【解決手段】エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂(B1)とポリヒドロキシ化合物(E)とポリイソシアネート化合物(F)とに由来した構造を有すると共にウレタン変性率が5〜30質量%であるウレタン変性エポキシ樹脂(B)、ジシアンジアミド(C)、並びに、リン系化合物、第3級アミン、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯体、第四級アンモニウム塩及び尿素誘導体からなる群から選択される1種以上の硬化促進剤(D)を必須成分とするエポキシ樹脂組成物に、硬化温度を2段階以上に変化させる加熱処理を施す硬化方法であって、1段階目の加熱処理を(A)、(C)及び(D)の混合物をDSCにて昇温速度10℃/分の条件で測定したときに得られる発熱開始温度の±10℃で10分以上硬化させることを特徴とする樹脂組成物の硬化方法、及びそれを用いた成形体の製造方法である。
エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂(B1)とポリヒドロキシ化合物(E)とポリイソシアネート化合物(F)とに由来した構造を有すると共にウレタン変性率が5〜30質量%であるウレタン変性エポキシ樹脂(B)、ジシアンジアミド(C)、並びに、リン系化合物、第三級アミン、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯体、第四級アンモニウム塩及び尿素誘導体からなる群から選択される1種以上の硬化促進剤(D)を必須成分とするエポキシ樹脂組成物に、硬化温度を2段階以上に変化させる加熱処理を施す硬化方法であって、
1段階目の加熱処理を、(A)、(C)及び(D)の混合物を示差走査熱量分析(DSC)にて昇温速度10℃/分の条件で測定したときに得られる発熱開始温度の±10℃で10分以上硬化させることを特徴とするエポキシ樹脂組成物の硬化方法。
硬化促進剤(D)が3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア又は1,1‘−(4−メチル−m−フェンレン)−ビス−(3,3’−ジメチル)ウレアである請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化方法。
エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂(B1)とポリヒドロキシ化合物(E)とポリイソシアネート化合物(F)とに由来した構造を有すると共にウレタン変性率が5〜30重量%であるウレタン変性エポキシ樹脂(B)、ジシアンジアミド(C)、並びに、リン系化合物、第三級アミン、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯体、第四級アンモニウム塩及び尿素誘導体からなる群から選択される1種以上の硬化促進剤(D)を必須成分とするエポキシ樹脂組成物と、強化繊維とを含む繊維強化複合材料に、硬化温度を2段階以上に変化させる加熱処理を施して成形体を製造する方法であって、
1段階目の加熱処理を、(A)、(C)及び(D)の混合物を示差走査熱量分析(DSC)にて昇温速度10℃/分の条件で測定したときに得られる発熱開始温度の±10℃で10分以上硬化させることを特徴とする成形体の製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来、炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維と、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂からなる繊維強化複合材料は、軽量でありながら、強度や剛性などの力学特性や耐熱性、また耐食性に優れているため、航空・宇宙、自動車、鉄道車両、船舶、土木建築およびスポーツ用品などの数多くの分野に応用されてきた。特に、高性能が要求される用途では、連続した強化繊維を用いた繊維強化複合材料が用いられ、強化繊維としては比強度、比弾性率に優れた炭素繊維が、そしてマトリックス樹脂としては熱硬化性樹脂、中でも特に炭素繊維との接着性に優れたエポキシ樹脂が多く用いられている。しかし、一般にエポキシ樹脂(硬化物)は脆い、すなわち靭性や伸びが低いことが欠点であるため、これをそのまま用いた繊維強化複合材料の力学特性は低くなってしまい満足するものではなかった。
【0003】
エポキシ樹脂の靱性や伸びを向上させる方法として、靱性に優れるゴム成分や熱可塑性樹脂を配合する方法などが試されてきた。例えば、カルボキシル基を含有するアクリロニトリル−ブタジエンゴムのようなゴム成分をエポキシ樹脂に配合することにより、エポキシ樹脂の靱性が改善されることは1970年代から検討されており、一般によく知られている。しかしながら、ゴム成分は、耐熱性低下や弾性率低下を引き起こす上、ゴム成分による靱性改質効果を十分に得るためには、ゴム成分を多量に配合する必要がある。このため、エポキシ樹脂本来の耐熱性や力学特性が低下し、良好な物性を有する複合材料が得られないという欠点があった。
【0004】
また、エポキシ樹脂に熱可塑性樹脂を配合する方法としては、ポリエーテルスルホン、ポリスルホンおよびポリエーテルイミドのような熱可塑性樹脂をエポキシ樹脂に溶解、あるいは微粉末で配合し溶解することにより、エポキシ樹脂中に熱可塑性樹脂を均一に分散させる方法があり、エポキシ樹脂の持つ機械物性を損なうことなしに靱性を向上し、耐衝撃性に優れた繊維強化複合材料が得られることが知られている(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、この方法では、靱性改質効果を十分に得るためには、これらの熱可塑性樹脂を多量に配合する必要がある。その結果エポキシ樹脂組成物の粘度が大幅に上昇し、プリプレグを得る際のプロセス性の大幅な低下や、得られるプリプレグにおける樹脂未含浸部を生じたり、プリプレグを硬化して得られる繊維強化複合材料にボイドが生じるというような欠点があった。
【0006】
この問題に対して、エポキシ樹脂に実質的に不溶なポリマー粒子を用いる方法が提案されている。中でも、ポリマーを主成分とする粒子状のコア部分と、コア部分とは異なるポリマーをグラフト重合するなどの方法でコア部分の表面の一部あるいは全体を被覆したコアシェルゴム粒子を配合する方法が提案されている(例えば、特許文献2、3)。この方法ではエポキシ樹脂組成物の粘度上昇、エポキシ樹脂硬化物のTg低下を抑制できることが知られている。
【0007】
しかしながら、十分な靱性向上効果を得るためには大量のコアシェルゴム粒子の配合が必要であり、この結果エポキシ樹脂硬化物の弾性率が低下し、ひいては繊維強化複合材料の力学特性の低下を引き起こすという問題が依然として残されていた。
【0008】
その他、長鎖エポキシ樹脂を使用する手法も提案されている(特許文献4)。しかしながら、長鎖エポキシ樹脂は組成物の粘度を上昇させる上、貯蔵安定性の悪化を招く。
【0009】
硬化条件を変更する事で機能性を発現する手法も提案されている(特許文献5)。しかしながら、イミダゾール系の硬化促進剤を必須としていた。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の硬化方法は、所定のエポキシ樹脂組成物を用いて、硬化温度を2段階以上に変化させる加熱処理を施して硬化するに際して、1段階目の加熱処理を、後記の(A)、(C)及び(D)の混合物を示差走査熱量分析(DSC)にて昇温速度10℃/分の条件で測定したときに得られる発熱開始温度の±10℃で10分以上行うことを特徴とする。
【0018】
ここで、本発明で使用するエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、ウレタン変性エポキシ樹脂(B)、ジシアンジアミド(C)、硬化促進剤(D)を必須成分とする。以下、エポキシ樹脂(A)、ウレタン変性エポキシ樹脂(B)、ジシアンジアミド(C)、硬化促進剤(D)を、それぞれ(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分ともいう。
【0019】
本発明で使用するエポキシ樹脂(A)の配合量は、(A)〜(D)成分の合計100質量部の内、55〜95質量部が好ましく、より好ましくは60〜90質量部、さらに好ましくは60〜80質量部である。
エポキシ樹脂(A)としては、1分子中に2つのエポキシ基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、イソホロンビスフェノール型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂や、これらビスフェノール型エポキシ樹脂のハロゲン、アルキル置換体、水添品、単量体に限らず複数の繰り返し単位を有する高分子量体、アルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルや、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂や、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレ−ト、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン等の脂環式エポキシ樹脂や、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂や、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステルや、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシリレンジアミン等のグリシジルアミン類等を用いることができる。これらのエポキシ樹脂中、粘度増加率の観点から1分子中に2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好ましく、それよりエポキシ基が多い多官能のエポキシ樹脂は好ましくない。その中でビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂が最も好ましい。これらは1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
本発明で使用するエポキシ樹脂(A)は、25℃におけるE型粘度計(コーンプレートタイプ)を使用して測定した粘度が1〜80Pa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは3〜70Pa・s、より好ましくは5〜50Pa・sである。これにより良好な強化繊維への含浸性を有し、含浸後にも繊維から樹脂の液垂れが起きにくいものとなる。また、エポキシ樹脂(A)は数種類の混合物でも良く、その混合物の粘度が上記範囲であることが好ましい。
【0021】
本発明で使用するウレタン変性エポキシ樹脂(B)は、分子内に水酸基を有してもよいエポキシ樹脂(B1)と、ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールなどのポリヒドロキシ化合物(E)と、ポリイソシアナート化合物(F)とを、例えばスズ(II)オクトエート等の触媒の存在下で加熱反応させることによって得られる。それゆえ、当該ウレタン変性エポキシ樹脂(B)は、少なくとも、これらB1、E及びFに由来した構造(構成単位)を有するものである。なお、このウレタン変性エポキシ樹脂(B)には、実質的にポリウレタンと結合されていない未変性エポキシ樹脂が含有されていてもよい。この場合、ポリヒドロキシ化合物(E)の内、数平均分子量100以下のポリヒドロキシ化合物中の水酸基と、ポリイソシアネート化合物(F)中のイソシアネート基との当量比(水酸基/イソシアネート基)が1以下であることが好適である。
【0022】
本発明で使用するウレタン変性エポキシ樹脂(B)は、ウレタン変性率を下記式にて定義する。
ウレタン変性率=[〔ポリヒドロキシ化合物(E)の質量+ポリイソシアネート化合物(F)の質量〕/ウレタン変性エポキシ樹脂(B)の質量]×100
=[〔(E)+(F)〕/(B)]×100
ウレタン変性エポキシ樹脂(B)のウレタン変性率としては、粘度と機能性の観点から、5〜30重量%が好ましく、7〜30重量%がより好ましい。30重量%を超えるとエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり、5重量%より低いと十分な機能性を発現しない。
上記ウレタン変性率とするために、得られるウレタン変性エポキシ樹脂(B)の合計量に対して、原料として使用するポリヒドロキシ化合物(E)とポリイソシアネート化合物(F)の合計量を5〜30重量%にするとよい。好ましくは7〜30重量%である。
【0023】
ウレタン変性エポキシ樹脂(B)の原料として使用するエポキシ樹脂(B1)は、一般的なエポキシ樹脂が使用されるが、中でもビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、水酸基を有してもよい。水酸基を有する場合の水酸基当量としては、好ましくは1500〜10000g/eq、より好ましくは1800〜8000g/eqである。水酸基当量が1500g/eqより低い場合、ウレタン変性エポキシ樹脂の粘度が高くなるおそれがあり、10000g/eqより高い場合、硬化物の機能性の低下を招くおそれがある。
【0024】
ウレタン変性エポキシ樹脂(B)の原料として使用するポリヒドロキシ化合物(E)としては、ヒドロキシカルボン酸とアルキレンオキシドの付加物、ポリブタジエンポリオール、ポリオレフィンポリオール、低分子グリコール等を用いることもできる。
【0025】
ポリヒドロキシ化合物(E)の分子量としては、特に制限されるものではないが、柔軟性と硬化性のバランスに優れる点から、重量平均分子量として80〜5000、特に90〜3000の範囲のものを用いることが好ましい。
【0026】
さらに、ウレタン変性エポキシ樹脂(B)の原料として使用するポリイソシアネート化合物(F)としては、脂肪族、脂環式または芳香族ポリイソシアネートが挙げられ、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネートなどが挙げられ、これらのポリイソシアネート化合物は単独でも2種以上を併用することもできる。これらの中でも、得られる硬化物の機械的物性に優れる点から、芳香族ポリイソシアネートであることが好ましく、特に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを用いることが好ましい。
【0027】
ウレタン変性エポキシ樹脂(B)は、25℃におけるE型粘度計(コーンプレートタイプ)を使用して測定した粘度が5〜300Pa・sの範囲が好ましく、より好ましくは6〜200Pa・s、さらに好ましくは7〜100Pa・sである。これにより良好な強化繊維への含浸性を有し、含浸後にも繊維から樹脂の液垂れが起きにくいものとなる。ウレタン変性エポキシ樹脂(B)は数種類の混合物でもよく、その混合物の粘度が上記範囲であることが好ましい。
また、ウレタン変性エポキシ樹脂(B)は、エポキシ当量が好ましくは100〜1000g/eq.より好ましくは150〜500g/eq.である。
【0028】
本発明で使用するエポキシ樹脂組成物には、硬化剤としてジシアンジアミド(C)が用いられる。ジシアンジアミドは常温で固体の硬化剤であり、室温ではエポキシ樹脂にほとんど溶解しないが、180℃以上まで加熱すると溶解し、エポキシ基と反応するという特性を有する室温での保存安定性に優れた潜在性硬化剤である。使用する量としてはエポキシ樹脂(A)のエポキシ当量に対して0.2〜0.8当量(ジシアンジアミド1モルを4当量として計算)の範囲で配合することが好ましい。より好ましくは0.2〜0.6当量である。エポキシ当量に対して0.2当量未満では硬化物の架橋密度が低くなり、破壊靱性が低くなりやすくなり、0.8当量を超えると未反応のジシアンジアミドが残り易くなるため、機械物性が悪くなる傾向にある。
【0029】
本発明で使用する硬化促進剤(D)としては、特に制限されないが、リン系化合物、第三級アミン、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯体、第四級アンモニウム塩、尿素誘導体等が挙げられる。これらのうち、尿素誘導体を用いることが好ましい。なお、これらの硬化促進剤は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
ここで、リン系化合物としては有機リン系化合物が好ましく、有機リン系化合物の例としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンなどが挙げられる。
【0031】
第三級アミンとしては、ラウリルジメチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)などが挙げられる。
【0032】
有機酸金属塩の例としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛、アルミニウムアセチルアセトン錯体などが挙げられる。
【0033】
ルイス酸の例としては、電子対を受容する性質を有する化合物(遷移金属系化合物を含む)であればよいが、その特性を考慮すると、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムの他、チタン、亜鉛、スズ、スカンジウム、イッテルビウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、鉄及び銅のいずれかの元素を含む化合物であることが好ましい。
【0034】
アミン錯体の例としては、第三級アミンのカルボン酸塩、スルホン酸塩、無機酸塩などが挙げられる。カルボン酸塩としては、オクチル酸塩などの炭素数1〜30(特に、炭素数1〜10)のカルボン酸の塩(特に、脂肪酸の塩)などが挙げられる。スルホン酸塩としては、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩などが挙げられる。第三級アミン塩の代表的な具体例としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)の塩(例えば、p−トルエンスルホン酸塩、オクチル酸塩)などが挙げられる。
【0035】
第四級アンモニウム塩の例としては、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチ
ルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭
化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラブチルアン
モニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、塩化トリ
エチルベンジルアンモニウム、臭化トリエチルベンジルアンモニウム、ヨウ化トリエチル
ベンジルアンモニウム、塩化トリエチルフェネチルアンモニウム、臭化トリエチルフェネ
チルアンモニウム、臭化トリエチルフェネチルアンモニウムなどが挙げられる。
【0036】
尿素誘導体としては3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)、1,1‘−(4−メチル−m−フェンレン)−ビス−(3,3’−ジメチル)尿素(TDU)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエン、フェニルジメチルウレア(PDMU)等の尿素誘導体が好ましい。これらの中でも、特に3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)あるいは1,1‘−(4−メチル−m−フェンレン)−ビス−(3,3’−ジメチル)尿素(TDU)は機能性を発現しやすく、好ましい。
【0037】
本発明における成分(D)は、全エポキシ樹脂組成物100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましい。成分(D)の含有量が0.5質量部より小さいと機能が発現せず、10質量部以上では貯蔵安定性が悪化するおそれがある。
【0038】
また、硬化促進剤(D)が固形である場合、分散不良を起こしやすいためジシアンジアミド(C)と同様にエポキシ樹脂の一部を使用し、三本ロールにて予備混練を行い、マスターバッチとして使用することが好ましい。
【0039】
本発明のエポキシ樹脂組成物の製造は、様々な公知の方法で製造することができる。例えば、各成分をニーダーにて混練する方法がある。また、二軸の押出機を用いて混練してもよい。ジシアンジアミド(C)は、固形状態のまま各成分中に分散されるが、一度に全ての成分を混練した場合、ジシアンジアミドが凝集して分散不良となる場合がある。分散不良のエポキシ樹脂組成物は、硬化物中に物性ムラが生じたり、硬化不良を生じたりするため好ましくない。よって、ジシアンジアミドはエポキシ樹脂の一部を使用し、三本ロールにて予備混練を行い、マスターバッチとして使用することが好ましい。
【0040】
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる硬化促進剤(D)の配合量は、ジシアンジアミド(C)の量100質量部に対し、好ましくは5〜250質量部、より好ましくは10〜100質量部とする。硬化促進剤(D)が5質量部より少ない場合、硬化性の発現が困難となり、250質量部より多くなるとより短期間で硬化性が進行するものの、硬化物が脆くなる傾向にある。
【0041】
本発明においては、上述のとおり、硬化温度を2段階以上に変化させる加熱処理を施すことを必須とする。そのうち、1段階目の加熱処理を、(A)、(C)及び(D)の混合物をDSCにて昇温速度10℃/分の条件で測定したときに得られる発熱開始温度の±10℃で10分以上行って硬化させることとする。このように(A)、(C)及び(D)の混合物を基準とすることで、この発熱開始温度とは、上記の成分(A)、(C)及び(D)を所定量配合した混合物を用い、昇温速度10℃/分の条件でDSC測定したときの時間当たりの発熱量の外挿で表される温度である。本発明においてはこのように(A)、(C)及び(D)の混合物の測定を基準とすることで、発熱開始温度や発熱ピーク温度のスクリーニングの際に対象組成物それ自体のDSC測定を行う煩雑さ等を避けると共に、類似した組成物を同じ条件で硬化できるように一般化できるといった側面・利点があり、しかも、(B)成分の有無によって発熱開始温度や発熱ピーク温度がほとんど左右されないということが確認されたからである。
図1にその測定法を示す。
図1において、(A)、(C)及び(D)の混合物について、時間当たりの発熱量を外挿し、その交点を発熱開始温度と定義し、また発熱量の最大値を示す温度を発熱ピーク温度とした。
【0042】
そして、上記のDSC発熱開始温度の±10℃で10分以上、より好ましくは±5℃で20分以上硬化させることを必須とする。発熱開始温度の+10℃よりも高い温度もしくは−10℃よりも低い温度で硬化させた場合、十分な機能性は発現しない。10分より短時間で硬化させた場合も同様である。
【0043】
このような1段階目の加熱処理を行った後の加熱処理は、特に制限されるものではないが、発熱ピーク温度以上の任意温度で、10分〜10時間の範囲の任意時間で加熱することで架橋反応を進行させて硬化物を得ることができる。2段階目以降の加熱条件は1段階でもよく、複数の加熱条件を組み合わせた多段階条件でもよい。好ましくは、発熱ピーク温度の+10℃から30℃の範囲である。特に燃料電池に使用されるような水素ガスなどを充填する高圧力容器を想定した場合は、110〜180℃の温度の範囲の任意温度で、10分〜5時間の範囲の任意時間で加熱硬化することにより、所望する硬化物の物性を得ることができる。
【0044】
このような本発明の硬化方法を行うことによって、通常用いられる硬化の温度、特に、好適に用いられる発熱ピーク温度に近接した温度で硬化させたものと比較して、硬化物のガラス転移温度(Tg)及び引張ひずみ(引張伸度)を向上させることができ、具体的には、Tgが1〜5℃程度向上し、かつ引張ひずみ(引張伸度)が6〜10%程度に向上したエポキシ樹脂硬化物を得ることができる。
【0045】
ここで、本発明のエポキシ樹脂組成物には、公知のコアシェルポリマーを用いてもよい。コアシェルポリマーを適用する場合、コアシェルポリマーは平均粒子径が体積平均粒子径で1〜500nmであることが好ましく、3〜300nmであればさらに好ましい。なお、体積平均粒子径はナノトラック粒度分布測定装置(日機装(株)製)を用いて測定することができる。コアシェルポリマーの体積平均粒子径が1nm以下では製造することが困難であるか、または非常に高価となり実質的に使用することができず、体積平均粒子径が500nm以上では、例えばトウプリプレグの製造に使用する際に、エポキシ樹脂組成物を含浸させる工程において、数千本レベルで存在する強化繊維が網のような状態になるため、この強化繊維で濾別され、トウプリプレグ中において分散状態が不均一になるおそれがある。
【0046】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに他の安定剤、改質剤等を含んでいてもよい。好ましい安定剤としては、B(OR)
3(但し、Rは水素原子、アルキル基あるいはアリール基を表す。)で表されるホウ酸化合物が好ましい。ホウ酸化合物の配合量は、樹脂組成物全体を100質量部に対して0.01〜10質量部であり、好ましくは0.1〜3質量部である。0.01質量部未満の添加量では貯蔵時の安定性を確保することができず、また10質量部を越えると硬化反応を阻害する効果のほうが大きくなってしまい、硬化不良を誘発するので好ましくない。
【0047】
本発明で使用するエポキシ樹脂組成物には、添加剤として表面平滑性を向上させる目的で消泡剤、レベリング剤を添加することが可能である。これら添加剤は樹脂組成物全体を100質量部に対して0.01〜3質量部、好ましくは0.01〜1質量部を配合することができる。配合量が0.01質量部未満では表面を平滑にする効果が表れず、3質量部をこえると添加剤が表面にブリードアウトを起こしてしまい、逆に平滑性を損なう要因となるため好ましくない。
【0048】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、他の硬化性樹脂を配合することもできる。このような硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、硬化性アクリル樹脂、硬化性アミノ樹脂、硬化性メラミン樹脂、硬化性ウレア樹脂、硬化性シアネートエステル樹脂、硬化性ウレタン樹脂、硬化性オキセタン樹脂、硬化性エポキシ/オキセタン複合樹脂等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0049】
本発明で使用するエポキシ樹脂組成物は、E型粘度計を使用して測定した粘度が好ましくは5〜80Pa・s(25℃)、より好ましくは6〜75Pa・s(25℃)、特に好ましくは7〜70Pa・s(25℃)である。粘度が高すぎると後述する強化繊維への含浸性が悪化し、粘度が低すぎる場合、ジシアンジアミドや硬化促進剤の沈降を招くおそれがある。
【0050】
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化方法は、トウプリプレグなどの繊維強化複合材料に好適に用いられる。ここで用いられるトウプリプレグの製造方法は特に限定されないが、該エポキシ樹脂組成物をメチルエチルケトンやメタノールなどの有機溶媒に溶解させて低粘度化し、強化繊維束を浸漬させながら含浸させた後、オーブンなどを用いて有機溶媒を蒸発させてトウプリプレグとするウェット法、あるいは、有機溶媒を用いずに加熱して低粘度化した該エポキシ樹脂組成物をロールや離型紙上にフィルム化し、次いで強化繊維束の片面、あるいは両面に転写したあと、屈曲ロールあるいは圧力ロールを通すことで加圧して含浸させるホットメルト法、該エポキシ樹脂組成物を、加熱により低粘度化し、強化繊維束を浸漬させながら含浸させるフィラメントワインディング法などで製造でき、トウプリプレグ中に残留する有機溶媒が実質的に皆無であり、生産性が高く高品位なトウプリプレグが製造できることから、フィラメントワインディング法を好ましく用いることができる。このような製造法を用いることで樹脂含浸されたトウプリプレグを得ることができる。
【0051】
上記の強化繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ボロン繊維等から選ばれるが、強度に優れた繊維強化複合材料を得るためには炭素繊維を使用するのが好ましい。
【0052】
そして、本発明の硬化方法で用いられるエポキシ樹脂組成物と強化繊維とを含んだ複合材料(繊維強化複合材料)を上記の硬化方法により硬化することで、同じようにTg及び引張ひずみ(引張伸度)が向上された成形体を得ることができる。このような繊維強化複合材料及びその成形体において、強化繊維の体積含有率は、好ましくは30〜75%、より好ましくは45〜75%であり、この範囲であると空隙が少なく、かつ強化繊維の体積含有率が高い成形体が得られるため、優れた強度の成形体が得られる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。各実施例の樹脂組成物を得る
ために、下記の樹脂原料を用いた。
【0054】
<(A)エポキシ樹脂>、<(B1)エポキシ樹脂>
・液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂:YDF−170(日鉄ケミカル&マテリアル製)水酸基当量2489(g/eq)、エポキシ当量168(g/eq)
・液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂:YD−128(日鉄ケミカル&マテリアル製)水酸基当量1800(g/eq)、エポキシ当量188(g/eq)
<(B)ウレタン変性エポキシ樹脂>
・後述の合成例1〜4で得られたb1〜b4
<(C)ジシアンジアミド>
・ジシアンジアミド:DICYANEX1400F(AIRPRODUCT社製)
<(D)硬化促進剤>
・DCMU:3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(保土々谷化学株式会社)
・2MAOK−PW:2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物(四国化成工業製)
・TPTP:トリ-p-トリルホスフィン(北興化学工業株式会社)
<(E)ポリヒドロキシ化合物>
・ポリプロピレングリコール:P−2000(ADEKA製)、水酸基当量1020(g/eq)
・1,4−ブタンジオール(1,4-BD):関東化学製、水酸基当量45(g/eq)
<(F)ポリイソシアネート化合物>
・ジイソシアネート:コスモネートPH(三井化学製)
【0055】
測定方法を以下に示す。
エポキシ当量:JIS K 7236規格に準拠して測定した。具体的には、電位差滴定装置を用い、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、臭素化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液を加え、0.1mol/L過塩素酸−酢酸溶液を用いた。
【0056】
水酸基当量:ジメチルホルムアミド25mlを200mlガラス栓付三角フラスコにとり、水酸基11mg/当量以下を含む試料を精秤して加え溶解させる。1mol/L−フェニルイソシアネートトルエン溶液20mlとジブチルスズマレート触媒溶液1 mlとをそれぞれピペットで加え、よく振り混ぜて混合し、密栓して30〜60分間反応させる。反応終了後2mol/L−ジブチルアミントルエン溶液20mlを加えよく振り混ぜて混合し、15分間放置して過剰のフェニルイソシアネートと反応させる。次に、メチルセロソルブ30mllとブロムクレゾールグリーン指示薬0.5mlとを加え、過剰のアミンを標定済の1mol/L−過塩素三メチルセロソルブ溶液で滴定する。指示薬は青から緑さらに黄色へと変化するので、黄色になった最初の点を終点とし、以下の式(i)、式(ii)を用いて水酸基当量を求めた。
水酸基当量 (g/eq)=(1000×W)/C(S-B)・・・(i)
C:1mol/l−過塩素酸メチルセロソルブ溶液の濃度 mol/l
W:試料量 (g)
S:試料の滴定に要した1 mol/l−過塩素酸メチルセロソルブ溶液の滴定量 (ml)
B:滴定の際のブランクテストに要した1mol/l−過塩素酸メチルセロソルブ溶液の滴定量(ml)
C=(1000×W)/{121×(s-b)}・・・(ii)
w:標定のために秤取したトリス−(ハイドロキシメチル)−アミノメタンの採取量(g)
s:トリス−(ハイドロキシメチル)−アミノメタンの滴定に要した1 mol/l−過塩素酸メチルセロソルブ溶液の滴定量 (ml)
b:標定の際のブランクテストに要した1 mol/l−過塩素酸メチルセロソルブ溶液の滴定量(ml)
【0057】
発熱ピーク温度:示差走査熱量測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 EXSTAR6000 DSC6200)にて10℃/分の昇温条件で測定を行った時の時間辺りの発熱量が最大になったときの温度で表した。
【0058】
発熱開始温度:示差走査熱量測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 EXSTAR6000 DSC6200)にて10℃/分の昇温条件で測定を行った時の時間当たりの発熱量の外挿で表した。
【0059】
Tg:示差走査熱量測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 EXSTAR6000 DSC6200)にて10℃/分の昇温条件で測定を行った時のDSC外挿値の温度で表した。
試験片の状態調節及び試験雰囲気についてはJIS K−7100に準じた。
【0060】
破壊靭性(K1c):ASTM E399に準じた。具体的には、幅10mm、厚み4mm、長さ50mmの試験片を作成し、室温23℃下、クロスヘッドスピード0.5mm/分で測定した。
【0061】
引張弾性率、引張強度、引張ひずみ:JIS K7161に準じた。具体的には、万能材料試験機(島津サイエンス株式会社製 オートグラフAGS−H)を使用した。室温にて、掴み部を含めた全長215mm、幅10mm、厚み4mmの寸法のダンベル試験片を、チャック間114mm、速度50mm/min.で引張試験し、得られた応力−歪線図から引張強度、引張弾性率、引張ひずみを求めた。
【0062】
参考例
発熱開始温度及び発熱ピーク温度の測定に使用する混合物は、以下に従い調製した。
YD−128、ジシアンジアミド、及び各硬化促進剤を、表1の配合(wt%)で加え混練して、混合物とした。示差走査熱量測定装置にて10℃/分の昇温条件で測定を行った時の時間辺りの発熱量から外挿した発熱開始温度及び発熱ピーク温度の測定結果を合わせて表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
合成例1
エポキシ樹脂として『エポトートYDF−170』89.1gを窒素導入管、攪拌機、温度調節器を備えた1L四つ口セパラブルフラスコに各々仕込み、室温で15分撹拌混合した。次に、ポリイソシアネートとして『コスモネートPH』5.7g及びジ−n−ブチルスズジラウラート(キシダ化学製)0.03gを同セパラブルフラスコに仕込み120℃で2時間反応させた後、『1,4−ブタンジオール』0.2gを同セパラブルフラスコに仕込み、120℃で2時間反応させて、ウレタン変性エポキシ樹脂100gを得た。反応が完結していることは、IR測定によりイソシアネート基の吸収スペクトルが消失したことで確認した。得られたウレタン変性エポキシ樹脂(b1)のエポキシ当量は189g/eqだった。
【0065】
合成例2
エポキシ樹脂として『エポトートYD−128』89.2gを窒素導入管、攪拌機、温度調節器を備えた1L四つ口セパラブルフラスコに各々仕込み、室温で15分撹拌混合した。次に、ポリイソシアネートとして『コスモネートPH』8.3g及びジ−n−ブチルスズジラウラート0.03gを同セパラブルフラスコに仕込み120℃で2時間反応させた後、『1,4−ブタンジオール』2.6gを同セパラブルフラスコに仕込み、120℃で2時間反応させて、ウレタン変性エポキシ樹脂100gを得た。反応が完結していることは、IR測定によりイソシアネート基の吸収スペクトルが消失したことで確認した。得られたウレタン変性エポキシ樹脂(b2)のエポキシ当量は210g/eqだった。
【0066】
合成例3
合成例1の合成法及び表2の配合に従い合成を行い、ウレタン変性エポキシ樹脂100gを得た。反応が完結していることは、IR測定によりイソシアネート基の吸収スペクトルが消失したことで確認した。得られたウレタン変性エポキシ樹脂(b3)のエポキシ当量は210g/eqだった。
【0067】
合成例4
合成例1の合成法及び表2の配合に従い合成を行い、ウレタン変性エポキシ樹脂100gを得た。反応が完結していることは、IR測定によりイソシアネート基の吸収スペクトルが消失したことで確認した。得られたウレタン変性エポキシ樹脂(b4)のエポキシ当量は248g/eqだった。
【0068】
【表2】
【0069】
実施例1〜7、比較例1〜8
(1)エポキシ樹脂組成物の調製
表3に示す組成(数値は質量部を示す)にて、エポキシ樹脂(A)、ウレタン変性エポキシ樹脂(B)、ジシアンジアミド(C)及び硬化促進剤(D)を加え、THINKY PLANETARY VACUUM MIXER(シンキー社製)を用いて2000rpm、4.0kPaの条件下で6分混練してエポキシ樹脂組成物を調製した。
【0070】
(2)試験片の作製
次に、上記(1)で調製したエポキシ樹脂組成物を、80℃の温度に加熱して、モールドに注入し、50℃の温度のオーブンで5℃/分で所定の温度まで昇温後、表3に示す硬化の条件(1st、2nd)で硬化して、厚さ4mmのエポキシ樹脂硬化物の板を作製した。次に、得られたエポキシ樹脂硬化物の板を切り出して試験分析に使用した。結果を合わせて表3に示す。
【0071】
【表3】