【実施例】
【0049】
<実験1>身層の検討
(実験1−1)組織状植物蛋白の検討
(試験1−1−1)
膨化蛋白(レスポンス4400 デュポン社製)100gを沸騰水中で5分間ボイルした後、遠心分離機を用い1000rpmで4分間脱水し、90℃の菜種油中で5分間、油調処理し、金ザルで油切りし油調処理した膨化蛋白を用意した。(油調処理済み膨化蛋白中の膨化蛋白由来の固形分含量17重量%、油含量11重量%)
【0050】
(試験1−1−2)
油調しない以外は、試験例1−1−1と同様に脱水処理した膨化蛋白を用意した。
【0051】
(試験1−1−3)
脱水処理しない以外は、試験例1−1−2と同様に復水処理した膨化蛋白を用意した。
【0052】
(試験1−1−4)
繊維状蛋白(earth meat 原田産業社製)100gを沸騰水中で5分間ボイルし、遠心分離機を用い1000rpmで4分間脱水し、さらに沸騰水中で5分間ボイルした後、遠心分離機を用い1000rpmで4分間脱水し、カッターミキサーで粉砕し、8メッシュ以下とした組織上植物蛋白を、90℃の菜種油中で5分間、油調処理し、金ザルで油切りしたものを用意した。(油調処理済み組織状植物蛋白中の繊維状蛋白由来の固形分含量25重量%、油含量15重量%)
【0053】
(試験1−1−5)
油調せずに8メッシュ以下のものを用意する以外は、試験例1−1−4と同様に脱水処理した繊維状蛋白を用意した。
【0054】
(試験1−1−6)
脱水処理せずに8メッシュ以下のものを用意する以外は、試験例1−1−5と同様に復水処理した繊維状蛋白を用意した。
【0055】
試験例1−1−1〜1−1−6のサンプルの風味と食感を評価した。評価については5人のベテランパネラーによって実施し、風味は、大豆臭を感じないものを◎、大豆臭を僅かに感じるが良好なものを○、大豆臭を感じ劣るものを△、著しく大豆臭を感じ劣るものを×とした。食感については、コメントを記載した。評価結果を表1に記載する。
【0056】
【表1】
【0057】
試験例1−1−1及び試験例1−1−4で示すように脱水処理後、油調処理することにより、原料由来の大豆臭を感じなくなるだけでなく、組織状植物蛋白自体のタンパクのザラツキやパサつきが抑えられジューシーな感じやしっとりとした感じを付与できる。組織状植物蛋白としては、求めるウナギ様食品の食感に合わせて柔らかい食感としたい場合は、膨化蛋白を多く、しっかりとした食感としたい場合は、繊維状蛋白を多く配合することが好ましい。
【0058】
(実験1−2)身層用スラリー(結着剤の検討)
(試験例1−2−1)〜(1−2−13)
コントロールとして組織状植物蛋白を結着し成形させるための身層用スラリーとして卵白粉(サンキララ(登録商標)SHG 太陽化学社)5g、菜種油15g、水80gを撹拌し、身層用スラリーを作製し、98℃で6分間スチーム処理し、加熱処理した身層用スラリーを作製した。
【0059】
(試験例1−2−2)
卵白粉を分離大豆蛋白粉(ニューフジプロ(登録商標)SEH 不二製油社)14g、菜種15g、水71gを撹拌し、に変更する以外は、試験例1−2−1に従って加熱処理した身層用スラリーを作製した。
【0060】
(試験例1−2−3)
分離大豆粉をえんどう豆蛋白粉(PP−CS オルガノフードテック社)に変更する以外は、試験例1−2−2に従って加熱処理した身層用スラリーを作製した。
【0061】
(試験例1−2−4)
分離大豆蛋白粉(ニューフジプロ(登録商標)SEH 不二製油社)10g、メチルセルロース(MC−400 信越化学工業社)2gを、菜種油15gに分散させ、冷水73gを加えミキサーで高速攪拌したのち、5℃冷蔵庫で30分冷却し、身層用スラリーを作製し、98℃で6分間スチーム処理し、加熱処理した身層用スラリーを作製した。
【0062】
(試験例1−2−5)
メチルセルロースをヒドロキシプロピルメチルセルロース(SFE−4000 信越化学工業社)とする以外は、試験例1−2−4と同様に加熱処理した身層用スラリーを作製した。
【0063】
(試験例1−2−6)
メチルセルロースをメチルセルロース(MCE−100TS 信越化学工業社)とする以外は、試験例1−2−4と同様に加熱処理した身層用スラリーを作製した。
【0064】
(試験例1−2−7)
メチルセルロースをメチルセルロース(MCE−4000 信越化学工業社)とする以外は、試験例1−2−4と同様に加熱処理した身層用スラリーを作製した。
【0065】
(試験例1−2−8)
メチルセルロースの添加量を1gとし、水を74gとする以外は、試験例1−2−4と同様に加熱処理した身層用スラリーを作製した。
【0066】
(試験例1−2−9)
メチルセルロースの添加量を3gとし水を72gとする以外は、試験例1−2−4と同様に加熱処理した身層用スラリーを作製した。
【0067】
(試験例1−2−10)
分離大豆蛋白粉末を5gとし、水を78gとする以外は、試験例1−2−4と同じように加熱処理した身層用スラリーを作製した。
【0068】
(試験例1−2−11)
分離大豆蛋白粉末を15gとし、水68gとする以外は、試験例1−2−4と同じように加熱処理した身層用スラリーを作製した。
【0069】
(試験例1−2−12)
菜種油の添加量を5gとし、水を83gとする以外は、試験例1−2−4と同様に加熱処理した身層用スラリーを作製した。
【0070】
(試験例1−2−13)
菜種油の添加量を20gとし、水を68gとする以外は、試験例1−2−4と同様に加熱処理した身層用スラリーを作製した。
【0071】
試験例1−2−1〜1−2−13の身層用スラリーを厚さ8mm程度の型枠に入れ98℃で5分間スチーム処理したものの保形性を確認した。保形性は、十分ゲル化して保形性が非常に良好なものを◎、ゲル化しており概ね保形性があるものを○、ゲル化しているが保形性が弱いものを△、ゲル化しておらず保形性がないものを×とした。ゲルの食感については、5人のベテランパネラーの評価結果をコメントに記載した。評価結果を下記表2に示す。
【0072】
【表2】
【0073】
組織状植物蛋白を結着させて成形するための素材として、試験例1−2−1で示すように卵白が適していたが、動物由来の蛋白であるため、代替として、試験例1−2−2、1−2−3で示すように植物性の蛋白粉末を使用したが、保形性や食感の面で不十分であった。そこで、試験例1−2−4〜1−2−7で示すように分離大豆蛋白粉末に加えて数種のメチルセルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む)を使用したところ、保形性が良好となった。試験例1−2−8、1−2−9で示すようにメチルセルロースの添加量としては、身層用スラリー中に1〜3重量%含まれることが好ましく、試験例1−2−10、1−2−11で示すように分離大豆蛋白粉は、5〜15重量%、試験例1−2−12、1−2−13で示すように油脂としては、身層用スラリー中に5〜20重量%が好ましい。
【0074】
(実験1−3 身層の検討)
(試験例1−3−1〜試験例1−3−8)
試験例1−1−1及び試験例1−1−4で用いた油調処理した組織状植物蛋白(膨化蛋白及び繊維状蛋白)、試験例1−2−4で作製した身層用スラリー及び味付け等の粉体混合物を用いて身層を作製した。味付け等の粉体混合物としては、身層生地100g中に5g(甘薯澱粉1.3g、食塩0.8g、グルタミンソーダ2.1g、上白糖0.7g、トコフェロール製剤0.1g)添加した。まず、表3に示した割合で、油調した組織状植物蛋白、身層用スラリー、粉体混合物を良く撹拌して身層生地を作製し、
図1で示したウナギ様の型枠に入れ、99℃で6分間スチーム加熱し、身層を作製した。評価は、成形性及び食感について行った。成型性については、身層がしっかりと固まり成形されているものを◎、身層は固まっており、箸で崩れにくいものを○、身層は固まっているが弱く、箸で崩れやすいものを△、身層が固まっておらず、容易に箸で崩れるものを×とした。食感については、5人のベテランパネラーの評価結果をコメントに記載した。評価結果を下記表3に示す。
【0075】
【表3】
【0076】
試験例1−3−1〜1−3−5で示すように油調した組織状植物蛋白の膨化蛋白と繊維状蛋白との比率については、膨化蛋白が多い程柔らかい食感となり、繊維状蛋白が多い程ツナっぽい繊維感や弾力のある食感となった。油調した繊維状蛋白のみでは、ツナっぽい繊維感が強すぎるため、油調した膨化蛋白を加えることが好ましく、油調済み組織状植物蛋白の重量に対して、17重量%以上となるように添加することが好ましい。また、試験例1−3−6〜1−3−8で示すように身層生地中の油調済みの組織状植物蛋白としては、30〜60重量%が好ましい。少なすぎると身層用スラリーが多くなり、身層用スラリーの食感が強くなる。逆に多すぎると身層用スラリーが少なく成形性が悪くなる。また、組織状植物蛋白の固形分含量としては、身層中に6〜14重量%含まれることが好ましい。また、繊維状蛋白の固形分含量としては、身層中に10重量%以下が好ましい。
【0077】
身層用スラリーの添加量としては試験例1−3−6〜1−3−8で示すように身層生地中に35〜65重量%含まれることが成形性の面で好ましい。メチルセルロースとしては、身層中に0.7〜1.3重量%、大豆蛋白粉としては3.5〜6.5重量%含まれることが好ましい。
【0078】
油脂としては、油調した組織状植物蛋白及び身層用スラリー両方に含まれるが、身層全体として12〜15重量%程度含まれていることが好ましい。試験では示さないが、油脂が10重量%未満になるとジューシーさが弱く、20重量%よりも高くなると脂っこく、保形性が悪くなる。
【0079】
<実験2 中間層の検討>
(実験2−1 ゲル化剤の検討)
(試験例2−1−1)〜(試験例2−1−10)
下記表4に記載されたゲル化剤と菜種油と乳化剤(リョートー(登録商標)ポリグリエステルO−50D 三菱ケミカルフーズ社)と水(残量)を撹拌したスラリーを80℃まで加熱し、溶解した後、冷却してゲル化させるか、または、乳酸カルシウムを1重量%となるように溶解した水溶液にスラリーを浸漬してゲル化させ、ゲル化及び食感を検討した。ゲル化は油脂を含んだ状態で非常に良好にゲル化できるものを◎、ややゲルが柔らかいがゲル化できるものを○、ゲル化しないがゾル状で油脂を含有することができるものを△、ゲル化せず油脂を含有できないものを×とした。食感については、5人のベテランパネラーの評価結果をコメントに記載した。試験結果についても表4に記載する
【0080】
【表4】
【0081】
中間層のゲル化剤としては、試験例2−1−4で示すようにHAジェランガムが適度に柔らかいゲルを形成し良好であり、試験例2−1−1で示すように食感としてはキサンタンガムが好ましかったことから、試験例2−1−10で示すようにキサンタンガムとHAジェランガムを組み合わせたところ食感が良好なゲルを形成した。
【0082】
(実験2−2 中間層の検討)
(試験例2−2−1)〜(試験例2−2−13)
下記表5の配合に従って、ゲル化剤と菜種油と乳化剤(リョートー(登録商標)ポリグリエステルO−50D 三菱ケミカルフーズ社)と水(残量)を撹拌し、中間層スラリーを作製し、80℃まで加熱した後、冷却してゲル化し、1mm厚の中間層を作製した。作製した中間層の食感を評価した。評価は、5人のベテランパネラーで行い、非常に良好なものを◎、良好なものを○、劣るものを△、非常に劣るものを×とした。評価結果についても下記表5に示す。
【0083】
【表5】
【0084】
試験例2−2−1〜2−2−4で示すように、中間層のゲル化剤としてHAジェランガムの添加量は、中間層用スラリー中に1〜2重量%含まれることが好ましい。また、試験例2−2−5〜2−2−8で示すようにキサンタンガムの添加量としては、中間層用スラリー中に1〜2重量%含まれることが好ましい。また、油脂の添加量としては、中間層用スラリー中に20〜40重量%含まれることが好ましい。
【0085】
<実験3 皮層の検討>
(実験3−1 アルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化した皮層の検討)
(試験例3−1−1)〜(試験例3−1−14)
下記表6に記載された資材を撹拌し、皮層用スラリーを作製した後、プラスチック製の板に1mm程度の厚さとなるように伸ばして、乳酸カルシウム1.5重量%溶液に浸漬し、ゲル化した後、溶液中で板からゲルを剥ぎ取り、ゲルを99℃で3分間スチーム処理し、バーナーで表面を軽くあぶり皮層を作製した。なお、澱粉は、馬鈴薯澱粉を使用し、分離大豆蛋白粉末は身層で使用したもの(ニューフジプロ(登録商標)SEH 不二製油社)を使用した。
【0086】
作製した皮層の評価を行った。評価は、5人のベテランパネラーで行い、ゲル化、焦げやすさ、ゲルの風味、ゲルの食感について行い、非常に良好なものを◎、良好なものを○、劣るものを△、非常に劣るものを×として評価した。評価結果も下記表6に記載する。
【0087】
【表6】
【0088】
試験例3−1−1〜3−1−6で示すように、アルギン酸ナトリウムの添加量が多くなるほど風味が悪くなり、少ないとゲルが弱くなることから、皮層中のアルギン酸ナトリウムの添加量としては、1.5〜4重量%が好ましい。また、試験例3−1−7〜3−1−11に記載されているように油脂を添加することによりゲルの食感がしなやかになるが、添加量が多すぎるとゲルが柔らかくなることから油脂の添加量としては5〜40重量%が好ましい。また、試験例3−1−12、3−1−14で示すように、澱粉を添加することで、皮層の表面を炙った後に皮層の表面にザラツキ(凹凸)が認められ、自然な皮様の外観を示すだけでなく、食感がしなやかになり、また、試験例3−1−13で示すように、分離大豆蛋白粉末を添加することにより表面を炙った際に焦げ目が付きやすくなった。
【0089】
(実験3−2 メチルセルロースをゲル化した皮層の検討)
(試験例3−2−1)〜(試験例3−2−13)
下記表7に記載された資材を冷却しながら撹拌し、皮層用スラリーを作製した後、プラスチック製の板に1mm程度の厚さとなるように伸ばし、99℃で3分間スチーム処理したゲルを板から剥がし、バーナーで表面を軽くあぶり皮層を作製した。メチルセルロースは、硬いゲルとなる信越化学社のMCE−100TSを使用した。なお、澱粉は、馬鈴薯澱粉を使用し、分離大豆蛋白粉末はニューフジプロ(登録商標)SEH(不二製油社)を使用した。
【0090】
作製した皮層の評価を行った。評価は、5人のベテランパネラーで行い、ゲル化度合、焦げやすさ(炙りで溶けるものは×)、ゲルの風味、ゲルの食感について行い、非常に良好なものを◎、良好なものを○、劣るものを△、非常に劣るものを×として評価した。評価結果も下記表7に記載する。
【0091】
【表7】
【0092】
試験例3−2−1〜3−2−4で示すようにメチルセルロースの添加量が少ないとゲル化が弱く、食感も弱くなることから、皮層中のメチルセルロースの添加量としては、1〜2重量%が好ましい。また、試験例3−2−5〜3−2−10に示すように油脂を添加することにより風味がよくなるが、添加量が多すぎるとゲルが柔らかく、皮層用スラリーが硬くなり成形しづらくなることから油脂の添加量としては5〜40重量%が好ましい。また、試験例3−2−11、3−2−13で示すように、澱粉を添加することで、皮層の表面を炙った後に皮層の表面にザラツキ(凹凸)が認められ、自然な皮様の外観を示し、また、試験例3−2−12で示すように、分離大豆蛋白粉末を添加することにより表面を炙った際に焦げ目が付きやすくなるだけでなく、ゲルに弾力が出て、メチルセルロースの風味がマスキングされた。
【0093】
<実験4 結着剤の検討>
(試験例4−1)〜(試験例4−5)
試験例1−3−3の身層を凍結したものと、試験例2−2−11の中間層を凍結したものと、試験例3−1−14の皮層を凍結したものに、下記表8に記載した粉末を身層−中間層間、及び中間層−皮層間に0.02g/cm
2となるように散布した後、99℃で5分スチームし、結着度合いを確認した。なお、卵白はサンキララ(登録商標)SHG(太陽化学社)を、澱粉は馬鈴薯澱粉を使用し、分離大豆蛋白粉末はニューフジプロ(登録商標)SEH(不二製油社)、カルシウム塩を含むアルギン酸ナトリウム製剤は昆布ヘルシー(キミカ社)、メチルセルロースは、MCE−4000(信越化学社)を使用した。
【0094】
それぞれの試験区の結着度合いの評価を行った。評価は、5人のベテランパネラーで行い、非常に良好なもの(卵白と同等)を◎、良好なもの(卵白に劣るが結着しているもの)を○、劣るもの(はがれやすいもの)を△、非常に劣るもの(結着しないもの)を×とした。評価結果についても下記表8に記載する。
【0095】
【表8】
【0096】
実験4で示すようにコントロールである卵白と同等に身層−中間層及び中間層−皮層の結着する結着剤としては、カルシウム塩を含むアルギン酸ナトリウム製剤、メチルセルロースが良い結果となった。
【0097】
<実験5 動物由来原料を含まないウナギ様食品の作製>
(実施例1)
試験例1−3−3の身層の表面をガスバーナーで表面を炙り凍結し、凍結した身層を作製した。
【0098】
試験例2−2−11で作製した中間層を凍結し、凍結した中間層を作製した。
【0099】
試験例3−1−14の皮層用スラリーに色素として竹炭を0.1重量%となるように添加した黒色の皮層用スラリーと、試験例3−1−14の皮層用スラリー(白色)を
図4で示すように幅約30mmとなるように黒−白−黒の順で厚さ1mmとなるように板に延ばす以外は試験例3−1−14と同様にして皮層を作製し、凍結して凍結した皮層を作製した。
【0100】
凍結した身層、中間層、皮層を、身層−中間層間、及び中間層−皮層間に0.02g/cm
2となるようにアルギン酸ナトリウムとカルシウム塩を含む製剤(昆布ヘルシー キミカ社)を散布し、三層構造物とした後、99℃で5分スチームして結着させ、ウナギ様食品(白焼き風)を作製した。
【0101】
(実施例2)
実施例1で作製したウナギ様食品に蒲焼き様のタレを表面に塗り、ガスバーナーで再度表面を炙り、ウナギ様食品(蒲焼き風)を作製した。
【0102】
(実施例3)
スチーム処理で結着せずに、三層構造物を冷凍する以外は実施例1と同様にウナギ様食品を作製した。
【0103】
(実施例4)
図6で示すように、ウナギ様の型の中に、試験例1−3−3の身層用スラリーを充填した後、その上に約1mm厚となるように試験例2−2−11の中間層スラリーを塗り広げた。
【0104】
試験例3−2−13の皮層用スラリーに色素として竹炭を0.1重量%となるように添加した黒色の皮層用スラリーと、試験例3−2−13の皮層用スラリー(白色)とを幅約30mmとなるように黒−白−黒の順で厚さ1mmとなるように中間層用スラリーの上に塗り広げ三層構造物とした。
【0105】
作製した三層構造物を型ごと99℃で6分スチームして、三層構造物を凝固し、型から取り出した。
【0106】
型から取り出した三層構造物の皮面・表面をガスバーナーで炙り、ウナギ様食品(白焼き風)を作製した。
【0107】
(比較例1)
中間層を無くし、身層と皮層の間に、0.02g/cm
2となるようにアルギン酸ナトリウムとカルシウム塩を含む製剤(昆布ヘルシー キミカ社)を散布し、二層構造物とした後、99℃で6分スチームして結着させ、二層構造のウナギ様食品(白焼き風)を作製する以外は、実施例1の方法に従ってウナギ様食品を作製した。
【0108】
実施例1〜4、比較例1を電子レンジ500W、2分間加熱し、喫食した。実施例1、3、4及び比較例1は加熱後にウナギ用のタレをかけた。
【0109】
実施例1〜4及び比較例1を喫食し、評価した結果を下記表9に示す。評価は5人のベテランパネラーで行い、評価基準は、食感、風味について行い、ウナギ様食品として非常に良好なものを◎、良好なものを○、劣るものを△、非常に劣るものを×とした。評価結果を下記表9に示す。
【0110】
【表9】
【0111】
実施例1〜4、比較例1で示すように中間層を設けた三層構造とすることにより、より本物のウナギに近い食感が付与されるだけでなく、ウナギの持つ油のジューシーな風味が付与される。皮層については、アルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化したものと、メチルセルロースをゲル化したもので、一長一短あるが、どちらを用いてもウナギ様の食感を出すのに非常に良好であった。
【0112】
また、実施例1〜3で示すように、アルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化した皮層を用いる場合は、結着剤などで身層−中間層及び中間層−皮層を接着させる必要がある。このとき、実施例3で示すように必ずしも初めから各層を加熱によって結着させる必要はなく、凍結した状態で接着させておいてから、電子レンジ調理などの調理時の加熱で結着させてもよい。
【0113】
実施例4で示すようにメチルセルロースをゲル化した皮層を用いる場合は、身層、皮層にメチルセルロースが含まれているため、結着剤を使用することなく、各層の生地やスラリーを塗り合わせて加熱するだけで三層が一体化したウナギ様食品を製造することができる。