【実施例】
【0074】
(ニッケル系活物質の製造)
比較製造例1
後述する共沈法によって実施し、複合金属ヒドロキシド(Ni
0.8Co
0.1Mn
0.1(OH)
2)を得た。
【0075】
反応器にアンモニア水を加え、そこにニッケル系活物質の原料物質を、製造する最終生成物の組成を得ることができるように、化学量論的に制御しながら添加した水酸化ナトリウムを利用し、反応器の混合物pHを調節した。次に、撹拌しながら、所望サイズになるまで反応させた後、原料溶液の投入を中止して乾燥させる過程を経て、目的物を得た。該製造過程を具体的に記述すれば、次の通りである。
【0076】
ニッケル系活物質原料物質として、硫酸ニッケル(NiSO
4・6H
2O)、硫酸コバルト(CoSO
4・7H
2O)及び硫酸マンガン(MnSO
4・H
2O)を、8:1:1モル比になるように、溶媒である蒸溜水に溶かし、混合溶液を準備した。錯化合物形成のために、アンモニア水(NH
4OH)希釈液と、沈澱剤としての水酸化ナトリウム(NaOH)を準備した。その後、金属原料混合溶液、アンモニア水、水酸化ナトリウムをそれぞれ反応器内部に投入した。反応器内部のpHを維持するために、水酸化ナトリウムが投入された。次に、撹拌しながら、約20時間反応を実施した後、原料溶液の投入を中止した。
【0077】
反応器内のスラリー溶液を濾過し、高純度の蒸溜水で洗浄した後、熱風オーブンで24時間乾燥させ、複合金属ヒドロキシド(Ni
0.8Co
0.1Mn
0.1(OH)
2)粉末を得た。
【0078】
前記複合金属ヒドロキシド(Ni
0.8Co
0.1Mn
0.1(OH)
2)及び炭酸リチウム(Li
2CO
3)を、乾式で1:1.05モル比で混合し、空気雰囲気で約850℃で10時間一次熱処理を実施し、ニッケル系活物質(Li
1.01Ni
0.8Co
0.1Mn
0.1O
2)を得た。
【0079】
比較製造例2
比較製造例1によって得られたニッケル系活物質(Li
1.01Ni
0.8Co
0.1Mn
0.1O
2)(NCM)、コバルト前駆体である硝酸コバルト、溶媒であるエタノールを混合し、それを120℃で10時間乾燥を実施した。次に、前記結果物に対し、約780℃で10時間二次熱処理を実施し、表面にコバルト含有化合物コーティング層を有するニッケル系活物質である複合正極活物質を得た。該複合正極活物質において、コバルト含有化合物の含量は、ニッケル系活物質100重量部を基準にし、2.0重量部である。
【0080】
比較製造例3
比較製造例1によって得られたニッケル系活物質(Li
1.01Ni
0.8Co
0.1Mn
0.1O
2)(NCM)及びB
2O
3を1、00:0.2の重量比で乾式混合し、B
2O
3化合物が、ニッケル系活物質(Li
1.01Ni
0.8Co
0.1Mn
0.1O
2)(NCM)表面に均一に付着されるようにした。
【0081】
前記結果物を760℃で6時間熱処理し、ボロン化合物がコーティングされたニッケル系活物質を得た。該ボロン化合物の含量は、ニッケル系活物質100重量部を基準にし、0.2重量部である。
【0082】
(複合正極活物質の製造)
製造例1
硝酸コバルト(Co(NO
3)
2)、比較製造例1によって得られたニッケル系活物質(Li
1.01Ni
0.8Co
0.1Mn
0.1O
2)、及び溶媒であるエタノールを混合した後、窒素バブリングを介してガスを除去し、組成物を得た。該硝酸コバルトの含量は、ニッケル系活物質 重量100重量部を基準にし、0.1重量部である。
【0083】
次に、窒素ガス雰囲気下で、前記組成物に1.0MのNaBH
4溶液(溶媒:メタノール)3mlを加え、pHを8に調節した。該混合物に対する混合を、25℃で2時間実施し、表面にコバルト・ボロン化合物含有コーティング層を有するニッケル系活物質を得た。前記結果物を真空濾過した後、80℃で12時間熱処理し、目的とする複合正極活物質を得た。該複合正極活物質において、コバルト・ボロン化合物の含量は、ニッケル系活物質100重量部を基準にし、0.1重量部である。
【0084】
製造例2
複合正極活物質において、コバルト・ボロン化合物の含量が、ニッケル系活物質100重量部を基準にし、5重量部になるように、硝酸コバルトの含量を化学量論的に変化させたことを除いては、製造例1と同一方法によって実施し、複合正極活物質を得た。
【0085】
(リチウム二次電池の製造)
実施例1
正極活物質として、製造例1によって得られた複合正極活物質を利用し、リチウム二次電池を次のように製造した。
実施例1によって得られた複合正極活物質、ポリビニリデンプルルオライド、及び溶媒であるN−メチルピロリドン、導電剤であるカーボンブラックの混合物を、ミキサ機を利用し、気泡を除去して均一に分散された正極活物質層形成用スラリーを製造した。前記複合正極活物質、前記ポリフッ化ビニリデン、前記カーボンブラックの混合比は、90:5:5重量部であり、溶媒の含量は、複合正極活物質90重量部に対し、約50重量部である。
【0086】
前記過程によって製造されたスラリーを、ドクターブレードを使用し、アルミニウム箔上にコーティングし、薄極板状にした後、それを135℃で3時間以上乾燥させた後、圧延工程と真空乾燥過程と経て正極を作製した。
【0087】
前記正極と、相対極としてのリチウム金属対極を使用し、2032型のコインハーフセル(coin half cell)を製造した。前記正極と前記リチウム金属対極との間には、多孔質ポリエチレン(PE)フィルムからなるセパレータ(厚み:約16μm)を介在させ、電解液を注入し、2032型リチウム二次電池を作製した。このとき、前記電解液は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチレンカーボネート(DMC)とを3:4:3の体積比で混合させた溶媒に溶解された1.3MLiPF
6が含まれた溶液を使用した。
【0088】
実施例2
製造例1によって製造された複合正極活物質の代わりに、製造例2によって製造された複合正極活物質を使用したことを除いては、実施例1と同一方法によってリチウム二次電池を作製した。
【0089】
比較例1〜3
製造例1によって製造された複合正極活物質の代わりに、比較製造例1ないし比較製造例3によって製造されたニッケル系活物質を使用したことを除いては、実施例1と同一方法によってリチウム二次電池を作製した。
【0090】
評価例1:走査電子顕微鏡(SEM)
製造例1によって得られた複合正極活物質において、コバルト・ボロン含有化合物コーティング層の形成前後の状態に係わる走査電子顕微鏡分析を実施した。製造例1の複合正極活物質の走査電子顕微鏡分析と、比較のために、比較製造例1ないし3のニッケル系活物質に係わる走査電子顕微鏡分析も共に実施した。
【0091】
走査電子顕微鏡は、Magellan 400L(FEI company製)を利用した。サンプル断面は、IM4000PLUS(Hitachi)を利用し、6kV、320μAで1時間ミリングし、前処理を実施した。そして、走査電子顕微鏡分析は3keVで実施した。
【0092】
前記走査電子顕微鏡分析結果を、
図1Aないし
図1Hに示した。
図1A及び
図1Bは、比較製造例1によって得られたニッケル系活物質(Li
1.01Ni
0.8Co
0.1Mn
0.1O
2)に係わるものであり、ニッケル系活物質表面にコーティング層を形成する以前の状態を示したものであり、
図1Bは、
図1Aの一部領域を拡大して示したものである。
図1C及び
図1Dは、比較製造例1のニッケル系活物質表面にコーティング層を形成した後の製造例1の複合正極活物質の状態を示したものであり、
図1Dは、
図1Cの一部領域を拡大して示したものである。そして、
図1E及び
図1Fは、比較製造例2のニッケル系活物質に係わる走査電子顕微鏡分析結果であり、
図1G及び
図1Hは、比較製造例3のニッケル系活物質に係わる走査電子顕微鏡分析結果である。
【0093】
それらを参照すれば、製造例1によって製造された複合正極活物質は、表面にコバルト・ボロン含有コーティング層が形成された形状を有し、その表面は、コーティング層を形成する前後の比較製造例1ないし3のニッケル系活物質と比較し、その状態が明らかに異なる様相を示した。
図1C及び
図1Dから分かるように、製造例1の複合正極活物質のコバルト・ボロン含有コーティング層は、比較製造例2及び比較製造例3のニッケル系活物質と異なり、表面にフレーク形態またはケージ形態を示した。
【0094】
評価例2:透過電子顕微鏡・エネルギー分散型X線分光(TEM−EDX)マッピング
実施例1によって得られた複合正極活物質に係わる電子走査顕微鏡(SEM)分析とTEM−EDXマッピング分析とを実施し、その分析結果を、
図2Aないし
図2Fに示した。該TEM−EDX分析は、JEOL社のARM300Fを利用して実施した。
図2Aは、製造例1によって得られた複合正極活物質に係わるSEMイメージであり、
図2Bないし
図2Fは、製造例1によって得られた複合正極活物質のTEM−EDX分析結果を示したものである。
【0095】
図2Aないし
図2Fから分かるように、二次粒子上に、均一にコバルト・ボロン化合物(Co−B化合物)が分布しているということを確認することができた。そして、TEMイメージに提示されているように、該Co−B化合物は、非晶質相に構成されており、Co−B化合物含有コーティング層の厚みは、約15nmである。ここで、
図2Bの内部イメージにおいて、FFT散乱パターンが円形リングに観察され、それにより、Co−B化合物は、非晶質相に構成されていることが分かった。
【0096】
該TEM−EDX結果に提示されているように、非晶質相のコーティング物質は、点線を基準に、正極活物質と区別されて分布している。そして、コーティング層領域において、
図2Fから分かるように、酸素が低い強度を有することは、非活性雰囲気合成条件に起因したものであると確認することができた。
【0097】
評価例3:サイクルテスト前後の極板変化分析
実施例1及び比較例1によって作製されたリチウム二次電池において、充放電特性を充放電器(製造社:TOYO、モデル:TOYO−3100)で評価した。
【0098】
初回充放電は、0.1Cの電流で、4.40Vに逹するまで定電流充電した後、0.05Cの電流に逹するまで定電圧充電を実施した。充電が完了したセルは、約10分間の休止期間を経た後、0.1Cの電流で、電圧が3Vに至るまで定電流放電を行った。2番目充放電サイクルは、0.2Cの電流で、4.40Vに逹するまで定電流充電した後、0.05Cの電流に逹するまで定電圧充電を実施した。充電が完了したセルは、約10分間の休止期間を経た後、0.2Cの電流で、電圧が3Vに至るまで定電流放電を行った。
【0099】
寿命評価は、1Cの電流で、4.40Vに逹するまで定電流充電した後、0.05Cの電流に逹するまで定電圧充電を実施した。充電が完了したセルは、約10分間の休止期間を経た後、1Cの電流で、電圧が3Vに至るまで定電流放電を実施するサイクルを反復的に実施して評価した。
【0100】
サイクル特性テスト後、正極の極板状態をSEMを利用して分析し、その結果を
図3Aないし
図3D、並びに
図4Aないし
図4Dに示した。
図3Aは、実施例1の正極のサイクル特性テスト後のSEMイメージを示したものであり、
図3Bないし
図3Dは、実施例1の正極のサイクル特性テスト後のTEM−EDAX状態を示したものである。そして、
図4Aは、比較例1の正極のサイクル特性テスト後のSEMイメージであり、
図4Bないし
図4Dは、比較例1の正極のサイクル特性テスト後のTEM−EDAX写真である。
【0101】
比較例1の正極は、
図4A及び
図4Bから分かるように、サイクル特性テスト後、正極活物質に亀裂またはマイクロクラックが観察され、
図4C及び
図4Dから分かるように、フッ素及び炭素が二次粒子の形状を有する複合正極活物質の最外郭表面に集中分布し、一部は、二次粒子内に形成されたマイクロクラックに沿って分布していることが分かった。
【0102】
それに比べ、実施例1の正極は、
図3A及び
図3Bから分かるように、サイクル特性テスト後、亀裂またはマイクロクラックがほとんど示されず、
図3C及び
図3Dから分かるように、フッ素及び炭素がほとんど観測されず、内部亀裂に沿って分布していないということが分かった。
【0103】
また、実施例1の正極におけるサイクル特性テスト後、複合正極活物質粒子の断面に係わるTEM−EDXイメージを分析し、その結果は、
図5Aないし
図5Dに示されている通りである。
【0104】
それらを参照すれば、合成過程で形成されたコバルト・ボロン化合物コーティング層が損失されず、安定して高電圧電気化学寿命維持及び副反応抑制効果があるということが分かった。
【0105】
評価例4:気孔分布特性
製造例1の複合正極活物質、及び比較製造例1のニッケル系活物質において、BET分析を利用し、気孔分布特性に係わる分析を実施した。該分析結果は、
図6Aないし
図6Dに示した。BET法は、平均気孔サイズを求めるときに汎用される方法であり、吸着ガスとしては、窒素ガスを使用し、平均気孔サイズの場合には、D=4V
T/S
BET吸着ガスの体積及びBETを利用して計算可能であり、円筒形細孔を仮定して計算することができる(Martijn F. De Lange, et al., “Adsorptive characterization of porous solids: Error analysis guides”, Microporous and Mesoporous Materials, 2014, p.199−215参照)。
【0106】
製造例1の複合正極活物質は、
図6A及び
図6Bに示されているように、中間圧力(medium−pressure)領域においてヒステリシス曲線(hysteresis curve)を示すが、小さい粒径を有するメソポア(small−sized mesopore)が形成されていることを意味する。
【0107】
一方、比較製造例1のニッケル系活物質は、
図6C及び
図6Dに示されているように、高圧(high−pressure)領域で急激な成長を示した。それにより、比較製造例1のニッケル系活物質の空隙がマクロポア(macropore)特徴を有するということが分かる。
【0108】
前述の気孔サイズの分布から確認することができるように、製造例1の複合正極活物質において、メソポア(気孔の平均直径:約10nm)に該当するピークがさらに大きく形成された。すなわち、製造例1の複合正極活物質において、コーティング層内に含有された非晶質相のコバルト・ボロン化合物が、二次粒子の内部空隙を充填しながら、マクロポアを減少させながら、コバルト・ボロン化合物自体から始まったメソポアにより、比較製造例1のニッケル系活物質との比較時、単位面積が大きく向上した。そのようなメソポアは、コバルト・ボロン化合物含有コーティング層内において、迅速なリチウム拡散のための空間として作用することができる。
【0109】
評価例5:X線回折分析
製造例1の複合正極活物質、及び比較製造例1のニッケル系活物質につき、Cu Kα radiation(1.54056Å)を利用したSmartlab(Rigaku)を使用し、X線回折分析を実施した。該X線回折分析結果を、
図7Aないし
図7Dに示した。
図7Bないし
図7Dは、
図7Aの一部領域を拡大して示したものである。
【0110】
製造例1の複合正極活物質は、
図7Aないし
図7Dから分かるように、コバルト・ボロン化合物含有コーティング層が、別途の熱処理が必要ではなく、コーティング工程中、正極活物質のバルク構造が変わらないということが分かった。
【0111】
評価例6:電子透過顕微鏡(TEM)・電子エネルギー損失分光(EELS)分析
実施例1において作製されたリチウム二次電池において、充放電特性などを、充放電器(製造社:TOYO、モデル:TOYO−3100)で評価した。
【0112】
初回充放電は、0.1Cの電流で、4.40Vに逹するまで定電流充電した後、0.05Cの電流に逹するまで定電圧充電を実施した。充電が完了したセルは、約10分間の休止期間を経た後、0.1Cの電流で、電圧が3Vに至るまで定電流放電を行った。2番目充放電サイクルは、0.2Cの電流で、4.40Vに逹するまで定電流充電した後、0.05Cの電流に逹するまで定電圧充電を実施した。充電が完了したセルは、約10分間の休止期間を経た後、0.2Cの電流で、電圧が3Vに至るまで定電流放電を行った。
【0113】
寿命評価は、1Cの電流で、4.40Vに逹するまで定電流充電した後、0.05Cの電流に逹するまで定電圧充電を実施した。充電が完了したセルは、約10分間の休止期間を経た後、1Cの電流で、電圧が3Vに至るまで定電流放電を実施するサイクルを反復的に実施して評価した。
【0114】
実施例1による電池において、サイクル特性テストを実施する以前、及びサイクル特性テスト以後の複合正極活物質の透過電子顕微鏡・電子エネルギー損失分光(TEM−EELS)分析結果を、それぞれ
図8Aないし
図8D、及び
図9Aないし
図9Dに示した。TEM−EELS分析時、それぞれOxford社のAztecとJEOL社のARM300Fとを利用した。
【0115】
実施例1の正極は、サイクル特性を評価する前には、
図8Aないし
図8Dから分かるように、コバルトボロン化合物が表面層に存在し、サイクル特性を評価した後には、
図9Aないし
図9Dを参照すれば、高電圧サイクルを遂行した後にも、コバルトボロン化合物は、表面層において、安定して維持されるという点と、ニッケル系正極活物質の表面組成が、大きな影響を受けず、安定して維持されるという点とが分かった。
【0116】
評価例7:X線分光法(X−ray photo electron spectroscopy)分析
製造例1の複合正極活物質、及び比較製造例1のニッケル系活物質につき、X線光電子分光(XPS)分析を実施した。X線光電子分光(XPS)分析は、ThermoFisher Corporation 社のK−alpha x−ray photoelectron spectrometerを利用した(加速電圧:200eV−3.0keV, Double focusing hemispherical analyzerを使用;最小分析領域:20micro、X線照射面積:2mm×2mm)。
図10A及び
図10Bは、それぞれ製造例1の複合正極活物質、及び比較製造例1の正極活物質に係わるX線分光法分析結果を示したものである。
【0117】
それらを参照すれば、製造例1の複合正極活物質のコーティング層の構成元素が、ボロンとコバルトとであるということを確認することができる。そして、
図10Bを参照すれば、X線光電子分光(XPS)のCo 2p
3/2のピークが、低い結合エネルギー方向に移動したことを基に、一般的なニッケル系活物質のコバルトが、一般的に、+3酸化数を有するのに比べ、コバルト・ボロン化合物のコバルトは、一般的なニッケル系活物質のコバルトより低いコバルト酸化数(概して、+2または+2+α)(−1<α<+1)で構成されることが分かった。
【0118】
評価例8:サイクル特性
(1)常温(25℃)
実施例1、及び比較例1ないし比較例3によって作製されたリチウム二次電池において、常温(25℃)において、充放電特性などを充放電器(製造社:TOYO、モデル:TOYO−3100)で評価した。
【0119】
初回充放電は、0.1Cの電流で、4.40Vに逹するまで定電流充電した後、0.05Cの電流に逹するまで定電圧充電を実施した。充電が完了したセルは、約10分間の休止期間を経た後、0.1Cの電流で、電圧が3Vに至るまで定電流放電を行った。2番目充放電サイクルは、0.5Cの電流で、4.40Vに逹するまで定電流充電した後、0.05Cの電流に逹するまで定電圧充電を実施した。充電が完了したセルは、約10分間の休止期間を経た後、1.0Cの電流で、電圧が3Vに至るまで定電流放電を行った。
【0120】
寿命評価は、1Cの電流で、4.40Vに逹するまで定電流充電した後、0.05Cの電流に逹するまで定電圧充電を実施した。充電が完了したセルは、約10分間の休止期間を経た後、1Cの電流で、電圧が3Vに至るまで定電流放電を実施するサイクルを反復的に実施して評価した。
【0121】
容量維持率(CRR:capacity retention ratio)は、下記数式1から計算され、初期充放電効率は、数式2から計算され、容量維持率及び初期充放電効率の特性を調査し、下記表1に示し、容量維持率特性を
図11Aに示した。
[数式1]
容量維持率[%]=[100回目サイクルの放電容量/初回サイクルの放電容量]×100
【0122】
【表1】
【0123】
表1及び
図11Aを参照すれば、実施例1によって製造されたリチウム二次電池は、比較例1ないし比較例3の場合と比較し、常温(25℃)で容量維持率が改善されるということが分かった。
【0124】
(2)高温(45℃)
前述の実施例1、及び比較例1ないし比較例3のリチウム二次電池に対する常温サイクル特性評価方法において、常温(25℃)の代わりに、高温(45℃)で実施したことを除いては、同一方法によって実施し、実施例1、及び比較例1ないし比較例3によって作製されたリチウム二次電池において、高温(45℃)における充放電特性を評価した。
【0125】
容量維持率は、下記数式1によって調査し、下記表2に示し、容量維持率を
図11Bに示した。
[数式1]
容量維持率[%]=[100回目サイクルの放電容量/初回サイクルの放電容量]×100
【0126】
【表2】
【0127】
表2及び
図11Bを参照すれば、実施例1によって製造されたリチウム二次電池は、比較例1ないし比較例3の場合と比較し、高温(45℃)において、容量維持率が改善されるということが分かった。
【0128】
評価例9:常温レート特性
前記実施例1、及び比較例1ないし比較例3で製造されたリチウム二次電池に対し、常温25℃で、初回サイクルにおいて、0.5Cの速度で4.40Vまで定電流充電し、0.5Cの速度で3Vまで定電流放電した。初回サイクルを4回反復して実施した(2回目サイクルないし5回目サイクル)。
【0129】
6回目サイクルは、0.5Cの速度で4.40Vまで定電流充電し、次に、4.40Vで維持しながら、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、1.0Cの速度で3Vまで定電流放電した。6回目サイクルを4回反復して実施した(7回目サイクルないし10回目サイクル)。
【0130】
11回目サイクルは、0.5Cの速度で4.40Vまで定電流充電し、続けて、4.40Vで維持しながら、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、2.0Cの速度で3Vまで定電流放電した。11回目サイクルを4回反復して実施した(12回目サイクルないし15回目サイクル)。
【0131】
16回目サイクルは、0.5Cの速度で4.40Vまで定電流充電し、続けて、4.40Vで維持しながら、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、3.0Cの速度で3Vまで定電流放電した。16回目サイクルを4回反復して実施した(17回目サイクルないし20回目サイクル)。
【0132】
21回目サイクルは、0.5Cの速度で4.4Vまで定電流充電し、続けて、4.4Vで維持しながら、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、5.0Cの速度で3Vまで定電流放電した。21回目サイクルを4回反復して実施した(22回目サイクルないし25回目サイクル)。
【0133】
26回目サイクルは、0.5Cの速度で4.4Vまで定電流充電し、続けて、4.4Vで維持しながら、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、7.0Cの速度で3Vまで定電流放電した。26回目サイクルを4回反復して実施した(27回目サイクルないし30回目サイクル)。
【0134】
31回目サイクルは、0.5Cの速度で4.4Vまで定電流充電し、続けて、4.4Vで維持しながら、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、10.0Cの速度で3Vまで定電流放電した。31回目サイクルを4回反復して実施した(32回目サイクルないし35回目サイクル)。
【0135】
36回目サイクルは、0.5Cの速度で4.4Vまで定電流充電し、続けて、4.4Vで維持しながら、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、0.5Cの速度で3Vまで定電流放電した。36回目サイクルを4回反復して実施した(37回目サイクルないし40回目サイクル)。
【0136】
前述の充放電結果の一部を
図12及び表3に示した。
【0137】
【表3】
【0138】
前記表3及び
図12から分かるように、実施例1のリチウム電池は、比較例1のリチウム電池に比べ、常温率特性が向上されるということが分かった。
【0139】
評価例10:高温(45℃)レート特性
前記実施例1及び比較例1で製造されたリチウム二次電池に対し、高温(45℃)で、初回サイクルにおいて、0.5Cの速度で4.40Vまで定電流充電し、0.5Cの速度で3Vまで定電流放電した。初回サイクルを4回反復して実施した(2回目サイクルないし5回目サイクル)。
【0140】
6回目サイクルは、0.5Cの速度で4.40Vまで定電流充電し、続けて、4.40Vで維持しながら、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、1.0Cの速度で3Vまで定電流放電した。6回目サイクルを4回反復して実施した(7回目サイクルないし10回目サイクル)。
【0141】
11回目サイクルは、0.5Cの速度で4.40Vまで定電流充電し、続けて、4.40Vで維持しながら、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、2.0Cの速度で3Vまで定電流放電した。11回目サイクルを4回反復して実施した(12回目サイクルないし15回目サイクル)。
【0142】
16回目サイクルは、0.5Cの速度で4.40Vまで定電流充電し、続けて、4.40Vで維持しながら、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、3.0Cの速度で3Vまで定電流放電した。16回目サイクルを4回反復して実施した(17回目サイクルないし20回目サイクル)。
【0143】
21回目サイクルは、0.5Cの速度で4.4Vまで定電流充電し、続けて、4.4Vで維持しながら、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、5.0Cの速度で3Vまで定電流放電した。21回目サイクルを4回反復して実施した(22回目サイクルないし25回目サイクル)。
【0144】
26回目サイクルは、0.5Cの速度で4.4Vまで定電流充電し、続けて、4.4Vで維持しながら、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、7.0Cの速度で3Vまで定電流放電した。26回目サイクルを4回反復して実施した(27回目サイクルないし30回目サイクル)。
【0145】
31回目サイクルは、0.5Cの速度で4.4Vまで定電流充電し、続けて、4.4Vで維持しながら、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、10.0Cの速度で3Vまで定電流放電した。31回目サイクルを4回反復して実施した(32回目サイクルないし35回目サイクル)。
【0146】
36回目サイクルは、0.5Cの速度で4.4Vまで定電流充電し、続けて、4.4Vで維持しながら、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、0.5Cの速度で3Vまで定電流放電した。36回目サイクルを4回反復して実施した(37回目サイクルないし40回目サイクル)。
【0147】
前述の充放電結果の一部を、下記表4、
図13に示した。
図13は実施例1、及び比較例1ないし比較例3のリチウム電池で高温レート特性変化を示したものである。
【0148】
【表4】
【0149】
前記表4、
図13から分かるように、実施例1のリチウム電池は、比較例1ないし比較例3のリチウム電池に比べ、高温レート特性が向上されるということが分かった。
【0150】
評価例11
評価例10において、実施例1、比較例1ないし比較例3のリチウム二次電池に対する前記評価例10の高温レート特性を評価するための充放電サイクル後、電子走査顕微鏡分析を介し、正極の状態を評価し、その結果を
図14Aないし
図14Dに示した。
【0151】
実施例1の正極は、
図14Aから分かるように、
図14Bないし
図14Dの比較例1ないし比較例3の正極と比較し、サイクル特性評価後、亀裂がほとんど発生しないということを確認することができた。
【0152】
以上においては、図面及び実施例を参照し、一具現例について説明されたが、それらは、例示的なものに過ぎず、当該技術分野で通常の知識を有した者であるならば、それらから、多様な変形、及び均等な他の具現例が可能であるという点を理解することができるであろう。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって定められるものである。