特開2021-53918(P2021-53918A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-53918(P2021-53918A)
(43)【公開日】2021年4月8日
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20210312BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20210312BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20210312BHJP
   B41J 11/02 20060101ALI20210312BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20210312BHJP
   B41J 11/14 20060101ALI20210312BHJP
【FI】
   B41J2/17 207
   B41J2/01 451
   B41J2/165 207
   B41J2/01 301
   B41J2/01 401
   B41J11/02
   B65H7/14
   B41J11/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2019-178950(P2019-178950)
(22)【出願日】2019年9月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】内海 翔太
(72)【発明者】
【氏名】安藤 俊幸
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
3F048
【Fターム(参考)】
2C056EB06
2C056EB13
2C056EB25
2C056EB36
2C056EC24
2C056EC28
2C056EC35
2C056EC54
2C056FA13
2C056JC02
2C058AB01
2C058AC07
2C058AE04
2C058AF31
2C058DA11
2C058DA13
2C058DA39
2C058DC02
2C058DC08
2C058DC09
2C058DC20
3F048AA05
3F048AB01
3F048AB06
3F048AB07
3F048AC05
3F048BA05
3F048BB02
3F048BC01
3F048CB03
3F048CB05
3F048CC05
3F048CC16
3F048DA06
3F048DC14
3F048EA15
3F048EB22
(57)【要約】
【課題】装置の汚れを抑制することができる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置は、搬送されてくる印刷媒体Mdに液を吐出するライン型の液吐出手段たる記録ヘッド部401と、印刷媒体Mdおよび記録ヘッド部401と対向し、記録ヘッド部401からの空吐出液を受ける空吐出容器たるインク回収容器80とを備えている。この印刷装置では、記録ヘッド部401が空吐出するとき、インク回収容器80を記録ヘッド部401に接近させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてくる印刷媒体に液を吐出するライン型の液吐出手段と、
前記印刷媒体および前記液吐出手段と対向し、前記液吐出手段からの空吐出液を受ける空吐出容器とを備えた印刷装置において、
前記液吐出手段が空吐出するとき、前記空吐出容器を前記液吐出手段に接近させることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記空吐出容器は、前記印刷媒体の搬送方向に対して直交する方向である幅方向に複数設けられており、
搬送されてくる前記印刷媒体の幅を超える領域に配置された空吐出容器を、前記液吐出手段に接近させることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置において、
各空吐出容器に、前記印刷媒体を検出する印刷媒体検出手段を設け、
前記印刷媒体検出手段が前記印刷媒体を検出していない空吐出容器を前記液吐出手段に接近させることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷装置において、
各印刷媒体検出手段は、前記空吐出容器の前記幅方向の一端に取り付けられていることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項2乃至4いずれか一項に記載の印刷装置において、
複数の前記空吐出容器を選択的に昇降可能な昇降手段を有し、
前記昇降手段は、駆動源と、各空吐出容器に対応する複数のカムとを有し、
複数のカムのうち、少なくともひとつは、クラッチを介して前記駆動源の駆動力が伝達されることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷装置において、
前記昇降手段は、少なくとも一つのカムが取り付けられ、駆動源の駆動力により回転する複数のシャフトを備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項2乃至6いずれか一項に記載の印刷装置において、
少なくとも前記幅方向の両端に配置された空吐出容器は、前記幅方向の内側の端部が、前記幅方向に移動可能であることを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項7に記載の印刷装置において、
前記印刷媒体の蛇行を検知する蛇行検知手段を備え、
前記蛇行検知手段の検知結果に基づいて、前記幅方向の内側の端部が移動可能に構成された空吐出容器の前記幅方向の内側の端部を、前記幅方向に移動させることを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれか一項に記載の印刷装置において、
前記印刷媒体が連続紙であることを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記印刷媒体がカット紙であって、
紙間において、前記空吐出容器を前記液吐出手段に接近させることを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
請求項10に記載の印刷装置において、
前記空吐出容器に前記印刷媒体を検出する印刷媒体検出手段を備え、
前記印刷媒体検出手段の検出結果に基づいて、前記空吐出容器を前記液吐出手段に接近させることを特徴とする印刷装置。
【請求項12】
請求項11に記載の印刷装置において、
前記印刷媒体検出手段は、前記空吐出容器の搬送方向下流側の端部に設けたことを特徴とする印刷装置。
【請求項13】
請求項1乃至12いずれか一項に記載の印刷装置において、
前記印刷媒体の搬送方向において、前記液吐出手段の配置位置で、前記印刷媒体を搬送する搬送手段が分割されており、
前記空吐出容器は、前記搬送方向において、前記搬送手段が分割された空間に配置されていることを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送されてくる印刷媒体に液を吐出するライン型の液吐出手段と、印刷媒体および液吐出手段と対向し、液吐出手段からの空吐出液を受ける空吐出容器とを備えた印刷装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記印刷装置として、印刷媒体を搬送する搬送ベルトの下方に空吐出容器を固定設置し、搬送ベルトに形成された孔を介して、液吐出手段からの空吐出液が空吐出容器へ吐出されるものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、空吐出容器へ向けて吐出された空吐出液が空吐出容器に到達するまでにその一部が霧状に飛散してインクミストとなり、装置内の部品や部材に付着して装置を汚してしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、搬送されてくる印刷媒体に液を吐出するライン型の液吐出手段と、前記印刷媒体および前記液吐出手段と対向し、前記液吐出手段からの空吐出液を受ける空吐出容器とを備えた印刷装置において、前記液吐出手段が空吐出するとき、前記空吐出容器を前記液吐出手段に接近させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、装置の汚れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1の印刷装置の概略構成図。
図2】画像形成部の概略を示す平面図。
図3】ブラック(K)の記録ヘッド部を幅方向から見た概略図。
図4】実施形態1のインク回収容器と、記録ヘッド部とを示す概略図。
図5】実施形態1のインク回収容器の概略断面図。
図6】ロール紙の紙幅と接近位置に位置させるインク回収容器との関係を示す図。
図7】昇降機構の一例を示す概略構成図。
図8】第一インク回収容器と第一カムとを示す概略図。
図9】昇降機構の駆動に関する制御ブロック図。
図10】昇降機構の第一昇降部の制御フロー図。
図11】第二昇降部の制御フロー図。
図12】昇降機構の変形例を示す概略構成図。
図13】変形例の昇降機構の駆動に関する制御ブロック図。
図14】色毎にインク回収容器を設けた例を示す平面図。
図15】インク回収容器の変形例を示す平面図。
図16】インク回収容器の変形例の横断面図。
図17】変形例における第三インク回収容器の平面図。
図18】可動枠を幅方向に移動させる移動機構を示す概略構成図。
図19】実施形態2の印刷装置概略構成図。
図20】実施形態2におけるインク回収容器を昇降させる昇降機構の概略構成図。
図21】実施形態2における印刷媒体検出センサの配置について説明する図。
図22】印刷媒体検出センサを搬送方向上流側と下流側とに配置した例を示す図。
図23】印刷媒体検出センサの配置例について示す図。
図24】実施形態2における昇降機構の駆動に関する制御ブロック図。
図25】実施形態2における昇降機構の制御フロー図。
図26】搬送装置を5つに分割し、色毎にインク回収容器を設けた例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態1]
本発明の一実施形態である印刷装置1000について、図面を参照して説明する。
本実施形態では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)という4色のインクを吐出する記録ヘッド部を備え、印刷媒体上にインクからなる画像を形成する印刷装置を例に挙げる。ただし、本発明を適用できる印刷装置はこれに限定されない。例えば、グリーン(G)、レッド(R)、ライトシアン(LC)及び/又はその他の色のインクに対応する記録ヘッド部を更に備えるもの、又は、ブラック(K)のインクに対応する記録ヘッド部のみを備えるものなどが挙げられる。なお、以後の説明において、K、C、M、Yの添え字を付与された記号は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの夫々に対応するものとする。
【0009】
本実施形態では、印刷媒体として、ロール状に巻かれた連続紙(以下「ロール紙Md」という。)を用いるが、本発明に係る印刷装置が画像を形成することができる印刷媒体は、ロール紙に限定されない。すなわち、本発明に係る印刷装置が画像を形成することができる印刷媒体は、カット紙でもよい。また、本発明に係る印刷装置を用いて画像を形成することができる印刷媒体には、普通紙、上質紙、薄紙、厚紙、記録紙及びロール紙、並びに、OHPシート、合成樹脂フィルム、金属薄膜及びその他表面にインク等で画像を形成することができるものを含む。ここで、ロール紙とは、切断可能なミシン目が所定間隔で形成された連続紙(連帳紙、連続帳票)である。また、ロール紙におけるページ(頁)とは、例えば所定間隔のミシン目で挟まれる領域とする。
【0010】
図1に示すように、実施形態1の印刷装置1000は、ロール紙Mdを搬入する搬入部100と、搬入されたロール紙Mdを前処理する前処理部200と、前処理されたロール紙Mdを乾燥させる乾燥部300とを有する。また、印刷装置1000は、ロール紙Mdの表面に液体を吐出する記録ヘッド部を備えた画像形成部400と、液体が吐出されたロール紙Mdを後処理する後処理部500と、後処理されたロール紙Mdを乾燥させる乾燥部310と、ロール紙Mdを搬出する搬出部600とを有する。また、画像形成部400の下部には空吐出容器たるインク回収部800が配設されており、画像形成部400と廃インク回収容器との間をロール紙Mdが搬送される。また、印刷装置1000は、印刷装置1000の動作を制御する後述の制御部700を有する。
【0011】
本実施形態に係る印刷装置1000は、搬入部100によってロール紙Mdを搬入し、前処理部200及び乾燥部300によってロール紙Mdの表面を前処理及び乾燥する。また、印刷装置1000は、画像形成部400によって、前処理及び乾燥した後のロール紙Mdの表面に液体を吐出して画像を形成する。更に、印刷装置1000は、本実施形態では、後処理部500及び乾燥部310によって、画像が形成されたロール紙Mdを後処理及び乾燥する。その後、印刷装置1000は、搬出部600によって、ロール紙Mdを巻き取る。以上の一連の動作は、制御部700によって制御される。
【0012】
以下に、本発明の実施形態に係る印刷装置1000の各構成を具体的に説明する。
なお、本発明を用いることができる印刷装置は、画像が形成される印刷媒体の種類に応じて、後述する前処理部200等のいずれか一つ又は複数を含まない構成とすることができる。
【0013】
搬入部100は、印刷媒体を前処理部200等に搬送する。搬入部100は、本実施形態では、給紙部1110及び複数の搬送ローラ1120等で構成される。搬入部100は、搬送ローラ1120等を用いて、給紙部1110の給紙ロールに巻き付けて保持されたロール紙Mdを搬入し、後述する前処理部200等へプラテン等を用いて搬送する。
【0014】
前処理部200は、画像が形成される前の印刷媒体を処理する。前処理部200は、本実施形態では、搬入部100によって搬入されたロール紙Mdの表面を、前処理液で前処理する。本実施形態の前処理は、ロール紙Md(印刷媒体)表面に、インクを凝集させる機能を有する前処理液を均一に塗布する処理である。これにより、印刷装置1000は、インクジェット方式の専用紙又は専用紙以外の印刷媒体に画像を形成する場合において、印刷媒体に画像を形成する前に、前処理部200を用いてインクを凝集させる機能を有する前処理液を印刷媒体表面に付着させることができる。これにより、印刷装置1000は、形成される画像の滲み、濃度、色調及び裏写りなどの品質問題、並びに、耐水性、耐候性及びその他画像堅牢性に関する問題が発生することを低減することができる。したがって、その後形成される画像の品質を向上させることができる。
【0015】
本実施形態では、図1に示すように、前処理部200によって前処理されたロール紙Mdを乾燥させる前処理用乾燥部300と、後処理部500によって後処理されたロール紙Mdを乾燥させる後処理用乾燥部310とを有している。本実施形態の前処理用乾燥部300及び後処理用乾燥部310は、いずれもヒートローラ300h,310hを用いて乾燥させる。
【0016】
前処理用乾燥部300は、ヒートローラ300hを例えば40〜100℃に加熱し、前処理液を塗布されたロール紙Mdの表面をヒートローラ300hに接触等させながら搬送する。これにより、前処理用乾燥部300は、ロール紙Mdの表面に付着する前処理液の水分を蒸発させ、ロール紙Md(の前処理液)を乾燥させることができる。
【0017】
なお、前処理用乾燥部300は、ヒートローラによって乾燥させる方法に限定されない。例えば、前処理用乾燥部300は、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、温風乾燥及びその他乾燥方法を用いることができる。また、前処理用乾燥部300は、複数の乾燥方法を組み合わせた乾燥方法を用いてもよい。更に、前処理用乾燥部300は、前処理部200が前処理液を塗布する前に、ロール紙Md(記録媒体)を加熱してもよい(プレヒート工程)。
【0018】
後処理用乾燥部310の構成は、前処理用乾燥部300の構成と同様のため、説明を省略する。
【0019】
図2は、画像形成部400の概略を示す平面図である。本実施形態では、画像形成部400は、前処理用乾燥部300によって乾燥されたロール紙Md上にインクを吐出することによって、ロール紙Mdの表面に画像を形成するインクジェット記録方式を採用している。
【0020】
画像形成部400には、印刷媒体であるロール紙Mdの搬送方向Xmの上流側から、フルライン型の4つの記録ヘッド部401K、401C、401M及び401Yが配置されている。記録ヘッド部におけるK、C,M、Yの添え字は、各々ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの色を示す。なお、K、C,M、Yの色順は、図2に限るものではなく、他の並び順であっても構わない。また、記録ヘッド部は、グリーン、レッド、ライトシアン、ピンク、オレンジ及び/又はその他の色であってもよいし、単色(例えば、ブラックのみ)であってもよい。
【0021】
ここで、ブラック(K)の記録ヘッド部401Kには、ロール紙Mdの搬送方向Xmと直交する方向である幅方向に4つのヘッドユニット401K−1、401K−2、401K−3及び401K−4が千鳥状に配置されている。各ヘッドユニット401K−1、401K−2、401K−3及び401K−4のノズル面401aには、2列のノズル401bが形成されている。これにより、記録ヘッド部401Kは、用紙の画像形成領域(印刷領域)の全域にブラック(K)画像を形成できる。なお、他の記録ヘッド部401C、401M及び401Yの構成は、ブラック(K)の記録ヘッド部401Kの構成と同様である。各記録ヘッド部の媒体搬送方向には各々キャップユニット404K、404C、404M及び404Yが退避する退避位置を設けてある。画像形成部400は、4つの記録ヘッド部401K、401C、401M及び401Yに他の機能部品、機構が一体化した液体吐出に関連する部品の集合体である。画像形成部400は、記録ヘッド部401K、401C、401M及び401Yを駆動させて液体を吐出させて画像を形成する。
【0022】
図3は、ブラック(K)の記録ヘッド部401Kを幅方向から見た概略図である。
各ヘッドユニット401K−1、401K−2、401K−3及び401K−4に対応する複数のキャップ402を備えたキャップユニット404Kを有している。キャップ402は、記録ヘッド部401のノズル面401aに当接(キャッピング)して閉塞することにより、ノズル401bから液体を吸引したり、ノズル面401aを保湿したりするキャップ部材である。キャップユニット404は移動可能な構成となっており、キャップ402が記録ヘッド部401のノズル面401aを閉塞可能なキャップ位置403aと、キャップ402が記録ヘッド部401から離れて記録ヘッド部401のノズル面401aが開放される待避位置403b(図3に示した破線の位置)との間で移動する。
【0023】
なお、他のキャップユニット404C、404M及び404Yの構成は、ブラック(K)のキャップユニット404Kの構成と同様である。
【0024】
次に、記録ヘッド部401K, 404C、404M及び404Yに対向して設けられ、空吐出されたインクを回収するインク回収部について説明する。
【0025】
図4は、本実施形態のインク回収部800と、記録ヘッド部とを示す概略図であり、図5は、本実施形態のインク回収部800の概略断面図である。
本実施形態のインク回収部800は、5つのインク回収容器(第一インク回収容器80a、第二インク回収容器80b、第三インク回収容器80c、第四インク回収容器80d、第五インク回収容器80e)が幅方向に並べて構成されており、各インク回収容器80a、80b、80c、80d、80eは、記録ヘッド部に向って上昇可能に構成されている。
【0026】
本実施形態では、第一インク回収容器80aの幅方向中央側端部から第五インク回収容器80eの幅方向中央側端部までの距離L2、第二インク回収容器80bの幅方向中央側端部から第四インク回収容器80dの幅方向中央側端部までの距離L3が、それぞれ、ある定型サイズの用紙の幅方向長さとほぼ同じ長さとなっている(例えば、図4のL1が、A4ヨコサイズ(297mm)、L2がB5ヨコサイズ(257mm)、L3がA4タテサイズ(210mm)等)。
【0027】
図5に示すように、各インク回収容器80a〜80eは、上方が開口した箱型形状であり、第一、第二、第四、第五インク回収容器80a,80b,80d,80eの幅方向中央側端部には、幅方向中央側に隣接するインク回収容器に重なるオーバーラップ部82a,82b,82d,82eを備えている。これにより、空吐出されたインクが、インク回収容器間の隙間に吐出され、回収されない事態が生じるのを防止することができる。
【0028】
また、各インク回収容器80a〜80eには、スポンジなどからなるインク吸収体81が内部に収納されている。インク吸収体81を設けることで、インク保持力を高めることができ、インク回収容器の交換時に、インクがこぼれて装置を汚してしまうのを抑制することができる。また、インク吸収体81を備えない構成であってもよい。
【0029】
例えば、ロール紙Mdの幅が、本印刷装置1000が印刷可能な最大サイズよりも短いときは、各記録ヘッド部の幅方向端側のノズル401bからは、長期間インクが吐出されないため、幅方向端側のノズル401bに対応する液室内のインクが乾燥、増粘し、インクを吐出できなくなる場合がある。これを防ぐ為に、所定の間隔で、幅方向端側のノズル401bからインク回収容器に向けて空吐出を行うようにしている。従来においては、インク回収容器は、ロール紙Mdの下方の所定の位置に固定配置されていた。非印刷動作(ロール紙Mdを搬送していないとき)中は、ロール紙Mdにかかる張力が、印刷動作中に比べて小さくなっているため、インク回収容器と対向する箇所でロール紙Mdが撓み、インク回収容器に接触し、ロール紙Mdが汚れるおそれがある。そのため、インク回収容器は、非印刷中にロール紙Mdが撓んでも、ロール紙Mdがインク回収部800に接触しないように、ロール紙Mdから離して配置する必要がある。その結果、インク回収容器と記録ヘッド部のノズル面401aとの距離が長くなる。このように、インク回収容器と記録ヘッド部のノズル面401aとの距離が長いため、記録ヘッド部の幅方向端側のノズル401bからインク回収容器に向けて空吐出したインクが、インク回収容器に到達する前に空気抵抗などにより一部が分裂し、霧状に飛散し、インクミストとなってしまう。このインクミストが、気流の影響を受けて装置を舞い、記録ヘッド部回りの部品や、電子基盤、ロール紙Mdに付着して装置やロール紙Mdを汚染してしまうおそれがあった。
【0030】
これに対し、本実施形態では、複数のインク回収容器(第一インク回収容器80a、第二インク回収容器80b、第三インク回収容器80c、第四インク回収容器80d、第五インク回収容器80e)を幅方向に並べて設けて、各インク回収容器を、個別で記録ヘッド部に向って上昇可能とし、記録ヘッドに接近可能となっている。
図6(b)に示すように、本印刷装置1000が印刷可能な最大サイズよりも短い中サイズの用紙幅のロール紙で、第一インク回収容器80aと第五インク回収容器80eが、ロール紙Mdと対向しない(ロール紙の幅を超える領域に配置されている)ときは、第一インク回収容器80aと第五インク回収容器80eとを上昇させ、接近位置に位置させる。
【0031】
図6(c)に示すように、紙幅が、図6(b)に示すロール紙よりも更に狭い小サイズのロール紙Mdで、第一インク回収容器80a、第二インク回収容器80b、第四インク回収容器80d、第五インク回収容器80eがロール紙Mdと対向しないときは、これらインク回収容器を上昇させ、接近位置に位置させる。
【0032】
図6(b)、図6(c)に示すように、ロール紙Mdの幅を超える領域のインク回収容器を上昇させて接近位置に位置させることで、ロール紙Mdの幅を超え領域の印刷に使用されないノズルとインク回収容器(インク回収容器)との距離を短くすることができる。よって、ロール紙Mdの幅を超える領域のノズルから所定の間隔で空吐出されたインク(空吐出液)は、空気抵抗により分裂して一部がインクミストとなる前にインク回収容器に到達し、インク回収容器に回収される。その結果、幅方向端側のノズルから空吐出されたインクから発生したインクミストにより装置の部品やロール紙が汚れるのを抑制することができる。
【0033】
また、ロール紙Md交換時に空吐出を行うときは、図6(d)に示すように、すべてのインク回収容器を接近位置に位置させて空吐出を行う。これにより、ノズルから空吐出されたインクから発生したインクミストにより装置の部品が汚れるのを抑制することができる。
【0034】
一方、図6(a)に示すように、ロール紙Mdの幅が、本印刷装置1000が印刷可能な最大サイズのときは、ロール紙Mdの幅を超える領域のインク回収容器がないため、いずれのインク回収容器も上昇させない。
【0035】
インク回収容器の上昇を、セットするロール紙Mdの幅に応じてユーザーが手動で行ってもよいし、以下に示すような昇降手段としての昇降機構を設けて、自動でインク回収容器の上昇を行うようにしてもよい。
【0036】
図7は、昇降機構の一例を示す概略構成図である。
図7に示すように、昇降機構10は、第一インク回収容器80aと、第二インク回収容器80bと、第三インク回収容器80cとを選択的に昇降させる昇降手段としての第一昇降部10aと、第四インク回収容器80dと第五インク回収容器80eとを選択的に昇降させる昇降手段としての第二昇降部10bとを有している。
【0037】
第一昇降部10aは、装置の前(Front)側に設けられた駆動源たる第一駆動モータ11aと、第一シャフト12aとを備えている。また、第一シャフト12aは、第一軸部12a−1と、第二軸部12a−2と、第三軸部12a−3とを有している。第一軸部12a−1は、第一駆動モータ11aに接続されており、第二軸部12a−2は、第一クラッチ14aを介して第一軸部12a−1に接続されている。第三軸部12a−3は、第二クラッチ14bを介して第二軸部12a−2に接続されている。
【0038】
第一軸部12a−1には、第一インク回収容器80aの下面に当接し、第一インク回収容器80aを昇降させる第一カム13aが取り付けられている。第二軸部12a−2には、第二インク回収容器80bの下面に当接し、第二インク回収容器80bを昇降させる第二カム13bが取り付けられている。第三軸部12a−3には、第三インク回収容器80cの下面に当接し、第三インク回収容器80cを昇降させる第三カム13cが取り付けられている。
【0039】
クラッチとしては、電磁クラッチを用いることができ、電磁クラッチへの電力供給をON/OFF制御することで、複数のインク回収容器を選択的に昇降することができる。第一クラッチ14aをOFFにすることで、第一シャフト12aの第一軸部12a−1と第二軸部12a−2との間の駆動伝達が切られる。これにより、第一カム13aのみ回転し、第一インク回収容器80aのみが昇降する。第一クラッチ14aをONにし、第二クラッチ14bをOFFにすることで、第三軸部12a−3には駆動力が伝達されない。これにより、第一インク回収容器80aと第二インク回収容器80bが昇降する。第一クラッチ14aと、第二クラッチ14bとがともにONときは、第三軸部12a−3にまで駆動力が伝達され、第一〜第三インク回収容器80a〜80cが昇降する。
【0040】
第二昇降部10bは、装置の後(Rear)側に設けられた駆動源たる第二駆動モータ11bと、第二駆動モータ11bに接続された第二シャフト12bとを備えている。第二シャフト12bは、第二駆動モータ11bに接続された第一軸部12b−1と第三クラッチ14cを介して第一軸部12b−1に接続された第二軸部12b−2で構成されている。第五インク回収容器80eの下面に当接し、第五インク回収容器80eを昇降させる第五カム13eは第二シャフト12bの第一軸部12b−1に取り付けられている。第四インク回収容器80dの下面に当接し、第四インク回収容器80dを昇降させる第四カム13dは、第二シャフト12bの第二軸部12b−2に取り付けられている。
【0041】
第三クラッチ14cがOFFのときは、第二シャフト12bの第二軸部12b−2には、第二駆動モータ11bの駆動力が伝達されず、第五カム13eのみ回転し、第五インク回収容器80eのみが昇降する。一方、第三クラッチ14cがONのときは、第二シャフト12bの第二軸部12b−2にまで駆動力が伝達され、第四インク回収容器80dと第五インク回収容器80eが昇降する。
【0042】
また、各インク回収容器80a〜80eには、印刷媒体検出センサ15a〜15eが設けられている。幅方向中央に配置される第一インク回収容器80a、第二インク回収容器80b、第四インク回収容器80d、第五インク回収容器80eについては、幅方向中央側端部に印刷媒体検出センサ15が取りつけられており、幅方向中央に配置される第三インク回収容器80cについては、幅方向中央に印刷媒体検出センサ15が取りつけられている。
【0043】
印刷媒体検出センサ15a〜15eとしては、例えば反射型のフォトセンサーを用いる。反射型のフォトセンサーでセンサ上にロール紙Mdが存在する場合は、ロール紙Mdにぶつかり反射した光を受光体が受け取り、信号としてはON検知となる。一方、ロール紙が存在しない際は光が反射しないのでOFF検知となる。
【0044】
図8は、第一インク回収容器80aと第一カム13aとを示す概略図である。
第一カム13aは、楕円型であり、図8(a)に示すように、第一インク回収容器80aが退避位置にあるときは、第一カム13aの短軸が上下方向と平行となるような姿勢を取っている。
【0045】
第一インク回収容器80aを退避位置から接近位置へ上昇させるときは、第一カム13aを90°回転させる。これにより、図8(b)に示すように、第一カム13aの長軸が上下方向と平行となり、第一インク回収容器80aが第一カム13aにより持ち上げられるような形で接近位置に位置する。なお、第二〜第五カム13b〜13eについても同様な形状をしており、第一カム13aと同様な動きで、インク回収容器80b〜eを昇降させる。
【0046】
図9は、昇降機構10の駆動に関する制御ブロック図である。
昇降機構10の第一昇降部10aと第二昇降部10bの駆動を制御する駆動司令部20は、CPU20a、メモリ(RAM)20b、印刷媒体検出センサ15a〜15eのON/OFFを検知するためのインターフェイス装置20cなどを主に備えている。昇降機構10は、駆動ドライバー17と駆動力を繋ぐクラッチを選択するためのセレクター16とを備えている。
【0047】
各インク回収容器に設けられた印刷媒体検出センサ15a〜15eのON/OFF情報を、インターフェイス装置20cで検知してメモリ20b内に書き込む。メモリ20b内の印刷媒体検出センサ15a〜15eのON/OFF情報をCPU20aで処理し、上方に印刷媒体がないインク回収容器を特定して、上昇させるインク回収容器を決定する。そして、決定した上昇させるインク回収容器を上昇させるための駆動信号を駆動ドライバー17へ送信する。また、セレクター16へ各クラッチ14b〜14dのON/OFF情報を送信する。セレクター16は、CPU20aから受け取ったON/OFF情報に基づいて、駆動ドライバー17と各クラッチとの間のスイッチをON/OFFする。駆動信号を受け取った駆動ドライバー17は、駆動する駆動モータと、セレクター16で選択したクラッチとに電力を供給することで、インク回収容器を選択的に昇降動作させる。
【0048】
図10は、昇降機構10の第一昇降部10aの制御フロー図である。
まず、駆動司令部20は、印刷開始前のとき(S1aのYes)、メモリ20bから各インク回収容器80a〜80cに設けられた印刷媒体検出センサ15a〜15cのON/OFF情報を取得し、センサがOFFのインク回収容器を確認する(S2a)。
【0049】
ロール紙Mdの幅が図6(a)に示す幅のとき(用紙幅が、図4に示すL2以上のとき)は、第一〜第三インク回収容器の全てで上方に印刷媒体が存在し、各印刷媒体検出センサ15a〜15cはONである。一方、ロール紙Mdの幅が、図6(b)に示す幅のとき(用紙幅が、図4に示すL3以上、L2以下)のときは、第一インク回収容器80aの印刷媒体検出センサ15aは印刷媒体を検知しておらず、OFFであり、第二インク回収容器80bと第三インク回収容器80cの印刷媒体検出センサ15b,15cは、印刷媒体を検知してONとなる。また、ロール紙Mdの幅が、図6(c)に示す幅のとき(用紙幅が、図4に示すL3以下のとき)は、第一インク回収容器80aと第二インク回収容器80bの印刷媒体検出センサ15a、15bは印刷媒体を検知しておらず、OFFであり、第三インク回収容器80cの印刷媒体検出センサ15cのみOFFとなる。一方、ロール紙Mdがないときは、すべての印刷媒体検出センサ15a〜15cがOFFとなる。
【0050】
本実施形態では、第一インク回収容器80aと、第二インク回収容器80bについては、幅方向中央側端部に印刷媒体検出センサ15aを設けているので、印刷媒体がそのインク回収容器の上方にあるか否かを良好に検知できる。また、幅方向中央に配置される第三インク回収容器80cについては、幅方向中央部に印刷媒体検出センサ15aを設けることで、印刷媒体があるか否かを良好に検知できる。
【0051】
駆動司令部20は、全ての印刷媒体検出センサ15a〜15cがONで、印刷媒体を検知しているとき(S3aのYes)は、第一昇降部10aの駆動を行なわず、第一〜第三インク回収容器80a〜80cを上昇させずに終了する。
【0052】
一方、OFFの印刷媒体検出センサがある(3つの印刷媒体検出センサのうち、少なくともひとつが、印刷媒体を検知していない)とき(S3aのNo)は、印刷媒体検出センサがOFFとなっている最大のインク回収容器を特定する(S4a)。具体的には、第一インク回収容器80aの印刷媒体検出センサのみOFFのときは、最大のインク回収容器は、第一インク回収容器80aとなる。第一インク回収容器80aの印刷媒体検出センサ15aと、第二インク回収容器80bの印刷媒体検出センサ15bとがOFFのときは、最大のインク回収容器は、第二インク回収容器80bとなる。また、第一〜第三のインク回収容器の印刷媒体検出センサ15a〜15cがOFFのとき(ロール紙なしのとき)は、最大のインク回収容器は、第三インク回収容器80cとなる。
【0053】
次に、駆動司令部20は、特定した最大のインク回収容器に基づいて、OFFとするクラッチを特定し、セレクター16へ送信する各クラッチ14b〜14dのON/OFF情報を生成する。セレクター16は、駆動司令部20から受信したクラッチ14b〜14dのON/OFF情報に基づいて、駆動ドライバー17とクラッチとの間のスイッチをOFFにする(S5a)。具体的には、初期状態においては、各クラッチと駆動ドライバー17との間のスイッチはONとなっており、駆動ドライバー17から電力が供給可能な状態となっている(第一クラッチ14a、第二クラッチ14bともにON)。
【0054】
最大のインク回収容器が、第一インク回収容器80aのときは、セレクター16は、第一クラッチ14aと駆動ドライバー17との間のスイッチをOFFにし、駆動ドライバー17から第一クラッチ14aへの電力供給を切る(第一クラッチ14aをOFF)。第一クラッチ14aをOFFにすれば、第二カム13bと第三カム13cとの間の第二クラッチ14bがONでも第三カム13cが、回転駆動することがなく、第三インク回収容器が昇降することがないため、第一クラッチ14aのみをOFFにすればよい。なお、駆動ドライバー17と第二クラッチ14bとの間のスイッチもOFFにして、第二クラッチ14bにも駆動ドライバー17から電力が供給されないようにしてもよい(第二クラッチ14bもOFFにしてもよい)。
【0055】
最大のインク回収容器が第二インク回収容器80bのときは、セレクター16は、第二クラッチ14bと駆動ドライバー17とのスイッチはOFFとし、第二クラッチ14bのみ電力供給を切る(第一クラッチ14aはON、第二クラッチ14bはOFFにする)。
【0056】
最大のインク回収容器が第三インク回収容器80cのときは、セレクター16は、第一クラッチ14aと駆動ドライバー17とのスイッチ、第二クラッチ14bと駆動ドライバー17とのスイッチの両方、ONのままにし、第一クラッチ14aと第二クラッチ14bに電力を供給する(第一クラッチ14aと第二クラッチ14bをON)。
【0057】
このように、セレクター16による第一クラッチ14aと第二クラッチ14bのON/OFF制御が完了したら、駆動司令部20は、駆動ドライバー17へ、第一駆動モータ11aを駆動する駆動信号を送信する。駆動ドライバー17は、駆動信号に基づいて、第一駆動モータ11aへ電力を供給し第一駆動モータ11aを所定時間駆動する(S6a)。
【0058】
上述したように、最大のインク回収容器が第一インク回収容器80aで、少なくとも第一クラッチ14aがOFFのときは、第一カム13aのみが回転駆動して、第一インク回収容器80aのみが上昇する。そして、第一駆動モータ11aが90°回転したら第一駆動モータ11aの駆動をOFFにする。これにより、印刷媒体と対向していない第一インク回収容器80aが接近位置に位置する。
【0059】
最大のインク回収容器が第二インク回収容器80bで、第一クラッチ14aがONで、第二クラッチ14bがOFFのときは、第一カム13aと第二カム13bが回転駆動して、第一インク回収容器80aと第二インク回収容器80bが上昇する。そして、第一駆動モータ11aが90°回転したら第一駆動モータ11aの駆動をOFFにする。これにより、印刷媒体と対向していない第一インク回収容器80aと第二インク回収容器80bが接近位置に位置する。
【0060】
最大のインク回収容器が第三インク回収容器80cで、第一クラッチ14aと第二クラッチ14bの両方がONのときは、第一〜第三カム13a〜13cが回転駆動して、第一〜第三インク回収容器80a〜80cが上昇する。そして、第一駆動モータ11aが90°回転したら第一駆動モータ11aの駆動をOFFにする。これにより、第一インク回収容器80a〜第三インク回収容器80cが接近位置に位置する。
【0061】
このように、所定のインク回収容器が上昇した状態で、印刷動作や空吐出動作が行なわれる。第三インク回収容器の上方に印刷媒体があるときは、図6(b)や、図6(c)の状態であり、印刷動作が行なわれ、接近位置にあるインク回収容器に対向するノズルから空吐出が行われる。一方、第三インク回収容器80cが接近位置にあるときは、図6(d)の状態であり、ロール紙がセットされていない状態で、空吐出動作が行われる。
【0062】
印刷動作または空吐出動作が終了したら(S7aのYes)、第一駆動モータ11aを駆動し(S8a)、接近位置にあるインク回収容器を下降させる。そして、第一駆動モータ11aを90°回転させて、接近位置にあったインク回収容器が退避位置に戻ったら、第一駆動モータ11aの駆動を停止する。第一駆動モータ11aの駆動が停止したら、セレクター16は、OFFのスイッチをONにし、すべてのクラッチに対して、駆動ドライバー17から電力が供給される状態とする(すべてのクラッチONにする)(S9a)。
【0063】
図11は、第二昇降部10bの制御フロー図である。
第一昇降部10aの制御と同様、印刷開始前のとき(S1bのYes)、メモリ20bから各インク回収容器80d〜80eに設けられた印刷媒体検出センサ15d〜15eのON/OFF情報を取得し、センサがOFFのインク回収容器を確認する(S2b)。
【0064】
ロール紙Mdの幅が図6(a)に示す幅のとき(用紙幅が、図4に示すL2以上のとき)は、第四インク回収容器80d、第五インク回収容器80eで上方に印刷媒体が存在し、各印刷媒体検出センサ15d〜15eはONである。一方、ロール紙Mdの幅が、図6(b)に示す幅のとき(用紙幅が、図4に示すL3以上、L2以下)のときは、第五インク回収容器80eの印刷媒体検出センサ15eは印刷媒体を検知しておらずOFFであり、第四インク回収容器80dの印刷媒体検出センサ15dは、印刷媒体を検知してONとなる。また、ロール紙Mdの幅が、図6(c)に示す幅のとき(用紙幅が、図4に示すL3以下のとき)やロール紙Mdがないときは、印刷媒体検出センサ15d〜15eがOFFとなる。
【0065】
第四インク回収容器80dと、第五インク回収容器80eについては、幅方向中央側端部に印刷媒体検出センサ15aを設けているので、印刷媒体がそのインク回収容器の上方にあるか否かを良好に検知できる。
【0066】
駆動司令部20は、全ての印刷媒体検出センサ15d〜15eがONで、印刷媒体を検知しているとき(S3bのYes)は、第二昇降部10bの駆動を行なわず、第四〜第五インク回収容器80d〜80eを上昇させずに終了する。
【0067】
一方、OFFの印刷媒体検出センサがある(2つの印刷媒体検出センサのうちの少なくともひとつが、印刷媒体を検知していない)とき(S3bのNo)は、印刷媒体検出センサがOFFとなっている最小のインク回収容器を特定する(S4b)。具体的には、第五インク回収容器80eの印刷媒体検出センサ15eのみOFFのときは、最小のインク回収容器は、第五インク回収容器80eとなる。第四インク回収容器80dの印刷媒体検出センサ15dと、第五インク回収容器80eの印刷媒体検出センサ15eとがOFFのときは、最小のインク回収容器は、第四インク回収容器80dとなる。
【0068】
次に、駆動司令部20は、特定した最小のインク回収容器に基づいて、第三クラッチ14cをOFFにする否かを決定し、セレクター16へ第三クラッチ14cのON/OFF情報を生成する。セレクター16は、駆動司令部20から受信した第三クラッチ14cのON/OFF情報に基づいて、駆動ドライバー17と第三クラッチ14cとの間のスイッチのON/OFF制御する(S5b)。具体的には、初期状態においては、第三クラッチ14cと駆動ドライバー17との間のスイッチはONとなっており、駆動ドライバー17から電力が供給可能な状態となっている(第三クラッチ14cをON)。
【0069】
最小のインク回収容器が、第五インク回収容器80eのときは、セレクター16は、第三クラッチ14cと駆動ドライバー17との間のスイッチをOFFにし、駆動ドライバー17から第三クラッチ14cへの電力供給を切る(第三クラッチ14cをOFF)。
【0070】
一方、最小のインク回収容器が第四インク回収容器80dのときは、セレクター16は、第三クラッチ14cと駆動ドライバー17とのスイッチをONのままにし、第三クラッチ14cに電力を供給する(第三クラッチ14cをON)。
【0071】
このように、セレクター16による第三クラッチ14cのON/OFF制御が完了したら、駆動司令部20は、駆動ドライバー17へ、第二駆動モータ11bを駆動する駆動信号を送信する。駆動ドライバー17は、駆動信号に基づいて、第二駆動モータ11bへ電力を供給し第二駆動モータ11bを所定時間駆動する(S6b)。
【0072】
最小のインク回収容器が第五インク回収容器80eで、第三クラッチ14cがOFFのときは、第五カム13eのみが回転駆動して、第五インク回収容器80eのみが上昇する。そして、第二駆動モータ11bが90°回転したら第二駆動モータ11bの駆動をOFFにする。これにより、印刷媒体と対向していない第五インク回収容器80eが接近位置に位置する。
【0073】
最小のインク回収容器が第四インク回収容器80dで、第三クラッチ14cがONのときは、第四カム13dと第五カム13eが回転駆動して、第四インク回収容器80dと第五インク回収容器80eが上昇する。そして、第二駆動モータ11bが90°回転したら第二駆動モータ11bの駆動をOFFにする。これにより、印刷媒体と対向していない第四インク回収容器80dと第五インク回収容器80eが接近位置に位置する。
【0074】
このように、所定のインク回収容器が上昇した状態で、印刷動作や空吐出動作が行なわれる。印刷動作または空吐出動作が終了したら(S7bのYes)、第二駆動モータ11bを駆動し(S8b)、接近位置にあるインク回収容器を下降させる。そして、第二駆動モータ11bを90°回転させて、接近位置にあったインク回収容器が退避位置に戻ったら、第二駆動モータ11bの駆動を停止する。第二駆動モータ11bの駆動が停止したら、セレクター16は、OFFのスイッチをONにし、第三クラッチ14cに対して、駆動ドライバー17から電力が供給される状態とする(第三クラッチ14cをONにする)(S9b)。
【0075】
この実施形態では、第三インク回収容器80cは、第一昇降部10aにより昇降されるが、第二昇降部10bにより昇降されるようにしてもよい。
【0076】
次に、昇降機構10の変形例について、説明する。
図12は、昇降機構10の変形例を示す概略構成図であり、図13は、変形例の昇降機構10の駆動に関する制御ブロック図である。
図12に示すように、変形例の昇降機構10は、駆動モータ11と、第一シャフト12aと、第二シャフト12bとを有している。第一シャフト12aは、駆動モータ11に接続されている。第一カム13aは、直接第一シャフト12aに取り付けられており、第二カム13b、第三カム13c、第四カム13dは、クラッチを介して第一シャフト12aに取り付けられている。第五カム13eは、直接、第二シャフト12bに取り付けられている。また、第二シャフト12bには、第一シャフト12aの出力ギヤ18と噛み合う入力ギヤ19が設けられており、第二シャフト12bは、第一シャフト12a、出力ギヤ18、入力ギヤ19を介して駆動モータ11の駆動力が伝達される。
【0077】
また、この変形例では、第三〜第五インク回収容器80c〜80eに、印刷媒体検出センサ15c〜15eを設けて、第一、第二インク回収容器80a,80bには、印刷媒体検出センサを設けていない構成とした。ロール紙Mdの幅が、図4に示すL3以下のときは、第三インク回収容器80cの印刷媒体検出センサ15aのみがONとなり、第三インク回収容器80cの上方にのみ、印刷媒体が存在すると判断できる。ロール紙Mdの幅が、図4に示すL3以上、L2以下のときは、第五インク回収容器の印刷媒体検出センサ15aのみOFFとなり、第二〜第四インク回収容器の上方に印刷媒体が存在すると判断できる。一方、ロール紙Mdの幅が、図4に示すL2以上のときは、すべての印刷媒体検出センサ15c〜15eがONとなり、すべてのインク回収容器の上方に印刷媒体があると判断できる。
【0078】
この変形例では、図7に示した昇降機構10に比べて印刷媒体検出センサの数を減らすことができ、装置のコストダウンを図ることができる。一方、図7に示すように各インク回収容器に印刷媒体検出センサを設けることで、印刷媒体が上方に位置するインク回収容器を精度よく検知できるというメリットがある。
【0079】
また、変形例の昇降機構においては、駆動モータをひとつにでき、装置を安価にすることができる。また、この変形例では、第五カム13eは、第二シャフト12bに設けているが、第一シャフト12aに直接、取り付けて、第二シャフト12bを無くしてもよい。
【0080】
この変形例においては、すべての印刷媒体検出センサがONで、印刷媒体を検知している(図6(a)の状態の)ときは、駆動モータ11を駆動させず、全てのインク回収容器を退避位置に位置させたままにする。一方、第五インク回収容器80eの印刷媒体検出センサ15eのみOFFのときは、すべてのクラッチ14a〜14cをOFFにして、駆動モータを90°回転駆動する。これにより、第一カム13aと第五カム13eが90°回転し、第一インク回収容器80aと第五インク回収容器80eが、接近位置に位置する(図6(b)の状態)。
【0081】
第三インク回収容器80cの印刷媒体検出センサ15cのみがONのときは、第二クラッチ14bのみをOFFとする。これにより、駆動モータを90°回転駆動すると、第三カム13c以外のカムが90°回転駆動し、第三インク回収容器以外のインク回収容器が接近位置に位置する(6(c)の状態)。一方、すべての印刷媒体検出センサ15c,15d,15eが、OFFのときは、全てのクラッチ14a〜14cをONにし、駆動モータを90°回転駆動する。これにより、すべてのカム13a〜13eが90°回転し、すべてのインク回収容器が、接近位置に位置する(図6(d)の状態)。
【0082】
このように、変形例の昇降機構においても、印刷媒体が上方にないインク回収容器のみを、選択に上昇させることができる。
【0083】
また、図14に示すように、Y色用のインク回収部800Y、M色用のインク回収部800M、C色用のインク回収部800C、K色用のインク回収部800Kをそれぞれ設ける構成でもよい。各色のインク回収部の幅方向に並べて設けられた複数のインク回収容器は、共通の昇降機構により昇降させてもよいし、各インク回収部個別に昇降機構を設けてもよい。また、この例では、インク回収部は、5つのインク回収容器を幅方向に並べて構成しているが、これに限られずインク回収容器の数を増やしてもよい、インク回収容器の数を増やすことで、多くのサイズ幅に対応することが可能となる。
【0084】
次に、インク回収部の変形例について説明する。
図15は、インク回収部の変形例を示す平面図であり、図16は、インク回収部の横断面図である。
この変形例のインク回収部800は、3つのインク回収容器80a,80b,80cが幅方向に並んで設けられており、中央に配置された第二インク回収容器80bは、装置本体に固定されており、端に配置された第一インク回収容器80aと第三インク回収容器80cは、昇降機構10のカム13により昇降する可動台7に設置され、昇降機構10により昇降可能に構成されている。また、インク回収部800よりも搬送方向上流側には、ロール紙の蛇行を検知する蛇行検知手段としてのエッジセンサ2が配置されている。
【0085】
昇降機構10は、駆動モータ11の動力を、歯車減速機構9を介して、シャフト12に伝達し、実施形態と同様にしてシャフト12の両端に取り付けられたカム13を90度回転駆動することで、第一インク回収容器80aと第三インク回収容器80cとが接近位置に上昇する。なお、ユーザーの手動で第一インク回収容器80aと第三インク回収容器80cとを上昇させ、接近位置に固定するようにしてもよい。
【0086】
図17は、変形例における第三インク回収容器80cの平面図であり、図17(a)は、可動枠811が、幅方向中央側に寄った状態を示しており、図17(b)は、可動枠811が幅方向端側に寄った状態を示している。
第三インク回収容器80cは、可動台7に固定された固定枠812と、可動台7に対して幅方向に移動可能な可動枠811とで構成されている。固定枠812は、上壁と、幅方向中央側の側壁がない箱型形状である。可動枠811は、上壁と幅方向端側の側壁がない箱型形状であり、固定枠812よりも若干大きく、固定枠812の幅方向中央側部分が、可動枠811に収納されている。また、可動枠811と固定枠812とで囲われた空間には、スポンジからなるインク吸収体81が収納されている。可動枠811は、可動台7の搬送方向両側に配置された一対のガイド機構501に幅方向移動可能に支持されている。第一インク回収容器80aの構成は、第三インク回収容器80cと同様な構成である。
【0087】
図18は、可動枠811を幅方向に移動させる移動機構を示す概略構成図であり、図18(a)は、側面図であり、図18(b)は、平面図である。
可動台7の搬送方向両側に設けられたガイド機構501は、可動台7に固定された板状のブラケット501aと、ブラケット501aの上下方向略中央に取り付けられたガイドレール501bとを備えている。ガイドレール501bの上面と下面とには、それぞれV字溝501cが形成されている。
【0088】
可動枠811の搬送方向に直交し、ガイド機構501に対向する両側壁には、それぞれ、4つのスライドバー511が取り付けられている。各スライドバー511は、支持軸511bと、支持軸511bの端部に回転自在に取りつけられて回転部材511aとからなっており、回転部材511aが、ガイドレール501bのV字溝501cに係合している。これにより、可動枠811は、幅方向に移動可能にガイド機構501に保持される。
【0089】
また、可動枠811を幅方向に移動させる移動手段としてのリニアモータ520を備えている。リニアモータ520は、コイルが入っている可動子521と、S極とN極とが交互に配置された固定子522とからなり、固定子522は、ガイドレール501bの可動枠811の側壁と対向する面に固定されており、可動子521は、固定子522に対向するように可動枠811に固定されている。
【0090】
この変形例では、エッジセンサ2が検知したロール紙Mdの端部位置に基づいて、リニアモータ520を駆動して、可動枠811を幅方向に移動させる。前(Front)側の第一インク回収容器80aについては、前側(図15の右側)に配置されたエッジセンサ2が検知したロール紙Mdの一端の幅方向の位置に基づいて、リニアモータ520を制御し、第一インク回収容器80aの可動枠811を幅方向に移動させる。これにより、第一インク回収容器80aの幅方向中央側端部の幅方向位置が、ロール紙Mdの蛇行に応じて変位する。
【0091】
同様にして、後(Rear)側(図15の左側)に配置されたエッジセンサ2が検知したロール紙Mdの他端の幅方向の位置に基づいて、リニアモータ520を制御し、第三インク回収容器80cの可動枠811を幅方向に移動させる。これにより、第三インク回収容器80cの幅方向中央側端部の幅方向位置が、ロール紙Mdの蛇行に応じて変位する(図17(a),図17(b)参照)。
【0092】
このようにして、ロール紙Md搬送時に接近位置に位置する第一インク回収容器80a、第三インク回収容器80cの幅方向中央側端部に、ロール紙Mdの端が摺擦するのを抑制することができ、ロール紙Mdを良好に搬送することができる。なお、各インク回収容器80a,80cに収納されているインク吸収体81は、スポンジであり、やわらかい素材であるので、ロール紙Mdの蛇行に応じて可動枠811が幅方向端側へ移動して、図17に示すように容器の幅方向長さがL1からL2に減少しても圧縮して可動枠811の移動を阻害することはない。
【0093】
[実施形態2]
図19は、実施形態2の印刷装置1000Aの概略構成図である。
この実施形態2の印刷装置1000Aは、印刷媒体としてのカット紙を搬送し、カット紙に画像を印刷するものである。なお、以下の説明において、実施形態1と同様の構成については、適宜説明を省略する。
実施形態2の印刷装置1000Aは、カット紙Pを積載し給紙する給紙トレイ120、印刷されたカット紙Pを排紙積載する排紙トレイ130、カット紙Pを給紙トレイ120から排紙トレイ130まで搬送する搬送装置50やインク回収容器80などを備えた装置本体110などを有している。装置本体110の上部には、Y色の記録ヘッド部401Y,M色の記録ヘッド部401M,C色の記録ヘッド部401C、K色の記録ヘッド部401Kなどを備えた実施形態1と同様な構成の画像形成部400、キャップ402Y,402M,402C,402Kなどを備えたキャップユニット404などが設けられている。
【0094】
キャップユニット404は搬送方向に沿ってスライド移動可能に構成されている。印刷時においては、図に示すように、画像形成部400の図中左脇に位置して、クリーニング手段70の下部にもぐりこんでいる。そして、各記録ヘッド部401のノズル面をキャッピングする時には、画像形成部400が、上方へ移動した後、キャップユニット404がスライド移動して、記録ヘッド部401下部にもぐりこむ。
【0095】
搬送手段としての搬送装置50は、給紙トレイ120から給紙されたカット紙Pを画像形成部400へ向けて搬送する第一搬送部50Aと、画像形成部400により画像を印刷されたカット紙Pを排紙トレイ130へ搬送する第二搬送部50Bとに分割されている。そして、第一搬送部50Aと第二搬送部50Bとの間にインク回収容器80が配設されている。第一搬送部50Aおよび第二搬送部50Bは、無端帯状の搬送ベルト51A,51Bを有しており、搬送ベルト51A,51Bは、駆動ローラ53A,53B及び従動ローラ52A,52Bに適当なテンションで掛け渡されている。第一搬送部50Aは、カット紙Pを従動ローラ52Aに対向する位置で搬送ベルト51Aに押さえつける入口ガイドローラ123を有している。また、第二搬送部50Bは、カット紙Pを駆動ローラ53Bに対向する位置で搬送ベルト51Bに押さえつける出口ガイドローラ124を有している。
【0096】
排紙トレイ130は、カット紙Pの幅方向に規制する対のサイドフェンス131とカット紙Pの先端を規制するエンドフェンス132とを有している。
【0097】
次に、実施形態2の印刷装置1000Aの印刷動作について説明する。
パーソナルコンピュータ等の外部機器から通信ケーブル等を介して画像情報である画像データを受信したら、給紙トレイ上のカット紙Pを画像形成部400のインク吐出領域へ搬送する。具体的には、給紙ローラ121の回転を開始し、給紙トレイ120に積載されたカット紙束における一番上のカット紙Pを分離ローラ122へ向けて繰り出す。給紙ローラ121によって給紙トレイ120から繰り出されたカット紙Pは、分離ローラ122で1枚に分離され、第一搬送部50Aへ搬送される。第一搬送部50Aへ搬送されたカット紙Pは、入口ガイドローラ123により搬送ベルト51Aに押さえつけられ、搬送ベルト51Aの無端移動に伴って搬送される。
【0098】
カット紙Pがインク吐出領域にまで搬送されたら、各記録ヘッド部401Y,401M、401C,401Kを制御し、所定のノズルからインク滴を吐出させて、カット紙上に画像を形成する。画像が形成されたカット紙Pは、第二搬送部50Bの搬送ベルト51Bによって搬送され、排紙ローラ対182によって排紙トレイ130のエンドフェンス132とサイドフェンス131とに囲われた領域に排紙される。
【0099】
この実施形態2においても、第一搬送部50Aと第二搬送部50Bとの間に配置され、画像形成部400と対向するように配置されたインク回収容器80は、昇降機構により昇降可能に構成されている。
【0100】
図20は、実施形態2におけるインク回収容器を昇降させる昇降機構10Aの概略構成図である。
実施形態2における昇降機構10Aは、実施形態1と同様、駆動源たる駆動モータ11と、カム13が取り付けられ、駆動モータ11に接続されたシャフト12とで構成されている。カム13は、実施形態1と同様、楕円型(図8参照)であり、インク回収容器80の下面に当接している。カム13を90°回転させることで、退避位置に位置しているインク回収容器80が接近位置に持ち上げられる。
【0101】
また、インク回収容器80には、実施形態1と同様に印刷媒体検出センサ15が設けられている。実施形態2では、この印刷媒体検出センサ15によるカット紙Pの後端の検知に基づいて、インク回収容器80を昇降させる。
【0102】
図21は、印刷媒体検出センサ15の配置について、説明する図である。
図21に示すように、印刷媒体検出センサ15は、インク回収容器80の搬送方向下流側端部に設けている。空吐出を行なう際は、印刷媒体検出センサ15が、カット紙Pの後端を抜けたことを検知したら、昇降機構10Aを制御してインク回収容器80を上昇させる。印刷媒体検出センサ15が、カット紙Pの後端を抜けたことを検知したタイミングでは、インク回収容器80の上方には、カット紙Pが無いため、印刷媒体検出センサ15が、カット紙Pの後端を抜けたことを検知したタイミングでインク回収容器80の上昇を開始しても、インク回収容器80がカット紙と当接することなく、接近位置まで上昇させることができる。空吐出完了後は、インク回収容器80を接近位置から退避位置へ下降させる。カット紙の紙間は、インク回収容器80の上昇開始、空吐出動作、インク回収容器退避位置へ下降の一連の動作に係る時間に基づいて決定される。これにより、インク回収容器80が退避位置に到達する前に、次のカット紙がインク吐出領域へ進入し、次のカット紙の先端が、下降中のインク回収容器80にぶつかってしまうのを防止できる。また、この紙間の空吐出動作を行うときは、紙間を通常の紙間よりも広げるようカット紙の搬送を制御してもよい。一例としては、第一搬送部50Aの搬送速度を通常時よりも遅くしたり、第一搬送部50Aのカット紙の搬送を一時停止したりして、紙間を広げる。
【0103】
また、図22に示すように、インク回収容器80よりも搬送方向上流側と下流側の両方に印刷媒体検出センサ15を設けることがより好ましい。これにより、インク回収容器80よりも搬送方向上流側の印刷媒体検出センサ15が、次のカット紙Pの先端を検知したら、昇降機構10Aを制御してインク回収容器80を下降させる。これにより、次のカット紙Pが、インク吐出領域に進入してきたときは、インク回収容器80を確実に退避位置に位置させることができる。インク回収容器80と上流側の印刷媒体検出センサ15との距離は、インク回収容器80の下降速度およびカット紙Pの搬送速度に基づいて決める。
【0104】
また、図23(a)に示すように、印刷媒体検出センサ15を、インク回収容器80の搬送方向上流側端部や、図23(b)に示すように、印刷媒体検出センサ15を、インク回収容器80の搬送方向中央に配置してもよい。図23(a)や、図23(b)に示す印刷媒体検出センサ15の配置の場合は、図23(c)に示すように、印刷媒体検出センサ15をインク回収容器80の搬送方向下流側端部に設けた場合とは異なり、印刷媒体検出センサ15がカット紙の後端が抜けたことを検知した段階で、カット紙の一部は、インク回収容器80の上方に位置する。従って、印刷媒体検出センサ15をインク回収容器80の搬送方向下流側端部に設けた場合とは異なり、印刷媒体検出センサ15がカット紙の後端が抜けたことを検知したタイミングでは、インク回収容器80の上昇を開始できない。
【0105】
そのため、図23(a)、図23(b)に示す印刷媒体検出センサ15の配置の場合は、印刷媒体検出センサ15が、カット紙の後端を検知してから所定時間経過したら、インク回収容器80の上昇を開始する。これを実現するためには、例えば、インク回収容器80の搬送方向長さ(印刷媒体検出センサ15からインク回収容器80の搬送方向下流側端部までの長さ)、カット紙の搬送速度などの情報を元に印刷媒体検出センサ15が、カット紙の後端を検知してからインク回収容器80の上昇を開始するまでの所定時間を決定するシーケンサーソフトを組み込めばよい。
【0106】
図24は、実施形態2における昇降機構10Aの駆動に関する制御ブロック図である。
昇降機構10Aの駆動を制御する駆動司令部20は、実施形態1と同様CPU20a、メモリ(RAM)20b、印刷媒体検出センサ15のON/OFFを検知するためのインターフェイス装置20cを備えている。また、印刷媒体検出センサ15が、図23(a)や、図23(b)に示す配置の場合は、さらに、インク回収容器昇降タイミング伝達装置20dをさらに設ける。インク回収容器昇降タイミング伝達装置20dは、不揮発性メモリを備え、印刷媒体検出センサ15がカット紙の後端を検知してからインク回収部800の上昇を開始するまでの所定時間情報を記憶している。
【0107】
図21図23(c)に示すように、印刷媒体検出センサ15がインク回収容器80の下流側端部に配置している場合は、駆動司令部20は、インターフェイス装置20cで印刷媒体検出センサ15がONからOFFへの切り替わりを検知してカット紙Pの後端を検知したら、駆動ドライバー17へ駆動信号を送信する。駆動ドライバー17は、駆動司令部20から駆動信号を受信したら、駆動モータ11を駆動して、インク回収容器80を上昇させる。
【0108】
一方、印刷媒体検出センサ15が、図23(a)や、図23(b)に示す配置の場合は、インク回収容器昇降タイミング伝達装置20dに記憶されている上記所定時間情報をメモリ20bに書き込む。また、印刷媒体検出センサ15のON/OFF情報をメモリ20bに書き込む。メモリ20bに書き込まれたメモリ内の情報をCPU20aで処理し、駆動ドライバー17への駆動信号送信タイミングを制御する。これにより、カット紙の後端を印刷媒体検出してから所定時間経過したタイミングで、駆動ドライバー17へ駆動信号が送信され、カット紙の後端を印刷媒体検出してから所定時間経過したタイミングで、駆動モータ11が駆動され、インク回収容器80が上昇する。
【0109】
図25は、実施形態2における昇降機構10Aの制御フロー図である。
図25に示すように、駆動司令部20は、印刷媒体検出センサ15が、ONからOFFに切り替わって、インク回収容器80の上方にカット紙が存在しないタイミングとなったら、駆動モータを90駆動して、インク回収容器80を上昇させる(S1c〜S3c)。上述したように印刷媒体検出センサ15がインク回収容器80の下流側端部に配置している場合は、インク回収容器80の上方にカット紙が存在しないタイミングは、印刷媒体検出センサ15が、ONからOFFに切り替わったタイミングである。一方、印刷媒体検出センサ15が、図23(a)や図23(b)の配置の場合は、インク回収容器80の上方にカット紙が存在しないタイミングは、印刷媒体検出センサ15がONからOFFに切り替わって所定時間経過したタイミングである。
【0110】
インク回収容器80が接近位置に位置したら、インク回収容器80に向けて空吐出を行う。このように、インク回収容器80が接近位置に位置している状態で、空吐出を行うことで、インクミストの発生を抑制することができ、インクミストによる装置内の汚染を抑制することができる。空吐出が終了したら(S4cのYes)、再び、駆動モータ11を駆動して、インク回収容器80を退避位置まで下降させる(S5c)。印刷媒体検出センサ15が、検知したカット紙が、最終紙のとき(S6cのYes)は、制御を終了する。一方、最終紙でない場合(S6cのNo)のときは、S1c〜S5cのフローを繰り返し行う。
【0111】
この制御フローでは、紙間毎に空吐出を行っているが、所定枚数印刷毎に、図25に示すフローを実施し空吐出を行うようにしてもよい。
【0112】
また、図26に示すように、搬送装置50を、給紙トレイ120から搬送されてきたカット紙をK色の記録ヘッド部401Kへ搬送する第一搬送部50Aと、K色の記録ヘッド部401KからC色の記録ヘッド部401Cまでカット紙を搬送する第二搬送部50Bと、C色の記録ヘッド部401CからM色の記録ヘッド部401Mまでカット紙を搬送する第三搬送部50Cと、M色の記録ヘッド部401MからY色の記録ヘッド部401Yまでカット紙を搬送する第四搬送部50Dと、Y色の記録ヘッド部を抜けたカット紙を排紙トレイ130へ向けて搬送する第五搬送部50Eの5つに分割し、分割されたそれぞれの空間にインク回収容器を配置してもよい。具体的には、第一搬送部50Aと第二搬送部50Bとの間に、K色用のインク回収容器80Kを配置し、第二搬送部50Bと第三搬送部50Cとの間に、C色用のインク回収容器80Cを配置し、第三搬送部50Cと第四搬送部50Dとの間に、M色用のインク回収容器80Mを配置し、第四搬送部50Dと第五搬送部50Eとの間に、Y色用のインク回収容器80Yを配置している。
【0113】
また、上述では、幅方向に長いひとつのインク回収容器で、記録ヘッドの全てのノズルから空吐出されたインクを、ひとつのインク回収容器で受ける構成であるが、実施形態1と同様、複数のインク回収容器を幅方向に並べ、搬送されてくるカット紙の幅よりも外側の(カット紙に対向しない)インク回収容器を、接近位置に位置させるようにしてもよい。
【0114】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
搬送されてくる印刷媒体に液を吐出するライン型の記録ヘッド部401などの液吐出手段と、印刷媒体および液吐出手段と対向し、液吐出手段からの空吐出液を受けるインク回収容器80などの空吐出容器とを備えた印刷装置において、液吐出手段が空吐出するとき、空吐出容器を液吐出手段に接近させる。
態様1によれば、空吐出を行うとき、空吐出容器を液吐出手段に接近させるので、空吐出液の空中を飛翔する時間の短縮化を図ることができる。これにより、空気抵抗などの影響で空吐出液の一部が霧状に飛散してインクミストとなるのを抑制することができ、装置の汚れを抑制することができる。
【0115】
(態様2)
態様1において、インク回収容器80などの空吐出容器は、印刷媒体の搬送方向に対して直交する方向である幅方向に複数設けられており、搬送されてくる印刷媒体の幅を超える領域に配置された空吐出容器を記録ヘッド部401などの液吐出手段に接近させる。
これによれば、記録ヘッド部401などの液吐出手段のロール紙Mdなどの連続紙の幅を超える領域の部分は、長期に亘りインクが吐出されないため、定期的に空吐出を行う必要がある。よって、この印刷媒体の幅を超える領域に配置されたインク回収容器80などの空吐出容器を、液吐出手段に接近させることで、液吐出手段のロール紙Mdなどの連続紙の幅を超える領域のノズルから空吐出されたインクなどの空吐出液が、インクミストとなる前に空吐出容器に回収される。これにより、インクミストの発生を抑えることができ、インクミストによる装置の汚染や連続紙の汚染を抑制することができる。
【0116】
(態様3)
態様2において、各インク回収容器などの空吐出容器に、印刷媒体を検出する印刷媒体検出センサ15などの印刷媒体検出手段を設け、印刷媒体検出手段が印刷媒体を検出していない空吐出容器を記録ヘッド部401などの液吐出手段に接近させる。
これによれば、実施形態1で説明したように、印刷媒体検出センサ15などの印刷媒体検出手段の検出結果に基づいて、搬送されてくる印刷媒体の幅を超える領域に配置されたインク回収容器80などの空吐出容器を、自動的に接近位置に位置させることが可能となる。
【0117】
(態様4)
態様3において、各印刷媒体検出手段は、インク回収容器などの空吐出容器の幅方向一端に取り付けられている。
これによれば、実施形態1で説明したように、印刷媒体検出センサ15などの印刷媒体検出手段に基づいて、インク回収容器の上方に連続紙がないことを、良好に検知することができる。
【0118】
(態様5)
態様2乃至4いずれかにおいて、複数のインク回収容器80などの空吐出容器を選択的に昇降可能な昇降機構10などの昇降手段を有し、昇降手段は、駆動モータ11などの駆動源と、空吐出容器それぞれに対応する複数のカム13とを有し、複数のカムのうち、少なくともひとつは、クラッチ14を介して駆動源の駆動力が伝達される。
これによれば、実施形態1で説明したように、クラッチのON/OFF制御により、複数のインク回収容器80などの空吐出容器を選択的に昇降することができる。
【0119】
(態様6)
態様5において、昇降機構10などの昇降手段は、少なくとも一つのカムが取り付けられ、駆動モータなどの駆動源の駆動力により回転する複数のシャフトを備える。
これによれば、ひとつの駆動源で、第一インク回収容器80aなどの幅方向一端側の空吐出容器と、第五インク回収容器80eなどの幅方向他端側の空吐出容器のみを、接近位置に位置させることができる。
【0120】
(態様7)
態様2乃至6いずれかにおいて、少なくとも幅方向の両端に配置されたインク回収容器などの空吐出容器は、幅方向内側の端部が、幅方向に移動可能である。
これによれば、実施形態1で説明したように、ロール紙Mdなどの連続紙が蛇行に追随してインク回収容器などの空吐出容器の幅方向内側の端部を幅方向に移動させることが可能となる。これにより、連続紙に蛇行が発生したときに連続紙の端部が、記録ヘッド部401などの液吐出手段に近接させた印刷媒体の幅を超える領域に配置された空吐出容器に接触するのを抑制することができ、連続紙の端部が折れるなど、連続紙が損傷するのを抑制することができる。
【0121】
(態様8)
態様7において、印刷媒体の蛇行を検知するエッジセンサ2などの蛇行検知手段を備え、蛇行検知手段の検知結果に基づいて、幅方向内側の端部が移動可能に構成されたインク回収容器などの空吐出容器の幅方向内側の端部を、幅方向に移動させる。
これによれば、実施形態で説明したように、連続紙に蛇行が発生したときに連続紙の端部が、接近させた印刷媒体の幅を超える領域に配置された空吐出容器に接触するのを抑制することができ、連続紙の端部が折れるなど、連続紙が損傷するのを抑制することができる。
【0122】
(態様9)
態様1乃至8いずれかにおいて、印刷媒体が連続紙である。
これによれば、実施形態1で説明したように、連続紙の幅を超える領域のノズルから吐出された空吐出液が、インクミストとなるのを抑制できる。
【0123】
(態様10)
態様1において、印刷媒体がカット紙Pであって、紙間において、空吐出容器を液吐出手段に接近させる。
これによれば、実施形態2で説明したように、紙間で液吐出手段から吐出された空吐出液が、インクミストとなる前に、インク回収容器などの空吐出容器に回収される。これにより、インクミストの発生を抑えることができ、装置がインクミストにより汚染されるのを抑制することができる。
【0124】
(態様11)
態様10において、インク回収部800などの空吐出容器に印刷媒体を検出する印刷媒体検出センサ15などの印刷媒体検出手段を備え、印刷媒体検出手段の検出結果に基づいて、インク回収容器80などの空吐出容器を記録ヘッド部401などの液吐出手段に接近させる。
これによれば、実施形態2で説明したように、印刷媒体検出手段の検知結果に基づいて、インク回収部800などの空吐出容器の上方から印刷媒体の後端が抜けたタイミングで、空吐出容器を液吐出手段に近接させることができる。
【0125】
(態様12)
態様11において、印刷媒体検出センサ15などの印刷媒体検出手段は、インク回収容器80などの空吐出容器の搬送方向下流側の端部に設けた。
これによれば、実施形態2で説明したように、印刷媒体検出センサ15などの印刷媒体検出手段が印刷媒体の後端を検知したタイミングで、インク回収部800などの空吐出容器を記録ヘッド部401などの液吐出手段への近接を開始することができ、簡単な制御で、紙間でインク回収部800などの空吐出容器を記録ヘッド部401などの液吐出手段へ近接させることができる。
【0126】
(態様13)
態様1乃至12いずれかにおいて、搬送方向において、記録ヘッド部401などの液吐出手段の配置位置で、印刷媒体を搬送する搬送装置などの搬送手段が分割されており、空吐出容器は、搬送方向において、搬送手段が分割された空間に配置されている。
これによれば、空吐出容器を、搬送手段に干渉することなく、昇降させることができる。
【符号の説明】
【0127】
2 :エッジセンサ
7 :可動台
9 :歯車減速機構
10,10A :昇降機構
10a :第一昇降部
10b :第二昇降部
11 :駆動モータ
12 :シャフト
13 :カム
14 :クラッチ
15 :印刷媒体検出センサ
16 :セレクター
17 :駆動ドライバー
18 :出力ギヤ
19 :入力ギヤ
20 :駆動司令部
50 :搬送装置
50A :第一搬送部
50B :第二搬送部
50C :第三搬送部
50D :第四搬送部
50E :第五搬送部
70 :クリーニング手段
80 :インク回収容器
81 :インク吸収体
400 :画像形成部
401 :記録ヘッド部
401a :ノズル面
401b :ノズル
501 :ガイド機構
501a :ブラケット
501b :ガイドレール
501c :V字溝
511 :スライドバー
511a :回転部材
511b :支持軸
520 :リニアモータ
521 :可動子
522 :固定子
800 :インク回収部
811 :可動枠
812 :固定枠
1000 :印刷装置
1000A :印刷装置
Md :ロール紙
P :カット紙
Xm :搬送方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0128】
【特許文献1】特開2003−341106号公報
図1
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図26