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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-27273(P2021-27273A)
(43)【公開日】2021年2月22日
(54)【発明の名称】荷電粒子線装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20210125BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20210125BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20210125BHJP
   G01N 23/2251 20180101ALI20210125BHJP
【FI】
   H01L21/66 J
   H01J37/28 B
   H01J37/28 A
   H01J37/22 502H
   G01N23/2251
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-146177(P2019-146177)
(22)【出願日】2019年8月8日
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三羽 貴文
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋平
(72)【発明者】
【氏名】津野 夏規
(72)【発明者】
【氏名】君塚 平太
(72)【発明者】
【氏名】福田 宗行
【テーマコード(参考)】
2G001
4M106
5C033
【Fターム(参考)】
2G001AA03
2G001BA07
2G001CA03
2G001FA06
2G001KA03
2G001LA11
4M106AA01
4M106BA02
4M106CA38
4M106DB05
4M106DB07
4M106DB18
5C033TT02
5C033TT04
5C033TT05
5C033UU04
5C033UU05
5C033UU10
(57)【要約】
【課題】装置間における試料に対する荷電粒子線照射結果の誤差を低減すること。
【解決手段】演算器は、校正試料24に対応する計算用デバイスモデルに基づき演算用ネットリストを生成し、演算用ネットリスト及び光学条件に基づき光学条件で荷電粒子線が校正試料24に照射されたときの第1の照射結果を推定し、第1の照射結果と光学条件で校正試料に荷電粒子線が照射されたときの検出信号に基づく第2の照射結果とを比較し、第1の照射結果と第2の照射結果とが異なる場合、光学条件の校正を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料又は校正試料の回路を推定するための計算用デバイスモデル及び前記試料又は前記校正試料に照射される荷電粒子線の光学条件を格納するデータベースと、
前記光学条件に基づき前記試料又は前記校正試料に照射する前記荷電粒子線を制御する荷電粒子線光学系と、
前記荷電粒子線の照射により前記試料又は前記校正試料から放出される二次電子を検出し、前記二次電子に基づく検出信号を出力する検出器と、
前記校正試料に対応する前記計算用デバイスモデルに基づき演算用ネットリストを生成し、前記演算用ネットリスト及び前記光学条件に基づき前記光学条件で前記荷電粒子線が前記校正試料に照射されたときの第1の照射結果を推定し、前記第1の照射結果と前記光学条件で前記校正試料に前記荷電粒子線が照射されたときの前記検出信号に基づく第2の照射結果とを比較し、前記第1の照射結果と前記第2の照射結果とが異なる場合、前記光学条件の校正を行う演算器と、
を備える、
荷電粒子線装置。
【請求項2】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記演算器は、前記光学条件の各項目について、前記第1の照射結果と前記第2の照射結果との比較結果に応じた所定の範囲で条件を変更することで前記光学条件の校正を行う、
荷電粒子線装置。
【請求項3】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記演算器は、前記光学条件の各項目のうち変更が可能な項目を予め設定し、変更可能な項目のみに対して条件を変更することで前記光学条件の校正を行う、
荷電粒子線装置。
【請求項4】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記校正試料は、複数の素子を備え、
前記演算器は、前記複数の素子のそれぞれに対する前記第1の照射結果と前記第2の照射結果とに基づき前記光学条件の校正を行う、
荷電粒子線装置。
【請求項5】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記演算器は、複数の前記光学条件の校正を行う、
荷電粒子線装置。
【請求項6】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記演算器は、前記第1の照射結果と前記第2の照射結果とが一致する場合、校正後の前記光学条件を前記データベースに格納された校正前の前記光学条件と関連付けて格納する、
荷電粒子線装置。
【請求項7】
請求項6に記載の荷電粒子線装置において、
前記演算器は、校正前の前記光学条件と校正後の前記光学条件とを比較し、項目ごとの光学条件校正係数を算出し、校正前の前記光学条件に関連付けて前記光学条件校正係数をデータベースに格納する、
荷電粒子線装置。
【請求項8】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記計算用デバイスモデルは、デバイスの欠陥を示すモデルを含む、
荷電粒子線装置。
【請求項9】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記計算用デバイスモデルは、デバイスの回路を規定するモデル、前記デバイスの電気特性を規定する数式、前記デバイスの形状、及び前記デバイスの物性のいずれかを含む、
荷電粒子線装置。
【請求項10】
請求項9に記載の荷電粒子線装置において、
前記計算用デバイスモデルは、前記デバイスの前記回路に含まれる回路素子のパラメータ値を含む、
荷電粒子線装置。
【請求項11】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記データベースは、前記荷電粒子線のパルス化条件を格納し、
前記荷電粒子線光学系は、前記光学条件及び前記パルス化条件に基づき前記試料に照射する前記荷電粒子線を制御し、
前記演算器は、前記光学条件及び前記パルス化条件に基づき前記第1の照射結果を推定する、
荷電粒子線装置。
【請求項12】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記校正試料は、他の前記荷電粒子線装置で回路の推定が行われた外部試料であり、
前記データベースは、前記外部試料に対応する前記計算用デバイスモデルを格納する、
荷電粒子線装置。
【請求項13】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記演算器は、前記光学条件を校正した後、前記第1の照射結果と前記光学条件に基づき前記校正試料に前記荷電粒子線が照射されたときの第3の照射結果とを比較し、前記第1の照射結果と前記第3の照射結果とが異なる場合、前記校正試料に対応する前記計算用デバイスモデルの更新を行う、
荷電粒子線装置。
【請求項14】
請求項13に記載の荷電粒子線装置において、
前記演算器は、前記校正試料に対応する前記計算用デバイスモデルに含まれるパラメータ値を変更し、変更した前記パラメータ値を用いて前記演算用ネットリストの更新を行う、
荷電粒子線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子顕微鏡やイオン顕微鏡等の荷電粒子線装置は、微細な構造を持つ様々な試料の観察に用いられている。例えば、半導体デバイスの製造工程におけるプロセス管理を目的として、荷電粒子線装置の一つである走査電子顕微鏡が、試料である半導体ウェーハ上に形成された半導体デバイスパターンの寸法計測や欠陥検査等の測定に応用されている。
【0003】
電子顕微鏡を用いた試料解析法の1つに、電子ビームを試料に照射することで得られる二次電子等に基づいて電位コントラスト像を形成し、電位コントラスト像の解析に基づいて、試料上に形成された素子の電気抵抗を評価する手法が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、電位コントラストから電気抵抗値を算出し、欠陥を判別する方法が開示されている。特許文献2には、電位コントラストから回路素子の電気的特性及び接続情報を含む情報を記述するネットリストを等価回路として作成することで、電気抵抗値等の欠陥の特性を予測する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−100823号公報
【特許文献2】特開2008−130582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体デバイスの検査計測においては、製造工程におけるデバイスの電気特性の不良を検出することが求められる。しかし、特許文献に開示された技術では、設計データと検査計測データとを利用した複数デバイス間の相互作用を考慮した電気特性の推定は困難である。また、複数の装置を用いて電気特性の推定を行う場合、装置間で推定結果に誤差が生じるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、装置間における試料に対する荷電粒子線照射結果の誤差を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0009】
本発明の代表的な実施の形態による荷電粒子線装置は、試料又は校正試料の回路を推定するための計算用デバイスモデル及び試料又は校正試料に照射される荷電粒子線の光学条件を格納するデータベースと、光学条件に基づき試料又は校正試料に照射する荷電粒子線を制御する荷電粒子線光学系と、荷電粒子線の照射により試料又は校正試料から放出される二次電子を検出し、二次電子に基づく検出信号を出力する検出器と、校正試料に対応する計算用デバイスモデルに基づき演算用ネットリストを生成し、演算用ネットリスト及び光学条件に基づき光学条件で荷電粒子線が校正試料に照射されたときの第1の照射結果を推定し、第1の照射結果と光学条件で校正試料に荷電粒子線が照射されたときの検出信号に基づく第2の照射結果とを比較し、第1の照射結果と第2の照射結果とが異なる場合、光学条件の校正を行う演算器と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0011】
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によれば、装置間における試料に対する荷電粒子線照射結果の誤差を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1に係る荷電粒子線装置の構成の一例を示す概略図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る荷電粒子線装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3】校正試料を例示する図である。
図4】データベースに格納される計算用デバイスモデルを例示する図である。
図5】データベースに格納される光学条件を例示する図である。
図6】本発明の実施の形態1に係る光学条件の校正方法の一例を示すフロー図である。
図7】計算用デバイスモデルの選択画面の一例を示す図である。
図8】光学条件の選択画面の一例を示す図である。
図9】試料に対する回路の推定方法の一例を示すフロー図である。
図10】回路推定後の結果表示画面の一例を示す図である。
図11】回路推定後の結果表示画面の他の例を示す図である。
図12】本発明の実施の形態2に係る光学条件の校正方法の一例を示すフロー図である。
図13】本発明の実施の形態3における計算用デバイスモデルの更新処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する各実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明の技術範囲を限定するものではない。なお、実施例において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は、特に必要な場合を除き省略する。
【0014】
(実施の形態1)
<荷電粒子線装置の構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係る荷電粒子線装置の構成の一例を示す概略図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る荷電粒子線装置の構成の一例を示すブロック図である。図1及び図2に示すように、荷電粒子線装置1は、荷電粒子線装置本体10、計算機30、入出力器50を備えている。
【0015】
〈荷電粒子線装置本体〉
荷電粒子線装置本体10は、検査用の試料23が収容される試料室10Bに、鏡筒10Aが載置され、鏡筒10A及び試料室10Bの外側に制御部11が配置された構成となっている。鏡筒10Aには、電子線(荷電粒子ビーム)を照射する電子源(荷電粒子源)12、電子線のパルス化を行うパルス電子発生器19、照射された電子線の照射電流の調整を行う絞り13、電子線の照射方向を制御する偏向器14、電子線を集光する対物レンズ18等が収容される。また、図示は省略しているが、鏡筒10Aには、コンデンサレンズが設けられる。なお、電子線のパルス化を行わないのであれば、パルス電子発生器19はなくてもよい。
【0016】
また、鏡筒10Aには、電子線の照射により試料23又は校正試料24から放出される二次電子を検出し、二次電子に基づく検出信号を出力する検出器25等が収容される。検出信号は、SEM(Scanning Electron Microscopy)画像の生成、試料23又は校正試料24のサイズの測定、電気特性の計測、試料23又は校正試料24に照射される電子線の光学条件の校正等に利用される。
【0017】
試料室10Bには、ステージ21、試料23、校正試料24等が収容される。試料23及び校正試料24は、ステージ21上に載置される。試料23は、例えば複数の半導体デバイスを含む半導体ウェーハや、個別の半導体デバイス等である。ステージ21には、図示しないステージ駆動機構が設けられ、制御部11の制御により試料室10B内を移動可能である。
【0018】
校正試料24は、複数の荷電粒子線装置間における光学条件の校正を行うための試料である。具体的に述べると、複数の荷電粒子線装置において、同一の試料に対し同一の光学条件で荷電粒子線を照射しても照射結果が異なる場合がある。このような複数装置間における照射結果の差異は、「機差」と呼ばれることがある。このような機差を低減するため、回路構成や電気特性等を示す計算用デバイスモデル(詳しくは後述する)が明らかとなっている校正試料を用いて光学条件の校正が行われる。
【0019】
校正試料24として、例えば、電気特性が異なる複数の素子を備えたTEG(Test Element Group)を用いることができる。あるいは、校正試料24として、アンテナTEG、TDDB(Time Dependent Dielectric Breakdown)TEGを用いることができる。また、これら以外にも、PN接合のリーク電流を評価するためのTEG等を、校正試料24として用いることができる。校正試料24は、図1に示すように、試料23と別体で設けられてもよい。また、校正試料24は、例えば、装置を管理するために予め用意されたウェーハ上に形成されていて試料23として装置内に搬送されてもよい。
【0020】
図3は、校正試料を例示する図である。図3では、複数の素子を備えた校正試料が示される。図3(a)は、複数の素子24a、24bの回路(等価回路)、及び電子線の照射により放出される二次電子等を模式的に示す図である。図3(b)は、複数の素子24a、24bの断面図である。素子24aの回路は、抵抗値R1の抵抗素子と容量値C1のコンデンサとが並列に接続されたRC並列回路となっている。一方、素子24bの回路は、抵抗値R2の抵抗素子と容量値C2のコンデンサとが並列に接続されたRC並列回路となっている。なお、P1、P2は、例えば、電極である。
【0021】
図3(b)に示すように、電極である導電膜の下層の絶縁膜の厚みが薄くなっている領域は、素子24bより素子24aの方が広くなっている。また、これに合わせて、電極の範囲も、素子24bより素子24aの方が広くなっている。複数の素子が設けられる場合、校正試料には、類似の回路でサイズを異ならせた複数の素子を含めてもよい。
【0022】
制御部11は、荷電粒子線装置本体10を構成する各部の制御を行う機能ブロックである。制御部11は、例えば、計算機30から入力される光学条件等に基づき、電子源12、パルス電子発生器19、絞り13、偏向器14、対物レンズ18等の動作制御を行う。このように、制御部11、電子源12、パルス電子発生器19、絞り13、偏向器14、対物レンズ18等は、電子線を制御する荷電粒子線光学系BSを構成する。
【0023】
また、制御部11は、例えば計算機30から入力される光学条件等に基づき、ステージ駆動機構の制御を行うことで、試料23を所定の位置へ移動させる。また、制御部11は、検出器25に対する電力供給や制御信号の供給等の制御を行うことで、検出器25による二次電子の検出処理の制御を行う。
【0024】
制御部11は、例えばCPU等のプロセッサで実行されるプロクラムにより実現される。また、制御部11は、例えば、FPGA(Field−Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成されてもよい。
【0025】
〈計算機〉
計算機30は、図1に示すように、演算器31及び記憶装置41を備えている。演算器31は、試料23又は校正試料24の回路(あるいは等価回路)の推定を行う機能ブロックである。演算器31は、例えば図2に示すように、演算用ネットリスト生成部32、電子線照射結果推定演算器33、比較器34、光学条件校正部35を有する。演算用ネットリスト生成部32は、後述する計算用デバイスモデル及び光学条件に基づいて、試料23又は校正試料24に対応する演算用ネットリストの生成を行う。また、演算用ネットリスト生成部32は、比較器34における比較結果に基づく演算用ネットリストの更新も行う。
【0026】
電子線照射結果推定演算器33は、演算用ネットリスト生成部32で生成された演算用ネットリストに基づく電子線照射結果の推定を行う。比較器34は、電子線照射結果推定演算器33で推定された電子線照射結果(第1の照射結果)と、実際に測定した電子線照射結果(第2の照射結果)との比較を行う。
【0027】
光学条件校正部35は、比較器34における、第1の照射結果と第2の照射結果と比較結果に基づき、光学条件の校正を行う。光学条件校正部35は、例えば光学条件記憶部43に格納された光学条件に対して行う。すなわち、光学条件の校正は、直前の電子線の照射に関わる光学条件に対して行われる。
【0028】
演算器31は、これらの処理のほか、推定した電子線照射結果、測定された電子線照射結果、及び試料23に対し同定したネットリスト(以下、「推定ネットリスト」とも呼ぶ)の表示に関わる処理、検出信号に基づく試料23の検査画像(SEM画像等)の生成、試料23のサイズの測定、試料23の電気特性の計測等に関わる処理を行う。
【0029】
演算器31は、制御部11と同様に、CPU等のプロセッサで実行されるプロクラムにより実現されてもよいし、FPGAやASIC等で構成されてもよい。
【0030】
記憶装置41は、データベース42、光学条件記憶部43、演算用ネットリスト記憶部44、電子線照射結果記憶部45、推定照射結果記憶部46を含む。データベース42は、演算用ネットリストの生成に用いられる計算用デバイスモデル(例えばDM1、DM2)及び光学条件(例えばLC1、LC2)を格納する。なお、計算用デバイスモデルには、試料の欠陥を示すモデルが含まれる。
【0031】
これら計算用デバイスモデル及び光学条件の登録は、ユーザが入出力器50を操作して行われてもよいし、計算機30を外部装置と接続し、外部装置から計算用デバイスモデルを受信することにより行われてもよい。データベース42は、計算用デバイスモデル及び光学条件を、例えばLUT(Look Up Table)として格納する。
【0032】
図4は、データベースに格納される計算用デバイスモデルを例示する図である。計算用デバイスモデルにはそれぞれ固有のID42a(例えばDM1、DM2)が付され、ID42aによりそれぞれの計算用デバイスモデルが識別される。データベース42では、試料23の検査に用いられる計算用デバイスモデルと、校正試料24の計算用デバイスモデルとをそれぞれ格納する。
【0033】
それぞれの計算用デバイスモデルには、例えば、モデル42b、数式42c、パラメータ種別42d、パラメータ値42e、その他データ42f等の情報が含まれる。なお、それぞれの計算用デバイスモデルでは、これらの中の一部の情報のみが規定されていてもよい。
【0034】
モデル42bは、デバイスの回路を規定する情報である。例えばRC並列回路等の回路を規定する情報が、モデル42bとして登録される。この回路は、正確な回路構成を表すモデルであってもよいし、等価回路を表すモデルでもよい。また、デバイスの波形モデル等がモデル42bとして登録されてもよい。数式42cは、回路では表現できないデバイスの電気特性等を規定する情報が含まれる。この数式42cは、電気特性等の時系列変化を表す式でもよい。パラメータ種別42dは、例えば抵抗(R)や容量(C)等、デバイスに含まれる回路素子の種別を規定する情報である。パラメータ値42eは、パラメータ種別42dの各要素と対応しており、パラメータ種別42dに対応する回路素子の値を規定する情報である。例えば、抵抗(R)、容量(C)がパラメータ種別として登録されていれば、対応するパラメータ値は抵抗値、容量値である。その他データ42fには、例えば、デバイスの形状、デバイスの物性等の情報が含まれる。
【0035】
図5は、データベースに格納される光学条件を例示する図である。光学条件にはそれぞれ固有のID42g(例えばLC1、LC2)が付され、ID42gによりそれぞれの光学条件が識別される。それぞれの光学条件には、例えば、照射エネルギ42h、照射電流42i、スキャン条件42j、パラメータ値42k、その他データ42l等の情報が含まれる。なお、それぞれの光学条件では、これらの中の一部の情報のみが規定されてもよい。なお、データベースには、校正試料24用いた光学条件の校正用に用いられる基準光学条件が別途格納されてもよい。
【0036】
照射エネルギ42hは、試料に照射される荷電電子線のエネルギを規定する情報である。照射エネルギには、例えば、電子の加速電圧やリターディング電圧等が含まれる。ここで、リターディング電圧とは、試料に電圧を印加することで、試料直前で電子線(荷電粒子線)の速度を減速させる電圧のことをいう。照射電流42iは、電子線の電流を規定する情報である。なお、照射電流は、プローブ電流と呼ばれることもある。
【0037】
スキャン条件42jは、電子線の照射方法を規定する情報である。スキャン条件42jには、例えば、スキャン速度(走査速度)、走査間隔等の情報が含まれる。パラメータ値42kは、電子線の照射に関わるパラメータを規定する情報である。パラメータ値42kには、例えば、倍率、開き角、ワーキングディスタンス等の情報が含まれる。その他データ42lには、光学条件に関わるこれら以外の情報が含まれる。また、その他データ42lには、電子線パルス化条件(変調条件)が格納されてもよい。電子線パルス化条件には、例えば、パルス幅、デューティ比、周波数、パルス幅やデューティ比が時間的に変化する任意のパタン等が含まれる。
【0038】
なお、光学条件は、電子光学条件等と呼ばれることがある。
【0039】
光学条件記憶部43は、選択された電子線の光学条件、あるいは光学条件校正部35で校正された光学条件を格納する。なお、光学条件記憶部43に格納される光学条件は、前述した基準光学条件や基準光学条件を校正した光学条件でもよい。
【0040】
演算用ネットリスト記憶部44は、演算用ネットリスト生成部32で生成された演算用ネットリストを格納する。電子線照射結果記憶部45は、検出器25から出力される検出信号に基づき、実際に測定した試料23に対する電子線照射結果を格納する。電子線照射結果記憶部45に格納される電子線照射結果は、検出器25から出力される検出信号でもよいし、検出信号に基づき処理されたSEM画像等でもよい。推定照射結果記憶部46は、電子線照射結果推定演算器33で推定された試料23又は校正試料24に対する電子線照射結果を格納する。
【0041】
記憶装置41は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成される。また、記憶装置41に含まれる各記憶部の一部は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリで構成されてもよい。記憶装置41に含まれる各記憶部は、それぞれ別個のデバイスとして設けられてもよいし、1つの記憶装置の中にそれぞれの記憶領域が設けられた構成でもよい。
【0042】
〈入出力器〉
入出力器50は、荷電粒子線装置1に対する操作、計算用デバイスモデルや光学条件の選択、試料23に対する電子線照射結果、推定照射結果、及び推定ネットリストの表示等を行う機能ブロックである。入出力器50は、例えばタッチパネル方式のディスプレイ60を備えている。ディスプレイ60には、例えば、荷電粒子線装置1の操作パネル、計算用デバイスモデルや光学条件の選択を選択する選択部51、推定ネットリスト等52、推定照射結果53、電子線照射結果54等が表示される。
【0043】
<光学条件の校正方法>
次に、光学条件の校正方法について説明する。本実施の形態では、校正試料24を用いた光学条件の校正が行われる。図6は、本発明の実施の形態1に係る光学条件の校正方法の一例を示すフロー図である。図6では、ステップS10〜S120により光学条件の校正が行われる。
【0044】
光学条件の校正処理が開始されると、ユーザによる計算用デバイスモデルの選択が行われる(ステップS10)。図7は、計算用デバイスモデルの選択画面の一例を示す図である。図7の計算用デバイスモデル選択画面61には、例えば、データベース42に登録されている計算用デバイスモデルの一覧表61aと、選択決定ボタン61eが示される。一覧表61aには、登録されている計算用デバイスモデルのID表示欄61b、計算用デバイスモデルの選択欄61c、各計算用デバイスモデルの詳細表示欄61dが示される。
【0045】
ここでは、ディスプレイ60に表示される計算用デバイスモデル選択画面61から、校正試料用の計算用デバイスモデルが選択される。具体的に述べると、ユーザは、選択する計算用デバイスモデルのチェックボックスにチェックを入れた後、選択決定ボタン61eをタッチすることにより、計算用デバイスモデルの選択が完了する。図7では、IDがDMC1である校正試料用の計算用デバイスモデルが選択された場合が示されている。選択された計算用デバイスモデルは、図2の演算用ネットリスト生成部32に送信される。
【0046】
ステップS10では、光学条件の選択も併せて行われる。図8は、光学条件の選択画面の一例を示す図である。図8の光学条件選択画面62には、例えば、データベース42に登録されている光学条件の一覧表62aと、選択決定ボタン62eが示される。一覧表62aには、登録されている光学条件のID表示欄62b、光学条件の選択欄62c、各光学条件の詳細表示欄62dが示される。
【0047】
ユーザは、ディスプレイ60に表示される光学条件選択画面62から、任意の光学条件を選択する。具体的に述べると、ユーザは、選択する光学条件のチェックボックスにチェックを入れた後、選択決定ボタン62eをタッチすることにより、光学条件の選択が完了する。図8では、IDがLC2の光学条件が選択された場合が示されている。なお、光学条件としては、すでに述べた基準光学条件が選択されてもよい。選択された光学条件は、図2の光学条件記憶部43に格納される。
【0048】
なお、ステップS10において、選択決定ボタン61eがタッチされ、計算用デバイスモデルの選択が完了すると、計算用デバイスモデル選択画面61が消去され、光学条件選択画面62が表示されてもよい。また、計算用デバイスモデルの選択が完了すると、計算用デバイスモデル選択画面61に重畳して光学条件選択画面62が表示されてもよい。光学条件選択画面62に計算用デバイスモデル選択画面61を再表示させるボタンが設けられてもよい。
【0049】
また、光学条件の選択においては、必要に応じて電子線パルス化条件も併せて選択されてもよい。また、電子線パルス化条件は、光学条件と併用されてもよいし、電子線パルス化条件のみが光学条件として設定されてもよい。なお、光学条件の選択及び光学条件記憶部43への格納は、後述するステップS40までに行われてもよい。
【0050】
ステップS20では、ユーザが選択した計算用デバイスモデルに基づき演算用ネットリストの生成が行われる。例えば、演算用ネットリスト生成部32は、選択された計算用デバイスモデルに含まれるモデル42b、パラメータ種別42d、デバイスの形状、デバイスの物性等のいずれかと、パラメータ値42eとを組み合わせて演算用ネットリストの生成を行う。なお、演算用ネットリストの生成方法は、これに限定されるものではない。
【0051】
ステップS30では、ステップS20において生成された演算用ネットリストが、演算用ネットリスト記憶部44に格納される。なお、図6では、ステップS20とステップS30とを区別しているが、ステップS30の処理は、ステップS20において行われてもよい。
【0052】
ステップS40では、電子線照射結果の推定が行われる。電子線照射結果推定演算器33は、演算用ネットリスト記憶部44に格納された演算用ネットリスト、及び光学条件記憶部43に格納された光学条件に基づき、校正試料24に対する電子線照射結果の推定を行う。ここで推定される電子線照射結果は、ステップS80の照射結果と対応しており、例えば、検出器25から出力された検出信号(信号波形)、帯電量、検査画像、検査画像の明るさ、検査画像におけるピクセルごとの明るさ等である。
【0053】
ステップS50では、ステップS40において推定された電子線照射結果が推定照射結果記憶部46に格納される。
【0054】
ステップS60では、光学条件の設定が行われる。ただし、図6では、ステップS40の電子線照射結果の推定が行われるまでに光学条件が選択、設定されている。このため、最初のステップS60では、特段の処理は行われない。すなわち、ステップS60では、後述するステップS120において校正された光学条件の格納、設定が行われる。
【0055】
ステップS70では、ステップS10等で選択された光学条件で、校正試料24に対する電子線の照射が行われる。光学条件記憶部43に記憶された光学条件は、荷電粒子線装置本体10の制御部11へ送信される。制御部11は、受信した光学条件に基づき、荷電粒子線光学系BSを構成する各部を制御し、校正試料24に対し電子線を照射させる。電子線を照射されると、校正試料24から二次電子が放出される。検出器25は、校正試料24から放出された二次電子を検出すると、二次電子の個数やエネルギ等に応じた所定の検出信号を計算機30(演算器31)へ出力する。
【0056】
ステップS80では、校正試料24に対する実際の電子線照射結果が格納される。演算器31は、例えば、検出器25から出力された検出信号(信号波形)を電子線照射結果として電子線照射結果記憶部45に格納してもよい。また、演算器31は、検出信号に基づき検査画像(SEM画像等)を生成し、検査画像を電子線照射結果として電子線照射結果記憶部45に格納してもよい。また、演算器31は、検出信号に基づく校正試料24の帯電量を測定し、測定した帯電量を電子線照射結果記憶部45に格納してもよい。また、演算器31は、検査画像の明るさ、あるいはピクセルごとの明るさを検出し、検出した明るさを電子線照射結果記憶部45に格納してもよい。
【0057】
ステップS90では、校正試料24に対する実際の電子線照射結果と、推定された電子線照射結果とが比較される。比較器34は、電子線照射結果の項目ごとに、実際の電子線照射結果と、推定された電子線照射結果とを比較する。比較器34は、例えば、電子線の照射領域ごと、あるいは検出画像のピクセルごとに検出信号の比較を行う。また、比較器34は、例えば、帯電量、検査画像、検査画像の明るさ、検査画像におけるピクセルごとの明るさ等の比較を行う。比較器34は、例えば、これらの照射結果を数値化し、項目ごとに実際の電子線照射結果と推定された電子線照射結果との差分の大きさを算出することで比較結果を生成する。なお、比較器34は、これらすべての項目についての比較を行ってもよいし、一部の項目の比較のみを行ってもよい。
【0058】
ステップS100では、ステップS90で算出された比較結果に基づき、校正試料24に対する実際の電子線照射結果と推定された電子線照射結果とが一致するか否かが判定される。例えば、比較結果を数値化し、比較結果の値が「0」であれば、比較器34は、これらの照射結果は一致すると判断する。一方、比較結果の値が「0」でなければ、比較器34は、これらの比較結果は一致しないと判断する。ただし、実際には、これらの照射結果が完全に一致することはほとんどないと考えられるため、所定の範囲内での測定誤差を考慮する必要がある。
【0059】
そこで、比較器34は、比較結果の値が所定の閾値以下であれば、これらの照射結果は一致すると判断してもよい。所定の閾値は、項目ごとにそれぞれ設定される。なお、複数項目について比較を行う場合、比較器34は、比較したすべての項目について比較結果が閾値以下となる場合のみ、これらの照射結果が一致すると判断してもよいし、所定の割合以上の項目において比較結果が閾値以下となる場合には、これらの照射結果が一致すると判断してもよい。
【0060】
ステップS100において、比較器34がこれらの電子線照射結果は一致しないと判断した場合(No)、ステップS110の処理が行われる。
【0061】
ステップS110では、光学条件の校正が行われる。比較器34は、例えば、比較結果を光学条件校正部35へ送信し、光学条件校正部35において光学条件の校正が行われる。光学条件校正部35は、例えば、光学条件記憶部43に格納された光学条件を読み出し、比較結果に基づき、読み出した光学条件の校正を行う。
【0062】
例えば、光学条件校正部35は、設定されている光学条件の各項目について、比較結果に応じた所定の範囲内で条件を変更することで光学条件の校正を行う。また、光学条件校正部35は、光学条件の各項目のうち、条件の変更が可能な項目を予め設定しておき、変更可能な項目のみに対して条件を変更することで光学条件の校正を行ってもよい。これにより、校正前後における電子線照射結果の比較結果の影響を容易に把握することが可能となり、光学条件の校正を短時間で行うことが可能となる。
【0063】
また、光学条件校正部35は、電子線照射結果の複数項目に対するそれぞれの比較結果に基づき光学条件の校正を行ってもよい。これにより、光学条件の校正精度を向上させることが可能となる。また、光学条件校正部35は、複数の素子のそれぞれに対する電子線照射結果に基づき光学条件の校正を行ってもよい。これにより、光学条件の校正精度を向上させることが可能となる。
【0064】
校正された光学条件は、光学条件記憶部43に格納される(ステップS60)。校正された光学条件を用いて、校正試料24に対する電子線の照射が再度行われ(ステップS70)、校正試料24に対する実際の電子線照射結果が再度格納される(ステップS80)。そして、校正前の光学条件を用いて推定された電子線照射結果と、校正後の光学条件による実際の電子線照射結果との比較が再度行われる(ステップS90)。ステップS60〜S110の処理は、推定された電子線照射結果と、実際の電子線照射結果とが一致するまで繰り返し実行される。
【0065】
このように、本実施の形態では、電子線照射結果の推定は、校正前の光学条件を用いて行われる。言い換えれば、校正前の光学条件による推定結果が正しいものとして、装置における光学条件の校正が行われる。
【0066】
分かりやすく言えば、計算用デバイスモデルを用いた演算用ネットリストの生成、校正前の光学条件を用いた電子線照射結果の推定結果は、どのような装置を用いて行っても同じ結果が得られると考えられる。これに対し、同じ光学条件により校正試料24に対し電子線を照射しても、電子線照射結果には装置間で誤差が生じる可能性がある。したがって、装置間で不変と考えられる推定結果を基準として、実際の電子線照射結果を推定結果に合わせるように光学条件を校正すれば、複数の装置間における機差を低減させることが可能となる。
【0067】
一方、ステップS100において、比較器34がこれらの電子線照射結果は一致すると判断した場合(Yes)、ステップS120の処理が行われる。ステップS120では、データベース42に格納された光学条件の更新が行われる。例えば、光学条件校正部35は、校正試料24に対する実際の電子線照射結果と推定された電子線照射結果とが一致する旨の比較結果を比較器34から受信すると、光学条件の校正が完了したものと判断し、光学条件記憶部43に格納されている校正後の光学条件を、データベース42へ送信し、校正前の光学条件と関連付けてデータベース42へ格納する。
【0068】
あるいは、光学条件校正部35(演算器31の他のブロック)は、校正前後の各光学条件を比較し、項目ごとの光学条件校正係数を算出し、データベース42に格納された校正前の光学条件に関連付けて光学条件校正係数をデータベース42に格納してもよい。この場合、算出された光学条件校正係数は、例えば、対応する光学条件のその他データ42lとして格納されてもよい。そして、更新された光学条件が用いられる際には、光学条件の各項目の値を光学条件校正係数を用いた値にそれぞれ変換される。
【0069】
本実施の形態では、データベース42に格納された各光学条件に対し光学条件の校正処理が行われてもよい。
【0070】
光学条件の校正が終了すると、更新後の光学条件、光学条件校正係数がディスプレイ60に表示されてもよい。なお、図6では、演算用ネットリストの生成、電子線の照射による測定、電子線照射結果の推定等の処理を順に説明したが、これらの処理が並行して行われてもよい。例えば、演算用ネットリストの生成及び電子線照射結果の推定の処理を行いつつ、電子線の照射による実際の電子線照射結果の測定が行われてもよい。
【0071】
また、ステップS40における電子線照射結果の推定、ステップS110における光学条件の校正等の処理には、機械学習やディープラーニング等の手法によるAI(Artificial Intelligence)が用いられてもよい。
【0072】
<試料に対する回路推定方法>
次に、試料23に対する回路推定方法について説明する。ここでは、各光学条件に対する校正処理はすでに完了しているものとする。試料23に対する回路推定では、光学条件の校正と同様の処理が行われるステップが存在する。このため、以下では適宜説明を省略する。図9は、試料に対する回路の推定方法の一例を示すフロー図である。図9では、ステップS210〜S330により試料に対する回路の推定が行われる。
【0073】
回路推定処理が開始されると、計算用デバイスモデルの選択が行われる(ステップS210)。ステップS210の処理は、図6のステップS10と同様である。計算用デバイスモデルの選択は、例えばすでに述べた図7の計算用デバイスモデル選択画面61から行われる。選択された計算用デバイスモデルは、図2の演算用ネットリスト生成部32に送信される。
【0074】
ステップS220では、演算用ネットリスト生成部32は、ユーザが選択した計算用デバイスモデルに基づき演算用ネットリストの生成を行う。ステップS220の処理は、図6のステップS20と同様である。
【0075】
ステップS230では、光学条件の選択が行われる。ステップS230の処理は、図6のステップS10と同様である。光学条件の選択は、例えばすでに述べた図8の光学条件選択画面62から行われる。選択された光学条件は、図2の光学条件記憶部43に格納される。また、光学条件の設定においては、必要に応じて電子線パルス化条件も併せて用いられてもよい。
【0076】
ステップS240では、ステップS230で選択された光学条件で、試料23に対する電子線の照射が行われる。ステップS240の処理は、図6のステップS70と同様である。検出器25は、試料23から放出された二次電子を検出すると、二次電子の個数やエネルギ等に応じた所定の検出信号を計算機30(演算器31)へ出力する。
【0077】
ステップS250では、試料23に対する実際の電子線照射結果が格納される。ステップS250の処理は、図6のステップS80と同様である。電子線照射結果は、例えば、検出信号、検査画像、帯電量、検査画像の明るさ、ピクセルごとの明るさ等である。
【0078】
ステップS260では、ステップS220において生成された演算用ネットリストが、演算用ネットリスト記憶部44に格納される。なお、図9では、ステップS220とステップS260とを区別しているが、ステップS260の処理は、ステップS220において行われてもよい。
【0079】
ステップS270では、電子線照射結果の推定が行われる。ステップS270の処理は、図6のステップS40と同様である。
【0080】
ステップS280では、ステップS270において推定された電子線照射結果が推定照射結果記憶部46に格納される。ステップS280の処理は、図6のステップS50と同様である。
【0081】
ステップS290では、実際の電子線照射結果と、推定された電子線照射結果とが比較される。ステップS290の処理は、図6のステップS90と同様である。
【0082】
ステップS300では、ステップS290で算出された比較結果に基づき、実際の電子線照射結果と推定された電子線照射結果とが一致するか否かが判定される。ステップS300の処理は、図6のステップS100と同様である。ステップS200において、比較器34がこれらの電子線照射結果は一致しないと判断した場合(No)、ステップS310の処理が行われる。
【0083】
ステップS310では、演算用ネットリストの更新が行われる。比較器34は、例えば、比較結果を演算用ネットリスト生成部32へ送信し、演算用ネットリスト生成部32において演算用ネットリストの更新が行われる。演算用ネットリスト生成部32は、例えば、比較結果に基づき、直前の演算用ネットリストの生成に用いられたパラメータ値を変更し、変更後のパラメータ値を用いて演算用ネットリストを生成する。このように、演算用ネットリスト生成部32は、演算用ネットリストの更新を行う。その際、演算用ネットリスト生成部32は、複数項目の比較結果に基づきパラメータ値の変更を行ってもよい。また、演算用ネットリスト生成部32は、パラメータ値の変更が可能なパラメータを予め設定しておき、変更可能なパラメータのみパラメータ値を変更しながら演算用ネットリストを更新してもよい。
【0084】
更新された演算用ネットリストは、演算用ネットリスト記憶部44に格納される(ステップS260)。更新された演算用ネットリスト及び光学条件を用いて、電子線照射結果の推定が再度行われ(ステップS270)、推定された電子線照射結果が推定照射結果記憶部46に格納される(ステップS280)。そして、更新された演算用ネットリストを用いて推定された電子線照射結果と、実際の電子線照射結果との比較が再度行われる(ステップS290)。
【0085】
ステップS260〜S310の処理は、推定された電子線照射結果と、実際の電子線照射結果とが一致するまで繰り返し実行される。なお、演算用ネットリストの更新は、演算用ネットリスト記憶部44において行われてもよい。この場合、推定された電子線照射結果と、実際の電子線照射結果とが一致するまで、ステップS270〜S310の処理が繰り返し実行される。
【0086】
一方、ステップS300において、比較器34がこれらの電子線照射結果は一致すると判断した場合(Yes)、ステップS320の処理が行われる。ステップS320では、演算器31(比較器34)は、演算用ネットリスト記憶部44に格納されている演算用ネットリストが、試料23の回路を記述するネットリストであると同定できると判断し、この演算用ネットリストを推定ネットリストとして推定ネットリスト記憶部47へ格納する。また、推定ネットリストと併せて、検査画像におけるプラグ電極の位置と推定ネットリストの各ノードとを対応させた対応表も推定ネットリスト記憶部47に格納されてもよい。
【0087】
ステップS330では、推定結果及び測定結果が入出力器50へ出力される。例えば、推定ネットリスト記憶部47に格納された推定ネットリスト、推定照射結果記憶部46に格納されている推定された電子線照射結果、電子線照射結果記憶部45に格納された実際の電子線照射結果は入出力器50へ出力され、ディスプレイ60に表示される。
【0088】
図10は、回路推定後の結果表示画面の一例を示す図である。図10には、結果表示画面70として、計算用デバイスモデル指定部71、推定結果表示部72、推定電子線照射結果表示部73、電子線照射結果表示部74が示されている。
【0089】
計算用デバイスモデル指定部71には、選択された計算用デバイスモデルの内容や、選択された光学条件等が示されている。例えば、ユーザは、計算用デバイスモデル指定部71をタッチすることで、選択した計算用デバイスモデルや光学条件の内容を確認することができる。推定結果表示部72には、推定ネットリストの生成に用いられたそれぞれのパラメータ値が表示される。また、推定結果表示部72には、パラメータ値と併せて、パラメータが変更可能であるか否かの情報が表示されてもよい。なお、推定結果表示部72等に、光学条件の校正結果、あるいは光学条件校正係数が表示されてもよい。
【0090】
推定電子線照射結果表示部73には、推定された電子線照射結果が表示される。推定電子線照射結果表示部73には、横軸が電子線の照射条件(光学条件)及び縦軸が明度(明るさ)のグラフが示されている。具体的に述べると、推定電子線照射結果表示部73には、複数のノード(プラグ電極)に対して推定された電子線照射結果が表示される。なお、推定電子線照射結果表示部73には、推定ネットリストを用いた推定結果だけでなく、同定される前の演算用ネットリストを用いた推定結果も併せて表示されてもよい。
【0091】
電子線照射結果表示部74には、実際に測定された電子線照射結果が表示される。電子線照射結果表示部74にも、横軸が電子線の照射条件及び縦軸が明度のグラフが示されている。電子線照射結果表示部74には、複数のノードに対する電子線照射結果が表示される。
【0092】
なお、推定電子線照射結果表示部73、電子線照射結果表示部74のグラフは任意に設定可能である。例えば、縦軸を二次電子検出量としグラフが示されてもよい。また、推定電子線照射結果表示部73、電子線照射結果表示部74には、検出信号の波形や検査画像等がそれぞれ示されてもよい。
【0093】
また、推定電子線照射結果表示部73及び電子線照射結果表示部74を合わせて、推定結果と測定結果とを重ねて表示してもよい。
【0094】
図11は、回路推定後の結果表示画面の他の例を示す図である。結果表示画面70には、図10の他にも、例えば図11に示す画像がそれぞれ表示されてもよい。図11(A)は、検査画像にプラグ電極の座標を挿入した画像である。図11(B)は、推定ネットリストである。図11(C)は、検査画像におけるプラグ電極の位置と推定ネットリストの各ノードとを対応させた対応表である。また、推定ネットリストに基づく回路図が、結果表示画面70に表示されてもよい。
【0095】
なお、図9では、演算用ネットリストの生成、電子線の照射による測定、電子線照射結果の推定等の処理を順に説明したが、これらの処理が並行して行われてもよい。例えば、演算用ネットリストの生成及び電子線照射結果の推定の処理を行いつつ、電子線の照射による測定が行われてもよい。
【0096】
また、ステップS270における電子線照射結果の推定、ステップS310における演算用ネットリストの更新等の処理には、機械学習やディープラーニング等の手法によるAIが用いられてもよい。
【0097】
<本実施の形態による主な効果>
本実施の形態によれば、校正試料24に対する、推定された電子線照射結果と、実際に電子線が照射されたときの電子線照射結果とを比較することにより、光学条件の校正が行われる。この構成によれば、装置間における試料23又は校正試料24に対する電子線照射結果の誤差、すなわち機差を低減させることが可能となる。
【0098】
また、本実施の形態によれば、演算器31は、光学条件の各項目について、第1の照射結果と第2の照射結果との比較結果に応じた所定の範囲で条件を変更することで光学条件の校正を行う。この構成によれば、光学条件の校正を適切に行うことができ、光学条件の更新までの時間を短縮することが可能である。
【0099】
また、本実施の形態によれば、演算器31は、光学条件の各項目のうち変更が可能な項目を予め設定し、変更可能な項目のみに対して条件を変更することで光学条件の校正を行う。この構成によれば、条件を変更可能な項目を削減することができ、光学条件の更新までの時間を短縮することが可能である。また、この構成によれば、電子線照射結果の差異に影響を与える光学条件を見極めることができ、光学条件の効率的な校正、更新が実現される。
【0100】
また、本実施の形態によれば、校正試料24は、複数の素子を備え、演算器31は、複数の素子のそれぞれに対する第1の照射結果と第2の照射結果とに基づき光学条件の校正を行う。この構成によれば、光学条件校正用の情報をより多く入手可能であり、光学条件の校正精度を向上させることが可能である。
【0101】
また本実施の形態によれば、演算器31は、複数の光学条件の校正を行う。この構成によれば、最適化された複数の光学条件を用いることが可能となる。また、試料23に対する測定をより詳細に行うことが可能となる。
【0102】
また、本実施の形態によれば、演算器31は、第1の照射結果と第2の照射結果とが一致する場合、校正後の光学条件をデータベース42に格納された校正前の光学条件と関連付けて格納する。この構成によれば、校正前後の光学条件を使用することが可能である。
【0103】
また、本実施の形態によれば、演算器31は、校正前の光学条件と校正後の光学条件とを比較し、項目ごとの光学条件校正係数を算出し、校正前の光学条件に関連付けて光学条件校正係数をデータベース42に格納する。この構成によれば、校正後の光学条件を別途格納する必要がなく、データベース42に格納される情報量を低減することが可能となる。
【0104】
また、本実施の形態によれば、計算用デバイスモデルは、試料23の欠陥を示すモデルが含まれる。この構成によれば、試料23の欠陥構造を有する試料23又は校正試料24に対する測定を行うことが可能となる。試料23の欠陥(製造不良)を容易に検出することが可能であり、回路推定の精度を向上させることが可能となる。
【0105】
また、本実施の形態によれば、計算用デバイスモデルに基づき演算用ネットリストが生成され、演算用ネットリスト及び光学条件に基づき電子線が試料に照射されたときの電子線照射結果が推定される。また、推定された電子線照射結果と、光学条件に基づき試料23に電子線が照射されたときの電子線照射結果とが比較される。
【0106】
この構成によれば、外部から入力される外部ネットリストを演算用ネットリストを変換しなくてもよいので、試料23に対する電気特性の推定を短時間で行うことが可能であり、スループットを向上させることが可能となる。また、外部ネットリストの構成に影響されることなく、試料23の電気特性や回路の推定を自在に行うことが可能となり、複数デバイス間の相互作用を考慮した電気特性の推定が可能となる。
【0107】
また、本実施の形態によれば、推定した電子線照射結果と実際の電子線照射結果とが異なる場合、計算用デバイスモデルの更新が行われる。具体的には、演算器31は、計算用デバイスモデルに含まれるパラメータ値を変更し、変更したパラメータ値を用いて演算用ネットリストを再度作成することにより、演算用ネットリストの更新を行う。この構成によれば、演算量を抑えつつ演算用ネットリストの更新が可能となり、演算器31の負荷を抑えることが可能となる。
【0108】
また、本実施の形態によれば、電子線照射結果は、検出信号、検出信号に基づく検査画像、検査画像の明るさ、検査画像におけるピクセルごとの明るさのいずれかを含む。この構成によれば、検出信号を基にした様々な形態により照射結果を照合することが可能である。
【0109】
また、本実施の形態によれば、計算用デバイスモデルは、デバイスの回路を規定するモデル、デバイスの電気特性を規定する数式、デバイスの形状、及びデバイスの物性のいずれかを含む。この構成によれば、回路構成だけでなく、電気特性、形状、物性等から試料23の回路を推定することが可能であり、回路推定の精度を向上させることが可能となる。
【0110】
また、本実施の形態によれば、演算器31は、検査画像におけるプラグ電極の位置と、同定された演算用ネットリスト(推定ネットリスト)の各ノードとを対応させた対応表を生成する。この構成によれば、ネットリストと検査画像との対応が関係の把握が容易になる。
【0111】
また、本実施の形態によれば、光学条件及びパルス化条件に基づき電子線照射結果が推定される。この構成によれば、複雑に変化する電子線により、試料23の電気特性の推定精度を向上させることが可能となる。
【0112】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態では、校正試料24として、他の荷電粒子線装置で回路、あるいは電気特性の推定が行われた外部試料23a(図1等参照)が用いられる。
【0113】
外部試料23aは、例えば、装置を管理するために予め用意されたウェーハである。また、外部試料23aは、主にTEG等で構成される校正試料24とは異なり、例えば製品として出荷可能なレベルのデバイスが用いられてもよい。外部試料23aの回路や電気特性等は、他の荷電粒子線装置等ですでに特定されているものとする。そして、データベース42には、外部試料23aに対応する計算用デバイスモデルが格納されているものとする。したがって、本実施の形態では、図1図2に示す校正試料24は不要であり、試料室10B内には、外部試料23a(試料23)のみが配置される。
【0114】
<光学条件の校正>
図12は、本発明の実施の形態2に係る光学条件の校正方法の一例を示すフロー図である。図12は、図6と類似しており、光学条件を行う対象の試料が校正試料24から外部試料23aに変更になったこと以外は図6と同じである。したがって、図12の各ステップには図6と同じ符号を用いている。
【0115】
ステップS10では、外部試料23aに対応する計算用デバイスモデルが選択される。なお、計算用デバイスモデルや光学条件の選択方法は、実施の形態1と同様である。ステップS40では、外部試料23aに対する電子線照射結果が推定される。すでに述べたように、外部試料23aの特性はすでに特定されているため、外部試料23aに対する電子線照射結果の推定値が正しいものとして以降の処理が実行される。
【0116】
ステップS70では、選択された光学条件に基づき外部試料23aに対し電子線が照射される。ステップS90では、外部試料23aに対する電子線照射結果の推定値と、実際の電子線照射結果とが比較される。これらが一致しなければ(ステップS100、No)光学条件の校正が行われる(ステップS110)。
【0117】
<本実施の形態による主な効果>
本実施の形態によれば、前述の実施の形態による各効果に加え、以下の効果が得られる。本実施の形態によれば、外部試料23aを用いて光学条件の校正が行われる。この構成によれば、校正試料24を用意しなくても、装置間における電子線照射結果の差異を低減することが可能である。また、校正試料24の管理が不要となる。
【0118】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。校正試料24は、基本的には試料室10B内に置かれたままの状態となるが、時間とともに電気特性が劣化する場合がある。そこで、本実施の形態では、校正試料24の劣化に合わせて計算用デバイスモデルを更新する方法について説明する。
【0119】
図13は、本発明の実施の形態3における計算用デバイスモデルの更新処理の一例を示すフロー図である。図13は、図9と類似している。図13ではステップS410〜S530の処理が行われる。まず、ステップS410では校正試料24に対応する計算用デバイスモデルの選択が行われる。ステップS410は、図9のステップS210と同様である。
【0120】
ステップS420では、光学条件の選択が行われる。なお、ここで選択される光学条件は、校正されていることが望ましい。ステップS420は、図9のステップS230と同様である。ステップS430では、ステップS420で選択された光学条件で、校正試料24に対する電子線の照射が行われる。ステップS430は、図9のステップS240と同様である。ステップS440では、校正試料24に対する実際の電子線照射結果(第3の照射結果)が格納される。ステップS440は、図9のステップS250と同様である。
【0121】
ステップS450では、ステップS410で選択された計算用デバイスモデル基づき、演算用ネットリストが生成される。ステップS450は、図9のステップS220と同様である。
【0122】
ステップS460では、ステップS450において生成された演算用ネットリストが、演算用ネットリスト記憶部44に格納される。ステップS460は、図9のステップS260と同様である。ステップS470では、電子線照射結果の推定が行われる。ステップS470は、図9のステップS270と同様である。
【0123】
ステップS480では、ステップS470において推定された電子線照射結果が推定照射結果記憶部46に格納される。ステップS480は、図9のステップS280と同様である。ステップS490では、実際の電子線照射結果と、推定された電子線照射結果とが比較される。ステップS490の処理は、図9のステップS290と同様である。
【0124】
ステップS500では、ステップS490で算出された比較結果に基づき、実際の電子線照射結果と推定された電子線照射結果とが一致するか否かが判定される。ステップS500の処理は、図9のステップS300と同様である。ステップS500において、比較器34がこれらの電子線照射結果は一致しないと判断した場合(No)、ステップS510の処理が行われる。
【0125】
ステップS510では、校正試料24に対応する計算用デバイスモデルの更新が行われる。演算器31は、比較器34における比較結果に基づき計算用デバイスモデルを更新する。演算器31は、例えば、デバイスの回路を規定するモデル、デバイスの電気特性を規定する数式、デバイスの形状、及びデバイスの物性等を変更することで計算用デバイスモデルの更新を行ってもよいし、各パラメータ種別42dのパラメータ値42eを変更することにより計算用デバイスモデルの更新を行ってもよい。計算用デバイスモデルの更新は、例えば、演算用ネットリスト生成部32で行われてもよいし、データベース42に直接アクセスして行われてもよい。
【0126】
ステップS450〜S510の処理は、推定された電子線照射結果と、実際の電子線照射結果とが一致するまで繰り返し実行される。
【0127】
一方、ステップS500において、比較器34がこれらの電子線照射結果は一致すると判断した場合(Yes)、ステップS520の処理が行われる。ステップS520では、演算器31(比較器34)は、演算用ネットリスト記憶部44に格納されている演算用ネットリストが、校正試料24の回路を記述するネットリストであると同定できると判断し、この演算用ネットリストを推定ネットリストとして推定ネットリスト記憶部47へ格納する。また、推定ネットリストと併せて、検査画像におけるプラグ電極の位置と推定ネットリストの各ノードとを対応させた対応表も推定ネットリスト記憶部47に格納されてもよい。ステップS520の処理は、図9のステップS320と同様である。
【0128】
また、ステップS520では、ステップS510で更新された計算用デバイスモデルがデータベース42に格納される。その際、更新前の計算用デバイスモデルもデータベース42に格納されたままでもよい。
【0129】
ステップS530では、推定結果及び測定結果が入出力器50へ出力される。ステップS530の処理は、図9のステップS330と同様である。なお、ディスプレイ60には、計算用データベースが更新されたことを示す画像が表示されてもよい。
【0130】
<本実施の形態による主な効果>
本実施の形態によれば、光学条件を校正した後、第1の照射結果と前記光学条件に基づき校正試料24に荷電粒子線が照射されたときの第3の照射結果とが比較される。第1の照射結果と第3の照射結果とが異なる場合、校正試料24に対応する計算用デバイスモデルが更新される。この構成によれば、校正試料24の劣化具合に応じた計算用デバイスモデルを容易することが可能となる。これにより、校正試料24を長期間に渡って使用可能となる。
【0131】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。なお、図面に記載した各部材や相対的なサイズは、本発明を分かりやすく説明するため簡素化・理想化しており、実装上はより複雑な形状となる場合がある。
【符号の説明】
【0132】
1…荷電粒子線装置、10…荷電粒子線装置本体、23…試料、23a…外部試料、24…校正試料、25…検出器、30…計算機、31…演算器、41…記憶装置、42…データベース、50…入出力器、60…ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13