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特開2021-161990波力発電制御方法、波力発電制御装置、波力発電装置、及びフロート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-161990(P2021-161990A)
(43)【公開日】2021年10月11日
(54)【発明の名称】波力発電制御方法、波力発電制御装置、波力発電装置、及びフロート
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/18 20060101AFI20210913BHJP
【FI】
   F03B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-66218(P2020-66218)
(22)【出願日】2020年4月1日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「海洋エネルギー技術研究開発/次世代海洋エネルギー発電技術研究開発/リニア式波力発電」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】古関 隆章
(72)【発明者】
【氏名】黒崎 明
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA02
3H074AA12
3H074BB11
3H074BB19
3H074CC02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】波力発電の性能を向上させるための技術を提供する。
【解決手段】この装置は、ポイント・アブソーバ式又は可動物体型の波力発電装置であり、海上で浮遊し、波により変位するフロートと、フロートの運動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機と、フロート又は発電機を制御する波力発電制御装置と、を備える。波力発電制御方法は、波力発電装置が設置された海域の海象に関する情報を取得するステップ(S10、S12)と、波力発電装置が設置された海域の海象に関する情報を取得する海象情報取得部と、海象情報取得部により取得された情報に基づいて波力発電装置の発電態様を制御するステップ(S14、S16)と、を備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波力発電装置が設置された海域の海象に関する情報を取得するステップと、
取得された情報に基づいて前記波力発電装置の発電態様を制御するステップと、
を備える波力発電制御方法。
【請求項2】
前記情報は、波高、波周期、又はパワースペクトルを含む請求項1に記載の波力発電制御方法。
【請求項3】
前記発電態様を制御するステップは、前記波力発電装置による発電方式の種類若しくは制御パラメータ、前記波力発電装置に備えられた発電機の制御方式の種類若しくは制御パラメータ、又は前記波力発電装置に備えられたフロートの膨縮を制御するステップを含む請求項1又は2に記載の波力発電制御方法。
【請求項4】
前記発電態様を制御するステップは、前記波力発電装置による波力発電に使用されるフライホイールの接続数を制御するステップを含む請求項3に記載の波力発電制御方法。
【請求項5】
前記発電態様を制御するステップは、前記発電機の制御方式を、抵抗制御方式、共振制御方式、有義波周期同調制御方式、及びモデル予測同調制御方式の中から選択するステップを含む請求項3又は4に記載の波力発電制御方法。
【請求項6】
前記発電態様を制御するステップは、波高が所定値を超えた場合に前記フロートを収縮させるステップを含む請求項3から5のいずれかに記載の波力発電制御方法。
【請求項7】
前記発電態様を制御するステップにおいて制御された発電態様で前記波力発電装置が発電しているときに、その発電態様以外の発電態様で前記波力発電装置を運転させた場合の前記波力発電装置による発電性能を予測するステップと、
現在の発電態様以外の発電態様で前記波力発電装置を運転させた方が前記波力発電装置による発電性能が向上すると予測された場合、前記波力発電装置が設置された海域の海象に関する情報に基づいて前記波力発電装置の発電態様を決定するための基準を更新するステップと、
を更に備える請求項1から6のいずれかに記載の波力発電制御方法。
【請求項8】
前記波力発電装置が設置された海域の海象に関する情報と、前記波力発電装置の発電態様と、前記波力発電装置による発電性能とを対応付けて記録するステップと、
記録された情報に基づいて、前記波力発電装置が設置された海域の海象に関する情報に基づいて前記波力発電装置の発電態様を決定するための基準を更新するステップと、
を更に備える請求項1から7のいずれかに記載の波力発電制御方法。
【請求項9】
波力発電装置が設置された海域の海象に関する情報を取得する海象情報取得部と、
前記海象情報取得部により取得された情報に基づいて前記波力発電装置の発電態様を制御する発電態様制御部と、
を備える波力発電制御装置。
【請求項10】
波高及び波周期と、その波高及び波周期のときに制御すべき前記波力発電装置の発電態様とを対応付けて格納した制御テーブルを更に備え、
前記発電態様制御部は、前記制御テーブルを参照して、前記海象情報取得部により取得された波高及び波周期に基づいて前記波力発電装置の発電態様を制御する
請求項9に記載の波力発電制御装置。
【請求項11】
海上で浮遊し、波により変位するフロートと、
前記フロートの運動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機と、
前記フロート又は前記発電機を制御する波力発電制御装置と、
を備え、
前記波力発電制御装置は、
波力発電装置が設置された海域の海象に関する情報を取得する海象情報取得部と、
前記海象情報取得部により取得された情報に基づいて前記波力発電装置の発電態様を制御する発電態様制御部と、
を備える波力発電装置。
【請求項12】
前記フロートと、前記発電機又は前記波力発電制御装置が設置された構成要素とが、一体的に変位するように構成される請求項11に記載の波力発電装置。
【請求項13】
波力発電装置に備えられ、海上で浮遊し、波により変位するフロートであって、
海水よりも密度の低い流体を収容し、収容する前記流体の体積に応じて膨縮する収容部と、
前記収容部に前記流体を流出入させるために前記収容部に設けられた開口と、
を備えるフロート。
【請求項14】
前記収容部に前記流体を流出入させることにより前記収容部の径、水線面積、又は体積を変更可能に構成される請求項13に記載のフロート。
【請求項15】
前記波力発電装置に備えられた別の構成要素と一体的に変位するように構成される請求項13又は14に記載のフロート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は波力発電制御技術に関し、とくに、波力発電装置、波力発電装置を制御するための波力発電制御方法、波力発電制御装置、波力発電装置に備えられるフロートに関する。
【背景技術】
【0002】
洋上の波力を利用した波力発電を実用化するための研究開発が進められている。様々な方式の波力発電が検討されているが、現状では実用化には至っていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「ポイントアブゾーバ式波力発電装置における出力電力最大化制御の実用上の問題点とその解決法」、リニアドライブ研究会、LD−16−128、第87−92頁、2016年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
波力発電を実用化するためには、発電コストの軽減と、発電性能の更なる向上が必要である。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、波力発電の性能を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の波力発電制御方法は、波力発電装置が設置された海域の海象に関する情報を取得するステップと、取得された情報に基づいて波力発電装置の発電態様を制御するステップと、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、波力発電制御装置である。この装置は、波力発電装置が設置された海域の海象に関する情報を取得する海象情報取得部と、海象情報取得部により取得された情報に基づいて波力発電装置の発電態様を制御する発電態様制御部と、を備える。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、波力発電装置である。この装置は、ポイント・アブソーバ式又は可動物体型の波力発電装置であり、海上で浮遊し、波により変位するフロートと、フロートの運動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機と、フロート又は発電機を制御する波力発電制御装置と、を備える。波力発電制御装置は、波力発電装置が設置された海域の海象に関する情報を取得する海象情報取得部と、海象情報取得部により取得された情報に基づいて波力発電装置の発電態様を制御する発電態様制御部と、を備える。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、フロートである。このフロートは、波力発電装置に備えられ、海上で浮遊し、波により変位するフロートであって、海水よりも密度の低い流体を収容し、収容する流体の体積に応じて膨縮する収容部と、収容部に流体を流出入させるために収容部に設けられた開口と、を備える。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、波力発電の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態に係る波力発電装置の外観を模式的に示す図である。
図2】有義波周期とエネルギー変換効率との関係を示す図である。
図3】実施の形態に係るフロートの構造の例を示す図である。
図4】実施の形態に係るフロートの構造の例を示す図である。
図5】実施の形態に係るフロートの構造の別の例を示す図である。
図6】実施の形態に係るフロートの構造の別の例を示す図である。
図7】実施の形態に係るフロートの構造の別の例を示す図である。
図8】実施の形態に係るフロートの構造の別の例を示す図である。
図9】フロートに作用する最大波力を海象毎に表した図である。
図10】実施の形態に係る波力発電制御装置の構成を示す図である。
図11】発電態様判定基準の内部データの例を示す図である。
図12】実施の形態に係る波力発電制御方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、実施の形態に係る波力発電装置の外観を模式的に示す。波力発電装置10は、フロート11、キャビン12、ハル13、ピニオン・ギア14、ドライブ・コラム15、アンカー16、及び波浪計測ブイ17を備える。
【0014】
フロート11は、ハル13の周囲にドーナツ状に配置され、複数の収容部を備える。それぞれの収容部の内部には、海水よりも密度の低い空気又は水などの流体が収容される。これにより、フロート11とキャビン12及びハル13は一体となり、海上で浮遊して波により上下に変位することができる。
【0015】
フロート11が配置されているハル13の上方にキャビン12が設けられる。キャビン12は、海面よりも高い位置に設けられるので、保守担当者などが作業を行うことができる。キャビン12とハル13の中央に貫通孔が設けられる。ドライブ・コラム15は、貫通孔を貫通して下方に延伸するように設けられる。
【0016】
ドライブ・コラム15は、柱状の形状を有し、海底に設置されたアンカー16などに下端が固定される。フロート11とキャビン12及びハル13は、ドライブ・コラム15に沿って上下に摺動自在に支持される。
【0017】
ハル13の下部に、フロート11とキャビン12及びハル13の上下運動を回転運動に変換するためのピニオン・ギア14が設置され、キャビン12又はハル13の内部に、波力発電装置の発電態様を制御するための制御装置、発電機、計器などの機器や設備などが設置される。
【0018】
フロート11とキャビン12及びハル13は一体的に構成されており、波がフロート11にあたると、フロート11とキャビン12及びハル13が一体的に上下運動する。この上下運動がピニオン・ギア14により機械的に回転運動に変換され、発電機により電気エネルギーに変換される。
【0019】
ハル13の内部には、図示されていない発電機及びユーティリティー設備などが設置され、キャビン12の内部には制御装置などが設置されるので、波によって上下運動する可動物の質量を従来の波力発電装置に比べて大幅に増加させることができる。これにより、可動物の固有周期を長周期化し卓越周期に近づけることができるので、発電機による発電性能及び発電効率を向上させることができる。
【0020】
波力発電装置10は、複数の種類の発電方式によって発電可能に構成されている。また、複数の制御方式によって発電機を制御可能に構成されている。制御装置は、波力発電装置が設置されている海域の海象に関する情報に基づいて、波力発電装置による発電態様を動的に制御する。制御装置は、波浪計測ブイ17により計測された情報を波浪計測ブイ17から取得し、取得された情報に基づいて有義波高や有義波周期などの海象に関する情報を算出し、算出された情報に基づいて波力発電装置による発電方式や発電機の制御方式などの発電態様を動的に制御する。
【0021】
波力発電装置10は、図示されていない発電機の軸にフライホイールを配置する。フロート11の上下方向の運動はピニオン・ギア14と増速ギアを介して発電機の回転運動に転換される。このとき、発電機の軸上にあるフライホイールの回転慣性は、フロート11の上下運動に関わる質量と同等の効果を付加する。この質量効果の付加分は、物理原理によりフライホイールの回転慣性に(変速比/ピニオン・ギアの回転半径)の二乗を乗じて求まる。したがって、フライホイールをオン・オフしてフロート11の質量効果を加減することにより、フロート11の固有周期を調整することができる。
【0022】
本実施の形態の制御装置は、海象に関する情報に基づいてフライホイールの接続のオンオフを制御する。フライホイールは、直列に複数個設けられてもよく、フライホイールの接続をオンオフするための接続機構が設けられてもよい。制御装置は、接続機構を制御することにより、フライホイールの接続数をゼロから設置されたフライホイールの数までの任意の数に制御してもよい。これにより、よりきめ細かく波力発電装置10の発電態様を制御することができるので、発電性能及び発電効率を更に向上させることができる。
【0023】
波力発電装置10は、発電機の制御方式として、有義波周期別に発電抵抗を制御する抵抗制御(RLC)方式、有義波周期別に吸収エネルギーを最大化するように発電抵抗と推力を制御する共振制御(ARC)方式、有義波周期別に発電機出力端平均電力を最大化するように発電抵抗と推力を制御する有義波周期同調制御(ACL)方式、短区間の予測波に対して発電機出力端平均電力を最大化するように発電抵抗と推力をリアルタイムに制御するモデル予測同調制御(MPC)方式などの複数の制御方式の中から制御方式を選択可能に構成される。ARC方式、ACL方式、MPC方式は、発電機の推力により運動に位相差を与え、波周期との同調に近づけることができるので、発電性能を向上させることができる。とくに、ACL方式は、応答振幅の増加を抑えつつ高出力運転が可能であり、MPC方式は、リアルタイムな最適制御が可能であるため、大幅な発電性能の向上が期待できる。その反面、波力が制御力を頻繁に上回るような状況においては、応答振幅が過大になったり、制御の精度が低下したりする場合がある。したがって、海象に応じて最適な制御方式に切り替えることが重要である。
【0024】
図2は、有義波周期とエネルギー変換効率との関係を示す。直径7mのフロートを発電機(推力制限500kN)で運転し、発電機をモデル予測同調制御方式で制御した場合の、フロート幅の波パワーに対する平均発電量の比を、有義波周期と有義波高を変数としてシミュレーションにより算出した。最も下の曲線は、比較例として、発電機を抵抗制御方式で制御した場合のシミュレーション結果を示す。モデル予測同調制御方式で発電機を制御した場合は、実海域で出現頻度が高い4〜10秒程度の周期帯域において、25%〜40%と風力発電に比肩する高いエネルギー変換効率を示した。有義波周期が4.5秒以上の範囲では、有義波高によらず、抵抗制御方式よりもモデル予測同期制御方式の方がエネルギー変換効率が高い。その他の制御方式についても、有機波周期と有義波高を変数としてエネルギー変換効率をシミュレーションすることにより、有義波周期及び有義波高ごとに、その有義波周期及び有義波高の海象においてエネルギー変換効率を最大化することが可能な制御方式の種類を判定することができる。
【0025】
波力発電装置10は、フロート11の径、水線面積、又は体積を変更可能に構成される。大きな波エネルギーを取り込むためには、フロート11を大型化する方が有利であるが、荒天時には巨大な波エネルギーがフロート11にかかるため、安全性を担保するための構成が必要となり、多大なコストがかかる。本実施の形態では、このような課題を解決するために、フロート11を膨縮自在に構成し、荒天時にはフロート11を畳み込むことによりフロート11の浮力を下げ、フロート11を潜航させる。これにより、荒天時にフロート11にかかる波浪荷重を大幅に軽減することができる。したがって、波力発電装置10の構造を簡素化及び軽量化することができるので、製造コストを大幅に低減させることができる。
【0026】
図3及び図4は、実施の形態に係るフロート11の構造の例を示す。図3(a)は、フロート11の上面図であり、図3(b)は、フロート11の側面図である。図4は、収縮させたときのフロート11の上面図である。フロート11は、円筒状の支持部20と、支持部20の周囲に配置された複数の収容部23と、収容部23を支持部20に固定するための固定部21と、固定部21に設けられた回動軸22と、収容部23を保護するための保護部24と、収容部23が収縮したときに収容部23を内側に畳み込むための牽引具25とを備える。牽引具25は、空気シリンダー、油圧シリンダー、あるいはバネでもよい。
【0027】
それぞれの収容部23は、円筒の上下に半球面が接続された俵状の形状を有する。収容部23は、海水よりも密度の低い空気や真水などの流体を内部に収容し、収容する流体の体積に応じて膨縮する。収容部23は、収容部23に流体を流出入させるための開口を有する。図4に示した状態からフロート11を膨張させるときには、図示しないコンプレッサから流体を収容部23に流入させ、収容部23を膨張させる。このとき、それぞれの収容部23は、隣接する保護部24と押し合いながら、回動軸22を中心として反時計回りに開かれる。開かれる方向は時計回りでもよい。保護部24は、収容部23同士が接触して破損しないよう収容部23を保護するために、収容部23の側面の半周程度を覆うように設けられる。それぞれの収容部23が最大になるように膨張されたときに、収容部23同士が保護部24を介して互いに押し合って固定されるように構成される。これにより、個々の収容部23に印加される荷重を分散させることができるので、フロート11の耐久性を向上させることができる。図3に示した状態からフロート11を収縮させるときには、図示しないポンプにより収容部23の内部の流体を流出させ、収容部23を収縮させる。このとき、牽引具25による弾性力と外水圧により、それぞれの収容部23が回動軸22を中心として時計回りに閉じられる。これにより、フロート11の径、水線面積及び体積を縮小するとともに、フロート11の浮力を小さくすることができる。
【0028】
図5及び図6は、実施の形態に係るフロート11の構造の別の例を示す。図5(a)は、フロート11の部分上面図であり、図5(b)は、フロート11の部分側面図である。図6は、収縮させたときのフロート11の上面図である。本図の例では、保護部24が省略されており、固定部21が回動軸22を兼ねている。その他の構成及び動作は、図3及び図4に示した例と同様である。
【0029】
図7は、実施の形態に係るフロート11の構造の別の例を示す。図7(a)は、フロート11の上面図であり、図7(b)は、フロート11の概略断面図である。本図の例では、1つの収容部26が支持部20の全周にわたって設けられる。フロート11を収縮させるときには、ガイド27からパンタグラフを張り出してから、図示しないポンプにより収容部26の内部の流体を流出させ、収容部26を収縮させる。このとき、収容部26はガイド27に沿って畳み込まれる。
【0030】
図8は、実施の形態に係るフロート11の構造の別の例を示す。図8(a)は、フロート11の上面図であり、図8(b)は、フロート11の側面図である。支持部20の周囲に複数の収容部28が設けられる。フロート11を収縮させるときには、図示しないポンプにより収容部28の内部の流体を流出させるとともに、収容部28の側面に設けられたベルト29を巻き取って収容部28を畳み込む。
【0031】
図9は、フロート11に作用する最大波力を海象毎に表した図である。シミュレーションにより、波高及び波周期ごとに最大波力を算出した。波高が3.75m以上であるときにはフロート11を縮小した。最大波力は、波高が高くなるにつれて大きくなるが、波高が3.75m以上の海象では、フロート11を縮小した効果により、最大波力が激減している。
【0032】
図10は、実施の形態に係る波力発電制御装置100の構成を示す。波力発電制御装置100は、通信装置101、表示装置102、入力装置103、記憶装置130、及び処理装置110を備える。波力発電制御装置100は、サーバ装置であってもよいし、パーソナルコンピュータなどの装置であってもよいし、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末であってもよい。
【0033】
通信装置101は、他の装置との間の通信を制御する。通信装置101は、有線又は無線の任意の通信方式により、他の装置との間で通信を行ってもよい。通信装置101は、波浪計測ブイ17から波浪計測情報を受信する。通信装置101は、波力発電装置10に搭載された機器類や各種の制御装置などから情報を受信し、それらの装置に指令を送信する。
【0034】
表示装置102は、処理装置110により生成される画面を表示する。表示装置102は、液晶表示装置、有機EL表示装置などであってもよい。入力装置103は、波力発電制御装置100の使用者による指示入力を処理装置110に伝達する。入力装置103は、マウス、キーボード、タッチパッドなどであってもよい。表示装置102及び入力装置103は、タッチパネルとして実装されてもよい。
【0035】
記憶装置130は、処理装置110により使用されるプログラム、データなどを記憶する。記憶装置130は、半導体メモリ、ハードディスクなどであってもよい。記憶装置130には、発電態様判定基準131、波浪計測情報保持部132、及び実績情報保持部133が格納される。
【0036】
処理装置110は、波浪計測情報取得部111、海象情報算出部112、発電態様判定部113、フライホイール制御部114、発電機制御部115、フロート制御部116、発電性能予測部117、判定基準更新部118、発電性能取得部119、実績情報記録部120、及び学習部121を備える。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIなどにより実現され、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、またはハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0037】
波浪計測情報取得部111は、波浪計測ブイ17により計測された波浪計測情報を波浪計測ブイ17から取得し、波浪計測情報保持部132に格納する。波浪計測情報は、例えば、波高、波向、波周期などの情報を含む。
【0038】
海象情報算出部112は、波浪計測情報保持部132に格納された情報を参照して、有義波高、有義波周期、パワースペクトルなどの海象情報を算出する。
【0039】
発電態様判定部113は、海象情報算出部112により算出された海象情報に基づいて、発電態様判定基準131を参照して波力発電装置10による発電態様を判定する。発電態様判定部113は、所定のタイミングで発電態様を判定する。例えば、所定の時間間隔で定期的に、又は、波高、波周期、パワースペクトルなどの海象情報が所定量以上変化したときに、発電態様を判定してもよい。
【0040】
図11は、発電態様判定基準131の内部データの例を示す。発電態様判定基準131は、有義波高と有義波周期の組み合わせに対して波力発電装置10の発電態様を対応付けて格納する。例えば、有義波高が0.25mで、有義波周期が1.5秒である場合は、フライホイールの接続数を2、発電機の制御方式をA、制御方式Aにおける制御パラメータを2.5に設定して発電すべきことが格納されている。また、波高が所定値を超えた場合にフロート11を縮小すべきことが格納されている。発電態様判定基準131は、予め、波力発電装置10における波力発電の性能を有義波高及び有義波周期ごとにシミュレートし、最適な発電態様を評価することにより生成される。発電態様判定基準131は、後述するように、波力発電装置10の運用中にも更新可能に構成される。発電態様判定基準131は、3以上の情報の組み合わせに対して波力発電装置10の発電態様を対応付けて格納してもよい。例えば、有義波高と有義波周期に加えて、パワースペクトルなどの情報に応じて波力発電装置10の発電態様を異ならせてもよい。
【0041】
フライホイール制御部114は、発電態様判定部113により判定されたフライホイールの接続数がゼロでない場合は、発電機の軸にフライホイールを接続してフライホイールを回転させる。また、発電態様判定部113により判定された接続数のフライホイールを接続するようにフライホイールの接続機構を制御する。発電態様判定部113により判定されたフライホイールの接続数がゼロである場合は、フライホイール制御部114は、発電機の軸とフライホイールの接続を解除してフライホイールの回転を停止させる。発電機の軸とフライホイールの接続と解除にはクラッチを使用するが、その他の接続器を使用してもよい。
【0042】
発電機制御部115は、発電態様判定部113により判定された発電態様で発電機を制御する。発電機制御部115は、発電機の制御方式を判定された制御方式に切り替えるとともに、判定された制御パラメータを使用して発電機を制御する。
【0043】
フロート制御部116は、発電態様判定部113によりフロート11を縮小すると判定された場合に、フロート11を収縮させるようにポンプなどを制御する。フロート11が縮小されているときに、発電態様判定部113によりフロート11が膨張している場合の発電態様が判定された場合であっても、フロート11を収縮させてから所定時間が経過するまでは、フロート11を膨張させなくてもよい。この所定時間は、フロート11の膨縮に要する時間を考慮して予め設定されてもよい。フロート制御部116は、波浪計測情報保持部132に格納されている波浪計測情報の履歴を参照して、荒天が継続するか否かを推定し、今後も荒天が継続すると推定される場合は、フロート11の膨張を制限してもよい。フロート制御部116は、荒天が継続するか否かを推定するために、気圧計により測定された気圧や、気象情報を配信するサーバなどから取得した気象情報などを参照してもよい。フロート制御部116は、入力装置103又は通信装置101を介して担当者からフロート11の膨張を指示されたときにフロート11を膨張させてもよい。
【0044】
発電性能予測部117は、発電態様判定部113により判定された発電態様で波力発電装置10が発電しているときに、その発電態様以外の発電態様で波力発電装置10を運転させた場合の波力発電装置10による発電性能を予測する。発電性能予測部117は、波力発電装置10による発電をシミュレートするシミュレータに、現在の海象情報と波力発電装置10の発電態様を入力し、その発電態様で波力発電装置10を運転させた場合の波力発電装置10の発電性能をシミュレートする。
【0045】
判定基準更新部118は、現在の発電態様以外の発電態様で波力発電装置10を運転させた方が波力発電装置10による発電性能が向上すると発電性能予測部117により予測された場合、発電態様判定基準131を更新する。判定基準更新部118は、現在の海象情報に対応付けて発電態様判定基準131に格納されている発電態様を、発電性能予測部117により発電性能が更に高いと予測された発電態様に変更する。これにより、発電態様判定基準131の精度を高め、より発電性能の高い発電態様を選択することができる。
【0046】
発電性能取得部119は、波力発電装置10の運転中に、波力発電装置10による発電性能を表す情報を取得する。発電性能取得部119は、例えば、発電機による出力電力、積算電力、平均電力、消費電力などの情報を取得する。
【0047】
実績情報記録部120は、海象情報算出部112により算出された海象情報と、波力発電装置10の発電態様と、発電性能取得部119により取得された発電性能とを対応付けて実績情報保持部133に記録する。
【0048】
学習部121は、実績情報保持部133に記録された実績情報に基づいて、発電態様判定基準131を更新する。学習部121は、実績情報を学習データとして使用し、海象情報に応じた最適な発電態様を任意の学習アルゴリズムで学習して、発電態様判定基準131を更新する。発電態様判定基準131は、海象情報を入力層に入力すると、出力層から発電態様を出力するニューラルネットワークなどであってもよい。この場合、学習部121は、実績情報保持部133に記録された実績情報を学習データとしてニューラルネットワークの中間層の重みを調整することにより、発電態様判定基準131を学習してもよい。
【0049】
図12は、実施の形態に係る波力発電制御方法の手順を示すフローチャートである。波力発電制御装置100の波浪計測情報取得部111は、波浪計測ブイ17から波浪計測情報を取得して波浪計測情報保持部132に格納する(S10)。海象情報算出部112は、波浪計測情報から海象情報を算出する(S12)。発電態様判定部113は、海象情報に基づいて、発電態様判定基準131を参照して発電態様を判定する(S14)。フライホイール制御部114、発電機制御部115、及びフロート制御部116は、判定された発電態様で波力発電装置10を運転させる(S16)。
【0050】
以上、本開示を、実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0051】
実施の形態では、波力発電装置10は、発電機の制御方式の選択とフライホイールのオン・オフ制御、及び、フロート11の径の拡大・縮小により発電様態を最適化するように構成されたが、波力発電装置10は、蓄圧シリンダ式、バラスト水量調整方式、機械的ラッチング方式などの発電方式で発電可能に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 波力発電装置、11 フロート、12 キャビン、13 ハル、14 ピニオン・ギア、15 ドライブ・コラム、16 アンカー、17 波浪計測ブイ、20 支持部、21 固定部、22 回動軸、23 収容部、24 保護部、25 牽引具、26 収容部、27 ガイド、28 収容部、29 ベルト、100 波力発電制御装置、111 波浪計測情報取得部、112 海象情報算出部、113 発電態様判定部、114 フライホイール制御部、115 発電機制御部、116 フロート制御部、117 発電性能予測部、118 判定基準更新部、119 発電性能取得部、120 実績情報記録部、121 学習部、131 発電態様判定基準、132 波浪計測情報保持部、133 実績情報保持部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12