【解決手段】複合障子100は、特定の模様で構成される第1意匠を有すると共に、透明度を変更可能な板状の第1障子と、特定の模様で構成される第2意匠を有すると共に、透明度を変更可能な板状の第2障子と、を備え、前記第1障子及び前記第2障子が重なる状態で、前記第1意匠及び前記第2意匠とは異なる第3意匠が視認できる。
前記第1障子及び前記第2障子の少なくとも一方の透明度が、前記第1障子及び前記第2障子の少なくとも一方の移動と連動して変化し、又は前記第1障子及び前記第2障子の移動と独立して変化する請求項1に記載の複合障子。
前記第1障子及び前記第2障子の少なくとも一方の透明度が、前記第1障子及び前記第2障子の少なくとも一方の移動方向、移動量又は位置に連動して、変化する請求項2に記載の複合障子。
第1方向に移動する前記第1障子又は前記第2障子の透明度が、前記第1方向とは反対の第2方向に移動する前記第1障子又は前記第2障子の透明度と異なる請求項3に記載の複合障子。
前記第1障子又は前記第2障子の特定位置における透明度が、当該特定位置以外の位置における前記第1障子又は前記第2障子の透明度と異なる請求項3に記載の複合障子。
前記第3意匠は、前記第1障子及び前記第2障子の少なくとも一方が透明状態のときに、前記第1意匠及び前記第2意匠が重なるに部分に形成される請求項1から6の何れか一項に記載の複合障子。
前記第1調光部及び前記第2調光部の透明度は、前記第1調光部及び前記第2調光部の外部に設けられる光源から発せられた光を受けて変化する請求項8から12の何れか一項に記載の複合障子。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態に係る複合障子を図面に基づいて詳細に説明する。なお、各形態において、平行、直角、水平、垂直、上下、左右などの方向には、本発明の効果を損なわない程度のずれが許容される。また、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は、それぞれ、X軸に平行な方向、Y軸に平行な方向、Z軸に平行な方向を表す。X軸方向とY軸方向とZ軸方向は、互いに直交する。XY平面、YZ平面、ZX平面は、それぞれ、X軸方向及びY軸方向に平行な仮想平面、Y軸方向及びZ軸方向に平行な仮想平面、Z軸方向及びX軸方向に平行な仮想平面を表す。
図1以降において、X軸方向のうち、矢印で示す方向はプラスX軸方向とし、当該方向とは逆の方向はマイナスX軸方向とする。Y軸方向のうち、矢印で示す方向はプラスY軸方向とし、当該方向とは逆の方向はマイナスY軸方向とする。Z軸方向のうち、矢印で示す方向はプラスZ軸方向とし、当該方向とは逆の方向はマイナスZ軸方向とする。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。
【0010】
図1は本発明の実施の形態に係る複合障子100の斜視図である。
図2は複合障子100を正面側から平面視した図である。
図1及び
図2では、複合障子100を正面側から見て、マイナスX軸方向側に第1障子2−1が位置し、プラスX軸方向側に第2障子2−2が位置している。正面は、複合障子100のマイナスZ軸方向側の面である。X軸方向は、第1障子2−1と第2障子2−2のそれぞれの開閉方向、複合障子100の横幅方向、又は複合障子100の左右方向に等しい。第1障子2−1が枠体1の柱部12に接し、第2障子2−2が枠体1の柱部14に接している。この状態は、複合障子100が閉じている状態に等しい。
図3は
図2のIII−III矢視断面図である。
図4は
図3の部分拡大図である。以下では、
図1〜4を参照して、複合障子100の構造を詳細に説明する。
【0011】
複合障子100は、例えば、基礎4に設置される枠体1と、第1障子2−1と、第2障子2−2と、第1調光部3−1と、第2調光部3−2とを備える。
【0012】
基礎4は、複合障子100の枠体1を支えるための土台であり、例えば、木、金属、コンクリートなどを長方形状に加工したものである。基礎4は、建物の床面などに固定される。基礎4に枠体1が設置されることにより、枠体1は、基礎4を介して、建物の床面などに自立するように設置される。なお、基礎4の代わりに、例えば、枠体1を建物の壁面、床面、天井面、開口部などに固定したり、天井から吊り下げたりすることで、複合障子100を建物に設置してもよい。
【0013】
枠体1は、4つの柱状部材である敷居部13、鴨居部10、柱部12及び柱部14を組み合わせて、四角の枠形状に形成される部材である。
【0014】
敷居部13は、第1障子2−1及び第2障子2−2を互いにX軸方向に移動可能なレール又は溝が形成された柱状の下枠である。敷居部13は、基礎4の上面に固定されX軸方向に伸びる。敷居部13は、柱部12と柱部14とを水平方向に連結する部材でもある。
【0015】
柱部12は、敷居部13のマイナスX軸方向の端部から敷居部13の上方に伸びる柱状の縦枠である。柱部14は、敷居部13のプラスX軸方向の端部から敷居部13の上方に伸びる柱状の縦枠である。
【0016】
鴨居部10は、第1障子2−1及び第2障子2−2を互いにX軸方向に移動可能なレール又は溝が形成された柱状の上枠である。鴨居部10は、柱部12と柱部14とを水平方向に連結する部材でもある。鴨居部10は、柱部12のプラスY軸方向の端部から、柱部14のプラスY軸方向の端部に渡って、Y軸方向に伸びる。Y軸方向は、複合障子100の縦幅方向、又は複合障子100の上下方向に等しい。
【0017】
第1障子2−1及び第2障子2−2は、互いのZ軸方向の位置がずれて、枠体1の内側に形成される開口部へ、移動可能に設けられる。Z軸方向は、複合障子100の奥行き方向に等しい。奥行き方向は、複合障子100の正面側から複合障子100の背面側に向かう方向、又はこの逆方向に等しい。背面は、複合障子100のプラスZ軸方向側の面である。
【0018】
第1障子2−1及び第2障子2−2のそれぞれは、上桟25a、下桟25c、縦桟25b、及び縦桟25dを組み合わせ四角の枠形状に形成される枠体25と、枠体25の内側に設けられ四角の枠形状に形成される付子20と、付子20の内側に設けられる格子形状の部材である組子21とを備える。四角の枠形状には、四隅の角部が直角の四角形だけでなく、四隅の角部が湾曲した四角形とみなせるものを含む。
【0019】
上桟25aは、X軸方向に伸びる柱状部材であり、枠体1の鴨居部10に移動可能に設置される。下桟25cは、X軸方向に伸びる柱状部材であり、枠体1の敷居部13に移動可能に設置される。縦桟25bは、下桟25cのX軸方向の一端から上桟25aのX軸方向の一端に向かって、プラスY軸方向に伸びる柱状部材である。縦桟25dは、下桟25cのX軸方向の他端から上桟25aのX軸方向の他端に向かって、プラスY軸方向に伸びる柱状部材である。なお縦桟25b及び縦桟25dには、不図示の引手を設けてもよい。
【0020】
付子20は、柱状の角材20a、角材20b、角材20c及び角材20dを組み合わせて、四角の枠形状に形成される部材である。付子20は、枠体25の内側面に固定される。
【0021】
組子21は、第1傾斜部材22と、第2傾斜部材24と、水平部材23と、複数の横子21a1と、複数の横子21a2と、複数の縦子21b1と、複数の縦子21b2とを備える。第1障子2−1の組子21は、第1意匠を構成する第1意匠層である。第2障子2−2の組子21は、第2意匠を構成する第2意匠層である。第1傾斜部材22と、第2傾斜部材24と、水平部材23と、複数の横子21a1と、複数の横子21a2と、複数の縦子21b1と、複数の縦子21b2とは、特定の模様を構成する。この特定の模様により、第1意匠及び第2章のそれぞれが構成される。
【0022】
第1傾斜部材22の一端は、例えば、付子20の内側面の内、角材20aの端部寄りの部分に接続される。角材20aの端部寄りの部分は、例えば、角材20aと角材20bとが交わる角部に近い部分である。第1傾斜部材22は、当該部分を起点にして、XY平面上において、角材20aの伸びる方向(X軸方向)に対して一定角度で、角材20dに向かって伸びる。当該一定角度は、例えば45°であるが、これに限定されず、例えば35°〜50°の特定の角度でもよい。
【0023】
なお、本実施の形態では、第1傾斜部材22の一端が角材20aの端部寄りの部分に接続されるが、第1傾斜部材22の一端と当該部分との間に、例えば数mm〜数十mmの範囲で、僅かな隙間を設けてもよい。この構成の場合でも、第1傾斜部材22は、複数の横子21a1及び複数の縦子21b1により支持される。第1傾斜部材22を、付子20の内側面に接続させるか、付子20の内側面から一定距離離れた位置に設けるかにより、組子21のデザインの自由度を高めることができる。
【0024】
第1傾斜部材22の他端は、例えば、複数の縦子21b1の内、角材20dの最も近くに設けられる部分に接続される。なお、第1傾斜部材22の他端は、角材20dまで伸ばして、角材20dに接続してもよい。第1傾斜部材22を、角材20dまで伸ばすか否かにより、組子21のデザインの自由度を高めることができる。
【0025】
第2傾斜部材24の一端は、例えば、付子20の内側面の内、角材20bの端部寄りの部分に接続される。角材20bの端部寄りの部分は、例えば、角材20cと角材20bとが交わる角部に近い部分である。第2傾斜部材24は、当該部分を起点にして、XY平面上において、角材20cの伸びる方向(X軸方向)に対して一定角度で、角材20dに向かって伸びる。当該一定角度は、例えば45°であるが、例えば35°〜50°の特定の角度でもよい。
【0026】
なお、本実施の形態では、第2傾斜部材24が角材20bの端部寄りの部分に接続されるが、第2傾斜部材24の一端と当該部分との間に、例えば数mm〜数十mmの範囲で、僅かな隙間を設けてもよい。この構成の場合でも、第2傾斜部材24は、複数の横子21a2及び複数の縦子21b2により支持される。第2傾斜部材24を、付子20の内側面に接続させるか、付子20の内側面から一定距離離れた位置に設けるかにより、組子21のデザインの自由度を高めることができる。
【0027】
第2傾斜部材24の他端は、例えば、複数の縦子21b2の内、角材20dの最も近くに設けられる部分に接続される。なお、第2傾斜部材24の他端は、角材20dまで伸ばして、角材20dに接続してもよい。第2傾斜部材24を、角材20dまで伸ばすか否かにより、組子21のデザインの自由度を高めることができる。
【0028】
水平部材23は、例えば、角材20bの中央部分と、角材20dの中央部分とを結ぶ仮想線上に設けられる。角材20bの中央部分は、例えば、Y軸方向に伸びる角材20bを上側領域と下側領域に二等分する位置に等しい。角材20dの中央部分は、例えば、Y軸方向に伸びる角材20dを上側領域と下側領域に二等分する位置に等しい。なお、これらの位置は、例えば、当該位置から、数mm〜数十mmの範囲で僅かにずれた位置でもよい。
【0029】
水平部材23の一端は、例えば、複数の縦子21b1及び縦子21b2の内、角材20bの最も近くに設けられる部分に接続される。水平部材23は、当該部分を起点にして、XY平面上において、角材20aと平行に、角材20dに向かって伸びる。なお、水平部材23の一端は、角材20bまで伸ばして、角材20bに接続してもよい。水平部材23を、角材20bまで伸ばすか否かにより、組子21のデザインの自由度を高めることができる。
【0030】
水平部材23の他端は、例えば、複数の縦子21b1及び縦子21b2の内、角材20dの最も近くに設けられる部分に接続される。なお、水平部材23の他端は、角材20dまで伸ばして、角材20dに接続してもよい。水平部材23を、角材20dまで伸ばすか否かにより、組子21のデザインの自由度を高めることができる。
【0031】
複数の横子21a1は、第1傾斜部材22、角材20a及び角材20dによって囲まれる空間に設けられる。複数の横子21a1の数は、例えば、12である。複数の横子21a1のそれぞれの一端は、第1傾斜部材22に接続される。複数の横子21a1のそれぞれの他端は、角材20dに接続される。複数の横子21a1は、角材20aと平行にX軸方向に伸び、かつ、それぞれが互いにY軸方向に一定距離D
4離れて配列される。
【0032】
複数の横子21a1の内、角材20aに隣接する横子21a1は、角材20aからY軸方向に一定距離D
2離れて配列される。複数の横子21a1によって、第1傾斜部材22、角材20a及び角材20dによって囲まれる空間に、概略三角形状の格子の意匠が形成される。この概略三角形状の格子により、複合障子100の正面側から複合障子100の背面側の空間を視認でき、又は、複合障子100の背面側から複合障子100の正面側の空間を視認できる。
【0033】
複数の横子21a2は、第2傾斜部材24、角材20c及び角材20dによって囲まれる空間に設けられる。複数の横子21a2の数は、例えば、12である。複数の横子21a2のそれぞれの一端は、第2傾斜部材24に接続される。横子21a2は、当該接続点を起点にして、角材20dに向かって、角材20cと平行にX軸方向に伸びる。複数の横子21a2のそれぞれの他端は、角材20dに接続される。複数の横子21a2は、それぞれが互いにY軸方向に一定距離D
4離れて配列される。
【0034】
複数の横子21a2の内、角材20cに隣接する横子21a2は、角材20cからY軸方向に一定距離D
1離れて配列される。複数の横子21a2によって、第2傾斜部材24、角材20c及び角材20dによって囲まれる空間に、概略三角形状の格子の意匠が形成される。この概略三角形状の格子により、複合障子100の正面側から複合障子100の背面側の空間を視認でき、又は、複合障子100の背面側から複合障子100の正面側の空間を視認できる。
【0035】
複数の縦子21b1は、第1傾斜部材22、角材20b及び水平部材23によって囲まれる空間に設けられる。複数の縦子21b1の数は、例えば、12である。複数の縦子21b1のそれぞれの一端は、第1傾斜部材22に接続される。縦子21b1は、当該接続点を起点にして、水平部材23に向かって、角材20bと平行にY軸方向に伸びる。複数の縦子21b1のそれぞれの他端は、水平部材23に接続される。複数の縦子21b1は、それぞれが互いにX軸方向に一定距離D
31離れて配列される。複数の縦子21b1の内、角材20bに隣接する縦子21b1は、角材20bからY軸方向に一定距離D
32離れて配列される。
【0036】
複数の縦子21b1によって、第1傾斜部材22、角材20b及び水平部材23によって囲まれる空間に、概略三角形状の格子の意匠が形成される。この概略三角形状の格子により、複合障子100の正面側から複合障子100の背面側の空間を視認でき、又は、複合障子100の背面側から複合障子100の正面側の空間を視認できる。
【0037】
複数の縦子21b2は、第2傾斜部材24、角材20b及び水平部材23によって囲まれる空間に設けられる。複数の縦子21b2の数は、例えば、12である。複数の縦子21b2のそれぞれの一端は、第2傾斜部材24に接続される。縦子21b2は、当該接続点を起点にして、水平部材23に向かって、角材20bと平行にY軸方向に伸びる。複数の縦子21b2のそれぞれの他端は、水平部材23に接続される。複数の縦子21b2は、それぞれが互いにX軸方向に一定距離D
31離れて配列される。複数の縦子21b2の内、角材20bに隣接する縦子21b2は、角材20bからY軸方向に一定距離D
32離れて配列される。
【0038】
複数の縦子21b2によって、第2傾斜部材24、角材20b及び水平部材23によって囲まれる空間に、概略三角形状の格子の意匠が形成される。この概略三角形状の格子により、複合障子100の正面側から複合障子100の背面側の空間を視認でき、又は、複合障子100の背面側から複合障子100の正面側の空間を視認できる。
【0039】
このように構成される第1障子2−1及び第2障子2−2は、互いに同じ構造の枠体25、付子20及び組子21を備え、交線CLに対して点対称に配置される。交線CLは、縦方向中心面と横方向中心面とが交わる線である。縦方向中心面は、枠体1のY軸方向における中心を通り、かつ、XZ面に平行な仮想面である。枠体1のY軸方向における中心は、例えば、枠体1の内側に形成される開口部を上側領域と下側領域に二等分する位置に等しい。横方向中心面は、枠体1のX軸方向における中心を通り、かつ、YZに平行な仮想面である。枠体1のX軸方向における中心は、例えば、枠体1の内側に形成される開口部を右側領域と左側領域に二等分する位置に等しい。
【0040】
このように、第1障子2−1及び第2障子2−2が互いに同じ構造の枠体25、付子20及び組子21を備えることにより、これらを第1障子2−1及び第2障子2−2のそれぞれで異なる形状にする場合に比べて、製造が容易化され、また複合障子100の量産効果が期待できる。
【0041】
また、第1障子2−1及び第2障子2−2が、交線CLに対して点対称に配置されることにより、第1障子2−1の横子21a1をX軸方向に延長した仮想線は、第2障子2−2の隣接する2つの横子21a2の間の隙間に位置する。第1障子2−1の横子21a2をX軸方向に延長した仮想線は、第2障子2−2の隣接する2つの横子21a1の間の隙間に位置する。このように、本実施の形態に係る複合障子100では、第1障子2−1の横子21a1及び横子21a2の位置が、第2障子2−2の横子21a1及び横子21a2の位置とずれている。
【0042】
また、横子21a1又は横子21a2のY軸方向における幅W
4は、隣接する横子21a1間の距離D
4、又は隣接する横子21a2間の距離D
4よりも狭い。
【0043】
また、縦子21b1又は縦子21b2のX軸方向における幅W
3は、隣接する縦子21b1間の距離D
31、又は隣接する縦子21b2間の距離D
31よりも狭い。
【0044】
図3に示すように、第1障子2−1には、第1障子2−1に向き合い透明度を変更可能な板状の調光部である第1調光部3−1が設けられる。透明は、可視光線を透過できることを意味する。透明度を変更する、すなわち透過率を変更することにより、風景の濃淡を制御したり、第1意匠、第2意匠、及び第3意匠のそれぞれの濃淡を制御(パターンの濃淡を制御)したりすることができ、意匠の見え方を変えることができる。板状には、厚さ方向(Z軸方向)の寸法に比べて、長さ方向及び幅方向(X軸方向及びY軸方向)の寸法が大きく、厚さ方向の表面及び裏面が、何れも平坦面である形態、表面及び裏面の一方又は両方が曲面である形態が含まれる。調光部は、調光ガラス、調光フィルム、調光パネル、電子ペーパー、導光板照明、有機EL照明、透明液晶や透明有機ELなどである。調光部は、透明ディスプレイとしての機能を有していてもよい。例えば、導光板照明は、透明導光板をLEDなどの光源から照射される光でエッジ又は面部から照らすことによって発光させるパネルであり、光源から照射される光の強度や色調を変化させることにより、透明度を変化させることができる。また、透明液晶、透明有機ELは、投影する映像によって調光部の透明度を変化させる目的で利用される。なお、これらの調光部は、例えば調光部の全体を単色(例えば白濁色)に変化させるものでもよいし、映像(例えば、後述する格子模様や、風景、イラスト・文字表示)を映し出すことによって可視光線の透過の程度を変化させるものでもよい。なお、調光部の透明度を変化させる方法としては、例えば、エレクトロクロミック方式、ガスクロミック方式を例示できる。
【0045】
エレクトロクロミック方式の調光部では、調光材料層を調光材料層の両側からフィルム電極で挟み、これらのフィルム電極に直流又は交流の電圧を印加する。エレクトロクロミック方式の調光部としては、例えば、高分子分散型液晶(Polymer Dispersed Liquid Cristal)を用いたもの、電解質層と酸化タングステン(WO3)を用いた調光層とを透明電極で挟み込んだ構造のもの、電解質層とマグネシウム・ニッケル合金層とを透明電極で挟み込んだ構造のもの、ガラス基板上に、酸化インジウムスズ(ITO)層、酸化タングステン層、酸化タンタル層、パラジウム層、マグネシウム合金層を積層した構造のもの(非特許文献1参照)などがある。(非特許文献1:K. Tajima et al., "Near colorless all-solid-state switchable mirror based on magnesium-titanium thin film", JOURNAL OF APPLIED PHYSICS 103, 013512, American Institute of Physics, 2008.)。ガスクロミック方式の調光部では、調光材料膜を、例えば酸素又は水素のガスにさらすことにより、調光材料膜の酸化又は還元を行う。ガスクロミック方式の調光部としては、例えば、白金などの触媒層により被覆した酸化タングステン(WO3)の膜を用いたもの(非特許文献2参照)などがある。(非特許文献2:A. Georg et al., "Switchable windows with tungsten oxide", Vacuum 82, Elsevier Ltd., 2008, pp. 730-735)。なお、調光部の透明度を変化させる方法は、これらに限定されるものではない。
【0046】
第1調光部3−1は、第1障子2−1と一体になって水平方向へ移動可能に設けられている。第1調光部3−1は、第1障子2−1が備える第1意匠層である組子21に向き合い透明度を変更可能な調光部である。第1調光部3−1は、例えば、第1障子2−1のプラスZ軸方向側(背面側)に設けられる。なお、第1調光部3−1は、第1障子2−1と一体になって水平方向へ移動可能に設けられていればよく、例えば、第1障子2−1のマイナスZ軸方向側(正面側)に設けてもよい。また、第1調光部3−1は、第1障子2−1に接していてもよいし、第1障子2−1から一定距離(例えば数mm程度)離れた位置に設けられていてもよい。
【0047】
第2障子2−2には、第2障子2−2に向き合う第2調光部3−2が設けられる。第2調光部3−2は、第2障子2−2が備える第2意匠層である組子21に向き合い透明度を変更可能な調光部であり、第1調光部3−1と同様に構成される。第2調光部3−2は、例えば第2障子2−2のプラスZ軸方向側(背面側)に設けられる。なお、第2調光部3−2は、第2障子2−2と一体になって水平方向へ移動可能に設けられていればよく、例えば第2障子2−2のマイナスZ軸方向側(正面側)に設けてもよい。
【0048】
図4に示すように、第1調光部3−1は、第1障子2−1の縦桟25bなどに形成される窪みである凹部25b1へ嵌め合わされることで、第1障子2−1に固定される。なお、衝撃が加えられた際、第1調光部3−1の割れなどを防止するため、凹部25b1に、例えば緩衝材26が設けられ、第1調光部3−1は、この緩衝材26を介して凹部25b1に固定することが好ましい。
【0049】
第1障子2−1の縦桟25bなどは、枠体1の柱部12などに固定される。枠体1は、例えばアルミニウム、金属の柱状部材1aの外側に、木を筒状に形成した筒状部材1bを組み合わせたがものである。なお、第2調光部3−2は、第1調光部3−1と同様に、第2障子2−2の縦桟25bなどに固定される。
【0050】
次に、
図5A〜
図5Cと
図6A〜
図6Eを参照して、第1調光部3−1及び第2調光部3−2の透明度を変えて、第1障子2−1及び第2障子2−2を移動させたときの様子を説明する。
【0051】
図5Aは複合障子100が閉じている第1状態を示す図である。
図5Aには、正面側から平面視した複合障子100が示される。
図5Aの複合障子100では、第1調光部3−1及び第2調光部3−2が何れも不透明である。
【0052】
この場合、複合障子100の背面側の風景や景色を、複合障子100の正面側から見ることはできないが、枠体25、付子20及び組子21などで構成される特徴的な意匠性を備えた格子形状を、鮮明に見ることができる。
【0053】
図5Bは、複合障子100が閉じている第2状態を示す図である。
図5Bには、
図5Aと同様に、正面側から平面視した複合障子100が示される。
図5Aの複合障子100では、第1調光部3−1及び第2調光部3−2が何れも透明である。
【0054】
この場合、例えば複合障子100の背面側に存在する風景が、第1障子2−1及び第2障子2−2の意匠部を構成する組子21などに重なって見える。和紙、ガラスが張られた従来の障子では、格子模様のみが提供されるが、本実施の形態に係る複合障子100によれば、デザイン性の高い格子と調光機能とを併せ持つ構造にすることで、組子21など日本の伝統的な意匠美と、例えば庭園のほうき目、竹林の風景とを融合させて、ユーザに提供することができる。
【0055】
図5Cは第2障子2−2を移動させた状態を示す図である。
図5Cの複合障子100では、第1調光部3−1及び第2調光部3−2が何れも不透明である。第2障子2−2をマイナスX軸方向に移動させることで、第1障子2−1の正面側に第2障子2−2の全体が重なると、複合障子100の枠体1には開口部5が形成される。
【0056】
この場合、例えば複合障子100の背面側に存在する風景が開口部5を介してユーザに提供されると共に、第2障子2−2の格子模様がユーザに提供される。
【0057】
図6Aは第1調光部3−1及び第2調光部3−2が何れも透明の状態で第2障子2−2を移動させた第1状態を示す図である。
図6Aでは、第2障子2−2が僅かに移動することで、枠体1に小さな開口部5が形成される。さらに、第1障子2−1と第2障子2−2とが重なる部分に、新たな格子模様6が現れることが分かる。格子模様6は、第1障子2−1の横子21a1及び横子21a2の位置が、第2障子2−2の横子21a1及び横子21a2の位置とずれていることで現れる、新たな意匠である。当該新たな意匠は、前述した第1意匠及び第2意匠とは異なる第3意匠の一例である。
【0058】
図6Bは第1調光部3−1及び第2調光部3−2が何れも透明の状態で第2障子2−2を移動させた第2状態を示す図である。第2障子2−2をさらに移動させて、第1障子2−1と第2障子2−2との重なりが大きくなると、この重なり部分に、格子模様6に加えて、新たな格子模様7及び格子模様8が現れる。
【0059】
格子模様7は、第1障子2−1の縦子21b1が、第2障子2−2の横子21a2と重なることで現れる、新たな意匠である。また、格子模様7は、第1障子2−1の縦子21b2が、第2障子2−2の横子21a1と重なることで現れる、新たな意匠である。当該新たな意匠は、前述した第1意匠及び第2意匠とは異なる第3意匠の一例である。
【0060】
格子模様8は、互いに重なった第1障子2−1及び第2障子2−2を正面側又は背面側から平面視したときに、第1障子2−1の縦子21b1の位置と、第2障子2−2の縦子21b2の位置とが、僅かにずれることで現れる、新たな意匠でもある。当該新たな意匠は、前述した第1意匠及び第2意匠とは異なる第3意匠の一例である。
【0061】
図6Cは第1調光部3−1及び第2調光部3−2が何れも透明の状態で第2障子2−2を移動させた第3状態を示す図である。
図6Bの状態から、第2障子2−2をさらに移動させて、第1障子2−1と第2障子2−2との重なりが大きくなるほど、第1障子2−1と第2障子2−2のそれぞれに形成される格子模様の面積に対して、格子模様6、格子模様7、及び格子模様8のそれぞれの面積が、
図6Cに示すように大きくなる。
【0062】
図6Dは第1調光部3−1及び第2調光部3−2が何れも透明の状態で第2障子2−2を移動させた第4状態を示す図である。
図6Cの状態から、第2障子2−2をさらに移動させて、第1障子2−1と第2障子2−2との重なりがより大きくなると、第1障子2−1と第2障子2−2のそれぞれに形成される元の格子模様が殆ど見えなくなる。
【0063】
図6Eは第1調光部3−1及び第2調光部3−2が何れも透明の状態で第2障子2−2を移動させた第5状態を示す図である。
図6Eに示すように、第1障子2−1の正面側に第2障子2−2の全体が重なると、第1障子2−1及び第2障子2−2のそれぞれの元の格子模様とは異なる新たな格子模様9が現れる。
【0064】
格子模様9は、6角形の模様である。格子模様9は、互いに重なった第1障子2−1及び第2障子2−2を正面側又は背面側から平面視したときに、第1障子2−1の縦子21b1の位置と、第2障子2−2の縦子21b2の位置とが一致し、さらに、第1障子2−1及び第2障子2−2のそれぞれの第1傾斜部材22と第2傾斜部材24が交差することで現れる新たな意匠である。当該新たな意匠は、前述した第1意匠及び第2意匠とは異なる第3意匠の一例である。
【0065】
さらに、例えば複合障子100の背面側に存在する風景が、格子模様7、格子模様8、格子模様9などに重なって見える。このように、第1調光部3−1及び第2調光部3−2が何れも透明の状態で、格子模様7、格子模様8、格子模様9などに、複合障子100の背面側に存在する風景が重なることにより、複合障子100が不透明状態かつ閉じている状態では、体験できない新たな意匠美と、風景とを融合させて、ユーザに提供することができ、さらに、従来の障子では体験できない空間演出性を向上させることができる。空間演出は、室内などの空間を魅力的に感じさせるための工夫である。さらに調光部(第1調光部3−1及び第2調光部3−2など)に映像を投影した場合には、模様部(格子模様6、格子模様7、格子模様8、格子模様9など)と調光部との投影像に、複合障子100の背面の風景が重なることにより、さらに空間演出性を高めることもできる。
【0066】
次に、
図7〜
図20を参照して本実施の形態に係る複合障子100の変形例について説明する。以下では、複合障子100と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分について述べる。
【0067】
図7は第1変形例に係る複合障子100Aの斜視図である。
図8は複合障子100Aを正面側から平面視した図である。
図9は
図8のIX−IX矢視断面図である。
図10は
図9の部分拡大図である。
【0068】
図7などに示す複合障子100Aは、第1障子2−1及び第2障子2−2の代わりに、第1障子2−1A及び第2障子2−2Aを備える。
【0069】
第1障子2−1A及び第2障子2−2Aは、それぞれが組子21の代わりに、組子21Aを備える。
【0070】
組子21Aでは、横子21a1、横子21a2、縦子21b1及び縦子21b2のそれぞれの数が、12から15へ変更されている。
【0071】
横子21a1、横子21a2、縦子21b1及び縦子21b2のそれぞれの数が増加したことで、隣接する横子21a1間の距離又は隣接する横子21a2間の距離D
4が狭くなり、また、隣接する縦子21b1間の距離又は隣接する縦子21b2間の距離D
31が狭くなっている。
【0072】
図9に示すように、第1障子2−1Aには第1調光部3−1が設けられる。また、第2障子2−2Aには第2調光部3−2が設けられる。なお、第1調光部3−1は、一例として、第1障子2−1AのマイナスZ軸方向側(正面側)に設けられているが、第1障子2−1AのプラスZ軸方向側(背面側)に設けてもよい。
【0073】
図10に示すように、第1調光部3−1は、第1障子2−1Aの縦桟25bなどに形成される窪みである凹部25b1へ嵌め合わされることで、第1障子2−1Aに固定される。第2調光部3−2は、第1調光部3−1と同様に、第2障子2−2Aの縦桟25bなどに固定される。
【0074】
次に、
図11A〜
図11Cと
図12A〜
図12Eを参照して、第1調光部3−1及び第2調光部3−2の透明度を変えて、第1障子2−1A及び第2障子2−2Aを移動させたときの様子を説明する。
【0075】
図11Aは複合障子100Aが閉じている第1状態を示す図である。
図11Aには、正面側から平面視した複合障子100Aが示される。
図11Aの複合障子100Aでは、第1調光部3−1及び第2調光部3−2が何れも不透明である。
【0076】
この場合、第1障子2−1Aの背面側の風景や景色、さらに第1障子2−1Aの格子形状は、第1障子2−1Aの正面側から見ることはできない。しかしながら、第2障子2−2Aの格子形状を鮮明に見ることはできる。
【0077】
図11Bは、複合障子100Aが閉じている第2状態を示す図である。
図11Bには、
図11Aと同様に、正面側から平面視した複合障子100Aが示される。
図11Bの複合障子100Aでは、第1調光部3−1及び第2調光部3−2が何れも透明である。
【0078】
この場合、例えば複合障子100Aの背面側に存在する風景が、第1障子2−1A及び第2障子2−2Aの意匠部を構成する組子21Aなどに重なって見える。従って、複合障子100Aによれば、デザイン性の高い格子と調光機能とを併せ持つ構造にすることで、組子21Aなど日本の伝統的な意匠美と、例えば庭園のほうき目、竹林の風景とを融合させて、ユーザに提供することができる。
【0079】
図11Cは第2障子2−2Aを移動させた状態を示す図である。
図11Cには、
図11Aと同様に、正面側から平面視した複合障子100Aを示される。
図11Cの複合障子100Aでは、第1調光部3−1及び第2調光部3−2が何れも不透明の状態である。
【0080】
第2障子2−2AをマイナスX軸方向に移動させることで、第1障子2−1Aの正面側に第2障子2−2Aの全体が重なると、複合障子100Aの枠体1には開口部5が形成される。
【0081】
この場合、例えば複合障子100Aの背面側に存在する風景が開口部5を介してユーザに提供されると共に、第2障子2−2Aの格子模様がユーザに提供される。
【0082】
図12Aは第1調光部3−1及び第2調光部3−2が何れも透明の状態で第2障子2−2Aを移動させた第1状態を示す図である。
図12Aでは、第2障子2−2Aが僅かに移動することで、小さな開口部5が形成されると共に、第1障子2−1Aと第2障子2−2Aとが重なる部分に、新たな格子模様6が現れることが分かる。
【0083】
格子模様6は、第1障子2−1Aの横子21a1及び横子21a2の位置が、第2障子2−2Aの横子21a1及び横子21a2の位置とずれると共に、距離D
4及び距離D
31が狭くなることで現れる、新たな意匠である。
【0084】
図12Bは第1調光部3−1及び第2調光部3−2が何れも透明の状態で第2障子2−2Aを移動させた第2状態を示す図である。第2障子2−2Aをさらに移動させて、第1障子2−1Aと第2障子2−2Aとの重なりが大きくなると、この重なり部分に、格子模様6に加えて、新たな格子模様7と格子模様8が現れる。
【0085】
格子模様7は、第1障子2−1Aの縦子21b1が、第2障子2−2Aの横子21a2と重なることで現れる、新たな意匠である。また、格子模様7は、第1障子2−1Aの縦子21b2が、第2障子2−2Aの横子21a1と重なることで現れる、新たな意匠でもある。
【0086】
格子模様8は、互いに重なった第1障子2−1A及び第2障子2−2Aを正面側又は背面側から平面視したときに、距離D
31が狭くなることで現れる、モアレ状の模様である。モアレは、干渉縞ともいい、規則正しい繰り返し模様を複数重ね合わせた時に、それらの周期のずれにより視覚的に発生する縞模様のことである。
【0087】
図12Cは第1調光部3−1及び第2調光部3−2が何れも透明の状態で第2障子2−2Aを移動させた第3状態を示す図である。
図12Bの状態から、第2障子2−2Aをさらに移動させて、第1障子2−1Aと第2障子2−2Aとの重なりが大きくなるほど、第1障子2−1Aと第2障子2−2Aのそれぞれに形成される格子模様の面積に対して、格子模様6、格子模様7、及び格子模様8のそれぞれの面積が大きくなる。
【0088】
図12Dは第1調光部3−1及び第2調光部3−2が何れも透明の状態で第2障子2−2Aを移動させた第4状態を示す図である。
図12Cの状態から、第2障子2−2Aをさらに移動させて、第1障子2−1Aと第2障子2−2Aとの重なりがより大きくなると、第1障子2−1Aと第2障子2−2Aのそれぞれに形成される元の格子模様が殆ど見えなくなる。
【0089】
図12Eは第1調光部3−1及び第2調光部3−2が何れも透明の状態で第2障子2−2Aを移動させた第5状態を示す図である。
図12Eに示すように、第1障子2−1Aの正面側に第2障子2−2Aの全体が重なると、第1障子2−1A及び第2障子2−2Aのそれぞれの元の格子模様とは異なる新たな格子模様9が現れる。格子模様9は、モアレ状の6角形の模様である。
【0090】
さらに、複合障子100Aの背面側に存在する風景が、格子模様7などに重なって見える。このように、第1調光部3−1及び第2調光部3−2が何れも透明の状態で、第1障子2−1A及び第2障子2−2Aのそれぞれの格子模様とは異なる格子模様7などに、複合障子100Aの背面側に存在する風景が重なることにより、複合障子100Aが不透明状態かつ閉じている状態では体験できない新たな意匠美と、風景とを融合させて、ユーザに提供することができる。
【0091】
図13は第2変形例に係る複合障子100Bの斜視図である。
図14は複合障子100Bを正面側から平面視した図である。
図15は
図14のXV−XV矢視断面図である。
図16は
図15の部分拡大図である。
【0092】
図13などに示す複合障子100Bは、
図1に示す第1障子2−1及び第2障子2−2の代わりに、第1障子2−1B及び第2障子2−2Bを備え、第1障子2−1B及び第2障子2−2Bは、それぞれが組子21の代わりに、組子21Bを備える。
【0093】
また、第1障子2−1B及び第2障子2−2Bは、互いの組子21Bが、交線CLと直交し、かつ、YZ平面と平行な横方向中心線に対して、線対称に配置される。すなわち、第1障子2−1Bの正面側と背面側を、Y軸を中心に反転させたものが、第2障子2−2Bとなる。従って、複合障子100Bでは、第1障子2−1Bの横子21a1及び横子21a2のY軸方向の位置が、第2障子2−2Bの横子21a1及び横子21a2のY軸方向の位置と同じである。
【0094】
図15に示すように、第1障子2−1Bには第1調光部3−1が設けられる。また、第2障子2−2Bには第2調光部3−2が設けられる。なお、第1調光部3−1は、一例として、第1障子2−1BのプラスZ軸方向側(背面側)に設けられているが、第1障子2−1BのマイナスZ軸方向側(正面側)に設けてもよい。
【0095】
図16に示すように、第1調光部3−1は、第1障子2−1Bの縦桟25bなどに形成される窪みである凹部25b1へ嵌め合わされることで、第1障子2−1Bに固定される。第2調光部3−2は、第1調光部3−1と同様に、第2障子2−2Bの縦桟25bなどに固定される。
【0096】
第2変形例に係る複合障子100Bによれば、
図1に示す複合障子100と同様に、デザイン性の高い格子と調光機能とを併せ持つ構造にすることで、組子21など日本の伝統的な意匠美と、例えば庭園のほうき目、竹林の風景とを融合させて、ユーザに提供することができる。
【0097】
また、複合障子100Bでは、第1障子2−1Aの横子21a1及び横子21a2のY軸方向の位置が、第2障子2−2Aの横子21a1及び横子21a2のY軸方向の位置と同じである。そのため、横子21a1及び横子21a2の重なる部分には、例えば、
図6Eに示すような格子模様6は現れない。しかしながら、当該部分にも、複合障子100Bの背面側に存在する風景を重ねることができるため、風景と融合した新たな意匠領域が増えると共に、すっきりとした印象のデザインをユーザに提供できる。
【0098】
図17は第3変形例に係る複合障子100Cの斜視図である。
図18は複合障子100Cを正面側から平面視した図である。
図19は
図18のXVIII−XVIII矢視断面図である。
図20は
図19の部分拡大図である。
【0099】
図17などに示す複合障子100Cは、
図7に示す第1変形例の複合障子100Aが備える第1障子2−1A及び第2障子2−2Aの代わりに、第1障子2−1C及び第2障子2−2Cを備え、第1障子2−1C及び第2障子2−2Cは、それぞれが組子21Aの代わりに、組子21Cを備える。
【0100】
また、第1障子2−1C及び第2障子2−2Cは、互いの組子21Cが、交線CLと直交し、かつ、YZ平面と平行な横方向中心線に対して、線対称に配置される。すなわち、第1障子2−1Cの正面側と背面側を、Y軸を中心に反転させたものが、第2障子2−2Cとなる。従って、複合障子100Cでは、第1障子2−1Cの横子21a1及び横子21a2のY軸方向の位置が、第2障子2−2Cの横子21a1及び横子21a2のY軸方向の位置と同じである。従って、複合障子100Cでは、第1障子2−1Cの横子21a1及び横子21a2の位置が、第2障子2−2Cの横子21a1及び横子21a2の位置と同じである。
【0101】
図19に示すように、第1障子2−1Cには第1調光部3−1が設けられる。また、第2障子2−2Cには第2調光部3−2が設けられる。なお、第1調光部3−1は、一例として、第1障子2−1CのマイナスZ軸方向側(正面側)に設けられているが、第1障子2−1CのプラスZ軸方向側(背面側)に設けてもよい。
【0102】
図20に示すように、第1調光部3−1は、第1障子2−1Cの縦桟25bなどに形成される窪みである凹部25b1へ嵌め合わされることで、第1障子2−1Cに固定される。第2調光部3−2は、第1調光部3−1と同様に、第2障子2−2Cの縦桟25bなどに固定される。
【0103】
第3変形例に係る複合障子100Cによれば、
図1に示す複合障子100と同様に、デザイン性の高い格子と調光機能とを併せ持つ構造にすることで、組子21など日本の伝統的な意匠美と、例えば庭園のほうき目、竹林の風景とを融合させて、ユーザに提供することができる。
【0104】
また、複合障子100Cでは、複合障子100Bと同様に、横子21a1及び横子21a2の重なる部分に、例えば、
図6Eに示すような格子模様6は現れない。しかしながら、当該部分にも、複合障子100Cの背面側に存在する風景を重ねることができるため、風景と融合した新たな意匠領域が増えると共に、すっきりとした印象のデザインをユーザに提供できる。
【0105】
本実施の形態では、複合障子100〜複合障子100Cの各部寸法を、以下のとおりに設定した。下記寸法は、何れも本実施の形態に記載する好ましい寸法の範囲に含まれる。
【0106】
(複合障子100)
横子21a2から角材20cまでの距離D
1:87.5mm
横子21a1から角材20aまでの距離D
2:62.5mm
隣接する縦子21b1間の距離又は隣接する縦子21b2間の距離D
31:35mm
縦子21b1から角材20bまでの距離又は縦子21b2から角材20bまでの距離D
32:58.5mm
縦子21b1から角材20dまでの距離又は縦子21b2から角材20dまでの距離D
33:58.5mm
隣接する横子21a1間の距離又は隣接する横子21a2間の距離D
4:35mm
枠体1のX軸方向における外寸L
1:1579mm
枠体1のX軸方向における内寸L
2:1499mm
枠体25のX軸方向における外寸L
3:762mm
枠体25のX軸方向における内寸L
4:712mm
枠体25のY軸方向における外寸L
5:1900mm
枠体25のY軸方向における内寸L
6:884mm
柱部12及び柱部14のX軸方向における幅W
1:40mm
水平部材23のY軸方向における幅W
2:20mm
縦子21b1又は縦子21b2のX軸方向における幅W
3:15mm
横子21a1又は横子21a2のY軸方向における幅W
4:15mm
第1傾斜部材22又は第2傾斜部材24の幅W
5:20mm
下桟25cのY軸方向における幅W
6:57mm
敷居部13のY軸方向における幅W
8:36mm
上桟25aのY軸方向における幅W
9:55mm
鴨居部10のY軸方向における幅W
10:40mm
縦桟25dのX軸方向における幅W
11:25mm
縦桟25bのX軸方向におけるW
12:25mm
柱部12及び柱部14のZ軸方向における幅W
13:100mm
【0107】
(複合障子100A)
横子21a2から角材20cまでの距離D
1:87.5mm
横子21a1から角材20aまでの距離D
2:62.5mm
隣接する縦子21b1間の距離又は隣接する縦子21b2間の距離D
31:20mm
縦子21b1から角材20bまでの距離又は縦子21b2から角材20bまでの距離D
32:58.5mm
縦子21b1から角材20dまでの距離又は縦子21b2から角材20dまでの距離D
33:58.5mm
隣接する横子21a1間の距離又は隣接する横子21a2間の距離D
4:20mm
枠体1のX軸方向における外寸L
1:1579mm
枠体1のX軸方向における内寸L
2:1499mm
枠体25のX軸方向における外寸L
3:762mm
枠体25のX軸方向における内寸L
4:712mm
枠体25のY軸方向における外寸L
5:1900mm
枠体25のY軸方向における内寸L
6:884mm
柱部12及び柱部14のX軸方向における幅W
1:40mm
水平部材23のY軸方向における幅W
2:20mm
縦子21b1又は縦子21b2のX軸方向における幅W
3:20mm
横子21a1又は横子21a2のY軸方向における幅W
4:20mm
第1傾斜部材22又は第2傾斜部材24の幅W
5:20mm
下桟25cのY軸方向における幅W
6:57mm
敷居部13のY軸方向における幅W
8:36mm
上桟25aのY軸方向における幅W
9:55mm
鴨居部10のY軸方向における幅W
10:40mm
縦桟25dのX軸方向における幅W
11:25mm
縦桟25bのX軸方向におけるW
12:25mm
柱部12及び柱部14のZ軸方向における幅W
13:100mm
【0108】
(複合障子100B)
横子21a2から角材20cまでの距離D
1:87.5mm又は62.5mm
横子21a1から角材20aまでの距離D
2:87.5mm又は62.5mm
隣接する縦子21b1間の距離又は隣接する縦子21b2間の距離D
31:35mm
縦子21b1から角材20bまでの距離又は縦子21b2から角材20bまでの距離D
32:58.5mm
縦子21b1から角材20dまでの距離又は縦子21b2から角材20dまでの距離D
33:58.5mm
隣接する横子21a1間の距離又は隣接する横子21a2間の距離D
4:35mm
枠体1のX軸方向における外寸L
1:1579mm
枠体1のX軸方向における内寸L
2:1499mm
枠体25のX軸方向における外寸L
3:762mm
枠体25のX軸方向における内寸L
4:712mm
枠体25のY軸方向における外寸L
5:1900mm
枠体25のY軸方向における内寸L
6:884mm
柱部12及び柱部14のX軸方向における幅W
1:40mm
水平部材23のY軸方向における幅W
2:20mm
縦子21b1又は縦子21b2のX軸方向における幅W
3:15mm
横子21a1又は横子21a2のY軸方向における幅W
4:15mm
第1傾斜部材22又は第2傾斜部材24の幅W
5:20mm
下桟25cのY軸方向における幅W
6:57mm
敷居部13のY軸方向における幅W
8:36mm
上桟25aのY軸方向における幅W
9:55mm
鴨居部10のY軸方向における幅W
10:40mm
縦桟25dのX軸方向における幅W
11:25mm
縦桟25bのX軸方向におけるW
12:25mm
柱部12及び柱部14のZ軸方向における幅W
13:100mm
【0109】
(複合障子100C)
横子21a2から角材20cまでの距離D
1:87.5mm又は62.5mm
横子21a1から角材20aまでの距離D
2:87.5mm又は62.5mm
隣接する縦子21b1間の距離又は隣接する縦子21b2間の距離D
31:20mm
縦子21b1から角材20bまでの距離又は縦子21b2から角材20bまでの距離D
32:58.5mm
縦子21b1から角材20dまでの距離又は縦子21b2から角材20dまでの距離D
33:58.5mm
隣接する横子21a1間の距離又は隣接する横子21a2間の距離D
4:20mm
枠体1のX軸方向における外寸L
1:1579mm
枠体1のX軸方向における内寸L
2:1499mm
枠体25のX軸方向における外寸L
3:762mm
枠体25のX軸方向における内寸L
4:712mm
枠体25のY軸方向における外寸L
5:1900mm
枠体25のY軸方向における内寸L
6:884mm
柱部12及び柱部14のX軸方向における幅W
1:40mm
水平部材23のY軸方向における幅W
2:20mm
縦子21b1又は縦子21b2のX軸方向における幅W
3:20mm
横子21a1又は横子21a2のY軸方向における幅W
4:20mm
第1傾斜部材22又は第2傾斜部材24の幅W
5:20mm
下桟25cのY軸方向における幅W
6:57mm
敷居部13のY軸方向における幅W
8:36mm
上桟25aのY軸方向における幅W
9:55mm
鴨居部10のY軸方向における幅W
10:40mm
縦桟25dのX軸方向における幅W
11:25mm
縦桟25bのX軸方向におけるW
12:25mm
柱部12及び柱部14のZ軸方向における幅W
13:100mm
【0110】
なお、本実施の形態に係る複合障子100〜複合障子100Cは、木などで製作された枠体25、付子20及び組子21の代わりに、織物や編み物によって模様を表現してもよく、第1調光部3−1の表面に、枠体25、付子20及び組子21の形状が埋め込まれた、又は印刷された透明なシート部材やガラスなどを貼り付けてもよい。
【0111】
また、第1調光部3−1及び第2調光部3−2の透明度は、段階的に変化するように構成してもよい。これにより、2つの格子模様が重なることで得られる新たな意匠の見え方を細やかに変えることができ、さらに、格子模様と風景とが重なることで得られる新たな意匠の見え方も細やかに変えることができる。
【0112】
また、第1調光部3−1は、第1調光部3−1自体が透明度を変化させるものでもよいし、例えば、第1調光部3−1の外部に設けられる光源から発せられた光を受けて変化させてもよい。第2調光部3−2も同様である。この構成により、第1調光部3−1が透明度を自ら変化させるために複雑な機構を備えていなくとも、第1調光部3−1の外部に設けられる光源を利用して透明度を変更でき、第1調光部3−1の透明な領域を増やすことができ、格子模様と風景とが重なる領域を広げることができる。
【0113】
また、本実施の形態によれば、例えば、調光部を、昼は透明に変化させ、夜は不透明に変化させることで、建物の室内のプライバシーを保護することができる。また、例えば、調光部を不透明に変化させて、建物の室内への日射光を遮ることができ、室内温度の上昇を低減し、冷房に必要なエネルギーを軽減できる。
【0114】
また、調光制御によって、視線を制御したり、プライバシーを保ったり、解放感を演出したりと、シーンの切り替えが可能である。
【0115】
なお、本実施の形態の複合障子100は、枠体1を備えているが、枠体1を用いることなく、例えば建物の鴨居、敷居、壁、天井、床に直接、第1障子2−1及び第2障子2−2が設けられる構成でもよい。また、本実施の形態の複合障子100に用いられる第1障子2−1及び第2障子2−2は、障子戸としての利用以外にも、例えば、窓、自立パーティション、小ぶりな開口部などにも適用可能である。また、本実施の形態の複合障子100は、第1障子2−1及び第2障子2−2の内、一方が固定され他方が移動可能な、引き戸と壁のような用途にも、適用可能である。複合障子100A、複合障子100B及び複合障子100Cも同様である。
【0116】
また、本実施の形態の複合障子100は、格子模様が施された第1障子2−1及び第2障子2−2を備えるが、第1障子2−1及び第2障子2−2は、格子模様以外にも、例えば、複数のドットで構成される模様、複数のラインで構成される幾何学模様、隣り合う筋状又は帯状の模様の色調がグラデーション状に変化する模様、人物や風景などの具象の模様・絵画・イラスト・写真や、文字を使用した模様などを備えてもよい。グラデーション状は、特定の図画の中での位置が変わるとそれに応じて色調が連続的に変化する状態である。複合障子100A、複合障子100B及び複合障子100Cも同様である。
【0117】
また、本実施の形態の複合障子100は、第1障子2−1及び第2障子2−2の少なくとも一方の透明度を、第1障子2−1及び第2障子2−2の少なくとも一方の移動と連動して変化させ、又は第1障子2−1及び第2障子2−2の移動と独立して変化させるように構成してもよい。例えば、複合障子100の内部又は外部に設けられる制御装置が、第1障子2−1及び第2障子2−2の少なくとも一方の動きに連動して、第1障子2−1及び第2障子2−2の少なくとも一方の透明度を変化させる。また、当該制御装置が、第1障子2−1及び第2障子2−2の動きとは独立して、例えば、第1障子2−1及び第2障子2−2の外部状況に連動して、あるいは、ユーザの任意の設定により、第1障子2−1及び第2障子2−2の透明度を変化させてもよい。
【0118】
なお、第1障子2−1及び第2障子2−2の少なくとも一方の動きに連動して透明度を変化させる場合、後述する距離センサ以外にも、例えば、位置センサ、半機械的スイッチ、重量センサを用いてもよい。位置センサは、例えば、第1障子2−1及び第2障子2−2の移動をアシストする車輪の回転角度を交流電圧(アナログ信号)として出力するレゾルバ、ロータリーエンコーダ、第1障子2−1及び第2障子2−2の直線の位置検出するリニアエンコーダなどである。また、位置センサは、これらに限定されず、第1障子2−1及び第2障子2−2の移動位置を検出できるものであればよく、ホールセンサ、フォトインタラプタ、光電センサなどを利用してもよい。半機械的スイッチは、例えば、第1障子2−1及び第2障子2−2が移動すると接点が押し倒されて位置情報が出力されるリミットスイッチである。重量センサは、例えば移動する第1障子2−1及び第2障子2−2からの荷重に応じた値の信号を出力する静電容量重量センサである。
【0119】
また、第1障子2−1及び第2障子2−2の動きとは独立して透明度を変化させる場合、太陽光、気温、天候、時間帯(昼と夜)に合わせて透明度を変化させてもよいし、第1障子2−1及び第2障子2−2に人が近づいたことを検知して透明度を変化させてもよい。太陽光を利用する場合、例えば、第1障子2−1及び第2障子2−2に照射される太陽光の照射量を検出する照射センサで検出された照射量に応じて、透明度を変化させることができる。気温を利用する場合、例えば、第1障子2−1及び第2障子2−2の周囲の室内温度、外気温度などを検出する気温センサで検出された温度に応じて、透明度を変化させることができる。天候を利用する場合、例えば、インターネットで配信される天気情報に応じて、透明度を変化させることができる。時間帯を利用する場合、例えば早朝、日中、夜間、深夜などのそれぞれの時間帯と、これらの時間帯毎に異なる複数の透明度とを対応付けたテーブル情報を利用することで、時間帯に応じて、透明度を変化させることができる。人を検知して透明度を変化させる場合、例えば、第1障子2−1及び第2障子2−2の周囲に存在する人を検出する人感センサを利用できる。人感センサは、例えば、赤外線センサ、温度センサ、撮像カメラ、音センサなどである。赤外線センサは、第1障子2−1及び第2障子2−2の周囲に存在する顔又は体の表面から放射される赤外線量を検出し、検出信号として出力する。温度センサは、第1障子2−1及び第2障子2−2の周囲に存在する人の体温を検出し、検出信号として出力する。撮像カメラは、第1障子2−1及び第2障子2−2の周囲に存在する人を撮像して、撮像データとして出力する。音センサは、第1障子2−1及び第2障子2−2の周囲に存在する人が発する音声を収集して、音声データとして出力する。
【0120】
以下に、第1障子2−1及び第2障子2−2の透明度を変化させる構成例を説明する。
【0121】
第1障子2−1及び第2障子2−2の動きには、例えば、第1障子2−1及び第2障子2−2の少なくとも一方の移動方向、移動量又は位置などが含まれる。
【0122】
移動方向によって透明度を変化させる場合、制御装置は、プラスX軸方向(第1方向)に移動する第1障子2−1の透明度が、マイナスX軸方向(第2方向)に移動する第1障子2−1の透明度と異なるように、制御を行う。
【0123】
具体的には、例えば、枠体1の柱部12に設けられる距離センサが、第1障子2−1の角材20bまでの距離を計測する。計測された距離情報は、制御装置の移動方向検出部に入力される。
【0124】
制御装置の移動方向検出部は、入力した距離情報に基づき、時間の経過に伴って距離が長くなる場合には、第1障子2−1がプラスX軸方向に移動していると判定し、当該方向を示す信号である第1方向検出信号を透明度制御部に入力する。
【0125】
また、制御装置の移動方向検出部は、入力した距離情報に基づき、時間の経過に伴って距離が短くなる場合には、第1障子2−1がマイナスX軸方向に移動していると判定し、当該方向を示す信号である第2方向検出信号を透明度制御部に入力する。
【0126】
透明度制御部は、第1方向検出信号を入力した場合、透明度を高め、第2方向検出信号を入力した場合、透明度を低くして不透明状態に近づけるように、第1調光部3−1を制御する。
【0127】
また制御装置は、第2調光部3−2を、第1調光部3−1と同様に、第2調光部3−2の移動方向で透明度を制御してもよい。
【0128】
このように、移動方向によって透明度を変化させることで、例えば第1障子2−1と第2障子2−2とが、互いに近づく方向に移動するときには、互いの透明度を高めることで、新たな格子模様がユーザに提供され、互いに遠ざかる方向に移動するときには、互いの透明度を低くすることで、従来の障子と同様の格子模様がユーザに提供される。
【0129】
第1障子2−1の移動量によって第1障子2−1の透明度を変化させる場合、例えば、枠体1の柱部12に設けられる距離センサが、第1障子2−1の角材20bまでの距離を計測し、計測された距離情報が、制御装置の移動量検出部に入力される。
【0130】
制御装置の移動量検出部は、第1障子2−1が移動を開始する直前に入力した距離情報と、第1障子2−1が移動を完了した時点で入力した距離情報とを比較する。例えば、枠体1の柱部12から第1障子2−1の角材20bまでの距離が、移動前後で0mmから200mmに変化した場合、その差分が200mmとなり、この値を第1移動量情報として、透明度制御部に入力する。また、枠体1の柱部12から第1障子2−1の角材20bまでの距離が、移動前後で50mmから150mmに変化した場合、その差分が100mmとなり、この値を第2移動量情報として、透明度制御部に入力する。
【0131】
透明度制御部は、第1障子2−1の移動量と第1障子2−1の透明度とを対応付けたテーブル情報を参照して、移動量に対応した透明度となるように、第1調光部3−1を制御する。
【0132】
また制御装置は、第2調光部3−2を、第1調光部3−1と同様に、第2調光部3−2の移動量で透明度を制御してもよい。
【0133】
このように、移動量によって透明度を変化させることで、例えば、第1障子2−1が僅かに移動した場合には、通常の障子に張られる和紙と同等の透明度に制御され、第1障子2−1が大きく移動した場合には、透明なガラスと同等の透明度に制御される。これにより、第1障子2−1及び第2障子2−2の少なくとも一方のユーザによる移動量に連動する形で、新たな格子模様がユーザに提供され、又は従来の障子と同様の格子模様がユーザに提供される。
【0134】
第1障子2−1の位置によって第1障子2−1の透明度を変化させる場合、例えば、枠体1の柱部12に設けられる距離センサが、第1障子2−1の角材20bまでの距離を計測し、計測された距離情報が、制御装置の位置検出部に入力される。
【0135】
位置検出部は、入力した距離情報に基づき、第1障子2−1の角材20bの位置を検出する。例えば、柱部12の位置を特定位置として、特定位置からの距離によって、第1障子2−1の角材20bの位置を検出できる。位置検出部は、検出した位置を示す信号である位置検出信号を透明度制御部に入力する。
【0136】
透明度制御部に入力した透明度制御部は、第1障子2−1の位置と第1障子2−1の透明度とを対応付けたテーブル情報を参照して、位置に対応した透明度となるように、第1調光部3−1を制御する。
【0137】
また制御装置は、第2調光部3−2を、第1調光部3−1と同様に、第2調光部3−2の位置で透明度を制御してもよい。
【0138】
このように、位置によって透明度を変化させることで、例えば、第1障子2−1が柱部12の近くに存在するときには、和紙と同等の透明度に制御され、第1障子2−1が敷居部13の中央部に存在するときには、透明なガラスと同等の透明度に制御される。これにより、第1障子2−1及び第2障子2−2の少なくとも一方に連動する形で、新たな格子模様がユーザに提供され、又は従来の障子と同様の格子模様がユーザに提供される。
【0139】
また、本実施の形態の複合障子100は、2枚の障子(第1障子2−1及び第2障子2−2)を備えるが、複合障子100には3枚以上の障子を組み合わせてもよい。複合障子100A、複合障子100B及び複合障子100Cも同様である。
【0140】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。