特開2021-195587(P2021-195587A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特開2021195587-銀の回収剤、イオン液体 図000011
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-195587(P2021-195587A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】銀の回収剤、イオン液体
(51)【国際特許分類】
   C22B 11/00 20060101AFI20211129BHJP
   C22B 3/26 20060101ALI20211129BHJP
   C22B 3/28 20060101ALI20211129BHJP
   B01D 11/04 20060101ALI20211129BHJP
   C07C 311/48 20060101ALI20211129BHJP
   C07D 233/61 20060101ALI20211129BHJP
   C07D 233/56 20060101ALI20211129BHJP
【FI】
   C22B11/00 101
   C22B3/26
   C22B3/28
   B01D11/04 B
   C07C311/48CSP
   C07D233/61 102
   C07D233/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-101823(P2020-101823)
(22)【出願日】2020年6月11日
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】蟹江 澄志
(72)【発明者】
【氏名】村松 淳司
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 寛人
(72)【発明者】
【氏名】浅野 聡
【テーマコード(参考)】
4D056
4H006
4K001
【Fターム(参考)】
4D056AB04
4D056AC11
4D056BA03
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB99
4K001AA01
4K001BA24
4K001DB26
4K001DB27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】銅電解液のような溶液中に含まれる銀を効果的にかつ効率的に回収することができる銀の回収剤を提供する。
【解決手段】銀の回収剤は、下記式(I)で表される化合物を含む。

(式中、R、R及びRは、炭素数1〜12の置換又は非置換の炭化水素基を表し、RとRとRとは、同じであってもよく、互いに異なっていてもよく、それらが結合する窒素原子と共に互いに結合して環状アミンを形成してもよい。Rは、炭素数1〜4の置換又は非置換の炭化水素基を表す。A及びBは、対アニオンを表す。nは、2〜8の整数を表す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液中に含まれる銀を回収するための回収剤であって、
下記式(I)
【化1】
(式中、R、R及びRは、炭素数1〜12の置換又は非置換の炭化水素基を表し、RとRとRとは、同じであってもよく、互いに異なっていてもよく、それらが結合する窒素原子と共に互いに結合して環状アミンを形成してもよい。Rは、炭素数1〜4の置換又は非置換の炭化水素基を表す。A及びBは、対アニオンを表す。nは、2〜8の整数を表す。)
で表される化合物を含む、銀の回収剤。
【請求項2】
前記式(I)において、
はハロゲン化物イオンであり、BはN(CFSOであり、
さらに、nは3である、
請求項1に記載の銀の回収剤。
【請求項3】
前記溶液は、銅電解液である、
請求項1又は2に記載の銀の回収剤。
【請求項4】
下記式(I)
【化2】
(式中、R、R及びRは、炭素数1〜12の置換又は非置換の炭化水素基を表し、RとRとRとは、同じであってもよく、互いに異なっていてもよく、それらが結合する窒素原子と共に互いに結合して環状アミンを形成してもよい。Rは、炭素数1〜4の置換又は非置換の炭化水素基を表す。A及びBは、対アニオンを表す。nは、2〜8の整数を表す。)
で表される化合物を含む、イオン液体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀の回収剤に関するものであり、より詳しくは、例えば銅電解精錬により銅電解液中に不純物として含まれる銀を回収するための銀の回収剤に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、銅の電解精製は、硫酸酸性の硫酸銅水溶液を電解液とし、銅精鉱から乾式処理の工程を経て製造される粗銅をアノードとして用いて電解することで、カソード表面に純度の高い銅(電気銅)を製造するというものである。なお、カソードには、電気銅から別途作製した種板と呼ばれる薄い銅板や繰り返し使用可能なステンレス板等を用いる。
【0003】
銅の電解精製における主要なアノード反応は、銅の溶解反応である。アノードとして使用する粗銅には、不純物として、金、銀、鉛、ニッケル、鉄、アンチモン、ビスマス、セレン、テルル、ヒ素等が含まれる。その中でも、銀は、そのほとんどがアノードスライムと呼ばれる泥状の固体物質として電解槽の底にたまるが、塩化銀の溶解度分は電解液中に溶出可能であって電解液中に溶出した銀は銅と共にカソードに析出するようになる。
【0004】
銀は貴金属であり、カソードへの銀の析出を抑えて回収率を高くすることで、銅の電解精製プロセス全体の付加価値を向上させることができる。例えば、銀の回収率を向上させる方法として、特許文献1に開示されているように電解条件を最適化する方法があるが、電解液中に溶出した銀の回収は困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−176878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、例えば銅の電解精製における銅電解液のような溶液中に含まれる銀を効果的にかつ効率的に回収することができる銀の回収剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の構造からなるイオン液体の化合物によれば、銅電解液等の溶液中の銀を効果的にかつ効率的に吸着させて回収できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
(1)本発明の第1の発明は、溶液中に含まれる銀を回収するための回収剤であって、下記式(I)で表される化合物を含む、銀の回収剤である。
【化1】
(式中、R、R及びRは、炭素数1〜12の置換又は非置換の炭化水素基を表し、RとRとRとは、同じであってもよく、互いに異なっていてもよく、それらが結合する窒素原子と共に互いに結合して環状アミンを形成してもよい。Rは、炭素数1〜4の置換又は非置換の炭化水素基を表す。A及びBは、対アニオンを表す。nは、2〜8の整数を表す。)
【0009】
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記式(I)において、Aはハロゲン化物イオンであり、BはN(CFSOであり、さらに、nは3である、銀の回収剤である。
【0010】
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記溶液は、銅電解液である、銀の回収剤である。
【0011】
(4)本発明の第4の発明は、下記式(I)で表される化合物を含む、イオン液体である。
【化2】
(式中、R、R及びRは、炭素数1〜12の置換又は非置換の炭化水素基を表し、RとRとRとは、同じであってもよく、互いに異なっていてもよく、それらが結合する窒素原子と共に互いに結合して環状アミンを形成してもよい。Rは、炭素数1〜4の置換又は非置換の炭化水素基を表す。A及びBは、対アニオンを表す。nは、2〜8の整数を表す。)
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、例えば銅の電解精製における銅電解液のような溶液中に含まれる銀を効果的にかつ効率的に回収することができる銀の回収剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】溶液中の塩化物イオン濃度に対する、銀の形態別のモル分率の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。なお、本明細書にて、「X〜Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
【0015】
≪1.銀の回収剤について≫
[化合物]
本実施の形態に係る銀の回収剤は、例えば銅の電解精錬における銅電解液のような溶液中に含まれる銀を回収するための回収剤である。
【0016】
具体的に、この銀の回収剤は、下記式(I)で表される化合物を含む。当該化合物は、アンモニア塩型イオン液体である。このようなイオン液体の化合物を含む回収剤を用い、その回収剤(イオン液体相)に銀を含む溶液を接触させることにより、そのイオン液体相に銀を選択的に抽出して回収することができる。なお、当該化合物を含む回収剤を、銀の抽出剤として定義することもできる。
【0017】
【化3】
【0018】
ここで、回収剤を構成する化合物についてより詳細に説明する。
【0019】
上記の式(I)において、R、R及びRは、それぞれ、炭素数1〜12の置換又は非置換の炭化水素基を表し、RとRとRとは、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。また、R、R及びRは、それらが結合する窒素原子と共に互いに結合して環状アミンを形成してもよい。
【0020】
、R及びRの炭素数としては、水相と二相分離する特性を高める観点から、それぞれ、2〜12が好ましく、3〜8がより好ましく、4〜8が特に好ましい。また、R、R及びRの炭化水素基としては、それぞれ、飽和であっても不飽和であってもよく、芳香族基、環状炭化水素基、直鎖炭化水素基、分岐鎖炭化水素基等が挙げられる。
【0021】
、R及びRの置換炭化水素基における置換基としては、炭化水素基(飽和であっても不飽和であってもよく、芳香族基、環状炭化水素基、直鎖炭化水素基、分岐鎖炭化水素基等)、ヒドロキシル基、エーテル基、モルホリノ基、エステル基、アミド基、パーフルオロアルキル基、ニトリル基(シアノ基)、アミノ基、イミノ基、ウレア基、カルボキシル基、カルボニル基(アルデヒド基、ケトン基)、スルホン酸基(スルホ基)、ニトロ基、ハロゲン、等が挙げられる。これらの中でも、水相と二相分離する特性を高める観点から、直鎖炭化水素基、分岐鎖炭化水素基が好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
また、Rは、炭素数1〜4の置換又は非置換の炭化水素基を表す。Rの炭化水素基としては、直鎖炭化水素基、分岐鎖炭化水素基等が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
【0023】
また、A及びBは、対アニオンを表す。具体的に、Aは、合成の容易さの観点から、ハロゲン化物イオンが好ましい。また、Bは、N(CFSO(以下、「NTf」とも称する)、P、B、Cl、CFSO等が挙げられる。これらの中でも、Bとしては、化合物の疎水性を高める観点から、N(CFSOが好ましく、イオン液体の製造コストを低減する観点からすると、Clも好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
また、nは、2〜8の整数である。化合物の粘度及び疎水性を抽出剤として好適なものとする観点から、nは2〜6が好ましく、nは3がより好ましい。
【0025】
[イオン液体相]
上述したように、上記式(I)で表される化合物によりイオン液体相を構成し、そのイオン液体相に銀を含む銅電解液等の溶液を接触させる。イオン液体相としては、式(I)で表されるアンモニア塩型イオン液体の化合物を抽出剤とし、それに、抽出に関与しない他のイオン液体から構成される化合物を混合したものを使用することが好ましい。
【0026】
具体的に、他のイオン液体の化合物としては、例えば、カチオンが1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム(以下、「BMIM」とも称する)、アニオンがN(CFSOから構成されるイオン液体を用いることができる。このようなイオン液体とアンモニア塩型イオン液体とを混合して構成されるイオン液体相を使用することで、常温で液体として安定する。
【0027】
イオン液体相において、上記式(I)で表されるアンモニア塩型イオン液体の含有割合としては、すべてのイオン液体100質量%に対して、1質量%〜50質量%であることが好ましく、1質量%〜10質量%であることがより好ましい。
【0028】
≪2.銀の回収方法について≫
本実施の形態に係る銀の回収方法は、上記式(I)で表される化合物を含む回収剤(抽出剤)を用い、当該化合物を含むイオン液体相を構成して、そのイオン液体相に銅電解液等の銀を含む溶液を接触させることにより、銀のクロロ錯イオンを抽出して回収する。
【0029】
この方法によれば、銅電解液等の溶液に含まれる、例えば銅や鉄といった金属成分の吸着を抑制しながら、銀を選択的に、アンモニウム塩型イオン液体を含むイオン液体相に抽出して回収することができる。なお、以下では、銀を含む溶液として銅の電解精錬における銅電解液を用いる場合を例に挙げて説明する。
【0030】
より具体的に、銀の回収方法においては、銅電解液に含まれる銀を、上記式(I)で表されるアンモニウム塩型イオン液体の化合物を含むイオン液体相に抽出する。処理対象の銅電解液は、粗銅をアノードとする銅の電解精製により、その粗銅に含まれる不純物の一部が溶出した電解液であり、特に、不純物としての銀が溶出した電解液である。また、この銅電解液には、カソード上に電着生成する電気銅の平滑化や均一電着の観点から、添加剤として添加した塩化物イオンが含まれている。
【0031】
本実施の形態に係る銀の回収方法では、銀を含む銅電解液を、アンモニウム塩型イオン液体を含むイオン液体相に接触させることにより、そのイオン液体相に銀を抽出する。そのとき、イオン液体相に接触させる銅電解液中の塩化物イオン濃度を特定の範囲に調整することが好ましい。具体的には、塩化物イオン濃度を0.1mmol/L以上10mmol/L以下の調整した銅電解液を接触させる。
【0032】
ここで、図1は、溶液中の塩化物イオン濃度に対する、銀の形態別のモル分率の関係を示すグラフ図である。図1に示すように、銅電解液中の塩化物イオン濃度が0.1mmol(0.0001mol)/L未満であると、銀のクロロ錯体イオンである[AgCl]のモル分率がほぼゼロとなり、イオン液体相への抽出が困難となる。また、銅電解液中の塩化物イオン濃度が10mmol(0.01mol)/Lを超えると、銅電解に際してカソード上に電着する銅がデンドライト状に析出するようになるという問題がある。
【0033】
これに対して、塩化物イオン濃度を0.1mmol/L以上10mmol/L以下の範囲とした銅電解液を、アンモニウム塩型イオン液体を含むイオン液体相に接触させることにより、そのイオン液体相に銀のクロロ錯イオンを効果的に抽出することができる。
【0034】
銅電解液中の塩化物イオン濃度の調整は、特に限定されないが、例えば、銅電解液の一部を採取して分析により塩化物イオン濃度を確認し、適宜塩酸を添加することにより行うことができる。例えば、アンモニウム塩型イオン液体を含むイオン液体相への抽出により塩化物イオン濃度が減少したと認められた場合には、塩酸を添加して塩化物イオン濃度が上記の範囲内となるように調整することができる。
【0035】
ここで、銀を含む銅電解液を、アンモニウム塩型イオン液体を含むイオン液体相に接触させる抽出操作において、抽出操作前の銅電解液中の金属元素の濃度C、抽出操作後の銅電解液中の金属元素の濃度をCとしたとき、以下の式により金属元素の抽出率E(%)を算出することができる。
(抽出率) E=(C−C)/C×100
【実施例】
【0036】
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0037】
なお、実施例での銅電解液中の金属元素の分析は、ICP発光分析法及び原子吸光分析法により行った。また、塩化物イオン濃度の分析は、塩化銀分離による蛍光X線法により行った。
【0038】
[アンモニウム塩型イオン液体の合成、イオン液体相の調製]
(アンモニウム塩型イオン液体の原材料)
下記の原材料を使用してアンモニア塩型イオン液体を合成した。なお、これらは特に断りのない限り、更なる精製を行うことなく使用した。
・1,3−ジブロモプロパン(富士フイルム和光純薬社製)
・1−メチルイミダゾール(東京化成社製)
・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(アルドリッチ社製)
・ジメチルアミン(東京化成社製)
・ヨードメタン(東京化成社製)
【0039】
具体的に、下記式(II)に示す合成スキームにより、化合物(アンモニウム塩型イオン液体)を合成した。なお、各プロセスにおいて得られた化合物のH−NMRについては、以下の解析機器を用いて解析した。
H−NMR:Bruker Daltonics社製、(商品名)AV400M digital NMR
・ICP−AES:日立ハイテクサイエンス社製、(商品名)SPECTRO ARCOS
【0040】
【化4】
【0041】
([1−(3−ブロモプロピル)−3−メチルイミダゾリウムブロミド](「化合物[1])の合成)
四口丸底フラスコ(1000mL)に、1、3−ジブロモプロパン200g(1.08mol)のアセトン溶液250mLを加え、フラスコ内をアルゴン置換した。アセトン50mLに1−メチルイミダゾール8.21g(100mmol)を溶解させ、この溶液を30分間かけて滴下した。その後、反応溶液を、45℃に設定したオイルバスで20時間、加熱環流させ、反応を行った。反応の際に生じた白色固体と反応溶液とを、デカンテーションにより分離した。また、白色固体を少量のエタノールで溶解させた後、アセトンを多量に加えることによって白色固体を再沈殿させ、白色固体中の生成物をアセトンに溶解させた。残った固体と溶液とを、再びデカンテーションにより分離した。反応溶液とこの溶液とを合わせた後、ロータリーエバポレーター及び真空乾燥機を用いて減圧濃縮した。この後、反応溶液/水で分液操作を行い、上相の水相を取り出した。次いで、水(HO)/ヘキサンで分液操作を行い、下相の水相を取り出した。得られた水溶液を、ロータリーエバポレーター及び真空乾燥機を用いて減圧濃縮した。こうして、無色液体の化合物1(C12Br)を収率81%で得た(23.3g、81.7mmol)。
【0042】
得られた化合物のH−NMRの結果は下記の通りであった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ=2.58(quin,J=6.6Hz,2H),3.50(t,J=6.2Hz,2H),4.13(s,3H),4.61(t,J=6.8Hz,2H),7.58(t,J=1.8Hz,1H),7.64(t,J=1.8Hz,1H),10.35(s,1H)
【0043】
([1−(3−ブロモプロピル)−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)](「化合物[2]」)の合成)
ナスフラスコ(300mL)に、水(HO)150mLを加え、化合物[1]23.20g(81.7mmol)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム25.8g(89.9mmol)を、水に溶解させた。その後、室温で1時間撹拌しながら反応を行い、反応溶液をクロロホルム(CHCl)で抽出した。抽出溶液について、無水硫酸マグネシウム(MgSO)を用いた脱水操作、セライト濾過、ロータリーエバポレーター及び真空乾燥機を用いた減圧濃縮を行った。こうして、無色液体の化合物[2](C12BrF)を収率91%で得た(35.91g、74.2mmol)。
【0044】
得られた化合物のH−NMRの結果は下記の通りであった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ=2.44(quin,J=6.5Hz,2H),3.50(t,J=6.0Hz,2H),3.97(s,3H),4.42(t,J=7.0Hz,2H),7.29(t,J=1.8Hz,1H),7.35(t,J=1.8Hz,1H),8.85(s,1H)
【0045】
([1−3−(ジメチルアミノプロピル)−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド](「化合物[3]」)の合成)
三口丸底フラスコ(500mL)に、化合物[2]と、ジメチルアミンとを加え、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、反応溶液を室温で24時間還流して反応させた。反応溶液をロータリーエバポレーターで減圧濃縮させた。濃縮した反応溶液をCHCl/5質量%NHaq.で分液操作を行い、上相の5質量%NHaq.を除去した。加えて、CHCl/HOで分液操作を行い、下相のCHCl相を洗浄した。無水MgSOで脱水操作を行った後、有機相をセライト濾過し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮した。さらに、得られた液体/ヘキサンでさらに分液操作を行い、イオン液体相を洗浄した。ロータリーエバポレーターと真空乾燥機で減圧濃縮することで、淡黄色の液体として化合物[3]を収率62%で得た(11.5g,25.6mmol)。
【0046】
得られた化合物のH−NMRの結果は下記の通りであった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ=2.00(tt,J=6.8Hz,6.6Hz,2H),2.19(s,6H),2.25(t,J=6.4Hz,2H),3.96(s,3H),4.28(t,J=6.8Hz,2H),7.27(t,1H),7.33(t,1H),8.80(s,1H)
【0047】
(ヨウ化1−(3−トリメチルアンモニウムプロピル)−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(「化合物[4]」)の合成)
三口丸底フラスコ(300mL)に、化合物[3]と、ヨードメタンと、メタノールとを加えた後、反応溶液を室温で24時間撹拌した。反応溶液をロータリーエバポレーターと真空乾燥機で減圧濃縮することで淡黄色の固体として化合物[4]を収率100%で得た(1.41g,2.38mmol)。
【0048】
得られた化合物のH−NMRの結果は下記の通りであった。
H−NMR(400MHz,MeOD)δ=2.46(m,2H),3.19(s,9H),3.50(tt,2H),3.95(s,3H),4.36(t,J=7.2Hz,2H),7.62(t,1H),7.70(t,1H),8.99(s,1H)
【0049】
(イオン液体相の調製)
化合物[4]1.0g(1.7mmol)を5質量%の濃度になるように、「BMIM」「NTf」と混合してイオン液体相を作製した。
【0050】
[銅電解液からの銀の抽出]
(抽出工程)
下記表1に示す液組成の銅電解液2mLを、上記したように作製したイオン液体相0.4gと混合し、25℃、100rpmの条件で水平往復振盪させて、銅電解液とアンモニウム塩型イオン液体を含むイオン液体相とを接触させた。ここで、銅電解液中の塩化物イオン濃度は1.1mmol/Lであった。
【0051】
【表1】
【0052】
下記表2に、抽出操作により得られたイオン液体相の分析結果を示す。表2に示す各金属元素の抽出率からわかるように、銅をほとんど抽出することなく、銀を100%抽出して回収することができた。
【0053】
【表2】
図1