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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-167442(P2021-167442A)
(43)【公開日】2021年10月21日
(54)【発明の名称】鉱物原料の改質方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 1/00 20060101AFI20210924BHJP
   C10B 57/06 20060101ALI20210924BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20210924BHJP
【FI】
   C22B1/00 101
   C10B57/06
   B01J20/26 D
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-70604(P2020-70604)
(22)【出願日】2020年4月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】特許業務法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷山 奈津美
(72)【発明者】
【氏名】吉川 たかし
【テーマコード(参考)】
4G066
4H012
4K001
【Fターム(参考)】
4G066AC17B
4G066BA09
4G066BA20
4G066CA43
4G066DA20
4H012PA00
4K001BA01
4K001CA49
(57)【要約】
【課題】鉱物原料を効率的に搬送するために、鉱物原料の、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、該処理設備内及び該処理設備外への噴出、並びに嵩密度低下の少なくともいずれかを防止する、鉱物原料の改質方法を提供する。
【解決手段】鉱物原料に改質剤を添加して、該鉱物原料を改質する方法であって、搬送される前記鉱物原料の水分率を連続的に測定する工程と、前記水分率に基づいて、前記改質剤の添加量を算出する工程と、前記添加量の前記改質剤を前記鉱物原料に添加する工程とを含み、前記改質剤の添加により、前記鉱物原料の、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、該処理設備内及び該処理設備外への噴出、並びに嵩密度低下の少なくともいずれかを防止する、鉱物原料の改質方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱物原料に改質剤を添加して、該鉱物原料を改質する方法であって、
搬送される前記鉱物原料の水分率を連続的に測定する工程と、
前記水分率に基づいて、前記改質剤の添加量を算出する工程と、
前記添加量の前記改質剤を前記鉱物原料に添加する工程とを含み、
前記改質剤の添加により、前記鉱物原料の、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、該処理設備内及び該処理設備外への噴出、並びに嵩密度低下の少なくともいずれかを防止する、鉱物原料の改質方法。
【請求項2】
鉱物原料に改質剤を添加して、該鉱物原料を改質する方法であって、
搬送される前記鉱物原料の水分率及び搬送量を連続的に測定する工程と、
前記水分率及び前記搬送量に基づいて、前記改質剤の添加量を算出する工程と、
前記添加量の前記改質剤を前記鉱物原料に添加する工程とを含み、
前記改質剤の添加により、前記鉱物原料の、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、該処理設備内及び該処理設備外への噴出、並びに嵩密度低下の少なくともいずれかを防止する、鉱物原料の改質方法。
【請求項3】
前記処理設備が、配管、ベルトコンベア、コンベアチェーン、シュート、ホッパー、サイロ、及びコークス炉の少なくともいずれかである、請求項1又は2に記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項4】
前記改質剤が、JIS K7223(1996)及びJIS K7224(1996)で定義される高吸水性樹脂を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項5】
前記高吸水性樹脂が、ポリアクリル酸ナトリウムである、請求項4に記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項6】
前記改質剤が、界面活性剤を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項7】
前記界面活性剤が、アニオン系界面活性剤である、請求項6に記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項8】
前記改質剤が、水溶性高分子化合物を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項9】
前記水溶性高分子化合物が、アニオン系エマルションポリマーである、請求項8に記載の鉱物原料の改質方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱物原料、特に湿潤な状態にある鉱物原料の改質方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄所や火力発電所等では、通常、鉱物原料が在庫として原料ヤードに野積みされている。原料ヤードに野積みされている鉱物原料は、防塵対策として散水される水や雨水を含む場合があり、水分率が高くなりやすい。
【0003】
原料ヤードに野積みされている鉱物原料は、原料ヤードから貯留設備や鉱物原料を使用する設備まで、ベルトコンベヤを乗り継いで搬送される。例えば、石炭を火力発電所のボイラーに供給する場合、一般に、石炭は、ベルトコンベヤを乗り継いだ後、石炭粉砕機及びバケット式コンベヤを経る、一連のラインで、ボイラーまで搬送される。
原料ヤードだけでなくベルトコンベヤ設備も屋外にあるため、雨に曝されて、石炭はさらに湿潤な状態となる。このような石炭は、ボイラーに石炭を供給する配管(給炭管)やベルトコンベヤ、シュート、ホッパー等の処理設備の接触面に付着しやすく、さらに固着し、配管等が詰まる場合がある。
【0004】
このような付着や詰まりが生じた場合、ラインの運転を停止して、詰まった石炭を取り出したり、設備を分解したりして、付着や詰まりを解消する必要がある。このため、石炭の搬送効率が低下することとなり、さらには、火力発電所における発電効率が低下するという事態も生じていた。
このような問題に対して、特許文献1では、湿潤な鉱物原料に改質剤として高吸水性樹脂を接触させることにより、前記鉱物原料の搬送設備での付着及び詰まり防止方法を提案している。
【0005】
また、貯留設備に貯留された水分率の高い湿潤な鉱物原料は、貯留中に鉱物原料に含まれる水分が貯留設備の下部へと移動して、下部の鉱物原料の水分率がさらに上昇し、スラリー状になる現象が観察される。この水分率が上昇した鉱物原料は、摩擦力の低下によって、貯留設備から漏出する場合があった。
このような問題に対して、特許文献2では、湿潤な鉱物原料を貯留設備で貯留する際に、湿潤な鉱物原料に、改質剤として高吸収性樹脂及び/又は水溶性高分子化合物を接触させることにより、前記湿潤な鉱物原料が貯留設備から漏出することを防止する方法、及び/又は水が漏出することを防止する方法を提案している。
【0006】
また、原料ヤードや貯留設備の鉱物原料は、水分量が高いほど、嵩密度が低くなり、搬送効率が低下することとなるため、鉱物原料を用いた工業製品の生産性が低下するという問題があった。
このような問題に対して、特許文献3では、コークス炉に装入される石炭の輸送ラインにおいて、粒径3mm以下の粒分が75%以上となるように粉砕された石炭に対して、改質剤として嵩密度向上剤を添加することを特徴とするコークス製造用石炭の嵩密度向上方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018−58017号公報
【特許文献2】特開2018−127709号公報
【特許文献3】特開2010−77368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これまでは、改質剤の添加量は、山積み状態の鉱物原料の任意の箇所で測定した1点のみの水分率に基づいて決定していた。しかしながら、原料ヤードや貯留設備の湿潤な鉱物原料は、表層と内部、上層と下部では水分率が異なる。このため、改質剤添加量が不十分となる場合があり、鉱物原料の処理設備における付着や詰まりが十分に改善されず、さらには、鉱物原料が処理設備内及び該処理設備外へ噴出する場合もあった。
【0009】
また、バラ積み貨物船の船倉では、ハッチ下方の底部に水が溜まりやすく、該底部付近に収容されている鉱物原料の水分率が高くなりやすい。このため、荷揚げ初期に、ハッチカバー付近の鉱物原料の水分率に基づいて改質剤の添加濃度を決定すると、荷揚げ終盤では、改質剤の添加量が不十分となり、この場合も上記と同様に、鉱物原料の処理設備における付着や詰まりが解消されず、また、上述した噴出等の問題も生じていた。
【0010】
また、水分率が高く湿潤な状態であることで嵩密度が低い状態にある鉱物原料の搬送効率を向上させるために、搬送される鉱物原料の嵩密度を、よりばらつきなく高くすることが求められている。
【0011】
上述のような問題に対して、本発明は、鉱物原料を効率的に搬送するために、鉱物原料の、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、該処理設備内及び該処理設備外への噴出、並びに嵩密度低下の少なくともいずれかを防止する、鉱物原料の改質方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、鉱物原料の改質方法として、連続的に測定した鉱物原料の水分率に基づいて、改質剤の添加量を調整することにより、鉱物原料を好適に改質できることを見出したことに基づくものである。
【0013】
すなわち、本発明は、次の[1]〜[9]を提供するものである。
[1]鉱物原料に改質剤を添加して、該鉱物原料を改質する方法であって、
搬送される前記鉱物原料の水分率を連続的に測定する工程と、
前記水分率に基づいて、前記改質剤の添加量を算出する工程と、
前記添加量の前記改質剤を前記鉱物原料に添加する工程とを含み、
前記改質剤の添加により、前記鉱物原料の、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、該処理設備内及び該処理設備外への噴出、並びに嵩密度低下の少なくともいずれかを防止する、鉱物原料の改質方法。
[2]鉱物原料に改質剤を添加して、該鉱物原料を改質する方法であって、
搬送される前記鉱物原料の水分率及び搬送量を連続的に測定する工程と、
前記水分率及び前記搬送量に基づいて、前記改質剤の添加量を算出する工程と、
前記添加量の前記改質剤を前記鉱物原料に添加する工程とを含み、
前記改質剤の添加により、前記鉱物原料の、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、該処理設備内及び該処理設備外への噴出、並びに嵩密度低下の少なくともいずれかを防止する、鉱物原料の改質方法。
[3]前記処理設備が、配管、ベルトコンベア、コンベアチェーン、シュート、ホッパー、サイロ、及びコークス炉の少なくともいずれかである、上記[1]又は[2]に記載の鉱物原料の改質方法。
[4]前記改質剤が、JIS K7223(1996)及びJIS K7224(1996)で定義される高吸水性樹脂を含む、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の鉱物原料の改質方法。
[5]前記高吸水性樹脂が、ポリアクリル酸ナトリウムである、上記[4]に記載の鉱物原料の改質方法。
[6]前記改質剤が、界面活性剤を含む、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の鉱物原料の改質方法。
[7]前記界面活性剤が、アニオン系界面活性剤である、上記[6]に記載の鉱物原料の改質方法。
[8]前記改質剤が、水溶性高分子化合物を含む、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の鉱物原料の改質方法。
[9]前記水溶性高分子化合物が、アニオン系エマルションポリマーである、上記[8]に記載の鉱物原料の改質方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の鉱物原料の改質方法によれば、鉱物原料の、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、該処理設備内及び該処理設備外への噴出、並びに嵩密度低下を効果的に防止することができる。
したがって、本発明の方法を用いれば、鉱物原料を効率的に搬送することができ、鉱物原料を用いた工業製品の生産性向上に寄与できる鉱物原料の改質方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の鉱物原料の改質方法を説明するための模式図である。
図2図2は、本発明の鉱物原料の改質方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の鉱物原料の改質方法について説明する。
なお、本発明における「鉱物原料の処理設備への付着防止」とは、まったく付着しない場合のみならず、一部付着する場合であっても、鉱物原料の搬送が妨げられない程度に付着が十分に抑制される場合も含む意味で用いるものとする。
【0017】
本発明の一態様において、本発明の鉱物原料の改質方法は、鉱物原料に改質剤を添加して、該鉱物原料を改質する方法であって、搬送される前記鉱物原料の水分率を連続的に測定する工程と、前記水分率に基づいて、前記改質剤の添加量を算出する工程と、前記添加量の前記改質剤を前記鉱物原料に添加する工程とを含む。
本発明の他の態様において、本発明の鉱物原料の改質方法は、搬送される前記鉱物原料の水分率及び搬送量を連続的に測定する工程と、前記水分率及び前記搬送量に基づいて、前記改質剤の添加量を算出する工程と、前記添加量の前記改質剤を前記鉱物原料に添加する工程とを含む。
上記工程を有することにより、前記鉱物原料の、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、該処理設備内及び該処理設備外への噴出、並びに嵩密度低下の少なくともいずれかを防止することができる。
【0018】
(鉱物原料)
鉱物原料の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、石炭、鉄鉱石、鉄鉱石以外の金属鉱石、ダスト、スラグ、スラッジ、コークス、焼結鉱、石灰石等が挙げられる。これらは、1種単独であっても、2種以上の混合物であってもよい。
また、鉱物原料の形状、大きさ等は、特に限定されるものではないが、詰まりを防止する観点から、詰まりやすい形態のもの、例えば、粒子1個の粒子径が0.1μm〜10mmの粒状、粉末状等のものが好適に適用される。
【0019】
本発明において、改質剤の添加対象とする「鉱物原料」は、水分を含む、湿潤な鉱物原料である。「湿潤な鉱物原料」とは、湿気を帯びた状態、しっとりとした状態であり、ベルトコンベアで搬送可能な鉱物原料である。湿潤な鉱物原料の水分率は、鉱物原料の種類や性状によって、一概には定めることはできないが、例えば、粒径0.1μm〜10mmの石炭の場合は、10質量%超、好ましくは12質量%以上である。また、例えば、粒径0.1μm〜10mmの鉄鉱石の場合は、9質量%超、好ましくは11質量%以上である。
鉱物原料中の水分は、その由来は特に限定されるものではなく、鉱物原料自体に由来するものでもよく、あるいはまた、搬送や保管中に接触した雨や粉塵防止のための散水等の水でもよい。
【0020】
[改質剤]
改質剤は、特に限定されるものではなく、例えば、高吸水性樹脂、水溶性高分子化合物、界面活性剤等の有機物、製鉄所内で発生するダスト、スラグ、石炭、鉄鉱石、珪藻土、セラミック等の無機物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上をそれぞれ単独で用いても、2種以上の混合物として用いてもよい。
鉱物原料の、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、該処理設備内及び該処理設備外への噴出を防止する観点から、改質剤は、高吸水性樹脂及び水溶性高分子化合物を含むことが好ましく、高吸水性樹脂を含むことがより好ましい。
また、鉱物原料の嵩密度向上の観点から、改質剤は界面活性剤を含むことが好ましい。
【0021】
(高吸水性樹脂)
本発明における高吸水性樹脂とは、JIS K7223(1996)及びJIS K7224(1996)で定義される、「水を高度に吸収して、膨潤する樹脂で、架橋構造の親水性物質で水と接触することにより吸水し、一度吸水すると圧力をかけても離水しにくい特徴を持っている」ものである。すなわち、吸水量が多く、保水性に優れた樹脂である。
湿潤な鉱物原料に前記高吸水性樹脂を添加混合した場合、水溶性高分子化合物は鉱物原料中の水分の少なくとも一部を吸収する。これにより、鉱物原料の表面の水分率が低減して、処理設備の接触面において、鉱物原料の滑り性が向上し、付着しにくくなり、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、該処理設備内、該処理設備外への噴出等を防止することができる。なお、処理設備の接触面に対する付着性が抑制されればよく、鉱物原料中の水分の全量が、高吸水性樹脂に吸収される必要はない。
【0022】
高吸水性樹脂の種類は、合成樹脂系及び天然物由来系のいずれでもよく、特に限定されるものではないが、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアルキレンイミン、ポリオキシアルキレン、ポリマレイン酸、及びこれらを構成する単量体のいずれかを含む共重合体等が挙げられる。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0023】
ポリ(メタ)アクリル酸塩を構成する単量体としては、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム等が挙げられる。
ポリ(メタ)アクリル酸エステルを構成する単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等が挙げられる。
ポリアルキレンイミンを構成する単量体としては、エチレンイミン、メチルエチレンイミン等が挙げられる。
ポリオキシアルキレンを構成する単量体としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等が挙げられる。
前記共重合体を構成する他の単量体としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、N−エチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン等が挙げられる。
【0024】
高吸水性樹脂は、1種単独で用いてもよく、あるいはまた、2種以上を併用してもよい。入手容易性及び高い吸水能等の観点から、ポリアクリル酸又はポリアクリル酸ナトリウムが好適に用いられ、ポリアクリル酸ナトリウムが特に好ましい。
また、高吸水性樹脂は、他の吸水剤と併用してもよい。他の吸水剤としては、シリカゲル、ゼオライト、活性炭等が挙げられる。
高吸水性樹脂の性状は、鉱物原料に均一に混合させること、また、取り扱い容易性等の観点から、鉱物原料と同等以下の粒径の粒状又は粉末状であることが好ましい。例えば、粒径0.1μm〜2mmの石炭の場合、粒径が好ましくは10〜1000μm、より好ましくは50〜600μmである高吸水性樹脂を用いる。また、有機溶剤に液体状の高吸水性樹脂を分散させたものを用いてもよく、液体状の高吸水性樹脂を用いてもよい。有機溶剤は特に限定されないが、芳香族系有機溶剤などの高沸点溶剤を用いることが好ましい。
【0025】
改質剤の有効成分中の高吸水性樹脂の含有量は、鉱物原料を効率的に搬送する観点から、5〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましい。
【0026】
(水溶性高分子化合物)
本発明における水溶性高分子化合物とは、吸水量が多く保水性に優れる特性を備えるものである。本発明において水溶性とは、25℃の水100gに対して、0.01g以上溶解することをいう。
湿潤な鉱物原料に水溶性高分子化合物を添加混合した場合、水溶性高分子化合物は鉱物原料中の水分の少なくとも一部を吸収する。これにより、鉱物原料の表面の水分率が低減して、処理設備の接触面において、鉱物原料の滑り性が向上し、付着しにくくなり、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、該処理設備内、該処理設備外への噴出等を防止することができる。なお、処理設備の接触面に対する付着性が抑制されればよく、鉱物原料中の水分の全量が、水溶性高分子化合物に吸収される必要はない。
水溶性高分子化合物は、人工的につくられる合成高分子化合物でも、天然に存在する天然高分子化合物でもよく、例えば、合成水溶性高分子化合物、半合成水溶性高分子化合物、天然水溶性高分子化合物等が挙げられる。
【0027】
合成水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン又はその塩、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸アミド、マレイン酸イミド、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸等の共重合物又はその塩等が挙げられる。この塩としては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩等が挙げられる。
【0028】
半合成水溶性高分子化合物としては、ビスコース、メチルセルロース、カチオン化セルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体;アルファ化デンプン、カルボキシルデンプン、ジアルデヒドロデンプン、カチオン化デンプン、デキストリン、ブリティッシュゴム等のデンプン誘導体;カチオン化グアーガム、アニオン化グアーガム、メチルグリコールキトサン等が挙げられる。
【0029】
天然水溶性高分子化合物としては、デンプン、マンナン、グアーガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、ペクチン、デキストラン、ゼラチン、ラムザンガム、ジェランガム等が挙げられる。
【0030】
水溶性高分子化合物は、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の何れでもよい。このうち、魚類への毒性が少ないアニオン性及びノニオン性が好ましく、更にアニオン性が好ましい。
【0031】
水溶性高分子化合物は、合成水溶性高分子化合物であることが好ましい。合成水溶性高分子化合物としては、アニオン性モノマーとノニオン性モノマーの1種又は2種以上を構成成分とする単独重合体又は共重合体が好適である。アニオン性基(アニオン性モノマー)としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボン酸(モノマー);スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等のスルホン酸(モノマー)等が例示される。また、ノニオン性基(ノニオン性モノマー)としては、例えば、アクリルアミド(モノマー)やメタクリルアミド(モノマー)等が例示される。合成水溶性高分子化合物としては、アクリル酸系及び/又はアクリルアミド系ポリマーが更に好ましい。アクリル酸系及び/又はアクリルアミド系ポリマーとしては、例えば、アクリル酸単重合物、アクリルアミド単独重合物、アクリル酸/アクリルアミド共重合物、ポリアクリルアミドの部分加水分解物、アクリル酸/アクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸/マレイン酸共重合物又はその塩、等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。このうち、アクリル酸/アクリルアミド共重合物、アクリルアミド単独重合物、ポリアクリルアミドの部分加水分解物は、何れも高分子量であり、本発明の用途に好適に用いられる。
前記アクリルアミド系又はアクリル酸系ポリマーの平均分子量は、好ましくは1,000,000〜10,000,000、より好ましくは5,000,000〜9,000,000(固有粘度法)とするのが好適である。
また、アニオン性高分子の場合、前記アクリル酸系及び/又はアクリルアミド系ポリマーを生成する際のアクリル酸単位の含有量は、使用する単量体の全合計量(100モル%)に対して、好ましくは5モル%以上、より好ましくは20〜100モル%とするのが好適である。
前記水溶性高分子化合物を使用するときの状態としては、特に限定されず、粉末状、液体状又はエマルジョン状で使用するのが好適である。特に処理対象の水分を増加させずに使用できる粉末状とエマルジョン状で使用するのが好適である。W/O型エマルジョン状の水溶性高分子化合物は、公知の手法(例えば、特公昭52−039417号公報、特開昭51−41090号公報)にて製造することができる。
【0032】
水溶性高分子化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。アクリル酸/アクリルアミド共重合物、アクリルアミド単独重合物、ポリアクリルアミドの部分加水分解物は、何れも高分子量であり、鉱物原料を効率的に搬送する観点からも好適に用いられる。
【0033】
改質剤の有効成分中の水溶性高分子化合物の含有量は、鉱物原料を効率的に搬送する観点から、5〜80質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましく、30〜50質量%であることがさらに好ましい。
【0034】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、例えば、ジアルキルスルホコハク酸(アルキル基の炭素数は8〜16が好適である。)又はその塩(例えば、ナトリウム塩、アンモニウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルカンスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレン(POE)付加重合物又はその塩等のノニオン系界面活性剤等を用いることができる。
湿潤な鉱物原料に前記界面活性剤を添加混合した場合、鉱物原料の滑り性が向上し、鉱物原料の嵩密度が向上する。嵩密度が向上することにより、鉱物原料を用いた工業製品の生産性向上に寄与できる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、あるいはまた、2種以上を併用してもよい。鉱物原料の嵩密度向上の観点から、アニオン性界面活性剤が好ましく、アルカンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
【0035】
改質剤の有効成分中の界面活性剤の含有量は、嵩密度向上の観点から、5〜100質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、20〜30質量%であることがさらに好ましい。
【0036】
[処理設備]
本発明における処理設備とは、例えば、原料ヤード等の鉱物原料の保管場所から、鉱物原料を使用する設備まで、所定のラインで鉱物原料を送り込む搬送ライン内の処理設備を指し、シュート、ホッパー、サイロ等の一時的に貯蔵する機能を有するものも含む。船やトラック等による輸送や、バケツによる搬送等とは区別されるものである。
本発明においては、処理設備の中でも付着及び詰まりによる不都合が生じやすい箇所、具体的には、配管、ベルトコンベヤ、コンベヤチェーン、シュート、ホッパー、サイロ、コークス炉等において、鉱物原料の付着、詰まり、該処理設備内及び該処理設備外への噴出等の防止効果が得られる。
湿潤な鉱物原料は、これらの処理設備において付着や詰まり、噴出等の問題が生じやすく、問題が生じた場合は、ラインの運転を停止した上で問題を解消する必要があり、手間を要していた。
これに対して、本発明においては、後述の方法により、改質剤の添加量を算出し、鉱物原料に前記添加量で添加した場合、処理設備の接触面において、鉱物原料の滑り性が向上し、付着や詰まり、噴出が防止されることにより、ラインの運転を停止させることなく、鉱物原料を効率的に搬送することが可能となる。
【0037】
[測定する工程]
本発明の一態様において、本発明における測定する工程とは、搬送される鉱物原料の水分率を連続的に測定する工程である。
本発明の他の態様において、本発明における測定する工程とは、搬送される鉱物原料の水分率及び搬送量を連続的に測定する工程である。
本発明において連続的に測定するとは、1回のみの測定ではなく、測定を続けて行うことを意味し、例えば、搬送される鉱物原料の水分率又は搬送量を、特定の間隔で複数回行うことを言う。
水分率を測定する間隔は、特に限定されるものではなく、鉱物原料の種類、性状、搬送量等により異なるが、鉱物原料として石炭を用い、搬送量が1〜20t/分の場合、0.01〜60秒毎に測定することが好ましい。
搬送量を測定する間隔は、特に限定されるものではなく、鉱物原料の種類、性状、搬送速度等により異なるが、鉱物原料として石炭を用い、石炭の水分率が5〜25質量%の場合、1秒〜1分毎に測定することが好ましい。
【0038】
鉱物原料の水分率の測定方法としては、連続的に測定する観点から、非接触式水分計による測定が好ましく、例えば赤外線式、マイクロ波式、中性子式、電気抵抗式、電気容量式等が挙げられる。
これらの中でも、設置が容易であり、容易に使用できる観点から、原料に対して赤外線を照射し、反射光強度を測定する赤外線式による測定が好ましい。例えばNDC Technologies社製CM710e等を採用することができる。
鉱物原料の水分率の測定に要する時間は、生産性、鉱物原料の水分率に対応した適切な添加量で改質剤を添加する等の観点から、0.1〜60秒であることが好ましく、1〜10秒であることがより好ましい。
【0039】
鉱物原料の搬送量の測定方法としては、例えば、ロードセル式やメリック式等の荷重測定装置、光学式、ミリ波式、超音波式等の距離計測装置等が挙げられる。
荷重測定装置では、ベルトコンベア上の鉱物原料の質量値とベルトコンベアの移動速度から搬送量を算出する。また、距離測定装置では、ベルトコンベア上部に距離センサーを設置し、距離センサーとベルトコンベア底部までの距離と、距離センサーとベルトコンベア上の鉱物原料までの距離の差から、搬送量を算出する。
鉱物原料の搬送量の測定に要する時間は、生産性、鉱物原料の水分率に対応した適切な添加量で改質剤を添加する等の観点から、0.1〜60秒であることが好ましく、1〜10秒であることがより好ましい。
【0040】
搬送される前記鉱物原料の水分率及び搬送量を測定する位置は、水分率のみ測定を行う図1及び水分率と搬送量の両方の測定を行う図2に示す搬送ラインにおいて、改質剤を添加する位置より上流側であり、水分率及び搬送量測定装置は、測定対象となる鉱物原料を搬送するベルトコンベア等の搬送設備付近に設置することが好ましい。
本発明の一態様において、水分率と搬送量とを測定する場合、水分率の測定を搬送量の測定より先に行ってもよく、搬送量の測定を水分率の測定より先に行ってもよく、水分率と搬送量の測定を同時に行ってもよい。鉱物原料が搬送されていない時は、水分率を測定する必要がないことから、搬送量の測定を水分率の測定より先に行うことが好ましい。
【0041】
[算出する工程]
本発明の一態様において、本発明における算出する工程とは、搬送される前記鉱物原料の水分率の測定結果に基づいて、改質剤の添加量を算出する工程である。
改質剤の添加量は、鉱物原料の種類、性状等により異なるが、例えば、鉱物原料が石炭である場合、石炭の水分率が約7質量%未満であると、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、該処理設備内及び該処理設備外への噴出は生じ難く、嵩密度も比較的高いため、改質剤の添加量は0と算出される。つまり、改質剤の過剰な添加が抑制される。 石炭の水分率が約7質量%以上である場合、改質剤の添加が必要となり、予めシミュレーションや検量線等により求めた、鉱物原料の水分率に対する適切な添加量である基準値と、石炭の水分率の測定結果に基づいて、改質剤の添加量が算出される。改質剤の添加量は、石炭の水分率が高いほど増加する。
【0042】
本発明の他の態様において、本発明における算出する工程とは、搬送される前記鉱物原料の水分率及び搬送量の測定結果に基づいて、改質剤の添加量を算出する工程である。
改質剤の添加量は、鉱物原料の種類及び性状等により異なるが、例えば、鉱物原料が石炭である場合、石炭の水分率が約7質量%未満であると、上述の本発明の一態様と同様の理由により、鉱物原料の搬送量に関係なく、改質剤の添加量は0と算出される。つまり、改質剤の過剰な添加が抑制される。
石炭の水分率が約7質量%以上である場合、改質剤の添加が必要となり、予めシミュレーションや検量線等により求めた、鉱物原料の水分率に対する適切な添加量である基準値と、石炭の水分率の測定結果に基づいて、改質剤の添加量が算出される。改質剤の添加量は、石炭の水分率が高いほど、また、搬送量が多いほど増加する。
【0043】
鉱物原料の水分率の測定結果、または鉱物原料の水分率と搬送量の測定結果に基づいて、改質剤の添加量を算出し、後述の添加する工程において、算出した添加量の改質剤を添加することにより、改質剤が不足して改質効果が不十分となることを防止することができる。
また、本発明においては、鉱物原料の水分率の測定結果、または鉱物原料の水分率と搬送量の測定結果に基づいて、改質剤の添加量を算出することから、改質剤の添加が過剰となることを防止することもでき、改質剤コストを低減することが可能となる。また、予めシミュレーションや検量線等により求めた、鉱物原料の水分率に対する適切な添加量である基準値と、水分率の測定結果とが大幅に異なる場合は、原料がベルトコンベアに存在しないと判断し、改質剤の添加を停止することが可能となる。
なお、算出する工程は、測定する工程の後に行う工程であり、後述の添加する工程の前に行う工程である。
【0044】
[添加する工程]
本発明における添加する工程とは、算出する工程で算出された添加量の改質剤を、鉱物原料に添加する工程である。すなわち、算出した改質剤の添加量に応じて、添加量を変化させながら連続的に鉱物原料に改質剤を添加する工程である。
改質剤の添加量は、鉱物原料の種類及び性質により異なり、かつ鉱物原料の水分率、または水分率と搬送量により算出されるものであるが、鉱物原料が粒径0.1μm〜2mm、水分率7質量%以上の石炭であり、改質剤が高吸水性樹脂を含む場合、高吸収樹脂の石炭中の濃度が0.001〜50質量%となるように添加することが好ましく、0.005〜5質量%となるように添加することがより好ましく、0.05〜0.5質量%となるように添加することがさらに好ましい。また、鉱物原料が粒径0.1μm〜2mm、水分率7質量%以上の石炭であり、改質剤が水溶性高分子化合物を含む場合、水溶性高分子化合物の石炭中の濃度が0.001〜50質量%となるように添加することが好ましく、0.005〜5質量%となるように添加することがより好ましく、0.05〜0.5質量%となるように添加することがさらに好ましい。上記範囲の添加量とすることで、鉱物原料の、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、並びに該処理設備内及び該処理設備外への噴出の少なくともいずれかを防止することが可能となる。
鉱物原料が粒径0.1μm〜2mm、水分率7質量%以上の石炭であり、改質剤が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の石炭中の濃度が0.001〜50質量%となるように添加することが好ましく、0.005〜5質量%となるように添加することがより好ましく、0.05〜0.5質量%となるように添加することがさらに好ましい。上記範囲の添加量とすることで、鉱物原料の嵩密度低下を防止することが可能となる。
【0045】
鉱物原料が粒径0.1μm〜2mm、水分率10質量%以上の鉄鉱石であり、改質剤が高吸水性樹脂を含む場合、高吸水性樹脂の鉄鉱石中の濃度が0.001〜50質量%となるように添加することが好ましく、0.005〜5質量%となるように添加することがより好ましく、0.05〜0.5質量%となるように添加することがさらに好ましい。また、鉱物原料が粒径0.1μm〜2mm、水分率10質量%以上の鉄鉱石であり、改質剤が水溶性高分子化合物を含む場合、水溶性高分子化合物の鉄鉱石中の濃度が0.001〜50質量%となるように添加することが好ましく、0.005〜5質量%となるように添加することがより好ましく、0.05〜0.5質量%となるように添加することがさらに好ましい。上記範囲の添加量とすることで、鉱物原料の、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、並びに該処理設備内及び該処理設備外への噴出の少なくともいずれかを防止することが可能となる。
また、鉱物原料が粒径0.1μm〜2mm、水分率10質量%以上の鉄鉱石であり、改質剤が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の鉄鉱石中の濃度が0.001〜50質量%となるように添加することが好ましく、0.005〜5質量%となるように添加することがより好ましく、0.05〜0.5質量%となるように添加することがさらに好ましい。上記範囲の添加量とすることで、鉱物原料の嵩密度低下を防止することが可能となる。
【0046】
改質剤を鉱物原料に添加する位置は、鉱物原料の水分率及び搬送量の測定より後に添加できる位置であれば特に限定されるものではなく、鉱物原料をベルトコンベヤ等で搬送する途中や、搬送後であってもよい。適切な添加量で改質剤を添加する観点から、添加する位置は、水分率及び搬送量の測定位置付近であることが好ましい。また、ベルトコンベアの乗継部では、添加された改質剤と鉱物原料とに混合作用が働くことから、ベルトコンベアの乗り継ぎ部より上流の位置で改質剤を添加することが好ましい。
改質剤を鉱物原料に添加する方法は、特に限定されるものではないが、ベルトコンベヤ等により搬送されている鉱物原料に対して、改質剤を鉱物原料の上方から散布することが好ましい。
また、改質剤は、1カ所で添加してもよく、2カ所以上で添加してもよい。
改質剤として2種以上の成分を用いる場合、各成分がそれぞれ添加されてもよく、予め調製混合されたものを添加してもよい。また、1種単独で添加した後、2種以上を予め調製混合されたものを添加してもよく、2種以上を予め調製混合されたものを添加した後、1種単独で添加してもよい。
【0047】
改質剤を鉱物原料に添加するタイミングは、鉱物原料の搬送途中で水分率が変化する場合もあることから、鉱物原料の水分率測定後、好ましくは10分以内、より好ましくは5分以内、さらに好ましくは1分以内に改質剤を添加することが好ましい。また、鉱物原料の搬送速度の変動に応じて、改質剤を添加できることが好ましい。
【0048】
本発明においては、鉱物原料に改質剤を添加した後に、鉱物原料と改質剤とを混合することが好ましい。
混合方法は、特に限定されるものではないが、鉱物原料と改質剤とが均一に混合されて、相互に接している状態のものが得られることが好ましい。混合方法としては、例えば、ベルトコンベアの乗り継ぎ部における混合、混練機又は重機による混合等が挙げられる。
また、改質剤を、鉱物原料を収容した所定の容器内に添加して撹拌混合することにより、混合することもできる。
【0049】
改質剤が添加された鉱物原料の嵩密度は、鉱物原料の種類及び性質により異なるものであるが、鉱物原料を用いた工業製品の生産性向上に寄与する観点から、好ましくは700kg/m超であり、より好ましくは750kg/m超である。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。
【0051】
[水分率測定]
鉱物原料の水分率は、約20gの鉱物原料について、質量(A)を測定し、これを105℃の乾燥器で2時間乾燥した後の質量(B)を測定し、その減量(A−B)を水分量とみなして、下記式から算出した。
水分率[質量%]=(A−B)/A×100
【0052】
[付着性評価試験]
付着性の評価は、電動フルイ「ANF−30」(日陶科学株式会社製)の上部に、フルイに代えて、模擬ホッパー(投入口:180mm×140mm、排出口:30mm×60mmの逆四角錘台状外形;鋼製)を取り付けた振動試験装置の模擬ホッパーに、それぞれの実施例及び比較例で調整した試料を投入し、振動試験装置下部の受け皿に落下させ、排出時間を測定するとともに、模擬ホッパーにおける試料の付着の有無を目視で観察した。
なお、試料投入開始から、振動試験装置下部の受け皿に落下し終わるまでの排出時間が10.0秒以下である場合、試験後の模擬ホッパーには試料の付着がなく、改質剤を添加していない時に比べ排出時間が短縮されることから、試料の付着、及び詰まりを防止していると判断した。
ただし、排出時間が10秒以下であっても、試料の水分が多く、泥状で流動性が高く、模擬ホッパー上部に付着がみられるものについては、得られた試料は十分に改質されていないと判断した。
【0053】
[嵩密度評価試験]
円筒状の1Lメスシリンダー(ガラス製)の上端部から、実施例及び比較例で調整した試料500gを万遍なく均一に落下充填させた後、体積を測定し、その体積と質量(500g)から嵩密度を計算した。
なお、嵩密度は下記式から算出した。
嵩密度(kg/m)=(試料質量/1Lメスシリンダー充填後の試料体積)
試料の嵩密度の値が695kg/m超の場合、十分な嵩密度を有していると判断した。
【0054】
(実施例1)
鉱物原料として石炭(水分率10質量%、粒径10mm以下)を用い、改質剤として高吸水性樹脂「クリラインS−200」(栗田工業株式会社製;ポリアクリル酸ナトリウム)を、含有量が0.05質量%となるように添加して、均一に撹拌混合し、試料を調製した。続いて、その試料の付着性評価試験を行った。
【0055】
(実施例2〜5、比較例1〜3、参考例1〜3)
石炭の水分率及び改質剤の含有量を下記表1に示すように変更し、それ以外は実施例1と同様にして、試料を調整し、付着性評価試験を行った。
【0056】
上記実施例1〜5、比較例1〜3、及び参考例1〜3の付着性評価試験の結果を表1にまとめて示す。なお、試料の付着の有無については、試験後の模擬ホッパーに試料の付着があるものは×とし、試料の付着がないものは〇とした。
【0057】
【表1】
【0058】
排出時間が10秒以下である実施例1〜5では、模擬ホッパー上部の試料の付着はなく、付着が抑制されていることが確認された。
また、参考例1〜3から分かるとおり、石炭の水分率が約7質量%であると、改質剤の添加の有無に関わらず付着性は低く、改質剤を添加する必要がないと言える。
このように、石炭の水分率が7質量%超である場合、水分率に応じて適切な量の高吸水性樹脂を添加することにより、石炭の設備の接触面に対する付着が抑制され、滑り性が向上し、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、並びに処理設備内及び該処理設備外への噴出を防止することが可能となると言える。
【0059】
(実施例6〜11、比較例4〜9)
石炭の代わりに鉄鉱石(水分率11質量%、粒径10mm以下)を用い、高吸水性樹脂の添加量を下記表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、試料を調整し、付着性評価試験を行った。
【0060】
上記実施例6〜11、及び比較例4〜9の付着性評価試験の結果を表2にまとめて示す。なお、試料の付着の有無については、試験後の模擬ホッパーに試料の付着があるものは×とし、試料の付着がないものは〇とした。
【0061】
【表2】
【0062】
排出時間が10秒以下である実施例6〜11では、模擬ホッパー上部の試料の付着はなく、付着が抑制されていることが確認された。
また、比較例5、7及び8では、排出時間が10秒以下ではあるものの、試料の水分が多く、泥状で流動性が高く、模擬ホッパー上部に付着がみられた。
このように、鉄鉱石の水分率が約11質量%以上である場合、水分率に応じて適切な量の高吸水性樹脂を添加することにより、鉄鉱石の設備の接触面に対する付着が抑制され、滑り性が向上し、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、並びに処理設備内及び該処理設備外への噴出を防止することが可能となると言える。
【0063】
(実施例12)
鉱物原料として石炭(水分率10.5質量%、粒径10mm以下)を用い、改質剤として石炭嵩密度向上剤「アルカンスルホン酸ナトリウム」(栗田工業株式会社製)を、含有量が0.05質量%となるように添加して、均一に撹拌混合し、試料を調製した後、嵩密度を算出した。
【0064】
(実施例13、比較例10〜13、参考例4〜6)
石炭の水分率及び改質剤の含有量を下記表3に示すように変更し、それ以外は実施例12と同様にして、嵩密度を算出した。
【0065】
上記実施例12及び13、比較例10〜13、並びに参考例4〜6の付着性評価試験の結果を表2にまとめて示す。
【0066】
【表3】
【0067】
実施例12及び13では、改質剤として界面活性剤を添加することにより、嵩密度が向上し、鉱物原料を用いた工業製品の生産性向上に寄与できるものが得られることが確認された。このように、水分率が約10.5質量%以上の石炭に、改質剤として界面活性剤を添加することにより、嵩密度が向上し、鉱物原料を用いた工業製品の生産性向上に寄与できるものが得られると言える。
なお、参考例4〜6から分かるとおり、石炭の水分率が約9質量%であると、界面活性剤を添加していなくても嵩密度は高い値となる。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2021年6月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱物原料に改質剤を添加して、該鉱物原料を改質する方法であって、
搬送される前記鉱物原料の水分率を連続的に測定する工程と、
前記水分率に基づいて、前記改質剤の添加量を算出する工程と、
前記添加量の前記改質剤を前記鉱物原料に添加する工程とを含み、
前記改質剤の添加により、前記鉱物原料の、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、該処理設備内及び該処理設備外への噴出、並びに嵩密度低下の少なくともいずれかを防止する、鉱物原料の改質方法。
【請求項2】
前記処理設備が、配管、ベルトコンベア、コンベアチェーン、シュート、ホッパー、サイロ、及びコークス炉の少なくともいずれかである、請求項に記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項3】
前記改質剤が、JIS K7223(1996)及びJIS K7224(1996)で定義される高吸水性樹脂を含む、請求項1又は2に記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項4】
前記高吸水性樹脂が、ポリアクリル酸ナトリウムである、請求項に記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項5】
前記改質剤が、界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項6】
前記界面活性剤が、アニオン系界面活性剤である、請求項に記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項7】
前記改質剤が、水溶性高分子化合物を含む、請求項1又は2に記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項8】
前記水溶性高分子化合物が、アニオン系エマルションポリマーである、請求項に記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項9】
前記測定する工程において、前記水分率を、赤外線式により測定する、請求項1〜8のいずれかに記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項10】
前記添加する工程において、前記水分率測定後、10分以内に前記改質剤を添加する、請求項1〜9のいずれかに記載の鉱物原料の改質方法。
【手続補正書】
【提出日】2021年8月31日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱物原料に改質剤を添加して、該鉱物原料を改質する方法であって、
搬送される前記鉱物原料の水分率を赤外線式により連続的に測定する工程と、
前記水分率に基づいて、前記改質剤の添加量を算出する工程と、
前記添加量の前記改質剤を前記鉱物原料に添加する工程とを含み、
前記改質剤の添加により、前記鉱物原料の、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、該処理設備内及び該処理設備外への噴出、並びに嵩密度低下の少なくともいずれかを防止する、鉱物原料の改質方法。
【請求項2】
鉱物原料に改質剤を添加して、該鉱物原料を改質する方法であって、
搬送される前記鉱物原料の水分率を連続的に測定する工程と、
前記水分率に基づいて、前記改質剤の添加量を算出する工程と、
前記添加量の前記改質剤を、前記水分率測定後、10分以内に前記鉱物原料に添加する工程とを含み、
前記改質剤の添加により、前記鉱物原料の、処理設備への付着、該処理設備内における詰まり、該処理設備内及び該処理設備外への噴出、並びに嵩密度低下の少なくともいずれかを防止する、鉱物原料の改質方法。
【請求項3】
前記処理設備が、配管、ベルトコンベア、コンベアチェーン、シュート、ホッパー、サイロ、及びコークス炉の少なくともいずれかである、請求項1又は2に記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項4】
前記改質剤が、JIS K7223(1996)及びJIS K7224(1996)で定義される高吸水性樹脂を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項5】
前記高吸水性樹脂が、ポリアクリル酸ナトリウムである、請求項に記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項6】
前記改質剤が、界面活性剤を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項7】
前記界面活性剤が、アニオン系界面活性剤である、請求項に記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項8】
前記改質剤が、水溶性高分子化合物を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の鉱物原料の改質方法。
【請求項9】
前記水溶性高分子化合物が、アニオン系エマルションポリマーである、請求項に記載の鉱物原料の改質方法。