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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-164934(P2021-164934A)
(43)【公開日】2021年10月14日
(54)【発明の名称】銅および銅合金のろう付接合方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 1/19 20060101AFI20210917BHJP
   C22C 19/03 20060101ALI20210917BHJP
   B23K 3/00 20060101ALI20210917BHJP
   B23K 3/04 20060101ALI20210917BHJP
   B23K 31/02 20060101ALI20210917BHJP
   C22C 9/00 20060101ALN20210917BHJP
   B23K 35/30 20060101ALN20210917BHJP
【FI】
   B23K1/19 K
   C22C19/03 G
   B23K1/19 Z
   B23K3/00 310H
   B23K3/04 Y
   B23K31/02 310F
   B23K1/19 J
   C22C9/00
   B23K35/30 310D
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-68891(P2020-68891)
(22)【出願日】2020年4月7日
(11)【特許番号】特許第6852927号(P6852927)
(45)【特許公報発行日】2021年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】504261077
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人自然科学研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100165663
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 光宏
(72)【発明者】
【氏名】時谷 政行
(57)【要約】
【課題】 銅および銅合金について、良好なろう付接合を実現する。
【解決手段】 銅または銅合金と他の金属を用意し、接合対象となる表面を微鏡面仕上げした後、リンを11%含有し、銅を含まないニッケル合金であるBNi―6のろう材を挟み込み、圧力を加える。この状態で、960℃の熱処理温度で10分間の熱処理を行う。その後、十分に自然冷却した後、窒素ガスを用いて急冷する。こうすることにより、銅および銅合金と他の金属との良好なろう付接合を実現することが可能となる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅または銅合金からなる第1部材と、被接合金属からなる第2部材とをろう付接合する接合方法であって、
前記被接合金属は、無酸素銅、アルミナ分散強化銅、ステンレス鋼、フェライト相およびマルテンサイト相の一方または双方を含む鉄鋼、タングステン、またはイリジウムのいずれかであり、
(a) リンを含有し、銅を含有しないろう材を用意する工程と、
(b) 前記第1部材、第2部材で前記ろう材を挟み込み、所定の熱処理温度で所定時間加熱する熱処理工程と、
(c) 前記熱処理工程の後、接合された前記第1部材および第2部材を冷却する工程と、を備え、
前記熱処理温度は、銅の融点よりも低く、リンと銅との共晶反応により低下した銅の融点よりも高い範囲で設定されている接合方法。
【請求項2】
請求項1記載の接合方法であって、
前記熱処理温度は、960℃である接合方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の接合方法であって、
(d) 前記熱処理工程に先だって、前記第1部材と第2部材の接合される表面を、それぞれ微鏡面に表面仕上げする工程を備え、
前記熱処理工程における前記ろう材は、1〜100マイクロメートルの厚さとする接合方法。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか記載の接合方法であって、
前記熱処理工程において、前記第1部材と第2部材に対して、両者が接合される方向に圧力を加える接合方法。
【請求項5】
請求項4記載の接合方法であって、
相互に締結された第1、第2の端プレートと、両者間に配置される中央プレートを用意し、
前記第1の端プレートと中央プレートによって、前記第1部材と第2部材を挟み、
前記第2の端プレートと中央プレート間に弾性体を介在させることにより、第1の端プレートと中央プレート間に配置された前記第1部材および第2部材に圧力を加える接合方法。
【請求項6】
請求項5記載の接合方法であって、
前記第1、第2の端プレートおよび中央プレートは、前記第1部材および第2部材にかかる圧力分布が略均一となる厚さを有している接合方法。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか記載の接合方法であって、
前記工程(c)は、自然冷却である接合方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅および銅合金のろう付接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願の発明者は、従来、酸化物としてアルミナを分散させたアルミナ分散強化銅の接合技術について検討を重ねており、ろう付接合を可能とする技術を開示してきた。例えば、特許文献1は、アルミナ分散強化銅同士およびアルミナ分散強化銅とステンレス鋼とのろう付接合に関する技術を開示している。また、特許文献2は、アルミナ分散強化銅と、フェライト相およびマルテンサイト相の一方または双方を含む鉄鋼、またはイリジウムとのろう付接合に関する技術を開示している。ただし、かかる技術は、アルミナ分散強化銅以外の銅および銅合金のろう付接合については、未確認であった。
【0003】
一方、銅および銅合金については、従来、ろう付接合が広く行われている。例えば、特許文献3および特許文献4は、銅および銅合金について、リンと銅とを含有するリン銅ろうと呼ばれるろう材を用いたろう付接合の技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6528257号公報
【特許文献2】特許第6606661号公報
【特許文献3】特開昭59−150662号公報
【特許文献4】特開平6−318417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、銅および銅合金のろう付接合については、上述の通り、リン銅ろうを用いたろう付を行うものとの固定観念が先行しており、より良いろう付接合方法の探求はなされていなかった。これらのろう付接合については、未だ改善の余地が残されているものと言える。
そこで、本発明は、かかる課題に鑑み、銅および銅合金と他の金属とのろう付接合方法について、より良いろう付接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
銅または銅合金からなる第1部材と、被接合金属からなる第2部材とをろう付接合する接合方法であって、
前記被接合金属は、無酸素銅、アルミナ分散強化銅、ステンレス鋼、フェライト相およびマルテンサイト相の一方または双方を含む鉄鋼、タングステン、またはイリジウムのいずれかであり、
(a) リンを含有し、銅を含有しないろう材を用意する工程と、
(b) 前記第1部材、第2部材で前記ろう材を挟み込み、所定の熱処理温度で所定時間加熱する熱処理工程と、
(c) 前記熱処理工程の後、接合された前記第1部材および第2部材を冷却する工程と、を備え、
前記熱処理温度は、銅の融点よりも低く、リンと銅との共晶反応により低下した銅の融点よりも高い範囲で設定されている接合方法として構成することができる。
【0007】
発明者は、リンを含有し、銅を含有しないろう材を用いてろう付接合の実験を試みた結果、上記工程および熱処理温度によれば、良好なろう付接合が可能であることを見いだした。
銅および銅合金に従来用いられていたろう付接合では、リン銅ろう、即ち、リンも銅も含有するろう材を用いているのに対し、本発明では、リンを含有するものの、銅を含有しないろう材を用いる点で相違する。ろう付接合が可能となる原理は、必ずしも明らかにはなっていないが、本発明では、ろう材と第1部材との間でリンと銅との共晶反応が生じ、この結果、銅を含まないろう材を用いながらも良好な接合が得られるものと考えられる。
なお、従来のリン銅ろうを用いた場合には、本発明と同様の条件で熱処理を行えば、ろう材内部で共晶反応が生じてしまうと推測されるのに対し、本発明によれば、ろう材と第1部材である銅および銅合金との間で共晶反応が生じるため、第1部材を拡散させる点で効果的であるとも考えられる。
また、熱処理温度は銅の融点よりも低く、第1部材が接合部分のみで溶融が生じる点も、第1部材、第2部材の良好なろう付接合を実現するために好ましいと言える。
【0008】
本発明において、ろう材のリンの含有量は、任意に決めることができるが、実験では、11%の含有量のニッケル合金、具体的にはBNi−6を用いた。
第1部材の銅としては、例えば、無酸素銅、タフピッチ銅、リン脱酸銅などを用いることができる。また、銅合金としては、銅に亜鉛、すず、銀など他の成分を混ぜた銅合金を用いることができる。
熱処理の時間は、被接合金属の種類、接合の結果を踏まえ実験的に設定することができる。実験では、10分としたが、さらに短くしても良い。
また第1部材、第2部材の形状や寸法は問わない。
【0009】
本発明において、
前記熱処理温度は、960℃である接合方法としてもよい。
もっとも、かかる温度に限定されるものではない。
【0010】
本発明では、
(d) 前記熱処理工程に先だって、前記第1部材と第2部材の接合される表面を、それぞれ微鏡面に表面仕上げする工程を備え、
前記熱処理工程における前記ろう材は、1〜100マイクロメートルの厚さとしてもよい。
【0011】
ろう付の際の表面仕上げおよびろう材の厚さは、任意に決定することができるが、上記態様のように設定することにより、密着性に優れるろう付接合を実現できることが分かった。厚さは、38〜76マイクロメートルとすることがより好ましく、さらに約38マイクロメートルとすることがより好ましい。
【0012】
また、本発明においては、
前記熱処理工程において、前記第1部材と第2部材に対して、両者が接合される方向に圧力を加えるものとしてもよい。
【0013】
こうすることにより、さらに接合部分の密着性を向上させることが可能となる。
圧力を加える方法は、種々の方法をとることができる。
例えば、ホットプレス、即ち熱処理炉の中に備えられたプレス機によって、第1部材、第2部材を挟んでプレスする方法としてもよい。かかる方法をとるときは、プレス機の熱容量を加味して熱処理工程を設定することが好ましい。
また別の方法として、熱間等方圧加圧(HIP:Hot Isostatic Pressing)という方法をとってもよい。熱間等方圧加圧は、圧力を等方的に掛けることができるため、複数方向に接合する必要がある場合などに有用である。
【0014】
圧力を加える方法は、例えば、
相互に締結された第1、第2の端プレートと、両者間に配置される中央プレートを用意し、
前記第1の端プレートと中央プレートによって、前記第1部材と第2部材を挟み、
前記第2の端プレートと中央プレート間に弾性体を介在させることにより、第1の端プレートと中央プレート間に配置された前記第1部材および第2部材に圧力を加えるものとしてもよい。
【0015】
かかる方法によれば、板状の第1、第2の端プレートおよび中央プレートを介して圧力を加えるため、第1部材、第2部材に比較的均一に圧力を加えやすい利点がある。また、比較的、低コストで圧力を加えることができ、ホットプレスや熱間等方圧加圧のように特別な装置を使用する必要がない点で、比較的適用しやすいという利点もある。
プレートの素材は任意に選択できるが、剛性の高い素材を選択することが好ましい。
また弾性体も種々の選択が可能であるが、熱処理工程においても弾性力を加え得る素材であることが好ましく、例えば、カーボンばねを利用することができる。
圧力の大きさも任意に決定可能であるが、有意な効果が得られる圧力として、例えば、0.54MPaとすることができる。
【0016】
また、上記態様の場合、
前記第1、第2の端プレートおよび中央プレートは、前記第1部材および第2部材にかかる圧力分布が略均一となる厚さを有しているものとすることが好ましい。
【0017】
こうすることにより、第1部材、第2部材に均一に圧力を加えることができ、偏りのない接合を実現することができる。
第1、第2の端プレートおよび中央プレートの具体的な厚さは、これらの素材および圧力の大きさによって実験的または解析的に定めることができる。
【0018】
本発明において、
前記工程(c)は、自然冷却としてもよい。
【0019】
熱処理温度が非常に高温であるため、自然冷却の場合、数時間〜48時間など非常に長時間をかけて第1部材、第2部材は冷却されることになる。このように長時間をかけて冷却することにより、熱処理によって生じた熱応力を緩和することが可能となる利点がある。冷却にかける時間は、被接合金属の種類に応じて決定できる。例えば、銅と熱膨張係数が比較的近い金属の場合には、8時間程度の冷却時間でも問題ないことが確認されている。
自然冷却によって100℃など、両部材の熱膨張が十分に緩和されたと考えられる程度の温度まで冷却された後は、冷媒を用いた強制冷却を施しても良い。
【0020】
本発明は、接合相手となる被接合金属が一種類の場合のみならず、複数種類存在する場合も適用可能である。かかる場合に、どのような順序で接合するかは任意に決定できるが、
例えば、
複数種類の金属からなる複数の前記第2部材が存在するとき、
前記第1部材を形成する銅または銅合金に熱膨張係数が近い金属で形成された第2部材から順に接合するものとしてもよい。
【0021】
複数種類の被接合金属を順次、接合する場合、最初に接合された金属には、繰り返し熱処理が施されることになる。第1部材、第2部材間の熱応力は、部材間の熱膨張係数の差によって生じるから、上記態様のように熱膨張係数が近い順に接合するものとすれば、繰り返し施される熱処理によって生じる熱応力を緩和することができる。
【0022】
以上で説明した本発明の種々の特徴は、必ずしも全てを備えている必要はなく、本発明は、適宜、その一部を省略したり、組み合わせたりして構成してもよい。
また、本発明は、接合方法としての構成のみならず、かかる接合方法を踏まえた構造体として構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ろう付接合処理の工程を示すフローチャートである。
図2】無酸素銅同士の接合結果を示す説明図である。
図3】接合部の分析結果を示す説明図である。
図4】BNi−6を用いた場合の接合部の成分分析結果を示す説明図である。
図5】Nicuman37を用いた場合の接合部の成分分析結果を示す説明図である。
図6】無酸素銅とタングステン、ステンレス鋼(SUS)、アルミナ分散強化銅の各接合結果を示す説明図である。
図7】無酸素銅とフェライト/マルテンサイト鋼(F82H)、イリジウムの各接合結果を示す説明図である。
図8】タフピッチ銅、リン脱酸銅とステンレス鋼(SUS)の各接合結果を示す説明図である。
図9】接合時に加える圧力の影響を示す説明図である。
図10】ろう材の厚さによる影響を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、ろう付接合処理の工程を示すフローチャートである。この工程では、まず接合する部材の準備をする(ステップS10)。本実施例では、銅または銅合金からなる第1部材と、被接合金属としての無酸素銅、アルミナ分散強化銅、ステンレス鋼、フェライト相およびマルテンサイト相の一方または双方を含む鉄鋼、タングステン、またはイリジウムのいずれかからなる第2部材とをそれぞれ準備するものとした。接合する部材の形状は、任意であるが、接合面が相互に平面となっていることを要する。
次に接合面を微鏡面仕上げ処理する(ステップS11)。一般に表面仕上げは、粗い順に粗仕上げ、並仕上げ、微鏡面仕上げ、鏡面仕上げという段階に分かれるが、この中の微鏡面仕上げである。微鏡面仕上げとするのは、次の理由による。ろう付接合を行う際、鏡面仕上げにしてしまうと、接合面が過剰に滑らかとなり、強い接合が実現できない場合がある。一方、表面仕上げが粗いと、極端に言えば、部材同士が面ではなく点で接合するのに近い状態となり、やはり強い接合が実現できない場合がある。発明者は、種々の表面仕上げで接合を検討した結果、微鏡面仕上げとすることが好ましいことを見いだした。
【0025】
次に、ろう材を準備する。本実施例では、ニッケルにリンが11%含有されたニッケル合金であるBNi−6を用いた。ろう材は、リンが含有され、銅が含有されていないものであれば、種々の選択が可能である。
そして、接合する部材の間に、ろう材を挟み込み、圧力を加える(ステップS13)。図中に、圧力を加える方法を示した。本実施例では、3枚の鋼性のプレートを用意する。下側から第1の端プレート(または下プレート)、中央プレート(または中プレート)、第2の端プレート(または上プレート)と称するものとする。そして、第1の端プレートと中央プレートとの間に接合部材を挟み込む。また、中央プレートと第2の端プレートとの間にカーボンばねを挟み込む。第1、第2の端プレートは、ボルトで締結されている。かかる構造を用いることにより、カーボンばねの弾性力は、中央プレートを介して圧力として接合部材にかけられることになる。圧力は、任意に決めることができるが、本実施例では、0.54MPaであった。
本実施例においてカーボンばねを用いたのは、後述する熱処理に耐えられる素材を選択したからである。他の素材であってもよい。
また、圧力を加えることは、必ずしも必要という訳ではなく、圧力をかけずに熱処理を行っても差し支えない。ただし、接合面の気密性を確保するためには、圧力を加えることが望ましい。
【0026】
次に、圧力を加えたまま、この接合部材を熱処理する(ステップS14)。図中に熱処理のシーケンスを示した。
フェーズAは予熱のための昇温フェーズである。目標となる予熱温度まで、速やかに昇温すればよい。
フェーズBは予熱フェーズである。本実施例では、860℃で60分とした。予熱温度および時間は、熱処理をする炉装置、接合部材の寸法、熱処理の温度などを踏まえて決定すればよい。
フェーズCは、熱処理温度までの昇温フェーズである。目標となる熱処理温度まで、速やかに昇温すればよい。
フェーズDは、熱処理フェーズである。本実施例では、960℃で10分間の熱処理を行った。960℃という熱処理温度は、次のように決定できる。本実施例の接合部材は、銅または銅合金であり、部材の溶融を回避するため、熱処理温度は、銅の融点である1085℃よりも低くなくてはならない。本実施例において、ろう付接合が実現される原理は、ろう材に含まれるリンと銅との共晶により銅の融点が低下する結果、接合部材の極表面が溶融することで実現されるものと考えられる。従って、熱処理温度は、共晶反応時の銅の融点よりも高くする必要がある。本実施例では、かかる温度範囲の中から960℃を熱処理温度として選択した。熱処理時間も、任意に決定できる。本実施例では、10分としたが、2〜3分程度でもろう付接合は可能である。
フェーズEは、冷却フェーズである。このフェーズでは、熱応力を緩和するため、長時間かけて徐々に冷却する。本実施例では、炉内で約8時間かけて概ね100℃まで自然冷却を行った。冷却時間は、被接合材料の材質などを考慮して数時間〜48時間などの範囲で任意に決定できる。
フェーズFは、急冷フェーズである。フェーズEの冷却によって両部材の熱膨張が十分に緩和されていると判断されるため、その後は、部材を急冷しても差し支えない。本実施例では、部材の酸化を防止するため窒素ガスによる冷却を行った。急冷フェーズは、必ずしも設ける必要はなく、常温までフェーズEの冷却を継続してもよい。
以上の各工程により、本実施例のろう付接合は実現される。
【0027】
本実施例では、熱処理および冷却は、ともに、真空熱処理、真空中での冷却とした。ここで言う真空とは、真空ポンプで排気をし、十分に炉内の圧力を低減させた状態をいい、完全な真空に限られるものではない。極低圧と換言してもよい。このように真空または極低圧にすることにより、接合部材の酸化を抑制することができる。もっとも、熱処理および冷却を、大気圧下で行うものとしても差し支えない。
【0028】
以下、実施例における接合の効果を実験結果に基づいて説明する。
図2は、無酸素銅同士の接合結果を示す説明図である。左側の接合結果T1は、リンを含み銅を含まないろう材としてBNi−6をもちいた場合の結果を示している。図中の一辺が20〜30mm程度の立方体の試験片同士を接合した。接合結果T1において、中央付近に見える筋状の部分が接合部である。もっとも、筋状に見えるのは、周囲に漏れ出たろう材などが見えているだけであり、図示する左右方向の中央付近で試験片を切断して断面を観察すれば、接合部はほとんど視認できない。
接合部について超音波探傷検査の結果T1aを下側に示した。結果T1aの中央の白く矩形に見えている部分が、接合部の断面に相当する。結果T1aでは、接合部の断面の全体にわたって、白く見えており、超音波探傷検査による限り、接合不良は存在しないことが分かる。
【0029】
図2の右側の検査結果T2は、リンを含まないろう材、具体的にはNicuman37を用いた場合の結果を示している。接合結果T2において、中央付近に見える筋状の部分が接合部である。
この接合部について超音波探傷検査の結果T2aを下側に示した。結果T2aの中央の白く矩形に見えている部分が、接合部の断面に相当する。結果T2aでは、接合部の断面の全体にわたって、白く見えており、超音波探傷検査による限り、接合不良は存在しないことが分かる。
このことから、ろう材による接合部の差違は見られないかのように思われるが、より精密な分析を行った結果、以下に示す通り、両者には顕著な差違が存在することが分かった。
【0030】
図3は、接合部の分析結果を示す説明図である。図の上部に示すように、試験片の接合部に、3箇所の観察エリア1〜3を設定し、これらについて光学顕微鏡で観察を行った。
図の下側に観察結果を表す9枚の写真を示してある。各写真の上下中央付近が、接合部を表している。一番、左側の列は観察エリア1の結果、中央の列は観察エリア2の結果、右側は観察エリア3の結果を示している。また、上段の写真は、ろう材としてNicuman37を用い、加圧なし(図1のステップS13を省略した状態)で、ろう付した場合の結果を表している。中段の写真は、ろう材としてBNi−6を用い、加圧なし(図1のステップS13を省略した状態)で、ろう付した結果を示している。下段の写真は、ろう材としてBNi−6を用い、加圧してろう付した結果を示している。
上段のNicuman37を用いた結果においては、接合部に、多数の黒い領域が確認されることが分かる。これは、亀裂を表している。即ち、Nicuman37を用いた場合は、超音波探傷検査では発見されなかった、これだけの接合不良が存在することが分かる。
中断のBNi−6を用いた結果においては、接合部には、中央にやや色の濃い領域が見られ、その上下に、若干色の薄い帯状の領域が存在することが分かる。この色の薄い帯状の領域は、Ni,P,Cuが混在する領域である。また、亀裂を表す黒い領域は、ごくわずかに存在するだけである。従って、中断の結果から、BNi−6を用いることにより、加圧なしでも、Nicuman37を用いた結果とは、接合不良が顕著に少ない、良好な接合状態が得られていることが分かる。
下段のBNi−6を用いた加圧ありの結果においては、やや色の濃い領域が狭くなり、全体として、色の薄い帯状の領域に移行していることが分かる。亀裂を表す黒い領域は、ほとんど見られない。この結果、BNi−6を用いたろう付接合において、加圧を行うことにより、一層、良好な接合結果が得られることが分かる。
【0031】
図4は、BNi−6を用いた場合の接合部の成分分析結果を示す説明図である。図の上側には、接合部近辺の領域を含む電子顕微鏡写真を示し、下側には、これに対応する形で、各場所における各成分の強さを示した。ろう材BNi−6に含まれるリンおよびニッケル、および接合部材を構成する銅の成分が示されている。図示する通り、接合部の両側では、ろう材の影響は、ほとんど現れないため、リンPおよびニッケルNiはほとんど検出されず、銅Cuが主として検出される。これに対し、接合部では、リンPおよびニッケルNiの強度が上昇し、銅Cuの強度が低下する。しかしながら、銅Cuも一定強度以上は、検出されていることが分かる。このことから、接合部では、ろう材に含まれるリンと銅との共晶反応によって、銅が溶融、拡散していることが確認できる。
【0032】
図5は、Nicuman37を用いた場合の接合部の成分分析結果を示す説明図である。上に、接合部の電子顕微鏡写真を示し、下側には、これに対応する形で、各場所における各成分の強さを示した。ろう材Nicuman37に含まれるマンガンMn、ニッケルNi、並びに、接合部材およびろう材に含まれる銅の成分が示されている。図示する通り、接合部の両側において、ニッケルNiの強度は低いものの、マンガンMnは検出されており、ろう材の影響が比較的広い範囲で見られることが分かる。また、銅Cuについて、接合部でも、BNi−6の結果(図4)に比較して相対的に高い強度で検出されている。これは、銅がろう材にも含まれていることが影響しているものと考えられる。いずれにしても、BNi−6の結果(図4)に比較して、全体に各成分が乱れた分布となっていることが確認され、この結果、先に述べた通りの接合不良が多数生じているものと考えられる。
【0033】
以上で説明した図3〜5の結果により、リンを含み銅を含まないろう材を用いて、十分良好なろう付が実現されることが確認された。
【0034】
図6は、無酸素銅とタングステン、ステンレス鋼、アルミナ分散強化銅の各接合結果を示す説明図である。いずれもBNi−6をろう材として用いた結果を示した。左側には、加圧なしの結果、右側には加圧ありの結果を示している。それぞれの結果として、試験片の写真および接合部の超音波探傷検査の結果を示している。
上段には無酸素銅とタングステンの結果を示した。タングステンとの間では、図示する通り、加圧なし、加圧ありのいずれにおいても、接合部において全く接合不良は見られない。従って、良好な接合結果が得られることが確認された。なお、図3に相当する光学顕微鏡による観察や、図4に相当する成分分析は省略した。しかし、無酸素銅とろう材との間の共晶反応が生じていることは明らかであり、超音波探傷検査の結果を見れば、被接合金属がタングステンであることにより、この共晶反応が阻害されていないことは確認できたので、光学顕微鏡による観察や成分分析を行うまでなく、無酸素銅同士(図3〜5)と同様の良好な接合が得られていると結論できる。
【0035】
中断には、無酸素銅とステンレス鋼の結果を示した。ステンレス鋼との間では、図示する通り、加圧なし、加圧ありのいずれにおいても、接合部において全く接合不良は見られない。従って、良好な接合結果が得られることが確認された。
下段には、無酸素銅とアルミナ分散強化銅、具体的にはGlidCop(登録商標)との結果を示した。GlidCop(登録商標)との間では、図示する通り、加圧なし、加圧ありのいずれにおいても、接合部において全く接合不良は見られない。従って、良好な接合結果が得られることが確認された。GlidCop(登録商標)は、銅を主体とする金属である。従って、ろう材に含まれるリンとの共晶反応は、無酸素銅だけでなく、GlidCop(登録商標)との間でも同様に生じる。この点で、GlidCop(登録商標)との間では、無酸素銅同士の接合(図3〜5)に近い、十分に良好な接合が得られていると結論することができる。
また、この結果は、タングステン、ステンレス鋼とGlidCop(登録商標)との間でも、無酸素銅と同様、良好な接合が実現できることを示すものであると言える。
【0036】
図7は、無酸素銅とフェライト/マルテンサイト鋼(F82H)、イリジウムの各接合結果を示す説明図である。いずれもBNi−6をろう材として用いた結果を示した。これらについては、加圧ありの結果のみを示した。それぞれの結果として、試験片の写真および接合部の超音波探傷検査の結果を示している。
上段には、無酸素銅とF82Hの結果を示した。F82Hは、フェライト相およびマルテンサイト相の一方または双方を含む鉄鋼の一種である。図示する通り、接合部において全く接合不良は見られない。従って、良好な接合結果が得られることが確認された。なお、F82Hとの間でも、図3に相当する光学顕微鏡による観察や、図4に相当する成分分析は省略しているが、タングステン等の場合と同様、光学顕微鏡による観察や成分分析を行うまでなく、無酸素銅同士(図3〜5)と同様の良好な接合が得られていると結論できる。また、加圧なしの結果も省略しているが、タングステン等(図6)において、加圧あり、加圧なしの影響が、ほとんど表れていないことを踏まえると、F82Hにおいても、加圧なしでも十分に良好な接合が実現できると結論できる。
下段には、無酸素銅とイリジウムの結果を示した。図示する通り、接合部において全く接合不良は見られない。従って、良好な接合結果が得られることが確認された。
以上、図6,7で説明した通り、無酸素銅と、タングステン、ステンレス鋼、アルミナ分散強化銅、フェライト相およびマルテンサイト相の一方または双方を含む鉄鋼およびイリジウムとの間では、それぞれ加圧なし、加圧ありのいずれの条件においても、BNi−6を用いることで、良好な接合が実現されることが確認できた。
【0037】
図8は、タフピッチ銅、リン脱酸銅とステンレス鋼の各接合結果を示す説明図である。いずれもBNi−6をろう材として用いた結果を示した。左側には、加圧なしの結果、右側には加圧ありの結果を示している。それぞれの結果として、試験片の写真および接合部の超音波探傷検査の結果を示している。
無酸素銅、タフピッチ銅、リン脱酸銅は、いずれも銅の一種である。無酸素銅は、銅が99.96質量%のものを言う。タフピッチ銅とは、銅99.90質量%以上であり、CuOの状態で酸素を0.02〜0.05質量%含むものを言う。リン脱酸銅は、銅99.90質量%以上であり、リンによって脱酸され、CuOを含まない銅を言い、リンの含有量は0.004〜0.015質量%、または0.015〜0.040質量%のものがある。
【0038】
上段には、タフピッチ銅とステンレス鋼との結果を示した。図示する通り、加圧ありの場合は、ほとんど接合不良は見られず、良好な接合結果が得られることが確認された。加圧なしの場合に、若干の接合不良が確認できるものの、実用的に有効な接合状態は確保されている。
下段には、リン脱酸銅とステンレス鋼との結果を示した。図示する通り、加圧なし、加圧ありのいずれの条件においても、ほとんど接合不良は見られず、良好な接合結果が得られることが確認された。
図8に示した結果により、タフピッチ銅またはリン脱酸銅とステンレス鋼との間でも、BNi−6を用いることで良好な接合が実現されることが確認できた。また、このことは、図3〜5で示した結果において、無酸素銅に代えて、タフピッチ銅またはリン脱酸銅を用いることができることも表していると言える。即ち、タフピッチ銅またはリン脱酸銅と、無酸素銅、タングステン、ステンレス鋼、アルミナ分散強化銅、フェライト相およびマルテンサイト相の一方または双方を含む鉄鋼およびイリジウムとの間で、BNi−6を用いて良好な接合が実現できると結論づけることができる。
【0039】
次に、圧力の影響、ろう材の厚さによる影響について、第1部材、第2部材ともにGlidCop(登録商標)を用い、BNi−6をろう材として用いた実験結果に基づいて説明する。
図9は、接合時に加える圧力の影響を示す説明図である。
図9(a)には、接合する部材の形状等を示した。部材Aは、アルミナ分散強化銅、より具体的には、GlidCop(登録商標)の部材であり、図示する流路が切削されている。部材Bは、流路に蓋をするGlidCop(登録商標)の板状部材である。流路の周囲が部材A、部材Bの接合部となる。
図9(b1)、図9(b2)には、それぞれ部材に圧力を加えた状態を示した。下プレートと上プレートはボルトで締結されており、下プレートと中プレートの間に接合部材が、中プレートと上プレートとの間にカーボンばねが挟まれている点は共通である。また、カーボンばねの弾性係数も同じである。各プレートの厚さが、図9(b2)では図9(b1)の約2.5〜3.5倍となっている点が相違する。
図9(c1)、図9(c2)には、それぞれ図9(b1)、図9(b2)に対応する超音波探傷による検査結果を示している。流路の周囲を上方から見た状態を示した。図9(c1)では、流路の周囲に、多数の筋状の模様が確認できる。これは、部材A、部材Bが十分に接合されていない接合不良の箇所を表している。一方、図9(c2)では、かかる接合不良は見られない。
図9(b1)、図9(b2)では、カーボンばねにより加えた圧力値が同じであるから、部材にかかる圧力も等しくなるはずであるが、各プレートが厚い図9(b2)では圧力が均一に加わるのに対し、各プレートが薄い図9(b1)では圧力に偏りが生じているものと考えられる。従って、圧力を加えるために用いるプレートの厚さは、十分に厚いことが好ましいことになる。具体的な厚さは、圧力による撓みが十分に抑制されることが好ましいと考えられ、図9(b1)、図9(b2)に示すように、種々の厚さで接合を行い、接合不良の有無を確認することで実験的に定めることができる。ここでは、2種類の厚さによる結果を示したが、さらに多くの厚さで実験を行えば、接合不良を回避するために必要となる厚さを決定することが可能である。
【0040】
図10は、ろう材の厚さによる影響を示す説明図である。ろう材の厚さとは、2つの部材の間に介在させるろう材の層の厚さのことである。図10中の左側の列には、ろう材の厚さを38マイクロメートルとした場合における結果を示し、右側の列には、ろう材の厚さを76マイクロメートルとした場合における結果を示した。
図10(a1)、図10(a2)は、接合した部材を真上から見下ろした状態を示している。この例では、矩形の一定厚さの2枚の部材を接合しており、上側の部材には中央に矩形の窓が形成されている。いずれの部材も、GlidCop(登録商標)で形成されている。図10(a1)、図10(a2)に示す通り、ろう材が接合面から窓の内側に若干、はみ出していることが確認でき、ろう材が厚い図10(c2)の方が多量にはみ出していることが分かる。
図10(b1)、図10(b2)は、接合した部材を側面から見た状態である。ろう材が厚い図10(b2)の方が変色している部分が大きいことが確認される。
図10(c1)、図10(c2)は、窓の部分を斜め方向から見た状態である。ろう材が厚い図10(c2)の方が多量にろう材がはみ出していることが確認される。
図10(d1)、図10(d2)は、超音波探傷による検査結果である。窓に対応する矩形枠の内側にろう材がはみ出していることが確認される。また、ろう材が厚い図10(d2)では、窓の周囲に筋状の接合不良の部分が多数確認されるが、ろう材が薄い図10(d1)では、こうした接合不良は確認されない。
以上より、ろう材は必ずしも厚い方が好ましいとは言えないことが分かる。適したろう材の厚さは、表面仕上げの程度に応じて定まると考えられる。微鏡面仕上げの場合、76マイクロメートルよりは、38マイクロメートルの方が好ましいと言える。この例では、2段階の厚さによる結果を示したが、さらに多段階の厚さで接合および検査を行うことにより、適したろう材の厚さを決定することが可能である。また、本実施例では、超音波探傷検査による接合不良の有無を検査しているが、併せて接合の機械的強度を計測してもよい。
図9図10では、GlidCop(登録商標)同士の実験結果を示したが、図3〜8で示した種々の材質間の結果についても、同様であると言える。
【0041】
以上で説明した通り、実施例のろう付方法によれば、リンを含み銅を含まないろう材を用いることにより、銅と、種々の金属との間で良好にろう付接合することができる。
また、実施例で説明した通り、良好なろう付接合が実現されるのは、ろう材に含まれるリンと接合部材としての銅との共晶反応が作用しているからであると考えられる。かかる共晶反応は、「竹本正、岡本郁男、松村潤二:Cu−Ag−PおよびCu−SnーP系ろう合金の状態図的検討,溶接学会論文集 第5巻(1987)第1号 p.81-86」などに記載されている通り、銅に種々の金属を混ぜた合金においても、同様に生じることが周知である。従って、実施例で説明した結果は、無酸素銅その他の銅に代えて、これらの銅合金を用いた場合でも、同様に得られることが理論上、結論づけることができる。
結果として、リンを含み銅を含まないろう材を用いることにより、銅または銅合金と、種々の金属との間で良好にろう付接合することができる。
【0042】
以上で説明した種々の特徴は、必ずしも全てを備えている必要はなく、一部を適宜、省略したり組み合わせたりしてもよい。
本発明は、種々の構造物の製造に適用可能である。一例として、ダイバータを挙げることができる。ダイバータとは、核融合炉に熱除去等のために備えられる構造体であり、非常な高温に曝されることから、受熱面の素材としてタングステンが用いられる。
また、複数の素材間のろう付けにも適用可能である。銅からなる部材Aと、それ以外の素材からなる部材B、部材Cをそれぞれろう付接合する場合には、部材B、Cのうち銅に熱膨張係数が近いものを接合し、その後、他の部材を接合することが好ましい。このように接合を繰り返し実行する場合、一旦、接合された部材同士は、次の部材を接合するために再び熱処理環境下に曝されることになる。部材同士の熱膨張係数が大きく異なる場合には、熱処理の繰り返しによって大きな熱応力を生じることになる。熱膨張係数が近い部材同士を先に接合するのは、かかる弊害を避け、熱応力の発生を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、銅および銅合金のろう付接合に利用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2020年11月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
無酸素銅、タフピッチ銅、リン脱酸銅、銅合金のいずれかからなる第1部材と、被接合金属からなる第2部材とをろう付接合する接合方法であって、
前記被接合金属は、無酸素銅、アルミナ分散強化銅、オーステナイト系ステンレス鋼、フェライト相およびマルテンサイト相の一方または双方を含む鉄鋼、タングステン、またはイリジウムのいずれかであり、
(a) リンを含有し、銅を含有しないろう材を用意する工程と、
(b) 前記第1部材、第2部材で前記ろう材を挟み込み、所定の熱処理温度で所定時間加熱する熱処理工程と、
(c) 前記熱処理工程の後、接合された前記第1部材および第2部材を冷却する工程と、を備え、
前記熱処理温度は、第1部材の融点よりも低く、リンと銅との共晶反応により低下した第1部材の融点よりも高い範囲で設定されている接合方法。
【手続補正書】
【提出日】2021年1月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
無酸素銅、タフピッチ銅、リン脱酸銅のいずれかからなる第1部材と、被接合金属からなる第2部材とをろう付接合する接合方法であって、
前記被接合金属は、無酸素銅、アルミナ分散強化銅、オーステナイト系ステンレス鋼、マルテンサイト相を含む鉄鋼、タングステン、またはイリジウムのいずれかであり、
(a) リンを含有し、銅を含有しないろう材を用意する工程と、
(b) 前記第1部材、第2部材で前記ろう材を挟み込み、所定の熱処理温度で所定時間加熱する熱処理工程と、
(c) 前記熱処理工程の後、接合された前記第1部材および第2部材を冷却する工程と、を備え、
前記熱処理温度は、第1部材の融点よりも低く、リンと銅との共晶反応により低下した第1部材の融点よりも高い範囲で設定されている接合方法。