【実施例】
【0030】
次に、試験例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。
【0031】
ふっ素を含有する土壌として、下記表1に示す粘性土(1)及び粘性土(2)を用意した。
また、セメント系固化材として、高炉セメントB種(BB)90質量部と、無水石膏(An)10質量部とを混合したセメント系固化材を用意した。
さらに、添加剤として以下のものを用意した。
骨灰(リン酸水素カルシウムの含有量:90.2質量%)
リン酸三カルシウム(関東化学社製の特級試薬)
リン酸二水素カルシウム(関東化学社製の特級試薬)
リン酸水素二ナトリウム(関東化学社製の特級試薬)
水酸化カルシウム(関東化学社製の特級試薬)
【0032】
【表1】
【0033】
(試験例1)(ふっ素溶出抑制型固化材における添加剤の量:1.96質量%)
前記粘性土(1)と、前記セメント系固化材と、下記表2に示す添加剤とを混合して改良土を作製した。
改良土の作製の際、土壌の体積に対するセメント系固化材の質量の比(セメント系固化材の質量/土壌の体積)は、60kg/m
3とした。また、添加剤の量に関して、セメント系固化材100質量部に対して、添加剤を2.0質量部とした。すなわち、ふっ素溶出抑制型固化材における添加剤の量を1.96質量%とした。
なお、添加剤として骨灰を用いる場合では、ふっ素溶出抑制型固化材におけるリン酸水素カルシウムの量は、1.77質量%である。
【0034】
<一軸圧縮強さの測定>
改良土を用いてJGS 0821−2009「安定処理土の締固めをしない供試体作製方法」に準拠して供試体を作製した。そして、供試体を20℃、95RH%の条件で7日間封緘養生して、材齢7日の供試体を得た。
材齢7日の供試体を用いて、改良土の一軸圧縮強さを測定した。なお、一軸圧縮強さは、JIS A 1216:2009「土の一軸圧縮試験方法」に従って測定した。
結果を下記表2に示す。
【0035】
<ふっ素の溶出試験>
前記一軸圧縮強さの測定で使用した材齢7日の供試体を用いて風乾試料を作製し、この風乾試料に対してふっ素の溶出試験を行った。
具体的には、風乾試料に対して、平成3年8月環境庁告示第46号(土壌の汚染に係る環境基準について)付表に掲げる方法により検液を作製し、平成15年3月6日環境省告示第18号(改正 平成28年3月29日 環境省告示第34号)の別表に記載の方法で検液中のふっ素濃度(mg/L)を測定し、この検液中のふっ素濃度(mg/L)を、「改良土からのふっ素の溶出量(mg/L)」(以下、単に「ふっ素溶出量(mg/L)」ともいう。)とした。
結果を下記表2に示す。
【0036】
(試験例2)
添加剤を用いなかったこと以外は、試験例1と同様にして改良土を作製した。
そして、この改良土に対して、上記「一軸圧縮強さの測定」及び上記「ふっ素の溶出試験」を行った。
結果を下記表2〜5に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
(試験例3)(ふっ素溶出抑制型固化材における添加剤の量:4.76質量%)
添加剤の量に関して、セメント系固化材100質量部に対して添加剤を5.0質量部としたこと、すなわち、ふっ素溶出抑制型固化材における添加剤の量を4.76質量%としたこと以外は、試験例1と同様にして改良土を作製した。
なお、添加剤として骨灰を用いる場合では、ふっ素溶出抑制型固化材におけるリン酸水素カルシウムの量は、4.29質量%である。
そして、これらの改良土に対して、上記「一軸圧縮強さの測定」及び上記「ふっ素の溶出試験」を行った。
結果を下記表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】
(試験例4)(ふっ素溶出抑制型固化材における添加剤の量:9.09質量%)
添加剤の量に関して、セメント系固化材100質量部に対して添加剤を10.0質量部としたこと、すなわち、ふっ素溶出抑制型固化材における添加剤の量を9.09質量%としたこと以外は、試験例1と同様にして改良土を作製した。
なお、添加剤として骨灰を用いる場合では、ふっ素溶出抑制型固化材におけるリン酸水素カルシウムの量は、8.20質量%である。
そして、これらの改良土に対して、上記「一軸圧縮強さの測定」及び上記「ふっ素の溶出試験」を行った。
結果を下記表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】
(試験例5)(ふっ素溶出抑制型固化材における添加剤の量:16.7質量%)
添加剤の量に関して、セメント系固化材100質量部に対して添加剤を20.0質量部としたこと、すなわち、ふっ素溶出抑制型固化材における添加剤の量を16.7質量%としたこと以外は、試験例1と同様にして改良土を作製した。
なお、添加剤として骨灰を用いる場合では、ふっ素溶出抑制型固化材におけるリン酸水素カルシウムの量は、15.1質量%である。
そして、これらの改良土に対して、上記「一軸圧縮強さの測定」及び上記「ふっ素の溶出試験」を行った。
結果を下記表5に示す。
【0043】
【表5】
【0044】
表2〜5に示すように、添加剤の量が同じもの同士で対比すると、添加剤として骨灰(リン酸水素カルシウムを含有。)又はリン酸三カルシウムを用いた場合には、ふっ素溶出量が少なかった。
従って、本発明によれば、改良土からのふっ素の溶出を抑制しうることが分かる。
【0045】
表2〜5のデータから、無添加のデータ及び骨灰のデータを取り出したものを下記表6に、無添加のデータ及びリン酸三カルシウムのデータを取り出したものを下記表7に示す。
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】
(試験例6)
前記粘性土(2)と、前記セメント系固化材と、骨灰とを混合して改良土を作製した。
改良土の作製の際、土壌の体積に対するセメント系固化材の質量の比(セメント系固化材の質量/土壌の体積)は、51kg/m
3とした。また、添加剤の量に関して、セメント系固化材100質量部に対して、添加剤を2.0質量部、5.0質量部、10.0質量部、20.0質量部とした。すなわち、ふっ素溶出抑制型固化材における添加剤の量を1.96質量%、4.76質量%、9.09質量%、16.7質量%とした。
そして、これらの改良土に対して、上記「一軸圧縮強さの測定」及び上記「ふっ素の溶出試験」を行った。
結果を下記表8に示す。
【0049】
(試験例7)
添加剤を用いなかったこと以外は、試験例6と同様にして改良土を作製した。
そして、この改良土に対して、上記「一軸圧縮強さの測定」及び上記「ふっ素の溶出試験」を行った。
結果を下記表8に示す。
【0050】
【表8】
【0051】
表6〜8に示すように、骨灰(リン酸水素カルシウムを含有。)及びリン酸三カルシウムの使用量が増えると、ふっ素溶出量が少なくなった。