【解決手段】本開示の一態様に係る発電デバイスは、板状の第1電極と、上記第1電極と対向するように配置されている板状の第2電極と、上記第1電極と対向するように、上記第1電極と間隔を開けて上記第2電極表面に載置されている誘電体とを備え、上記第1電極が上記誘電体と繰り返して接触可能であり、上記誘電体の初期表面電荷密度の絶対値が0.5mC/m
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
上記振動発電デバイスは方式によらず、発電量(出力)が小さい。これは、振動源となる機械的エネルギー、環境エネルギー等の量が小さいという要因もあるが、機械的エネルギーから電気エネルギーの変換効率が低いという課題もある。発電デバイスの発電量を高めるために電荷を保持させる誘電体を多層化したり、誘電体材料の表面に帯電処理をするといった工夫が検討されているが、実質的に利用できる発電量としては十分ではない。
【0007】
本開示は、このような事情に基づいてなされたものであり、予め誘電体に帯電処理をする必要がなく、簡易な構成によって発電性能を向上できる発電デバイスを提供することを目的とする。
【0008】
[本開示の効果]
本開示の発電デバイスによれば、予め誘電体に帯電処理をする必要がなく、簡易な構成によって発電性能を向上できる。
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の一態様に係る発電デバイスは、板状の第1電極と、上記第1電極と対向するように配置されている板状の第2電極と、上記第1電極と対向するように、上記第1電極と間隔を開けて上記第2電極表面に載置されている誘電体とを備え、上記第1電極が上記誘電体と繰り返して接触可能であり、上記誘電体の初期表面電荷密度の絶対値が0.5mC/m
2以下であり、上記誘電体の算術平均粗さSaが5μm以上1000μm以下である。
【0011】
当該発電デバイスは、上記誘電体が上記第1電極と間隔を開けて上記第2電極表面に載置されており、上記第1電極が上記誘電体と繰り返して接触可能である。機械的なエネルギーとして外力が加わるたびに誘電体と第1電極との間で接触及び剥離が繰り返されて摩擦帯電することで第1電極と第2電極の間に電位差が生じ発電する。また、上記誘電体は予め誘電体に帯電処理をする必要がなく、上記誘電体の初期表面電荷密度の絶対値が0.5mC/m
2以下である。さらに、上記誘電体の算術平均粗さSaが5μm以上1000μm以下であることで、上記誘電体は摩擦帯電により帯電しやすくなる。従って、外力により誘電体と電極との間で接触及び剥離が繰り返されることで誘電体を電圧印加による帯電処理をすることなく帯電した状態にすることができる。このように、当該発電デバイスによれば、予め誘電体に帯電処理をする必要がなく、簡易な構成によって発電性能を向上できる。
【0012】
ここで、「摩擦帯電」とは、「材料や表面形態の異なる二種類の物質が摩擦、接触又は剥離されることにより、材料間で電荷の移動が発生し、材料の一方が正極性に、他方が負極性に帯電する現象をいう。初期表面電荷密度における「初期」とは、当該発電デバイスによる発電が行われる前の状態、より詳細には第1電極に機械的なエネルギー(外力)が加えられる前の状態をいう。「表面電荷密度」とは、単位面積(m
2)あたりの表面電荷(クーロン)を意味する。「算術平均粗さSa」とは、ISO25178に規定される算術平均粗さSaを意味する。
【0013】
通常、上記誘電体の主成分が電子親和力の絶対値3nC/J以上300nC/J以下の高分子材料であれば良い。誘電体の主成分が電子親和力の絶対値が上記範囲である高分子材料であることで、摩擦帯電性及び帯電量を向上できる。電子親和力の絶対値の下限としては、発電量を確保する観点から5nC/Jが好ましく、10nC/Jがより好ましい。電子親和力の絶対値の上限としては、高ければ高いほどよいが、特殊な処理が必要になるなど、コストアップとなりやすい観点から250nC/Jが好ましく、200nC/Jがより好ましい。
【0014】
ここで、本実施形態において「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば50質量%以上含有される成分である。「電子親和力」とは、化合物の分子の軌道のうち最もエネルギーの低い空軌道と真空準位のエネルギー差であり、イオン化ポテンシャルの測定値とバンドギャップの測定値との差より求められる。
【0015】
上記誘電体の主成分がシリコーンゴムであることが好ましい。上記誘電体の主成分がシリコーンゴムであることで、摩擦帯電性及び帯電量をより向上できる。また、耐熱性、耐寒性、耐久性にも優れる。
【0016】
上記誘電体が、上記第2電極表面の一部と固定されていることが好ましい。上記誘電体が、上記第2電極表面の一部と固定されていることで、誘電体2の位置ずれを防止しつつ摩擦帯電による帯電量を高めることができる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態に係る発電デバイスについて、適宜図面を参照しつつ詳説する。
【0018】
<発電デバイス>
図1に示す発電デバイス5は、摩擦帯電現象を利用して発電する。発電デバイス5は、板状の第1電極10と、上記第1電極10と対向するように配置されている板状の第2電極11と、第1電極10及び第2電極11に対向するように、第1電極10と第2電極11との間に配置されている誘電体2とを備えている。また、発電デバイス5は、第1電極10と第2電極11との間に負荷20が電気的に接続されている。
【0019】
第1電極10は、誘電体2と繰り返して接触可能である。すなわち、第1電極10は、例えば矢印Pに示すように第1電極10を動かした場合、誘電体2と接触及び剥離を繰り返すことができる。第1電極10に外力である機械的エネルギーが加わると、第1電極10は誘電体2と接触する。次に、第1電極10は誘電体2と接触するように作用する外力が開放されると、第1電極10は剥離して初期位置に戻る。第1電極10が接触、剥離する過程で誘電体2が帯電し、第1電極10及び帯電した誘電体2の相対位置やその変位速度に応じた出力電圧が得られ、負荷20へ電流が流れる。さらに、矢印Pに示すような外力が第1電極に加わり、第1電極と誘電体2が接触及び剥離を繰り返すと、第2電極と誘電体2の間でも接触及び剥離が起こる。第2電極と誘電体2との接触及び剥離によっても出力電圧が得られ、デバイス全体で得られる出力電圧はさらに上がる。なお、外力が加わる場所は第1電極10に限定されず、誘電体2、第2電極11でもよい。またはそれらに複合的に外力が加わってもよい。
【0020】
発電デバイス5は、外力を付与しない状態では、発電が行われない。発電デバイス5は、第1電極10と誘電体2との接触と剥離及び第2電極11と誘電体2との接触及び剥離が繰り返されることで、発電を行うことができる。外力は、機械的にアクチュエーター等の発電デバイス5の構成材料以外の要素が第1電極10、誘電体2、第2電極11等と直接接触して加えられる力に限定されない。例えば、外部からの音波や空気圧変化など、発電デバイス5に繰り返して外力を付与されることが可能なものからの力の作用は全て含まれる。この外力は微小なものであってもよい。また、外力は、周期的又は不定期に繰り返されて付与可能であるものも含む。
【0021】
第1電極10、誘電体2、第2電極11等に加わる外力の方向としては特に限定されないが、第1電極10と誘電体2との接触面や第2電極11と誘電体2との接触面に垂直な方向がより好ましい。
【0022】
[電極]
第1電極10及び第2電極11は、誘電体2から電気エネルギーを外部に取り出すものである。これらの第1電極10及び第2電極11は、公知の手法により金属膜を形成することで得ることができる。第1電極10及び第2電極11の硬さは任意に設定できる。
第1電極10及び第2電極11は、金属箔から形成することもできる。金属箔は電気特性、価格、入手容易性、薄膜加工が可能であることから銅箔、アルミ箔が好ましく。アルミ箔がより好ましい。また、第1電極10及び第2電極11は、同一であっても異なっていてもよい。
【0023】
第1電極10及び第2電極11の平均厚さの下限としては、例えば1μmが好ましく、3μmがより好ましい。上記平均厚さの上限としては、例えば500μmが好ましく、250μmがより好ましい。第1電極10及び第2電極11の平均厚さを上記範囲とすることで、デバイスの作製が容易かつ、デバイスを小型化できる。ここで、「平均厚さ」とは任意の5箇所の厚さの平均値をいう。
【0024】
[誘電体]
誘電体2は絶縁性及び誘電性を有する材料から構成される。誘電体2は可撓性を有することが好ましい。誘電体2は、第1電極10及び第2電極11に対向するように、第1電極10と第2電極11との間に配置されている。また、誘電体2は、第1電極10と間隔を開けて第2電極表面に載置されている。
【0025】
誘電体2は、予め帯電処理が施す必要がなく、デバイス5に外力が加わって第1電極と接触、剥離することにより摩擦帯電することで、誘電体2の両面は、互いに逆の極性の電荷で帯電するようになり、その両面において所定の表面電位差を示す。また、誘電体2は、デバイス5に外力が加わることで、第2電極との接触、剥離によってもさらに摩擦帯電される。
【0026】
誘電体2の主成分が電子親和力の絶対値3nC/J以上300nC/J以下の高分子材料であることが好ましい。誘電体2の主成分が電子親和力の絶対値が上記範囲である高分子材料であることで、摩擦帯電性及び帯電量をより向上できる。上記電子親和力の絶対値の上限としては、300nC/Jが好ましく、250nC/Jがより好ましく、200nC/Jがさらに好ましい。電子親和力が上記上限を超えると、特殊な処理を要するため、製造が困難となる。一方、上記電子親和力の絶対値の下限としては、3nC/Jが好ましく、5nC/Jがより好ましく、10nC/Jがさらに好ましい。電子親和力が上記下限未満の場合、発電量が不十分となるおそれがある。
【0027】
電子親和力の絶対値が上記の範囲の高分子材料としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、EPDM(エチレン・プロピレンジエンゴム)、ブチルゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、サントプレーンゴム(ポリオレフィンエラストマー)、エピクロルヒドリンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、塩ビ、クロロプレンゴム、超高分子量ポリエチレン、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン)、シリコーンゴム、ポリイミド、ポリスチレン、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)、ポリイソプレンゴム、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ナイロン樹脂、ポリエステル及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0028】
上記誘電体2の主成分がシリコーンゴムであることが好ましい。上記誘電体の主成分がシリコーンゴムであることで、摩擦帯電性及び帯電量をより向上できる。
【0029】
上記誘電体2における第1電極10との対向面及び第2電極11との対向面の算術平均粗さSaの下限としては、5μmであり、7μmが好ましく、10μmがより好ましい。上記算術平均粗さSaが上記下限未満の場合、摩擦帯電による帯電量が小さくなり過ぎるおそれがある。上記算術平均粗さSaの上限としては、1000μmであり、500μmが好ましく、100μmがより好ましい。上記算術平均粗さSaが上記上限を超えると、誘電体2における第1電極10との実質の接触面積及び第2電極11との実質の接触面積が減ることで、発電量が小さくなるおそれがある。
【0030】
上記誘電体2の25℃、45%RH(相対湿度)の条件下における初期表面電荷密度(初期状態の表面電荷密度)の絶対値の上限としては、0.5mC/m
2であり、0.3mC/m
2が好ましく、0.1mC/m
2がより好ましい。上記初期表面電荷密度の絶対値が上記上限を超えると、誘電体2の帯電処理が必要となる。上記初期表面電荷密度の絶対値下限としては、0.00001mC/m
2が好ましく、0.00002mC/m
2がより好ましく、0.00003mC/m
2がさらに好ましい。上記初期表面電荷密度の絶対値が上記下限以上であることで、初期に多少帯電されている状態となるので、より発電量を高めることができる。
【0031】
発電効率の観点から、上記誘電体2の形状としては、第1電極10及び第2電極11と同様、板状体が好ましい。上記誘電体2が板状体の場合、平均厚さの下限としては、例えば15μmが好ましく、30μmがより好ましい。上記平均厚さの上限としては、例えば2000μmが好ましく、1500μmがより好ましい。誘電体2の平均厚さを上記範囲とすることで、誘電体の作製が容易かつ、デバイスを小型化できる。
【0032】
上記誘電体2と第1電極10との間隔の距離の上限としては、例えば5mmが好ましく、3mmがより好ましい。上記誘電体2と第1電極10との間隔の距離を上記範囲とすることで、デバイスを小型化できる。
【0033】
[固定部材]
図1及び
図2に示すように、当該発電デバイス5は、誘電体2が、第2電極11表面の一部と固定されていることが好ましい。上記第2電極11と誘電体2間で接触、剥離、スライド等が生じると摩擦帯電による帯電量が増加して発電量が向上する。従って、上記第2電極11上に載置されている誘電体2は、動きの自由度が高い方がより帯電量が増加する。一方、誘電体2が第2電極11に固定されることで、誘電体2の位置ずれを防止できる。従って、誘電体2が、第2電極表面の一部と固定されていることで、誘電体2の位置ずれを防止しつつ摩擦帯電による帯電量を高めることができる。さらに、誘電体2が第2電極11に完全固定されておらず、上記誘電体と上記第2電極との接触面の一部の領域同士のみで固定されていることがより好ましい。
【0034】
誘電体2の固定手段としては特に限定されないが、例えばテープ、接着剤等の固定部材を用いるか、あるいは熱圧着により固定することが挙げられる。
【0035】
誘電体2の固定位置としては特に限定されない。例えば
図1に示すように、固定部材であるテープ7を誘電体2の中央部に装着して固定してもよいし、
図2に示すように、2枚のテープ8を誘電体2の両端部に装着して固定してもよい。また、上述したように帯電量の向上の観点から、誘電体2の固定位置としては、誘電体2の動きの自由度が高い方がより好ましい。
【0036】
誘電体2と第2電極11との接触面における固定面積比率(%)は特に限定されないが、帯電量の向上の観点から動きの自由度が高い方が好ましく、上記固定面積比率(%)はより小さいほうが好ましい。
【0037】
[蓄電装置]
蓄電装置6は、発電デバイス5から第1電極10及び第2電極11を介して電気エネルギーを取り出すものである。
図3は、本開示の一実施形態に係る発電デバイス5を用いた蓄電装置の例を示すブロック図である。
図3に示す蓄電装置6は、発電デバイス5に整流回路61及び蓄電回路62を接続したものである。なお、蓄電装置6は、目的、用途等に応じて適宜設計すればよく、整流回路61及び蓄電回路62以外の電子機器や回路を含ませてもよい。
【0038】
整流回路61は、発電デバイス5から出力される交流電圧を直流電圧に変換するものである。整流回路61としては、公知の種々のものを使用することができ、全波整流回路及び半波整流回路のいずれであってもよい。電力損出等の観点から、ダイオードがブリッジ状に回路構成された全波整流回路が好ましい。発電デバイス5の第1電極10に継続的に外力が付与されて出力される電圧は交流となる。このように、発電デバイス5からの出力電圧を整流回路61で整流して直流電圧に変換し、整流回路61の出力を蓄電回路62に蓄電できる。
【0039】
蓄電回路62は、発電デバイス5からの出力を蓄えるものである。蓄電回路62は、例えばコンデンサや充電可能なバッテリーなどの蓄電素子とスイッチなどから構成される。この蓄電回路62が発電デバイス5の発電能力等に応じて構成すればよい。蓄電回路62としては、二次電池等の公知の充電池を使用することもできる。
【0040】
当該発電デバイスは、様々な機械的エネルギーと組み合わせることにより、各種電気機器、電子機器等の電源、補助電源などの用途に用いることができる。また、発電デバイスを複数積層させたり、当該発電デバイスの各構成要素を大型化することにより、発電量を大きくすることができる。
【0041】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【実施例】
【0042】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
[発電デバイス試験No.1〜No.8]
発電デバイスとしては
図1(誘電体を中央固定)又は
図2に示した構成(誘電体を両端固定)のものを使用した。発電デバイスの具体的な構成は、以下の通りである。
(1)第1電極及び第2電極
材料:銅箔
サイズ:50mm×60mm×0.07mm
(2)誘電体
材料:シリコーンゴム(信越化学工業社製「KE−931−U」に加硫剤等を配合し、160℃×25分でプレス加硫したもの)
サイズ:30mm×30mm×1mm
(3)固定部材
形態:テープ(セメダイン社製の防水シール「バスコークN」に附属のマスキングテープ)
中央固定時のサイズ:幅10mm×長さ30mm×厚さ0.1mm
両端固定時のサイズ:幅5mm×長さ30mm×厚さ0.1mm
中央固定時の接触面における固定面積比(%):33.3
両端固定時の接触面における固定面積比(%):33.3
【0044】
<評価>
(誘電体の初期表面電荷密度)
発電デバイスNo.1〜No.8に用いた誘電体の初期表面電荷密度σ(C/m
2)は、始めにデジタル低電位測定器(春日電機社製「MODEL KSD―3000」)を用いて表面電位を測定後、下記式を用いて測定した。なお、表面電位の測定値は、測定値が安定する測定開始から60秒後の値を採用した。
σ=ε
rε
0V/d
[ε
r:材料の比誘電率、ε
0:真空の誘電率、V:表面電位値[V]、d:膜厚[m]]
上記初期表面電荷密度の計算では、ε
rは2.8、ε
0は8.854×10
−12F/m、dは0.001mとした。
【0045】
(誘電体の算術平均粗さSa)
発電デバイスNo.1〜No.8に用いた誘電体の算術平均粗さSaは、ISO25178に準拠し、非接触三次元表面粗さ・形状測定機(東京精密社製「Opt−scope R model」を用いて一辺1.7mmの方形領域について測定した。
【0046】
(発電量の測定)
以上のようにして得られた絶縁層No.1〜No.8について、発電量の評価を行った。本実施例では、発電デバイスに動的変位を加えたときの発電量を評価した。
(1)動的変位
動的変位は、小型振動試験装置(エミック社製「513−B/A」)を用いた。第1電極と誘電体2の初期間隔を0.5mmとし、周波数30Hz、振動振幅1.8mmに設定し、繰り返し動的変位を加えた。
(2)発電量
発電量は、動的変位を加えたときに発電デバイスから出力される電圧を、マルチ入力データロガー(キーエンス社製「NR−500」)を用いて計測した。解析はキーエンス社製のソフトウェア「Keyence WAVE LOGGER」を用いた。得られた電圧波形から、電圧の絶対値の最大値を読み取り、出力値とした。
【0047】
誘電体の算術平均粗さSa、固定方法及び発電量の測定結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
上記表1の結果から、算術平均粗さSaが5μm以上1000μm以下である試験No.5からNo.8の発電デバイスは、誘電体の固定方法にかかわらず発電量が高かった。また、発電量は、両端固定よりも中央固定のほうが良好であった。これは、両端固定よりも中央固定のほうが誘電体の動きにおける自由度が大きいことから、誘電体と第2電極との摩擦による帯電量も両端固定より中央固定のほうが大きくなったことによると考えられる。
【0050】
以上のことから、当該発電デバイスは、予め誘電体に帯電処理をする必要がなく、簡易な構成によって発電性能を向上できることがわかる。