【実施例1】
【0015】
図1は、本発明に係る表示装置100の構成を示すブロック図である。表示装置100は、アクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置である。表示装置100は、表示パネル11、タイミングコントローラ12、ゲートドライバ13、及びソースドライバ14−1〜14−pを含む。
【0016】
表示パネル11は、複数の画素部P11〜Pnm及び画素スイッチM11〜Mnm(nは2以上の整数、mは2以上の整数且つ3の倍数)がn行×m列のマトリクス状に配置された半導体基板から構成されている。表示パネル11は、水平走査ラインであるn本のゲート線GL1〜GLnと、これに交差して直交するように配されたm本のデータ線DL1〜DLmと、を有する。画素部P11〜Pnm及び画素スイッチM11〜Mnmは、ゲート線GL1〜GLn及びデータ線DL1〜DLmの交差部に設けられ、マトリクス状に配置されている。
【0017】
画素スイッチM11〜Mnmは、ゲートドライバ13から供給されるゲート信号Vg1〜Vgnに応じてオン又はオフに制御される。画素部P11〜Pnmは、ソースドライバ14−1〜14−pから映像データに対応した階調電圧信号Vd1〜Vdmの供給を受ける。画素スイッチM11〜Mnmがそれぞれオンのときに、階調電圧信号Vd1〜Vdmが画素部P11〜Pnmの各画素電極に印加され、各画素電極が充電される。画素部P11〜Pnmの各画素電極における階調電圧信号Vd1〜Vdmに応じて画素部P11〜Pnmの輝度が制御され、表示が行われる。
【0018】
換言すると、ゲートドライバ13の動作により、ゲート線の伸長方向に沿って(すなわち、横一列に)配置されたm個の画素部が、階調電圧信号Vd1〜Vdmの供給対象として選択される。ソースドライバ14−1〜14−pは、選択された横一列の画素部に対して階調電圧信号Vd1〜Vdmを印加し、電圧に応じた色を表示させる。階調電圧信号Vd1〜Vdmの供給対象として選択される横一列分の画素部を選択的に切り替えながら、データ線の伸長方向(すなわち、縦方向)に繰り返すことにより、1フレーム分の画面表示が行われる。
【0019】
本実施例では、ゲートドライバ13は、ゲートドライバ13に最も近接した位置から、ゲートドライバ13から離れる方向に向かってゲート線GL1〜GLnの各々の走査(すなわち、ゲート信号Vg1〜Vgnの供給)を行う。また、ゲートドライバ13は、ゲート線GL1からGLnに向かう順序(すなわち、ソースドライバ14−1〜14−pに近い位置のゲート線から遠いゲート線へと向かう順序)で、ゲート信号Vg1〜Vgnの供給対象となるゲート線を順次選択する。これにより、ゲート線の伸長方向ではゲートドライバ13に近い位置から遠い位置に向かう順序、データ線の伸長方向ではソースドライバ14−1〜14−pに近い位置から遠い位置に向かう順序で、画素部P11〜Pnmの各画素電極に階調電圧信号Vdが順次印加され、1フレーム分の画面表示が行われる。
【0020】
なお、画素部P11〜Pnmは、ゲート線の伸長方向に沿って配置されたm個のうちの隣接する3個の画素部(すなわち、3chの画素部)毎に、R(赤色),G(緑色),B(青色)の3つの画素に対応している。すなわち、j=(1/3)mとすると、1ch、4ch、・・・(3j−2)chは「R」、2ch、5ch、・・・(3j−1)chは「G」、3ch、6ch、・・・3jchは「B」にそれぞれ対応している。例えば、1ch、2ch、3chのR、G、Bの組み合わせにより、1つの色が表現される。
【0021】
表示装置100が液晶表示装置である場合、画素部P11〜Pnmの各々は、画素スイッチを介してデータ線と接続される透明電極と、半導体基板と対向して設けられ且つ面全体に1つの透明な電極が形成された対向基板との間に封入された液晶と、を含む。表示装置内部のバックライトに対して、画素部P11〜Pnmに供給された階調電圧信号Vd1〜Vdmと対向基板電圧との電圧差に応じて液晶の透過率が変化することにより、表示が行われる。
【0022】
タイミングコントローラ12は、映像データVDに基づいて、各画素の輝度レベルを例えば8ビットの256段階の輝度階調で表す画素データ片PDの系列からなるシリアル化された映像データ信号VS1〜VSpを生成する。映像データ信号VS1〜VSpは、ソースドライバ14−1〜14−pの各々がソース出力を担うデータ線に対応した数の画素データ片PDの系列から構成されている。
【0023】
また、タイミングコントローラ12は、同期信号SSに基づいて、フレーム同期信号FSを生成し、ソースドライバ14−1〜14−pに供給する。
【0024】
ゲートドライバ13は、ソースドライバ14−1からゲート制御信号GSの供給を受け、ゲート制御信号GSに含まれるクロックタイミングに基づいて、ゲート信号Vg1〜Vgnを順次ゲート線GL1〜GLnに供給する。
【0025】
ソースドライバ14−1〜14−pは、データ線DL1〜DLmを表示パネル11の解像度に応じて分割した本数のデータ線毎に設けられたドライバIC(Integrated Circuit)として形成されている。ソースドライバ14−1〜14−pは、ゲート線の伸長方向に沿って配置され、走査方向を基準として第1段〜第p段(以下、最終段とも称する)のソースドライバからなるソースドライバ群を構成している。
【0026】
ソースドライバ14−1〜14−pは、各々が駆動するデータ線の本数に対応するチャネル(以下、chと称する)のソース出力を有する。各々のソース出力は、3ch毎にR(赤色),G(緑色),B(青色)の3つの画素に対応している。
【0027】
ソースドライバ14−1〜14−pは、タイミングコントローラ12から供給された映像データ信号VS1〜VSpに含まれる画素データ片PDを1水平走査ライン分ずつ(すなわち、1水平走査ライン分の画素データ片PDの各々のソースドライバに対応するch数分ずつ)取込み、取り込んだ画素データ片PDに示される輝度階調に対応した階調電圧信号Vd1〜Vdmを生成する。そして、ソースドライバ14−1〜14−pは、生成した階調電圧信号Vd1〜Vdmをソース出力として、表示パネル11のデータ線DL1〜DLmに印加する。
【0028】
また、ソースドライバ14−1〜14−pのうち、ゲートドライバ13に最も近い位置に配されたソースドライバ(例えば、本実施例では左端のソースドライバ)であるソースドライバ14−1は、フレーム同期信号FSに基づいてゲート制御信号GSを生成し、ゲートドライバ13に供給する。
【0029】
また、ソースドライバ14−1〜14−pの各々は、タイミングコントローラ12との間の映像データ信号VS1〜VSpの通信及びフレーム同期信号FSの通信における異常を検知する機能を有する。また、ソースドライバ14−1〜14−pの各々は、通信異常が検知されたか否かを示す異常状態共有信号ASを他のソースドライバと共有する。
【0030】
ソースドライバ14−1〜14−pの各々は、タイミングコントローラ12とソースドライバ14−1〜14−pのいずれかとの間の通信において異常が検知された場合、異常状態共有信号ASの信号レベルを変化させる。ソースドライバ14−1〜14−pの各々は、自身又は他のソースドライバの動作による異常状態共有信号ASの信号レベルの変化に応じて、タイミングコントローラ12から供給された映像データ信号VS1〜VSpとは異なる所定の階調データに基づいて、階調電圧信号Vd1〜Vdmの出力を行う。以下の説明では、この動作モードを「自走モード」と称する。また、通信異常が検知されていない通常の状態、すなわち通信異常が検知されていないことを異常状態共有信号ASが示している場合において、タイミングコントローラ12からの映像データ信号VS1〜VSp及びフレーム同期信号FSの供給に基づいて階調電圧信号Vd1〜Vdmを出力する通常の動作モードを「通常モード」と称する。
【0031】
図2は、本実施例のソースドライバ14−1の構成を示すブロック図である。ソースドライバ14−1は、受信部(PLL)21、オシレータ(OSC)22、セレクタ23、セレクタ24、データ処理部25、ソース制御部26、OSD設定部27、ラインカウンタ28、ピクセルカウンタ29、データラッチ群31、DAコンバータ32及びゲート制御部33を含む。
【0032】
受信部21は、タイミングコントローラ12から供給された映像データ信号VS1及びフレーム同期信号FSを受信する。受信部21は、PLL(Phase Locked Loop)回路を含み、映像データ信号VS1及びフレーム同期信号FSに基づいて、クロック信号CLKを生成する。また、受信部21は、クロック信号CLKに同期したシリアルのデータ信号DSを生成し、データ処理部25に供給する。
【0033】
オシレータ22(
図2では、OSCとして示す)は、予め設定された所定の周波数(固定周波数)で発振する発振回路である。オシレータ22は、発振により内蔵発振クロック信号SCKを生成して出力する。なお、オシレータ22の発振周波数は、ソースドライバ14−1〜14−pの各々で共通の周波数となるように予め設定されている。
【0034】
セレクタ23は、受信部21から出力されたクロック信号CLK及びオシレータ22から出力された内蔵発振クロック信号SCKの入力を受け、いずれの信号を出力するかを選択的に切り替えるセレクタである。セレクタ23は、異常状態共有信号ASの信号レベルに応じて出力の切り替えを行う。具体的には、セレクタ23は、異常状態共有信号ASの信号レベルが論理レベル1(Hレベルとも称する)の場合にはクロック信号CLKを出力し、異常状態共有信号ASの信号レベルが論理レベル0(Lレベルとも称する)の場合には内蔵発振クロック信号SCKを出力する。セレクタ23から出力されたクロック信号CLK又は内蔵発振クロック信号SCKは、データ処理部25に供給される。
【0035】
セレクタ24は、自走制御パラメータSP及び通常制御パラメータNPのいずれか一方を選択的に出力するセレクタである。セレクタ24は、異常状態共有信号ASの信号レベルに応じて出力の切り替えを行う。
【0036】
自走制御パラメータSP及び通常制御パラメータNPは、ソースドライバ14−1の内部に設けられた半導体メモリ等の記憶装置(図示せず)に格納されている。自走制御パラメータSP及び通常制御パラメータNPは、ゲートドライバ13によるゲート信号Vg1〜Vgnの出力を制御するための情報(例えば、ゲートクロック信号のクロックタイミング等)を含む。
【0037】
通常制御パラメータNPは、通常モードにおけるゲートドライバ13の制御に用いるパラメータである。一方、自走制御パラメータSPは、自走モードにおけるゲートドライバ13の制御に用いるパラメータである。
【0038】
セレクタ24は、異常状態共有信号ASの信号レベルがHレベルの場合、通常制御パラメータNPを出力する。出力された通常制御パラメータNPは、データ処理部25に供給される。また、セレクタ24は、異常状態共有信号ASの信号レベルがLレベルの場合、自走制御パラメータSPを出力する。出力された自走制御パラメータSPは、データ処理部25に供給される。
【0039】
データ処理部25は、データ信号DSに対してシリアルパラレル変換を行い、パラレルの画素データ片PDを生成してソース制御部26に供給する。
【0040】
また、データ処理部25は、水平同期信号LSを生成し、ソース制御部26に供給する。例えば、データ処理部25は、異常状態共有信号ASがHレベル(すなわち、通常モード)の場合、受信部21から供給されたデータ信号DSに基づいて水平同期信号LSを生成する。一方、異常状態共有信号ASがLレベル(すなわち、自走モード)の場合、データ処理部25は、セレクタ23を介して供給された内蔵発振クロック信号SCKに基づいて、水平同期信号LSを生成する。
【0041】
また、データ処理部25は、セレクタ23を介して供給されたクロック信号(すなわち、クロック信号CLK又は内蔵発振クロック信号SCK)及びセレクタ24を介して供給された自走制御パラメータSP又は通常制御パラメータNPに基づいて、ゲートドライバ13の制御に用いるタイミング制御信号TSを生成する。
【0042】
また、データ処理部25は、タイミングコントローラ12とソースドライバ14−1との通信に異常があるか否かを検知する異常状態検知回路(図示せず)を有する。異常状態検知回路は、例えばCRC(Cyclic Redundancy Check)符号を用いてデータ伝送の誤りを検出するCRC計算回路を含む。また、異常状態検知回路は、タイミングコントローラ12とソースドライバ14−1とを接続する信号ラインの断線を検知する断線検知回路を含む。断線検知回路は、例えばフレーム間の画像データの遷移の有無に基づいて、信号ラインの断線が生じていることを検知する。すなわち、データ処理部25に設けられた異常状態検知回路は、データ伝送の誤り及び信号ラインの断線を通信異常として検知する。
【0043】
データ処理部25は、通信異常が検知されたか否かを示す異常状態共有信号ASを出力する。異常状態共有信号ASは、例えばソースドライバ間で共通に接続されたオープンドレイン端子の出力であり、いずれかのソースドライバで通信異常が検知された場合にはLレベル、いずれのソースドライバにおいても通信異常が検知されていない場合にはHレベルの信号レベルを有する。
【0044】
ソース制御部26は、ゲート線GL1〜GLn及びデータ線DL1〜DLm等に基づいて定められたデータマッピングに基づいて、データラッチ群31の画素データ片PDの取り込み動作を制御する。
【0045】
具体的には、異常状態共有信号ASがHレベル(すなわち、通常モード)の場合、ソース制御部26は、データ処理部25から供給されたパラレルの画素データ片PDをデータラッチ群31の第1のラッチに供給し、データマッピングの通りに画素データ片PDを順次格納させる。また、ソース制御部26は、データ信号DSに基づいて生成された水平同期信号LSをデータラッチ群31の第2のラッチに供給し、水平同期信号LSを取り込みクロックとして画素データ片PDを格納させる。
【0046】
一方、異常状態共有信号ASがLレベル(すなわち、自走モード)の場合、ソース制御部26は、OSD設定部27の設定データに基づき、表示パネル11に異常通知画面を表示させるための階調データに対応する画素データ片(以下、階調データ片と称する)をラインカウンタ28及びピクセルカウンタ29のタイミングに応じて、データラッチ群31の第1のラッチに格納させる。また、ソース制御部26は、内蔵発振クロック信号SCKに基づいて生成された水平同期信号LSを取り込みクロックとして、OSD設定部27の設定に基づく階調データ片を第2のラッチに格納させる。
【0047】
OSD設定部27は、表示パネル11にOSD(On Screen Display)画像を表示するための設定データをソース制御部26に供給する。当該設定データは、異常検知時における表示画面である異常通知画面を表示させるための画素部P11〜Pnmの各々の輝度の制御についての情報を含む。異常通知画面では、例えば、表示パネル11の所定位置に設けられた複数の画素部が「×」形状となるように選択され、当該複数の画素部には白階調、それ以外の画素部には黒階調の階調電圧信号Vdが書き込まれる。
【0048】
ラインカウンタ28は、ゲートドライバ13によるゲート線Gl1〜GLnの選択順序(すなわち、ゲート信号Vg1〜Vgnの供給対象としての選択順序)に対応した順序で、ゲート線GL1〜GLnを順次カウントするカウンタである。異常検知時には、ラインカウンタ28のカウントに同期して、データラッチ群31の第1のラッチへの1ライン毎の階調データ片の格納が行われる。
【0049】
ピクセルカウンタ29は、ゲートドライバ13によるゲート信号Vg1〜Vgnの走査方向に沿って、1つのゲート線の伸長方向に沿った1行分の画素部を順次カウントするカウンタである。異常検知時には、ピクセルカウンタ29のカウントに同期して、データラッチ群31の第2のラッチへの1画素毎の階調データ片の格納が行われる。
【0050】
データラッチ群31は、通常モードにおける画素データ片PDの取り込み及び自走モードにおける階調データ片の取り込みを行う複数のラッチ回路から構成されている。データラッチ群31は、第1のラッチ及び第2のラッチ(図示せず)を含む。第1のラッチは、ソース制御部26の制御に応じて、画素データ片PD又は階調データ片を1行分毎に取り込む。第2のラッチは、第1のラッチに格納された画素データ片PD又は階調データ片を、ソース制御部26の制御に応じて画素毎に取り込む。第2のラッチは、水平同期信号LSの立ち上がりで第1のラッチから画素データ片PD又は階調データ片を取り込む。
【0051】
DAコンバータ32は、データラッチ群31から出力された画素データ片PD又は階調データ片に対応する階調電圧を選択してデジタルアナログ変換し、アナログの階調電圧信号Vdを生成する。生成されたアナログの階調電圧信号Vdは、出力アンプ(図示せず)で増幅され、出力される。
【0052】
ゲート制御部33は、データ処理部25から供給されたタイミング信号TSに基づいてゲート制御信号GSを生成し、ゲートドライバ13の制御を行う。
【0053】
以上のように、ソースドライバ14−1は、異常検知時(すなわち、自走モード)に対応して設けられたオシレータ22、OSD設定部27、ラインカウンタ28及びピクセルカウンタ29を有する。なお、ソースドライバ14−2〜14−pも、ソースドライバ14−1と同様の構成を有する。ただし、ゲートドライバ13の制御を行うのはソースドライバ14−1のみであるため、その他のソースドライバ14−2〜14−pのゲート制御部33から出力されるゲート制御信号GSは、ゲートドライバ13には供給されない。
【0054】
次に、本実施例の表示装置100の動作について、
図3Aのタイムチャートを参照して説明する。
【0055】
[通常モード]
タイミングコントローラ12との通信の異常がいずれのソースドライバにおいても検知されていない場合、ソースドライバ14−1〜14−pの各々には、Hレベルの異常状態共有信号ASが供給される。
【0056】
また、タイミングコントローラ12からソースドライバ14−1〜14−pの各々に対し、フレーム同期信号FSが供給される。ソースドライバ14−1〜14−pの各々の受信回路21は、タイミングコントローラ12から送信された映像データ信号(
図3AではVSとして示す)を受信する。
【0057】
ソースドライバ14−1〜14−pの各々のセレクタ23は、受信部21から出力されたクロック信号CLK(すなわち、受信部21内のPLL回路により生成されたクロック信号)をデータ処理部25に供給する。データ処理部25は、クロック信号CLKに基づいて動作し、画素データ片PD及び水平同期信号LSをソース制御部26に供給する。また、データ処理部25は、クロック信号CLKに基づいて生成したタイミング信号TSをゲート制御部33に供給する。
【0058】
ソース制御部26は、画素データ片PDをデータラッチ群31に格納させる。DAコンバータ32は、画素データ片PDに対応する階調電圧を選択してD/A変換を行い、アナログの階調電圧信号Vdを生成する。生成されたアナログの階調電圧信号Vdは、増幅され、ソース出力として出力される。フレーム同期信号FSに示される1フレーム期間毎に、1フレーム分のソース出力が出力される。
図3Aでは、通常モードにおける1フレーム分のソース出力を通常出力として示している。
【0059】
[自走モード]
ソースドライバ14−1〜14−pのいずれかにおいてタイミングコントローラ12との通信の異常が検知されると、異常を検知したソースドライバのデータ処理部25により、Lレベルの異常状態共有信号ASが出力される。Lレベルの異常状態共有信号ASは、ソースドライバ14−1〜14−pの各々に供給される。
【0060】
ソースドライバ14−1〜14−pの各々のセレクタ23は、Lレベルの異常状態共有信号ASのHレベルからLレベルへの変化に応じて切り替えを行い、オシレータ22から出力された内蔵発振クロック信号SCKをデータ処理部25に供給する。
【0061】
データ処理部25は、内蔵発振クロック信号SCKに基づいて水平同期信号LSを生成し、ソース制御部26に供給する。また、データ処理部25は、内蔵発振クロック信号SCKに基づいてタイミング信号TSを生成し、ゲート制御部33に供給する。
【0062】
ソース制御部26は、ラインカウンタ28及びピクセルカウンタ29のカウントを参照し、OSD設定部27によるOSD設定に基づいて、階調データ片をデータラッチ群31に格納させる。DAコンバータ32は、階調データ片に対応する階調電圧を選択してD/A変換を行い、アナログの階調電圧信号Vdを生成する。生成されたアナログの階調電圧信号Vdは、増幅され、ソース出力として出力される。
【0063】
図3Aでは、自走モードにおける1フレーム分のソース出力を異常検知時出力として示している。異常検知時出力では、破線で示すタイミングにおいて黒階調の階調電圧信号Vdがソース出力として画素部に印加され、実線で示す×印のタイミングにおいて白階調の階調電圧信号Vdを含むソース出力が画素部に印加される。
【0064】
図3Bは、通常モード及び自走モードの各々において表示パネル11に表示される画面の例を示す図である。なお、ここでは表示装置100が車載向けの電子ミラーとして用いられる場合を例として示している。
【0065】
フレームA及びフレームBとして示す通常モードの表示画面では、表示装置100を搭載する車両の後方に位置する車両及び後方の道路等の景色が表示パネル11に表示される。
【0066】
自走モードでは、OSD設定部によるOSD表示の設定に従い、異常通知画面が表示パネル11に表示される。例えば、
図3BにフレームC及びフレームDとして示すように、表示画面内の右下に白色で描かれた「×」印の領域を含み、それ以外の領域が全体的に黒色で表示された画面が、表示パネル11に異常通知画面として表示される。
【0067】
図4は、このような異常通知画面を表示するために各画素部に書き込む階調データ片(図中、書き込みデータとして示す)と、ラインカウンタ28及びピクセルカウンタ29のカウント値との関係を示す図である。ここでは、ゲート線の本数が1080、データ線の本数が960の場合(すなわち、n=1080、m=960の場合)を例として示している。
【0068】
ラインカウンタ28のカウント値が1〜999までの期間(
図4では、図示を省略)は、画素値0(すなわち、黒)の書き込みデータをデータラッチ群31がラッチする。これにより、画素値0の書き込みデータに対応する階調電圧信号Vdが、第1行第1列の画素部(P11)から第999行第960列の画素部まで印加される。
【0069】
ラインカウンタ28のカウント値が1000のとき、データラッチ群31は、ピクセルカウンタ29のカウント値802〜804に対応する画素部及びカウント値814〜816に対応する画素部に対する書き込みデータとして、画素値255(すなわち、白)の階調データ片をラッチする。また、データラッチ群31は、それ以外の画素部、すなわちピクセルカウンタ29のカウント値1〜801、805〜813、及び817〜960に対応する画素部に対する書き込みデータとして、画素値0(すなわち、黒)の階調データ片をラッチする。
【0070】
これにより、画素値1の階調データ片に対応する階調電圧信号Vdが、第1000行第802〜804列及び第814〜816列の画素部に印加される。それ以外の第1000行の画素部には、画素値0の階調データ片に対応する階調電圧信号Vdが印加される。なお、ピクセルカウンタ28のカウント値802は画素R、カウント値803は画素G、カウント値804は画素Bにそれぞれ対応している。同様に、ピクセルカウンタ28のカウント値814は画素R、カウント値815は画素G、カウント値816は画素Bにそれぞれ対応している。
【0071】
ラインカウンタ28のカウント値が1001のとき、データラッチ群31は、ピクセルカウンタ29のカウント値805〜807に対応する画素部及びカウント値811〜813に対応する画素部に対する書き込みデータとして、画素値255の階調データ片をラッチする。また、データラッチ群31は、それ以外の画素部、すなわちピクセルカウンタ29のカウント値1〜804、808〜810、及び814〜960に対応する画素部に対する書き込みデータとして、画素値0の階調データをラッチする。
【0072】
これにより、画素値1の階調データ片に対応する階調電圧信号Vdが、第1001行第805〜807列及び第811〜813列の画素部に印加される。それ以外の第1001行の画素部には、画素値0の階調データ片に対応する階調電圧信号Vdが印加される。なお、ピクセルカウンタ28のカウント値805は画素R、カウント値806は画素G、カウント値807は画素Bにそれぞれ対応している。同様に、ピクセルカウンタ28のカウント値811は画素R、カウント値812は画素G、カウント値813は画素Bにそれぞれ対応している。
【0073】
ラインカウンタ28のカウント値が1002のとき、データラッチ群31は、ピクセルカウンタ29のカウント値808〜810に対応する画素部に対する書き込みデータとして、画素値255の階調データ片をラッチする。また、データラッチ群31は、それ以外の画素部、すなわちピクセルカウンタ29のカウント値1〜807、811〜960に対応する画素部に対する書き込みデータとして、画素値0の階調データ片をラッチする。
【0074】
これにより、画素値1の階調データ片に対応する階調電圧信号Vdが、第1002行第808〜810列の画素部に印加される。それ以外の第1002行の画素部には、画素値0の階調データ片に対応する階調電圧信号Vdが印加される。なお、ピクセルカウンタ28のカウント値808は画素R、カウント値809は画素G、カウント値810は画素Bにそれぞれ対応している。
【0075】
ラインカウンタ28のカウント値が1003のとき、データラッチ群31は、ピクセルカウンタ29のカウント値805〜807に対応する画素部及びカウント値811〜813に対応する画素部に対する書き込みデータとして、画素値255の階調データ片をラッチする。また、データラッチ群31は、それ以外の画素部、すなわちピクセルカウンタ29のカウント値1〜804、808〜810、及び814〜960に対応する画素部に対する書き込みデータとして、画素値0の階調データ片をラッチする。
【0076】
これにより、画素値1の階調データ片に対応する階調電圧信号Vdが、第1003行第805〜807列及び第811〜813列の画素部に印加される。それ以外の第1003行の画素部には、画素値0の階調データ片に対応する階調電圧信号Vdが印加される。
【0077】
ラインカウンタ28のカウント値が1004のとき、データラッチ群31は、ピクセルカウンタ29のカウント値802〜804に対応する画素部及びカウント値814〜816に対応する画素部に対する書き込みデータとして、画素値255の階調データ片をラッチする。また、データラッチ群31は、それ以外の画素部、すなわちピクセルカウンタ29のカウント値1〜801、805〜813、及び817〜960に対応する画素部に対する書き込みデータとして、画素値0の階調データ片をラッチする。
【0078】
これにより、画素値1の階調データ片に対応する階調電圧信号Vdが、第1004行第802〜804列及び第814〜816列の画素部に印加される。それ以外の第1004行の画素部には、画素値0の階調データ片に対応する階調電圧信号Vdが印加される。
【0079】
図5は、異常検知時の各チャネルのソースドライバの出力を模式的に示す図である。上記のように画素値0に対応する階調電圧信号Vd及び画素値255に対応する階調電圧信号Vdが、画素部P11〜Pnmに選択的に印加されることにより、全体的に黒色の表示画面内に白色で×印を表示した画像が、異常通知画面として表示される。
【0080】
なお、画素部への階調電圧信号Vd1〜Vdmの供給は、実際には複数のソースドライバ14−1〜14−pが分割して担っている。このため、ソースドライバ14−1〜14−pのうちの後半部分に位置する1又は2のソースドライバが白階調の「×」印を表示させるための階調電圧信号Vdの出力を行い、それ以外のソースドライバは単に黒階調の表示を行うための階調電圧信号Vdの出力を行うことになる。
【0081】
以上のように、本実施例の表示装置100によれば、タイミングコントローラ12とソースドライバ14−1〜14−pとの通信の異常を検知し、通信異常が発生したことを通知する異常通知画面を表示パネル11に表示することができる。これにより、表示画面を視認するユーザに対し、通信異常が発生したことを視覚的に分かりやすく提示することが可能となる。
【0082】
また、通信異常の発生の提示に特化した画面を表示するため、通信異常の検知に応じて単にゲート制御信号の出力を停止した場合のような表示画面の固着は生じない。従って、本実施例の表示装置100を車載向けの電子ミラーとして使用した場合に、運転者が運転状況を誤認することを防止することができる。
【実施例2】
【0083】
次に、本発明の実施例2について説明する。実施例2の表示装置は、実施例1とは異なる異常通知画面を表示パネル11に表示させる点で実施例1の表示装置100とは異なる。
【0084】
図6は、実施例2の表示装置のソースドライバ14−1の構成を示すブロック図である。なお、ソースドライバ14−2〜14−pも同様の構成を有する。
【0085】
実施例2のソースドライバ14−1は、ラインカウンタ28を有しない点で、
図2に示す実施例1のソースドライバ14−1と異なる。
【0086】
図7Aは、実施例2の表示装置の動作を示すタイムチャートである。通常モードの動作については、実施例1と同様である。
【0087】
ソースドライバ14−1〜14−pのいずれかにおいてタイミングコントローラ12との通信の異常が検知されると、各ソースドライバのデータ処理部25に供給される異常状態共有信号ASがLレベルとなる。これにより、ソースドライバ14−1の動作は自走モードへと移行する。
【0088】
ソース制御部26は、ピクセルカウンタ29のカウントを参照し、OSD設定部27によるOSD設定に基づいて、階調データ片をデータラッチ群31に格納させる。DAコンバータ32は、階調データ片に対応する階調電圧を選択してD/A変換を行い、アナログの階調電圧信号Vdを生成する。生成されたアナログの階調電圧信号Vdは、増幅され、ソース出力として出力される。
【0089】
実施例2の異常検知時出力では、ゲート線の伸長方向では所定数のチャネル毎に画素値が異なり、且つデータ線の伸長方向において同じ画素値の階調電圧信号Vdが画素部に印加されるようにソース出力がなされ、画素部に印加される。
【0090】
図7Bは、通常モード及び自走モードの各々において表示パネル11に表示される画面の例を示す図である。
【0091】
実施例2の表示装置が車載向けの電子ミラーとして用いられている場合、フレームA及びフレームBとして示す通常モードの表示画面では、車両の後方に位置する車両及び後方の道路等の景色が表示パネルに表示される。
【0092】
一方、自走モードでは、OSD設定部によるOSD表示の設定に従い、異常通知画面が表示パネル11に表示される。例えば、
図7BにフレームC及びフレームDとして示すように、ゲート線の伸長方向に表示画面を3分割した領域にそれぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)が表示された画面が、本実施例の異常通知画面となる。
【0093】
図8は、異常検知時におけるチャネル毎のソースドライバの出力を示す図である。例えば表示パネル11のチャネル数を960とすると、ピクセルカウンタ29のカウント値が320以下の期間では、ソースドライバ14−1〜14−pは、RGBのうちの「R」に対応する画素部に対してのみ、画素値255に対応する階調電圧信号Vdを印加する。そして、それ以外の「B」及び「G」に対応する画素部に対しては、ソースドライバ14−1〜14−pは、画素値0に対応する階調電圧信号Vdを印加する。
【0094】
また、ピクセルカウンタ29のカウント値が321〜640までの期間では、ソースドライバ14−1〜14−pは、RGBのうちの「G」に対応する画素部に対してのみ、画素値255に対応する階調電圧信号Vdを印加する。そして、それ以外の「R」及び「B」に対応する画素部に対しては、ソースドライバ14−1〜14−pは、画素値0に対応する階調電圧信号Vdを印加する。
【0095】
また、ピクセルカウンタ29のカウント値が641〜960までの期間では、ソースドライバ14−1〜14−pは、RGBのうちの「B」に対応する画素部に対してのみ、画素値255に対応する階調電圧信号Vdを印加する。そして、それ以外の「R」及び「G」に対応する画素部に対しては、ソースドライバ14−1〜14−pは、画素値0に対応する階調電圧信号Vdを印加する。
【0096】
これにより、
図7Bに示すように、表示画面を3分割した左側に位置する第1領域に赤色(R)、真ん中に位置する第2領域に緑色(G)、右側に位置する第3領域に青色(B)が表示された画面が、異常通知画面として表示される。
【0097】
以上のように、本実施例の表示装置は、RGBの3色によって構成された画面を異常通知画面として表示させる。従って、黒と白のモノクロで異常通知画面が構成されている実施例1の表示装置と比べて、色鮮やかに通信異常の発生を提示することができる。周囲が暗い等、表示画面の情報が視認しにくい状況下においても、通信異常の発生をユーザに分かりやすく提示することが可能となる。
【0098】
また、本実施例の表示装置は、データ線の伸長方向(すなわち、表示画面の縦方向)では同じ画素値の表示を行う。このため、実施例1の表示装置100とは異なり、ラインカウンタ28が不要である。従って、ソースドライバ14−1〜14−pの各々の回路規模を抑えることが可能となる。
【0099】
なお、本発明は上記実施例で示したものに限定されない。例えば、上記実施例では、ソースドライバ14−1〜14−pの各々がオシレータ22を有し、各々のオシレータ22が共通の固定周波数で発振して内蔵発振クロック信号SCKを生成する場合を例として説明した。しかし、ソースドライバ14−1〜14−pの外部や特定のソースドライバの内部に1つのオシレータを設け、そのオシレータから出力された内蔵発振クロック信号SCKをソースドライバ14−1〜14−pで共通に用いる構成としてもよい。
【0100】
また、上記実施例では、受信部21がPLL回路を搭載している例について説明したが、これに限られずDLL(Digital Locked Loop)回路等の他の回路をクロック再生回路として搭載していてもよい。
【0101】
また、上記実施例1では、異常通知画面として黒地に白の×印を表示する場合を例として説明したが、これに限られず、白と黒のモノクロで表示画面が構成されていればよい。
【0102】
また、上記実施例2では、表示画面をゲート線方向に3分割した領域のうち、左から順に赤、緑、青の画面が表示される場合を例として説明したが、RGBの順序はこれに限られない。すなわち、赤の表示を行う第1領域、緑の表示を行う第2領域、及び青の表示を行う第3領域が形成されていればよく、表示画面内での並び順は上記実施例のものに限定されない。また、各領域は互いに面積が異なっていてもよい。また、RGBのうちの2色のみを用いて異常通知画面が構成されていてもよい。例えば、第1領域及び第3領域が赤、第2領域が青となるように表示を行ってもよい。表示画面を4以上の領域に分割して表示を行うように構成されていてもよい。
【0103】
また、上記実施例では、オープンドレイン端子の出力を異常状態共有信号ASとして、通信異常が検知されていない場合にはHレベル、通信異常が検知された場合にはLレベルに信号レベルを変化させる例について説明した。しかし、異常状態共有信号ASはこれに限られず、ソースドライバ14−1〜14−pの各々が、通信コントローラ12との通信について異常が検知されたことを他のソースドライバと共有できるように構成されていればよい。
【0104】
また、上記実施例では、表示装置100が液晶表示装置である場合について説明したが、これとは異なり、有機EL(Electro Luminescence)表示装置であっても良い。