【実施例】
【0039】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、使用した装置は、以下のとおりである。
1H−NMR:JEOL ECA-500 and ECA-600
13C−NMR:JEOL ECA-500 and ECA-600
IR:JASCO FT/IR-410
【0040】
[実施例1]芳香族環状化合物Aの合成
(1)化合物Aの合成
【化14】
【0041】
30mLナスフラスコに、蒸留水11.50mL及びナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物1.035g(3.860mmol)を加え、その後エタノールアミン0.90mL(14.92mmol)を滴下し、80℃で24時間攪拌した。生成物を桐山ロートを用いて濾別し、水、アセトンで洗浄し、ジオール化合物Aを黄色固体として得た(粗収量0.609g、収率44%)。これを減圧下で3日間乾燥させた(融点>300℃)。
1H-NMR (500MHz, DMSO) δ 8.60 (s, 4H), 4.86 (t, J=5.4Hz, 2H), 4.16 (q, J=6.4Hz, 2H), 3.66 (q, J=5.9Hz, 4H).
IR (KBr) 2960, 1694, 1645, 1578, 1455, 1334, 1247, 1180, 1060, 856, 770 cm
-1.
【0042】
30mLナスフラスコに、ジオール化合物A0.198g(0.559mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)安息香酸0.330g(1.339mmol)、4−ジメチルアミノピリジン0.158g(1.338mmol)及びDMF13.3mLを加え、0℃で攪拌した。そこへ、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩0.257g(1.336mmol)を加え、室温で9時間攪拌した。生成物を桐山ロートを用いて濾別し、水、酢酸エチルで洗浄し、淡黄色固体0.4064g(粗収率89%)を得た。これを、良溶媒としてクロロホルム、貧溶媒としてヘキサンを用いて沈殿精製を行い、ヘキサン不溶部として化合物Aを得た(白色固体、収量0.1974g、収率43%)(融点259.4−261.5℃)。
1H-NMR (500MHz, CDCl
3) δ 8.77 (s, 4H), 7.91 (d, J=8.6Hz, 4H), 7.80 (d, J=8.6Hz, 4H), 4.68 (s, 8H), 1.34 (quint, J=7.5Hz, 4H).
13C-NMR (150MHz, CDCl
3) δ 166.5, 162.8, 134.6, 131.8, 131.1, 128.6, 126.8, 126.5, 84.1, 62.2, 39.5, 24.9.
IR (KBr) 2979, 1709, 1671, 1582, 1509, 1454, 1399, 1361, 1268, 1145, 1111, 1020, 858, 770, 710 cm
-1.
【0043】
(2)芳香族環状化合物Aの合成
【化15】
(式中、EtHexは、2−エチルヘキシル基である。)
【0044】
化合物Bは、J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem., 2015, 53, 543-551に記載された方法に従って合成した。
三方コックを備えた20mLナスフラスコに、化合物B33.0mg(0.067mmol)、化合物A41.2mg(0.051mmol)、フッ化セシウム32.0mg(0.21mmol)、18−クラウン−6 103mg(0.39mmol)及び(tBu
3P)Pd G2 プレ触媒1.27mg(0.0025mmol)を加え、アルゴンで置換した。窒素気流下で乾燥THF6.0mL及び蒸留水0.2mLを加え、脱気してからアルゴンで置換し、室温で3日間攪拌した。反応溶液をろ過し、ろ液に1mol/L塩酸を加え、クロロホルムで抽出し、飽和塩化カリウム水溶液で3回洗浄して無水硫酸マグネシウムを加えた。ろ過後、減圧下で溶媒を留去し、黒茶色固体58.9mg(粗収率132%)を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(充填剤:SiO
2、展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=3/2)を行って精製し、芳香族環状化合物Aを茶橙色固体として得た(収量13.6mg、収率30%)。
1H-NMR (600MHz, CDCl
3) δ= 8.42 (s, 4H), 7.83 (d, J=8.6Hz, 4H), 7.46 (d, J=8.0Hz, 4H), 6.83 (s, 2H), 4.54 (m, 8H), 3.94 (m, 2H), 3.83 (m, 2H), 2.07 (m, 1H), 1.71 (m, 16H), 0.90 (m, 4H).
【0045】
[実施例2]芳香族環状化合物Bの合成
(1)化合物Cの合成
【化16】
【0046】
50mLナスフラスコに、蒸留水23.0mL及びナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物2.0g(7.44mmol)を加えた後、ペンタノールアミン3.08mg(29.8mmol)を加え、80℃で1日間攪拌した。生成物を桐山ロートを用いて濾別し、水、アセトンで洗浄し、ジオール化合物Bを淡赤色固体として得た(収量3.26g、収率50%)。
【0047】
100mLナスフラスコに、ジオール化合物B1.00g(2.28mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)安息香酸1.36g(5.47mmol)、4−ジメチルアミノピリジン0.716g(5.86mmol)及びDMF65.0mLを加え、0℃で攪拌した。そこへ、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩1.03g(5.80mmol)を加え、室温で10時間攪拌した。生成物を桐山ロートを用いて濾別し、水、酢酸エチルで洗浄した後、これを良溶媒としてクロロホルム、貧溶媒としてヘキサンを用いて沈殿精製を行い、ヘキサン不溶部として化合物Cを得た(白色固体、収量1.17g、収率57%)。
1H-NMR (500MHz, CDCl
3) δ 8.73 (s, 4H), 7.99 (d, J=8.2Hz, 4H), 7.85 (d, J=7.6Hz, 4H), 4.36 (t, J=6.5Hz, 4H), 4.25 (t, J=7.6Hz, 4H), 1.90 (m, 8H), 1.62 (m, 4H), 1.36 (s, 24H).
13C-NMR (150MHz, CDCl
3) δ 166.5, 162.7, 134.5, 132.4, 130.9, 128.5, 126.6, 126.5, 84.1, 64.8, 40.5, 28.3, 27.6, 24.8, 23.5.
IR (KBr) 3449, 2980, 1704, 1667, 1581, 1509, 1455, 1399, 1256, 1171, 1143, 1117, 1019, 964, 860, 771, 711, 652 cm
-1.
【0048】
(2)芳香族環状化合物Bの合成
【化17】
(式中、Hexは、n−ヘキシル基である。)
【0049】
化合物Dは、J. Mater. Chem., 2002, 12, 2245-2249及びMacromol. Rapid Commun. 2016, 37, 79-85に記載された方法に従って合成した。
三方コックを備えた50mLナスフラスコに、化合物D113.0mg(0.27mmol)、化合物C180mg(0.20mmol)、フッ化セシウム127.0mg(0.84mmol)、18−クラウン−6 429mg(1.62mmol)及び(tBu
3P)Pd G2プレ触媒5.23mg(0.010mmol)を加えて、アルゴンで置換した。窒素気流下で乾燥THF24.0mL及び蒸留水0.8mLを加え、脱気してからアルゴンで置換し、室温で3日間攪拌した。反応溶液をろ過し、ろ液に1mol/L塩酸を加え、クロロホルムで抽出、飽和塩化カリウム水溶液で3回洗浄して無水硫酸マグネシウムを加えた。ろ過後、減圧下で溶媒を留去して黒茶色固体322mg(粗収率180%)を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(充填剤:SiO
2、展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=3/2)を行って精製し、芳香族環状化合物Bを茶橙色固体として(収量13.6mg、収率30%)を得た。
1H-NMR (600MHz, CDCl
3) δ= 8.57 (s, 4H), 8.13 (d, J=8.2Hz, 4H), 7.63 (d, J=8.2Hz, 4H), 6.92 (s, 2H), 4.52 (m, 4H), 4.07 (m, 4H), 3.88 (t, J=7.2Hz, 2H), 1.91 (m, 4H), 1.85 (m, 4H), 1.75 (m, 4H), 1.71 (quint, J=7.0Hz, 4H), 1.40 (quint, J=7.0Hz, 4H), 1.27 (m, 8H), 0.86 (t, J=6.9Hz, 6H).
【0050】
[実施例3]芳香族環状化合物Cの合成
(1)化合物Eの合成
【化18】
【0051】
100mLナスフラスコに、オクタン−1,8−ジオール0.532g(3.64mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)安息香酸2.128g(8.58mmol)、4−ジメチルアミノピリジン1.044g(8.55mmol)及び乾燥DMF28.0mLを加え0℃で攪拌し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩1.630g(8.50mmol)を加えて、室温に戻し、5時間攪拌した。水で反応を止め、塩化メチレンで抽出し1mol/L塩酸で1回、飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥後ろ過し、減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物をメタノールで再結晶を行い、白色粉末状結晶1.368g(62%)を得た(融点122.8℃−129℃)。
1H-NMR (CDCl
3, 500MHz) δ 8.01 (d, J=8.0Hz, 4H), 7.86 (d, J=8.6Hz, 4H), 4.32 (t, J=6.6Hz, 4H), 1.40 (m, 36H).
IR (KBr) 1509, 1362, 1281, 1020 cm
-1.
【0052】
(2)芳香族環状化合物Cの合成
【化19】
【0053】
10mLナスフラスコに、化合物D24.0mg(0.055mmol)、化合物E30.4mg(0.050mmol)、フッ化セシウム31.9mg(0.21mmol)、18−クラウン−6 110.4mg(0.42mmol)、(tBu
3P)Pd G2プレ触媒1.6mg(0.0031mmol)を加えて、アルゴンで置換した。窒素気流下で乾燥THF6.0mL及び蒸留水0.2mLを加え、脱気してからアルゴンで置換し、室温で3日間攪拌した。1mol/L塩酸を加え、クロロホルムで抽出し、飽和塩化カリウム水溶液で3回洗浄して無水硫酸マグネシウムを加えた。ろ過し、減圧下で溶媒を留去し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(充填剤:SiO
2、展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=17/1)を行い、芳香族環状化合物Cを暗黄色粘性液体として得た(収量5.0mg、収率8.5%)。化合物Cの紫外可視吸収スペクトルを測定した結果、390nmまで、吸収を確認した。
1H-NMR (500MHz, CDCl
3) δ 7.80 (d, J=8.6Hz, 4H), 7.64 (d, J=8.9Hz, 4H), 6.85 (s, 2H), 4.55-4.52 (m, 2H), 4.14-4.10 (m, 2H), 4.06-4.01 (m, 2H), 3.95-3.91 (m, 2H), 1.79 (quint, J=7.1Hz, 4H), 1.48-1.40 (m, 8H), 0.91-0.81 (m, 22H).
【0054】
[実施例4]
化合物Cを10mLの試料瓶に入れ、ハンディUVランプ(アズワン(株)製、型式SLUV-8)を用いて波長254nmの紫外線を照射した。その結果、化合物Cから緑色の蛍光が観察された。