をするように構成されていてもよい。
【0060】
本実施形態に係る受発注システム1の構成は、以上の通りである。続いて、受発注システム1による生コンクリートの受発注方法を説明する。
【0061】
受発注システム1は、
図5、及び
図2、
図3に示すように、注文入力手段20によって注文画面を表示し(S1)、注文入力手段20を介して入力された注文情報D2に基づいて出荷工場群Fの中から発注先候補を選択し(S2)、発注先候補で注文されている総量の生コンクリートを手配できる状態である場合は(S3でYes)、発注先候補を対象として注文情報D2により注文されている総量の生コンクリートの出荷を配分し(S4)、発注先候補に発注をかけるタイミングに至った時点で(S5でYes)、発注先候補に生コンクリートを発注する(S6)。
【0062】
発注先候補を選択する処理(S2)についてより具体的に説明する。発注先候補を選択する処理(S2)では、
図6、及び
図2、
図3、
図4(a)に示すように、業者指定情報D23が入力されている場合(S20でYes)、業者別選択手段30が複数の工場情報D3のうち、業者情報D31が業者指定情報D23と一致する工場情報D3のみが選択された状態にする(S21)。これにより、業者指定情報D23に該当する出荷工場fnのみが選出される。
【0063】
なお、業者指定情報D23が入力されていない場合は(S20でNo)、業者別選択手段30による処理を実行せず、全ての工場情報D3が選択された状態にし(S22)、その後、運搬可否別選択手段310による処理に移るようにすればよい。
【0064】
続いて、選択されている複数の工場情報D3の中から、納入先に生コンクリートを納入できる出荷工場fnの工場情報D3を運搬可否別選択手段310が選択し(S23)、さらに、生コンクリートの出荷を予約できる出荷工場fnの工場情報D3を予約別選択手段311が選択する(S24)。なお、予約別選択手段311による、生コンクリートの出荷を予約できる出荷工場fnであるか否かの判定は、上述のように、出荷工場fnの操業時間と納入日時、及び空き車両の有無に基づいて行われる。
【0065】
さらに、種類別選択手段32によって、取扱種類情報D32が種類指定情報D24と一致する工場情報D3が選択される(S25)。
【0066】
このようにして、発注先候補を選択する処理を経て選択されている工場情報D3が発注先候補情報として取り扱われる。
【0067】
図5、及び
図2に示すように、発注先候補を選択した後に、発注先候補で注文されている総量の生コンクリートを手配できない状態である場合(S3でNo)、すなわち、需給確認手段4が納入不可と判定した場合は、発注先候補に生コンクリートの出荷を配分する処理に移らないように構成されているが、この場合、例えば、注文者Cに注文情報D2の入力の変更が必要であることを伝える表示を出力するようにしてもよい。
【0068】
発注候補に生コンクリートの出荷を配分する処理(S4)では、
図7、及び
図2に示すように、納入効率導出手段50が各発注先候補の納入効率を導出し(S40)、配分決定手段51が各発注候補情報の納入効率に基づいて発注先候補への生コンクリートの出荷配分を決定する(S41)。
【0069】
例えば、下表1に示す例では、A工場の空き車両の数が6台であり、各車両の積載量が4m
3である。また、運搬時間が1時間であるため、A工場の納入効率は24となる。また、B工場、C工場、D工場の納入効率は、それぞれ、16、32、25となる。
【0071】
そして、A工場、B工場、C工場、D工場、のそれぞれの配分率は、27%、18%、35%、20%となる。さらに、納入先に500m
3の総量の生コンクリートを配分する場合は、A工場、B工場、C工場、D工場のそれぞれの配分量が133.06m
3、88.71m
3、177.42m
3、100.81m
3となる。
【0072】
図5に示すように、発注候補への出荷配分が決定された後は、発注先候補に発注をかけるタイミングに至るまでの間(S5でNoである間)、発注先候補で注文されている総量の生コンクリートを手配できる状態であるか否かを監視する(S7)。
【0073】
発注先候補で注文されている総量の生コンクリートを手配できない状態(S7でNo)、すなわち、出荷可能量の総和が納入量情報D21で示される生コンクリートの総量よりも少なくなった場合は、不足している分量の生コンクリートを補うための処理(S8)、例えば、発注先候補以外の出荷工場fnに生コンクリートの出荷を要請や、車両の手配等をする。
【0074】
以上のように、本実施形態に係る受発注システム1によれば、発注された生コンクリートの納入に対応できる出荷工場fnを出荷工場群Fの中から複数選択したうえで、この複数の出荷工場fnを対象として注文された総量の生コンクリートの出荷を配分できる。
【0075】
このように、受発注システム1は、出荷工場群Fを利用して発注された総量の生コンクリートを手配することができるため、注文に則して発注者に生コンクリートを滞りなく出荷できる。
【0076】
従って、受発注システム1は、複数の出荷工場fnを利用して生コンクリートを手配できるため、生コンクリートを効率よく納入できるという優れた効果を奏し得る。
【0077】
また、受発注システム1によれば、注文者Cは発注した生コンクリートを出荷可能な出荷工場fnが見つかるまで複数の出荷工場fnに電話をする必要もなくなり、出荷工場fn側も同様に常に電話で注文を受ける必要がなくなる。このように、注文者Cならびに出荷工場fnにおける受発注の稼働を大きく削減するため、働き方改革や人手不足に大きく寄与することができる。
【0078】
また、本実施形態の受発注システム1では、複数の発注先候補の全てに対して生コンクリートの出荷が配分される(割り当てられる)ため、発注先の偏りや出荷工場fnの稼働率の偏りが適正化され、生コンクリートの注文から納入までの一連の流れが円滑になる。
【0079】
また、出荷配分手段5が、発注先選択手段3により選択された複数の出荷工場fnのそれぞれについて、単位時間当たりにおける生コンクリートの納入量を示す納入効率を導出し、該納入効率に基づいて出荷配分を決定するように構成されているため、出荷工場fnに対して出荷能力を超えた分量の生コンクリートが発注されることを防止でき、これにより、発注先の変更が必要となる手間が生じないようにすることができる。
【0080】
また、納入効率は、出荷工場fnが所有し且つ納入先に生コンクリートを納入可能な車両の生コンクリートの積載量の総和である出荷工場fnの生コンクリートの出荷可能量Sと、出荷工場fnから納入先までの生コンクリートの運搬時間Tとに基づいて、上式(1)により導出されるため、納入効率には生コンクリートの納入に利用できる車両の数が反映されており、これにより、車両を手配できない出荷工場fnに生コンクリートの発注がかかることを防ぐことができる。
【0081】
そして、発注先選択手段3からは出荷工場fnが原料を調達する原料製造業者を業者指定情報D23により指定可能であり、出荷工場群Fから業者指定情報D23に該当する出荷工場fnが選択されるように構成されているため、生コンクリートの注文時において原料製造業者が注文者Cから指定されている場合であっても、出荷配分を行う対象とする出荷工場fnを注文者Cの指定を満たす出荷工場fnに絞ったうえで出荷配分できるため、生コンクリートの手配を効率よく行うことができる。
【0082】
なお、本発明の生コンクリートの受発注システムは、上記一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を行うことは勿論である。
【0083】
上記実施形態において、特に言及しなかったが受発注システム1は、全ての手段が管理者の端末に導入されていてもよいし、一部の手段(例えば、受注手段2等)がユーザーである注文者Cの端末に導入されていてもよい。
【0084】
上記実施形態において、注文入力手段20は、注文者Cが納入日時情報D20、納入量情報D21、納入先情報D22、業者指定情報D23、種類指定情報D24を入力するように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、注文入力手段20は、業者指定情報D23や種類指定情報D24等の初期値を設定し、注文者Cが注文情報D2を入力する際に自動的に入力された状態にするようにしてもよい。
【0085】
上記実施形態において、注文情報D2には、納入日時情報D20、納入量情報D21、納入先情報D22、業者指定情報D23、種類指定情報D24が含まれていたが、この他にも注文者Cが指定できる条件を示す情報が付加されていてもよい。
【0086】
このように、注文情報D2は、生コンクリートを注文する際に必須となる必須情報(上記実施形態では、納入日時情報D20、納入量情報D21、納入先情報D22、種類指定情報D24)と、注文者Cの任意とすることができる任意情報(上記実施形態では、業者指定情報D23)とで構成されていてもよい。なお、注文情報D2は必須情報のみで構成してもよいが、必須情報と任意情報とで構成している方が注文者Cの利便性が高まる。
【0087】
上記実施形態では、注文者Cの注文情報D2の入力が完了した後に発注先候補を選択する処理を実行するように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、注文者Cが注文情報D2を入力、変更する度に、注文情報D2の入力状況に応じて発注先候補を選択する処理を実行するように構成されていてもよい。
【0088】
上記実施形態において、配分決定手段51は、納入効率に基づいて複数の発注先候補の全てに生コンクリートの出荷を配分するように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、配分決定手段51は、納入効率が高い発注先候補から順番に出荷可能量の上限まで生コンクリートを出荷するよう配分するように構成されていてもよい。このようにすれば、1つの発注先候補で生コンクリートを納入しきれない場合であっても、別の発注先候補に生コンクリートの手配が行われるため、注文者に注文内容を変更する手間を与えないようにすることができる。
【0089】
上記実施形態において特に言及しなかったが、受発注システム1は、複数の注文者Cからの注文を受けることも可能であり、また、各注文者Cからの注文に則して出荷工場fnに生コンクリートを発注することも可能である。