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特開2021-176818Qo阻害剤に対して耐性を有するダイズさび病菌の防除方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-176818(P2021-176818A)
(43)【公開日】2021年11月11日
(54)【発明の名称】Qo阻害剤に対して耐性を有するダイズさび病菌の防除方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 37/36 20060101AFI20211015BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20211015BHJP
【FI】
   A01N37/36
   A01P3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2018-143529(P2018-143529)
(22)【出願日】2018年7月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】松崎 雄一
(72)【発明者】
【氏名】飛田 英克
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA01
4H011BA01
4H011BB06
4H011BC03
4H011BC07
4H011BC08
4H011BC18
4H011BC19
4H011BC20
4H011DA02
4H011DA15
4H011DA16
4H011DH02
4H011DH14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ミトコンドリアチトクロームbタンパク質にF129Lのアミノ酸置換を有するダイズさび病菌の防除方法の提供。
【解決手段】式(I)で示される化合物を用いる。

〔式中、Qは、Q1又はQ2で示される基(●は結合部位を表す)

;R1は、C1−C3鎖式炭化水素基;nは、1、2、3、4又は5;R2は、C1−C6鎖式炭化水素基等を表す〕
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
〔式中、
Qは、Q1又はQ2で示される基(●は結合部位を表す)を表し、
1は、C1−C3鎖式炭化水素基を表し、
nは、1、2、3、4又は5を表し、
nが2、3、4又は5である場合、複数のR2は同一又は異なっていてもよく、
2は、群Aより選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいC1−C6鎖式炭化水素基、群Bより選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいC3−C6シクロアルキル基、OR3、S(O)m5、OS(O)25、C(O)R3、C(O)OR3、NR34、C(O)NR34、S(O)2NR34、NR4C(O)R3、NR4C(O)OR5、NR4S(O)25、CR4=N−OR3、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子を表し、
2が2位に結合している場合、R1及びR2はそれらが結合する炭素原子及び1位の炭素原子と一緒になって、5、6又は7員の炭素環{該炭素環は1以上のR6で置換されていてもよく、R6が複数である場合、複数のR6は同一又は異なっていてもよい}を形成していてもよく、
2つのR2が隣接している場合、2つのR2はそれらが結合する炭素原子と一緒になって、5、6又は7員の部分不飽和又は芳香族環{該部分不飽和又は芳香族環は1以上のR7で置換されていてもよく、R7が複数である場合、複数のR7は同一又は異なっていてもよく、さらに該部分不飽和又は芳香族環は炭素環であっても複素環であってもよく、複素環の環員原子は、炭素原子に加えて、N、O及びSからなる群より選ばれる1、2又は3個のヘテロ原子を含む}を形成していてもよく、
3及びR4は、同一又は相異なり、群Aより選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいC1−C6鎖式炭化水素基、群Bより選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいC3−C6シクロアルキル基又は水素原子を表し、
5は、群Aより選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいC1−C6鎖式炭化水素基又は群Bより選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいC3−C6シクロアルキル基を表し、
6及びR7は、同一又は相異なり、群Aより選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいC1−C6鎖式炭化水素基、群Bより選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいC3−C6シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表す。
群A:ハロゲン原子、C3−C6シクロアルキル基、C1−C4アルコキシ基、C1−C4アルキルチオ基{該C3−C6シクロアルキル基、該C1−C4アルコキシ基及び該C1−C4アルキルチオ基は、ハロゲン原子及びシアノ基からなる群より選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよい}、シアノ基、ニトロ基及びヒドロキシ基からなる群。
群B:ハロゲン原子、C1−C6鎖式炭化水素基、C3−C6シクロアルキル基、C1−C4アルコキシ基、C1−C4アルキルチオ基{該C1−C6鎖式炭化水素基、該C3−C6シクロアルキル基、該C1−C4アルコキシ基及び該C1−C4アルキルチオ基は、ハロゲン原子及びシアノ基からなる群より選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよい}、シアノ基、ニトロ基及びヒドロキシ基からなる群。〕
で示される化合物の有効量をダイズ又はダイズを生育する土壌に施用することによる、ミトコンドリアチトクロームbタンパク質にF129Lのアミノ酸置換を有するダイズさび病菌の防除方法。
【請求項2】
請求項1において式(I)で示される化合物が、
1がC1−C3鎖式炭化水素基であり、
2が、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C3鎖式炭化水素基、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C3アルコキシ基又はハロゲン原子であり、
nが1又は2であり、
nが1である場合、R2が、3位又は4位に結合し、
nが2である場合、R2が、3位及び5位、又は、3位及び4位に結合する化合物である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1において式(I)で示される化合物が、
1がメチル基又はエチル基であり、
nが1であり、
2が、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいメチル基、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいメトキシ基、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子であり、
2が、3位又は4位に結合する化合物である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
請求項1において式(I)で示される化合物が、
1がメチル基であり、
nが1であり、
2が、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基又は塩素原子であり、
2が、3位又は4位に結合する化合物である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ミトコンドリアチトクロームbタンパク質にF129Lのアミノ酸置換を有するダイズさび病菌を防除するための、請求項1〜請求項4いずれかにおいて式(I)で示される化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミトコンドリアチトクロームbタンパク質にF129Lのアミノ酸置換を有するダイズさび病菌を防除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
農業用殺菌剤に対して抵抗性の獲得形質を示す植物病原性真菌の蔓延が大きな問題となっている。このような状況下、既存の農業用殺菌剤に対する抵抗性の獲得、及び抵抗性を獲得した菌の蔓延を抑止、遅延させるためのガイドラインを提供する組織として、FRAC(殺菌剤抵抗性作用委員会;Fungicide Resistance Action Committee)が設けられた。FRACの提供するウェブサイトでは、農業用殺菌剤に対し抵抗性を示す植物病原性真菌に対する種々情報が入手可能である(http://www.frac.info/)。
植物病原性真菌の場合、抵抗性獲得の主たる原因は、殺菌剤の標的酵素をコードする植物病原性真菌の遺伝子が変異することにより、殺菌剤の標的酵素中のアミノ酸が部分的に置換し、殺菌剤と標的酵素との親和性が低下することであることが知られている。
【0003】
QoI殺菌剤は別名ストロビルリン系殺菌剤、もしくはその特徴的な構造からメトキシアクリレート系殺菌剤とも呼ばれる。QoI殺菌剤はダイズさび病を含む植物病原性真菌を防除するために広く使用されている農業用殺菌剤の1群である。QoI殺菌剤は通常、ミトコンドリア中のチトクロームbc1複合体(電子伝達複合体III)のユビヒドロキノン酸化中心に結合し、呼吸を抑制することによって植物病原性真菌を死滅、もしくは生育を停止させる。上記の酸化中心は、ミトコンドリア内膜の外側に位置している(非特許文献1参照)。
農業用殺菌剤として実際にQoI殺菌剤が広範に使用される以前から、植物病原性真菌がQoI殺菌剤による淘汰圧を受けることにより、標的酵素であるチトクロームbc1複合体中のチトクロームb遺伝子中に、G143A等の特定の単一アミノ酸置換が起こるような遺伝子変異を獲得したQoI殺菌剤に抵抗性を有する菌が容易に生じることが、実験室内でのモデル研究により明らかとなっていた(非特許文献2〜4参照)。
【0004】
ダイズさび病菌(学名:Phakopsora pachyrhizi)はダイズに被害をもたらす植物病原性真菌である。QoI殺菌剤がダイズさび病菌防除に広く使用されて以降、QoI殺菌剤に抵抗性を示すダイズさび病菌の出現が報告された(非特許文献5参照)。
ダイズさび病菌では、同チトクロームb遺伝子中に、F129Lの単一アミノ酸置換が生じる遺伝子変異を獲得した菌株がQoI殺菌剤に対する耐性菌として問題となっている。従来からダイズさび病菌に使用されているQoI殺菌剤、即ちピラクロストロビン、アゾキシストロビン、ピコキシストロビン、オリサストロビン、ジモキシストロビン、メトミノストロビン、ピリベンカルブ等の効力は、当該耐性菌に対して実用上問題のあるレベルまで低下している(非特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Sauter、"Modern Crop Protection Compounds"、第2巻、Wiley-VCH Verlag、2007年、p.457-495:第13.2章 Strobilurins and other complex III inhibitors
【非特許文献2】"Journal of Biological Chemistry"、1989年、第264巻、第24号、p.14543-14548
【非特許文献3】"Genetics"、1991年、第127巻、p.335-343
【非特許文献4】"Current Genetics"、2000年、第38巻、p.148-155
【非特許文献5】"Pest Management Science"、2014年、第70巻、第3号、p.378-388
【非特許文献6】"Pesq. agropec. bras." (Brasilia)、2016年、第51巻、第5号、p.407-421
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら事実に基づき本発明では、ミトコンドリアチトクロームbタンパク質にF129Lのアミノ酸置換を有するダイズさび病菌の防除方法を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下のとおりである。
〔1〕 式(I)
〔式中、
Qは、Q1又はQ2で示される基(●は結合部位を表す)を表し、
1は、C1−C3鎖式炭化水素基を表し、
nは、1、2、3、4又は5を表し、
nが2、3、4又は5である場合、複数のR2は同一又は異なっていてもよく、
2は、群Aより選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいC1−C6鎖式炭化水素基、群Bより選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいC3−C6シクロアルキル基、OR3、S(O)m5、OS(O)25、C(O)R3、C(O)OR3、NR34、C(O)NR34、S(O)2NR34、NR4C(O)R3、NR4C(O)OR5、NR4S(O)25、CR4=N−OR3、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子を表し、
2が2位に結合している場合、R1及びR2はそれらが結合する炭素原子及び1位の炭素原子と一緒になって、5、6又は7員の炭素環{該炭素環は1以上のR6で置換されていてもよく、R6が複数である場合、複数のR6は同一又は異なっていてもよい}を形成していてもよく、
2つのR2が隣接している場合、2つのR2はそれらが結合する炭素原子と一緒になって、5、6又は7員の部分不飽和又は芳香族環{該部分不飽和又は芳香族環は1以上のR7で置換されていてもよく、R7が複数である場合、複数のR7は同一又は異なっていてもよく、さらに該部分不飽和又は芳香族環は炭素環であっても複素環であってもよく、複素環の環員原子は、炭素原子に加えて、N、O及びSからなる群より選ばれる1、2又は3個のヘテロ原子を含む}を形成していてもよく、
3及びR4は、同一又は相異なり、群Aより選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいC1−C6鎖式炭化水素基、群Bより選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいC3−C6シクロアルキル基又は水素原子を表し、
5は、群Aより選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいC1−C6鎖式炭化水素基又は群Bより選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいC3−C6シクロアルキル基を表し、
6及びR7は、同一又は相異なり、群Aより選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいC1−C6鎖式炭化水素基、群Bより選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいC3−C6シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表す。
群A:ハロゲン原子、C3−C6シクロアルキル基、C1−C4アルコキシ基、C1−C4アルキルチオ基{該C3−C6シクロアルキル基、該C1−C4アルコキシ基及び該C1−C4アルキルチオ基は、ハロゲン原子及びシアノ基からなる群より選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよい}、シアノ基、ニトロ基及びヒドロキシ基からなる群。
群B:ハロゲン原子、C1−C6鎖式炭化水素基、C3−C6シクロアルキル基、C1−C4アルコキシ基、C1−C4アルキルチオ基{該C1−C6鎖式炭化水素基、該C3−C6シクロアルキル基、該C1−C4アルコキシ基及び該C1−C4アルキルチオ基は、ハロゲン原子及びシアノ基からなる群より選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよい}、シアノ基、ニトロ基及びヒドロキシ基からなる群。〕
で示される化合物(以下、本化合物と記す)の有効量をダイズ又はダイズを生育する土壌に施用することによる、ミトコンドリアチトクロームbタンパク質にF129Lのアミノ酸置換を有するダイズさび病菌の防除方法。
〔2〕 〔1〕において式(I)で示される化合物が、
1がC1−C3鎖式炭化水素基であり、
2が、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C3鎖式炭化水素基、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C3アルコキシ基又はハロゲン原子であり、
nが1又は2であり、
nが1である場合、R2が、3位又は4位に結合し、
nが2である場合、R2が、3位及び5位、又は、3位及び4位に結合する化合物である〔1〕に記載の方法。
〔3〕 〔1〕において式(I)で示される化合物が、
1がメチル基又はエチル基であり、
nが1であり、
2が、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいメチル基、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいメトキシ基、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子であり、
2が、3位又は4位に結合する化合物である〔1〕に記載の方法。
〔4〕 〔1〕において式(I)で示される化合物が、
1がメチル基であり、
nが1であり、
2が、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基又は塩素原子であり、
2が、3位又は4位に結合する化合物である〔1〕に記載の方法。
〔5〕 ミトコンドリアチトクロームbタンパク質にF129Lのアミノ酸置換を有するダイズさび病菌を防除するための、〔1〕〜〔4〕いずれかにおいて式(I)で示される化合物の使用。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ミトコンドリアチトクロームbタンパク質にF129Lのアミノ酸置換を有するダイズさび病菌を防除することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明における置換基について説明する。
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を意味する。
置換基が2以上のハロゲン原子を有している場合、それらのハロゲン原子は各々同一でも異なっていてもよい。
本明細書における「CX−CY」との表記は、炭素原子数がX乃至Yであることを意味する。例えば「C1−C6」との表記は、炭素原子数が1乃至6であることを意味する。
鎖式炭化水素基とは、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基が挙げられる。
アルケニル基としては、例えばビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、1,2−ジメチル−1−プロペニル基、1−エチル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基及び5−ヘキセニル基が挙げられる。
アルキニル基としては、例えばエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1,1−ジメチル−2−プロピニル基、1−エチル−2−プロピニル基、2−ブチニル基、4−ペンチニル基及び5−ヘキシニル基が挙げられる。
【0010】
シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。
【0011】
2が2位に結合している場合、R1及びR2がそれらが結合する炭素原子及び1位の炭素原子と一緒になって形成される、5、6又は7員の炭素環としては、例えばシクロペンテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環、シクロヘプテン環及びシクロヘプタジエン環が挙げられる。
【0012】
2つのR2がそれらが結合する炭素原子と一緒になって形成される、5、6又は7員の部分不飽和又は芳香族環としては、例えばシクロペンテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環、ベンゼン環、シクロヘプテン環、シクロヘプタジエン環、フラン環、ジヒドロフラン環、チオフェン環、1,3−ジオキソール環、ピラゾール環、ピラゾリン環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、ジヒドロピラン環、1,4−ジオキシン環、ジヒドロ−1,4−ジオキシン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及びオキサゼピン環が挙げられる。
【0013】
本明細書における用語について説明する。
ミトコンドリアチトクロームbタンパク質にF129Lのアミノ酸置換を有するダイズさび病菌とは、ミトコンドリアチトクロームタンパク質をコードするミトコンドリアチトクロームb遺伝子中に変異を有し、該変異の結果としてF129Lのアミノ酸置換が起こったことにより、QoI殺菌剤に抵抗性を示すダイズさび病菌(学名:Phakopsora pachyrhizi)である。
【0014】
本化合物の態様としては、以下の化合物が挙げられる。
【0015】
〔態様1〕本化合物において、式(II)
〔式中、R1、R2、Q及びnは、〔1〕で定義された通りの意味を表す。〕で示される化合物。
〔態様2〕態様1において、nが1又は2であり、nが1である場合、R2が、3位又は4位に結合し、nが2である場合、R2が、3位及び5位、又は、3位及び4位に結合する化合物。
〔態様3〕態様1において、nが1であり、R2が3位又は4位に結合する化合物。
〔態様4〕態様1において、nが1であり、R2が3位に結合する化合物。
〔態様5〕態様1において、nが1であり、R2が4位に結合する化合物。
〔態様6〕態様1において、R1がメチル基又はエチル基である化合物。
〔態様7〕態様6において、nが1又は2であり、nが1である場合、R2が、3位又は4位に結合し、nが2である場合、R2が、3位及び5位、又は、3位及び4位に結合する化合物。
〔態様8〕態様6において、nが1であり、R2が3位又は4位に結合する化合物。
〔態様9〕態様6において、nが1であり、R2が3位に結合する化合物。
〔態様10〕態様6において、nが1であり、R2が4位に結合する化合物。
〔態様11〕態様1において、R1がメチル基である化合物。
〔態様12〕態様11において、nが1又は2であり、nが1である場合、R2が、3位又は4位に結合し、nが2である場合、R2が、3位及び5位、又は、3位及び4位に結合する化合物。
〔態様13〕態様11において、nが1であり、R2が3位又は4位に結合する化合物。
〔態様14〕態様11において、nが1であり、R2が3位に結合する化合物。
〔態様15〕態様11において、nが1であり、R2が4位に結合する化合物。
〔態様16〕本化合物において、QがQ1である化合物。
〔態様17〕態様1において、QがQ1である化合物。
〔態様18〕態様17において、nが1又は2であり、nが1である場合、R2が、3位又は4位に結合し、nが2である場合、R2が、3位及び5位、又は、3位及び4位に結合する化合物。
〔態様19〕態様17において、nが1であり、R2が3位又は4位に結合する化合物。
〔態様20〕態様17において、nが1であり、R2が3位に結合する化合物。
〔態様21〕態様17において、nが1であり、R2が4位に結合する化合物。
〔態様22〕態様17において、R1がメチル基又はエチル基である化合物。
〔態様23〕態様22において、nが1又は2であり、nが1である場合、R2が、3位又は4位に結合し、nが2である場合、R2が、3位及び5位、又は、3位及び4位に結合する化合物。
〔態様24〕態様22において、nが1であり、R2が3位又は4位に結合する化合物。
〔態様25〕態様22において、nが1であり、R2が3位に結合する化合物。
〔態様26〕態様22において、nが1であり、R2が4位に結合する化合物。
〔態様27〕態様17において、R1がメチル基である化合物。
〔態様28〕態様27において、nが1又は2であり、nが1である場合、R2が、3位又は4位に結合し、nが2である場合、R2が、3位及び5位、又は、3位及び4位に結合する化合物。
〔態様29〕態様27において、nが1であり、R2が3位又は4位に結合する化合物。
〔態様30〕態様27において、nが1であり、R2が3位に結合する化合物。
〔態様31〕態様27において、nが1であり、R2が4位に結合する化合物。
〔態様32〕本化合物において、QがQ2である化合物。
〔態様33〕態様1において、QがQ2である化合物。
〔態様34〕態様33において、nが1又は2であり、nが1である場合、R2が、3位又は4位に結合し、nが2である場合、R2が、3位及び5位、又は、3位及び4位に結合する化合物。
〔態様35〕態様33において、nが1であり、R2が3位又は4位に結合する化合物。
〔態様36〕態様33において、nが1であり、R2が3位に結合する化合物。
〔態様37〕態様33において、nが1であり、R2が4位に結合する化合物。
〔態様38〕態様33において、R1がメチル基又はエチル基である化合物。
〔態様39〕態様38において、nが1又は2であり、nが1である場合、R2が、3位又は4位に結合し、nが2である場合、R2が、3位及び5位、又は、3位及び4位に結合する化合物。
〔態様40〕態様38において、nが1であり、R2が3位又は4位に結合する化合物。
〔態様41〕態様38において、nが1であり、R2が3位に結合する化合物。
〔態様42〕態様38において、nが1であり、R2が4位に結合する化合物。
〔態様43〕態様33において、R1がメチル基である化合物。
〔態様44〕態様43において、nが1又は2であり、nが1である場合、R2が、3位又は4位に結合し、nが2である場合、R2が、3位及び5位、又は、3位及び4位に結合する化合物。
〔態様45〕態様43において、nが1であり、R2が3位又は4位に結合する化合物。
〔態様46〕態様43において、nが1であり、R2が3位に結合する化合物。
〔態様47〕態様43において、nが1であり、R2が4位に結合する化合物。
〔態様48〕本化合物又は態様1〜47のいずれかにおいて、R2が、群Aより選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいC1−C6鎖式炭化水素基、群Bより選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよいC3−C6シクロアルキル基、OR3、S(O)m5、OS(O)25、C(O)R3、C(O)OR3、NR34、C(O)NR34、S(O)2NR34、NR4C(O)R3、NR4C(O)OR5、NR4S(O)25、CR4=N−OR3、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子である化合物。
〔態様49〕本化合物又は態様1〜47のいずれかにおいて、R2が、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C3鎖式炭化水素基、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C3アルコキシ基又はハロゲン原子である化合物。
〔態様50〕本化合物又は態様1〜47のいずれかにおいて、R2が、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいメチル基、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいメトキシ基、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子である化合物。
〔態様51〕本化合物又は態様1〜47のいずれかにおいて、R2が、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基又は塩素原子である化合物。
〔態様52〕本化合物又は態様1〜47のいずれかにおいて、R2が、メチル基、トリフルオロメチル基又は塩素原子である化合物。
【0016】
次に、本化合物の製造法について説明する。
【0017】
本化合物は、欧州特許第0585751号、国際公開第1990/007493号等に記載の方法に準じて製造することができる。また、以下の製造法により製造することもできる。
【0018】
製造法A
本化合物は、式(M1)で示される化合物(以下、化合物(M1)と記す)と式(A1)で示される化合物(以下、化合物(A1)と記す)とを塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。
〔式中、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等の脱離基を表し、その他の記号は前記と同じ意味を表す。〕
反応は、通常溶媒中で行われる。反応に用いられる溶媒としては、例えば、ヘプタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル等のエーテル類;N、N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと記す)等のアミド類;酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと記す)等のスルホキシド類;アセトン等のケトン類;アセトニトリル等のニトリル類;水及びこれらの混合物が挙げられる。
反応に用いられる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水素化ナトリウムが挙げられる。
反応には化合物(M1)1モルに対して、化合物(A1)が通常1〜10モルの割合、塩基が通常1〜10モルの割合で用いられる。
反応温度は通常0〜150℃の範囲である。反応時間は通常0.1〜24時間の範囲である。
反応は、必要に応じてヨウ化ナトリウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム等を加えて行ってもよく、これらの化合物は通常、化合物(M1)1モルに対して、0.001〜1.2モルの割合で用いられる。
反応終了後は、反応混合物を有機溶媒で抽出し、有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、本化合物を単離することができる。
化合物(A1)及び化合物(M1)は、公知であるか、公知の方法に準じて製造することができる。
【0019】
本化合物は、通常本化合物と、固体担体、液体担体、オイル、及び/又は界面活性剤等とを混合し、必要に応じてその他の製剤用補助剤を添加して、乳剤、油剤、粉剤、粒剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、ドライフロアブル剤、マイクロカプセル剤等に製剤化して用いられる。これらの製剤には本化合物が重量比で通常0.1〜99%、好ましくは0.2〜90%含有される。
【0020】
固体担体としては、例えば、粘土類(カオリンクレー、珪藻土、ベントナイト、酸性白土等)、乾式シリカ、湿式シリカ、タルク、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム等の微粉末及び粒状物等、並びに合成樹脂(ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン−6、ナイロン−11、ナイロン−66等のナイロン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−プロピレン共重合体等)が挙げられる。
【0021】
液体担体としては、例えば水、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノキシエタノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ドデシルベンゼン、フェニルキシリルエタン、メチルナフタレン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、灯油、軽油等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、エーテル類(ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等)、アミド類(DMF、N,N−ジメチルアセトアミド等)、スルホキシド類(DMSO等)、炭酸プロピレン及び植物油(大豆油、綿実油等)が挙げられる。
【0022】
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、及びアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等の陰イオン界面活性剤が挙げられる。具体的には、Nimbus(登録商標)、Assist(登録商標)、Aureo(登録商標)、Iharol(登録商標)、Silwet L-77(登録商標)、BreakThru(登録商標)、SundanceII(登録商標)、Induce(登録商標)、Penetrator(登録商標)、AgriDex(登録商標)、Lutensol A8(登録商標)、NP-7(登録商標)、Triton(登録商標)、Nufilm(登録商標)、Emulgator NP7(登録商標)、Emulad(登録商標)、TRITON X 45(登録商標)、AGRAL 90(登録商標)、AGROTIN(登録商標)、ARPON(登録商標)、EnSpray N(登録商標)、及びBANOLE(登録商標)等が挙げられる。
【0023】
その他の製剤用補助剤としては、固着剤、分散剤、着色剤及び安定剤等、具体的には例えばカゼイン、ゼラチン、糖類(でんぷん、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、ベントナイト、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類等)、酸性リン酸イソプロピル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)が挙げられる。
【0024】
本化合物を施用する方法としては、例えばダイズの茎葉に散布する方法、種子に処理する方法及びダイズを生育する土壌に施用する方法が挙げられる。
【0025】
本化合物の施用量は、気象条件、製剤形態、施用時期、施用方法、施用場所、対象病害、対象作物等によっても異なるが、ダイズの茎葉に散布する場合又はダイズを生育する土壌に施用する場合は、1000m2あたり、通常1〜500g、好ましくは2〜200gである。種子に処理する場合は、種子1Kgに対して、本化合物の量が、通常0.001〜100g、好ましくは0.01〜50gの範囲で施用される。乳剤、水和剤、懸濁剤等は通常水で希釈して施用されるが、その場合の希釈後の本化合物の濃度は、通常0.0005〜2重量%、好ましくは0.005〜2重量%である。粉剤、粒剤等は通常希釈することなくそのまま施用される。
【0026】
前記ダイズは、自然交配で作出しうるダイズ、突然変異により発生しうるダイズ、F1ハイブリッドダイズ、トランスジェニックダイズ(遺伝子組換えダイズとも言う)であってもよい。これらのダイズは、一般に、除草剤に対する耐性、有害生物に対する毒性物質の蓄積(害虫抵抗性とも言う)、病害に対する感性抑制(病害抵抗性とも言う)、収量ポテンシャルの増加、生物的及び非生物的ストレス因子に対する抵抗性の向上、生産物の品質改変(例えば、成分の含有量増減、組成の変化、又は保存性若しくは加工性の向上)等の特性を有する。上記のダイズを作出するための技術としては、例えば、従来型の品種改良技術;遺伝子組換え技術;ゲノム育種技術;新育種技術(new breeding techniques);及びゲノム編集技術が挙げられる。
【0027】
除草剤に対する耐性を有するダイズ(除草剤耐性ダイズ)としては、例えば、2,4-D又はジカンバ等のオーキシン型除草剤耐性ダイズ;グリホシネート耐性ダイズ、グリホサート耐性ダイズ、イソキサフルトール耐性ダイズ、メソトリオン等の4−ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ阻害型除草剤耐性ダイズ;イミダゾリノン系除草剤、スルホニルウレア系除草剤等のアセト乳酸合成酵素(ALS)阻害型除草剤耐性ダイズ;及びフルミオキサジン等のプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ阻害型除草剤耐性ダイズが挙げられる。
遺伝子組換え技術により除草剤耐性が付与されたダイズは、外来遺伝子(例えば、微生物等の他の生物の遺伝子)を導入することにより得ることができる。例えば、2,4-Dに対する耐性は、Delftia acidovorans由来の遺伝子「aad-12」;ジカンバに対する耐性は、Stenotrophomonas maltophilia strain DI-6由来の遺伝子「dmo」;グリホシネートに対する耐性は、Streptomyces hygroscopicus由来の遺伝子「bar」又はStreptomyes viridochromogenes由来の遺伝子「pat」;グリホサートに対する耐性は、Zea mays由来の遺伝子「2mepsps」、Agrobacterium tumefaciens strain CP4由来の遺伝子「CP4 epsps」、又はBacillus licheniformis由来の遺伝子「gat4601」;イソキサフルトールに対する耐性は、Pseudomonas fluorescens strain A32由来の遺伝子「hppdPF W336」;メソトリオンに対する耐性は、Oat (Avena sativa)由来の遺伝子「avhppd-03」;イミダゾリノン系除草剤に対する耐性は、Arabidopsis thaliana由来の遺伝子「csr1-2」;スルホニルウレア系除草剤に対する耐性は、Glycine max由来の遺伝子「gm-hra」を導入することにより得ることができる。
従来型の品種改良技術又はゲノム育種技術により除草剤耐性が付与されたダイズとしては、例えば、チフェンスルフロンメチル等のスルホニルウレア系ALS阻害型除草剤耐性を有するダイズ「STS(登録商標) soybean」が挙げられる。
新育種技術により除草剤耐性が付与されたダイズとしては、例えば、グリホサート耐性を有するRoundup Ready(登録商標)ダイズを台木として用いて、非トランスジェニックダイズ穂木にグリホサート耐性を付与したダイズが挙げられる(Weed Technology, 2013, 27, 412.参照)。
【0028】
害虫抵抗性ダイズとしては、例えば鱗翅目害虫(例えば、Pseuoplusia includes、Helicoverpa zea、Spodoptera frugiperda)抵抗性ダイズ、半翅目害虫(例えば、Aphis glycines)抵抗性ダイズ及び線虫(例えば、Heterodera glycines、Meloidogyne incognita)抵抗性ダイズが挙げられる。
遺伝子組換え技術により害虫抵抗性が付与されたダイズは、外来遺伝子(例えば、Bacillus thuringiensis由来の殺虫性タンパク質であるδ-endotoxinをコードする遺伝子)を導入することにより得ることができる。例えば、鱗翅目害虫に対する耐性は、Bacillus thuringiensis subsp. Kurstaki strain HD73由来の遺伝子「cry1Ac」、Bacillus thuringiensis var. aizawai由来の遺伝子「cry1F」、Bacillus thuringiensis subsp. kumamotoensis由来の遺伝子「cry1A.105」、Bacillus thuringiensis subsp. kumamotoensis由来の遺伝子「cry2Ab2」を導入することにより得ることができる。
従来型の品種改良技術又はゲノム育種技術により害虫抵抗性が付与されたダイズとしては、例えば、アブラムシ抵抗性遺伝子である「Rag1(Resistance to Aphis glycines 1)」又は「Rag2(Resistance to Aphis glycines 2)」遺伝子を有し、ダイズアブラムシ(Aphis glycines)に抵抗性を示すダイズ(J. Econ. Entomol., 2015, 108, 326.参照);ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)に抵抗性を示すダイズ(Phytopathology, 2016, 106, 1444. 参照);及びハスモンヨトウ(Spodoptera litura)に抵抗性を示すダイズ「フクミノリ」が挙げられる。
【0029】
病害抵抗性が付与されたダイズとしては、例えば、従来型の品種改良技術又は遺伝子組み換え技術によってダイズさび病抵抗性が付与された品種が挙げられる。よく使用される抵抗性遺伝子の例としては、以下に限定されるものではないが、例えば、Rpp1、Rpp2、Rpp3、Rpp4、Rpp5、Rpp6がある。これらの遺伝子は単独でダイズに挿入されていてもよいが、複数組み合わせて挿入されていてもよい。これらの遺伝子については、以下の学術文献等に記載されている。Crop Science, 2007, 47, 837.; Theoretical and Applied Genetics, 2008, 117, 57.; Theoretical and Applied Genetics, 117, 545.; Crop Science, 2009, 49, 783.; Theoretical and Applied Genetics, 2009, 119, 271.; Theoretical and Applied Genetics, 2010, 121, 1023.; Theoretical and Applied Genetics, 2012, 125, 133.。
ゲノム編集技術により病害抵抗性が付与されたダイズは、例えば、CRISPR-Cas9を用いて、RXLR エフェクター遺伝子(Avr4/6)の破壊により、Phytophthora sojaeによって引き起こされるダイズ茎疫病に抵抗性を示すダイズ(Mol. Plant. Pathol., 2016, 17, 127.参照)が挙げられる。
また、ダイズさび病以外のダイズ病害(例えば、斑点病、褐色輪紋病、茎疫病、及び突然死症候群)に対して抵抗性を付与されたダイズがある。
【0030】
遺伝子組換え技術により生産物の品質が改変されたダイズとしては、例えば、脂肪酸の不飽和化酵素であるGlycine max 由来のω−6デサチュラーゼの部分遺伝子「gm-fad2-1」を導入することによって同遺伝子発現を抑制し、オレイン酸含量が増加したダイズ「Plenish(商標)」又は、「Treus(商標)」;Glycine max由来のアシル−アシル キャリア・プロテイン・チオエステラーゼ遺伝子「fatb1-A」の二重鎖RNAを生成する遺伝子と、Glycine max由来のδ−12デサチュラーゼ遺伝子「fad2-1A」の二重鎖RNAを生成する遺伝子を導入することによって飽和脂肪酸含量が低下したダイズ「Vistive Gold(商標)」;Primula juliae由来のδ−6デサチュラーゼ遺伝子「Pj.D6D」及びNeurospora crassa由来のδ−12デサチュラーゼ遺伝子「Nc.Fad3」を導入することによってω3脂肪酸の1つであるステアリドン酸が産生されたダイズ;油含有量が改変されたダイズ;アレルゲン含有量が低下したダイズ(米国特許第6864362号参照);リジン含有量が増加したダイズ(Bio/Technology, 1995, 13, 577.参照);メチオニン、ロイシン、イソロイシン及びバリンの組成が改変されたダイズ;硫黄アミノ酸含有量が増加したダイズ(国際公開1997/041239号参照);フェノール性化合物含有量が改変されたダイズ(米国出願公開2008/235829号参照);ビタミンE含有量が増加したダイズ(国際公開第2004/058934号参照)がある。
ゲノム育種技術により生産物の品質が改変されたダイズとしては、例えば、アレルゲン含有量が低下したダイズ「ゆめみのり」がある。
植物の生長や収量に関する形質が改変されたダイズとしては、例えば、シロイヌナズナ由来の日周性を制御する転写因子をコードする遺伝子「bbx32」を導入することで植物の生長が強化され、結果として高収量が見込めるダイズが挙げられる。
【0031】
その他の特性を有するダイズとしては、例えば、リンの取り込みが改善されたダイズ;稔性形質が付与されたダイズ;乾燥に対する耐性が付与されたダイズ;低温に対する耐性が付与されたダイズ;高塩分に対する耐性が付与されたダイズ;鉄欠乏クロロシス(iron chlorosis)が改善されたダイズ;クロライド感受性(chloride sensitivity)が改変されたダイズが挙げられる。
【0032】
前記ダイズには、先に述べたような除草剤耐性、害虫抵抗性、病害抵抗性、非生物的ストレス耐性、生長や収量に関する形質、栄養取り込みに関する形質、生産物の品質に関する形質、稔性形質等が2種以上付与されたダイズも含まれる。例えば、グリホサート耐性;グリホシネート耐性;ダイズ斑点病(frogeye leaf spot)、ダイズ突然死症候群(Sudden Death Syndrome)、ダイズ茎かいよう病(southern stem canker)、ダイズ茎疫病(Phytophthora root rot)、サツマイモネコブセンチュウ(southern root-knot nematode)、ダイズ白絹病(Sclerotinia white mold)、ダイズ落葉病(brown stem rot)、ダイズシストセンチュウ(soybean cyst nematode)に対する抵抗性;鉄欠乏クロロシス(iron chlorosis)の改善、及びクロライド感受性(chloride sensitivity)が改変されたダイズ「Credenz(登録商標)soybean」がある。
【0033】
以下、市販あるいは開発されているダイズを列挙する。以下、[Event Name, Event code, Tread name]と記す。また、NAは、情報がない又は入手不可能な情報を意味する。これらのダイズの多くは、国際アグリバイオ事業団(INTERNATINAL SERVICE for the ACQUISITION of AGRI−BIOTECH APPLICATIONS, ISAAA)のウェブサイト(http://www.isaaa.org/)中の登録データベース(GM APPROVAL DATABASE)に収載されている。
[260-05(G94-1, G94-19, G168), DD-026005-3, NA], [A2704-12, ACS-GM005-3, Liberty Link(商標)soybean], [A2704-21, ACS-GM004-2, Liberty Link(商標)soybean], [A5547-127, ACS-GM006-4, Liberty Link(商標)soybean], [A5547-35, ACS-GM008-6, Liberty Link(商標)soybean], [CV127, BPS-CV127-9, Cultivance], [DAS44406-6, DAS-44406-6, NA], [DAS68416-4, DAS-68416-4, Enlist(商標)Soybean], [DAS68416-4xMON89788, DAS-68416-4xMON-89788-1, NA], [DAS81419, DAS-81419-2, NA], [DAS81419xDAS44406-6, DAS-81419-2xDAS-44406-6, NA], [DP305423, DP-305423-1, Treus(商標)又はPlenish(商標)], [DP305423xGTS40-3-2, DP-305423-1xMON-04032-6, NA], [DP356043, DP-356043-5, Optimum GAT(商標)], [FG72(FG072-2,FG072-3), MST-FG072-3, NA], [FG72xA5547-127, MST-FG072-3xACS-GM006-4, NA], [GTS40-3-2(40-3-2), MON-04032-6, Roundup Ready(商標)soybean], [GU262, ACS-GM003-1, Liberty Link(商標)soybean], [IND-00410-5, IND-00410-5, Verdeca HB4 Soybean], [MON87701, MON-87701-2, NA], [MON87701xMON89788, MON-87701-2xMON-89788-1, Intacta(商標)Roundup Ready(商標)2 Pro], [MON87705, MON-87705-6, Vistive Gold(商標)], [MON87705xMON87708, MON-87705-6xMON-87708-9, NA], [MON87705xMON87708xMON89788, MON-87705-6xMON-87708-9xMON-89788-1, NA], [MON87705xMON89788, MON-87705-6xMON-89788-1, NA], [MON87708, MON-87708-9, Genuity(登録商標)Roundup Ready(商標)2 Xtend(商標)], [MON87708xMON89788, MON-87708-9xMON-89788-1, Roundup Ready 2 Xtend(登録商標)], [MON87712, MON-87712-4, NA], [MON87751, MON-87751-7, NA], [MON87751xMON87701xMON87708xMON89788, MON-87751-7xMON-87701-2xMON87708xMON89788, NA], [MON87769, MON87769-7, NA], [, MON87769xMON89788, MON-87769-7xMON-89788-1, NA], [MON89788, MON-89788-1, Genuity(登録商標)Roundup Ready 2 Yield(商標)], [SYHT0H2, SYN-000H2-5, Herbicide-tolerant Soybean line], [W62, ACS-GM002-9, Liberty Link(商標)soybean], [W98, ACS-GM001-8, Liberty Link(商標)soybean], [OT96-15, OT96-15, NA], [NA, NA, STS(登録商標) soybean」, [NA, NA, Credenz(登録商標) soybean], [NA, NA, Enlist E3(商標)], [NA, NA, Enlist(商標) Roundup Ready 2 Yield(登録商標)], [NA, NA, フクミノリ], [NA, NA, ゆめみのり], [DP305423 x MOV87708, DP-305423-1 x MON-87708-9, NA], [DP305423 x MOV87708 x MON89788, DP-305423-1 x MON-87708-9 x MON-89788-1, NA], [DP305423 x MON89788, DP-305423-1 x MON-89788-1, NA]
【0034】
本化合物をダイズに処理することにより、苗立ち率向上、健全葉数増加、草丈増、植物体重量増加、葉面積増加、種子数又は重量の増加、着花数又は着果数の増加、根部生長の増加等の、植物の成長を促進する効果が得られる。また、本化合物をダイズに処理することにより、高温ストレスもしくは低温ストレス等の温度ストレス、乾燥ストレスもしくは過湿ストレス等の水分ストレス、又は塩ストレス等の非生物的ストレスに対する耐性が向上される。
【0035】
以下に本化合物の例、製剤例、試験例及び比較試験例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
【0036】
本明細書中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Prはプロピル基を表し、c-Prはシクロプロピル基を表す。
【0037】
本化合物の例を以下に示す。
【0038】
式(Ia)
で示される化合物において、QがQ1であり、R1がメチル基であり、R11、R12、R13及びR14が組み合わせAに記載のいずれかの組み合わせである化合物(以下、化合物群TX1と記す)。
【0039】
組み合わせAは、置換基番号ZA1〜ZA169からなる。置換基番号ZA1〜ZA169とは、式(Ia)で示される化合物におけるR11、R12、R13及びR14の組み合わせを表すものであり、以下、[置換基番号;R11,R12,R13,R14]と記す。例えば、置換基番号ZA1とは、R11がメチル基であり、R12、R13及びR14が水素原子である組み合わせを意味する。
【0040】
組み合わせA
[ZA1;Me,H,H,H],[ZA2;Et,H,H,H],[ZA3;Pr,H,H,H],[ZA4;OMe,H,H,H],[ZA5;OEt,H,H,H],[ZA6;CF3,H,H,H],[ZA7;CF2H,H,H,H],[ZA8;CFH2,H,H,H],[ZA9;OCF3,H,H,H],[ZA10;OCF2H,H,H,H],[ZA11;OCFH2,H,H,H],[ZA12;F,H,H,H],[ZA13;Cl,H,H,H],[ZA14;Br,H,H,H],[ZA15;I,H,H,H],[ZA16;H,Me,H,H],[ZA17;H,Et,H,H],[ZA18;H,Pr,H,H],[ZA19;H,OMe,H,H],[ZA20;H,OEt,H,H],[ZA21;H,CF3,H,H],[ZA22;H,CF2H,H,H],[ZA23;H,CFH2,H,H],[ZA24;H,OCF3,H,H],[ZA25;H,OCF2H,H,H],[ZA26;H,OCFH2,H,H],[ZA27;H,F,H,H],[ZA28;H,Cl,H,H],[ZA29;H,Br,H,H],[ZA30;H,I,H,H],[ZA31;H,CN,H,H],[ZA32;H,c-Pr,H,H],[ZA33;H,NO2,H,H],[ZA34;H,S(O)2Me,H,H],[ZA35;H,OS(O)2Me,H,H],[ZA36;H,C(O)Me,H,H],[ZA37;H,C(O)OMe,H,H],[ZA38;H,NMe2,H,H],[ZA39;H,C(O)NMe2,H,H],[ZA40;H,S(O)2NMe2,H,H],[ZA41;H,NHC(O)Me,H,H],[ZA42;H,NHC(O)OMe,H,H],[ZA43;H,NHS(O)2Me,H,H],[ZA44;H,H,Me,H],[ZA45;H,H,Et,H],[ZA46;H,H,Pr,H],[ZA47;H,H,OMe,H],[ZA48;H,H,OEt,H],[ZA49;H,H,CF3,H],[ZA50;H,H,CF2H,H],[ZA51;H,H,CFH2,H],[ZA52;H,H,OCF3,H],[ZA53;H,H,OCF2H,H],[ZA54;H,H,OCFH2,H],[ZA55;H,H,F,H],[ZA56;H,H,Cl,H],[ZA57;H,H,Br,H],[ZA58;H,H,I,H],[ZA59;H,H,CN,H],[ZA60;H,H,c-Pr,H],[ZA61;H,H,NO2,H],[ZA62;H,H,S(O)2Me,H],[ZA63;H,H,OS(O)2Me,H],[ZA64;H,H,C(O)Me,H],[ZA65;H,H,C(O)OMe,H],[ZA66;H,H,NMe2,H],[ZA67;H,H,C(O)NMe2,H],[ZA68;H,H,S(O)2NMe2,H],[ZA69;H,H,NHC(O)Me,H],[ZA70;H,H,NHC(O)OMe,H],[ZA71;H,H,NHS(O)2Me,H],[ZA72;H,Me,Me,H],[ZA73;H,Me,OMe,H],[ZA74;H,Me,CF3,H],[ZA75;H,Me,OCF3,H],[ZA76;H,Me,F,H],[ZA77;H,Me,Cl,H],[ZA78;H,Me,Br,H],[ZA79;H,OMe,Me,H],[ZA80;H,OMe,OMe,H],[ZA81;H,OMe,CF3,H],[ZA82;H,OMe,OCF3,H],[ZA83;H,OMe,F,H],[ZA84;H,OMe,Cl,H],[ZA85;H,OMe,Br,H],[ZA86;H,CF3,Me,H],[ZA87;H,CF3,OMe,H],[ZA88;H,CF3,CF3,H],[ZA89;H,CF3,OCF3,H],[ZA90;H,CF3,F,H],[ZA91;H,CF3,Cl,H],[ZA92;H,CF3,Br,H],[ZA93;H,OCF3,Me,H],[ZA94;H,OCF3,OMe,H],[ZA95;H,OCF3,CF3,H],[ZA96;H,OCF3,OCF3,H],[ZA97;H,OCF3,F,H],[ZA98;H,OCF3,Cl,H],[ZA99;H,OCF3,Br,H],[ZA100;H,F,Me,H],[ZA101;H,F,OMe,H],[ZA102;H,F,CF3,H],[ZA103;H,F,OCF3,H],[ZA104;H,F,F,H],[ZA105;H,F,Cl,H],[ZA106;H,F,Br,H],[ZA107;H,Cl,Me,H],[ZA108;H,Cl,OMe,H],[ZA109;H,Cl,CF3,H],[ZA110;H,Cl,OCF3,H],[ZA111;H,Cl,F,H],[ZA112;H,Cl,Cl,H],[ZA113;H,Cl,Br,H],[ZA114;H,Br,Me,H],[ZA115;H,Br,OMe,H],[ZA116;H,Br,CF3,H],[ZA117;H,Br,OCF3,H],[ZA118;H,Br,F,H],[ZA119;H,Br,Cl,H],[ZA120;H,Br,Br,H],[ZA121;H,Me,H,Me],[ZA122;H,Me,H,OMe],[ZA123;H,Me,H,CF3],[ZA124;H,Me,H,OCF3],[ZA125;H,Me,H,F],[ZA126;H,Me,H,Cl],[ZA127;H,Me,H,Br],[ZA128;H,OMe,H,Me],[ZA129;H,OMe,H,OMe],[ZA130;H,OMe,H,CF3],[ZA131;H,OMe,H,OCF3],[ZA132;H,OMe,H,F],[ZA133;H,OMe,H,Cl],[ZA134;H,OMe,H,Br],[ZA135;H,CF3,H,Me],[ZA136;H,CF3,H,OMe],[ZA137;H,CF3,H,CF3],[ZA138;H,CF3,H,OCF3],[ZA139;H,CF3,H,F],[ZA140;H,CF3,H,Cl],[ZA141;H,CF3,H,Br],[ZA142;H,OCF3,H,Me],[ZA143;H,OCF3,H,OMe],[ZA144;H,OCF3,H,CF3],[ZA145;H,OCF3,H,OCF3],[ZA146;H,OCF3,H,F],[ZA147;H,OCF3,H,Cl],[ZA148;H,OCF3,H,Br],[ZA149;H,F,H,Me],[ZA150;H,F,H,OMe],[ZA151;H,F,H,CF3],[ZA152;H,F,H,OCF3],[ZA153;H,F,H,F],[ZA154;H,F,H,Cl],[ZA155;H,F,H,Br],[ZA156;H,Cl,H,Me],[ZA157;H,Cl,H,OMe],[ZA158;H,Cl,H,CF3],[ZA159;H,Cl,H,OCF3],[ZA160;H,Cl,H,F],[ZA161;H,Cl,H,Cl],[ZA162;H,Cl,H,Br],[ZA163;H,Br,H,Me],[ZA164;H,Br,H,OMe],[ZA165;H,Br,H,CF3],[ZA166;H,Br,H,OCF3],[ZA167;H,Br,H,F],[ZA168;H,Br,H,Cl],[ZA169;H,Br,H,Br]
【0041】
式(Ia)で示される化合物において、QがQ1であり、R1がエチル基であり、R11、R12、R13及びR14が組み合わせAに記載のいずれかの組み合わせである化合物(以下、化合物群TX2と記す)。
【0042】
式(Ia)で示される化合物において、QがQ1であり、R1がプロピル基であり、R11、R12、R13及びR14が組み合わせAに記載のいずれかの組み合わせである化合物(以下、化合物群TX3と記す)。
【0043】
式(Ia)で示される化合物において、QがQ2であり、R1がメチル基であり、R11、R12、R13及びR14が組み合わせAに記載のいずれかの組み合わせである化合物(以下、化合物群TX4と記す)。
【0044】
式(Ia)で示される化合物において、QがQ2であり、R1がエチル基であり、R11、R12、R13及びR14が組み合わせAに記載のいずれかの組み合わせである化合物(以下、化合物群TX5と記す)。
【0045】
式(Ia)で示される化合物において、QがQ2であり、R1がプロピル基であり、R11、R12、R13及びR14が組み合わせAに記載のいずれかの組み合わせである化合物(以下、化合物群TX6と記す)。
【0046】
本化合物5〜13は、式(Ia)で示される化合物において、Q、R1、R11、R12、R13及びR14が[表1]に記載の組み合わせである化合物を表す。
【0047】
[表1]


【0048】
式(Ib)
で示される化合物において、R15、R16、R17、R1、p及びQが[表2]〜[表7]に記載のいずれかの組み合わせである化合物。
【0049】
[表2]


【0050】
[表3]


【0051】
[表4]


【0052】
[表5]


【0053】
[表6]


【0054】
[表7]


【0055】
式(Ic)
で示される化合物において、R18、R19、R20、R1、q及びQが[表8]〜[表13]に記載のいずれかの組み合わせである化合物。
【0056】
[表8]


【0057】
[表9]


【0058】
[表10]


【0059】
[表11]


【0060】
[表12]


【0061】
[表13]


【0062】
式(Ic)で示される化合物において、QがQ2であり、qが2であり、R1がメチル基であり、R18、R19及びR20が水素原子である化合物(以下、本化合物1と記す)。本化合物1は、国際公開第1990/07493号に記載されている。
【0063】
式(Id)
で示される化合物において、R21、R22、R23、R24、r及びQが[表14]〜[表17]に記載のいずれかの組み合わせである化合物。
[表14]


【0064】
[表15]


【0065】
[表16]


【0066】
[表17]

【0067】
式(Id)で示される化合物において、R21、R22、R23、R24、r及びQが[表18]に記載のいずれかの組み合わせである化合物。これらの化合物は、欧州特許第414153号, Nongyaoxue Xuebao (2006), 8(1), 25-29.、国際公開第1990/07493号等に記載されている。
【0068】
[表18]


【0069】
式(Ie)
で示される化合物において、R25、R26、R27、R28、R29、R1及びQが[表19]〜[表24]に記載のいずれかの組み合わせである化合物。
[表19]


【0070】
[表20]


【0071】
[表21]


【0072】
[表22]


【0073】
[表23]


【0074】
[表24]


【0075】
次に製剤例を示す。なお、部は重量部を表す。また、本化合物Sは、化合物群TX1〜TX6、本化合物1〜4及び本化合物101〜652に記載の化合物を表す。
【0076】
製剤例1 本化合物Sのいずれか1種50部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸マグネシウム2部及び湿式シリカ45部をよく粉砕混合することにより、製剤を得る。
【0077】
製剤例2 本化合物Sのいずれか1種20部とソルビタントリオレエート1.5部とを、ポリビニルアルコール2部を含む水溶液28.5部と混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中に、キサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケ−ト0.1部を含む水溶液40部を加え、さらにプロピレングリコール10部を加えて攪拌混合し、製剤を得る。
【0078】
製剤例3 本化合物Sのいずれか1種2部、カオリンクレー88部及びタルク10部をよく粉砕混合することにより、製剤を得る。
【0079】
製剤例4 本化合物Sのいずれか1種5部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル14部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部及びキシレン75部をよく混合することにより、製剤を得る。
【0080】
製剤例5 本化合物Sのいずれか1種2部、湿式シリカ1部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、ベントナイト30部及びカオリンクレー65部をよく粉砕混合した後、水を加えてよく練り合せ、造粒乾燥することにより、製剤を得る。
【0081】
製剤例6 ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩及び湿式シリカの混合物(重量比1:1)35部と、本化合物Sのいずれか1化合物20部と、水45部とを十分に混合し、製剤を得る。
【0082】
次に、試験例を示す。
【0083】
試験例1
ダイズ(品種:黒千石)の本葉を直径1 cmに切り抜きリーフディスクを作製した。24ウェルマイクロプレートに1.2%の寒天培地1 mLを入れ、その上にリーフディスクを置いた。0.5 μLのソルポール(登録商標)1200KX、DMSO 4.5 μL及びキシレン5 μLの混合物に、供試化合物を10000 ppm含有するDMSO溶液20 μLを加えて混合した。得られた混合物をイオン交換水で希釈して供試化合物を所定濃度含有する散布液を調製した。散布液をリーフディスク1枚につき10 μL散布した。1日後に、ミトコンドリアチトクロームbタンパク質にF129Lのアミノ酸置換を有するダイズさび病菌(Phakopsora pachyrhizi)の胞子の水懸濁液 (1.0×105/mL)を噴霧接種した。接種後、人工気象器内(6時間点灯、18時間消灯、温度23℃、湿度60%)に置いた。1日後、リーフディスクの表面の水滴が無くなるまで風乾させ、再び人工気象器内に10〜14日間置いた。その後、ダイズさび病の病斑面積を調査した。その結果、所定濃度を3.1 ppmとし、供試化合物として本化合物5〜13のいずれか1つを用いたリーフディスクの病斑面積は、いずれも無処理のリーフディスクの病斑面積の30%以下であった。なお、無処理とは、供試化合物を含む散布液をリーフディスクへ散布しなかったことを意味する。
【0084】
比較試験例1
供試化合物として、本化合物6、9、10若しくは11、又はトリフロキシストロビン、ピラクロストロビン、アゾキシストロビン、ピコキシストロビン、オリサストロビン、ジモキシストロビン若しくはメトミノストロビンを用い、所定濃度を12.5 ppm、3.1 ppm又は0.8 ppmとし、試験例1に従って試験を行った。その結果を[表A]及び[表B]に示す。
【0085】
[表A]


【0086】
[表B]


【0087】
上記結果は、構造上、本化合物に最も近いと考えられるトリフロキシストロビンを含む各種の市販のQoI殺菌剤と比較して、本化合物が、F129Lのアミノ酸置換を有するダイズさび病菌に対して優れた活性を有することを示すものである。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本化合物は、ミトコンドリアチトクロームbタンパク質にF129Lのアミノ酸置換を有するダイズさび病菌の防除に用いることができる。