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特開2021-197526半導体装置及び半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-197526(P2021-197526A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20211129BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20211129BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20211129BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20211129BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20211129BHJP
【FI】
   H01L21/88 R
   H01L27/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-105122(P2020-105122)
(22)【出願日】2020年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 英知
【テーマコード(参考)】
5F033
5F038
【Fターム(参考)】
5F033HH08
5F033HH18
5F033HH33
5F033KK08
5F033KK18
5F033KK33
5F033PP15
5F033RR04
5F033RR06
5F033RR08
5F033VV10
5F033XX16
5F038AC05
5F038AC14
5F038AC15
(57)【要約】
【課題】ヒロックの発生を防ぐことにより製品歩留まりの低下を防ぐ半導体装置を提供する。
【解決手段】層間絶縁膜110上に形成されるTiN膜111からなる下部電極と、TiN膜111上に形成される容量膜112と、容量膜112上に形成され、窒素を主成分のひとつとして含有するTiN膜117を含む上部電極と、上部電極上に形成される反射防止膜118と、容量膜112、上部電極及び反射防止膜118を覆い、酸素を主成分のひとつとして含有する層間絶縁膜120と、層間絶縁膜120及び容量膜112の一部に形成され、下部電極を露出させるビア140と、ビア140に形成され、下部電極と電気的に接続されるプラグ141とを備え、下部電極に、容量膜112の形成時にマイグレーションしない金属を用いる半導体装置100が提供される。
【選択図】図4E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上又は前記半導体基板上に形成された第1層間絶縁膜上に形成される下部電極と、
前記下部電極上に形成される容量膜と、
前記容量膜上に形成され、窒素を主成分のひとつとして含有する導電膜を含む上部電極と、
前記上部電極上に形成される反射防止膜と、
前記容量膜、前記上部電極及び前記反射防止膜を覆い、酸素を主成分のひとつとして含有する第2層間絶縁膜と、
前記第2層間絶縁膜及び前記容量膜の一部に形成され、前記下部電極を露出させる開口部と、
前記開口部に形成され、前記下部電極と電気的に接続される導電部と、
を備え、
前記下部電極に、前記容量膜の形成時にマイグレーションしない金属を用いる半導体装置。
【請求項2】
前記下部電極にセ氏400度でマイグレーションしない金属を用いる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体基板上又は前記第1層間絶縁膜上に、前記上部電極と同一の積層構造の通常配線部が形成されている、請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体基板上又は前記第1層間絶縁膜上に、前記下部電極及び前記上部電極と同一の積層構造の通常配線部が形成されている、請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記下部電極は、TiN膜を含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記下部電極は、さらにTi膜を含む、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記上部電極は、TiN膜を含む、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体基板上又は前記半導体基板上に形成された前記第1層間絶縁膜上に下部電極を形成する工程と、
前記下部電極上に容量膜を形成する工程と、
前記容量膜上に、窒素を主成分のひとつとして含有する導電膜を含む上部電極を形成する工程と、
第1のエッチングにより前記上部電極の一部を除去して前記容量膜を露出させる工程と、
前記上部電極上に反射防止膜を形成する工程と、
前記容量膜、前記上部電極及び前記反射防止膜を覆い、酸素を主成分のひとつとして含有する第2層間絶縁膜を形成する工程と、
酸素を主成分のひとつとして含有する物質の除去を行うことができる第2のエッチングにより、前記第2層間絶縁膜及び前記容量膜の一部を除去して、前記下部電極を露出させる開口部を形成する工程と、
前記開口部に、前記下部電極と電気的に接続される導電部を形成する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記下部電極にセ氏400度でマイグレーションしない金属を用いる、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記上部電極を形成する工程において、前記半導体基板上又は前記第1層間絶縁膜上に、前記上部電極と同一の積層構造の通常配線部を形成する、請求項8又は請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記下部電極を形成する工程、及び前記上部電極を形成する工程において、前記半導体基板上又は前記第1層間絶縁膜上に、前記下部電極及び前記上部電極と同一の積層構造の通常配線部を形成する、請求項8又は請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記下部電極は、TiN膜を含む、請求項8〜請求項11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記下部電極は、さらにTi膜を含む、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記上部電極は、TiN膜を含む、請求項8〜請求項13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路におけるキャパシタ素子として、MIM(Metal−Insulator−Metal)キャパシタが知られている。アルミニウムと高融点金属とを積層して、配線のヒロック防止を図る技術として、例えば特許文献1、2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−155743号公報
【特許文献2】特開平7−302792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、アルミニウムを材料に用いた上部電極の上に容量膜を形成する時の熱により、電極のアルミニウムが膨張する(Alヒロックが発生する)場合がある。Alヒロックにより、配線工程の形成異常が発生し、製品歩留まりが低下する。
【0005】
本開示は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ヒロックの発生を防ぐことにより製品歩留まりの低下を防ぐ、半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板上又は前記半導体基板上に形成された第1層間絶縁膜上に形成される下部電極と、前記下部電極上に形成される容量膜と、前記容量膜上に形成され、窒素を主成分のひとつとして含有する導電膜を含む上部電極と、前記上部電極上に形成される反射防止膜と、前記容量膜、前記上部電極及び前記反射防止膜を覆い、酸素を主成分のひとつとして含有する第2層間絶縁膜と、前記第2層間絶縁膜及び前記容量膜の一部に形成され、前記下部電極を露出させる開口部と、前記開口部に形成され、前記下部電極と電気的に接続される導電部と、を備え、前記下部電極に、前記容量膜の形成時にマイグレーションしない金属を用いる。
【0007】
本発明の第2態様に係る半導体装置は、本発明の第1態様に係る半導体装置であって、前記下部電極にセ氏400度でマイグレーションしない金属を用いる。
【0008】
本発明の第3態様に係る半導体装置は、本発明の第1態様又は第2態様に係る半導体装置であって、前記半導体基板上又は前記第1層間絶縁膜上に、前記上部電極と同一の積層構造の通常配線部が形成されている。
【0009】
本発明の第4態様に係る半導体装置は、本発明の第1態様又は第2態様に係る半導体装置であって、前記半導体基板上又は前記第1層間絶縁膜上に、前記下部電極及び前記上部電極と同一の積層構造の通常配線部が形成されている。
【0010】
本発明の第5態様に係る半導体装置は、本発明の第1態様〜第4態様のいずれかに係る半導体装置であっては、前記下部電極は、TiN膜を含む。
【0011】
本発明の第6態様に係る半導体装置は、本発明の第5態様に係る半導体装置であって、前記下部電極は、さらにTi膜を含む。
【0012】
本発明の第7態様に係る半導体装置は、本発明の第1態様〜第6態様のいずれかに係る半導体装置であって、前記上部電極は、TiN膜を含む。
【0013】
本発明の第8態様に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板上又は前記半導体基板上に形成された前記第1層間絶縁膜上に下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に容量膜を形成する工程と、前記容量膜上に、窒素を主成分のひとつとして含有する導電膜を含む上部電極を形成する工程と、第1のエッチングにより前記上部電極の一部を除去して前記容量膜を露出させる工程と、前記上部電極上に反射防止膜を形成する工程と、前記容量膜、前記上部電極及び前記反射防止膜を覆い、酸素を主成分のひとつとして含有する第2層間絶縁膜を形成する工程と、酸素を主成分のひとつとして含有する物質の除去を行うことができる第2のエッチングにより、前記第2層間絶縁膜及び前記容量膜の一部を除去して、前記下部電極を露出させる開口部を形成する工程と、前記開口部に、前記下部電極と電気的に接続される導電部を形成する工程と、を備える。
【0014】
本発明の第9態様に係る半導体装置の製造方法は、本発明の第8態様に係る半導体装置の製造方法であって、前記下部電極にセ氏400度でマイグレーションしない金属を用いる。
【0015】
本発明の第10態様に係る半導体装置の製造方法は、本発明の第8態様又は第9態様に係る半導体装置の製造方法であって、前記上部電極を形成する工程において、前記半導体基板上又は前記第1層間絶縁膜上に、前記上部電極と同一の積層構造の通常配線部を形成する。
【0016】
本発明の第11態様に係る半導体装置の製造方法は、本発明の第8態様又は第9態様に係る半導体装置の製造方法であって、前記下部電極を形成する工程、及び前記上部電極を形成する工程において、前記半導体基板上又は前記第1層間絶縁膜上に、前記下部電極及び前記上部電極と同一の積層構造の通常配線部を形成する。
【0017】
本発明の第12態様に係る半導体装置の製造方法は、本発明の第8態様〜第11態様のいずれかに係る半導体装置の製造方法であって、前記下部電極は、TiN膜を含む。
【0018】
本発明の第13態様に係る半導体装置の製造方法は、本発明の第12態様に係る半導体装置の製造方法であって、前記下部電極は、さらにTi膜を含む。
【0019】
本発明の第14態様に係る半導体装置の製造方法は、本発明の第8態様〜第13態様のいずれかに係る半導体装置の製造方法であって、前記上部電極は、TiN膜を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、容量膜が上部に形成される下部電極に高融点金属を主成分として含有する材料を用いることで、ヒロックの発生を防ぎ、製品歩留まりの低下を防ぐ半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】従来の半導体装置の断面詳細図である。
図2A図1に示した半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図2B図1に示した半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図2C図1に示した半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図2D図1に示した半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図3】Alヒロックが発生した半導体装置を概念的に示す断面図である。
図4A】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図4B】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図4C】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図4D】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図4E】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図5A】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図5B】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図5C】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図5D】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図5E】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図6A】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図6B】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図6C】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図6D】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図6E】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図7A】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図7B】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図7C】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図7D】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
図7E】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0023】
(経緯)
まず、本発明の実施形態を説明する前に、本件発明者が本発明の実施形態を考案するに至った経緯を説明する。
【0024】
図1は、従来の半導体装置の断面詳細図である。図1に示した半導体装置900は、3つの配線が積層された構造を有している。半導体装置900は、半導体基板901上に第1配線が形成され、層間絶縁膜910上に第2配線が形成され、層間絶縁膜920上に第3配線が形成されている。
【0025】
半導体基板901上に形成された第1配線は、下から順にチタン(Ti)膜902、窒化チタン(TiN)膜903、アルミニウム(Al)膜904、Ti膜905、及びTiN膜906がスパッタ法を用いて形成されている。TiN膜906上には、第1配線を加工する際のリソグラフィー工程における反射防止膜907を成膜する。反射防止膜907は、例えばシリコン酸窒化膜(SiON膜)である。半導体基板901上には層間絶縁膜910が形成されるが、反射防止膜907上には開口部が設けられ、開口部には第2配線と電気的に接続するためのプラグを通すためのスルーホール908が形成される。
【0026】
層間絶縁膜910上に形成された第2配線は、下から順にTi膜911、TiN膜912、Al膜913、Ti膜914、及びTiN膜915からなる下部電極と、容量膜916と、上部電極であるTiN膜917と、がスパッタ法を用いて形成されている。容量膜916の材料には、例えばシリコン窒化膜(SiN膜)、シリコン酸化膜(SiO膜)、SiON膜等が用いられる。容量膜916又はTiN膜917上には反射防止膜918が形成される。層間絶縁膜910及び反射防止膜918上には層間絶縁膜920が形成されるが、反射防止膜918上には開口部が設けられ、開口部には第2配線と電気的に接続するためのプラグを通すためのスルーホール919が形成される。また、下部電極、容量膜916及び上部電極とでMIMキャパシタが形成される。
【0027】
層間絶縁膜920上に形成された第3配線は、下から順にTi膜921、TiN膜922、Al膜923、Ti膜924、及びTiN膜925がスパッタ法を用いて形成されている。TiN膜925上には、第3配線を加工する際のリソグラフィー工程における反射防止膜926を成膜する。
【0028】
図2A図2Dは、図1に示した半導体装置900の形成プロセスを概略的に示す断面図である。図2A図2Dでは、半導体基板901の図示を省略している。
【0029】
図2Aは、層間絶縁膜910上に、Ti膜911、TiN膜912、Al膜913、Ti膜914、及びTiN膜915からなる下部電極と、容量膜916と、が形成された状態を示している。続いて、図2Bに示したように、上部電極であるTiN膜917を形成し、保護膜931を形成してレジストしてTiN膜917のパターニングが行われる。続いて、図2Cに示したように、容量膜916又はTiN膜917上に反射防止膜918が形成され、保護膜932を形成してレジストして上部電極、容量膜916及び下部電極のパターニングが行われる。図2Dは、上部電極、容量膜916及び下部電極のパターニング後の半導体装置900の断面図である。
【0030】
しかしながら、このように半導体装置900を形成した場合、容量膜916の形成時の熱により、符号940で示した領域において、Al膜913が膨れ上がる現象(Alヒロック)が生じる。図3は、Alヒロックが発生した半導体装置の断面を概念的に示す図である。図3の符号950は、Alヒロックが発生している領域である。図3では、スルーホール部の上層配線への突きつけによる容量膜の破壊が生じ、Alヒロックが発生すると、配線工程の形成異常が発生し、製品歩留まりが低下する。
【0031】
そこで本件発明者は、上述した点に鑑み、ヒロックの発生を防ぐことにより製品歩留まりの低下を防ぐことが可能な半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する技術について鋭意検討を行った。その結果、本件発明者は、以下で説明するように、容量膜が上部に形成される下部電極に高融点金属を主成分として含有する材料を用いることで、ヒロックの発生を防ぎ、製品歩留まりの低下を防ぐ半導体装置及び半導体装置の製造方法を考案するに至った。
【0032】
(第1の実施形態)
図4A図4Eは、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置100の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
【0033】
図4Aは、半導体基板(図示せず)上に、Ti膜102、TiN膜103、Al膜104、Ti膜105、及びTiN膜106が、例えばスパッタ法で形成された状態を示している。TiN膜106上には、第1配線を加工する際のリソグラフィー工程における反射防止膜107を成膜する。反射防止膜107は、例えばSiON膜である。反射防止膜107上には開口部が設けられ、開口部には第2配線と電気的に接続するためのプラグを通すためのスルーホール108が形成される。また、図4Aは、層間絶縁膜110上に、下部電極としてTiN膜111が、例えばスパッタ法で形成され、TiN膜111上に容量膜112が、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて成膜された状態を示している。容量膜112の膜厚は、MIMキャパシタの静電容量等に応じて設定される。層間絶縁膜110には、例えばシリコン酸化膜が用いられ得る。また、容量膜112の材料には、例えばSiN膜、SiO膜、SiON膜等が用いられる。
【0034】
続いて、図4Bに示したように、容量膜112上にTi膜113、TiN膜114、Al膜115、Ti膜116、及びTiN膜117が上部電極として、例えばスパッタ法で形成される。さらに、図4Bに示したように保護膜131を形成してレジストすることで、上部電極のパターニングが行われる。
【0035】
続いて、図4Cに示したように、保護膜132を形成してレジストして、下部電極であるTiN膜111と、容量膜112とのパターニングが行われる。図4Dは、レジストによってTiN膜111及び容量膜112がパターニングされた状態を示している。TiN膜111及び容量膜112がパターニングされることで、MIMキャパシタが形成される。
【0036】
続いて、図4Eに示したように、表面全面、すなわち容量膜112及びTiN膜117上に層間絶縁膜120が形成される。層間絶縁膜120には、例えばシリコン酸化膜が用いられ得る。さらに、リソグラフィー及びドライエッチングによって、層間絶縁膜120にビア140が形成される。図示の例では、ビア140は、上部電極に達する開口、及び下部電極のTiN膜111に達する開口を含み、かつ、Al膜115に達しないようにする。さらに、ビア140内に、導電部としてのプラグ141を埋め込む。プラグ141は、例えば、タングステンで形成される。そして、層間絶縁膜120上にTi膜121、TiN膜122、Al膜123、Ti膜124、TiN膜125、及び反射防止膜126が、例えばスパッタ法で形成され、パターニングされる。
【0037】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、容量膜112を形成する際の下地の膜がTiN膜111の単層となる。TiNは高融点金属のため、従来の半導体装置で発生したようなヒロックが発生しない。従って、第1の実施形態に係る半導体装置100は、ヒロックの発生を抑えられることにより、製品歩留まりが向上する。
【0038】
(第2の実施形態)
図5A図5Eは、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置200の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
【0039】
図5Aは、半導体基板(図示せず)上に、Ti膜202、TiN膜203、Al膜204、Ti膜205、及びTiN膜206が、例えばスパッタ法で形成された状態を示している。TiN膜206上には、第1配線を加工する際のリソグラフィー工程における反射防止膜207を成膜する。反射防止膜207は、例えばSiON膜である。反射防止膜207上には開口部が設けられ、開口部には第2配線と電気的に接続するためのプラグを通すためのスルーホール208が形成される。また、図5Aは、層間絶縁膜210上に、下部電極としてTiN膜211が、例えばスパッタ法で形成され、TiN膜211上に容量膜212が、例えばCVD法を用いて成膜された状態を示している。容量膜212の膜厚は、MIMキャパシタの静電容量等に応じて設定される。層間絶縁膜210には、例えばシリコン酸化膜が用いられ得る。また、容量膜212の材料には、例えばSiN膜、SiO膜、SiON膜等が用いられる。
【0040】
続いて、図5Bに示したように、保護膜231を形成してレジストして、下部電極であるTiN膜211と、容量膜212とのパターニングが行われる。
【0041】
続いて、図5Cに示したように、層間絶縁膜210及び容量膜212上にTi膜213、TiN膜214、Al膜215、Ti膜216、及びTiN膜217が上部電極として、例えばスパッタ法で形成される。さらに、図5Cに示したように、TiN膜217上に反射防止膜218が形成され、保護膜232を形成してレジストして上部電極のパターニングが行われる。図5Dは、レジストによって上部電極がパターニングされた状態を示している。上部電極がパターニングされることでMIMキャパシタが形成される。
【0042】
続いて、図5Eに示したように、表面全面、すなわち容量膜212及びTiN膜217上に層間絶縁膜220が形成される。層間絶縁膜220には、例えばシリコン酸化膜が用いられ得る。さらに、リソグラフィー及びドライエッチングによって、層間絶縁膜220にビア240が形成される。図示の例では、ビア240は、上部電極に達する開口、及び下部電極のTiN膜211に達する開口を含み、かつ、Al膜215に達しないようにする。さらに、ビア240内に、導電部としてのプラグ241を埋め込む。プラグ241は、例えば、タングステンで形成される。そして、層間絶縁膜220上にTi膜221、TiN膜222、Al膜223、Ti膜224、TiN膜225、及び反射防止膜226が、例えばスパッタ法で形成され、パターニングされる。
【0043】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、容量膜212を形成する際の下地の膜がTiN膜211の単層となる。TiNは高融点金属のため、従来の半導体装置で発生したようなヒロックが発生しない。従って、第2の実施形態に係る半導体装置200は、ヒロックの発生を抑えられることにより、製品歩留まりが向上する。
【0044】
さらに、本発明の第2の実施形態によれば、MIMキャパシタが形成されていない配線(通常配線部)において、配線が上部電極と同じ材料で形成されている。従って、第2の実施形態に係る半導体装置200は、通常配線部の電気抵抗は、第1の実施形態に係る半導体装置100より低くなり、従来の半導体装置と同等となる。
【0045】
(第3の実施形態)
図6A図6Eは、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置300の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
【0046】
図6Aは、半導体基板(図示せず)上に、Ti膜302、TiN膜303、Al膜304、Ti膜305、及びTiN膜306が、例えばスパッタ法で形成された状態を示している。TiN膜306上には、第1配線を加工する際のリソグラフィー工程における反射防止膜307を成膜する。反射防止膜307は、例えばSiON膜である。反射防止膜107上には開口部が設けられ、開口部には第2配線と電気的に接続するためのプラグを通すためのスルーホール308が形成される。また、図6Aは、層間絶縁膜310上に、下部電極としてTiN膜311が、例えばスパッタ法で形成され、TiN膜311上に、例えばCVD法を用いて容量膜312が成膜された状態を示している。容量膜312の膜厚は、MIMキャパシタの静電容量等に応じて設定される。層間絶縁膜310には、例えばシリコン酸化膜が用いられ得る。また、容量膜312の材料には、例えばSiN膜、SiO膜、SiON膜等が用いられる。
【0047】
続いて、図6Bに示したように、保護膜331を形成してレジストして、容量膜312のパターニングが行われる。
【0048】
続いて、図6Cに示したように、TiN膜311及び容量膜312上にTi膜313、TiN膜314、Al膜315、Ti膜316、及びTiN膜317が上部電極として形成される。さらに、図6Cに示したように、TiN膜317上に反射防止膜318が形成され、保護膜332を形成してレジストして上部電極及び下部電極のパターニングが行われる。図6Dは、レジストによって上部電極及び下部電極がパターニングされた状態を示している。上部電極及び下部電極がパターニングされることでMIMキャパシタが形成される。
【0049】
続いて、図6Eに示したように、表面全面、すなわち容量膜312及びTiN膜317上に層間絶縁膜320が形成される。層間絶縁膜320には、例えばシリコン酸化膜が用いられ得る。さらに、リソグラフィー及びドライエッチングによって、層間絶縁膜320にビア340が形成される。図示の例では、ビア340は、上部電極に達する開口、及び下部電極のTiN膜311に達する開口を含み、かつ、Al膜315に達しないようにする。さらに、ビア340内に、導電部としてのプラグ341を埋め込む。プラグ341は、例えば、タングステンで形成される。そして、層間絶縁膜320上にTi膜321、TiN膜322、Al膜323、Ti膜324、TiN膜325、及び反射防止膜326が、例えばスパッタ法で形成され、パターニングされる。
【0050】
以上説明したように、本発明の第3の実施形態によれば、容量膜312を形成する際の下地の膜がTiN膜311の単層となる。TiNは高融点金属のため、従来の半導体装置で発生したようなヒロックが発生しない。従って、第3の実施形態に係る半導体装置300は、ヒロックの発生を抑えられることにより、製品歩留まりが向上する。
【0051】
さらに、本発明の第3の実施形態によれば、MIMキャパシタが形成されていない通常配線部において、配線部が下部電極及び上部電極と同じ材料で形成されている。従って、第3の実施形態に係る半導体装置300は、通常配線部の電気抵抗は、第1の実施形態に係る半導体装置100より低くなり、かつ、第2の実施形態に係る半導体装置200よりさらに低くなる。
【0052】
(第4の実施形態)
図7A図7Eは、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置400の形成プロセスを概略的に示す断面図である。
【0053】
図7Aは、半導体基板(図示せず)上に、Ti膜402、TiN膜403、Al膜404、Ti膜405、及びTiN膜406が、例えばスパッタ法で形成された状態を示している。TiN膜406上には、第1配線を加工する際のリソグラフィー工程における反射防止膜407を成膜する。反射防止膜407は、例えばSiON膜である。反射防止膜407上には開口部が設けられ、開口部には第2配線と電気的に接続するためのプラグを通すためのスルーホール408が形成される。また、図7Aは、層間絶縁膜410上に、下部電極としてTi膜413及びTiN膜411が、例えばスパッタ法で形成され、TiN膜411上に容量膜412が例えばCVD法を用いて成膜された状態を示している。容量膜412の膜厚は、MIMキャパシタの静電容量等に応じて設定される。層間絶縁膜410には、例えばシリコン酸化膜が用いられ得る。また、容量膜412の材料には、例えばSiN膜、SiO膜、SiON膜等が用いられる。
【0054】
図7Bに示したように、保護膜431を形成してレジストして、容量膜412のパターニングが行われる。
【0055】
続いて、図7Cに示したように、TiN膜411及び容量膜412上にAl膜415、Ti膜416、及びTiN膜417が上部電極として形成される。さらに、図7Cに示したように、TiN膜417上に反射防止膜418が形成され、保護膜432を形成してレジストして上部電極及び下部電極のパターニングが行われる。図7Dは、レジストによって上部電極及び下部電極がパターニングされた状態を示している。上部電極及び下部電極がパターニングされることでMIMキャパシタが形成される。
【0056】
続いて、図7Eに示したように、表面全面、すなわち容量膜412及びTiN膜417上に層間絶縁膜420が形成される。層間絶縁膜420には、例えばシリコン酸化膜が用いられ得る。さらに、リソグラフィー及びドライエッチングによって、層間絶縁膜420にビア440が形成される。図示の例では、ビア440は、上部電極に達する開口、及び下部電極のTiN膜411に達する開口を含み、かつ、Al膜415に達しないようにする。さらに、ビア440内に、導電部としてのプラグ441を埋め込む。プラグ441は、例えば、タングステンで形成される。そして、層間絶縁膜420上にTi膜421、TiN膜422、Al膜423、Ti膜424、TiN膜425、及び反射防止膜426が、例えばスパッタ法で形成され、パターニングされる。
【0057】
以上説明したように、本発明の第4の実施形態によれば、容量膜412を形成する際の下地の膜がTiN膜411及びTi膜413の2層構造となる。TiNは高融点金属のため、従来の半導体装置で発生したようなヒロックが発生しない。従って、第4の実施形態に係る半導体装置400は、ヒロックの発生を抑えられることにより、製品歩留まりが向上する。
【0058】
さらに、本発明の第4の実施形態によれば、MIMキャパシタが形成されていない通常配線部において、下部電極にTi膜413がさらに積層されている。従って、第4の実施形態に係る半導体装置400は、通常配線部の電気抵抗は、第1の実施形態に係る半導体装置100より低くなり、かつ、第3の実施形態に係る半導体装置300よりさらに低くなる。
【0059】
上記各実施形態における下部電極には、容量膜の形成時にマイグレーションしない材料が用いられる。下部電極の材質は、例えば、セ氏400度程度でマイグレーションしない材質が望ましく、そのような材質には、TiNの他に、例えばチタン、タングステン(W)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等がある。
【0060】
また、上記各実施形態では、電極が3層に積層された構造を有する半導体装置及び半導体装置の製造方法を示したが、本発明は係る例に限定されるものではない。また、上記各実施形態に係る半導体装置では、MIMキャパシタと共にトランジスタ等の能動素子、抵抗等の受動素子等の他の素子も形成される場合がある。上記各実施形態の説明で用いた図面においては、他の素子の図示を省略しMIMキャパシタの周辺部のみを図示している。また、上記各実施形態において、ある層が「他の層上」あるいは「基板上」に形成されるとは、ある層が他の層上、又は基板上に直接形成される場合に限らず、第3の層を介して形成される場合も含む。
【符号の説明】
【0061】
100 半導体装置
111、114、117 TiN膜
112 容量膜
113、116 Ti膜
114 TiN膜
115 Al膜
120 層間絶縁膜
140 ビア
141 プラグ
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E