(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-162681(P2021-162681A)
(43)【公開日】2021年10月11日
(54)【発明の名称】光導波路素子とそれを用いた光変調デバイス及び光送信装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/035 20060101AFI20210913BHJP
【FI】
G02F1/035
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-63303(P2020-63303)
(22)【出願日】2020年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】本谷 将之
(72)【発明者】
【氏名】岡橋 宏佑
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102BA02
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD01
2K102BD09
2K102CA00
2K102CA28
2K102DA05
2K102DC04
2K102DD04
2K102DD05
2K102EA02
2K102EA12
2K102EA21
2K102EB16
2K102EB30
(57)【要約】
【課題】
信号電極の倒れ防止と信号電極の剥離・破損防止を兼ね備えた光導波路素子を提供すること。
【解決手段】
基板に光導波路を形成し、該光導波路を伝搬する光波を制御するための制御電極を該基板上に配置する光導波路素子において、該制御電極が信号電極を含み、かつ、該信号電極の幅は、基板側の幅が狭い部分と、該信号電極の上部側の幅の広い部分を備え、該信号電極の前記狭い部分に接して配置され、該信号電極が倒れるのを防止する防止膜が該基板上に設けられ、該信号電極の前記狭い部分から前記広い部分に接続する位置では、該防止膜の表面が該信号電極側に突出する曲面で形成され、該曲面に沿うように該信号電極の側面が形成されていることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に光導波路を形成し、該光導波路を伝搬する光波を制御するための制御電極を該基板上に配置する光導波路素子において、
該制御電極が信号電極を含み、かつ、該信号電極の幅は、基板側の幅が狭い部分と、該信号電極の上部側の幅の広い部分を備え、
該信号電極の前記狭い部分に接して配置され、該信号電極が倒れるのを防止する防止膜が該基板上に設けられ、
該信号電極の前記狭い部分から前記広い部分に接続する位置では、該防止膜の表面が該信号電極側に突出する曲面で形成され、該曲面に沿うように該信号電極の側面が形成されていることを特徴とする光導波路素子。
【請求項2】
請求項1に記載の光導波路素子において、該防止膜は、永久レジストで構成されていることを特徴とする光導波路素子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光導波路素子において、該光導波路は、基板表面に突出したリブ構造の導波路であり、該光導波路の上側に該信号電極が配置されていることを特徴とする光導波路素子。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の光導波路素子において、該基板の厚さは4μm以下であることを特徴とする光導波路素子。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の光導波路素子において、該光導波路を含む該基板の上側にバッファ層が配置され、さらに該バッファ層の上側に該信号電極及び該防止膜が配置されていることを特徴とする光導波路素子。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の光導波路素子と、該光導波路素子を収容する筐体と、該光導波路に光波を該筐体の外部から入力又は出力する光ファイバとを有することを特徴とする光変調デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載の光変調デバイスにおいて、該光導波路素子に入力する変調信号を増幅する電子回路を該筐体の内部に有することを特徴とする光変調デバイス。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の光変調デバイスと、該光変調デバイスに変調動作を行わせる変調信号を出力する電子回路とを有することを特徴とする光送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路素子とそれを用いた光変調デバイス及び光送信装置に関し、特に、基板に光導波路を形成し、該光導波路を伝搬する光波を制御するための制御電極を該基板上に配置する光導波路素子に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信分野や光計測分野において、ニオブ酸リチウム(LN)などの電気光学効果を有する基板(強誘電体基板等)に光導波路を形成した光変調器などの光導波路素子が多用されている。近年、光導波路素子においては、基板を薄くし、エッチング等により基板にリブ構造を施した光導波路が提案されている。このような薄い基板を利用することで、電界効率の向上や、光波と電気信号(マイクロ波)との速度整合による相互作用の効果を向上させることが可能である。
【0003】
図1の光導波路素子では、強誘電体基板の一部にリブ構造の光導波路を設け、さらにSiO
2等のバッファ層を形成している。光導波路に電界を印加する信号電極と接地電極をバッファ層上に配置する際に、
図1に示すように、リブ構造の光導波路の上側に信号電極を配置する場合がある。
【0004】
図1の信号電極による光導波路に印加する電界の効率を向上させるため、バッファ層に接する信号電極の幅(W−EL1)は、リブ構造の光導波路の幅(W−Rib)と同じか、それよりも狭く構成されている。近年では、光変調器における変調信号の広帯域化や光導波路素子の小型化などの要請に伴い、強誘電体基板の厚みは、以前の20〜30μm以下から、4μm以下、さらには1μm以下のものまで提案されている。これに伴い、リブ構造の光導波路の幅(W−Rib)が1μm以下となる場合もあり、結果として信号電極の下側の幅(W−EL1)は1μm未満の構成が必要となる。
【0005】
他方、高周波電気特性の観点からは、電極、特に信号電極の導体損失は低い方が望ましい。このため、電極の抵抗率を下げるため、信号電極の上側部分の幅(W−EL2)を、信号電極の下側部分の幅(W−EL1)と同じか、それ以上になるように設定されている。しかも、抵抗率を下げるため、信号電極の高さは、10μm以上に設定されており、信号電極が倒れ易いという問題を生じていた。
【0006】
特許文献1には、進行波電極の特性インピーダンスを所定値に維持しながら駆動電圧を低下させるため、光導波路の上に配置する信号電極の下側部分(光導波路側)の両側に、バッファ層より比誘電率が低い誘電体層を配置することが開示されている。しかも、該誘電体層は、信号電極を保持することについても言及されている。
【0007】
図2は、特許文献1の誘電体層を
図1の光導波路素子に配置した状態を示している。
図2の点線枠Aの部分の拡大図を
図3に示す。
図3に示すように、信号電極幅の狭い部分から広い部分にかけて、倒れ防止膜(特許文献1の誘電体層に相当)が角張って電極と接している。このため、電極と倒れ防止膜との間の熱膨張率差が大きい場合には、内部応力が角張った部分(矢印Bで示す部分)に集中し、電極が防止膜によって持ち上げられ、電極がバッファ層から剥離するという不具合を生じる。
【0008】
また、
図2の左右方向に信号電極が外部から押された場合でも、倒れ防止膜の角張った部分に応力が集中し、信号電極の幅の狭い部分と広い部分との境で、電極が分断されるなどの不具合も生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2019−45880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、上述したような問題を解決し、信号電極の倒れ防止と信号電極の剥離・破損防止を兼ね備えた光導波路素子とそれを用いた光変調デバイス及び光送信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の光導波路素子、光変調デバイス並びに光送信装置は、以下の技術的特徴を有する。
(1) 基板に光導波路を形成し、該光導波路を伝搬する光波を制御するための制御電極を該基板上に配置する光導波路素子において、該制御電極が信号電極を含み、かつ、該信号電極の幅は、基板側の幅が狭い部分と、該信号電極の上部側の幅の広い部分を備え、該信号電極の前記狭い部分に接して配置され、該信号電極が倒れるのを防止する防止膜が該基板上に設けられ、該信号電極の前記狭い部分から前記広い部分に接続する位置では、該防止膜の表面が該信号電極側に突出する曲面で形成され、該曲面に沿うように該信号電極の側面が形成されていることを特徴とする。
【0012】
(2) 上記(1)に記載の光導波路素子において、該防止膜は、永久レジストで構成されていることを特徴とする。
【0013】
(3) 上記(1)又は(2)に記載の光導波路素子において、該光導波路は、基板表面に突出したリブ構造の導波路であり、該光導波路の上側に該信号電極が配置されていることを特徴とする。
【0014】
(4) 上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の光導波路素子において、該基板の厚さは4μm以下であることを特徴とする。
【0015】
(5) 上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の光導波路素子において、該光導波路を含む該基板の上側にバッファ層が配置され、さらに該バッファ層の上側に該信号電極及び該防止膜が配置されていることを特徴とする。
【0016】
(6) 上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の光導波路素子と、該光導波路素子を収容する筐体と、該光導波路に光波を該筐体の外部から入力又は出力する光ファイバとを有することを特徴とする光変調デバイスである。
【0017】
(7) 上記(6)に記載の光変調デバイスにおいて、該光導波路素子に入力する変調信号を増幅する電子回路を該筐体の内部に有することを特徴とする。
【0018】
(8) 上記(6)又は(7)に記載の光変調デバイスと、該光変調デバイスに変調動作を行わせる変調信号を出力する電子回路とを有することを特徴とする光送信装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、基板に光導波路を形成し、該光導波路を伝搬する光波を制御するための制御電極を該基板上に配置する光導波路素子において、該制御電極が信号電極を含み、かつ、該信号電極の幅は、基板側の幅が狭い部分と、該信号電極の上部側の幅の広い部分を備え、該信号電極の前記狭い部分に接して配置され、該信号電極が倒れるのを防止する防止膜が該基板上に設けられ、該信号電極の前記狭い部分から前記広い部分に接続する位置では、該防止膜の表面が該信号電極側に突出する曲面で形成され、該曲面に沿うように該信号電極の側面が形成されているため、電極と防止層との間の熱膨張率差で発生した内部応力が当該曲面に沿って分散され、防止膜による信号電極の押し上げ効果が弱まり、また、防止膜の曲面に沿って電極が熱膨張し、信号電極の剥離という不具合も抑制される。
【0020】
さらに、信号電極が横方向(
図2の左右方向)に押された際も、倒れ防止膜の曲面が、信号電極の下側部分の側面や上側部分に続く段差部分を、全体に渡り均等に保持するため、信号電極が下側部分と上側部分との境界で破損することも抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】
図1の光導波路素子に信号電極の倒れ防止膜を設けた状態を説明する断面図である。
【
図3】
図2の点線枠Aの拡大図(従来例)を示す図である。
【
図4】
図2の点線枠Aの拡大図(本発明の実施例1)を示す図である。
【
図5】
図2の点線枠Aの拡大図(本発明の実施例2)を示す図である。
【
図6】
図2の点線枠Aの拡大図(本発明の実施例3)を示す図である。
【
図7】本発明の光導波路素子の製造工程を説明する図である。
【
図8】
図7に示す光導波路素子の製造工程の一部の変更を説明する図である。
【
図9】本発明の光変調デバイス及び光送信装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の光導波路素子、光変調デバイス及び光送信装置について、好適例を用いて詳細に説明する。
本発明の光導波路素子は、
図2及び
図4乃至6に示すように、基板に光導波路を形成し、該光導波路を伝搬する光波を制御するための制御電極を該基板上に配置する光導波路素子において、該制御電極が信号電極を含み、かつ、該信号電極の幅は、基板側の幅が狭い部分と、該信号電極の上部側の幅の広い部分を備え、該信号電極の前記狭い部分に接して配置され、該信号電極が倒れるのを防止する防止膜が該基板上に設けられ、該信号電極の前記狭い部分から前記広い部分に接続する位置では、該防止膜の表面が該信号電極側に突出する曲面で形成され、該曲面に沿うように該信号電極の側面が形成されていることを特徴とする。
【0023】
基板には、電気光学効果を有する基板が用いられ、特に、LiNbO
3、LiTiO
3、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)などの強誘電体が好適に用いられる。強誘電体基板は研磨により、数μm以下の厚みに加工することが可能である。それ以外に、特許文献1に示すように、サファイア基板などのベースとなる平板の上に、エピタキシャル成長によりニオブ酸リチウム膜を形成し、微細加工により光導波路を形成することも可能である。本発明で使用される基板(強誘電体部分)の厚みは、4μm以下、より電界の印加効率を高めるためには、2μm以下、さらに1μm以下に設定することが好ましい。
【0024】
光導波路は、電気光学効果を有する基板にエッチングなどにより凸部状の光導波路を形成したリブ型光導波路である。また、リブ構造部分にTiなどの高屈折率材料を熱拡散した熱拡散導波路を合わせて形成することも可能である。
【0025】
光導波路を含む基板上に形成するバッファ層は、光導波路の屈折率よりも低いSiO
2などの材料で構成され、光導波路上に形成する制御電極(信号電極、接地電極、DCバイアス制御電極など)によって、光導波路を伝搬する光波を吸収することを抑制するのに使用される。
【0026】
倒れ防止層としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂などの樹脂が好適に利用可能であり、ポリアミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂、エポキシ系樹脂等が含まれる。また、倒れ防止層は、永久レジスト(光導波路素子の製造工程で使用されるフォトレジストであり、最終工程に至っても光導波路素子の一部に残留しているもの)が利用可能であり、本発明では、熱硬化性樹脂が好適に用いることが可能である。
【0027】
光導波路素子に使用される制御電極には、変調信号を印加するための信号電極及び接地電極や、ドリフト現象を制御するためのDCバイアス制御電極などがある。制御電極は、光導波路を形成した基板上や、さらにその上にバッファ層を形成した後に、下地電極(例えばTi/Au)を蒸着・パターニングし、メッキ法によりAuなどの導電性金属を積層することで構成される。
【0028】
本発明の光導波路素子の特徴は、
図4(
図4は、
図2の点線枠Aの拡大図である。)に示すように、制御電極の電極の下側部分の幅が上側部分の幅よりも狭くなった箇所に倒れ防止膜が形成され、さらに、防止膜の電極の側面に沿った箇所、特に、電極の幅が変化する部分において、防止膜の表面が曲面で構成されていることである。
図4は、電極の側面に接触する部分のみに曲面が形成されているが、
図5に示すように、倒れ防止膜の電極側の側面上部から上面の広い範囲で曲面形状に構成することも可能である。
【0029】
図4及び
図5に示すように、電極が倒れるのを防止するために、電極の下側部分に沿って配置される倒れ防止膜に曲面が形成されているため、電極と防止膜との間に熱膨張率の差がある場合であっても、熱膨張による内部応力が、
図3の角張った部分(矢印Bで示す部分)に集中せず、電極の剥離が防止される。特に、倒れ防止膜に永久レジストなどの樹脂を使用する場合には、電極より熱膨張率が大きいため、電極の剥離がより発生し易くなる。このため、本発明の構成を適用する優位性が高い。
【0030】
図5では、倒れ防止膜の上面に形成される曲面の頂点を、電極の外側に配置し、電極下部の角を形成する辺(矢印Dで示す部分における曲面の接線)が上向き(接線と強誘電体基板の表面に平行な線とが形成する角θが0〜90度)としている。このような構成により、電極に形成される曲面の曲率を大きくする必要がないため応力の集中を、より一層緩和することができる。また、上記角θの存在により、倒れ防止膜は、電極を電極の中心方向(
図5の左斜め上方向)に向かって押し上げるように働くため、電極の倒れ防止効果をより高めることができる。
【0031】
さらに、電極の上側部分に外力が加わった場合でも、電極に
図3の角張った部分が存在しないため、内部応力が分散し、電極が下側部分と上側部分との接合部で破損するなどの不具合も抑制することが可能となる。
【0032】
倒れ防止膜の曲面は、熱硬化性樹脂などの場合は、樹脂膜を所定形状にパターニングした後、基板を加熱し、樹脂膜のエッジ部分に丸みを形成することが可能である。また、電子ビームやレーザーなどを樹脂膜の一部に照射し、曲面を形成することも可能である。
【0033】
従来例を示す
図3や、本発明の一例である
図4などでは、矢印Cで指示する倒れ防止膜の上面は、電極の外側に大きく張り出している。これに対し、
図6に示すように、矢印Dで示す電極の角部と倒れ防止膜の角部とを一致させる、あるいは、電極の角部よりも内側に倒れ防止膜の角部を配置することで、電極の外側に存在する倒れ防止膜の体積を少なくすることができる。その結果、
図3や
図4のものよりも、光導波路に対する電界効率を向上させることが可能となる。
【0034】
図7は、本発明の光導波路素子の製造工程の一例を示したものである。
図7(a)は強誘電体基板の一部に光導波路となるリブ構造を形成している。リブ構造部分以外を物理的又は化学的にエッチング処理することで、容易に形成することが可能である。また、上述したように、特許文献1のように、ベース基板上にエピタキシャル成長により形成することも可能である。
【0035】
図7(b)では、基板や光導波路部分の上側に、バッファ層を形成している。Zカット型の基板を用いる場合には、光導波路上に信号電極を配置することが多いため、バッファ層を設けることが一般的であるが、Xカット型の基板のように光導波路を挟むように信号電極と接地電極を形成する場合などは、バッファ層は必須ではない。
【0036】
図7(c)では、倒れ防止膜となるフォトレジスト(永久レジスト)をパターニングする。次に、
図7(d)に示すように、基板全体を加熱し、フォトレジストパターンの角部に丸み(曲面)を形成する。
【0037】
図7(e)では、下地電極をパターニングし、その上に電解メッキ法で電極材料を積層していく。さらに、
図7(f)では、その上に電解メッキ法で電極材料を更に積層し、制御電極となる信号電極や接地電極を形成している。なお、
図7(e)で用いる電極材料と
図7(f)で用いる電極材料とが異なる場合には、それらの接合強度を高めるため、金属などの接合層を別途設けてもよい。
【0038】
本発明の光導波路素子を製造する方法は、
図7に示す方法に限らず、例えば、
図7(d)の処理工程の後に、下地電極を
図8に示すようにパターニングし、その上にメッキ法で電極材料を積層し、信号電極の下側部分(電極幅が狭い部分)と信号電極の上側部分(電極幅が広い部分)を連続して形成することも可能である。
【0039】
さらに、本発明では、上述した光導波路素子を用いて、光変調デバイスや光送信装置を構成することも可能である。
図9に示すように、本発明の光導波路素子の基板1を金属等の筐体SH内に収容し、筐体の外部と光導波路素子1とを光ファイバFで接続することで、コンパクトな光変調デバイスMDを提供することができる。当然、基板1の光導波路の入射部又は出射部と光ファイバとを空間光学系で光学的に接続するだけでなく、光ファイバを基板1に直接接続することも可能である。符号L1は入力光を示し、符号L2は出力光を示す。
【0040】
光変調デバイスMDに変調動作を行わせる変調信号Soを出力する電子回路(デジタル信号プロセッサーDSP)を、光変調デバイスMDに接続することにより、光送信装置OTAを構成することが可能である。光制御素子に印加する変調信号SはDSPの出力信号Soを増幅する必要があるため、ドライバ回路DRVが使用される。ドライバ回路DRVやデジタル信号プロセッサーDSPは、筐体SHの外部に配置することも可能であるが、筐体SH内に配置することも可能である。特に、ドライバ回路DRVを筐体内に配置することで、ドライバ回路からの変調信号の伝搬損失をより低減することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上説明したように、本発明によれば、信号電極の倒れ防止と信号電極の剥離・破損防止を兼ね備えた光導波路素子とそれを用いた光変調デバイス及び光送信装置を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0042】
1 強誘電体(光導波路素子を構成する基板)
MD 光変調デバイス
OTA 光送信装置