【課題】本発明は、被着基材同士を前記湿気硬化型ポリウレタン接着剤で接着した物品を製造する際に、高い初期接着強度を発現させ、接着後に圧力を開放した場合であっても、貼合基材から接着層が剥離することなく、湿気硬化型ポリウレタン接着剤のみで被着基材同士を接着固定できる物品の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の積層体の製造方法は、第一の被着体と、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物から形成される接着剤層と、離型層とを、この順で有する予備積層体を形成する工程[1]と、接着剤層に活性エネルギー線を照射する工程[2]と、前記離型層を剥離する工程[3]と、さらに、第二の被着体を積層する工程[4]とを含む。
第一の被着体と、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物から形成される接着剤層と、離型層とを、この順で有する予備積層体を形成する工程[1]と、接着剤層に活性エネルギー線を照射する工程[2]と、前記離型層を剥離する工程[3]と、さらに、第二の被着体を積層する工程[4]とを含むことを特徴とする積層体の製造方法。
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を溶融させ、前記第一の被着体に塗布して接着剤層を形成する工程と、前記接着剤層に離型層を圧着して、前記積層体を形成する工程を含む請求項1又は2記載の製造方法。
前記ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を溶融させ、前記離型層に塗布して接着剤層を形成する工程と、前記接着剤層に前記第一の被着体を積層して、前記積層体を形成する工程を含む請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物が、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含むものである請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物が、(メタ)アクリロイ基を有するウレタンプレポリマーを含むものである請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
第一の被着体と、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物から形成される接着剤層と、離型層とを、この順で有する予備積層体を形成する工程[1]と、接着剤層に活性エネルギー線を照射する工程[2]と、前記離型層を剥離する工程[3]と、さらに、第二の被着体を積層する工程[4]とを含むことを特徴とする携帯電子端末の製造方法。
第一の被着体と、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物から形成される接着剤層と、離型層とを、この順で有する予備積層体を形成する工程[1]と、接着剤層に活性エネルギー線を照射する工程[2]と、前記離型層を剥離する工程[3]と、さらに、第二の被着体を積層する工程[4]とを含むことを特徴とする車載画像表示ディスプレイの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の積層体の製造方法は、被着体同士が前記湿気硬化型ポリウレタン接着剤によって接着された構成を有する積層体の製造方法であって、第一の被着体と、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物から形成される接着剤層と、離型層とを、この順で有する積層体を形成する工程[1]と、接着剤層に活性エネルギー線を照射する工程[2]と、前記離型層を剥離する工程[3]と、さらに、第二の被着体を積層する工程[4]とを含む。
【0013】
前記積層体の製造方法は、前記工程[1]、[2]、[3]及び[4]をこの順に行うことが好ましく、前記工程[1]の前、前記工程[1]及び工程[2]の間、前記工程[2]及び工程[3]の間、前記工程[3]及び工程[4]の間、ならびに、工程[4]の後、必要に応じて別の工程を有するものであってもよい。
【0014】
前記工程[1]は、第一の被着体と、前期湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物から形成される接着剤層と、離型層とを、この順で有する積層体を形成する工程である。
【0015】
前記工程[1]において、第一の被着体と、接着剤層と、離型層とを積層する方法としては、例えば、離型層上に接着剤層を形成し、該接着剤層と第一の被着体とを積層させる方法;第一の被着体上に接着剤層を形成し、該接着層と前記離型層とを積層させる方法のいずれかであってもよい。
【0016】
前記工程[1]において、前記第一の被着体上に前記接着剤層を形成し、該接着層と前記離型層とを積層させる場合、前記接着層と前記離型層とを積層後、圧力を付加(圧着)してもよい。前記圧力は、例えば0.01N/cm
2以上、好ましくは0.05N/cm
2以上、より好ましくは0.1N/cm
2以上であり、例えば50N/cm
2以下、好ましくは40N/cm
2以下、より好ましくは30N/cm
2以下である。
【0017】
前記工程[1]において、接着剤層を形成する方法としては、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を溶融し、前記第一の被着体又は前記離型層に塗布する方法が挙げられる。
【0018】
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を溶融させる温度は、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは135℃以下である。
【0019】
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を溶融させた後、塗布する方法としては、ロールコーター、スプレーコーター、T−タイコーター、ナイフコーター、コンマコーター等のコーター方式;ディスペンサー、スプレー、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷等の精密方式などを使用して塗布する方法などが挙げられる。なかでも、精密方式を使用して塗布する方法が好ましく、ディスペンサーを使用して塗布する方法が好ましい。
【0020】
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、硬化後の厚さが、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上、さらに好ましくは100μm以上となるように形成することが好ましい。
【0021】
前記第一の被着体は、有機樹脂材料、無機材料のいずれから形成されるものであってもよい。前記有機樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルアミド等のポリアミド樹脂;ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のポリスルホン樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のポリエーテルケトン樹脂;ポリフェニレンスルフィド;変性ポリフェニレンオキシドなどが挙げられる。前記無機材料としては、ガラスなどが挙げられる。前記被着体の形状は、フィルム、シート、板のいずれであってもよい。
【0022】
前記離型層は、接着剤層に活性エネルギー線を照射した後、接着剤層から容易に剥離できる観点から、少なくとも一面が離型処理された基材であればよい。接着剤層への活性エネルギー線の照射を用意にする観点から、透明性を有するものであることが好ましい。
【0023】
前記基材としては、有機樹脂基材、無機基材のいずれでもよい。前記有機樹脂基材に用いられる有機樹脂としては、前記有機樹脂と同様のものが挙げられ、前記無機基材に用いられる無機材料としては、前記無機材料と同様のものが挙げられる。前記基材の形状は、フィルム、シート、板のいずれであってもよい。
【0024】
前記離型層の離型処理方法としては、基材に離型剤を塗布する方法;フッ素処理、シリコーン処理等の化学的処理方法などが挙げられる。前記離型剤としては、例えば、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、ワックス系離型剤等が挙げられる。離型剤を塗布する方法としては、例えばディップコート、スプレーコート、ロールコート等の塗布法が挙げられる。
【0025】
前記基材の厚さは、好ましくは1μm以上、より好ましくは12μm以上であり、好ましくは10mm以下、より好ましくは2mm以下、さらに好ましくは200μm以下である。
【0026】
前記工程[2]は、接着剤層に活性エネルギー線を照射する工程である。
【0027】
前記工程[2]と前記工程[1]との時間間隔は、好ましくは500秒以下、より好ましくは120秒以下、さらに好ましくは30秒以下である。前記工程[1]と[2]との時間間隔が前記範囲にあることで、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物が活性エネルギー線によって反応することが容易となる。
【0028】
活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線;可視光線などが挙げられ、紫外線、可視光等が好ましく、紫外線がより好ましい。上記紫外線は、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。また、必要に応じ、活性エネルギー線照射時に、熱をエネルギー源として併用してもよい。この場合、活性エネルギー線を照射した後、加熱することが好ましい。
【0029】
また、前記活性エネルギー線の波長は、光重合開始剤を活性化させることが可能な領域にあることが好ましく、中でも300nm以上420nm以下であることが好ましい。
【0030】
活性エネルギー線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、キセノンランプ、水銀−キセノンランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、太陽光、LED、殺菌灯、カーボンアーク、走査型、カーテン型電子線加速器等が挙げられる。また、光を閃光的に照射することのできるキセノン−フラッシュランプは、熱の影響を最小限に抑えることができるため好ましい。
【0031】
上記活性エネルギー線の照射強度は、好ましくは0.1mW/cm
2以上、より好ましくは0.5mW/cm
2以上、さらに好ましくは1mW/cm
2以上であり、好ましくは1000mW/cm
2以下、より好ましくは800mW/cm
2以下、さらに好ましくは400mW/cm
2以下である。また、上記活性エネルギー線の照射時間は1〜60秒が好ましく、5〜50秒がより好ましく、10〜40秒であることがより好ましい。照射強度及び時間を上記の範囲内で設定することで、活性エネルギー線を照射した際に生じる熱を低減できるため、活性エネルギー線を照射した後の硬化率を好適に調整可能となる。
【0032】
前記活性エネルギー線の積算光量は、好ましくは100mJ/cm
2以上、より好ましくは500mJ/cm
2以上、さらに好ましくは1000mJ/cm
2以上であり、好ましくは7000mJ/cm
2以下、より好ましくは5000mJ/cm
2以下、さらに好ましくは3000mJ/cm
2以下である。
【0033】
上記活性エネルギー線の照射の回数は、1回でもよく、2回以上でてもよい。
【0034】
前記工程[3]は、前記離型層を剥離する工程である。
【0035】
前記工程[2]と前記工程[3]との時間間隔は、好ましくは1秒以上、より好ましくは5秒以上であり、好ましくは500秒以下より好ましくは180秒以下、さらに好ましくは120秒以下である。前記時間間隔が前記範囲にあることで、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物から前記離型層を剥離することが容易となる。
【0036】
前記離型層を剥離する方法は特に限定されず、離型基材の形状や厚さに応じて任意の方法で行うことができる。
【0037】
前記工程[4]は、前記離型層を剥離した後、前記接着剤層にさらに第二の被着体を積層する工程である。
【0038】
前記工程[3]と前記工程[4]との時間間隔は、好ましくは200秒以内、より好ましくは100秒以内、さらに好ましくは60秒以内であり、例えば、10秒以上であってもよい。前記工程[3]と前記工程[4]との時間間隔を前記範囲とすることで、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物と第二の被着体の界面同士を密着させ易い。
【0039】
前記工程[4]において、第二の被着体を接着剤層に積層した後、第二の被着体層側の面から、積層体に荷重をかけて、前記接着剤層と前記第二の被着体とを接着させることが前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物と第二の被着体の界面同士を十分に密着させる観点から好ましい。
【0040】
前記荷重は、好ましくは5N/cm
2以上、より好ましくは10N/cm
2以上、さらに好ましくは15N/cm
2以上であり、好ましくは500N/cm
2以下、より好ましくは300N/cm
2以下、さらに好ましくは200N/cm
2以下である。前記荷重がこの範囲にあることで、前記第二の被着体と接着剤層とを十分に密着させ固定させることが容易となる。
【0041】
前記荷重をかける時間(圧着時間)は、作業工程において任意に設定すればよいが、1秒以上とすることが好ましい。一方、積層体の生産効率を向上させる上で荷重する時間が長すぎない方がよいことから、前記圧着時間は1秒〜60秒間であることが好ましく、3秒〜50秒間であることがより好ましく、5秒〜20秒間であることがさらに好ましい。
【0042】
前記荷重をかける方法としては、市販のプレス機、指圧、加圧ローラー、所定荷重の重りを用いる方法が挙げられ、プレス機を用いることが好ましい。
【0043】
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含む。
【0044】
前記ウレタンプレポリマーは、ポリオールとポリイソシアネートとの反応物であることが好ましい。
【0045】
前記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、結晶性ポリエステルポリオール、非晶性ポリエステルポリオール;アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ダイマージオール、ロジン変性ポリオール、ポリエチレンブチレンポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等の高分子量ポリオール;低分子量ポリオールなどを用いることができる。これらのポリオールは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。なかでも、ポリエーテルポリオール、結晶性ポリエステルポリオール、非晶性ポリエステルポリオールを含むことが好ましい。
【0046】
前記高分子量ポリオールの数平均分子量は、例えば500以上、好ましくは600以上、より好ましくは700以上であり、例えば200,000以下である。前記高分子量ポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィにより、ポリスチレンを標準試料とした換算値として測定することができる。前記低分子量ポリオールの分子量は、500未満であり、例えば50以上である。前記低分子量ポリオールの分子量は、化合物の化学式量とし定義できる。
【0047】
前記ポリオールに含まれる水酸基の個数は、2個以上であり、3個いかであることが好ましく、2個であることがこのましい。
【0048】
前記ポリエーテルポリオールは、オキシアルキレン単位(好ましくは、炭素原子数2〜5、より好ましくは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン単位)を有するポリオールであり、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイド変性ポリプロピレングリコール等を用いることができる。これらのポリエーテルポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0049】
前記ポリエーテルポリオールの数平均分子量としては、優れた接着性(特に初期接着強度と最終接着強度)、及び、塗布後の適度なオープンタイムが得られる点から、500〜5,000の範囲であることが好ましく、700〜5,000の範囲がより好ましい。なお、本発明において、数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定することができる。
【0050】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用することができる。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0051】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
【0052】
前記ポリエーテルポリオールを用いる場合の使用量としては、接着性(特に初期接着強度と最終接着強度)、及び、塗布後のオープンタイム性をより一層向上できる点から、前記ポリオール(a)中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
【0053】
前記結晶性ポリエステルポリオールは、優れた防水性、接着性(特に初期接着強度)、オープンタイム、及び、耐落下衝撃性が得られる点で好ましく、例えば、水酸基を2個以上有する化合物と多塩基酸との反応物を用いることができる。なお、本発明において、「結晶性」とは、JISK7121−1987に準拠したDSC(示差走査熱量計)測定において、結晶化熱あるいは融解熱のピークを確認できるものを示し、「非晶性」とは、前記ピークを確認できないものを示す。
【0054】
前記水酸基を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも結晶性を高め、防水性、及び、接着性を向上することができる点から、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、及び、デカンジオールからなる群より選ばれる1種以上の化合物を用いることが好ましい。
【0055】
前記多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等を用いることができる。これらの多塩基酸は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0056】
前記結晶性ポリエステルポリオールの数平均分子量としては、防水性、及び、接着性の点から、500〜5,000の範囲が好ましく、1,000〜4,000の範囲がより好ましい。なお、前記結晶性ポリエステルポリオールの数平均分子量は、前記ポリエーテルポリオールの数平均分子量と同様に測定して得られた値を示す。
【0057】
また、前記結晶性ポリエステルポリオールのガラス転移温度(Tg)としては、防水性、及び、接着性の点から、40〜130℃の範囲が好ましい。なお、前記結晶性ポリエステルポリオールのガラス転移温度は、JISK7121−1987に準拠し、DSCにより測定した値を示し、具体的には、示差走査型熱量計装置内に前記結晶性ポリエステルポリオールを入れ、(Tg+50℃)まで昇温速度10℃/分で昇温した後、3分間保持し、その後急冷し、得られた示差熱曲線から読み取った中間点ガラス転移温度(Tmg)を示す。
【0058】
前記結晶性ポリエステルポリオールを用いる場合、その含有率は、柔軟性、接着性及びオープンタイムの観点から、前記ポリオール(a)中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
【0059】
また、前記結晶性ポリエステルポリオールとしては、ポリカプロラクトンポリオールを用いることもできる。前記ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、前記水酸基を有する化合物とε−カプロラクトンとを反応させたものを用いることができる。
【0060】
また、前記結晶性ポリエステルポリオールとして、ポリカプロラクトンポリオールを用いる場合には、数平均分子量が20,000〜200,000の範囲であることが好ましい。
【0061】
前記非晶性ポリエステルポリオールは、優れた溶融粘度、オープンタイム(貼り合わせ可能時間)、接着性、防水性、柔軟性、及び、耐落下衝撃性が得られる点で好ましく、例えば、下記水酸基を有する化合物と多塩基酸との反応物を用いることができる。
【0062】
前記水酸基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルプロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の脂肪族ポリオール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール;4,4’−ジヒドロキシジフェニルプロパン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の芳香族ジオール;ビスフェノールAやビスフェノールF、及びそのアルキレンオキサイド付加物等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐水性、接着性、柔軟性、及び、耐落下衝撃性をより一層向上できる点から、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を用いることが好ましい。また、前記アルキレンオキサイドの付加モル数としては、2〜10モルの範囲が好ましく、4〜8モルの範囲が更に好ましい。前記水酸基を有する化合物に含まれる水酸基の個数は、好ましくは2個以上、好ましくは3個以下であり、2個であることが好ましい。
【0063】
前記多塩基酸としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、ダイマー酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、マロン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジエン−1,2−ジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸などを用いることができる。これらの多塩基酸は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0064】
前記非晶性ポリエステルポリオールの数平均分子量としては、防水性、接着性、及び、柔軟性の点から、500〜5,000の範囲が好ましく、1,000〜4,000の範囲がより好ましく、1,000〜3,000の範囲が更に好ましい。なお、前記非晶性ポリエステルポリオールの数平均分子量は、前記ポリエーテルポリオールの数平均分子量と同様に測定して得られた値を示す。
【0065】
前記非晶性ポリエステルポリオールのガラス転移温度としては、防水性、接着性、及び、柔軟性の点から、−70〜−10℃の範囲が好ましい。なお、前記非晶性ポリエステルポリオールのガラス転移温度は、前記結晶性ポリエステルポリオールのガラス転移温度(Tg)の測定方法と同様である。
【0066】
前記非晶性ポリエステルポリオールの含有率は、防水性、接着性、及び、柔軟性の観点から、前記ポリオール(a)中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
【0067】
前記ポリエーテルポリオール、結晶性ポリエステルポリオール、非晶性ポリエステルポリオールの合計の含有率は、前記ポリオール(a)中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、いっそう好ましくは90質量%以上であり、上限は100質量%である。
【0068】
前記低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオールの各異性体、ペンタンジオールの各異性体、ヘキサンジオールの各異性体、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチルプロパンジオール、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族又は脂環族ジオール;4,4’−ジヒドロキシジフェニルプロパン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の芳香族ジオールが挙げられる。
【0069】
前記ポリイソシアネート(b)としては、例えば、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、クロロフェニレンジイソシアネート、トリメチルフェニレンジイソシアネート、トリイソプロピルフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジメトキシジフェニルジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、クルードトリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、反応性、及び、接着性の点から、芳香族ポリイソシアネートを用いることが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネートを含むことがより好ましい。
【0070】
前記ウレタンプレポリマーは、さらに(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。前記ウレタンプレポリマーが(メタ)アクリロイル基を有する場合、前記(メタ)アクリロイル基の個数割合は、ウレタンホットメルト樹脂組成物の一次硬化性の観点から、前記ウレタンプレポリマーにおける(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基の合計中、好ましくは2%以上、より好ましくは5%以上であり、好ましくは80%以下、より好ましくは75%以下である。
【0071】
前記さらに(メタ)アクリロイル基を有するウレタンプレポリマーは、前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、反応性官能基含有(メタ)アクリル化合物との反応物であることが好ましい。前記反応性官能基としては、活性水素原子を有する基であればよく、水酸基、アミノ基等が挙げられ、水酸基であることが好ましい。
【0072】
前記反応性官能基含有(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEA)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどが挙げられ、これらの中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEA)、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。
【0073】
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物中、前記ウレタンプレポリマーの含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、好ましくは99.5質量%以下、より好ましくは99質量%以下、さらに好ましくは98質量%以下である。
【0074】
又、本発明で使用する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は活性エネルギー線重合開始剤を含有することが好ましい。
【0075】
前記活性エネルギー線重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン等のアルキルフェノン光重合開始剤、カンファーキノン光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド光重合開始剤、チタノセン光重合開始剤、過酸化物光重合開始剤等を使用することができる。光重合開始剤の市販品(以下、商標記載)としては、例えば、クオンタキュアー(インターナショナル・バイオ−シンセティクス社製)、カイアキュアーMBP(日本化薬株式会社製)、エサキュアーBO(フラテリ・ランベルティ社製)、トリゴナル14(アクゾ社製)、イルガキュアー(チバ・ガイギー社製)、ダロキュアー(同社製)、スピードキュアー(同社製)、ダロキュアー1173とFi−4との混合物(イーストマン社製)等が挙げられる。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。これらの中でも、紫外線などの活性エネルギー線照射による一次硬化性の付与に優れるイルガキュアー184が好ましい。
【0076】
また、過酸化物光重合開始剤としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル等の従来公知の過酸化物を使用できる。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。これらの中でも、80〜120℃の高温条件下での硬化では、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートが好ましく、特にパーオキシジカーボネートが好ましい。前記パーオキシジカーボネートとしては、例えば、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、市販品では、パーロイルTCP(日本油脂株式会社製)などが挙げられる。
【0077】
前記活性エネルギー線重合開始剤の含有量は、前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.2質量部以上であり、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
【0078】
前記気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、さらに、整泡剤、酸化防止剤、脱泡剤、紫外線吸収剤、砥粒、充填剤、顔料、染料、着色剤、増粘剤、界面活性剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、粘着付与剤、硬化触媒、安定剤、蛍光増白剤、シランカップリング剤、ワックス等のその他の添加剤を含んでいてもよい。また、必要に応じて、ブレンド用樹脂として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を含んでいてもよい。
【0079】
前記その他の添加剤の含有率は、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物中、例えば50質量%以下、好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下であり、下限は0質量%である。また、前記ブレンド用樹脂の含有率は、例えば50質量%以下、好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下であり、下限は0質量%である。
【0080】
前記粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、水添ロジンエステル系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、水添テルペン系樹脂や、石油樹脂としてC5系の脂肪族樹脂、C9系の芳香族樹脂、およびC5系とC9系の共重合樹脂等を使用することができる。
【0081】
前記可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、トリオクチルホスフェート、エポキシ系可塑剤、トルエン−スルホアミド、クロロパラフィン、アジピン酸エステル、ヒマシ油等を使用することができる。メチルアシッドホスフェート(AP−1)、アクリル系表面調整剤(BYK−361N)などが挙げられる。
【0082】
前記安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等を使用することができる。
【0083】
前記充填材としては、例えば、ケイ酸誘導体、タルク、金属粉、炭酸カルシウム、クレー、カーボンブラック等を使用することができる。
【0084】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、メチルヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ブチメチルヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ジブチルヒドロキシフェニルベンゾトリアゾールなどに代表されるベンゾトリアゾール系化合物、あるいはビス(テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(ペンタメチルピペリジル)セバケートなどに代表されるヒンダードアミン系化合物などが挙げられる。
【0085】
本願発明の製造方法によって得られた積層体としては、車載ディスプレイパネル、携帯端末機器等が挙げられる。
【0086】
本発明の積層体の製造方法によれば、被着基材同士を前記湿気硬化型ポリウレタン接着剤で接着した物品を製造する際に、高い初期接着強度を発現させ、接着後に圧力を開放した場合であっても、貼合基材から接着層が剥離することなく、湿気硬化型ポリウレタン接着剤のみで被着基材同士を接着固定でき、車載ディスプレイパネル、携帯端末機器等に有用である。
【実施例】
【0087】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0088】
<湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物の調製>
【0089】
(調製例1)
反応容器に、の非結晶性ポリエステルポリオール(ネオペンチルグリコールとジエチレングリコールとアジピン酸の反応物。数平均分子量2000)280質量部と、結晶性ポリエステルポリオール(1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸の反応物。数平均分子量4500)240質量部と、ポリプロピレングリコール(数平均分子量1000)280質量部とを混合し、減圧条件下にて110℃に加熱することにより、水分率が0.05質量%になるまで脱水して混合物とした。
【0090】
次に、上記混合物を70℃まで冷却したものと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)181質量部とを混合した後、100℃まで昇温し、水酸基含有量が一定となるまで3時間反応させた。
【0091】
次に、反応性官能基含有(メタ)アクリル化合物として2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)20質量部とオクチル酸第一錫0.01質量部を加えて、内温80℃にてNCO%が一定となるまで反応させた後、光重合性開始剤としてイルガキュア−184(BASF社製)を7.5質量部加えて15分攪拌することで、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(a−1)を得た。
【0092】
【表1】
【0093】
(実施例1)
23℃50%の環境下において、調製例1で作製した湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(a−1)を110℃に溶融し、110℃に予め加熱された内径0.35mmのディスペンサーニードル(武蔵エンジニアリング株式会社製「ML−5000Xii」)を用いて吐出圧力:0.28MPa、速度:50mm/秒にて、100mm×50mmに事前に裁断した剥離ライナー(厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって離型処理されたもの)の離型処理された面に、
全ての工程を経た後のウレタンホットメルト樹脂組成物(a−1)の厚さが0.15mm、幅が1.0mmとなるように直径1インチ(=25.4mm)の真円状に塗布した。
【0094】
塗布してから10秒後、水平に載置された、中央に1cm径の穴の開いた厚さ2mmのポリカーボネート(PC)板(5cm×9cm)にウレタンホットメルト樹脂組成物(a−1)を塗布した面を貼合わせ、離型ライナーの上から0.02N/cm
2の荷重を10秒間かけた。その後に荷重を取り、接着剤層と、離型層の積層体を形成した。[工程1]。
【0095】
前記[工程1]を行った5秒後、装置内を1回通過するごとに1000mJ/cm
2の紫外線(UV)が照射されるように設定したコンベアタイプの紫外線照射装置「CSOT−40」(日本電池株式会社製、高圧水銀ランプ使用、強度120W/cm、コンベアスピード8m/分)内を剥離ライナーの面を上にした状態で、積層体を1回通過させることで紫外線照射を行った。
[工程2]。
【0096】
前記[工程2]を行った80秒後、剥離方向135°、剥離スピード約50m/分の速度で剥離ライナー長手方向の端部を手でもって剥がし、ウレタンホットメルト樹脂組成物(a−1)から剥離ライナーを剥離した。[工程3]。
【0097】
前記[工程3]。を行った10秒後、厚さ2mmのアクリル板(5cm×5cm)をウレタンホットメルト樹脂組成物(a−1)の上に載置し、次に0.8MPaの圧力条件にてプレス機を用いて10秒間加圧し、積層体を得た。[工程4]。
【0098】
(実施例2)
23℃50%の環境下において、調製例1で作製した気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(a−1)を110℃に溶融し、110℃に予め加熱された内径0.35mmのディスペンサーニードル(武蔵エンジニアリング株式会社製「ML−5000Xii)を用いて吐出圧力:0.28MPa、速度:50mm/秒にて、中央に1cm径の穴の開いた厚さ2mmのPC板(5cm×9cm)に
全ての工程を経た後のウレタンホットメルト樹脂組成物(a−1)の厚さが0.15mm、幅が1.0mmとなるように直径1インチ(=25.4mm)の真円状に塗布した。
【0099】
塗布してから10秒後、ホットメルト樹脂組成物(a−1)が塗布された面の上から、100mm×50mmに事前に裁断した剥離ライナー(厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって離型処理されたもの)の離型処理された面を貼合わせ、離型ライナーの上から0.02N/cm
2の荷重を10秒間かけた。その後に荷重を取り、接着剤層と、離型層の積層体を形成した。[工程1]。
【0100】
前記[工程1]を行った5秒後、装置内を1回通過するごとに1000mJ/cm
2の紫外線(UV)が照射されるように設定したコンベアタイプの紫外線照射装置「CSOT−40」(日本電池株式会社製、高圧水銀ランプ使用、強度120W/cm、コンベアスピード8m/分)内を剥離ライナーの面を上にした状態で、積層体を1回通過させることで紫外線照射を行った。
[工程2]。
【0101】
前記[工程2]を行った80秒後、剥離方向135°、剥離スピード約50m/分の速度で剥離ライナー長手方向の端部を手でもって剥がし、ウレタンホットメルト樹脂組成物(a−1)から剥離ライナーを剥離した。[工程3]。
【0102】
前記[工程3]。を行った10秒後、厚さ2mmのアクリル板(5cm×5cm)をウレタンホットメルト樹脂組成物(a−1)の上に載置し、次に0.8MPaの圧力条件にてプレス機を用いて10秒間加圧し、積層体を得た。[工程4]。
【0103】
(比較例1)
23℃50%の環境下において、調製例1で作製した気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(a−1)を110℃に溶融し、110℃に予め加熱された内径0.35mmのディスペンサーニードル(武蔵エンジニアリング株式会社製「ML−5000Xii」)を用いて吐出圧力:0.28MPa、速度:50mm/秒にて、中央に1cm径の穴の開いた厚さ2mmのPC板(5cm×9cm)に
全ての工程を経た後のウレタンホットメルト樹脂組成物(a−1)の厚さが0.15mm、幅が1.0mmとなるように直径1インチ(=25.4mm)の真円状に塗布した。
【0104】
次に、装置内を1回通過するごとに1000mJ/cm2の紫外線(UV)が照射されるように設定したコンベアタイプの紫外線照射装置「CSOT−40」(日本電池株式会社製、高圧水銀ランプ使用、強度120W/cm、コンベアスピード8m/分)内をウレタンホットメルト樹脂組成物(a−1)が塗布された面を上にした状態で、積層体を1回通過させることで紫外線照射を行った。
【0105】
紫外線照射を行ってから90秒後、厚さ2mmのアクリル板(5cm×5cm)をウレタンホットメルト樹脂組成物(a−1)の上に載置し、次に0.8MPaの圧力条件にてプレス機を用いて10秒間加圧し、積層体を得た。
【0106】
[初期接着強度の測定方法]
実施例及び比較例で得た積層体を、積層体を作製してから
1分以内に、23℃下で積層体のプッシュ強度をオートグラフ(株式会社島津製作所AUTOGRAPH「AGS−X」を使用して、クロスヘッドスピード:10mm/分の条件で測定し、初期接着強度(N/cm2)を測定した。なお、初期接着強度が15N/cm
2以上であれば、優れた初期接着強度を有すると判断した。
【0107】
[最終接着強度の測定方法]
実施例及び比較例で得た積層体を、23℃50%環境下に放置し、48時間経過後に取り出し、23℃下で積層体のプッシュ強度をオートグラフ(株式会社島津製作所AUTOGRAPH「AGS−X」を使用して、クロスヘッドスピード:10mm/分の条件で測定し、最終接着強度(N/cm
2)を測定した。なお、最終接着強度が100N/cm
2以上であれば、優れた最終接着強度を有すると判断した。
【0108】
[耐落下衝撃性の評価方法]
実施例及び比較例で得た積層体を、23℃50%環境下に放置し、48時間経過後に取り出し、23℃下でデュポン式落下衝撃試験機にてアクリル板から撃芯を介して、荷重:500g、高さ:5cmで衝撃を3回与え、PC板の剥がれの発生がなければ更に5cm高さを高くする条件でそれぞれ耐落下衝撃性試験を続けた。それぞれ目視観察により剥がれの有無を確認し、剥がれが生じた高さ(cm)を評価した。なお、10cm以上であれば耐落下衝撃性に優れると判断した。
【0109】
【表2】
【0110】
本発明の積層体の製造方法である実施例1〜2の積層体は、初期接着強度、最終接着強度、及び、耐落下衝撃性に優れることが分かった。
【0111】
一方、比較例1の製造方法では、工程1を経ておらず、アクリル板とウレタンホットメルト樹脂組成物との密着が不十分なためか、初期接着強度、最終接着強度、及び、耐落下衝撃性全てにおいて実施例に劣る結果であった。