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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-180121(P2021-180121A)
(43)【公開日】2021年11月18日
(54)【発明の名称】セパレータ製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/40 20210101AFI20211022BHJP
【FI】
   H01M2/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-85213(P2020-85213)
(22)【出願日】2020年5月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127498
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100146329
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】片岡 達哉
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021BB04
5H021BB20
(57)【要約】
【課題】セパレータを効率良く検査する。
【解決手段】余剰部分(54)におけるスリット工程にてスリット用の刃(2b)が接触した部分から、余剰部分(54)の主面と平行な方向に形成された突出部(58)を検出することで、突出部(58)と対になる第1セパレータ(52)の欠け(59)を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータ原反を長手方向にスリットし、セパレータと余剰部分とに切り分けるスリット工程と、
前記余剰部分における前記スリット工程にてスリット用の刃が接触した部分から、前記余剰部分の主面と平行な方向に形成された突出部を検出することで、前記突出部と対になる前記セパレータの欠けを検出する検査工程とを含んでいるセパレータ製造方法。
【請求項2】
第1ガイドローラーによって、前記セパレータが捲回される第1コアに対して、前記セパレータを案内すると共に、第2ガイドローラーによって、前記余剰部分が捲回される第2コアに対して、前記余剰部分を案内する案内工程と、
前記第1コアに対して前記セパレータを捲回すると共に、前記第2コアに対して前記余剰部分を捲回する捲回工程とを含んでおり、
前記第1ガイドローラーの回転軸方向端部における、前記第1ガイドローラーの回転軸を中心とした前記第1ガイドローラーの直径をe1とし、
前記第1ガイドローラーの回転軸方向中央における、前記第1ガイドローラーの回転軸を中心とした前記第1ガイドローラーの直径をc1とし、
前記第2ガイドローラーの回転軸方向端部における、前記第2ガイドローラーの回転軸を中心とした前記第2ガイドローラーの直径をe2とし、
前記第2ガイドローラーの回転軸方向中央における、前記第2ガイドローラーの回転軸を中心とした前記第2ガイドローラーの直径をc2としたとき、
e2/c2<e1/c1
を満足する請求項1に記載のセパレータ製造方法。
【請求項3】
セパレータ原反を長手方向にスリットし、第1セパレータと第2セパレータとに切り分けるスリット工程と、
前記第2セパレータにおける前記スリット工程にてスリット用の刃が接触した部分から、前記第2セパレータの主面と平行な方向に形成された突出部を検出することで、前記突出部と対になる前記第1セパレータの欠けを検出する検査工程とを含んでいるセパレータ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セパレータ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、および携帯情報端末等の電池として広く使用されている。とりわけ、リチウムイオン二次電池は、従前の二次電池と比較して、COの排出量を削減し、省エネに寄与する電池として、注目されている。
【0003】
特許文献1には、セパレータ原反をスリットして、セパレータを得る技術が開示されている。セパレータの一例として非水電解液二次電池用セパレータが挙げられ、非水電解液二次電池用セパレータの一例としてリチウムイオン二次電池用セパレータが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2016/103756号公報(2016年6月30日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セパレータ原反を、製品となるセパレータと、製品とならない余剰部分とに切り分ける場合がある。本願発明者(ら)は、余剰部分を検査することでセパレータを効率良く検査することについて、鋭意検討を行った結果、本発明を案出した。
【0006】
また、セパレータ原反を、製品となる第1セパレータと、製品となる第2セパレータとに切り分ける場合もある。本願発明者(ら)は、第2セパレータを検査することで第1セパレータを効率良く検査することについて、鋭意検討を行った結果、本発明を案出した。
【0007】
本発明の一態様は、セパレータ(第1セパレータ)を効率良く検査することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るセパレータ製造方法は、セパレータ原反を長手方向にスリットし、セパレータと余剰部分とに切り分けるスリット工程と、前記余剰部分における前記スリット工程にてスリット用の刃が接触した部分から、前記余剰部分の主面と平行な方向に形成された突出部を検出することで、前記突出部と対になる前記セパレータの欠けを検出する検査工程とを含んでいる。
【0009】
前記の構成によれば、余剰部分を検査することで、セパレータの欠けを効率良く検査することができる。
【0010】
本発明の一態様に係るセパレータ製造方法は、第1ガイドローラーによって、前記セパレータが捲回される第1コアに対して、前記セパレータを案内すると共に、第2ガイドローラーによって、前記余剰部分が捲回される第2コアに対して、前記余剰部分を案内する案内工程と、前記第1コアに対して前記セパレータを捲回すると共に、前記第2コアに対して前記余剰部分を捲回する捲回工程とを含んでおり、前記第1ガイドローラーの回転軸方向端部における、前記第1ガイドローラーの回転軸を中心とした前記第1ガイドローラーの直径をe1とし、前記第1ガイドローラーの回転軸方向中央における、前記第1ガイドローラーの回転軸を中心とした前記第1ガイドローラーの直径をc1とし、前記第2ガイドローラーの回転軸方向端部における、前記第2ガイドローラーの回転軸を中心とした前記第2ガイドローラーの直径をe2とし、前記第2ガイドローラーの回転軸方向中央における、前記第2ガイドローラーの回転軸を中心とした前記第2ガイドローラーの直径をc2としたとき、
e2/c2<e1/c1
を満足する。
【0011】
前記の構成によれば、第2ガイドローラーとの接触時に余剰部分がその短手方向に動くことが抑制されるため、余剰部分の短手方向端部が揃った状態で、第2コアに対して余剰部分が捲回される。これにより、検査工程が容易となる。
【0012】
本発明の一態様に係るセパレータ製造方法は、セパレータ原反を長手方向にスリットし、第1セパレータと第2セパレータとに切り分けるスリット工程と、前記第2セパレータにおける前記スリット工程にてスリット用の刃が接触した部分から、前記第2セパレータの主面と平行な方向に形成された突出部を検出することで、前記突出部と対になる前記第1セパレータの欠けを検出する検査工程とを含んでいる。
【0013】
前記の構成によれば、第2セパレータを検査することで、第1セパレータの欠けを効率良く検査することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、セパレータ(第1セパレータ)を効率良く検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るセパレータ製造装置の概略構成を示す図である。
図2図1から、第1ガイドローラー、タッチローラー、および第1コアを抜粋して示した図である。
図3図1から、第2ガイドローラー、タッチローラー、および第2コアを抜粋して示した図である。
図4】突出部および欠けの形成メカニズムの一例を、順序立てて説明する図である。
図5】第1セパレータ捲回体における欠けの現れ方の一例および余剰部分捲回体における突出部の現れ方の一例を示す図である。
図6】カメラによる撮影によって、突出部を検出する手法の具体例を示す図である。
図7】レーザー照射によって、突出部を検出する手法の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、先に説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない場合がある。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係るセパレータ製造装置101の概略構成を示す図である。セパレータ製造装置101は、原反搬送ローラー1、スリット装置2、第1ガイドローラー3aおよび3b、第2ガイドローラー4、捲回補助ローラー5および6、ならびにタッチローラー7a、7b、および8を備えている。
【0018】
原反搬送ローラー1は、セパレータ原反51を、セパレータ原反51の長手方向に搬送するローラーである。
【0019】
スリット装置2は、原反搬送ローラー1によってセパレータ原反51を搬送した先に設けられており、スリット用の刃2aおよび2bを有している。刃2aは、セパレータ原反51を長手方向にスリットし、第1セパレータ52と第2セパレータ53とに切り分ける。刃2bは、セパレータ原反51を長手方向にスリットし、第1セパレータ52と余剰部分54とに切り分ける。
【0020】
第1セパレータ52および第2セパレータ53の各々としては、セパレータ製品となるものが考えられる。一方、余剰部分54としては、セパレータ製品とならないもの、換言すれば、セパレータ原反51の切れ端が考えられる。
【0021】
第1ガイドローラー3aは、スリット装置2の下流かつ第1セパレータ52の搬送経路に設けられたローラーであり、第1セパレータ52が捲回される第1コア55aに対して、第1セパレータ52を案内する。第1ガイドローラー3bは、スリット装置2の下流かつ第2セパレータ53の搬送経路に設けられたローラーであり、第2セパレータ53が捲回される第1コア55bに対して、第2セパレータ53を案内する。
【0022】
第2ガイドローラー4は、スリット装置2の下流かつ余剰部分54の搬送経路に設けられたローラーであり、余剰部分54が捲回される第2コア56に対して、余剰部分54を案内する。セパレータ製造装置101において、第2ガイドローラー4は、搬送方向Mに沿って2個設けられている。
【0023】
ここで、搬送方向Mは、セパレータ原反51、第1セパレータ52、第2セパレータ53、および余剰部分54の各々の搬送方向である。搬送方向Mは、理想的には、セパレータ原反51、第1セパレータ52、第2セパレータ53、および余剰部分54の各々の長手方向と一致する。第1コア55a、第1コア55b、および第2コア56の各々は、円筒形状である(図2および図3参照)。
【0024】
捲回補助ローラー5は、第1コア55aの中空部分に挿入されているローラーである。捲回補助ローラー5は、第1コア55aを支持すると共に、第1コア55aを搬送方向Mに沿って回転させる。捲回補助ローラー5によって第1コア55aが回転されているところに第1セパレータ52が案内されると、第1コア55aに対して第1セパレータ52が捲回される。
【0025】
捲回補助ローラー6は、第1コア55bの中空部分および第2コア56の中空部分に挿入されているローラーである。捲回補助ローラー6は、第1コア55bおよび第2コア56を支持すると共に、第1コア55bおよび第2コア56を搬送方向Mに沿って回転させる。捲回補助ローラー6によって第1コア55bが回転されているところに第2セパレータ53が案内されると、第1コア55bに対して第2セパレータ53が捲回される。捲回補助ローラー6によって第2コア56が回転されているところに余剰部分54が案内されると、第2コア56に対して余剰部分54が捲回される。
【0026】
タッチローラー7aは、第1コア55aにおける第1セパレータ52が捲回される面に対して接触可能なローラーである。タッチローラー7aは、第1コア55aに対する第1セパレータ52の捲回時において、第1セパレータ52がずれて捲回されることを抑制するために設けられている。タッチローラー7bは、第1コア55bにおける第2セパレータ53が捲回される面に対して接触可能なローラーである。タッチローラー7bは、第1コア55bに対する第2セパレータ53の捲回時において、第2セパレータ53がずれて捲回されることを抑制するために設けられている。
【0027】
タッチローラー8は、第2コア56における余剰部分54が捲回される面に対して接触可能なローラーである。タッチローラー8は、第2コア56に対する余剰部分54の捲回時において、余剰部分54がずれて捲回されることを抑制するために設けられている。
【0028】
図2は、図1から、第1ガイドローラー3、タッチローラー7、および第1コア55を抜粋して示した図である。第1ガイドローラー3、タッチローラー7、および第1コア55は、下記(1)および(2)のいずれかに該当する。
【0029】
(1)第1ガイドローラー3が第1ガイドローラー3aであり、タッチローラー7がタッチローラー7aであり、第1コア55が第1コア55aである。この場合、下記対象セパレータは第1セパレータ52である。
【0030】
(2)第1ガイドローラー3が第1ガイドローラー3bであり、タッチローラー7がタッチローラー7bであり、第1コア55が第1コア55bである。この場合、下記対象セパレータは第2セパレータ53である。
【0031】
図2の左側には、図1と同じ方向から見たものを示している。図2の右側には、図1を見る視線方向と図1の搬送方向Mとの両方と直交する方向から見たものを示している。
【0032】
第1ガイドローラー3は、回転軸9を軸として回転する。回転軸9を軸として回転する第1ガイドローラー3と、図1の搬送方向Mに搬送されている対象セパレータとが接触することで、第1ガイドローラー3による対象セパレータの案内機能が発揮される。回転軸9方向を方向X1とする。
【0033】
第1ガイドローラー3の方向X1における端部10における、第1ガイドローラー3の回転軸9を中心とした第1ガイドローラー3の直径は、図2中直径e1で表される。第1ガイドローラー3の方向X1における中央11における、第1ガイドローラー3の回転軸9を中心とした第1ガイドローラー3の直径は、図2中直径c1で表される。
【0034】
図3は、図1から、第2ガイドローラー4、タッチローラー8、および第2コア56を抜粋して示した図である。図3の左側には、図1と同じ方向から見たものを示している。図3の右側には、図1を見る視線方向と図1の搬送方向Mとの両方と直交する方向から見たものを示している。
【0035】
第2ガイドローラー4は、回転軸12を軸として回転する。回転軸12を軸として回転する第2ガイドローラー4と、図1の搬送方向Mに搬送されている余剰部分54とが接触することで、第2ガイドローラー4による余剰部分54の案内機能が発揮される。回転軸12方向を方向X2とする。
【0036】
第2ガイドローラー4の方向X2における端部13における、第2ガイドローラー4の回転軸12を中心とした第2ガイドローラー4の直径は、図3中直径e2で表される。第2ガイドローラー4の方向X2における中央14における、第2ガイドローラー4の回転軸12を中心とした第2ガイドローラー4の直径は、図3中直径c2で表される。
【0037】
通常、直径e1は直径c1以上であり、直径e2は直径c2以上である。換言すれば、e1/c1およびe2/c2はいずれも、1以上である。そして、直径e1、直径c1、直径e2、および直径c2は、
e2/c2<e1/c1
を満足している。換言すれば、ガイドローラー端部の直径とガイドローラー中央の直径との比率の観点から、端部13に対する中央14の窪み度合は、端部10に対する中央11の窪み度合より小さい。
【0038】
前記の構成によれば、第2ガイドローラー4との接触時に余剰部分54がその短手方向に動くことが抑制されるため、余剰部分54の短手方向端部57が揃った状態で、第2コア56に対して余剰部分54が捲回される。第2コア56に対して捲回された余剰部分54の短手方向端部57を検査して、余剰部分54の主面と平行な方向に形成された突出部58を検出することで、突出部58と対になる第1セパレータ52の欠け59を検出することが可能となる。従って、第1セパレータ52を効率良く検査することができる。第1セパレータ52を効率良く検査する具体的な形態については後述する。
【0039】
前記の効果について補足する。セパレータ原反51は、スリット装置2の上流にて延伸されている場合がある。セパレータ原反51がポリオレフィンを主成分とする多孔質のフィルムからなる場合、当該延伸に起因して、余剰部分54の厚みにバラつきが生じ易い。セパレータ原反51が当該フィルムと当該フィルムに積層された耐熱層とからなる場合、当該フィルムの厚みおよび当該耐熱層の厚みのそれぞれがバラつくため、当該延伸に起因する、余剰部分54の厚みのバラつきがより顕著となる。このような厚みのバラつきが大きい余剰部分54を、第1ガイドローラー3を用いて第2コア56に対して案内すると、余剰部分54の短手方向端部57が揃った状態で、第2コア56に対して余剰部分54を捲回することが困難であるというデメリットが生じ得る。このような厚みのバラつきが大きい余剰部分54を、第2ガイドローラー4を用いて第2コア56に対して案内することにより、当該デメリットを解消することができる。
【0040】
なお、第2ガイドローラー4が小さ過ぎると、第2ガイドローラー4による余剰部分54の抱き角が小さくなるため、余剰部分54の短手方向端部57が揃った状態で、第2コア56に対して余剰部分54が捲回される作用が小さくなる。一方、第2ガイドローラー4が大き過ぎると、余剰部分54の厚みにバラつきが大きい場合に、余剰部分54にシワが生じ易い。
【0041】
図3に示す第2ガイドローラー4の幅Wが65mm以上350mm以下である場合、直径e2と直径c2との差は0.1mm以下であることが好ましい。逆に、直径e2と直径c2との差が0.3mmを超えることは、余剰部分54と第2ガイドローラー4との非接触部分の面積が大きくなるため、好ましくない。
【0042】
直径c1の一例は34.80mm、直径e1およびe2、さらに直径c2の一例は、35.00mmである。
【0043】
セパレータ製造装置101において、第2ガイドローラー4は、平らな円柱ローラーである。これにより、余剰部分54の短手方向端部57が揃った状態で、第2コア56に対して余剰部分54が捲回される作用をより顕著にすることができる。
【0044】
セパレータ製造装置101は、第2ガイドローラー4を2本(複数本)備えている。これにより、余剰部分54の短手方向端部57が揃った状態で、第2コア56に対して余剰部分54が捲回される作用を最大限享受することができる。
【0045】
また、本発明の実施形態に係るセパレータ製造方法は、第1セパレータ52を効率良く検査する具体的な形態であり、スリット工程、案内工程、捲回工程、および検査工程を含んでいる。
【0046】
スリット工程は、スリット装置2(より具体的には刃2b)によって、セパレータ原反51を長手方向にスリットし、第1セパレータ52と余剰部分54とに切り分ける工程である。案内工程は、第2ガイドローラー4によって、第2コア56に対して余剰部分54を案内する工程である。捲回工程は、第2コア56に対して余剰部分54を捲回する工程である。
【0047】
検査工程は、第2コア56に対して捲回された余剰部分54におけるスリット工程にて刃2bが接触した部分から、余剰部分54の主面と平行な方向に形成された突出部58を検出することで、突出部58と対になる第1セパレータ52の欠け59を検出する工程である。なお、セパレータ原反51、第1セパレータ52、第2セパレータ53、および余剰部分54の各々において、その主面とは、その表面または裏面である。
【0048】
余剰部分54におけるスリット工程にて刃2bが接触した部分は、余剰部分54の短手方向端部57に相当する。そして、セパレータ製造装置101を用いることで、余剰部分54の短手方向端部57が揃った状態で、第2コア56に対して余剰部分54が捲回されるため、余剰部分54の短手方向端部57の全体に亘って、突出部58の発見が容易である。従って、第1セパレータ52の欠け59を容易に検出することができる。
【0049】
図4は、突出部58および欠け59の形成メカニズムの一例を、順序立てて説明する図である。図4においては、当該形成メカニズムの一例を、局面P1〜P7に分けて説明する。
【0050】
刃2bがセパレータ原反51をスリットするときに、セパレータ原反51が意図せず所定の位置から変位する。セパレータ原反51が意図せず所定の位置から変位することの一例としては、セパレータ原反51の短手方向端部が波打つことが挙げられる。刃2bがセパレータ原反51における変位部分をスリットすると、セパレータ原反51が破断する虞があるため、刃2bは、当該変位部分を避けて、セパレータ原反51をスリットする必要がある。セパレータ原反51の短手方向端部が波打った状態で、刃2bがセパレータ原反51をスリットしようとすると、部分61および/またはその近傍にて、セパレータ原反51に弛みが生じ、セパレータ原反51が浮き上がる。部分60は、セパレータ原反51における第1セパレータ52に対応する部分である。部分61は、セパレータ原反51における余剰部分54に対応する部分である。部材番号15で示された部材は、下刃ローラーであり、2個設けられている(P1)。
【0051】
これにより、刃2bがセパレータ原反51に対して、部分60側に深く入り(P2)、刃2bは部分60側に深く入った状態のまま、セパレータ原反51をスリットする(P3)。局面P2およびP3を経て生じた、部分61の突出部62は、2個の下刃ローラー15の間隙63に折れ込む(P4)。
【0052】
刃2bは部分60側に深く入った状態のまま、セパレータ原反51をさらにスリットする。部分60に対しては、図1の第1コア55aに対して第1セパレータ52が捲回されることに起因して、図1の搬送方向Mに沿った方向に一定の張力F1が生じる。同様に、部分61に対しては、図1の第2コア56に対して余剰部分54が捲回されることに起因して、図1の搬送方向Mに沿った方向に一定の張力F2が生じる。刃2bが部分60側に深く入った状態のまま、セパレータ原反51をスリットする距離が長くなる程、第1セパレータ52の幅が小さくなるため張力F1は相対的に大きくなる。反対に、刃2bが部分60側に深く入った状態のまま、セパレータ原反51をスリットする距離が長くなる程、余剰部分54の幅が大きくなるため張力F2は相対的に小さくなる。これにより、刃2bがセパレータ原反51に対して、部分61側に深く入る(P5)。そして、最終的には、刃2bはセパレータ原反51における本来スリットすべき位置に対するスリットに戻るが、局面P1〜P5を経たため、余剰部分54には突出部58が形成されている。また、第1セパレータ52には、突出部58と対になる欠け59が形成されている(P6およびP7)。
【0053】
図5は、第1セパレータ捲回体64における欠け59の現れ方の一例および余剰部分捲回体65における突出部58の現れ方の一例を示す図である。第1セパレータ捲回体64は、第1コア55aに対して第1セパレータ52が捲回されてなるものである。余剰部分捲回体65は、第2コア56に対して余剰部分54が捲回されてなるものである。
【0054】
第1セパレータ捲回体64において、欠け59は、第1セパレータ52の短手方向端部66から、第1セパレータ52の主面と平行な方向に形成されている。欠け59は、第1コア55aに対して捲回された第1セパレータ52に埋もれているため、第1セパレータ捲回体64の外から見て検出が困難である。
【0055】
一方、余剰部分捲回体65において、突出部58は、余剰部分54の短手方向端部57から、余剰部分54の主面と平行な方向に形成されている。余剰部分捲回体65において、余剰部分54の短手方向端部57が揃った状態で、第2コア56に対して余剰部分54が捲回されていれば、突出部58は、余剰部分捲回体65の外から見て検出が容易である。
【0056】
余剰部分捲回体65の外から見て突出部58を検出する技術の一例としては、下記(イ)〜(ハ)
(イ)カメラ(例:CCD)による撮影
(ロ)レーザー照射
(ハ)目視
が挙げられる。
【0057】
図6は、カメラ16による撮影によって、突出部58を検出する手法の具体例を示す図である。図6によれば、当該具体例は、以下のとおりである。略円柱形状の余剰部分捲回体65に対して、余剰部分捲回体65の軸67を軸として余剰部分捲回体65を回転させつつ、軸67と直交する方向に、余剰部分54の短手方向端部57をカメラ16で撮影する(図6の左側)。そして、カメラ16による撮影画像(図6の右側)から、余剰部分54の短手方向端部57の位置が突出部58の非形成部分に対して所定以上離れている部分を、突出部58として検出する。
【0058】
図7は、レーザー照射によって、突出部58を検出する手法の具体例を示す図である。図7によれば、当該具体例は、以下のとおりである。余剰部分捲回体65に対して、軸67を軸として余剰部分捲回体65を回転させつつ、軸67方向に、レーザー17から電磁波18を照射し、突出部58を検出する。電磁波18の一例として、赤外線、可視光線、および紫外線が挙げられる。また、突出部58の検出においては、電磁波18が突出部58にて反射して得られた成分を用いてもよいし、電磁波18が突出部58を透過して得られた成分を用いてもよい。このように、図6のカメラ16の替わりに、レーザー17の照射によって、突出部58を検出してもよい。
【0059】
本発明の実施形態に係るセパレータ製造方法において、セパレータ製造装置101を用いることは必須でない。つまり、本発明の実施形態に係るセパレータ製造方法は、下記(A)および(B)のように表現することができる。
【0060】
(A)セパレータ原反51を長手方向にスリットし、第1セパレータ52と余剰部分54とに切り分けるスリット工程と、余剰部分54におけるスリット工程にてスリット用の刃が接触した部分から、余剰部分54の主面と平行な方向に形成された突出部58を検出することで、突出部58と対になる第1セパレータ52の欠け59を検出する検査工程とを含んでいるセパレータ製造方法。ここで、「スリット用の刃」は、刃2bであってもよいし、セパレータ製造装置101に設けられていないものであってもよい。(A)によれば、余剰部分54を検査することで、第1セパレータ52の欠け59を効率良く検査することができる。
【0061】
(B)第1ガイドローラーによって、第1セパレータ52が捲回される第1コア55aに対して、第1セパレータ52を案内すると共に、第2ガイドローラーによって、余剰部分54が捲回される第2コア56に対して、余剰部分54を案内する案内工程と、第1コア55aに対して第1セパレータ52を捲回すると共に、第2コア56に対して余剰部分54を捲回する捲回工程とを含んでおり、第1ガイドローラーの回転軸方向端部における、第1ガイドローラーの回転軸を中心とした第1ガイドローラーの直径をe1とし、第1ガイドローラーの回転軸方向中央における、第1ガイドローラーの回転軸を中心とした第1ガイドローラーの直径をc1とし、第2ガイドローラーの回転軸方向端部における、第2ガイドローラーの回転軸を中心とした第2ガイドローラーの直径をe2とし、第2ガイドローラーの回転軸方向中央における、第2ガイドローラーの回転軸を中心とした第2ガイドローラーの直径をc2としたとき、
e2/c2<e1/c1
を満足する前記(A)に記載のセパレータ製造方法。ここで、「第1ガイドローラー」は、第1ガイドローラー3aであってもよいし、セパレータ製造装置101に設けられていないものであってもよい。また、「第2ガイドローラー」は、第2ガイドローラー4であってもよいし、セパレータ製造装置101に設けられていないものであってもよい。(B)によれば、第2ガイドローラーとの接触時に余剰部分54がその短手方向に動くことが抑制されるため、余剰部分54の短手方向端部57が揃った状態で、第2コア56に対して余剰部分54が捲回される。これにより、検査工程が容易となる。
【0062】
(変形例)
図1を参照して、本発明の実施形態に係るセパレータ製造方法の変形例について説明する。当該変形例は、スリット工程および検査工程を含んでいる。スリット工程は、セパレータ原反51を長手方向にスリットし、第1セパレータ52と第2セパレータ53とに切り分ける工程である。検査工程は、第2セパレータ53におけるスリット工程にてスリット用の刃が接触した部分から、第2セパレータ53の主面と平行な方向に形成された突出部68を検出することで、突出部68と対になる第1セパレータ52の欠け69を検出する工程である。当該変形例においても、セパレータ製造装置101を用いることは必須でない。つまり、スリット用の刃は、図1においてはセパレータ製造装置101の刃2aであるが、セパレータ製造装置101に設けられていないものであってもよい。当該変形例は、第1セパレータ52および余剰部分54の組み合わせを、第1セパレータ52および第2セパレータ53の組み合わせに置き換えたものに相当する。当該変形例も、本発明の実施形態に係るセパレータ製造方法と同様の原理で、第1セパレータ52を効率良く検査する具体的な形態であると言える。
【0063】
前記の構成によれば、第2セパレータ53を検査することで、第1セパレータ52の欠け69を効率良く検査することができる。
【0064】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
2 スリット装置
2a、2b 刃
3、3a、3b 第1ガイドローラー
4 第2ガイドローラー
9、12 回転軸
10、13 端部
11、14 中央
51 セパレータ原反
52 第1セパレータ
53 第2セパレータ
54 余剰部分
55、55a、55b 第1コア
56 第2コア
57 余剰部分の短手方向端部
58 余剰部分の突出部
59、69 第1セパレータの欠け
66 第1セパレータの短手方向端部
68 第2セパレータの突出部
101 セパレータ製造装置
c1、e1、c2、e2 直径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7