特開2021-54042(P2021-54042A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2021-54042立体造形物を造形する装置、粒子を飛翔させる装置、立体造形物を造形する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-54042(P2021-54042A)
(43)【公開日】2021年4月8日
(54)【発明の名称】立体造形物を造形する装置、粒子を飛翔させる装置、立体造形物を造形する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/223 20170101AFI20210312BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20210312BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20210312BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20210312BHJP
   B29C 64/141 20170101ALI20210312BHJP
   B29C 64/241 20170101ALI20210312BHJP
   B29C 64/273 20170101ALI20210312BHJP
   B29C 64/295 20170101ALI20210312BHJP
【FI】
   B29C64/223
   B33Y30/00
   B33Y10/00
   B29C64/106
   B29C64/141
   B29C64/241
   B29C64/273
   B29C64/295
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2020-24417(P2020-24417)
(22)【出願日】2020年2月17日
(31)【優先権主張番号】特願2019-42166(P2019-42166)
(32)【優先日】2019年3月8日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2019-89260(P2019-89260)
(32)【優先日】2019年5月9日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2019-139461(P2019-139461)
(32)【優先日】2019年7月30日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2019-175820(P2019-175820)
(32)【優先日】2019年9月26日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】藤田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】須原 浩之
(72)【発明者】
【氏名】酒井 浩司
(72)【発明者】
【氏名】小橋川 翔太
(72)【発明者】
【氏名】竹内 惇
(72)【発明者】
【氏名】田村 麻人
(72)【発明者】
【氏名】前田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】西尾 卓衛
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WF23
4F213WL03
4F213WL13
4F213WL32
4F213WL67
4F213WL74
4F213WL87
(57)【要約】
【課題】造形品質を向上する。
【解決手段】造形する造形物200を支持するテージ101と、ステージ101の上方には造形材料201aを担持して回転する担持体111が配置され、担持体111は供給手段112から供給された造形材料201aを担持して、造形物200の上方まで移送し、造形物200にレーザ光116aを照射して加熱する溶融用レーザ116と、担持体111に担持されている造形材料201aにパルスレーザ光115aを照射して、造形物200の加熱されて溶融した表面に、担持体111に担持されている造形材料201aを飛翔させる飛翔用レーザ115を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形材料を担持する担持体と、
造形物の表面にエネルギーを付与する手段と、
前記エネルギーを付与された前記造形物の表面に向けて、前記担持体に担持されている造形材料を飛翔させる手段と、を備えている
ことを特徴とする立体造形物を造形する装置。
【請求項2】
前記担持体は、回転部材である
ことを特徴とする請求項1に記載の立体造形物を造形する装置。
【請求項3】
前記飛翔させる手段は、パルスレーザを照射する手段である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の立体造形物を造形する装置。
【請求項4】
前記飛翔させる手段は、周回移動する前記担持体と前記担持体に担持されている前記造形材料とを加熱する加熱手段を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の立体造形物を造形する装置。
【請求項5】
前記飛翔させる手段は、前記担持体に担持されている前記造形材料に対して空気を吹き付ける手段である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の立体造形物を造形する装置。
【請求項6】
前記担持体に担持される前記造形材料に対して液体を付与する手段を備えている
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の立体造形物を造形する装置。
【請求項7】
前記液体が付与されていない前記造形材料を前記担持体から除去する手段を備えている
ことを特徴とする請求項6に記載の立体造形物を造形する装置。
【請求項8】
前記造形物の表面の温度は、前記造形材料が到達するときにガラス転移温度Tg以上である
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の立体造形物を造形する装置。
【請求項9】
前記造形材料の平均粒径をL[μm]とするとき、前記造形材料が前記造形物の表面に到達する時間間隔がL×L/200[ms]以上である
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の立体造形物を造形する装置。
【請求項10】
前記エネルギーを付与する手段は、前記造形物の表面に対して飛翔する前記造形材料が前記造形物の表面に到達するまでの間に、前記造形材料も加熱する
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の立体造形物を造形する装置。
【請求項11】
前記エネルギーを付与する手段は、前記造形物の周囲の雰囲気温度を、前記造形物の表面がガラス転移温度以上になるまで加熱する
ことを特徴とする1ないし10のいずれかに記載の立体造形物を造形する装置。
【請求項12】
前記造形材料は、結晶性樹脂であり、
前記造形物の表面の温度は、前記エネルギーを付与する手段によって加熱された後に前記造形材料の融点以上になる
ことを特徴とする1ないし11のいずれかに記載の立体造形物を造形する装置。
【請求項13】
前記造形物の表面の温度は、前記加熱する手段によって加熱される前には前記造形材料の融点未満である
ことを特徴とする12に記載の立体造形物を造形する装置。
【請求項14】
前記造形材料は、非晶性樹脂であり、
前記造形物の表面は、前記加熱する手段によって加熱された後に粘度が1.0×10Pa・s未満になる
ことを特徴とする1ないし11のいずれかに記載の立体造形物を造形する装置。
【請求項15】
前記造形物の表面は、前記エネルギーを付与する手段によって加熱される前の粘度が1.0×10Pa・s以上である
ことを特徴とする14に記載の立体造形物を造形する装置。
【請求項16】
担持体の一面に吸着力Fvで粒子が保持された状態で、前記担持体の前記粒子が保持されている面とは反対側の面に対してレーザ光を照射する手段を備え、
前記レーザ光を照射する手段は、前記レーザ光をパルス幅10μs以下で照射する
ことを特徴とする粒子を飛翔させる装置。
【請求項17】
前記吸着力Fvは、ファンデルワールス力、静電力、液架橋力から構成され、
前記粒子に作用する重力をFgとするとき、Fv>Fgである
ことを特徴とする請求項16に記載の粒子を飛翔させる装置。
【請求項18】
前記レーザ光の入力条件は、輻射圧により前記粒子にかかる力をFrとするとき、吸着面に対する鉛直方向において、Fr>Fv−Fg である
ことを特徴とする請求項16又は17に記載の粒子を飛翔させる装置。
【請求項19】
前記レーザ光の入力条件は、粉体のフルエンス閾値をFlth1、担持体のフルエンス閾値をFlth2、レーザーフルエンスをFlとするとき、Fl<Flth1、かつ、Fl<Flth2、とすることで、粒子を飛翔させる
ことを特徴とする請求項16又は17に記載の粒子を飛翔させる装置。
【請求項20】
前記担持体を一方向に移動させる手段を備えている
ことを特徴とする請求項16ないし19のいずれかに記載の粒子を飛翔させる装置。
【請求項21】
造形材料を担持する担持体と、
前記担持体に担持された前記造形材料を飛翔させる、請求項16ないし請求項20のいずれかに記載の粒子を飛翔させる装置と、を備えている
ことを特徴とする立体造形物を造形する装置。
【請求項22】
前記担持体と、立体造形物が造形されるステージとは同じ方向に移動する
ことを特徴とする請求項21に記載の立体造形物を造形する装置。
【請求項23】
前記担持体の移動速度は、前記ステージの移動速度よりも速い
ことを特徴とする請求項22に記載の立体造形物を造形する装置。
【請求項24】
担持体の表面に造形材料を担持する工程と、
造形物の表面にエネルギーを付与する工程と、
前記エネルギーを付与された前記造形物の表面に対し、前記担持体に担持されている造形材料を飛翔させる工程と、を行う
ことを特徴とする立体造形物を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は立体造形物を造形する装置、粒子を飛翔させる装置、立体造形物を造形する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
立体造形物(三次元造形物)を造形する装置としては、一般的に、溶融堆積(FDM)、光造形、粉体焼結、材料積層、粉末固着、シート積層、指向性エネルギー堆積等の技術を利用した積層造形法が知られている。
【0003】
また、光を吸収する立体造形剤に対して光渦レーザービームを照射して、立体造形剤を飛翔させて被付着物に立体的に付着させるものも知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】再表2016−136722
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の構成にあっては、飛翔させた立体造形剤が付着した後に紫外線などで硬化させるため、立体造形剤が造形物に衝突したとき、特に造形物の端部などに衝突した立体造形剤が飛散し、造形品質が得られにくいという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、造形品質の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る立体造形物を造形する装置は、
造形材料を担持する担持体と、
造形物の表面にエネルギーを付与する手段と、
前記エネルギーを付与された前記造形物の表面に向けて、前記担持体に担持されている造形材料を飛翔させる手段と、を備えている
構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、造形品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る立体造形物を造形する装置の説明図である。
図2】担持体上での造形材料の様子の一例の顕微鏡写真である。
図3】同じく他の例の顕微鏡写真である。
図4】造形材料の飛翔状態の説明に供する高速カメラによる断面観察の状態を示す説明図である。
図5】造形材料の落下軌跡の説明に供する説明図である。
図6】造形材料の着弾ばらつきの説明に供する説明図である。
図7】同実施形態の作用説明に供するフロー図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る立体造形物を造形する装置の説明図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る立体造形物を造形する装置の説明図である。
図10】本発明の第4実施形態に係る立体造形物を造形する装置の説明図である。
図11】同装置のマルチエアーノズルの説明図である。
図12】本発明の第5実施形態に係る立体造形物を造形する装置の説明図である。
図13】複雑形状を造形する場合のサポート方法の説明に供する説明図である。
図14】本発明の第6実施形態に係る立体造形物を造形する装置における造形中の造形物の表面温度の説明に供する説明図である。
図15】飛翔する造形材料と溶融用レーザの照射領域(レーザ光の領域)との関係を示す説明図である。
図16】本発明の第7実施形態に係る立体造形物を造形する装置における造形中の造形物の表面温度の説明に供する説明図である。
図17】本発明の第8実施形態に係る粒子を飛翔させる装置の説明に供する説明図である。
図18】同じくフルエンス閾値の説明に供する説明図である。
図19】本発明の第9実施形態に係る立体造形物を造形する装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態について図1を参照して説明する。図1は同実施形態に係る立体造形物を造形する装置の説明図である。
【0011】
この立体造形物を造形する装置(立体造形装置という。)100は、造形する造形物(造形過程にある造形物)200を支持する支持部材であるステージ101を備えている。ステージ101は、矢印Y方向に往復移動可能であり、矢印Z方向に例えば造形厚み0.05mmピッチで上下動可能である。
【0012】
ステージ101の下側にはステージ加熱ヒータ102が配置され、ステージ101は造形材料201に合わせた温度に制御される。また、ステージ101の上側には、断熱板301が配置され、その下面に造形物加熱ヒータ302が配置され、造形物加熱ヒータ302からエネルギーを付与され、造形物200は造形材料201に合わせた温度に制御される。なお、造形物加熱ヒータ302は断熱板301に一体化されても良い。
【0013】
ステージ101の上方には、粒子状の造形材料201を担持する回転部材からなる担持体111が配置されている。担持体111は、造形材料201を担持して矢印方向(移送方向)に回転する回転ドラムで構成され、ステージ101上の造形物200の上方まで造形材料201を移送する。担持体111は、透明な部材であり、円筒形のガラス部材で構成しているが、これに限るものではない。
【0014】
造形材料201は、目的とする造形物200に応じて適宜選択されるべきものであるが、樹脂の場合、例えば、PA12(ポリアミド12)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PSU(ポリスルホン)、PA66(ポリアミド66)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、LCP(液晶ポリマー)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、POM(ポリアセタール)、PSF(ポリサルホン)、PA6(ポリアミド6)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等である。また、造形材料201は、結晶性樹脂のみに限らず、非晶性樹脂であるPC(ポリカーボネート)やABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、PEI(ポリエーテルイミド)、あるいは結晶性と非晶性の混合樹脂であってもよい。
【0015】
また、造形材料201は、樹脂の他、金属、セラミック、液体などの種々の材料を用いることができる。また、造形材料201は、1pa・s以上の粘度を有する材料であってもよい。
【0016】
担持体111の周面による造形材料201の担持は、本実施形態では、主にファンデルワールス力によって行っている。また、造形材料201の抵抗値が高い場合、静電的な付着力だけでも担持できる。
【0017】
担持体111の周囲には、担持体111の周面(表面)に造形材料201を供給する供給手段112が配置されている。
【0018】
供給手段112は、内部に造形材料201が供給されて矢印方向に回転するメッシュローラ121と、メッシュローラ121内で造形材料201を摺って擦るブレード122とを備えている。この供給手段112は、ブレード122で造形材料201を摺って擦りながら凝集を解くことで、メッシュローラ121を通過させ、担持体111の周面に造形材料201の薄層を形成する。
【0019】
メッシュローラ121のメッシュの開目は造形材料201の平均粒径より20〜30%大きいものが好ましい。金属線を編んだものを使用できるが、電鋳などで作製されるフラットなメッシュがより好ましい。また、ブレード122の当接方法は、図1に示すようにトレーリングでも良いし、カウンタなど適宜選択される。メッシュの開目には、造形材料201が詰まることがあるが、開目より細い繊維からなるブラシをメッシュローラ外周から接触させることで、詰まりを解消できる。
【0020】
ここで、担持体111上での造形材料201の様子について図2及び図3を参照して説明する。図2及び図3は同説明に供する異なる造形材料の例の光学顕微鏡写真である。
【0021】
図2は、造形材料201として体積平均粒径は48μmの柱状造形材料201を使用し、開目70μm、線径50μmのステンレス製メッシュを用いて、造形材料201を担持体111の周面に供給したときの光学顕微鏡写真である。この例では、造形材料201は重なりがほぼなく全体として均一に配置されていることが確認された。
【0022】
図3(a)は、造形材料201としてSiterit社製PA12smooth(体積平均粒径は38μm)を使用し、開目60μm、線径50μmのステンレス製メッシュを用いて、造形材料201を担持体111の周面に供給したときの光学顕微鏡写真である。なお、図3(b)は図3(a)の拡大写真である。この例でも、造形材料201の重なりがほぼなく、全体として均一に配置されている。なお、この造形材料201は、3ないし4つの球形粒子が合体したような特異な形状をしているが、凝集したり、重なったりしているわけではない。
【0023】
供給手段112による供給は、メッシュローラに限定されるものではない。例えば、回転体による接触供給、非接触供給、非接触のメッシュ上からの散布、粉体気流撹拌による流動浸漬なども可能である。
【0024】
図1に戻って、担持体111の内側には、担持体111の周面から造形材料201を飛翔させる手段としての飛翔用レーザ115が配置されている。
【0025】
ここで、「飛翔」とは、造形材料201が非接触で担持体111からステージ101側に移動することを意味し、転写と異なり、非接触で移動できるので、造形材料201のロスを少なくしたり、造形精度を向上することができる。
【0026】
飛翔用レーザ115はパルスレーザを備え、担持体111の内側から造形材料201に対してパルスレーザ光115aを照射する。
【0027】
また、飛翔用レーザ115は、ガルバノミラー等の光走査部を備えている。光走査部は、パルスレーザ光115aを反射するミラーの角度を変化させることで、矢印Y方向及び矢印Z方向の両者に直交するX方向に、パルスレーザ光115aの照射位置を変化させる。飛翔用レーザ115は、光走査部を用いて、X方向における所定の位置に選択的にパルスレーザ光115aを照射できる。
【0028】
造形材料201は、パルスレーザ光115aを受けることで、放射圧と呼ばれる力などにより粉の付着力が開放され、重力等により下向きに落下する。従来知られているUS006025110Aなどに記載されているレーザ転写LIFT(Laser Induced Forward Transfer)は、担持体に密着した箔状、液状の材料をレーザ照射により非接触転写するものであり、局部的に加熱されて材料が気化することにより、担持体111の周面からパルスレーザ光115aの方向に飛翔する。
【0029】
なお、図1などでは、造形材料201が、ステージ101に対して重力方向に飛翔する例で示しているが、必ずしもステージ101に対して垂直(90°)を維持する必要はなく、必要に応じてステージ101に対して所要の角度で傾斜させてもよい。
【0030】
本実施形態では、後者のメカニズムの寄与を皆無とまで言うことはできないが、前者が中心と考える理由に以下のものがある。
1.レーザ光の吸収率が高い黒色粉と透明粉で飛翔開始エネルギーが同等である。
2.担持体が透明樹脂フィルムであっても透明粉は飛翔する。
3.担持体の透明樹脂フィルムは1000回までの多数回パルスレーザ照射でも劣化しない。
【0031】
担持体111と造形物200との空隙距離は、造形材料201の平均粒径の3〜10倍を目安に維持することが好ましい。これにより、飛翔前後の上下の造形材料同士の接触を避け、飛翔による散逸を避けることができる。
【0032】
ここで、造形材料201の飛翔状態について図4を参照して説明する。図4は同説明に供する説明図である。図4(b)、(c)は高速カメラによる断面観察の状態を示している。
【0033】
図4(a1)に示すように、担持体111の周面に造形材料201が多層に重なっているときには、パルスレーザ光115aを照射することによって、図4(b)に示すように、造形材料201が飛翔によって散逸する。
【0034】
これに対し、図4(a2)に示すように、担持体111の周面に造形材料201が重ならないで担持されているときには、パルスレーザ光115aを照射することによって、図4(c)に示すように、造形材料201が鉛直方向に飛翔する。
【0035】
次に、造形材料の落下軌跡及び着弾ばらつきについて図5及び図6を参照して説明する。
【0036】
図5は、以下の条件で複数の粉末(造形材料)の落下軌跡をインターバル連続撮影でとらえた結果を示している。
【0037】
PA12粉体:平均粒径38μm
レーザ波長:532nm
パルス幅:15ps
ピークパワー:0.74MW
ビーム重ね回数:1.3
ビーム径:40μm
周波数:6.6kHz
走査速度:200mm/s
撮影:20kfps
【0038】
粉体は透明PC、黒色PC、PE、PBTで、レーザ波長:1064nm、パルス幅:2ns、20nsなどの組み合わせで同様な飛翔を確認した。特に、透明PCは532nmでも1064nmでも透過率が高く、熱として吸収されることが少ないため、従来のLIFTとは異なる機構であることが推察される。
【0039】
その際の造形予定位置の0.5mmギャップ位置の着弾ばらつきを図6にヒストグラムで示している。
【0040】
この結果から分かるように、76%の粒子が±50μmの範囲に着弾しており、±100μmなどの精度の造形を行うには十分である。最終形状は、溶融用レーザの位置精度で決まるため、溶融部から外れた僅かな粉は造形後に除去される。
【0041】
飛翔用レーザ115のレーザ光源としては、特に制限はなく、ピコ秒からナノ秒などのパルス発振可能なものが好ましい。固体レーザとしては、YAGレーザ、チタンサファイアレーザなどがある。気体レーザとしては、アルゴンレーザ、ヘリウムネオンレーザ、炭酸ガスレーザなどがある。半導体レーザも小型で好ましい。ファイバーレーザはそのピークエネルギーの高さと小型化可能な面で本発明を製品化するに当たり最も適した光源である。
【0042】
溶融用レーザの波長としては、適宜選択することができるが、300nm以上11μm以下が光源の選択肢が多く好ましい。特に、造形材料201が樹脂であるとき、2460nm付近は、ほぼ全ての樹脂が持つCHとCC結合の複合吸収帯で、カーボン入りのものも含む多様な樹脂で吸収率が80%以上であった。また、波長が2300nm〜2500nmは吸収率が65%以上であり、この範囲でも安定的な飛翔及び溶融のエネルギーを付与できる。同様にCC結合の吸収帯である3400nm付近とその倍音である1700nm付近も好適である。
【0043】
この波長域は通常のガラスの透過率も高いため、基材との組み合わせも容易である。
レーザのパルス周波数としては、レーザの走査速度との組み合わせで適宜選択することができる。両者の組み合わせで決まるビーム径の重なりが多いと飛翔後の粉体(造形材料)にもレーザが当たり、粉が散逸しやすい。ビーム径の重なりが2回以上となるとその傾向が顕著であり、1.2〜1.7回は粉の散逸が小さい。
【0044】
また、担持体111の内側には、造形物200の表面にエネルギーを付与する手段としての溶融用レーザ116が配置されている。溶融用レーザ116は、パルスを積極的に用いる必要はなく、連続波のレーザが適している。
【0045】
溶融用レーザ116は、ステージ101上で造形される造形物200の表面を加熱して溶融状態にする。1つ又は複数のエネルギーを付与する手段のエネルギーによって溶融状態になればよく、レーザによる加熱以外にも対流、ランプ、誘導加熱、誘電加熱など適用可能である。また、このときの「表面」とは、造形1回の1層でも良いし、2、3層などの複数層にわたっても良い。また、各層の一部でも良いし、全体でもよい。つまり、最表層の一部が含まれていることが重要である
【0046】
溶融用のレーザ116のレーザ光116aは、図1において、飛翔用レーザ115のパルスレーザ光115aの照射位置(造形材料201の着弾位置)を狙って照射されている。両者の位置は調整可能で、材料種や造形速度などで調整位置を切り替えることも考慮される。
【0047】
これにより、溶融用レーザ116のレーザ光116aで溶融状態になった造形物200の表面に、飛翔用レーザ115で飛翔される造形材料201が着弾することで造形物200に付着される。
【0048】
なお、造形材料201の飛翔と造形物200の溶融の開始タイミングの前後関係は特に限定されるものではない。つまり、造形材料201が飛翔する前に、造形物200の表面を溶融させても良い。または、造形材料201が飛翔した後、造形物200の表面を溶融させ、この溶融させた表面に飛翔した造形材料201が着弾しても良い。
【0049】
着弾位置のばらつきや過不足は積層間で調整可能で、飛翔用レーザ115は造形の形状と異なることがあり得る、造形の形状決定するのは溶融用レーザ116である。
【0050】
また、担持体111の周囲には、造形物200を造形する領域よりも担持体111の回転方向下流側に、担持体111上に残存する造形材料201を除去するクリーニングブレード117を備えている。クリーニングブレード117で掻き落とされた造形材料201は回収ケース118に回収する。
【0051】
次に、この立体造形装置100の作用について図7のフロー図を参照して説明する。
【0052】
造形動作を開始すると、供給手段112は、メッシュローラ121内の造形材料201をブレード122で摺って擦り(ステップS1、以下、単に「S1」というように表記する。)、造形材料201をメッシュに通し(S2)、担持体111の周面に造形材料201を重ならない状態で配置する(S3)。供給手段112は、造形が完了するまで(S4)、担持体111に対する供給を継続する。
【0053】
このようにして、供給手段112によって担持体111の周面に造形材料201が供給され、造形物200を支持するステージ101の上方に配置された担持体111の表面に造形材料201が担持される。
【0054】
そして、担持体111の回転によってステージ101の上方に移送され、ステージ101の上方に造形材料201の天井が形成される。
【0055】
一方、造形開始タイミングになると(S5)、溶融用レーザ116からレーザ光116aを照射して造形物200の表面のうち造形材料201を付着する部分を加熱して溶融する(S6)。ただし、造形開始第一層だけはステージ加熱ヒータ102の温度により造形材料201が融着する。
【0056】
そして、飛翔用レーザ115から造形データに応じて所要の造形材料201にパルスレーザ光115aを照射して、担持体111に担持されている造形材料201を造形物200の溶融の部分に向けて飛翔させる(S7)。
【0057】
担持体111から飛翔する造形材料201は溶融状態にある造形物200の表面に着弾して造形物200と一体になり、造形物200が少なくとも1造形材料分成長する。
【0058】
このように、担持体111の連続回転によって造形材料201を順次ステージ101上の移送しながら、溶融用レーザ116による造形物200の表面に溶融化、飛翔用レーザ115による造形材料201の飛翔、着弾を、造形が完了するまで繰り返す(S8)。
【0059】
これによって、造形物200を所要の形状まで成長させて立体造形物を造形することができる。
【0060】
このとき、飛翔された造形材料201は溶融にある造形物200の表面に着弾しえ付着し、衝突によって拡散しないので、造形物200のエッジなどでも高い精度を得ることができ、造形品質が向上する。
【0061】
また、粉体としては、前述したように、結晶性樹脂のみならず、結晶性及び非結晶性樹脂の混合樹脂なども使用することができ、材料の多様性を確保でき、また、連続造形によって造形速度の高速化を図れ、更に、廃棄材料を減少することができる。
【0062】
次に、本発明の第2実施形態について図8を参照して説明する。図8は同実施形態に係る立体造形物を造形する装置の説明図である。
【0063】
本実施形態においては、前記第1実施形態の担持体111の周囲であって、供給手段112と造形材料201を飛翔させる位置(造形位置)との間に、造形材料201に液体130を吐出して付与するヘッド131を配置している。
【0064】
このヘッド131の粉体移送方向(担持体111の回転方向)下流側には、液体130が付与されていない造形材料201を吸引回収する吸引手段132を配置している。また、吸引手段132で回収した造形材料201を貯留するタンク133を備えている。
【0065】
このように、ヘッド131によって造形材料201に液体130を付与することで、造形材料201間及び担持体111と造形材料201との間に液架橋力が生じて、より安定して造形材料201を担持体111の周面に担持して造形位置まで移送できる。
【0066】
このとき、ヘッド131を造形データに応じて駆動して液体130を付与する領域を選択することにより、担持体111上で造形データに応じた造形材料201の画像を形成することができる。また、ヘッド131から吐出する液体に色材や添加剤を加えることで、色を加えたり、機能を付与したりすることができる。また、ヘッド131として多色ヘッドを使用することで所要の色を着色することもできる。
【0067】
なお、造形材料201による作像を行わず、全体に液架橋力を付与するのであれば、超音波加湿器のミストを吹き付けることなどでも、より安定的に造形位置までの移送を行うことができる。
【0068】
また、ファンデルワールス力や粉の抵抗値が高い場合静電的な付着力だけでも飛翔部まで搬送することが可能である。
【0069】
吸引手段132は、担持体111の表面に液架橋力で担持されていない造形材料201を吸引除去する。吸引手段132は、減圧吸引の他、高導電性の粉体以外では静電的な吸引も可能であり、これらを併用することもできる。吸引された造形材料201は、液体などもついていないので、供給手段112内に再供給することもできる。
【0070】
ここで、液体130について説明する。液体130としては水を用いる。粘度調整のために、グリセリンやポリエチレングリコールなどの微量の増粘剤などを含んでもよい。
【0071】
ただし、造形材料201を構成する樹脂によっては、微量の水分をも加水分解などから避ける必要があり、その場合は、難燃性と材料への影響のないことを考慮した液体、例えばフッ化水素系の溶剤を選ぶことができる。例えば、スリーエム社製:商品名フロリナート(登録商標)、ソルベイ社製:商品名ガルデン(登録商標)が沸点に応じて選択できる。フッ化水素系の溶剤がレーザ加熱などで分解する場合には、排気経路にフッ酸を吸収する炭酸カルシウムなどの吸収剤を配置しておけばよい。
【0072】
次に、本発明の第3実施形態について図9を参照して説明する。図9は同実施形態に係る立体造形物を造形する装置の説明図である。
【0073】
本実施形態では、担持体111は周回移動する回転部材である無端ベルトで構成している。担持体111は例えばニッケルベルトを使用している。
【0074】
担持体111は、ローラ151、152及び加熱手段である加熱ローラ153に掛け回されている。ここで、加熱ローラ153は造形物200を造形する位置(造形位置)でステージ101の上方に配置されている。
【0075】
加熱ローラ153の背後には、バックアップローラ154が配置されている。バックアップローラ154は加熱ローラ153が小径であるために生じる無端ベルトの撓みを低減する。
【0076】
回収ローラ134はバイアスローラであり、バイアス電界によって造形材料201を回収し、タンク133に落下させる。
【0077】
本実施形態では、加熱ローラ153は例えば150℃まで加熱され、担持体111と加熱ローラ153との接触部では100℃を超える温度になり、担持体111に担持された造形材料201の水による架橋力が開放される(突沸)。また、加熱ローラ153が相対的に小径であり、造形材料201は遠心力でも架橋力が開放される。これにより、造形材料201は、例えば担持体111の移動速度300mm/sで、担持体111から造形物200に向けて飛翔する。
【0078】
つまり、本実施形態では、担持体111から造形材料201を飛翔させる手段は、加熱ローラ153と担持体111を回転させる手段とで構成され、突沸と遠心力によって担持体111の周面から造形材料201を飛翔させる。さらに詳細には、担持体111の移動に伴う慣性力も働き、着弾位置は飛翔位置の真下より、担持体移動方向の先になる。
【0079】
一方、前記第1実施形態と同様に、造形物200の造形材料201を付着させる部位は溶融用レーザ116によって溶融されて溶融になっている。
【0080】
これにより、担持体111から飛翔した造形材料201は造形物200の溶融の部分に付着し、造形物200が成長する。
【0081】
次に、本発明の第4実施形態について図10及び図11を参照して説明する。図10は同実施形態に係る立体造形物を造形する装置の説明図、図11は同装置のマルチエアーノズルの説明図である。
【0082】
本実施形態では、担持体111は無端のメッシュベルトで構成している。
【0083】
担持体111は、ローラ151、152及びローラ156、157に掛け回されている。そして、ローラ156、157の間であって、造形物200を造形する位置(造形位置)でステージ101の上方には、マルチエアーノズル160が配置されている。
【0084】
マルチエアーノズル160には供給源から空気が送られており、ノズル160aからメッシュベルトからなる担持体111に向けて空気を吹き出し、この空気圧によって担持体111から造形材料201が飛翔する。
【0085】
飛翔前の粉体作像はインクジェットを用いたが、他の実施形態のようにレーザによりネガ部を除去しておくことも可能である。また、マルチエアーノズル自体がマイクロキャビティ構造で個別に制御できるインクジェットのような構成の場合、事前の作像は不要であってパウダージェットの構成も実施可能である。
【0086】
一方、前記第1実施形態と同様に、造形物200の造形材料201を付着させる部位は溶融用レーザ116によって加熱されて溶融されている。
【0087】
これにより、担持体111から飛翔した造形材料201は造形物200の溶融部分に付着し、造形物200が成長する。
【0088】
次に、本発明の第5実施形態について図12を参照して説明する。図12は同実施形態に係る立体造形物を造形する装置の説明図である。
【0089】
本実施形態では、担持体111は周回移動する回転部材である無端ベルトで構成している。担持体111は、例えばPETフィルム(東レ製ルミラー)で構成している。また、ポリイミドフィルム(東レ製カプトンH)で構成することもできる。これらのフィルムは、工業的に量産されており、無端ベルトとして使用することも可能であるが、長尺のフィルムロールをそのまま利用し、ロールtoロールで繰り返し使用することも可能である。
【0090】
担持体111は、ローラ151、152及び固定部材155に掛け回されている。ここで、固定部材155は、造形物200を造形する位置(造形位置)でステージ101の上方に配置されている。
【0091】
供給手段112の供給ローラ123としてローレットローラを使用し、供給ローラ123に対向して表面にゴム層を有する当接ローラ124を配置している。
【0092】
飛翔用レーザ115のパルスレーザ光115aは、入射角20度で、固定部材155でスリット部155aから担持体11へ照射できるようにしている。
【0093】
また、塗布液を吐出して塗布する塗布装置163を配置している。塗布装置163は、例えば加熱により析出する硫酸マグネシウムなどの耐熱性で水溶性の液体162を吐出する。これにより、造形物200の界面のサポート除去性の向上などを図っている。なお、塗布液は低粘度な液体の他、スラリー状、または加熱溶融された樹脂でも同様に適用可能である。
【0094】
次に、複雑形状を造形する場合のサポート方法について図13を参照して説明する。
【0095】
ここでは、図13(a)に示すように、コの字型の造形物200を造形する。このとき、図13(b)に示すように、造形物200の上部を支えるとともに、造形後に容易に外せるサポート材211を使用する。
【0096】
サポート材211によるサポート部を形成するとき、飛翔用レーザ115のみ作動し、溶融用レーザ116は作動しないことで形成できる。粉の高さは飛翔頻度で調整可能であり、予め造形データ内で予測設定してもよいし、造形中に形状を測定しながら補正することもできる。
【0097】
また、図13(c)、(d)に示すように、サポート材201bが崩れる可能性や精度を考慮し、サポート材211の一部に造形物212〜214を造形して、造形後に除去する。
【0098】
次に、本発明の第6実施形態について図14を参照して説明する。図14は同実施形態に係る立体造形物を造形する装置における造形中の造形物の表面温度の説明に供する説明図である。
【0099】
本実施形態における装置構成及び造形動作は、前記第1実施形態と同様である。なお、第2ないし第5実施形態における装置構成とすることもできる。
【0100】
本実施形態では、造形材料(造形物200の材料)201として、結晶性樹脂であるPEEKを使用している。これ以外の結晶性樹脂を使用することもできる。
【0101】
図14は造形物200の造形開始以降の表面の温度の時間による変化を示している。図14のS6は前記図7のステップS6(溶融用レーザ照射)及びステップS7(飛翔用レーザ照射)のタイミングを示している。
【0102】
本実施形態では、図14に示すように、ステップS7で溶融用レーザ116によってレーザ光116aが照射されて温度が上昇した造形物200の表面は、飛翔用レーザ115によって飛翔される造形材料201が到達(衝突)して積層されるとき、ガラス転移温度Tgである143℃以上に保たれている。
【0103】
造形物200の表面の温度をガラス転移温度Tg以上にすることで、造形物200の表面がゴム状態になり、飛翔した造形材料201が造形物200に衝突したときに造形物200の表面が変形し、造形材料201の運動エネルギーを吸収することができる。
【0104】
これに対し、造形物200の表面の温度が、ガラス転移温度Tg未満の温度であると、飛翔した造形材料201が造形物200に衝突したときに造形物200の表面が十分に変形せず、造形材料201の運動エネルギーを十分に吸収することができないため好ましくない。
【0105】
これにより、造形材料201が造形物200の表面に衝突(到達)したときに、造形材料201が跳ね返りにくくなり、造形材料201の飛散を抑制することができ、造形物200の寸法精度や表面性が向上し、造形品質が向上する。
【0106】
この場合、造形物200の表面の温度は、結晶化温度(Tc)、造形材料201としてPEEKを使用するときには300℃以上とすることが好ましい。これにより、温度下降時に結晶化に伴う急激な収縮による反りが局所的に発生することを抑制し、安定した形状の立体造形物を得ることができる。
【0107】
造形物200の表面温度を保つために、図1に示すように、造形物200にエネルギーを付与する手段としての造形物加熱ヒータ302がステージ101の上側に配置されている。造形物加熱ヒータ302は、面状の抵抗発熱体により形成されており、造形物200の周囲の雰囲気温度を、造形材料201のガラス転移温度Tgである143℃以上に保っている。
【0108】
また、断熱板301とステージ101との間には、ファン等により送風がなされており、雰囲気の温度が一様になるようにされている。
【0109】
なお、造形物加熱ヒータ302或いは造形物200の周囲に温度センサを配置し、造形物200の周囲の雰囲気の温度を一定に保つように温度制御を行うこともできる。雰囲気温度を高く保つことにより、造形材料201が造形物200に衝突するときの造形材料201の飛散を抑制できるだけでなく、造形後の造形物200の内部の温度勾配を低減させることで反りを抑制させることもできる。
【0110】
造形物加熱ヒータ302は、飛翔用レーザ115によって飛翔する前(担持された状態)の造形材料201の温度もガラス転移温度Tgである143℃以上に保持されるように造形物200の周囲の雰囲気温度を加熱する。
【0111】
これにより、溶融用レーザ116によって投入するエネルギーを軽減させることができ、高速化、省電力化を図ることができる。
【0112】
一方で、飛翔用レーザ115によって飛翔される前の造形材料201はガラス転移温度Tgである143℃未満でも良く、造形材料201がゴム状態にならないようにすることで担持体111との接着力を一定以下に抑え、造形材料201が飛翔しやすいように調整することが好ましい。
【0113】
また、図14に示すように、ステップ6において、造形物200の表面の温度は、溶融用レーザ116によるレーザ光116aの照射前は融点Tmである343℃未満であり、かつ、レーザ光116aの照射後は343℃以上となっている。
【0114】
溶融用レーザ116によってレーザ光116aを照射した後に融点Tm以上となるようにすることで、造形物200が液体状態となり、溶融した造形材料201同士が結合することで、高い強度の造形物を形成することができる。照射した後も融点Tm未満であると、造形物200に対して造形材料201が十分に結合することができない。
【0115】
一方で、溶融用レーザ116によってレーザ光116aを照射する前には融点Tm未満となるようにすることで、造形物200全体が溶融して崩れてしまうことを抑制し、一定の寸法精度を保つことができる。
【0116】
なお、溶融用レーザ116による造形物200の表面の温度上昇は50℃になるようにしており、造形物の局所的な変形による反りが発生しない程度の温度上昇としている。
【0117】
また、造形物200の表面の温度をガラス転移温度Tg以上にエネルギーを付与する(保つ)手段として造形物加熱ヒータ302を用いたが、これに限るものではない。
【0118】
例えば、溶融用レーザ116の出力や照射時間、あるいは、溶融用レーザ116からのレーザ光116aと飛翔用レーザ115からのレーザ光115aを照射する時間の間隔などをレーザの制御により調整することもできる。
【0119】
例えば、時間の間隔を調整する場合には、溶融用レーザ116からのレーザ光116aを造形物200の表面に照射して造形物200の表面温度が融点を超えてから、熱が造形物200の内部或いは雰囲気に伝わって温度が低下していく過程で、ガラス転移温度Tgを下回らない範囲で時間の間隔を決めておけば良い。
【0120】
次に、造形材料を飛翔させる時間間隔について説明する。
【0121】
造形材料201が飛翔して造形物200の表面に衝突したときに、造形物200から熱が伝わり造形材料201の温度が上昇する。このときの伝熱が不十分であると、同じ位置へ、次の造形材料201が衝突するときに造形材料201の表面温度が十分上がらず、ガラス転移温度Tgに届かない可能性が生じる。
【0122】
そこで、十分な伝熱時間が得られるように、造形材料201の平均粒径をL[μm]とするとき、造形材料201が飛翔して造形物200の表面に到達してから、次に同位置に造形材料201が飛翔して造形物200の表面に到達するまでの時間の間隔が、L×L/200[ms]以上となるようにする。時間の間隔がL×L/200[ms]未満の場合、表面に到達した粒子の熱が十分に拡散されておらず粒子全体が溶融しないので好ましくない。
【0123】
時間間隔の閾値は厚さL、熱拡散率αの材料の温度が均一になるための閾値(RC回路での時定数RCに相当)としてL/αとし、樹脂材料では一般にα=2.0×10―7[m/s]であることを利用して導いた。L=50[μm]とするとき、時間間隔は12.5[ms]以上必要であることから、例えば、造形材料201を飛翔させる時間間隔を20[ms]とする。
【0124】
これにより、造形材料201が飛翔して造形物200の表面に衝突したときに、造形物200から熱が伝わり造形材料201の温度が上昇するに十分な時間を確保でき、造形品質が向上する。
【0125】
ここで、具体的な実施例について表1を参照して説明する。
【0126】
<実施例1−1ないし実施例1−6>
表1に示すように、樹脂(造形材料201)としてPEEK(実施例1−1、1−2)、PA12(実施例1−3、1−4)、PBT(実施例1−5、1−6)を使用した。そして、造形物200の加熱前の表面温度を融点未満の温度とし、加熱後の樹脂が到達するときの表面温度(到達表面温度)をガラス転移温度Tg以上(実施例1−1、1−3、1−5)、又は結晶化温度Tc以上(実施例1−2、1−4、1−6)とした。また、樹脂を飛翔させる時間間隔は、いずれも、「L×L/200[ms]」以上の0.1sとした。
【0127】
なお、雰囲気温度はいずれも25℃とした。また、温度の測定は、キーエンス社の製品名FT−H20を使用して行った。また、時間間隔の測定は、キーエンス社の製品名NR−500を使用して行った。
【0128】
これらの実施例1−1ないし実施例1−6について、溶融状態を評価し、評価結果を表1に示している。評価結果の「〇」は、造形材料が溶融して、造形物と造形材料が結合したことを示している。
【0129】
【表1】
【0130】
次に、飛翔中の造形材料に対する加熱について図15も参照して説明する。図15は飛翔する造形材料と溶融用レーザの照射領域(レーザ光の領域)との関係を示す説明図である。
【0131】
レーザ光116aは、造形物200の表面に照射されるとともに、斜めに入射することで、造形物200の上方を通過する。
【0132】
ここで、溶融用レーザ116からレーザ光116aを照射しているときに、造形材料201が飛翔して造形物200の表面に着弾する。
【0133】
このようにして、飛翔中の造形材料201に直接溶融用レーザ116のレーザ光116aが照射されることにより、造形物200の表面だけでなく、造形材料201も同時に加熱することができる。
【0134】
したがって、着弾する造形材料201自体がガラス転移温度Tg以上になったり、あるいは、造形物200と衝突するときの温度が高まることにより、造形物200と衝突するときに、より造形物200の表面が変形し、運動エネルギーを吸収する。
【0135】
これにより、造形材料201が造形物200の表面に衝突するときに跳ね返りにくくなり、造形材料201の飛散が抑制され、造形物200の寸法精度や表面性をさらに向上して、造形品質を向上させることができる。
【0136】
次に、本発明の第7実施形態について図16を参照して説明する。図16は同実施形態に係る立体造形物を造形する装置における造形中の造形物の表面温度の説明に供する説明図である。
【0137】
本実施形態における装置構成及び造形動作は、前記第1実施形態と同様である。なお、第2ないし第5実施形態における装置構成とすることもできる。
【0138】
本実施形態では、造形材料201として、非晶性樹脂であるPESを使用している。これ以外の非晶性樹脂を使用することもできる。
【0139】
造形材料201が非晶性樹脂である場合、融点を持たないため、前記第6実施形態と同様の作用効果を得ようとする場合、溶融用レーザ116の照射前後における造形物200の表面の温度で規定することができない。
【0140】
そこで、本実施形態では、樹脂の粘度を元に規定する。
【0141】
樹脂の粘度が溶融用レーザ116からのレーザ光116aの照射前は粘度が1.0×10Pa・s以上であるのに対し、レーザ光116aの照射後は1.0×10Pa・s未満となるようにする。つまり、造形物200の表面がエネルギーを付与する手段によって加熱された後に粘度が1.0×10Pa・s未満になり、加熱される前の粘度が1.0×10Pa・s以上である構成とする。
【0142】
ここで、具体的な実施例について表2を参照して説明する。
【0143】
<実施例2−1>
樹脂(造形材料201)としてPESを使用し、レーザ光の照射前は250℃、照射後は360℃とした。このとき、照射前の粘度は3.0×10Pa・s、照射後は6.0×10Pa・sであった。
【0144】
<実施例2−2>
樹脂(造形材料201)としてPVCを使用し、レーザ光のエネルギーを付与する前は50℃、付与後は150℃とした。このとき、照射前の粘度は4.0×10Pa・s、照射後は5.0×10Pa・
【0145】
なお、温度の測定は、キーエンス社の製品名FT−H20を使用して行った。また、粘度の測定は、JIS8803:2011に従って行った。
【0146】
これらの実施例2−1、2−2について、溶融状態を評価し、評価結果を表2に示している。評価結果における符号「〇」は、造形材料が溶融して、造形物と造形材料が結合したことを示している。
【0147】
【表2】
【0148】
これにより、融点を持たない非晶性樹脂に対しても前記第6実施形態と同様に、溶融用レーザ116からのレーザ光116aの照射後に造形物200が柔らかくなり、粉体同士が結合することで、高い強度の造形物を形成することができる。そして、溶融用レーザ116によるレーザ光の照射前に融点未満となるようにすることで、造形物200全体が柔らかくなり崩れてしまうことを抑制し一定の寸法精度を保つことができる。
【0149】
上記各実施形態においては非接触で積層することから、電子写真方式のSTEP方式などで生じる課題をほとんど解決できる。例えば、溶融樹脂を造形物に接触させて積層する方式では、界面でオフセットや荒れが起きやすく、温度の厳密な制御、時間の増大、溶融粘度などからも材料の制約があり、また、静電気を用いるため導電性樹脂は使用できないという課題があるが、非接触で積層することで、これら課題はなくなる。
【0150】
次に、本発明の第8実施形態について図17を参照して説明する。図17は同実施形態に係る粒子を飛翔させる装置の説明に供する説明図である。
【0151】
本実施形態では、粒子を飛翔させる装置を前記第1実施形態に係る立体造形物を造形する装置に適用した例で説明する。
【0152】
図17に示すように担持体111の一面に吸着力Fvで粒子である造形材料201が保持された状態で、担持体111の造形材料201が保持されている面とは反対側の面に対してレーザ光115aを照射する手段としての飛翔用レーザ115を備えている。
【0153】
飛翔用レーザ115は、レーザ光115aを10μs以下のパルス幅を持ったパルス光で照射する。パルス幅は、8μsでもよいし、5μs以下でよいし、2μsでもよい。また、ナノ秒、ピコ秒でも実現可能であることを確認している。10μsより長いパルス幅で照射すると、造形材料内での熱拡散がμm以上となり、材料への力が伝わらないために、好ましくない。
【0154】
ここで、図17において、「Fg」は、造形材料201(粒子)にかかる重力を表す。これは、一般に、物体の体積と密度の積で表される重量に重力加速度を乗じることで算出される。造形材料201として、前述したSiterit社製PA12smooth(体積平均粒径は38μm)にて求めたところ、重力Fgは10−10N程度であった。
【0155】
「Fvdw」は、造形材料201にかかるファンデルワールス力を表す。これは、計算により算出すると、10−7N程度であった。
【0156】
「Fe」は、静電力による造形材料201の吸着力を表す。これは、同程度のサイズのプリンタにおけるキャリア材料で、10N程度の力のオーダーであることが知られているが、これは造形材料201(粒子、粉体)の帯電量に依存する。
【0157】
上記は計算により求めるが、FvdwとFeの和である付着力Fvは、遠心分離機を用いた付着力試験などにより実験的に求められるが、同様にSiterit社製PA12smoothにて付着力試験で求めたところ、Fgは10−8N程度であった。
【0158】
Fvdwを構成する要素としては、他に造形材料201(粒子)と担持体111の間に液体が含まれている場合に生じる液架橋力などが考えられる。
【0159】
「Fr」は、輻射圧により造形材料201にかかる力を表す。Frは計算により算出することができるが、パルス幅10ps、パルスエネルギー1μJで計算すると、瞬間の力は10−4N程度であった。
【0160】
「Fab」は、造形材料201の表面がレーザーアブレーションにより、一部の個体が瞬間的に気体化することで、気体の射出時に圧力が生じることで造形材料201にかかる力を表す。
【0161】
例えばパルス幅ps程度のレーザを用いると、この気体及び場合によってはプラズマ化する、一般的にアブレーションと呼ばれる現象がある。これらは、数十万度といった高温となることが知られており、その場合、噴射圧はFvdwに比べて非常に大きいと考えることができる。
【0162】
したがって、レーザのエネルギーがアブレーションを誘起するだけのエネルギーを持てば、造形材料201に瞬間にかかる力は付着力を大きく上回る。
【0163】
ここで、レーザが物体に対してアブレーション閾値を超えるか否かはレーザーフルエンスFllが閾値を超えるかどうかで議論されるケースが普通である。このときの閾値を、以後、「フルエンス閾値」と表記する。
【0164】
フルエンスFllとは、パルスエネルギーJをレーザの面積で割ることで算出される(単位はJ/cmが一般的)。粉体材料の場合、そのフルエンス閾値Flthは0.1−1.0J/cmが一般的である。これは、当該材料のバルク材料にレーザを照射することで算定が可能である。
【0165】
これは、レーザービームが一般的なガウシアンビームである場合の計算式であり、もちろん、ビームの中心位置と周辺部とで、その値は変わるし、その他の異形ビーム(ドーナツビームやトップハットビーム)ではそれに応じた計算式を用いなければいけない。
【0166】
これらより、吸着力Fvdwはファンデルワールス力、静電力、液架橋力から構成され、粒子(造形材料201)に作用する重力をFgとするとき、Fv>Fg、とすることで、担持体111に造形材料201を担持することができる。
【0167】
また、レーザ光の入力条件は、輻射圧により粒子(造形材料201)にかかる力をFrとするとき、吸着面に対する鉛直方向において、Fr>Fv−Fg、とすることで、粒子を飛翔させることができる。
【0168】
ここで、具体的な実施例について表3を参照して説明する。
【0169】
<実施例3−1ないし実施例3−3>
樹脂としてPA12(実施例3−1)、PE(実施例3−2)、PC(実施例3−3)を使用し、Fv>Fgとし、レーザ光の入力条件を、Fr>Fv−Fg、とした。
【0170】
これらの実施例3−1ないし実施例3−3について飛翔状態を確認した。結果を表1に示している。
【0171】
【表3】
【0172】
また、レーザ光の入力条件は、粉体のフルエンス閾値をFlth1、担持体のフルエンス閾値をFlth2、フルエンスをFlとするとき、Fl<Flth1、かつ、Fl<Flth2、とすることで、粒子を飛翔させる。
【0173】
このとき、フルエンス閾値は複数存在することに注意する。図18に示すように、担持体が複数層から構成される場合、例えば、担持体111A→担持体111B→担持体111Aのサンドイッチ構造である場合、一方の担持体111Aの上面は雰囲気環境1、他方の担持体111Aの下面は雰囲気環境2とする。
【0174】
この場合、担持体111A及び担持体111Bは、例えば、基材とその表面に付着する薄膜層としてもよいし、複数の基材の張り合わせも考えられる。また、その表面形状が平坦でなく凹凸を持った形状であることも考えられる。雰囲気環境は空気、窒素、アルゴンなどの雰囲気環境と温度、湿度条件などが考えられる。
【0175】
フルエンス閾値は、その物質の材質と、雰囲気環境で異なることが知られているので、図18の場合、雰囲気環境1で担持体111Aの境界面B1と、担持体111Aと担持体111Bの境界面B2と担持体111Aと雰囲気環境2の境界面B3、ではそれぞれ異なったフルエンス閾値を持つと考えられる。また、レーザービームのスポット径もそれぞれでもちろん異なるし、担持体の境界面でなくその内部でのフルエンス閾値も異なる。
【0176】
したがって、これらの条件を考慮して、レーザ条件に応じて考えられるすべてのフルエンス閾値でフルエンスの条件が選択されなければならないことに注意する。
【0177】
本実施形態に係る粒子を飛翔させる装置を使用することで、飛翔させる粒子(粉体)が限定されてない。つまり、前述したように、例えば、結晶性樹脂、非晶性樹脂、エンプラ、金属材料、セラミックなどの粒子(粉体)を飛翔させることができる。
【0178】
そして、粒子を担持体に吸着することができれば、立体造形物を造形することができる。
【0179】
ここで、担持体111と、立体造形物が造形されるステージ101とは、対向部位で同じ方向に移動する構成とすることが好ましい。
【0180】
また、担持体の移動速度は、ステージの移動速度よりも速いことが好ましい。通常、担持体111は粉体材料が完全に充填することは難しい。そのため、担持体111は立体造形物101に十分な速度で粉体を供給するためにより速い速度で移動する必要がある。
【0181】
次に、本発明の第9実施形態について図19を参照して説明する。図19は同実施形態係る立体造形物を造形する装置の説明図である。
【0182】
本実施形態は、前記第1実施形態における担持体111がフィルムで構成されている。担持体111としてのフィルムは、繰り出しロール111Aから巻取りロール111Bに巻き取りながら使用する。
【0183】
そして、繰り出しロール111Aから繰り出す担持体111が途切れるときに、補給用の繰り出しロール111Cを使用して、担持体111であるフィルムを接着しつなげる。これにより、短時間で造形を継続できる。
【0184】
本実施形態では、溶融用のレーザ116のレーザ光116aは、造形材料201の着弾位置から、やや離れているが、入射角15度でエネルギーを付与できる。
【0185】
入射角が0度に近いほど、複雑な形状を造形するとき、異物や溶融不足の部分が高くなるなどの際の影になるなどの不具合が発生しにくくなる。
【0186】
ステージ101がY1方向に移動するときは、造形物200の表面を溶融し、材料を着弾させる。また、ステージ101がY2方向に移動するときは、Tg以上で軟化した表面に着弾した粉(造形材料201)を加熱溶融させる。
【符号の説明】
【0187】
100 立体造形物を造形する装置
101 ステージ(支持部材)
111 担持体
112 供給手段
115 飛翔用レーザ(飛翔させる手段)
116 溶融用レーザ(エネルギーを付与する手段)
200 造形物
201 粉体
201 造形材料(粒子)
301 断熱板
302 造形物加熱ヒータ(補助的にエネルギーを付与する手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16
図17
図18
図19