【解決手段】ポリオレフィン多孔質フィルムを含有する非水電解液二次電池用セパレータであって、曲路率と膜厚との積である経路長が、22μm以上、38μm以下であり、水分率が、前記非水電解液二次電池用セパレータの総重量に対して0.2重量%以上、0.7重量%以下である、非水電解液二次電池用セパレータ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に関して以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態に関しても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
【0015】
[実施形態1:非水電解液二次電池用セパレータ]
本発明の実施形態1に係る非水電解液二次電池用セパレータ(以下、「セパレータ1」とも称する)は、ポリオレフィン多孔質フィルムを含有する非水電解液二次電池用セパレータであって、曲路率と膜厚との積である経路長が、22μm以上、38μm以下であり、水分率が、前記非水電解液二次電池用セパレータの総重量に対して0.2重量%以上、0.7重量%以下である。
【0016】
(1.セパレータ1の構造)
セパレータ1は、ポリオレフィン多孔質フィルムを含み、好ましくは、ポリオレフィン多孔質フィルムからなる。
【0017】
ここで、「ポリオレフィン多孔質フィルム」とは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする多孔質フィルムである。また、「ポリオレフィン系樹脂を主成分とする」とは、多孔質フィルムに占めるポリオレフィン系樹脂の割合が、多孔質フィルムを構成する材料全体の50体積%以上、好ましくは90体積%以上であり、より好ましくは95体積%以上であることを意味する。
【0018】
前記ポリオレフィン多孔質フィルムは、オレフィン系樹脂を主成分とし、その内部に連結した細孔を多数有しており、一方の面から他方の面に気体および液体を通過させることが可能となっている。なお、以下、前記ポリオレフィン多孔質フィルムを、単に「多孔質フィルム」とも称する。
【0019】
前記ポリオレフィンには、重量平均分子量が5×10
5〜15×10
6である高分子量成分が含まれていることがより好ましい。特に、前記ポリオレフィンに重量平均分子量が100万以上の高分子量成分が含まれていると、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用セパレータの強度が向上するため、より好ましい。
【0020】
前記ポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−ヘキセン等の単量体を重合してなる、単独重合体または共重合体が挙げられる。
【0021】
前記単独重合体としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンを挙げることができる。また、前記共重合体としては、例えばエチレン−プロピレン共重合体を挙げることができる。
【0022】
このうち、過大電流が流れることをより低温で阻止することができるため、前記ポリオレフィンとしては、ポリエチレンがより好ましい。なお、この「過大電流が流れることを阻止すること」をシャットダウンともいう。
【0023】
前記ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重合体)、重量平均分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレン等が挙げられる。このうち、前記ポリエチレンとしては、重量平均分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンがさらに好ましい。
【0024】
前記多孔質フィルムの目付は、強度、膜厚、重量およびハンドリング性を考慮して適宜決定することができる。ただし、非水電解液二次電池の重量エネルギー密度および体積エネルギー密度を高くすることができるように、前記目付は、4〜20g/m
2であることが好ましく、4〜12g/m
2であることがより好ましく、5〜10g/m
2であることがさらに好ましい。
【0025】
前記多孔質フィルムの透気度は、ガーレ値で30〜500s/100mLであることが好ましく、50〜300s/100mLであることがより好ましい。前記多孔質フィルムが前述の範囲内の透気度を有することにより、前記多孔質フィルムは充分なイオン透過性を得ることができる。
【0026】
前記多孔質フィルムの空隙率は、電解液の保持量を高めると共に、過大電流が流れることをより低温で確実に阻止する機能を得ることができるように、20〜80体積%であることが好ましく、30〜75体積%であることがより好ましい。
【0027】
また、前記多孔質フィルムが有する細孔の孔径は、充分なイオン透過性を得ることができ、かつ、正極および負極への粒子の入り込みを防止することができるように、0.3μm以下であることが好ましく、0.14μm以下であることがより好ましい。
【0028】
セパレータ1は、ポリオレフィン多孔質フィルム以外に、接着層、耐熱層、保護層等のその他の層をさらに備えていてもよい。
【0029】
(2.ポリオレフィン多孔質フィルムの製造方法)
前記多孔質フィルムの製造方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。すなわち、まず、ポリオレフィン系樹脂と、無機充填剤または可塑剤等の孔形成剤と、任意で酸化防止剤等とを混練してポリオレフィン系樹脂組成物を得る。その後、前記ポリオレフィン系樹脂組成物を押し出すことにより、シート状のポリオレフィン樹脂組成物を作成する。そして、適当な溶媒にて孔形成剤をシート状のポリオレフィン樹脂組成物から除去する。その後、当該孔形成剤が除去されたポリオレフィン樹脂組成物を延伸することで、ポリオレフィン多孔質フィルムを製造することができる。
【0030】
前記無機充填剤としては、特に限定されるものではなく、無機フィラー、具体的には炭酸カルシウム等が挙げられる。前記可塑剤としては、特に限定されるものではなく、流動パラフィン等の低分子量の炭化水素が挙げられる。
【0031】
前記多孔質フィルムの製造方法として、例えば、以下に示す工程を含む方法を挙げることができる。
(i)重量平均分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンと、重量平均分子量が1万以下の低分子量ポリエチレンと、炭酸カルシウムまたは可塑剤等の孔形成剤と、酸化防止剤とを混練してポリオレフィン樹脂組成物を得る工程。
(ii)得られたポリオレフィン樹脂組成物を段階的に冷却し、シートを成形する工程。
(iii)得られたシートの中から適当な溶媒にて孔形成剤を除去する工程。
(iv)孔形成剤が除去されたシートを適当な延伸倍率にて延伸する工程。
【0032】
(3.経路長)
本発明の一実施形態における経路長は、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用セパレータの曲路率と、当該非水電解液二次電池用セパレータの膜厚との積であり、当該非水電解液二次電池用セパレータの孔の平均経路長、すなわち貫通孔の平均経路長を意味する。
【0033】
経路長の測定方法としては、例えば、以下の(a)および(b)に示す方法を挙げることができる。
(a)非水電解液二次電池用セパレータの抵抗値から曲路率を算出する。
(b)算出された曲路率に、非水電解液二次電池用セパレータの膜厚(μm)を乗じることによって、前記経路長を算出する。
【0034】
ここで、曲路率とは、非水電解液二次電池用セパレータの単位膜厚当たりの貫通孔の平均経路長であり、「くねり度」とも呼称される値である。すなわち、非水電解液二次電池用セパレータの曲路率は、非水電解液二次電池用セパレータの経路長を、非水電解液二次電池用セパレータの膜厚で除した値である。
【0035】
前記曲路率は、例えば、以下に示す方法にて測定することができる。まず、非水電解液二次電池用セパレータを電解液に完全に浸した状態の測定用セルを作製する。次に、前記測定用セルを使用して、交流インピーダンス法にて、非水電解液二次電池用セパレータの抵抗値を測定する。抵抗値の測定には、市販の交流インピーダンス測定装置を使用することができる。
【0036】
その後、測定された抵抗値R(Ω・cm
2)、前記電解液の比抵抗r(Ω・cm)、並びに、非水電解液二次電池用セパレータの空隙率ε(%)および膜厚d(cm)を用いて、以下の式(1)に基づき、前記曲路率(T)を算出する。
T=[{(R×ε)/100}/(r×d)]
1/2 ・・(1)
非水電解液二次電池として例えばリチウムイオン二次電池を用い、充放電を繰り返した場合、負極においてリチウム(Li)が析出する。その結果、負極において、析出したLiからなるデンドライトが生成する。ここで、デンドライトとは樹状の結晶を意味する。以下、前記析出したLiからなるデンドライトを「Liデンドライト」とも称する。
【0037】
充放電をさらに繰り返すと、負極においてLiが更に析出し、前記Liデンドライトは成長する。その際、Liは、Liデンドライトにおける枝の末端部分に優先的に析出するため、当該Liデンドライトは、その枝方向に伸長する。
【0038】
その結果、前記Liデンドライトの枝方向に伸長した部分が、リチウムイオン二次電池用セパレータにおける孔、すなわち貫通孔中を伝って正極へ到達することにより、微細短絡が発生すると考えられる。
【0039】
前記経路長が22μm以上である場合、前記貫通孔の曲路率および長さは、デンドライトが前記貫通孔中を伸長しにくい曲路率および長さとなる。そのため、微細短絡を発生し難くすることができる。微細短絡の発生をより効率的に抑制する観点から、前記経路長は、27μm以上であることがより好ましく、27.5μm以上であることが特に好ましい。
【0040】
一方、前記貫通孔は、正極と負極との間をイオンが移動する経路でもある。よって、前記経路長が過剰に大きくなると、正負極間でのイオンの移動距離が過剰に長くなるため、前記セパレータのイオン伝導性が低下し、イオン透過性が悪化し得る。その結果、前記セパレータを備えるリチウムイオン二次電池の電池性能が低下し得る。
【0041】
そのため、前記経路長は、38μm以下であり、35μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
【0042】
また、前記曲路率は、優れたイオン透過性を有しつつ、デンドライトが貫通孔中を伸長することを効率よく阻害するため、1.3以上2.5以下であることが好ましく、1.5以上2.0以下であることがより好ましく、1.6以上1.9以下であることが特に好ましい。
【0043】
セパレータ1の曲路率は、ポリオレフィン多孔質フィルムの曲路率、または、ポリオレフィン多孔質フィルムおよび前記その他の層(接着層等)を備えたセパレータの曲路率となる。
【0044】
さらに、非水電解液二次電池用セパレータの膜厚は、前記微細短絡が発生するまでに必要なデンドライトの移動距離を十分に長くし、かつ、良好なイオン伝導性を保持しうる膜厚であることが好ましい。
【0045】
係る観点から、セパレータ1の膜厚は、9μm以上29μm以下であることが好ましく、9μm以上20μm以下であることがより好ましく、9μm以上15μm以下であることが特に好ましい。
【0046】
なお、セパレータ1が前記その他の層を備えない場合のポリオレフィン多孔質フィルムの膜厚も、9μm以上29μm以下であることが好ましく、9μm以上20μm以下であることがより好ましく、9μm以上15μm以下であることが特に好ましい。
【0047】
セパレータ1の前記膜厚は、ポリオレフィン多孔質フィルムの膜厚、または、ポリオレフィン多孔質フィルムの膜厚と、前記その他の層(接着層等)の膜厚との和となる。
【0048】
以上説明したように、前記経路長は、前記セパレータの孔構造の複雑さおよび孔の長さと、前記セパレータのイオン伝導性とを表している。前記経路長が22μm以上、38μm以下である非水電解液二次電池用セパレータは、デンドライトの伸長を阻害するために好適な曲路率と長さとを兼ね備えた貫通孔を有し、かつ、良好なイオン伝導性、すなわち優れたイオン透過性を有するセパレータであると言える。
【0049】
(4.水分率)
本発明の一実施形態における水分率は、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用セパレータの総重量(全体の重量)に対する、当該セパレータが含有する水の重量の割合を意味する。よって、前記水分率の単位は重量%である。
【0050】
非水電解液二次電池として、例えばリチウムイオン二次電池を用い、充放電を繰り返した場合、水分が少ない環境下では、負極にて生成するLiデンドライトの枝部分が細くなり、Liデンドライトは針状に近くなる。一方、水分が多い環境下では、負極にて生成するLiデンドライトの枝部分が太くなり、Liデンドライトは球状に近くなる。
【0051】
ここで、Liデンドライトが針状に近いほど、Liデンドライトが成長する際に、その針の末端方向、すなわち枝方向に伸長し易くなる。逆に、Liデンドライトが球状に近いほど、Liデンドライトが成長する際に、枝方向に伸長し難くなる。
【0052】
よって、前記水分率が大きい場合、Liデンドライトの正極方向への成長速度が遅くなるため、Liデンドライトが正極へ到達するまでの時間を長くすることができる。その結果、微細短絡の発生を抑制することができる。
【0053】
前記水分率が0.2重量%以上である場合、デンドライトの形状を針状ではなく、球状に近づけることができる。そのため、微細短絡を発生し難くすることができる。
【0054】
微細短絡の発生をより効率的に抑制する観点から、前記水分率は、0.3重量%以上であることがより好ましく、0.4重量%以上であることが特に好ましい。
【0055】
一方、非水電解液二次電池は、水が存在する環境下では性能が低下する場合があることが知られている。よって、前記水分率が過剰に大きい場合、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用セパレータを備える非水電解液二次電池の電池性能が低下し得る。
【0056】
そのため、前記水分率は、0.7重量%以下であり、0.65重量%以下であることが好ましく、0.62重量%以下であることがより好ましい。
【0057】
前記水分率は、例えば、市販のカール・フィッシャー水分率計を用いて測定することができる。
【0058】
(5.経路長および水分率の調整)
「2.ポリオレフィン多孔質フィルムの製造方法」で説明した多孔質フィルムの製造方法は、前記工程(iv)の後に、延伸されたフィルムを適当な溶媒にて洗浄し、乾燥する工程を含み得る。また、前記フィルムを乾燥する工程の後に、乾燥したフィルムを熱固定する工程をさらに含んでもよい。
【0059】
前記工程(iv)における延伸倍率、延伸温度および延伸時の歪速度の比率等の延伸条件を好適に制御することによって、得られる多孔質フィルム内部の孔の複雑性および長さ等を制御することができる。
【0060】
また、前記熱固定する工程を含む場合には、前記熱固定温度および熱固定の時間等の熱固定条件を好適に制御することによって、前記孔の複雑性および長さ等を制御することができる。その結果、前記多孔質フィルムの経路長を好適な値に制御することができる。
【0061】
前記延伸倍率は、3.0倍以上、7.0倍以下であることが好ましく、4.5倍以上、6.0倍以下であることがより好ましい。
【0062】
前記延伸温度は、80℃以上、125℃以下であることが好ましく、100℃以上、120℃以下であることがより好ましい。
【0063】
前記延伸時の歪速度の比率(MD/TD)は、0.2以上、2.8以下であることが好ましく、0.5以上1.5以下であることがより好ましい。
【0064】
なお、本明細書において、多孔質フィルムのMD(Machine Direction)とは、多孔質フィルムの製造時の搬送方向を意味している。また、多孔質フィルムのTD(Transverse Direction)とは、多孔質フィルムのMDに垂直な方向を意味している。
【0065】
前記熱固定温度は、100℃以上、150℃以下であることが好ましく、110℃以上、140℃以下であることがより好ましい。
【0066】
前記熱固定の時間は、1分以上、60分以下であることが好ましく、1分以上、30分以下であることがより好ましい。
【0067】
ポリオレフィンは、吸水性能が低い樹脂であることが知られている。よって、ポリオレフィンを主成分とする前記多孔質フィルムは、通常、水分率が低くなる。一方、前記多孔質フィルムに対して、親水化処理を行うことによって、前記多孔質フィルムの水分率を向上させ、好適な値に制御することができる。
【0068】
前記親水化処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、電子線照射処理、オゾン処理等の親水化処理、および、界面活性剤を含む水を噴霧する処理等から選ばれる1以上の方法を挙げることができる。
【0069】
以上説明した方法により、セパレータ1の経路長および水分率を前述の範囲に制御することができる。
【0070】
[実施形態2:多孔質層を備えた非水電解液二次電池用セパレータ]
実施形態2に係る非水電解液二次電池用セパレータは、多孔質層と、前記セパレータ1が備えるポリオレフィン多孔質フィルムとが積層された構造を有し、前記多孔質層が樹脂を含む非水電解液二次電池用セパレータである。以下、実施形態2に係る非水電解液二次電池用セパレータを「セパレータ2」とも称する。
【0071】
(1.セパレータ2の構造)
セパレータ2は、ポリオレフィン多孔質フィルムの片面または両面に、多孔質層が積層された構造を有する。ポリオレフィン多孔質フィルムについては、実施形態1で説明したとおりである。
【0072】
前記多孔質層は、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用セパレータを構成する部材として、非水電解液二次電池において、ポリオレフィン多孔質フィルムと、正極および負極の少なくともいずれか一方との間に配置され得る。
【0073】
前記多孔質層は、非水電解液二次電池において、正極および負極の少なくともいずれか一方の活物質層上に形成され得る。前記多孔質層は、前記ポリオレフィン多孔質フィルムと、正極および負極の少なくともいずれか一方との間に、これらと接するように配置されてもよい。前記ポリオレフィン多孔質フィルムと、正極および負極の少なくともいずれか一方との間に配置される多孔質層は1層でもよく2層以上であってもよい。
【0074】
前記多孔質層は、樹脂を含む。前記多孔質層は、絶縁性の樹脂を含む絶縁性の多孔質層であることが好ましい。
【0075】
前記ポリオレフィン多孔質フィルムの片面に前記多孔質層が積層される場合、当該多孔質層は、好ましくは、非水電解液二次電池において、前記ポリオレフィン多孔質フィルムが有する面のうち、正極と対向する面に積層される。より好ましくは、前記多孔質層は、非水電解液二次電池において、正極と接する面に積層される。
【0076】
(2.樹脂)
前記樹脂は、電池の電解液に不溶であり、また、その電池の使用範囲において電気化学的に安定であることが好ましい。
【0077】
前記樹脂としては、例えば、ポリオレフィン;(メタ)アクリレート系樹脂;含窒素芳香族樹脂;含フッ素樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;ゴム類;融点またはガラス転移温度が180℃以上の樹脂;水溶性ポリマー;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。
【0078】
前述の樹脂のうち、ポリオレフィン、(メタ)アクリレート系樹脂、含フッ素樹脂、含窒素芳香族樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂および水溶性ポリマーからなる群より選ばれる1以上の樹脂が好ましい。
【0079】
また、前記樹脂としては、含窒素芳香族樹脂であることが特に好ましい。前記含窒素芳香族樹脂は、アミド結合等の窒素を介した結合を備えるため、吸水性に優れる。従って、前記樹脂が含窒素芳香族樹脂であることによって、前記多孔質層の水分率を好適に向上させることができる。その結果、前記多孔質層を含む非水電解液二次電池用セパレータの水分率を好適な範囲に制御できる。
【0080】
前記ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、及びエチレン−プロピレン共重合体等が好ましい。
【0081】
前記含フッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリクロロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フッ化ビニル共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体およびエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等、並びに、前記含フッ素樹脂の中でもガラス転移温度が23℃以下である含フッ素ゴムを挙げることができる。
【0082】
前記ポリアミド系樹脂としては、含窒素芳香族樹脂に該当するポリアミド系樹脂であることが好ましく、芳香族ポリアミドおよび全芳香族ポリアミドなどのアラミド樹脂であることが特に好ましい。
【0083】
前記アラミド樹脂としては、例えば、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミド)、ポリ(メタベンズアミド)、ポリ(4,4’−ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン−4,4’−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(メタフェニレン−4,4’−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(メタフェニレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2−クロロパラフェニレンテレフタルアミド)、パラフェニレンテレフタルアミド/2,6−ジクロロパラフェニレンテレフタルアミド共重合体、メタフェニレンテレフタルアミド/2,6−ジクロロパラフェニレンテレフタルアミド共重合体等が挙げられる。このうち、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)がより好ましい。
【0084】
前記ポリエステル系樹脂としては、ポリアリレートなどの芳香族ポリエステルおよび液晶ポリエステルが好ましい。
【0085】
前記ゴム類としては、スチレン−ブタジエン共重合体およびその水素化物、メタクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリ酢酸ビニル等を挙げることができる。
【0086】
前記融点またはガラス転移温度が180℃以上の樹脂としては、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルアミド等を挙げることができる。
【0087】
前記水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、セルロースエーテル、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸等を挙げることができる。
【0088】
なお、前記樹脂としては、1種類の樹脂のみを用いてもよく、2種類以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。前記多孔質層における樹脂の含有率は、前記多孔質層の全重量を100重量%とすると、25〜80重量%が好ましく、30〜70重量%がより好ましい。
【0089】
前記樹脂は、後述のフィラーよりも吸水性に優れているため、前記樹脂で構成された部分が多いほど、前記多孔質層の水分率は調整され易くなる傾向がある。本発明の一実施形態における多孔質層において、前記樹脂の含有率が前述の範囲内であることが、前記多孔質層の水分率を好適な範囲に制御する観点から好ましい。
【0090】
(3.フィラー)
本発明の一実施形態において、前記多孔質層は、フィラーを含むことが好ましい。前記フィラーは、無機フィラーまたは有機フィラーであり得る。前記フィラーとしては、シリカ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、マイカ、ゼオライト、水酸化アルミニウムおよびベーマイト等からなる群より選ばれる1以上の無機酸化物からなる無機フィラーがより好ましい。
【0091】
なお、無機フィラーの吸水性を向上させるために、無機フィラー表面をシランカップリング剤等で親水化処理してもよい。
【0092】
前記多孔質層における前記フィラーの含有率は、前記多孔質層の全重量を100重量%とすると、20〜80重量%が好ましく、30〜70重量%がより好ましい。前記フィラーの含有率が前述の範囲である場合、充分なイオン透過性を備えた多孔質層を得ることが容易である。
【0093】
前記多孔質層は、前記ポリオレフィン多孔質フィルムと正極が備える正極活物質層との間に配置されることが好ましい。下記説明における多孔質層の物性は、非水電解液二次電池を構成したときに、前記ポリオレフィン多孔質フィルムと正極が備える正極活物質層との間に配置された前記多孔質層の物性を少なくとも指す。
【0094】
前記多孔質層の目付、すなわち単位面積当たりの重量は、前記多孔質層の強度、膜厚、重量およびハンドリング性を考慮して適宜決定することができる。前記多孔質層の目付は、前記多孔質層一層当たり、0.5〜3.5g/m
2であることが好ましく、1.0〜3.0g/m
2であることがより好ましい。
【0095】
前記多孔質層の目付をこれらの数値範囲とすることにより、前記多孔質層を備える非水電解液二次電池の重量エネルギー密度および体積エネルギー密度をより高くすることができる。前記多孔質層の目付が前記範囲を超える場合には、前記多孔質層を備える非水電解液二次電池が重くなる傾向がある。
【0096】
前記多孔質層の空隙率は、充分なイオン透過性を得ることができるように、20〜90体積%であることが好ましく、30〜80体積%であることがより好ましい。
【0097】
また、前記多孔質層が有する細孔の孔径は、1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。細孔の孔径をこれらのサイズとすることにより、前記多孔質層を備える非水電解液二次電池は、充分なイオン透過性を得ることができる。
【0098】
前記多孔質層の透気度は、ガーレ値で30〜80s/100mLであることが好ましく、40〜75s/100mLであることがより好ましい。前記多孔質層の透気度が前述の範囲であれば、前記多孔質層が充分なイオン透過性を有していると言える。
【0099】
(4.多孔質層の製造方法)
前記「2.樹脂」にて説明した樹脂を溶媒に溶解または分散させた塗工液を用いて、多孔質層を形成することができる。また、前記樹脂を溶媒に溶解または分散させると共に、前記フィラーを分散させることにより得られた塗工液を用いて、前記樹脂および前記フィラーを含む多孔質層を形成することができる。
【0100】
なお、前記溶媒は、前記樹脂を溶解させる溶媒であり得る。また、前記溶媒は、前記樹脂または前記フィラーを分散させる分散媒であり得る。前記塗工液の形成方法としては、例えば、機械攪拌法、超音波分散法、高圧分散法、メディア分散法等が挙げられる。
【0101】
前記多孔質層の形成方法としては、例えば、前記塗工液を基材の表面に直接塗布した後、溶媒を除去する方法;前記塗工液を適当な支持体に塗布した後、前記溶媒を除去して前記多孔質層を形成し、前記多孔質層と前記基材とを圧着させ、次いで前記支持体を剥がす方法;前記塗工液を適当な支持体に塗布した後、塗布面に前記基材を圧着させ、次いで前記支持体を剥がした後に前記溶媒を除去する方法;および、前記塗工液中に基材を浸漬することによってディップコーティングを行った後に前記溶媒を除去する方法等が挙げられる。
【0102】
前記溶媒は基材に悪影響を及ぼさず、前記樹脂を均一かつ安定に溶解し、前記フィラーを均一かつ安定に分散させる溶媒であることが好ましい。前記溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトンおよび水等からなる群より選ばれる1以上の溶媒が挙げられる。
【0103】
前記塗工液は、前記樹脂および前記フィラー以外の成分として、分散剤、可塑剤、界面活性剤およびpH調整剤等を適宜含んでいてもよい。
【0104】
なお、前記基材としては、前述のポリオレフィン多孔質フィルムの他に、その他のフィルム、正極および負極などを用いることができる。
【0105】
前記塗工液の基材への塗布方法としては、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、例えば、グラビアコーター法、ディップコーター法、バーコーター法およびダイコーター法等が挙げられる。
【0106】
前記塗工液がアラミド樹脂を含む場合、塗布面に湿度を与えることによってアラミド樹脂を析出させることができる。これにより、前記多孔質層を形成してもよい。
【0107】
前記基材に塗工した塗工液から前記溶媒を除去する方法としては、例えば、通風乾燥および加熱乾燥等にて、前記塗工液の膜である塗工膜から前記溶媒を除去する方法を挙げることができる。
【0108】
また、前記塗工液における前記溶媒の量を変化させることにより、得られる多孔質層の空隙率、平均孔径を調整することができる。
【0109】
前記塗工液の好適な固形分濃度は、フィラーの種類などによって変化し得るが、一般には、3重量%より大きく40重量%以下であることが好ましい。
【0110】
前記塗工液を基材上に塗工する際の塗工せん断速度は、フィラーの種類などによって変化し得るが、一般には、2(1/s)以上であることが好ましく、4(1/s)〜50(1/s)であることがより好ましい。
【0111】
(5.経路長および水分率の調整)
セパレータ2は、多孔質層とポリオレフィン多孔質フィルムとが積層された構造を有する積層体である。セパレータ2は、多孔質層と、前記セパレータ1が有するポリオレフィン多孔質フィルムとが積層され、かつ、セパレータ1が、前述したその他の層(接着層等)を備えた構造を有する積層体であってもよい。
【0112】
セパレータ2の経路長は、積層体の曲路率と、積層体の膜厚との積であり、22μm以上38μm以下である。また、セパレータ2の水分率は、積層体の総重量(積層体全体の重量)に対する、セパレータ2が含有する水の重量の割合であり、0.2重量%以上0.7重量%以下である。
【0113】
セパレータ2が備えるポリオレフィン多孔質フィルムは、実施形態1で説明したポリオレフィン多孔質フィルムと同様である。セパレータ2が備えるポリオレフィン多孔質フィルムの経路長および水分率の調整方法は、実施形態1で説明した方法と同様である。
【0114】
前記多孔質層の製造方法では、前記溶媒を除去して前記樹脂を析出させる際に、多孔質層の多孔質構造が形成される。したがって、前記多孔質層の経路長を好ましい範囲に制御する製造方法としては、例えば、基材上に塗工された塗工液中の溶媒を除去する段階において、温度53〜57℃のスチームを、送風量50〜80m
3/分で、基材上に塗工された塗工液に吹き付ける方法が挙げられる。
【0115】
また、セパレータ2の経路長を好ましい範囲に制御する観点から、前記多孔質層を製造する際には、前記塗工液を塗工してから、前記塗工液中の溶媒を除去して前記樹脂を析出させるまでの時間を制御することが好ましい。
【0116】
前記塗工液の塗工から前記樹脂を析出させるまでの時間は、1秒以上13秒以下であることが好ましく、1秒以上10秒以下であることがより好ましく、1秒以上8秒以下であることがさらに好ましい。
【0117】
前記塗工液の塗工から前記樹脂を析出させるまでの時間が1秒以上13秒以下である場合、前記塗工液がポリオレフィン多孔質フィルムの表面付近の細孔に染み込み、染み込んだ塗工液は前記細孔内で析出する。ここで、前記細孔内で析出した多孔質層を多孔質層Aとする。
【0118】
前記多孔質層を形成する樹脂は、前記ポリオレフィン多孔質フィルムよりも乾燥後に収縮しやすいため、前記多孔質層Aは、前記多孔質層が形成されている側の前記ポリオレフィン多孔質フィルムの表面付近における細孔を乾燥後に収縮させる。係る収縮により、前記多孔質層が形成されている側の前記ポリオレフィン多孔質フィルムの表面付近における曲路率を制御できる。
【0119】
すなわち、前記塗工液を塗工してから、前記塗工液中の溶媒を除去して前記樹脂を析出させるまでの時間を制御することで、セパレータ2の経路長を制御することができる。逆に、塗工液の塗工から樹脂を析出させるまでの時間が13秒を超えると、塗工液が前記ポリオレフィン多孔質フィルムに多量に染み込んだ状態で析出するため、前記ポリオレフィン多孔質フィルムの細孔が目詰まりしやすくなることで、経路長が長くなり過ぎ、イオン透過性が低下する恐れがある。
【0120】
また、前記多孔質層の製造方法は、ポリオレフィン多孔質フィルム上に析出した前記多孔質層を水によって洗浄した後、乾燥させる工程を含み得る。前記工程において、多孔質層の乾燥時間および乾燥温度を制御することによって、前記多孔質層の水分率を好適に制御することができる。
【0121】
前記乾燥温度は、60℃以上、130℃以下であることが好ましく、80℃以上、120℃以下であることがより好ましい。
【0122】
前記乾燥時間は、5秒以上、60秒以下であることが好ましく、10秒以上、40秒以下であることがより好ましい。
【0123】
さらに、前記多孔質層の乾燥工程においては、多孔質層を形成したポリオレフィン多孔質フィルムの両面を、複数の加熱ロールに交互に接触させながら乾燥させることによっても、多孔質層の水分率を好適に制御できる。前記加熱ロールの温度は、前記乾燥温度に記載の温度範囲内に設定することが好ましい。
【0124】
以上説明した方法により、前記多孔質層の経路長および水分率を好適に制御することができる。
【0125】
多孔質層の膜厚および曲路率、並びに、ポリオレフィン多孔質フィルムの膜厚および曲路率は、セパレータ2の経路長に影響を与える。当該経路長を22μm以上38μm以下とするため、多孔質層の膜厚は、一層当たり1.0μm以上6.0μm以下であることが好ましく、1.5μm以上5.0μm以下であることがより好ましく、2.0μm以上5.0μm以下であることが特に好ましい。
【0126】
また、多孔質層の曲路率は、前記経路長を22μm以上38μm以下とするため、1.3以上2.5以下であることが好ましく、1.5以上2.0以下であることがより好ましく、1.5以上1.9以下であることが特に好ましい。
【0127】
ポリオレフィン多孔質フィルムの膜厚は、セパレータ2の経路長を22μm以上38μm以下とするため、8.0μm以上23μm以下であることが好ましく、8.0μm以上20μm以下であることがより好ましく、8.0μm以上15.5μm以下であることが特に好ましい。
【0128】
また、ポリオレフィン多孔質フィルムの曲路率は、前記経路長を22μm以上38μm以下とするため、1.3以上2.5以下であることが好ましく、1.5以上2.0以下であることがより好ましく、1.6以上1.9以下であることが特に好ましい。
【0129】
多孔質層の水分率は、ポリオレフィン多孔質フィルムの水分率と同様に、0.2重量%以上であり、0.3重量%以上であることがより好ましく、0.4重量%以上であることが特に好ましい。また、多孔質層の水分率は、ポリオレフィン多孔質フィルムの水分率と同様に、0.7重量%以下であり、0.65重量%以下であることが好ましく、0.62重量%以下であることがより好ましい。
【0130】
このように、セパレータ2では、ポリオレフィン多孔質フィルムの経路長および水分率を制御し、かつ、多孔質層の経路長および水分率を制御することによって、セパレータ2の経路長を22μm以上38μm以下とすることができ、かつ、水分率を、セパレータ2の総重量に対して0.2重量%以上0.7重量%とすることができる。
【0131】
(6.アラミド樹脂の調製方法)
アラミド樹脂の調製方法としては、特に限定されないが、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドの縮合重合法が挙げられる。その場合、得られるアラミド樹脂は、アミド結合が芳香族環のパラ位またはそれに準じた配向位で結合される繰り返し単位から実質的になる。パラ位に準じた配向位とは、例えば、4,4’−ビフェニレン、1,5−ナフタレン、2,6−ナフタレン等のような反対方向に同軸または平行に延びる配向位である。
【0132】
ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の溶液を調製する具体的な方法として、例えば、以下の(I)〜(IV)に示す工程を含む方法が挙げられる。
(I)乾燥したフラスコにN−メチル−2−ピロリドンを仕込み、200℃で2時間乾燥した塩化カルシウムを添加して100℃に昇温し、前記塩化カルシウムを完全に溶解させる。
(II)工程(I)にて得られた溶液の温度を室温に戻した後、パラフェニレンジアミンを添加し、このパラフェニレンジアミンを完全に溶解させる。
(III)工程(II)にて得られた溶液の温度を20±2℃に保ったまま、テレフタル酸ジクロライドを10分割して約5分間おきに添加する。
(IV)工程(III)にて得られた溶液の温度を20±2℃に保ったまま1時間熟成し、次いで減圧下にて30分間撹拌して気泡を抜くことにより、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の溶液を得る。
【0133】
[実施形態3:非水電解液二次電池用部材、実施形態4:非水電解液二次電池]
本発明の実施形態3に係る非水電解液二次電池用部材は、正極と、前記セパレータ1もしくは前記セパレータ2と、負極とがこの順で配置されてなる。
【0134】
本発明の実施形態4に係る非水電解液二次電池は、前記セパレータ1もしくは前記セパレータ2を含む。
【0135】
前記非水電解液二次電池の形状は、特に限定されるものではなく、薄板(ペーパー)型、円盤型、円筒型、直方体等の角柱型等であってもよい。前記非水電解液二次電池は、例えば、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池であって、正極と、前記セパレータ1もしくは前記セパレータ2と、負極とがこの順で積層されてなる非水電解液二次電池用部材を備える。なお、前記セパレータ1もしくは前記セパレータ2以外の非水電解液二次電池の構成要素は、下記説明の構成要素に限定されるものではない。
【0136】
前記非水電解液二次電池は、通常、負極と正極とが、前記セパレータ1もしくは前記セパレータ2を介して対向した構造体に電解液が含浸された電池要素が、外装材内に封入された構造を有する。なお、ドープとは、吸蔵、担持、吸着、または挿入を意味し、正極等の電極の活物質にリチウムイオンが入る現象を意味する。
【0137】
前記非水電解液二次電池用部材は、前記セパレータ1もしくは前記セパレータ2を備えているため、非水電解液二次電池に組み込まれた際に、当該非水電解液二次電池の微細短絡の発生を抑制し、その安全性を向上させることができる。また、前記非水電解液二次電池は、前記セパレータ1もしくは前記セパレータ2を備えているため、微細短絡の発生が抑制され、安全性に優れる。
【0138】
前記非水電解液二次電池の製造方法としては、従来公知の製造方法を採用することができる。例えば、正極、前記セパレータ1もしくは前記セパレータ2および負極をこの順で配置することにより、前記非水電解液二次電池用部材を形成する。次いで、非水電解液二次電池の筐体となる容器に、当該非水電解液二次電池用部材を入れる。さらに、当該容器内を非水電解液で満たした後、減圧しつつ密閉する。これにより、前記非水電解液二次電池を製造することができる。
【0139】
<正極>
本発明の一実施形態における正極は、一般に非水電解液二次電池の正極として使用されるものであれば、特に限定されない。例えば、正極として、正極活物質および結着剤を含む活物質層が正極集電体上に成形された構造を備える正極シートを使用することができる。なお、前記活物質層は、更に、導電剤および/または結着剤を含んでもよい。
【0140】
前記正極活物質としては、例えば、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料が挙げられる。当該材料としては、具体的には、例えば、V、Mn、Fe、CoおよびNi等の遷移金属を少なくとも1種類含んでいるリチウム複合酸化物が挙げられる。
【0141】
前記導電剤としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維および有機高分子化合物焼成体等の炭素質材料等が挙げられる。前記導電剤は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0142】
前記結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系樹脂、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴムが挙げられる。なお、結着剤は、増粘剤としての機能も有している。
【0143】
前記正極集電体としては、例えば、Al、Niおよびステンレス等の導電体が挙げられる。中でも、薄膜に加工し易く、安価であることから、Alがより好ましい。
【0144】
正極シートの製造方法としては、例えば、正極活物質、導電剤および結着剤を正極集電体上で加圧成型する方法;適当な有機溶剤を用いて正極活物質、導電剤および結着剤をペースト状にした後、当該ペーストを正極集電体に塗工し、乾燥した後に加圧して正極集電体に固着する方法;等が挙げられる。
【0145】
<負極>
本発明の一実施形態における負極としては、一般に非水電解液二次電池の負極として使用されるものであれば、特に限定されない。例えば、負極として、負極活物質および結着剤を含む活物質層が負極集電体上に成形された構造を備える負極シートを使用することができる。なお、前記活物質層は、更に導電剤および/または結着剤を含んでもよい。
【0146】
前記負極活物質としては、例えば、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料が挙げられる。当該材料としては、例えば、炭素質材料等が挙げられる。炭素質材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラックおよび熱分解炭素類等が挙げられる。
【0147】
前記負極集電体としては、例えば、Cu、Niおよびステンレス等が挙げられる。リチウムと合金を作り難く、かつ薄膜に加工し易いことから、Cuがより好ましい。
【0148】
負極シートの製造方法としては、例えば、負極活物質を負極集電体上で加圧成型する方法;適当な有機溶剤を用いて負極活物質をペースト状にした後、当該ペーストを負極集電体に塗工し、乾燥した後に加圧して負極集電体に固着する方法;等が挙げられる。前記ペーストには、好ましくは前記導電剤および前記結着剤が含まれる。
【0149】
<非水電解液>
本発明の一実施形態における非水電解液は、一般にリチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池に使用される非水電解液であれば特に限定されない。前記非水電解液としては、例えば、リチウム塩を有機溶媒に溶解してなる非水電解液を用いることができる。リチウム塩としては、例えば、LiClO
4、LiPF
6、LiAsF
6、LiSbF
6、LiBF
4、LiCF
3SO
3、LiN(CF
3SO
2)
2、LiC(CF
3SO
2)
3、Li
2B
10Cl
10、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩およびLiAlCl
4等が挙げられる。前記リチウム塩は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0150】
非水電解液を構成する有機溶媒としては、例えば、カーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、アミド類、カーバメート類および含硫黄化合物、並びにこれらの有機溶媒にフッ素基が導入されてなる含フッ素有機溶媒等が挙げられる。前記有機溶媒は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【実施例】
【0151】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0152】
[物性の測定]
実施例および比較例において、非水電解液二次電池用セパレータおよびポリオレフィン多孔質フィルムの物性等を、以下の方法で測定した。
【0153】
(1)膜厚
高精度デジタル測長機(株式会社ミツトヨ製)を用いて、非水電解液二次電池用セパレータの膜厚を測定した。具体的には、非水電解液二次電池用セパレータのそれぞれを一辺の長さが8cmの正方形に切り、その範囲で5点測定を行い、それらの平均値より膜厚を求めた。
【0154】
(2)水分量
カール・フィッシャー水分率計(メトローム・シバタ株式会社製)を用いて、カール・フィッシャー法に基づき、非水電解液二次電池用セパレータの水分率を測定した。
【0155】
(3)非水電解液二次電池用セパレータの経路長および多孔質層の曲路率
(3−1)非水電解液二次電池用セパレータの抵抗値の測定
非水電解液二次電池用セパレータから、測定用サンプルとして、直径17mmの円形状の測定用サンプル23枚を切り出した。また、2032型コインセルの部材として、上蓋、下蓋、ガスケット、直径15.5mm、厚み0.5mmの円形状のスペーサー2枚、ウェーブワッシャーを用意した。
【0156】
まず、アルゴンガスを充填し、露点温度を−80℃以下としたグローブボックス内にて、下蓋の上に、下蓋側から順に、スペーサー、測定用サンプル、スペーサーを載置した。スペーサー間に配置する測定用サンプルの枚数は、5枚、8枚、10枚とし、測定用サンプルを前記各枚数配置したセルを2個ずつ作製した。直径17mmの円形状の測定用サンプルを固定するようにガスケットを置き、スペーサーの上にウェーブワッシャーを設置した。
【0157】
次いで、ウェーブワッシャーを設置したセルに、電解液(キシダ化学株式会社製)を注液した。前記電解液は、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)およびエチルメチルカーボネート(EMC)を、EC/DMC/EMC=30/35/35(体積比)にて混合してなる混合溶媒に、LiPF
6の濃度が0.1MとなるようにLiPF
6を配合した非水電解液である。
【0158】
注液後、セルを約−80kPaの圧力下で10分間静置し、測定用サンプルに電解液を含浸させた。その後、セルに上蓋をかぶせ、コインセルカシメ器で密閉してサンプルセルを得た。
【0159】
得られたサンプルセルを25℃の恒温槽中に入れ、24時間放置した後、交流インピーダンス測定装置を用い、振幅5mV、周波数1MHz〜10kHzの範囲にて、当該サンプルセルの抵抗を測定した。測定されたインピーダンス曲線における虚軸の値が0の時の実軸の値を、前記サンプルセルの抵抗成分の値とした。
【0160】
得られた前記サンプルセルの抵抗成分の値を、前記サンプルセルに配置した測定用サンプルの枚数に対してプロットした。その後、得られたプロットを線形近似して、当該プロットの傾きを求めた。この傾きにスペーサーの面積を乗じて得られる値を、非水電解液二次電池用セパレータの抵抗値R(Ω・cm
2)とした。ここで、前記スペーサーの面積は、(1.55cm/2)
2×π=1.88cm
2であった。
【0161】
(3−2)非水電解液二次電池用セパレータの曲路率
前記(3−1)で測定した非水電解液二次電池用セパレータの抵抗値R(Ω・cm
2)、電解液の比抵抗r(Ω・cm)、非水電解液二次電池用セパレータの空隙率ε(%)および膜厚d(cm)を用いて、以下の式(1)に基づき、当該非水電解液二次電池用セパレータの曲路率Tを測定した。
T=[{(R×ε)/100}/(r×d)]
1/2 ・・(1)
なお、前記電解液の比抵抗rは、導電率計(横河電機製)にて測定した。
【0162】
また、非水電解液二次電池用セパレータの空隙率は、一定の体積(8cm×8cm×膜厚dcm)の非水電解液二次電池用セパレータの重量W(g)、当該非水電解液二次電池用セパレータの膜厚d(μm)および非水電解液二次電池用セパレータの真比重ρ(g/cm
3)を用いて、以下の式(2)に基づき算出した。
空隙率(%)=(1−{(W/ρ)/(8×8×d)})×100 ・・(2)
(3−3)非水電解液二次電池用セパレータの経路長
前記(3−2)で測定した曲路率Tに、非水電解液二次電池用セパレータの膜厚(μm)を乗じることによって、非水電解液二次電池用セパレータの経路長を算出した。
【0163】
(3−4)多孔質層の曲路率T´
前記(3−1)乃至(3−3)の測定方法によって、ポリオレフィン多孔質フィルムの経路長Aを算出した。次に、前記ポリオレフィン多孔質フィルムに多孔質層を形成した積層セパレータの経路長Bを算出し、以下の式(3)により多孔質層の曲路率T´を算出した。
T´=(B−A)/(多孔質層の膜厚)・・(3)
ここで、多孔質層の膜厚は、前記積層セパレータの膜厚から前記ポリオレフィン多孔質フィルムの膜厚を減算することで算出した。
【0164】
なお、多孔質層の経路長は、以下の方法でも測定することができる。
【0165】
多孔質層を有する非水電解液二次電池用セパレータ(前記「セパレータ2」)について、膜厚の測定と、前記(3−1)乃至(3−3)と同様の測定とを行うことによって、前記セパレータ2の膜厚D1および経路長Bを得る。
【0166】
続いて、前記経路長Bの測定に使用していないセパレータ2を準備し、剥離テープを多孔質層側に貼付する。そして、前記剥離テープを剥離することにより、多孔質層をポリエチレン多孔質フィルムから剥離する。多孔質層を剥離したポリエチレン多孔質フィルムについて、膜厚の測定と、前記(3−1)乃至(3−3)と同様の測定を行うことによって、ポリエチレン多孔質フィルムの膜厚D2および経路長Aを得る。ここでD1からD2を減算した値は、上記式(3)における多孔質層の膜厚に相当することから、上記式(3)により多孔質層の曲路率T´を算出することができる。
【0167】
(4)非水電解液二次電池用セパレータのイオン透過性(透気度)評価
60mm×60mmのサイズに切り出した非水電解液二次電池用セパレータの透気度を、旭精工株式会社製デジタル型王研式透気度試験機EGO1を用いて測定した。透気度の数値が300s/100ml以下の場合をイオン透過性良好、300s/100mlを超える場合をイオン透過性不良とした。
【0168】
(5)デンドライトによる短絡時間の評価
非水電解液二次電池用セパレータをφ19mmの円盤状に切断したものを、厚み0.5mm、φ15.5mmのLi箔、厚み20μm、φ14.5mmのCu箔で挟み込んだ。その後、非水電解液を注液して二極式コインセル(CR2032型)を作製した。
【0169】
前記非水電解液としては、EC、DMCおよびEMCを、EC/EMC/DEC=3/5/2(体積比)にて混合してなる混合溶媒に、LiPF
6の濃度が1Mとなるように、LiPF
6を配合した非水電解液を用いた。
【0170】
作製したコインセルを恒温槽(槽内温度:25℃)に設置し、東洋システム社製充放電評価装置(TOSCAT‐3000)を用い、6mA/cm
2の電流をかけた時の電圧を計時的に測定した。前記測定において、測定される電圧が断続的に不安定になる直前の時間を、デンドライトによる短絡時間とした。
【0171】
[実施例1]
攪拌翼、温度計、窒素流入管および粉体添加口を有する、容量3Lのセパラブルフラスコを使用して、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)を調製した。
【0172】
まず、前記セパラブルフラスコを十分に乾燥させ、2200gのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を仕込んだ。さらに、151.07gの200℃で2時間真空乾燥させた塩化カルシウム粉末を添加し、100℃に昇温させて、塩化カルシウム粉末を完全に溶解させた。
【0173】
得られた塩化カルシウムのNMP溶液を室温に戻した後、68.23gのパラフェニレンジアミンを添加し、完全に溶解させた。得られた溶液を20℃±2℃に保ったまま、当該溶液に対して、124.97gのテレフタル酸ジクロライドを10分割して、約5分おきに添加した。
【0174】
その後も攪拌を続けながら、溶液を20℃±2℃に保ったまま1時間熟成した。その後、1500メッシュのステンレス金網を用いて、熟成した溶液を濾過した。得られた溶液におけるポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の濃度は、6重量%であった。
【0175】
前記ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の溶液100gをフラスコに秤取して、300gのNMPを添加し、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)濃度が1.5重量%となるように調節した。
【0176】
その後、得られた溶液を60分間攪拌した。この溶液にフィラーとしてアルミナC(日本アエロジル社製;平均粒径(D50)=0.15μm;粒径が1.0μm以上である粒子の占める割合は、フィラーの全粒子数を100%として1.5%)を6gと、アドバンスドアルミナAKP3000(住友化学社製;平均粒径(D50)=0.7μm;粒径が1.0μm以上である粒子の占める割合は、フィラーの全粒子数を100%として22.0%)を6g混合し、さらに240分間攪拌した。
【0177】
得られた溶液を1000メッシュの金網を用いて濾過し、その後、得られた濾液に0.73gの炭酸カルシウムを添加して240分間攪拌することによって、当該濾液を中和させた。その後、中和させた濾液を、減圧下にて脱泡させることによって、スラリー状の塗工液を調製した。
【0178】
膜厚12.2μmのポリエチレン多孔質フィルム上に、塗工バーを用いて、前記塗工液を塗工した。続いて、形成された塗工膜を、50℃、相対湿度70%の雰囲気下の析出工程に導き、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)を析出させた。前記塗工液を塗工してからポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)を析出させるまでの時間は、2秒であった。また、前記析出の初期段階の数秒間、温度55℃、送風量50m
3/分のスチームが、塗工液を塗工してなる塗工膜表面に当たるようにした。
【0179】
最後に、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)を析出させた塗工膜を、水を用いて洗浄した後、乾燥させて、非水電解液二次電池用セパレータを得た。洗浄後の乾燥における乾燥時間は、24秒であり、乾燥温度は、110℃であった。
【0180】
得られた非水電解液二次電池用セパレータの膜厚は16.5μmであった。当該非水電解液二次電池用セパレータの抵抗値を測定し、測定された抵抗値から算出した曲路率は1.68であった。また、当該非水電解液二次電池用セパレータの水分率は0.465重量%であった。
【0181】
[実施例2]
得られる非水電解液二次電池用セパレータの膜厚が、17.5μmとなるように、前記塗工液の塗工量を変更したこと以外は、実施例1と同様の手順にて非水電解液二次電池用セパレータを作製した。得られた非水電解液二次電池用セパレータの膜厚は17.5μm、曲路率は1.67であった。また、当該非水電解液二次電池用セパレータの水分率は0.603重量%であった。
【0182】
[実施例3]
フィラーとして、アルミナC(6g)とアドバンスドアルミナAKP3000(6g)との混合物の代わりに、アルミナC(12g)のみを添加したこと以外は、実施例1と同様の手順にて非水電解液二次電池用セパレータを作製した。得られた非水電解液二次電池用セパレータの膜厚は15.1μmであり、曲路率は1.82であった。当該非水電解液二次電池用セパレータの水分率は0.547重量%であった。
【0183】
[実施例4]
膜厚12.2μmのポリエチレン多孔質フィルムの代わりに、膜厚13.1μmのポリエチレン多孔質フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順にて、非水電解液二次電池用セパレータを作製した。
【0184】
得られた非水電解液二次電池用セパレータの膜厚は17.2μmであり、曲路率は1.72であった。当該非水電解液二次電池用セパレータの水分率は0.522重量%であった。
【0185】
[比較例1]
膜厚12.2μmのポリエチレン多孔質フィルム単独からなる非水電解液二次電池用セパレータを作製した。得られた非水電解液二次電池用セパレータの抵抗値を測定し、測定された抵抗値から算出した曲路率は1.74であった。当該非水電解液二次電池用セパレータの水分率は0.007重量%であった。
【0186】
[結論]
実施例、比較例にて得られた非水電解液二次電池用セパレータの物性値およびデンドライトによる短絡時間を、以下の表1および表2に示す。
【0187】
【表1】
【0188】
【表2】
【0189】
表2に記載のとおり、実施例1〜4にて作製した「経路長が22μm以上、38μm以下であり、水分率が、0.2重量%以上、0.7重量%以下」との範囲を充足する非水電解液二次電池用セパレータは、比較例1にて作製した、前記範囲を充足しない非水電解液二次電池用セパレータと比較して、デンドライトによる短絡時間が大幅に長い。
【0190】
また、実施例1〜4にて作製した非水電解液二次電池用セパレータは、透気度が300s/100ml以下であり、そのイオン透過性は良好であった。
【0191】
従って、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用セパレータは、優れたイオン透過性を有し、かつ、非水電解液二次電池の充放電を行った際の微細短絡の発生を十分に抑制できることが分かった。