特開2021-6926(P2021-6926A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2021-6926光学フィルム、光学積層体及びフレキシブル画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-6926(P2021-6926A)
(43)【公開日】2021年1月21日
(54)【発明の名称】光学フィルム、光学積層体及びフレキシブル画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20201218BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20201218BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20201218BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20201218BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20201218BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20201218BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20201218BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20201218BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20201218BHJP
【FI】
   G02B5/30
   G02B1/14
   G02B5/02 B
   B32B27/34
   B32B7/023
   C08G73/10
   C08L77/00
   C08K3/013
   C08K3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2020-167974(P2020-167974)
(22)【出願日】2020年10月2日
(62)【分割の表示】特願2019-81774(P2019-81774)の分割
【原出願日】2019年4月23日
(31)【優先権主張番号】特願2018-87231(P2018-87231)
(32)【優先日】2018年4月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2019-48929(P2019-48929)
(32)【優先日】2019年3月15日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】大松 一喜
(72)【発明者】
【氏名】福井 仁之
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 真義
(72)【発明者】
【氏名】張 柱烈
(72)【発明者】
【氏名】柳 智熙
【テーマコード(参考)】
2H042
2H149
2K009
4F100
4J002
4J043
【Fターム(参考)】
2H042BA02
2H042BA15
2H042BA20
2H149AA01
2H149AB24
2H149BA02
2H149BB05
2H149DA04
2H149DA12
2H149EA03
2H149FA01W
2H149FA02X
2H149FA03X
2H149FA12Z
2H149FA15Z
2H149FA23Z
2H149FA24W
2H149FA24Y
2H149FA33W
2H149FA33Y
2H149FA52Y
2H149FA54Z
2H149FA58Y
2H149FC03
2H149FD09
2H149FD12
2H149FD14
2K009AA15
2K009CC32
2K009DD02
4F100AA20A
4F100AK25B
4F100AK46A
4F100AK49A
4F100AK50A
4F100AT00A
4F100BA02
4F100CA07A
4F100CA23A
4F100CA30B
4F100EH46
4F100EJ86
4F100GB41
4F100JB13
4F100JB14
4F100JD06A
4F100JK12B
4F100JN01A
4F100JN28A
4J002CM041
4J002DJ016
4J002FD016
4J002GP00
4J043PA04
4J043QB15
4J043QB26
4J043RA34
4J043SA06
4J043SB01
4J043TB01
4J043UA122
4J043UA131
4J043XA19
4J043YA08
4J043ZB21
(57)【要約】
【課題】画像表示装置における光学フィルムとして好適に使用された場合に、優れた繰り出し安定性及び優れたフィルム外観を兼ね備えた光学フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】ポリイミド、ポリアミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種を含む光学フィルムであって、式(1)
0.04≦反射(SCE)b*/反射(SCI)b*≦1.5・・・(1)
[式(1)中、反射(SCE)b*はSCE方式で求められる該光学フィルムを反射した光のL*a*b*表色系におけるb*を示し、反射(SCI)b*はSCI方式で求められる該光学フィルムを反射した光のL*a*b*表色系におけるb*を示す]
を満たす、光学フィルム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミド、ポリアミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種を含む光学フィルムであって、式(1)
0.04≦反射(SCE)b*/反射(SCI)b*≦1.5・・・(1)
[式(1)中、反射(SCE)b*はSCE方式で求められる該光学フィルムを反射した光のL*a*b*表色系におけるb*を示し、反射(SCI)b*はSCI方式で求められる該光学フィルムを反射した光のL*a*b*表色系におけるb*を示す]
を満たす、光学フィルム。
【請求項2】
さらに式(2)
反射(SCE)a*/反射(SCI)a*≦2.5・・・(2)
[式(2)中、反射(SCE)a*はSCE方式で求められる前記光学フィルムを反射した光のL*a*b*表色系におけるa*を示し、反射(SCI)a*はSCI方式で求められる前記光学フィルムを反射した光のL*a*b*表色系におけるa*を示す]
を満たす、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
ヘーズが1%以下であり、全光線透過率Ttが85%以上である、請求項1又は2に記載の光学フィルム。
【請求項4】
シリカ粒子を更に含む、請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記シリカ粒子は水溶性アルコール分散シリカゾルを溶媒置換したシリカ粒子である、請求項4に記載の光学フィルム。
【請求項6】
紫外線吸収剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の光学フィルムと、該光学フィルムの少なくとも一方の面にハードコート層とを有する、光学積層体。
【請求項8】
請求項7に記載の光学積層体を備える、フレキシブル画像表示装置。
【請求項9】
更に円偏光板を備える、請求項8に記載のフレキシブル画像表示装置。
【請求項10】
更にタッチセンサを備える、請求項8又は9に記載のフレキシブル画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミド、ポリアミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種を含む光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポリイミド系樹脂を含む光学フィルムは、例えば、テレビ、パソコン、スマートフォン、タブレッド、及び電子ペーパーのような画像表示装置に対して機能を付与するための機能性フィルムとして使用されている。このような画像表示装置の使用者は、該表示装置に適用された光学フィルムを介して直接目視で表示された画像を視認するため、該光学フィルムには優れたフィルム外観が要求される。
【0003】
フィルム外観の不良には、例えば、光学フィルムの組成に由来する不良と、光学フィルムの製造方法に由来する不良がある。前者は、例えば、添加剤(より具体的には、シリカ粒子等)が可視光と相互作用して外観が損なわれる不良である。後者は、量産性に優れるロール・ツー・ロール方式で光学フィルムを製造する場合に、例えば光学フィルムのタックが不適切であることに起因してロールから光学フィルムがスムーズに繰り出されず、光学フィルム同士が摺動して光学フィルム表面に傷が生じる不良である。このため、後者では、光学フィルムの繰り出し安定性(巻き出し安定性)が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−215412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者の検討によれば、上記2つの外観不良はトレードオフの関係にあり、例えば、特許文献1に記載されているようなポリイミド系樹脂とシリカ粒子とを含む光学フィルムは、これらを高い水準で両立することができない場合があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、優れた繰り出し安定性及び優れたフィルム外観を兼ね備えた光学フィルム、並びに光学フィルムを含む光学積層体及びフレキシブル画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリイミド、ポリアミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種を含む光学フィルムにおいて、反射(SCE)b*/反射(SCI)b*を所定範囲に調整すれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明には、以下の態様が含まれる。
[1]ポリイミド、ポリアミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種を含む光学フィルムであって、式(1)
0.04≦反射(SCE)b*/反射(SCI)b*≦1.50・・・(1)
[式(1)中、反射(SCE)b*はSCE方式で求められる該光学フィルムを反射した光のL*a*b*表色系におけるb*を示し、反射(SCI)b*はSCI方式で求められる該光学フィルムを反射した光のL*a*b*表色系におけるb*を示す]
を満たす、光学フィルム。
[2]式(2)
反射(SCE)a*/反射(SCI)a*≦2.5・・・(2)
[式(2)中、反射(SCE)a*はSCE方式で求められる前記光学フィルムを反射した光のL*a*b*表色系におけるa*を示し、反射(SCI)a*はSCI方式で求められる前記光学フィルムを反射した光のL*a*b*表色系におけるa*を示す]
を更に満たす、[1]に記載の光学フィルム。
[3]ヘーズが1%以下であり、全光線透過率Ttが85%以上である、[1]又は[2]に記載の光学フィルム。
[4]シリカ粒子を更に含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の光学フィルム。
[5]前記シリカ粒子が水溶性アルコール分散シリカゾルを溶媒置換したシリカ粒子である、[4]に記載の光学フィルム。
[6]紫外線吸収剤を更に含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の光学フィルム。
[7]シリカ粒子を更に含み、
ハンセン溶解球法で決定される三次元距離Raが式(3)
Ra≦8.0・・・(3)
[式(3)中、Raは、溶解度パラメータ空間における、前記シリカ粒子と、前記ポリイミド、前記ポリアミドおよび前記ポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種との三次元距離を示す]
を満たす、[1]〜[6]のいずれかに記載の光学フィルム。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の光学フィルムと、該光学フィルムの少なくとも一方の面にハードコート層とを有する、光学積層体。
[9][8]に記載の光学積層体を備える、フレキシブル画像表示装置。
[10]更に偏光板を備える、[9]に記載のフレキシブル画像表示装置。
[11]更にタッチセンサを備える、[9]又は[10]に記載のフレキシブル画像表示装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像表示装置における光学フィルムとして使用された場合に、優れた繰り出し安定性及び優れたフィルム外観を兼ね備えた光学フィルムを提供することができる。また、本発明によれば、優れた繰り出し安定性及び優れたフィルム外観を兼ね備えた光学フィルムを含む光学積層体及びフレキシブル画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。
【0010】
<光学フィルム>
本発明の光学フィルムは、ポリイミド、ポリアミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種を含み、式(1)
0.04≦反射(SCE)b*/反射(SCI)b*≦1.50・・・(1)
[式(1)中、反射(SCE)b*はSCE方式で求められる該光学フィルムを反射した光のL*a*b*表色系におけるb*を示し、反射(SCI)b*はSCI方式で求められる該光学フィルムを反射した光のL*a*b*表色系におけるb*を示す]
を満たす。
【0011】
[1.式(1)]
本発明の光学フィルムの式(1)の比[反射(SCE)b*/反射(SCI)b*]が0.1以上であると、光学フィルムの表面が適度な平滑性を有するため、光学フィルムは適度なタックを有し、繰り出し安定性に優れ、光学フィルム同士の摺動に由来する外観不良が生じにくい。一方、本発明の光学フィルムの式(1)の比[反射(SCE)b*/反射(SCI)b*]が1.9以下であると、光学フィルムの組成に由来する外観不良が生じにくいため、フィルム外観に優れる。よって、式(1)を満たすと、優れた繰り出し安定性及び優れたフィルム外観を兼ね備える。光学フィルムの式(1)の比[反射(SCE)b*/反射(SCI)b*]は、繰り出し安定性及び/又はフィルム外観を更に向上させる観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.13以上である。また、光学フィルムの式(1)の比[反射(SCE)b*/反射(SCI)b*]は、繰り出し安定性及び/又はフィルム外観を更に向上させる観点から、好ましくは1.4以下、より好ましくは1.2以下、更に好ましくは1.1以下である。これらの複数の上限値と下限値とを任意に組合せることができる。
【0012】
(反射(SCE)b*)
光学フィルムの反射(SCE)b*は、SCE(Specular Component Excluded:正反射光を除く)方式で求められる該光学フィルムを反射した光のL*a*b*表色系におけるb*であり、本明細書において、光学フィルム平面の垂直方向から所定の角度傾けた方向から入射する、波長380〜780nmの範囲における入射光に対する反射光のうち、正反射光を除いた拡散反射光のCIE1976L*a*b*表色系のb*値をいう。反射(SCE)b*は、好ましくは−2.5以上、好ましくは−2.4以上、更に好ましくは−2.3以上である。反射(SCE)b*は、好ましくは−0.08以下、好ましくは−0.1以下、更に好ましくは−0.3以下である。これらの複数の上限値と下限値とを任意に組合せることができる。光学フィルムの反射(SCE)b*は、例えば、分光測色計を用いて測定することができる。測定方法は、実施例に記載の方法により測定できる。
【0013】
(反射(SCI)b*)
光学フィルムの反射(SCI)b*は、SCI(Specular Component Included:正反射光を含む)方式で求められる前記光学フィルムを反射した光のL*a*b*表色系におけるb*であり、本明細書において、光学フィルム平面の垂直方向から所定の角度傾けた方向から入射する、波長380〜780nmの範囲における入射光に対する反射光(正反射光を含む反射光)のCIE1976L*a*b*表色系のb*値をいう。反射(SCI)b*は、好ましくは−2.9以上、より好ましくは−2.7以上、更に好ましくは−2.5以上である。反射(SCI)b*は、好ましくは−1.4以下、より好ましくは−1.6以下、更に好ましくは−2.0以下である。これらの複数の上限値と下限値とを任意に組合せることができる。光学フィルムの反射(SCI)b*は、例えば、分光測色計を用いて測定することができる。測定方法は、実施例に記載の方法により測定できる。
【0014】
式(1)の数値を所定の数値範囲内に調整する手段としては、例えば、白色光と光学フィルム内の成分との相互作用を低減する手段が挙げられる。該相互作用を低減する手段としては、例えば、光学フィルムの膜厚、添加剤(より具体的には、シリカ粒子、紫外線吸収剤、及び増白剤等)の添加、添加剤の特性(より具体的には、粒子径、表面修飾、及び含有量等)を所定の範囲に調整する手段が挙げられる。この中でも、シリカ粒子の粒子径、表面修飾、及び含有量の調整は、シリカ粒子が光学フィルムにおいて凝集しにくく、一次粒子の形態で存在することを可能にするため、シリカ粒子は光学フィルムにおいて均一に分散しやすくなる。そして、光学フィルム表面において凹凸形状に起因する白色光との相互作用が低減され、かつ光学フィルム内においてその凝集体と白色光との相互作用が低減されるため、視認性の低下の抑制(フィルム外観品質の低下の抑制)に寄与すると考えられる。
【0015】
[2.式(2)]
本発明の光学フィルムは、好ましくは、式(2)
反射(SCE)a*/反射(SCI)a*≦2.5・・・(2)
[式(2)中、反射(SCE)a*はSCE方式で求められる前記光学フィルムを反射した光のL*a*b*表色系におけるa*を示し、反射(SCI)a*はSCI方式で求められる前記光学フィルムを反射した光のL*a*b*表色系におけるa*を示す]
を満たす。
光学フィルムが式(2)を満たすと、光学フィルムの繰り出し安定性及び/又はフィルム外観が更に向上する。光学フィルムの式(2)の比[反射(SCE)a*/反射(SCI)a*]は、光学フィルムの繰り出し安定性及び/又はフィルム外観を更に向上させる観点から、好ましくは2.2以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.8以下である。また、光学フィルムの式(2)の比[反射(SCE)a*/反射(SCI)a*]は、光学フィルムの繰り出し安定性及び/又はフィルム外観を更に向上させる観点から、好ましくは0.0以上、より好ましくは0.1以上である。これらの複数の上限値と下限値とを任意に組合せることができる。式(2)の数値を所定の数値範囲内に調整する手段としては、例えば、上記の式(1)の数値を所定の数値範囲内に調整する手段が挙げられる。
【0016】
(反射(SCE)a*)
光学フィルムの反射(SCE)a*は、SCE方式で求められる該光学フィルムを反射した光のL*a*b*表色系におけるa*であり、本明細書において、光学フィルム平面の垂直方向から所定の角度傾けた方向から入射する、波長380〜780nmの範囲における入射光に対する反射光のうち、正反射光を除いた拡散反射光のCIE1976L*a*b*表色系のa*値をいう。反射(SCE)a*は、好ましくは−0.01以上、好ましくは0.0以上である。反射(SCE)a*は、好ましくは0.6以下、好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.4以下である。これらの複数の上限値と下限値とを任意に組合せることができる。光学フィルムの反射(SCE)a*は、例えば、分光測色計を用いて測定することができる。測定方法は、実施例に記載の方法により測定できる。
【0017】
(反射(SCI)a*)
光学フィルムの反射(SCI)a*は、SCI方式で求められる前記光学フィルムを反射した光のL*a*b*表色系におけるa*であり、本明細書において、光学フィルム平面の垂直方向から所定の角度傾けた方向から入射する、波長380〜780nmの範囲における入射光に対する反射光(正反射光を含む反射光)のCIE1976L*a*b*表色系のa*値をいう。反射(SCI)a*は、好ましくは−0.03以上、より好ましくは0.0以上、更に好ましくは0.1以上である。反射(SCI)a*は、好ましくは0.28以下、より好ましくは0.27以下、更に好ましくは0.26以下である。これらの複数の上限値と下限値とを任意に組合せることができる。光学フィルムの反射(SCI)a*は、例えば、分光測色計を用いて測定することができる。測定方法は、実施例に記載の方法により測定できる。
【0018】
[3.ヘーズ]
本発明の光学フィルムのヘーズは、光学フィルムの繰り出し安定性及び/又はフィルム外観を更に向上させる観点から、好ましくは1%以下、より好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.3%以下である。光学フィルムのヘーズは、JIS K 7136:2000に準拠して測定することができる。測定方法は、実施例にて詳細に説明する。光学フィルムのヘーズは、添加剤の光学フィルムにおける分散性の程度を示すため、光学フィルムのヘーズが上記範囲内であると、光学フィルムの繰り出し安定性及び/又はフィルム外観に優れる。
【0019】
[4.全光線透過率]
本発明の光学フィルムの全光線透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは87%以上、更に好ましくは89%以上である。光学フィルムの全光線透過率は、JIS K 7361−1:1997に準拠して測定することができる。測定方法は、実施例にて詳細に説明する。光学フィルムの全光線透過率が上記数値範囲であると、画像表示装置に組み込んだ際に、十分なフィルム外観を確保することができる。また、光学フィルムの全光線透過率が上記数値範囲であると、一定の明るさを確保しやすくなり得るため、例えば、表示素子等の発光強度を抑えることが可能となり、画像表示装置の消費電力を削減することができる。
【0020】
[5.黄色度]
本発明の光学フィルムの黄色度は、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.7以下、更に好ましくは2.5以下である。光学フィルムの黄色度は、JIS K 7373:2006に準拠して測定することができる。測定方法は、実施例にて詳細に説明する。
【0021】
[6.膜厚]
本発明の光学フィルムの膜厚は、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上である。また、該膜厚は、好ましくは120μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは80μm以下、特に好ましくは60μm以下である。膜厚が30μm以上であると光学フィルムをデバイスとしたときの内部の保護の観点で有利であり、膜厚が120μm以下であると耐折性、コスト、透明性などの観点で有利である。測定方法は、実施例にて詳細に説明する。
【0022】
[7.溶解度パラメータ]
本発明者は、光学フィルム内の組成が分散不良に起因して凝集等を引き起こし、フィルム外観品質を低下させることを見出し、光学フィルムのような固体系における溶質(例えば、添加剤、より具体的には、紫外線吸収剤、シリカ粒子、及び増白剤等)と媒体(例えば、樹脂、より具体的には、ポリイミド、ポリアミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂)との親和性を評価する指標としてハンセン溶解度パラメータ(Hansen Solubility Parameter;以下、HSPと略すことがある)を導入した。本発明者が鋭意検討した結果、下記の式(3)〜式(5)を導き出した。すなわち、本発明の光学フィルムは、フィルム外観品質の低下を抑制する観点(特に、白味を帯びる不具合の発生を抑制する観点)から、HSPに関する式(3)
Ra≦8.0・・・(3)
[式(3)中、RaはHSP空間における前記溶質と前記媒体との間の三次元距離を表す]
を満たすことが好ましい。
また、本発明の光学フィルムは、フィルム外観品質の低下をさらに抑制する観点から、式(3)に加え、HSPに関する式(4)
Δδ≦2.0・・・(4)[式(4)中、Δδは、前記溶質及び前記媒体の間のHSPの分散項、極性項及び水素結合項の合計δの差を表す]
、又は式(5)
Δδ≦4.5・・・(5)[式(5)中、Δδは、前記溶質及び前記媒体の間のHSPの極性項δの差を表す]
を満たすことがより好ましい。
また、本発明の光学フィルムは、フィルム外観品質の低下をさらに抑制する観点から、式(3)〜式(5)をすべて満たすことが更に好ましい。
【0023】
(7−1.HSP値の算出方法)
HSP値は、ハンセン溶解球法(Hansen Solubility Sphere法)を用いて、算出する。以下にその詳細を説明する。対象となる組成(前記溶質及び前記媒体)をHSP値が既知の溶媒に溶解又は分散させ、当該組成の特定の溶媒に対する溶解性又は分散性を評価する。溶解性及び分散性の評価は、それぞれ対象とする組成が溶媒に溶解したか否か及び分散したか否かを目視で判定して行う。これを複数の溶媒について行う。この溶媒の種類は、δが幅広く異なる溶媒を用いることが好ましく、より具体的には、好ましくは10種以上、より好ましくは15種以上、更に好ましくは18種以上である。次に、得られた溶解性又は分散性の評価結果をHSPの分散項δ、極性項δおよび水素結合項δからなる三次元空間(HSP空間)にプロットする。対象の組成が溶解又は分散する溶媒が内側に含まれ、かつ対象の組成が溶解又は分散しない溶媒が外側になり、さらに半径が最小となる球(Hansen球)を作成する。得られたHansen球の中心座標(δ,δ,δ)を対象とする組成のHSPとする。
【0024】
(7−2.δt、Δδt、Δδ及びRaの算出方法)
7−1.HSP値の算出方法を用いて、光学フィルム内の2種の成分、例えば、樹脂を成分1とし、シリカを成分2としたときのHSP値(δd1,δp1,δh1:成分1のHSP値、δd2,δp2,δh2:成分2のHSP値)を算出したとする。
HSPの分散項、極性項及び水素結合項の合計δ並びに成分1及び成分2の間の当該合計の差Δδは、それぞれ式(6)及び式(7)を用いて算出される。得られるδはヒルデブランド(Hildebrand)のHSPに相当する。
δ=δ+δ+δ・・・(6)
Δδ=|δt2−δt1|・・・(7)
Δδは、フィルム外観品質の低下をさらに抑制する観点から、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.0以下、更により好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.5以下である。
成分1及び成分2の間のHSPの極性項の差Δδは、式(8)を用いて算出される。
Δδ=|δp2−δp1|・・・(8)
Δδは、フィルム外観品質の低下をさらに抑制する観点から、好ましくは4.5以下、より好ましくは3.5以下、更に好ましくは3.0以下、更により好ましくは2.0以下、特に好ましくは1.0以下である。
HSP空間における成分1と成分2との間の三次元距離Ra(>0)は式(9)を用いて算出される。
Ra=4(δd2−δd1+(δp2−δp1+(δh2−δh1・・・(9)
Ra値が小さいほど、成分1と成分2との親和性が良好であることを示す。Ra値は、フィルム外観品質の低下をさらに抑制する観点から、好ましくは8.0以下、より好ましくは7.0以下、更に好ましくは6.0以下、更により好ましくは5.5以下、特に好ましくは5.0以下である。
【0025】
[8.ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド]
本発明の光学フィルムは、ポリイミド系樹脂及びポリアミド系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含む。ポリイミド系樹脂とは、イミド基を含む繰返し構造単位を含有する重合体(以下、ポリイミドと記載することがある)、並びにイミド基及びアミド基の両方を含む繰返し構造単位を含有する重合体(以下、ポリアミドイミドと記載することがある)からなる群から選択される少なくとも1種の重合体を示す。また、ポリアミド系樹脂とは、アミド基を含む繰り返し構造単位を含有する重合体を示す。
【0026】
ポリイミド系樹脂は、式(10)で表される繰り返し構造単位を有することが好ましい。ここで、Gは4価の有機基であり、Aは2価の有機基である。ポリイミド系樹脂は、G及び/又はAが異なる、2種類以上の式(10)で表される繰り返し構造単位を含んでいてもよい。
【化1】
【0027】
ポリイミド系樹脂は、光学フィルムの各種物性を損なわない範囲で、式(11)、式(12)及び式(13)で表される繰り返し構造単位からなる群から選択される1以上を含んでいてもよい。
【0028】
【化2】
【0029】
式(10)及び式(11)中、G及びGは、それぞれ独立して、4価の有機基であり、好ましくは炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基である。G及びGとしては、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)又は式(29)で表される基並びに4価の炭素数6以下の鎖式炭化水素基が例示される。光学フィルムの黄色度(YI値)を抑制しやすいことから、なかでも、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)又は式(27)で表される基が好ましい。
【0030】
【化3】
【0031】
式(20)〜式(29)中、
*は結合手を表し、
Zは、単結合、−O−、−CH−、−CH−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−C(CF−、−Ar−、−SO−、−CO−、−O−Ar−O−、−Ar−O−Ar−、−Ar−CH−Ar−、−Ar−C(CH−Ar−又は−Ar−SO−Ar−を表す。Arはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリーレン基を表し、具体例としてはフェニレン基が挙げられる。
【0032】
式(12)中、Gは3価の有機基であり、好ましくは炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基である。Gとしては、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)又は式(29)で表される基の結合手のいずれか1つが水素原子に置き換わった基並びに3価の炭素数6以下の鎖式炭化水素基が例示される。
【0033】
式(13)中、Gは2価の有機基であり、好ましくは炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基である。Gとしては、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)又は式(29)で表される基の結合手のうち、隣接しない2つが水素原子に置き換わった基及び炭素数6以下の鎖式炭化水素基が例示される。
【0034】
式(10)〜(13)中、A、A、A及びAは、それぞれ独立して、2価の有機基であり、好ましくは炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基である。A、A、A及びAとしては、式(30)、式(31)、式(32)、式(33)、式(34)、式(35)、式(36)、式(37)もしくは式(38)で表される基;それらがメチル基、フルオロ基、クロロ基もしくはトリフルオロメチル基で置換された基;並びに炭素数6以下の鎖式炭化水素基が例示される。
【0035】
【化4】
【0036】
式(30)〜式(38)中、
*は結合手を表し、
、Z及びZは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−CH−、−CH−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−又は−CO−を表す。
1つの例は、Z及びZが−O−であり、かつ、Zが−CH−、−C(CH−、−C(CF−又は−SO−である。ZとZとの各環に対する結合位置、及び、ZとZとの各環に対する結合位置は、それぞれ、各環に対してメタ位又はパラ位であることが好ましい。
【0037】
ポリイミド系樹脂は、視認性(フィルム外観)を向上させやすい観点から、式(10)で表される繰り返し構造単位と式(13)で表される繰り返し構造単位を少なくとも有するポリアミドイミドであることが好ましい。また、ポリアミド系樹脂は、式(13)で表される繰り返し構造単位を少なくとも有することが好ましい。
【0038】
本発明の一実施態様において、ポリイミド系樹脂は、ジアミン及びテトラカルボン酸化合物(酸クロライド化合物、テトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸化合物類縁体)、並びに、必要に応じて、ジカルボン酸化合物(酸クロライド化合物等のジカルボン酸化合物類縁体)、トリカルボン酸化合物(酸クロライド化合物、トリカルボン酸無水物等のトリカルボン酸化合物類縁体)等を反応(重縮合)させて得られる縮合型高分子である。式(10)又は式(11)で表される繰り返し構造単位は、通常、ジアミン及びテトラカルボン酸化合物から誘導される。式(12)で表される繰り返し構造単位は、通常、ジアミン及びトリカルボン酸化合物から誘導される。式(13)で表される繰り返し構造単位は、通常、ジアミン及びジカルボン酸化合物から誘導される。
【0039】
本発明の一実施態様において、ポリアミド系樹脂は、ジアミンとジカルボン酸化合物とを反応(重縮合)させて得られる縮合型高分子である。すなわち、式(13)で表される繰り返し構造単位は、通常、ジアミン及びジカルボン酸化合物から誘導される。
【0040】
テトラカルボン酸化合物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸化合物;及び脂肪族テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸化合物が挙げられる。テトラカルボン酸化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。テトラカルボン酸化合物は、二無水物の他、酸クロライド化合物等のテトラカルボン酸化合物類縁体であってもよい。
【0041】
芳香族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、1,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物及び4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物及び4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0042】
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、環式又は非環式の脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物とは、脂環式炭化水素構造を有するテトラカルボン酸二無水物であり、その具体例としては、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等のシクロアルカンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物及びこれらの位置異性体が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。非環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。また、環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び非環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物を組合せて用いてもよい。
【0043】
上記テトラカルボン酸二無水物の中でも、高透明性及び低着色性の観点から、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物及び4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、並びにこれらの混合物が好ましい。また、テトラカルボン酸として、上記テトラカルボン酸化合物の無水物の水付加体を用いてもよい。
【0044】
トリカルボン酸化合物としては、芳香族トリカルボン酸、脂肪族トリカルボン酸及びそれらの類縁の酸クロライド化合物、酸無水物等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
具体例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸の無水物;2,3,6−ナフタレントリカルボン酸−2,3−無水物;フタル酸無水物と安息香酸とが単結合、−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−もしくはフェニレン基で連結された化合物が挙げられる。
【0045】
ジカルボン酸化合物としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びそれらの類縁の酸クロライド化合物、酸無水物等が挙げられ、それらを2種以上併用してもよい。それらの具体例としては、テレフタル酸ジクロリド(テレフタロイルクロリド(TPC));イソフタル酸ジクロリド;ナフタレンジカルボン酸ジクロリド;4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジクロリド;3,3’−ビフェニルジカルボン酸ジクロリド;4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)(OBBC);炭素数8以下である鎖式炭化水素のジカルボン酸化合物及び2つの安息香酸が単結合、−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−もしくはフェニレン基で連結された化合物が挙げられる。
【0046】
ジアミンとしては、例えば、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン又はこれらの混合物が挙げられる。なお、本実施形態において「芳香族ジアミン」とは、アミノ基が芳香環に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に脂肪族基又はその他の置換基を含んでいてもよい。芳香環は単環でも縮合環でもよく、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環及びフルオレン環等が例示されるが、これらに限定されるわけではない。これらの中でも、芳香環がベンゼン環であることが好ましい。また「脂肪族ジアミン」とは、アミノ基が脂肪族基に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に芳香環やその他の置換基を含んでいてもよい。
【0047】
脂肪族ジアミンとしては、例えば、ヘキサメチレンジアミン等の非環式脂肪族ジアミン及び1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ノルボルナンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の環式脂肪族ジアミン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0048】
芳香族ジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン等の、芳香環を1つ有する芳香族ジアミン;4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMB))、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン等の、芳香環を2つ以上有する芳香族ジアミンが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0049】
上記ジアミンの中でも、高透明性及び低着色性の観点からは、ビフェニル構造を有する芳香族ジアミンからなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなる群から選ばれる1種以上を用いることが更に好ましく、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンを用いることが更により好ましい。
【0050】
ポリイミド系樹脂は、上記ジアミン、テトラカルボン酸化合物、トリカルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物等の各原料を慣用の方法、例えば、撹拌等の方法により混合した後、得られた中間体をイミド化触媒及び必要に応じて脱水剤の存在下で、イミド化することにより得られる。ポリアミド系樹脂は、上記ジアミン、ジカルボン酸化合物等の各原料を慣用の方法、例えば、撹拌等の方法により混合することで得られる。
【0051】
イミド化工程で使用されるイミド化触媒としては、特に限定されないが、例えばトリプロピルアミン、ジブチルプロピルアミン、エチルジブチルアミン等の脂肪族アミン;N−エチルピペリジン、N−プロピルピペリジン、N−ブチルピロリジン、N−ブチルピペリジン、及びN−プロピルヘキサヒドロアゼピン等の脂環式アミン(単環式);アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザビシクロ[3.2.1]オクタン、アザビシクロ[2.2.2]オクタン、及びアザビシクロ[3.2.2]ノナン等の脂環式アミン(多環式);並びに2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、3−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、3,4−シクロペンテノピリジン、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン、及びイソキノリン等の芳香族アミンが挙げられる。
【0052】
イミド化工程で使用される脱水剤としては、特に限定されないが、例えば無水酢酸、プロピオン酸無水物、イソ酪酸無水物、ピバル酸無水物、酪酸無水物、イソ吉草酸無水物などが挙げられる。
【0053】
各原料の混合及びイミド化工程において、反応温度は、特に限定されないが、例えば15〜350℃、好ましくは20〜100℃である。反応時間も特に限定されないが、例えば10分〜10時間程度である。必要に応じて、不活性雰囲気又は減圧の条件下において反応を行ってよい。また、反応は溶媒中で行ってよく、溶媒としては、例えばワニスの調製に使用される溶媒として例示のものが挙げられる。反応後、ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂を精製する。精製方法としては、例えば反応液に貧溶媒を加えて再沈殿法により樹脂を析出させ、乾燥し沈殿物を取りだし、必要に応じて沈殿物をメタノール等の溶媒で洗浄して乾燥させる方法等が挙げられる。
なお、ポリイミド系樹脂の製造は、例えば特開2006−199945号公報又は特開2008−163107号公報に記載の製造方法を参照してもよい。また、ポリイミド系樹脂は、市販品を使用することもでき、その具体例としては、三菱瓦斯化学(株)製ネオプリム(登録商標)、河村産業(株)製KPI−MX300F等が挙げられる。
【0054】
ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは200,000以上、より好ましくは250,000以上、更に好ましくは300,000以上であり、好ましくは600,000以下、より好ましくは500,000以下である。ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂の重量平均分子量が大きいほど、フィルム化した際の高い耐屈曲性を発現しやすい傾向がある。そのため、光学フィルムの耐屈曲性を高める観点からは、重量平均分子量が上記の下限以上であることが好ましい。一方、ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂の重量平均分子量が小さいほど、ワニスの粘度を低くしやすく、加工性を向上させやすい傾向がある。また、ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂の延伸性が向上しやすい傾向がある。そのため、加工性及び延伸性の観点からは、重量平均分子量が上記の上限以下であることが好ましい。なお、本願において重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を行い、標準ポリスチレン換算により求めることができ、例えば実施例に記載の方法により算出できる。
【0055】
ポリイミド系樹脂のイミド化率は、好ましくは95〜100%、より好ましくは97〜100%、更に好ましくは98〜100%、特に好ましくは100%である。ワニスの安定性、得られた光学フィルムの機械物性の観点からは、イミド化率が上記の下限以上であることが好ましい。なお、イミド化率は、IR法、NMR法などにより求めることができる。上記観点から、ワニス中に含まれるポリイミド系樹脂のイミド化率が上記範囲内であることが好ましい。
【0056】
本発明の好ましい一実施形態において、本発明の光学フィルムに含まれるポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂は、例えば上記の含フッ素置換基等によって導入することができる、フッ素原子等のハロゲン原子を含んでよい。ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂がハロゲン原子を含む場合、光学フィルムの弾性率を向上させかつ黄色度(YI値)を低減させやすい。光学フィルムの弾性率が高いと、該フィルムにおけるキズ及びシワ等の発生を抑制しやすく、また、光学フィルムの黄色度が低いと、該フィルムの透明性を向上させやすくなる。ハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子である。ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂にフッ素原子を含有させるために好ましい含フッ素置換基としては、例えばフルオロ基及びトリフルオロメチル基が挙げられる。
【0057】
ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂におけるハロゲン原子の含有量は、ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂の質量を基準として、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは5〜40質量%であり、更に好ましくは5〜30質量%である。ハロゲン原子の含有量が1質量%以上であると、フィルム化した際の弾性率をより向上させ、吸水率を下げ、黄色度(YI値)をより低減し、透明性をより向上させやすい。ハロゲン原子の含有量が40質量%以下であると、合成が容易になる傾向がある。
【0058】
本発明の一実施形態において、光学フィルム中におけるポリイミド系樹脂及び/又はポリアミド系樹脂の含有量は、光学フィルムの全質量を基準として、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。ポリイミド系樹脂及び/又はポリアミド系樹脂の含有量が上記の下限以上であることが、耐屈曲性等を高めやすい観点から好ましい。なお、光学フィルム中におけるポリイミド系樹脂及び/又はポリアミド系樹脂の含有量は、光学フィルムの全質量を基準として、通常100質量%以下である。
【0059】
[9.添加剤]
本発明の光学フィルムは、添加剤を更に含んでもよい。このような添加剤としては、例えば、シリカ粒子、紫外線吸収剤、増白剤、シリカ分散剤、酸化防止剤、pH調整剤、及びレベリング剤が挙げられる。
【0060】
(シリカ粒子)
本発明の光学フィルムは、添加剤としてシリカ粒子を更に含んでもよい。シリカ粒子の含有量は、該光学フィルムの総質量を基準として、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは45質量部以下である。また、シリカ粒子の含有量は、これらの上限値及び下限値のうち、任意の下限値と上限値とを選択して組合せることができる。シリカ粒子の含有量が上記上限値及び/又は下限値の数値範囲であると、本発明の光学フィルムにおいて、シリカ粒子が凝集しにくく、一次粒子の状態で均一に分散する傾向にあるため、本発明の光学フィルムの視認性の低下を抑制することができる。
【0061】
シリカ粒子の粒子径は、好ましくは1nm以上、より好ましくは3nm以上、更に好ましくは5nm以上、特に好ましくは8nm以上であり、好ましくは30nm以下、より好ましくは28nm以下、更に好ましくは25nm以下、特に好ましくは20nm以下である。シリカ粒子の粒子径は、これらの上限値及び下限値のうち、任意の下限値と上限値とを選択して組合せることができる。シリカ粒子の含有量が上記上限値及び/又は下限値の数値範囲であると、本発明の光学フィルムにおいて、白色光における特定の波長の光と相互作用をしにくいため、本発明の光学フィルムの視認性の低下を抑制することができる。本明細書において、シリカ粒子の粒子径は、平均一次粒子径を示す。光学フィルム内のシリカ粒子の粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた撮像から測定することができる。光学フィルムを作製する前(例えば、ワニスに添加する前)のシリカ粒子の粒子径は、レーザー回折式粒度分布計により測定することができる。シリカ粒子の粒子径の測定方法は、実施例にて詳細に説明する。
【0062】
シリカ粒子の形態としては、例えば、シリカ粒子が有機溶媒等に分散したシリカゾル、及び気相法で調製したシリカ粉末が挙げられる。これらの中でも、作業性の観点からシリカゾルが好ましい。
【0063】
シリカ粒子は、表面処理を施してもよく、例えば、水溶性アルコール分散シリカゾルから溶媒(より具体的には、γ−ブチロラクトン等)置換したシリカ粒子であってもよい。水溶性アルコールは、該水溶性アルコール分子1個においてヒドロキシ基1個当たりの炭素数が3以下のアルコールであり、メタノール、エタノール、1−プロパノール、及び2−プロパノールなどが挙げられる。シリカ粒子とポリイミド系高分子の種類との相性によるが、通常、シリカ粒子が表面処理されると、光学フィルムに含まれるポリイミド系高分子との親和性が向上し、シリカ粒子の分散性が向上する傾向にあるため、本発明の視認性の低下を抑制することができる。
【0064】
(紫外線吸収剤)
本発明の光学フィルムは、紫外線吸収剤を更に含んでもよい。例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、及びシアノアクリレート系紫外線吸収剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好適な市販の紫外線吸収剤としては、例えば、住化ケムテックス(株)製のSumisorb(登録商標) 340、(株)ADEKA製のアデカスタブ(登録商標) LA−31、及びBASFジャパン(株)製のチヌビン(登録商標) 1577等が挙げられる。紫外線吸収剤の含有量は、本発明の光学フィルムの質量を基準として、好ましくは1phr以上10phr以下、より好ましくは3phr以上6phr以下である。
【0065】
(増白剤)
本発明の光学フィルムは、増白剤を更に含んでもよい。増白剤は、例えば、増白剤以外の添加剤を添加した場合に、色味を調整するために添加することができる。増白剤としてはモノアゾ系染料、トリアリールメタン系染料、フタロシアニン系染料、及びアンスラキノン系染料が挙げられる。これらの中でもアンスラキノン系染料が好ましい。好適な市販の増白剤としては、例えば、ランクセス社製のマクロレックス(登録商標) バイオレット B、住化ケムテックス(株)製のスミプラスト(登録商標) Violet B、及び三菱化学(株)製のダイアレジン(登録商標) ブルー G等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。増白剤の含有量は、本発明の光学フィルムの質量を基準として、好ましくは5ppm以上40ppm以下である。
【0066】
[10.光学フィルムの製造方法]
【0067】
本発明の光学フィルムの用途は特に限定されず、種々の用途に使用してよい。本発明の光学フィルムは、上記に述べたように単層であっても、積層体であってもよく、本発明の光学フィルムをそのまま使用してもよいし、更に他のフィルムとの積層体として使用してもよい。本発明の光学フィルムは、優れた面品質を有するため、画像表示装置等における光学フィルムとして有用である。
【0068】
本発明の光学フィルムは、画像表示装置の前面板、特にフレキシブルディスプレイの前面板(ウィンドウフィルム)として有用である。フレキシブルディスプレイは、例えば、フレキシブル機能層と、フレキシブル機能層に重ねられて前面板として機能する上記ポリイミド系フィルムを有する。すなわち、フレキシブルディスプレイの前面板は、フレキシブル機能層の上の視認側に配置される。この前面板は、フレキシブル機能層を保護する機能を有する。
【0069】
[11.光学フィルムの製造方法]
本発明の光学フィルムは、特に限定されないが、例えば以下の工程:
(a)前記樹脂及び前記フィラーを含む液(以下、ワニスと記載することがある)を調製する工程(ワニス調製工程)、
(b)ワニスを基材に塗布して塗膜を形成する工程(塗布工程)、及び
(c)塗布された液(塗膜)を乾燥させて、光学フィルムを形成する工程(光学フィルム形成工程)
を含む方法によって製造することができる。
【0070】
ワニス調製工程において、前記樹脂を溶媒に溶解し、前記フィラー及び必要に応じて他の添加剤を添加して撹拌混合することによりワニスを調製する。なお、フィラーとしてシリカを用いる場合、シリカを含むシリカゾルの分散液を、前記樹脂が溶解可能な溶媒、例えば下記のワニスの調製に用いられる溶媒で置換したシリカゾルを樹脂に添加してもよい。
【0071】
ワニスの調製に用いられる溶媒は、前記樹脂を溶解可能であれば特に限定されない。かかる溶媒としては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;及びそれらの組合せが挙げられる。これらの中でも、アミド系溶媒又はラクトン系溶媒が好ましい。これらの溶媒は単独又は二種以上組合せて使用できる。また、ワニスには水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、非環状エステル系溶媒、エーテル系溶媒などが含まれてもよい。ワニスの固形分濃度は、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは5〜20質量%である。
【0072】
塗布工程において、公知の塗布方法により、基材上にワニスを塗布して塗膜を形成する。公知の塗布方法としては、例えばワイヤーバーコーティング法、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、ダイコート法、カンマコート法、リップコート法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法、流涎成形法等が挙げられる。
【0073】
光学フィルム形成工程において、塗膜を乾燥し、基材から剥離することによって、光学フィルムを形成することができる。剥離後にさらに光学フィルムを乾燥する乾燥工程を行ってもよい。塗膜の乾燥は、通常50〜350℃の温度にて行うことができる。必要に応じて、不活性雰囲気又は減圧の条件下において塗膜の乾燥を行ってよい。
【0074】
基材の例としては、金属系であれば、SUS板、樹脂系であればPETフィルム、PENフィルム、他のポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂フィルム、シクロオレフィン系ポリマー(COP)フィルム、アクリル系フィルム等が挙げられる。中でも、平滑性、耐熱性に優れる観点から、PETフィルム、COPフィルム等が好ましく、さらに光学フィルムとの密着性及びコストの観点から、PETフィルムがより好ましい。
【0075】
<光学積層体>
本発明の光学積層体は、本発明の光学フィルムと、該光学フィルムの少なくとも一方にハードコート層(保護フィルム)とを有する。光学積層体は、粘着層をさらに有してもよい。本発明の光学積層体は、例えば、本発明の光学フィルムとハードコート層とが粘着層を介して接着して、構成されてもよい。
【0076】
(ハードコート層)
ハードコート層の厚さは特に限定されず、例えば、2〜100μmであってもよい。前記ハードコート層の厚さが前記の範囲にあると、十分な耐擦傷性を確保することができ、また耐屈曲性が低下しにくく、硬化収縮によるカール発生の問題が発生し難い傾向がある。
前記ハードコート層は、活性エネルギー線照射、或いは熱エネルギー付与により架橋構造を形成し得る反応性材料を含むハードコート組成物を硬化させて形成することができ、活性エネルギー線照射によるものが好ましい。活性エネルギー線は、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることができるエネルギー線と定義され、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線及び電子線などが挙げられ、好ましくは紫外線が挙げられる。前記ハードコート組成物は、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の少なくとも1種の重合物を含有する。
【0077】
前記ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性基を有する化合物である。前記ラジカル重合性化合物が有するラジカル重合性基としては、ラジカル重合反応を生じ得る官能基であればよく、炭素‐炭素不飽和二重結合を含む基などが挙げられ、具体的には、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。なお、前記ラジカル重合性化合物が2個以上のラジカル重合性基を有する場合、これらのラジカル重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。前記ラジカル重合性化合物が1分子中に有するラジカル重合性基の数は、ハードコート層の硬度を向上する点から、好ましくは2以上である。前記ラジカル重合性化合物としては、反応性の高さの点から、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられ、具体的には1分子中に2〜6個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートと称される分子内に数個の(メタ)アクリロイル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーが挙げられ、好ましくはエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートから選択された1種以上が挙げられる。
【0078】
前記カチオン重合性化合物は、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基等のカチオン重合性基を有する化合物である。前記カチオン重合性化合物が1分子中に有するカチオン重合性基の数は、ハードコート層の硬度を向上する点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上である。
また、前記カチオン重合性化合物としては、中でも、カチオン重合性基としてエポキシ基及びオキセタニル基の少なくとも1種を有する化合物が好ましい。エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基は、重合反応に伴う収縮が小さいという点から好ましい。また、環状エーテル基のうちエポキシ基を有する化合物は多様な構造の化合物が入手し易く、得られたハードコート層の耐久性に悪影響を与えず、ラジカル重合性化合物との親和性もコントロールし易いという利点がある。また、環状エーテル基のうちオキセタニル基は、エポキシ基と比較して重合度が高くなりやすく、得られたハードコート層のカチオン重合性化合物から得られるネットワーク形成速度を早め、ラジカル重合性化合物と混在する領域でも未反応のモノマーを膜中に残さずに独立したネットワークを形成する等の利点がある。
エポキシ基を有するカチオン重合性化合物としては、例えば、脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル又は、シクロヘキセン環、シクロペンテン環含有化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化する事によって得られる脂環族エポキシ樹脂;脂肪族多価アルコール、又はそのアルキレンオキサイド付加体のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、コポリマーなどの脂肪族エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールFや水添ビスフェノールA等のビスフェノール類、又はそれらのアルキレンオキサイド付加体、カプロラクトン付加体等の誘導体と、エピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル、及びノボラックエポキシ樹脂等であり、ビスフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0079】
前記ハードコート組成物は重合開始剤をさらに含むことができる。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤等が挙げられ、適宜選択して用いられる。これらの重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくとも一種により分解されて、ラジカルもしくはカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。
ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくともいずれかによりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。例えば、熱ラジカル重合開始剤としては、過酸化水素、過安息香酸等の有機過酸化物、アゾビスブチロニトリル等のアゾ化合物等があげられる。
活性エネルギー線ラジカル重合開始剤としては、分子の分解でラジカルが生成されるType1型ラジカル重合開始剤と、3級アミンと共存して水素引き抜き型反応でラジカルを生成するType2型ラジカル重合開始剤があり、それらは単独でまたは併用して使用される。
カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくともいずれかによりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。カチオン重合開始剤としては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、シクロペンタジエニル鉄(II)錯体等が使用できる。これらは、構造の違いによって活性エネルギー線照射または加熱のいずれかまたはいずれでもカチオン重合を開始することができる。
【0080】
前記重合開始剤の含有量は、前記ハードコート組成物全体100質量%に対して、好ましくは0.1〜10質量%である。前記重合開始剤の含有量が前記の範囲にあると、硬化を十分に進行させることができ、最終的に得られる塗膜の機械的物性や密着力を良好な範囲とすることができ、また、硬化収縮による接着力不良や割れ現象及びカール現象が発生し難くなる傾向がある。
【0081】
前記ハードコート組成物はさらに溶剤、添加剤からなる群から選択される一つ以上をさらに含むことができる。
前記溶剤は、前記重合性化合物および重合開始剤を溶解または分散させることができるもので、本技術分野のハードコート組成物の溶剤として知られている溶剤であれば、本発明の効果を阻害しない範囲で、使用することができる。
前記添加剤は、無機粒子、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、帯電防止剤、潤滑剤、防汚剤などをさらに含むことができる。
【0082】
本発明の積層体は、例えば、フレキシブル画像表示装置に用いることができ、中でもフォルダブル表示装置やローラブル表示装置に好適に用いられる。
【0083】
(円偏光板を有する光学積層体の製造方法)
円偏光板を有する光学積層体の製造方法の一例を説明する。偏光層/位相差層をこの順で備える円偏光板を有する光学積層体を製造する場合、まず、光学フィルム、偏光層、位相差層を別々に形成する。上述の方法により光学フィルムを製造する。例えば、基材としての保護フィルム上に配向層、偏光子、保護層をこの順に積層して偏光層を形成する。また、λ/4位相差板とポジティブCプレートとを粘着剤を用いて貼合させて、位相差層を形成する。
次いで、粘着剤を用いて、形成された光学フィルム、偏光層、及び位相差層を貼合させて、円偏光板を有する光学積層体製造する。偏光層と位相差層との貼合では、偏光層の吸収軸が位相差層の遅相軸(光軸)に対して実質的に45°となるようにして偏光層と位相差層とを貼合させる。このようにして光学フィルム/粘着剤層/偏光層(保護フィルム/配向層/偏光子/保護層)/粘着剤層/位相差層(λ/4位相差板/ポジティブCプレート)をこの順に積層した円偏光板を有する光学積層体を製造することができる。
【0084】
本発明の円偏光板を有する光学積層体(以下、積層体ともいう)は、本発明の光学フィルムを含む。
(式(39))
本発明の円偏光板を有する積層体は、式(39)
透過b*−反射(SCE)b*≧4.0・・・(39)
[式(39)中、透過b*は該積層体を透過した光のL*a*b*表色系におけるb*を示し、反射(SCE)b*はSCE方式で求められる該積層体を反射した光のL*a*b*表色系におけるb*を示す]
を満たす。本発明の円偏光板を有する積層体は、式(39)を満たすと、光源からの光透過が大きく、外光の反射は小さくなることでニュートラル色相に近くなるため、優れた視認性を有する。
式(39)の数値(透過b*−反射(SCE)b*)は、円偏光板を有する積層体の視認性をさらに向上させる観点から、好ましくは4.2以上、より好ましくは4.5以上、さらに好ましくは5.0以上、特に好ましくは6.5以上である。
【0085】
(透過b*)
円偏光板を有する積層体の透過b*は、円偏光板を有する積層体を透過した光のL*a*b*表色系におけるb*であり、本明細書において、円偏光板を有する積層体平面の垂直方向から入射する、波長380〜780nmの範囲における入射光(白色光)に対する透過光のCIE1976L*a*b*表色系のb*値をいう。透過b*は、好ましくは4.0以上、より好ましくは5.0以上、さらに好ましくは6.0以上である。円偏光板を有する積層体の透過b*は、紫外可視近赤外分光光度計を用いて測定でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる。
【0086】
(反射(SCE)b*)
円偏光板を有する積層体の反射(SCE)b*は、SCE方式で求められる該円偏光板を有する積層体を反射した光のL*a*b*表色系におけるb*であり、本明細書において、円偏光板を有する積層体平面の垂直方向から所定の角度傾けた方向から入射する、波長380〜780nmの範囲における入射光に対する反射光のうち、正反射光を除いた拡散反射光のCIE1976L*a*b*表色系のb*値をいう。反射(SCE)b*は、好ましくは1.5以下、好ましくは1.0以下、更に好ましくは0以下、特に好ましくは−1.5下である。円偏光板の反射(SCE)b*は、分光測色計を用いて測定することができ、例えば実施例に記載の方法により測定できる。
(反射(SCI)b*)
円偏光板の反射(SCI)b*は、SCI方式で求められる前記円偏光板を反射した光のL*a*b*表色系におけるb*であり、本明細書において、円偏光板平面の垂直方向から所定の角度傾けた方向から入射する、波長380〜780nmの範囲における入射光に対する反射光(正反射光を含む反射光)のCIE1976L*a*b*表色系のb*値をいう。円偏光板の反射(SCI)b*は、分光測色計を用いて測定することができ、例えば実施例に記載の方法により測定できる。
【0087】
式(39)における透過b*−反射(SCE)b*を所定の数値範囲内に調整する手段としては、例えば、光学フィルムの透過b*−反射(SCE)b*を式(1)の数値範囲内に調整する手段、及び光学フィルムの組成変更による色相調節が挙げられる。
【0088】
<フレキシブル画像表示装置>
本発明のフレキシブル画像表示装置は、本発明の光学積層体を備える。例えば、フレキシブル画像表示装置は、光学積層体(フレキシブル画像表示装置用積層体)と、有機EL表示パネルとからなり、有機EL表示パネルに対して視認側にフレキシブル画像表示装置用積層体が配置され、折り曲げ可能に構成されている。フレキシブル画像表示装置用積層体は、ウインドウ、偏光板、タッチセンサをさらに含有していてもよく、それらの積層順は任意であるが、視認側からウインドウ、偏光板、タッチセンサまたはウインドウ、タッチセンサ、偏光板の順に積層されていることが好ましい。タッチセンサの視認側に偏光板が存在すると、タッチセンサのパターンが視認されにくくなり表示画像の視認性が良くなるので好ましい。それぞれの部材は接着剤、粘着剤等を用いて積層することができる。また、前記ウインドウ、偏光板、タッチセンサのいずれかの層の少なくとも一面に形成された遮光パターンを具備することができる。偏光板は円偏光板であってもよい。
【0089】
(ウインドウ)
ウインドウは、フレキシブル画像表示装置の視認側に配置され、その他の構成要素を外部からの衝撃または温湿度等の環境変化から保護する役割を担っている。従来このような保護層としてはガラスが使用されてきたが、フレキシブル画像表示装置におけるウインドウはガラスのようにリジッドで堅いものではなく、フレキシブルな特性を有する。前記ウインドウは、フレキシブルな透明基材からなり、少なくとも一面にハードコート層を含んでいてもよい。ウインドウが任意に含むハードコート層は、上述した光学積層体が有するハードコート層と同義である。
【0090】
(透明基材)
透明基材の可視域の透過率は、通常70%以上、好ましくは80%以上である。前記透明基材としては、透明性のある高分子フィルムであれば、本発明の効果を阻害しない範囲で、使用可能である。具体的には、用いられる高分子フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ノルボルネンまたはシクロオレフィンを含む単量体の単位を有するシクロオレフィン系誘導体等のポリオレフィン類、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、プロピオニルセルロース等の(変性)セルロース類、メチルメタクリレート(共)重合体等のアクリル類、スチレン(共)重合体等のポリスチレン類、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体類、アクリロニトリル・スチレン共重合体類、エチレン‐酢酸ビニル共重合体類、ポリ塩化ビニル類、ポリ塩化ビニリデン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等のポリエステル類、ナイロン等のポリアミド類、ポリイミド類、ポリアミドイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルスルホン類、ポリスルホン類、ポリビニルアルコール類、ポリビニルアセタール類、ポリウレタン類、エポキシ樹脂類などのフィルムが挙げられ、透明性及び耐熱性に優れる点で、好ましくはポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、オレフィン、アクリル又はセルロース系のフィルムが挙げられる。これらの高分子はそれぞれ単独または2種以上混合して使用することができる。これらのフィルムは未延伸のまま、あるいは1軸または2軸延伸したフィルムとして使用される。
高分子フィルムの中には、シリカ等の無機粒子、有機微粒子、ゴム粒子等を分散させることも好ましい。さらに、顔料や染料のような着色剤、蛍光増白剤、分散剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤などの配合剤を含有させてもよい。前記透明基材の厚さは、通常5〜200μm、好ましくは、20〜100μmである。
【0091】
(偏光板)
偏光板、中でも円偏光板は、直線偏光板にλ/4位相差板を積層することにより右若しくは左円偏光成分のみを透過させる機能を有する機能層である。たとえば外光を右円偏光に変換して有機ELパネルで反射されて左円偏光となった外光を遮断し、有機ELの発光成分のみを透過させることで反射光の影響を抑制して画像を見やすくするために用いられる。円偏光機能を達成するためには、直線偏光板の吸収軸とλ/4位相差板の遅相軸は理論上45°である必要があるが、実用的には45±10°である。直線偏光板とλ/4位相差板とは必ずしも隣接して積層される必要はなく、吸収軸と遅相軸の関係が前述の範囲を満足していればよい。全波長において完全な円偏光を達成することが好ましいが実用上は必ずしもその必要はないので本発明における円偏光板は楕円偏光板をも包含する。直線偏光板の視認側にさらにλ/4位相差フィルムを積層して、出射光を円偏光とすることで偏光サングラスをかけた状態での視認性を向上させることも好ましい。
【0092】
直線偏光板は、透過軸方向に振動している光は通すが、それとは垂直な振動成分の偏光を遮断する機能を有する機能層である。前記直線偏光板は、直線偏光子単独または直線偏光子及びその少なくとも一面に貼り付けられた保護フィルムを備えた構成であってもよい。前記直線偏光板の厚さは、200μm以下であってもよく、好ましくは、0.5〜100μmである。厚さが前記の範囲にあると柔軟性が低下し難い傾向にある。
前記直線偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルムを染色、延伸することで製造されるフィルム型偏光子であってもよい。延伸によって配向したPVA系フィルムに、ヨウ素等の二色性色素が吸着、またはPVAに吸着した状態で延伸されることで二色性色素が配向し、偏光性能を発揮する。前記フィルム型偏光子の製造においては、他に膨潤、ホウ酸による架橋、水溶液による洗浄、乾燥等の工程を有していてもよい。延伸や染色工程はPVA系フィルム単独で行ってもよいし、ポリエチレンテレフタレートのような他のフィルムと積層された状態で行うこともできる。用いられるPVA系フィルムの厚さは、好ましくは10〜100μmであり、延伸倍率は好ましくは2〜10倍である。
さらに前記偏光子の他の一例としては、液晶偏光組成物を塗布して形成する液晶塗布型偏光子であってもよい。前記液晶偏光組成物は、液晶性化合物及び二色性色素化合物を含むことができる。前記液晶性化合物は液晶状態を示す性質を有していればよく、特にスメクチック相等の高次の配向状態を有していると高い偏光性能を発揮することができるため好ましい。また、液晶性化合物は重合性官能基を有していることも好ましい。
【0093】
前記二色性色素は、前記液晶化合物とともに配向して二色性を示す色素であって、二色性色素自身が液晶性を有していてもよいし、重合性官能基を有していることもできる。液晶偏光組成物の中のいずれかの化合物は重合性官能基を有している。
前記液晶偏光組成物はさらに開始剤、溶剤、分散剤、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、シランカップリング剤などを含むことができる。
前記円偏光板は、液晶偏光層であってもよい。前記液晶偏光層は、配向膜上に液晶偏光組成物を塗布して液晶偏光層を形成することにより製造される。
液晶偏光層は、フィルム型偏光子に比べて厚さを薄く形成することができる。前記液晶偏光層の厚さは、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μmであってもよい。
前記配向膜は、例えば基材上に配向膜形成組成物を塗布し、ラビング、偏光照射等により配向性を付与することで製造することができる。前記配向膜形成組成物は、配向剤の他に溶剤、架橋剤、開始剤、分散剤、レベリング剤、シランカップリング剤等を含んでいてもよい。前記配向剤としては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリアクリレート類、ポリアミック酸類、ポリイミド類を使用できる。光配向を適用する場合にはシンナメート基を含む配向剤を使用することが好ましい。前記配向剤として使用される高分子の重量平均分子量は、10,000〜1,000,000程度であってもよい。前記配向膜の厚さは、配向規制力の観点から、好ましくは5〜10,000nm、より好ましは10〜500nmである。前記液晶偏光層は基材から剥離して転写して積層することもできるし、前記基材をそのまま積層することもできる。前記基材が、保護フィルムや位相差板、ウインドウの透明基材としての役割を担うことも好ましい。
【0094】
前記保護フィルムとしては、透明な高分子フィルムであればよく、前記透明基材に使用される材料、添加剤が使用できる。セルロース系フィルム、オレフィン系フィルム、アクリルフィルム、ポリエステル系フィルムが好ましい。エポキシ樹脂等のカチオン硬化組成物やアクリレート等のラジカル硬化組成物を塗布して硬化して得られるコーティング型の保護フィルムであってもよい。必要により可塑剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料や染料のような着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤等を含んでいてもよい。前記保護フィルムの厚さは、200μm以下であってもよく、好ましくは1〜100μmである。前記保護フィルムの厚さが前記の範囲にあると、保護フィルムの柔軟性が低下し難い。保護フィルムは、ウインドウの透明基材の役割を兼ねることもできる。
【0095】
前記λ/4位相差板は、入射光の進行方向に直交する方向(フィルムの面内方向)にλ/4の位相差を与えるフィルムである。前記λ/4位相差板は、セルロース系フィルム、オレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム等の高分子フィルムを延伸することで製造される延伸型位相差板であってもよい。必要により位相差調整剤、可塑剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料や染料のような着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤等を含んでいてもよい。前記延伸型位相差板の厚さは、200μm以下であってもよく、好ましくは1〜100μmである。厚さが前記の範囲にあるとフィルムの柔軟性が低下し難い傾向にある。
さらに前記λ/4位相差板の他の一例としては、液晶組成物を塗布して形成する液晶塗布型位相差板であってもよい。前記液晶組成物は、ネマチック、コレステリック、スメクチック等の液晶状態を示す性質を有する液晶性化合物を含む。液晶組成物の中の液晶性化合物を含むいずれかの化合物は重合性官能基を有している。前記液晶塗布型位相差板はさらに開始剤、溶剤、分散剤、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、シランカップリング剤などを含むことができる。前記液晶塗布型位相差板は、前記液晶偏光層での記載と同様に配向膜上に液晶組成物を塗布硬化して液晶位相差層を形成することで製造することができる。液晶塗布型位相差板は、延伸型位相差板に比べて厚さを薄く形成することができる。前記液晶偏光層の厚さは、通常0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmであってもよい。前記液晶塗布型位相差板は基材から剥離して転写して積層することもできるし、前記基材をそのまま積層することもできる。前記基材が、保護フィルムや位相差板、ウインドウの透明基材としての役割を担うことも好ましい。
【0096】
一般的には、短波長ほど複屈折が大きく長波長になるほど小さな複屈折を示す材料が多い。この場合には全可視光領域でλ/4の位相差を達成することはできないので、視感度の高い560nm付近に対してλ/4となるような面内位相差100〜180nm、好ましくは130〜150nmとなるように設計されることが多い。通常とは逆の複屈折率波長分散特性を有する材料を用いた逆分散λ/4位相差板を用いることは視認性をよくすることができるので好ましい。このような材料としては延伸型位相差板の場合は特開2007−232873号公報等、液晶塗布型位相差板の場合には特開2010−30979号公報記載されているものを用いることも好ましい。
また、他の方法としてはλ/2位相差板と組合せることで広帯域λ/4位相差板を得る技術も知られている(特開平10−90521号公報)。λ/2位相差板もλ/4位相差板と同様の材料方法で製造される。延伸型位相差板と液晶塗布型位相差板との組合せは任意であるが、どちらも液晶塗布型位相差板を用いることは厚さを薄くすることができるので好ましい。
前記円偏光板には斜め方向の視認性を高めるために、正のCプレートを積層する方法も知られている(特開2014−224837号公報)。正のCプレートも液晶塗布型位相差板であっても延伸型位相差板であってもよい。厚さ方向の位相差は、通常−200〜−20nm、好ましくは−140〜−40nmである。
【0097】
(タッチセンサ)
タッチセンサは入力手段として用いられる。タッチセンサとしては、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式等様々な様式が提案されており、いずれの方式でも構わない。中でも静電容量方式が好ましい。静電容量方式タッチセンサは活性領域及び前記活性領域の外郭部に位置する非活性領域に区分される。活性領域は表示パネルで画面が表示される領域(表示部)に対応する領域であって、使用者のタッチが感知される領域であり、非活性領域は表示装置で画面が表示されない領域(非表示部)に対応する領域である。タッチセンサはフレキシブルな特性を有する基板と;前記基板の活性領域に形成された感知パターンと;前記基板の非活性領域に形成され、前記感知パターンとパッド部を介して外部の駆動回路と接続するための各センシングラインを含むことができる。フレキシブルな特性を有する基板としては、前記ウインドウの透明基板と同様の材料が使用できる。タッチセンサの基板は、その靱性が2,000MPa%以上であるものがタッチセンサのクラック抑制の面から好ましい。より好ましくは靱性が2,000〜30,000MPa%であってもよい。ここで、靭性は、高分子材料の引張実験を通じて得られる応力(MPa)−歪み(%)曲線(Stress-strain curve)で破壊点までの曲線の下部面積として定義される。
【0098】
前記感知パターンは、第1方向に形成された第1パターン及び第2方向に形成された第2パターンを備えることができる。第1パターンと第2パターンは互いに異なる方向に配置される。第1パターン及び第2パターンは、同一層に形成され、タッチされる地点を感知するためには、それぞれのパターンが電気的に接続されなければならない。第1パターンは各単位パターンが継ぎ手を介して互いに接続された形態であるが、第2パターンは各単位パターンがアイランド形態に互いに分離された構造になっているので、第2パターンを電気的に接続するためには別途のブリッジ電極が必要である。感知パターンは周知の透明電極素材を適用することができる。例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)、カドミウムスズ酸化物(CTO)、PEDOT(poly(3,4−ethylenedioxythiophene))、炭素ナノチューブ(CNT)、グラフェン、金属ワイヤなどを挙げることができ、これらは単独または2種以上混合して使用することができる。好ましくはITOを使用することができる。金属ワイヤに使用される金属は特に限定されず、例えば、銀、金、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、チタン、テレニウム、クロムなどを挙げることができる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
【0099】
ブリッジ電極は感知パターン上部に絶縁層を介して前記絶縁層上部に形成することができ、基板上にブリッジ電極が形成されており、その上に絶縁層及び感知パターンを形成することができる。前記ブリッジ電極は感知パターンと同じ素材で形成することもでき、モリブデン、銀、アルミニウム、銅、パラジウム、金、白金、亜鉛、スズ、チタンまたはこれらのうちの2種以上の合金などの金属で形成することもできる。第1パターンと第2パターンは電気的に絶縁されなければならないので、感知パターンとブリッジ電極の間には絶縁層が形成される。絶縁層は第1パターンの継ぎ手とブリッジ電極の間にのみ形成することもでき、感知パターンを覆う層の構造に形成することもできる。後者の場合は、ブリッジ電極は絶縁層に形成されたコンタクトホールを介して第2パターンを接続することができる。前記タッチセンサはパターンが形成されたパターン領域と、パターンが形成されていない非パターン領域間の透過率の差、具体的には、これらの領域における屈折率の差によって誘発される光透過率の差を適切に補償するための手段として基板と電極の間に光学調節層をさらに含むことができ、前記光学調節層は無機絶縁物質または有機絶縁物質を含むことができる。光学調節層は光硬化性有機バインダー及び溶剤を含む光硬化組成物を基板上にコーティングして形成することができる。前記光硬化組成物は無機粒子をさらに含むことができる。前記無機粒子によって光学調節層の屈折率が上昇することができる。
前記光硬化性有機バインダーは、例えば、アクリレート系単量体、スチレン系単量体、カルボン酸系単量体などの各単量体の共重合体を含むことができる。前記光硬化性有機バインダーは、例えば、エポキシ基含有繰り返し単位、アクリレート繰り返し単位、カルボン酸繰り返し単位などの互いに異なる各繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。
前記無機粒子は、例えば、ジルコニア粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子などを含むことができる。前記光硬化組成物は、光重合開始剤、重合性モノマー、硬化補助剤などの各添加剤をさらに含むこともできる。
【0100】
(接着層(粘着剤層))
前記フレキシブル画像表示装置用積層体を形成する各層(ウインドウ、偏光板、タッチセンサ)並びに各層を構成するフィルム部材(直線偏光板、λ/4位相差板等)は接着剤によって形成することができる。接着剤としては、水系接着剤、有機溶剤系、無溶剤系接着剤、固体接着剤、溶剤揮散型接着剤、湿気硬化型接着剤、加熱硬化型接着剤、嫌気硬化型、活性エネルギー線硬化型接着剤、硬化剤混合型接着剤、熱溶融型接着剤、感圧型接着剤(粘着剤)、再湿型接着剤等汎用に使用されているものが使用できる。中でも水系溶剤揮散型接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤、粘着剤がよくもちいられる。接着剤層の厚さは、求められる接着力等に応じて適宜調節することができ、通常0.01〜500μm、好ましくは0.1〜300μmであり、前記フレキシブル画像表示装置用積層体には複数存在するがそれぞれの厚さ及び用いられる粘着剤の種類は同じであっても異なっていてもよい。
【0101】
前記水系水系溶剤揮散型接着剤としてはポリビニルアルコール系ポリマー、でんぷん等の水溶性ポリマー、エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン、スチレン−ブタジエン系エマルジョン等水分散状態のポリマーを主剤ポリマーとして使用することができる。水、前記主剤ポリマーに加えて、架橋剤、シラン系化合物、イオン性化合物、架橋触媒、酸化防止剤、染料、顔料、無機フィラー、有機溶剤等を配合してもよい。前記水系水系溶剤揮散型接着剤によって接着する場合、前記水系水系溶剤揮散型接着剤を被接着層間に注入して被着層を貼合した後、乾燥させることで接着性を付与することができる。前記水系水系溶剤揮散型接着剤を用いる場合の接着層の厚さは、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.1〜1μmであってもよい。前記水系溶剤揮散型接着剤を複数層の形成に用いる場合、それぞれの層の厚さ及び前記接着剤の種類は同じであっても異なっていてもよい。
【0102】
前記活性エネルギー線硬化型接着剤は、活性エネルギー線を照射して接着剤層を形成する反応性材料を含む活性エネルギー線硬化組成物の硬化により形成することができる。前記活性エネルギー線硬化組成物は、ハードコート組成物と同様のラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の少なくとも1種の重合物を含有することができる。前記ラジカル重合性化合物とは、ハードコート組成物と同様であり、ハードコート組成物と同様の種類のものが使用できる。接着層に用いられるラジカル重合性化合物としてはアクリロイル基を有する化合物が好ましい。接着剤組成物としての粘度を下げるために単官能の化合物を含むことも好ましい。
【0103】
前記カチオン重合性化合物は、ハードコート組成物と同様であり、ハードコート組成物と同様の種類のものが使用できる。活性エネルギー線硬化組成物に用いられるカチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物が特に好ましい。接着剤組成物としての粘度を下げるために単官能の化合物を反応性希釈剤として含むことも好ましい。
活性エネルギー線組成物には重合開始剤を更に含むことができる。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤等であり、適宜選択して用いることができる。これらの重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくとも一種により分解されて、ラジカルもしくはカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。ハードコート組成物の記載の中で活性エネルギー線照射によりラジカル重合またはカチオン重合の内の少なくともいずれか開始することができる開始剤を使用することができる。
【0104】
前記活性エネルギー線硬化組成物は、更にイオン捕捉剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、密着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動粘度調整剤、可塑剤、消泡剤溶剤、添加剤、溶剤を含むことができる。前記活性エネルギー線硬化型接着剤によって接着する場合、前記活性エネルギー線硬化組成物を被接着層のいずれかまたは両方に塗布後貼合し、いずれかの被着層または両方の被着層を通して活性エネルギー線を照射して硬化させることで接着することができる。前記活性エネルギー線硬化型接着剤を用いる場合の接着層の厚さは、好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.1〜10μmであってもよい。前記活性エネルギー線硬化型接着剤を複数層の形成に用いる場合には、それぞれの層の厚さ及び用いられる接着剤の種類は同じであっても異なっていてもよい。
【0105】
前記粘着剤としては、主剤ポリマーに応じて、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等に分類され何れを使用することもできる。粘着剤には主剤ポリマーに加えて、架橋剤、シラン系化合物、イオン性化合物、架橋触媒、酸化防止剤、粘着付与剤、可塑剤、染料、顔料、無機フィラー等を配合してもよい。前記粘着剤を構成する各成分を溶剤に溶解・分散させて粘着剤組成物を得て、該粘着剤組成物を基材上に塗布した後に乾燥させることで、粘着剤層接着層が形成される。粘着層は直接形成されてもよいし、別途基材に形成したものを転写することもできる。接着前の粘着面をカバーするためには離型フィルムを使用することも好ましい。前記粘着剤を用いる場合の接着層の厚さは、好ましくは1〜500μm、より好ましくは2〜300μmであってもよい。前記粘着剤を複数層の形成に用いる場合、それぞれの層の厚さ及び用いられる粘着剤の種類は同じであっても異なっていてもよい。
【0106】
(遮光パターン)
前記遮光パターンは前記フレキシブル画像表示装置のベゼルまたはハウジングの少なくとも一部として適用することができる。遮光パターンによって前記フレキシブル画像表示装置の辺縁部に配置される配線が隠されて視認されにくくすることで、画像の視認性が向上する。前記遮光パターンは単層または複層の形態であってもよい。遮光パターンのカラーは特に制限されることはなく、黒色、白色、金属色などの多様なカラーを有することができる。遮光パターンはカラーを具現するための顔料と、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン、シリコーンなどの高分子で形成することができる。これらの単独または2種類以上の混合物で使用することもできる。前記遮光パターンは、印刷、リソグラフィ、インクジェットなど各種の方法にて形成することができる。遮光パターンの厚さは、通常1〜100μm、好ましくは2〜50μmである。また、光パターンの厚さ方向に傾斜等の形状を付与することも好ましい。
【実施例】
【0107】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部を意味する。まず評価方法について説明する。
【0108】
<1.測定方法>
(光学フィルムの反射(SCE)a*、反射(SCE)b*、反射(SCI)a*、反射(SCI)b*)
実施例及び比較例で得られた光学フィルムを50mm×50mmの大きさにカットしたのち、黒PET((株)巴川製作所製「くっきりミエ〜ル」)と貼り合せ、反射光学測定用のサンプルを得た。
得られた評価用サンプルのSCE方式(正反射光除去)、及びSCI方式(正反射光を含む)の色相を、分光測色計(コニカミノルタ(株)製「CM−3700A」)で測定した。測定径はLAV:直径8mmとし、測定条件は、di:8°、de:8°(拡散照明・8°方向受光)、測定視野は2°とし、光源はD65光源を使用し、UV条件は100%Fullとした。ここで、色相とは、CIE1976L*a*b*色空間のa*およびb*を指す。加えて、光学フィルムの反射(SCE)a*及び反射(SCI)a*も上記と同様の条件で測定した。
【0109】
(円偏光板を有する積層体の反射(SCE)b*)及び反射(SCI)b*)
円偏光板を有する積層体の反射(SCE)b*及び反射(SCI)b*は、測定対象を光学フィルムから円偏光板を有する積層体に変更した以外は、光学フィルムの測定方法と同様にして測定した。また、同様にして、反射(SCE)a*及び反射(SCI)a*も測定した。
【0110】
(円偏光板を有する積層体の視感透過率Y)
視感透過率Yは、XYZ表色系における物体色の明度を示す物性値である。SCI方式のSCE方式の視感透過率Yは、分光測色計(コニカミノルタ(株)製「CM−3700A」)を用いて測定した。
【0111】
(光学フィルムの透過b*)
実施例及び比較例で得られた光学フィルムを50mm×50mmの大きさにカットし、透過光学測定を分光測色計(コニカミノルタ(株)製「CM−3700A」)を用いて測定した。測定径はLAV:直径25.4mmとし、測定視野は2°とした。また測定光源はD65光源を使用し、UV条件は100%Fullとした。ここで、色相とは、CIE1976L*a*b*色空間のa*及びb*を指す。
【0112】
(円偏光板を有する積層体の透過b*)
円偏光板を有する積層体の透過b*は、測定対象を光学フィルムから円偏光板を有する積層体に変更した以外は、光学フィルムの測定方法と同様にして測定した。また、同様にして、円偏光板を有する積層体の透過a*も測定した。
【0113】
(光学フィルム及び粘着剤層の膜厚)
マイクロメーター((株)ミツトヨ製「ID−C112XBS」)を用いて、10点以上の光学フィルムの膜厚を測定し、その平均値を算出した。同様にして、粘着剤層の厚さを測定し、その平均値を算出した。
【0114】
(光学フィルムの全光線透過率及びヘーズ)
光学フィルムの全光線透過率及びヘーズは、それぞれJIS K 7361−1:1997、JIS K 7136:2000に準拠して、スガ試験機(株)製の全自動直読ヘーズコンピュータHGM−2DPを用いて測定した。測定試料は、実施例及び比較例の光学フィルムを30mm×30mmの大きさにカットして作製した。
【0115】
(光学フィルムの黄色度)
光学フィルムの黄色度(Yellow Index:YI値)は、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製「V−670」)を用いて測定した。サンプルがない状態でバックグランド測定を行った後、実施例及び比較例で得られた光学フィルムをサンプルホルダーにセットして、300〜800nmの光に対する透過率測定を行い、3刺激値(X、Y、Z)を求めた。得られた3刺激値からASTM D1925の規格に基づき、下記の式に基づいてYI値を算出した。
YI=100×(1.2769X−1.0592Z)/Y
【0116】
(シリカ粒子の粒子径)
シリカ粒子の粒子径は、JIS Z 8830に準じ、BET吸着法による比表面積測定値から算出した。シリカゾルを300℃で乾燥させた粉末の比表面積を比表面積測定装置(ユアサアイオニクス(株)製「モノソーブ(登録商標)MS−16」)を用いて測定した。
【0117】
(重量平均分子量)
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定
(1)前処理方法
試料をγ−ブチロラクトン(GBL)に溶解させて20質量%溶液とした後、DMF溶離液にて100倍に希釈し、0.45μmメンブランフィルターろ過したものを測定溶液とした。
(2)測定条件
カラム:TSKgel SuperAWM−H×2+SuperAW2500×1(6.0mm I.D.×150mm×3本)
溶離液:DMF(10mmolの臭化リチウム添加)
流量:0.6mL/分
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:20μL
分子量標準:標準ポリスチレン
【0118】
(イミド化率)
イミド化率は、H−NMR測定により以下のようにして求めた。
(1)前処理方法
ポリイミド系高分子を含む光学フィルムを重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d)に溶解させて2質量%溶液としたものを測定試料とした。
(2)測定条件
測定装置:JEOL製 400MHz NMR装置 JNM−ECZ400S/L1
標準物質:DMSO−d(2.5ppm)
試料温度:室温
積算回数:256回
緩和時間:5秒
(3)イミド化率解析方法
(ポリイミド樹脂のイミド化率)
ポリイミド樹脂を含む測定試料で得られたH−NMRスペクトルにおいて、観測されたベンゼンプロトンのうちイミド化前後で変化しない構造に由来するベンゼンプロトンAの積分値をIntとした。また、観測されたポリイミド樹脂中に残存するアミック酸構造に由来するアミドプロトンの積分値をIntとした。これらの積分値から以下の式に基づいてポリイミド樹脂のイミド化率を求めた。
イミド化率(%)=100×(1−α×Int/Int
上記式において、αはポリアミド酸(イミド化率0%)の場合におけるアミドプロトン1個に対するベンゼンプロトンAの個数割合である。
【0119】
(ポリアミドイミド樹脂のイミド化率)
ポリアミドイミド樹脂を含む測定試料で得られたH−NMRスペクトルにおいて、観測されたベンゼンプロトンのうちイミド化前後で変化しない構造に由来し、ポリアミドイミド樹脂中に残存するアミック酸構造に由来する構造に影響を受けないベンゼンプロトンCの積分値をIntとした。また、観測されたベンゼンプロトンのうちイミド化前後で変化しない構造に由来し、ポリアミドイミド樹脂中に残存するアミック酸構造に由来する構造に影響を受けるベンゼンプロトンDの積分値をIntとした。得られたInt及びIntから以下の式によりβ値を求めた。
β=Int/Int
次に、複数のポリアミドイミド樹脂について上記式のβ値及び上記式のポリイミド樹脂のイミド化率を求め、これらの結果から以下の相関式を得た。
イミド化率(%)=k×β+100
上記相関式中、kは定数である。
βを相関式に代入してポリアミドイミド樹脂のイミド化率(%)を得た。
【0120】
(樹脂のHSP値の算出)
ポリアミドイミド樹脂1(PAI−1)の溶媒への溶解性を評価した。透明の容器に表1に示すような溶解度パラメータが既知の溶媒(出典:ポリマーハンドブック第4版)10mLとポリアミドイミド樹脂1 0.1gを投入し混合液を調製した。得られた混合物に対して累計6時間超音波処理を施した。超音波処理後の混合液の外観を目視にて観察し、得られた観察結果から下記の評価基準に基づいてポリアミドイミド樹脂1の溶媒への溶解性を評価した。評価結果を表1に示す。なお、同様にして、ポリアミドイミド樹脂2(PAI−2)及びポリイミド樹脂1(PI)についても、ポリアミドイミド樹脂1−溶媒系におけるポリアミドイミド樹脂1と樹脂の種類を変更した以外は同様にして溶媒への溶解性を評価した。
(評価基準)
1:混合液の外観は白濁している。
0:混合液の外観は透明である。
【0121】
【表1】
【0122】
得られた樹脂の溶媒への溶解性の評価結果から上述のハンセン溶解球法を用いてハンセン球を作成した。得られたハンセン球の中心座標をHSP値とした。その結果を表2に示す。
【0123】
【表2】
【0124】
(シリカのHSP値の算出)
シリカゾル1から溶媒を除去し、固形分であるシリカ1を取り出した。そのシリカ1の溶媒への分散性を評価した。透明の容器に表3に示すような溶解度パラメータが既知の溶媒(出典:ポリマーハンドブック第4版)10mLとシリカ1 0.1gとを投入し混合液を調製した。得られた混合物に対して累計6時間超音波処理を施した。超音波処理後の混合液の外観を目視にて観察し、得られた観察結果から下記の評価基準に基づいてシリカ1の溶媒への分散性を評価した。評価結果を表3に示す。なお、同様にして、メタノール分散シリカゾル(日産化学工業(株)製「MA−ST−L」、一次粒子径20〜25nm)、及びメタノール分散シリカゾル(シリカゾル2、一次粒子径10〜12nm)についても、シリカ1−溶媒系においてその原料であるシリカゾルの種類を変更した以外は同様にして溶媒への分散性を評価した。
(評価基準)
1:混合液の外観は白濁している。
0:混合液の外観は透明である。
【0125】
【表3】
【0126】
シリカゾル中に分散しているそれぞれのシリカの溶媒への分散性の評価結果から上述のハンセン溶解球法を用いてハンセン球を作成した。得られたハンセン球の中心座標をHSP値とした。その結果を表4に示す。
【0127】
【表4】
【0128】
(樹脂−シリカ系のHSP値)
表2及び表4から、式(6)〜式(9)を用いて樹脂−シリカ系のHSP値を算出した。その結果を表5に示す。
【0129】
【表5】
【0130】
表5に示すように、シリカ1,2−樹脂系のRa、Δδ及びΔδは、それぞれシリカ(MA−ST−L)−樹脂系のRa、Δδ及びΔδに比べ、小さかった。また、シリカ1,2−樹脂系のRa、Δδ、及びΔδは、それぞれ式(3)〜式(5)を満たしていた。
【0131】
(弾性率)
粘着剤層の弾性率(引張弾性率)G’は、JIS K 7127に準拠した引っ張り試験により、電気機械式万能試験機(インストロン社製)を用いて測定した。測定条件は、試験速度5m/分及びロードセル5kNであった。
【0132】
<2.評価方法>
(光学フィルムの繰り出し安定性及びフィルム外観の評価)
ロール・ツー・ロールで実施例及び比較例の光学フィルムを作製した。ロールから該光学フィルムを繰り出し(巻きだし)、繰り出した際の光学フィルムの状態を目視で観察した。観察結果から下記の評価基準に基づいて繰り出し安定性を評価した。優れているものから順に、◎、△、及び×で表記する。
(光学フィルムの繰り出し性の評価基準)
◎:ロールからフィルム端部を繰り出す際に、スムーズに繰り出せる。
○:ロールからフィルム端部を繰り出す際に、わずかに引っ掛かりが認められるが、スムーズに繰り出せる。
△:ロールからフィルム端部を繰り出す際に、引っ掛かりが認められるものの、フィルムにはキズがなく、またフィルムが切れることはない。
×:ロールからフィルム端部を繰り出す際に、引っ掛かりが認められ、フィルムにキズがつくか、フィルムが切れる。
【0133】
(円偏光板を有する積層体の視認性評価)
反射板(アルミ板、反射率97%)の表面に円偏光板を有する積層体を設置し、円偏光板を有する該積層体平面の垂直方向から45°傾けた角度から、観察者が円偏光板を有する積層体を目視にて観察した。観察結果から下記の評価基準に基づいて円偏光板を有する積層体の視認性を評価した。優れているものから順に、〇、△及び×で表記する。
(円偏光板を有する積層体の視認性の評価基準)
〇:反射板上、垂直方向に比べて45°斜面での色相変化なし
△:反射板上、垂直方向に比べて45°斜面での色相変化がややあり。
×:反射板上、垂直方向に比べて45°斜面での色相変化が大きい。
【0134】
(フィルム外観品質の低下抑制の評価)
実施例及び比較例の光学フィルムを作製した。光学フィルムに黒紙を重ね、光学フィルム側から目視で光学フィルムの外観を観察した。白味を帯びているか否か(白濁の有無)を確認した。観察結果から下記の評価基準に基づいてフィルム外観品質の低下の抑制を評価した。
(フィルム外観品質の低下抑制の評価基準)
◎(非常に良い):透明である。
○(良い):透明であるが、わずかに白味を帯びている。
×(悪い):透明ではなく、白味を帯びている。
【0135】
<3.光学フィルムの製造>
[3−1.ポリイミド系高分子の製造]
〔製造例1:ポリイミド樹脂1〕
セパラブルフラスコにシリカゲル管、攪拌装置、及び温度計を取り付けた反応容器と、オイルバスとを準備した。オイルバスに設置した反応容器内に4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA) 75.52gと、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMB) 54.44gとを投入した。反応容器内の内容物を400rpmで攪拌しながらN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc) 519.84gを更に反応容器に投入し、反応容器内の内容物が均一な溶液になるまで攪拌を続けた。続いて、オイルバスを用いて容器内温度が20〜30℃の範囲になるように調整しながら更に20時間攪拌を続け、反応させてポリアミック酸を生成させた。30分後、撹拌速度を100rpmに変更した。20時間攪拌後、反応系温度を室温(25℃)に戻し、DMAc 649.8gを反応容器内に更に投入してポリマー濃度が反応容器内の内容物の総重量を基準として10重量%となるように調整した。更に、ピリジン 32.27gと、無水酢酸 41.65gとを反応容器内に投入し、室温で10時間攪拌してイミド化を行った。反応容器からポリイミドワニスを取り出した。得られたポリイミドワニスをメタノール中に滴下して再沈殿を行った。沈殿物を濾過で取り出し、乾燥させ粉体を得た。得られた粉体を更に加熱乾燥して溶媒を除去し、固形分としてポリイミド樹脂1を得た。得られたポリイミド樹脂1の重量平均分子量は320,000であり、イミド化率は98.6%であった。
【0136】
〔製造例2:ポリアミドイミド樹脂1〕
窒素ガス雰囲気下、容量1Lセパラブルフラスコに撹拌翼を備えた反応容器と、オイルバスとを準備した。オイルバスに設置した反応容器内にTFMB 45g(140.52mmol)とDMAc 768.55gとを投入した。反応容器内の内容物を室温で撹拌してTFMBをDMAcに溶解させた。次に、反応容器内に6FDA 18.92g(42.58mmol)を更に投入し、反応容器内の内容物を室温で3時間撹拌した。その後、4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)(OBBC) 4.19g(14.19mmol)、次いでテレフタロイルクロリド(TPC) 17.29g(85.16mmol)を反応容器に投入し、反応容器内の内容物を室温で1時間撹拌した。次いで、反応容器内に4−メチルピリジン 4.63g(49.68mmol)と無水酢酸 13.04g(127.75mmol)とを更に投入し、反応容器内の内容物を室温で30分間撹拌した。攪拌した後、オイルバスを用いて容器内温度を70℃に昇温し、70℃に維持して更に反応容器内の内容物を3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、沈殿物を析出させた。析出した沈殿物を取り出し、メタノールで6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、100℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂を得た。ポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量は、400,000であり、イミド化率98.8%であった。
【0137】
〔製造例3:ポリアミドイミド樹脂2〕
窒素ガス雰囲気下、容量1Lセパラブルフラスコに撹拌翼を備えた反応容器と、オイルバスとを準備した。オイルバスに設置した反応容器に、TFMB 45g(140.52mmol)と、DMAc 768.55gとを投入した。反応容器内の内容物を室温で撹拌しながらTFMBをDMAcに溶解させた。次に、反応容器内に6FDA 19.01g(42.79mmol)を更に投入し、反応容器内の内容物を室温で3時間撹拌した。その後、OBBC 4.21g(14.26mmol)、次いでTPC 17.30g(85.59mmol)を反応容器に投入し、反応容器内の内容物を室温で1時間撹拌した。次いで、反応容器内に4−メチルピリジン 4.63g(49.68mmol)と無水酢酸 13.04g(127.75mmol)とを更に投入し、反応容器内の内容物を室温で30分間撹拌した。攪拌した後、オイルバスを用いて容器内温度を70℃に昇温し、70℃に維持して更に3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、沈殿物を析出させた。析出した沈殿物を取り出し、メタノールで6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、100℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂を得た。得られたポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量は、365,000、イミド化率は98.9%であった。
【0138】
[3−2.シリカ粒子の製造]
〔製造例4 シリカゾル1〕
反応容器として容量1Lのフラスコと、湯浴とを準備した。湯浴に設置した反応容器内にメタノール分散シリカゾル(一次粒子径25nm、シリカ固形分30.5%) 442.6gと、γ−ブチロラクトン 301.6gとを投入した。湯浴を用いて容器内温度を45℃とし、エバポレータを用いて反応容器内の圧力を400hPaにして1時間維持し、次いで、反応容器内の圧力を250hPaにして1時間維持し、メタノールを蒸発させた。更に反応容器内の圧力を250hPaとし、容器内温度を70℃まで昇温して30分間加熱した。その結果、γ−ブチロラクトン分散シリカゾル(シリカゾル1、SGS7#09)を得た。得られたγ−ブチロラクトン分散シリカゾルの固形分は28.9%であった。
【0139】
〔製造例5 シリカゾル2〕
メタノール分散シリカゾルの一次粒子径を10nmに変更し、シリカ固形分を22%に変更した以外は、製造例4と同様の方法で溶媒置換を行い、固形分20%のγ−ブチロラクトン分散シリカゾル(シリカゾル2)を得た。
【0140】
〔製造例6 シリカゾル3〕
メタノール分散シリカゾル(一次粒子径25nm、シリカ固形分30.5%)をメタノール分散シリカゾル(日産化学工業(株)製「MA−ST−L」、一次粒子径40〜50nm)に変更した以外は、製造例4と同様の方法で溶媒置換を行い、固形分30.5%及び一次粒子径50nmのγ−ブチロラクトン分散シリカゾル(シリカゾル3)を得た。
【0141】
[3−3.ワニスの製造]
〔製造例7 ワニス1〕
γ−ブチロラクトンに、表6に示す組成で、ポリアミドイミド樹脂1と、シリカゾル1と、紫外線吸収剤としてのSumisorb(登録商標) 340と、増白剤としてSumiplast(登録商標) violet Bとを加え、固形分が10.2%となるようにワニス1を調製した。
【0142】
表6中、欄「樹脂」及び「シリカ粒子」の含有量の単位(wt%)は、樹脂及びシリカ粒子の総質量に対する割合(質量%)を示す。欄「紫外線吸収剤」の含有量の単位phrは、樹脂及びシリカ粒子の総質量に対する割合(質量%)を示す。
【0143】
【表6】
【0144】
〔製造例8〜13:ワニス2〜8〕
表6に示す組成(成分の種類及び/又は含有量)に変更し、置換する溶媒をγ−ブチロラクトンからN,N−ジメチルアセトアミドに変更し、樹脂の固形分濃度を11.0%に変更した以外は、ワニス1と同様の方法でワニス3を調製した。また、表6に示す組成(成分の種類及び/又は含有量)に変更した以外は、ワニス1と同様の方法で、ワニス2及び4〜8をそれぞれ調製した。
【0145】
〔実施例1〕
[3−4.光学フィルムの製造]
得られたワニス1をPETフィルム(東洋紡(株)製「コスモシャイン(登録商標) A4100」)上において流涎成形し、塗膜を成形した。流涎成形におけるPETの搬送速度は0.3m/分であった。その後、80℃で20分、90℃で20分加熱することによって塗膜を乾燥し、PETフィルムから塗膜を剥離した。その後、テンターにて200℃で12分、塗膜を横延伸しながら加熱することによって、厚さ51μmのポリアミドイミドフィルム1を得た。
【0146】
〔実施例2〕
塗工の膜厚を変更した以外は、実施例1と同様にして、膜厚29μmのポリアミドイミドフィルム2を得た。
【0147】
〔実施例3〕
ワニス1をワニス2に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚50μmのポリアミドイミドフィルム3を得た。
【0148】
〔実施例4〕
ワニス1をワニス3に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚49μmのポリアミドイミドフィルム4を得た。
【0149】
〔実施例5〕
ワニス1をワニス4に変更した以外は、実施例1と同様にして、膜厚48μmのポリアミドイミドフィルム5を得た。
【0150】
〔実施例6〕
ワニス1をワニス5に変更した以外は、実施例1と同様にして、膜厚48μmのポリアミドイミドフィルム6を得た。
【0151】
〔実施例7〕
ワニス1をワニス6に変更した以外は、実施例1と同様にして、膜厚78μmのポリイミドフィルム7を得た。
【0152】
〔比較例1〕
ワニス1をワニス7に変更した以外は、実施例1と同様にして、膜厚52μmのポリイミドフィルム8を得た。
【0153】
〔比較例2〕
ワニス1をワニス8に変更した以外は、実施例1と同様にして、膜厚50μmのポリアミドイミドフィルム9を得た。
【0154】
得られたポリアミドイミドフィルム1〜6及び9並びにポリイミドフィルム7及び8の外観を目視で観察し、白濁の有無を確認した。ポリアミドイミドフィルム9のみ白濁の存在が確認され、それ以外のフィルムには白濁の存在は確認されなかった。
【0155】
【表7】
【0156】
実施例1〜7の光学フィルムは、ポリアミドイミドを含み、式(1)を満たし、それらの繰り出し安定性の評価は◎、○及び△のいずれかであった。比較例1〜2の光学フィルムは、ポリアミドイミドを含み、式(1)を満たしておらず、それらの繰り出し安定性の評価結果はいずれも×であった。
【0157】
実施例1〜7の光学フィルムは、比較例1〜2の光学フィルムに比べ、繰り出し安定性及びフィルム外観ともに優れることが明らかである。
【0158】
また、実施例1〜7の光学フィルムでは、ハンセン溶解球法で決定される三次元距離Raが式(3)を満たし、それらのフィルム外観品質の低下抑制の評価結果は、いずれも○(良い)であった。比較例2の光学フィルムでは、三次元距離Raが式(3)を満たしておらず、そのフィルム外観品質の低下抑制の評価結果は、×(悪い)であった。ブチルアクリルレートを示す。MMAはメチルメタアクリルレートを示す。HEAはヒドロキシエチルアクリルレートを示す。AAはアクリル酸を示す。架橋剤及びSC剤の添加量は、単量体100部に対する質量である。
【0159】
【表8】
【0160】
(粘着剤層1の形成)
離型処理された基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ38μm)の離型処理面に、アプリケータを利用して粘着剤層形成用組成物1を塗布し、塗布層を形成した。塗布層を100℃で1分間乾燥させ、粘着剤層1を形成した。粘着剤層1の厚さは、25μmであった。
次いで、粘着剤層1上に、離型処理された別の基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ38μm)を貼合した。その後、温度23℃、相対湿度50%RHの条件で7日間養生させた。これにより、粘着剤層1を備えるフィルムを得た。得られた粘着剤層1の弾性率G’及び厚さを測定した。測定結果を表9にまとめた。
なお、以下で粘着剤層を積層させる場合、粘着剤層を積層した後に、離型処理した基材を剥離した。
【0161】
(粘着剤層2の形成)
粘着剤層形成用組成物1を粘着剤層形成用組成物2に変更し、粘着剤層の厚さが5μmとなるように粘着剤層形成用組成物を塗布した以外は、粘着剤層1の形成と同様にして、粘着剤層2を形成した。粘着剤層2の弾性率及び厚さを表9にまとめた。
【0162】
【表9】
【0163】
[3−6.偏光板の製造]
(配向膜形成用組成物の調製)
ポリマー1は、以下の構造単位からなる光反応性基を有するポリマーである。
GPC測定より、得られたポリマー1の分子量は数平均分子量28,200、分散度(Mw/Mn)は1.82を示し、モノマー含有量は0.5%であった。ポリマー1を濃度5質量%で、シクロペンタノンに溶解した溶液を配向膜形成用組成物として用いた。
【0164】
(配向膜の形成)
保護フィルム(トリアセチルセルロース:TAC)の上に、上記配向膜形成用組成物をバーコート法により塗布し、塗膜を形成した。塗膜を80℃で1分間乾燥させた。次いで、UV照射装置(SPOT CURE SP−7、ウシオ電機(株)製)及びワイヤーグリッド(ウシオ電機(株)製「UIS−27132##」)を用いて、露光量100mJ/cm(365nm基準)条件で、塗膜に偏光UVを照射した。これにより保護フィルム上に配向膜を形成した。配向膜は、配向性能を有しており、その厚さが100nmであった。
【0165】
(偏光子形成用組成物の調製)
(重合性液晶化合物)
重合性液晶化合物は、式(5)で表される重合性液晶化合物[以下、化合物(5)ともいう]と式(6)で表される重合性液晶化合物[以下、化合物(6)ともいう]とを用いた。
【化5】
【化6】
化合物(5)および化合物(6)は、Lub et al.Recl.Trav.Chim.Pays−Bas、115、321−328(1996)記載の方法により合成した。
【0166】
(二色性色素)
二色性色素には、下記式(7)、式(8)、式(9)で示される特開2013−101328号公報の実施例に記載のアゾ色素を用いた。
【0167】
【化7】
【化8】
【化9】
【0168】
(偏光子層形成用組成物の調製)
偏光子層形成用組成物は、化合物(5)75質量部、化合物(6)25質量部、二色性染料としての上記式(7)、(8)、(9)で示されるアゾ色素各2.5質量部、重合開始剤としての2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(Irgacure 369、BASFジャパン社製)6質量部、およびレベリング剤としてのポリアクリレート化合物(BYK−361N、BYK−Chemie社製)1.2質量部を、トルエン400質量部に混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより調製した。
【0169】
(偏光子の製造)
形成した配向膜上に、上記偏光子形成用組成物をバーコート法により塗布し、塗膜を形成した。塗膜を100℃で2分間加熱乾燥させた。次いで、室温まで冷却した。上記UV照射装置を用いて、積算光量1200mJ/cm(365nm基準)の条件で、塗膜に紫外線を照射した。これにより、配向膜上に偏光子を形成した。偏光子の厚さは3μmであった。
【0170】
(保護層の形成)
偏光子上に、ポリビニルアルコールと水とを含む組成物を塗布し、塗膜を形成した。塗膜を温度80℃で3分間乾燥した。これにより、偏光子上に保護層を形成した。保護層の厚さは、0.5μmであった。
以上により、保護フィルム、配向膜、偏光子、及び保護層の順に積層した偏光層を製造した。
【0171】
(λ/4位相差板及びポジティブCプレートの形成)
下記に示す各成分を混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、λ/4位相差層形成用組成物を得た。
下記式で示される化合物b−1:80質量部
下記式で示される化合物b−2:20質量部
重合開始剤(Irgacure369、2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、BASFジャパン社製):6質量部
レベリング剤(BYK−361N、ポリアクリレート化合物、BYK−Chemie社製):0.1質量部
溶剤(シクロペンタノン):400質量部
【0172】
第1基材フィルム(厚さ100μm、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET))の上に前記配向膜形成用組成物をバーコート法により塗布し、80℃の乾燥オーブン中で1分間加熱乾燥した。得られた乾燥被膜に偏光UV照射処理を施して第2配向膜を形成した。偏光UV処理は、上記UV照射装置を用いて、波長365nmで測定した積算光量が100mJ/cmである条件で行った。また、偏光UVの偏光方向は偏光層の吸収軸に対して45°となるように行った。このようにして、「第1基材フィルム/第2配向膜」からなる積層体を得た。第2配向膜の厚さは100nmであった。
「第1基材フィルム/第2配向膜」からなる積層体の第2配向膜上に、λ/4位相差層形成用組成物をバーコート法により塗布し、120℃の乾燥オーブンで1分間加熱乾燥した後、室温まで冷却した。得られた乾燥被膜に、上記UV照射装置を用いて、積算光量1000mJ/cm(365nm基準)の紫外線を照射することにより、位相差層を形成した。得られた位相差層の厚さをレーザー顕微鏡(オリンパス(株)製OLS3000)により測定したところ、2.0μmであった。位相差層は、面内方向にλ/4の位相差値を示すλ/4板であった。このようにして、「第1基材フィルム/第2配向膜/λ/4位相差層」からなる積層体を得た。
下記に示す各成分を混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、 ポジティブc位相差層形成用組成物を得た。
下記式で示される化合物(LC242、BASFジャパン社製):100質量部
重合開始剤(Irgacure 907、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、BASFジャパン社製):2.6質量部
レベリング剤(BYK−361N、ポリアクリレート化合物、BYK−Chemie社製):0.5重質量部
添加剤(LR9000、BASFジャパン社製):5.7質量部
溶剤(プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート):412質量部
【0173】
前記λ/4位相差板と同様に第2基材フィルム(厚さ100μm、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET))の上に前記配向膜形成用組成物をバーコート法により塗布し、90℃の乾燥オーブン中で1分間加熱乾燥して第3配向膜を形成した。その後、第3配向膜上に、ポジティブC位相差層形成用組成物をバーコート法により塗布し、90℃の乾燥オーブンで1分間加熱乾燥した後、窒素雰囲気で上記UV照射装置を用いて、積算光量1000mJ/cm(365nm基準)の紫外線を照射することにより、ポジティブCプレートを形成した。得られたポジティブCプレートの厚さをレーザー顕微鏡(オリンパス株(式)製 OLS3000)により測定したところ、1.8μmであった。
その後、前記λ/4位相差板の第1基材フィルムの反対側に、ポジティブCプレートの第2基材フィルムを剥がした面を粘着剤層2を用いて貼合することで位相差層を作製した。
形成されたλ/4位相差板及びポジティブCプレートは、何れも重合性液晶化合物が配向した状態で硬化した層を含んでいた。
【0174】
[3−7.円偏光板を有する積層体の製造]
ポリアミドイミドフィルム1、偏光層、粘着剤層1及び粘着剤層2を用いて、積層体1を製造した。積層体1は、ポリアミドイミドフィルム1/粘着剤層1/偏光層(保護フィルム/配向膜/偏光子/保護層)/粘着剤層2をこの順に備えていた。偏光層における保護フィルム側とは反対側に、粘着剤層2を介して、位相差層の第1基材フィルムを剥がした面を貼合した。位相差層は、λ/4位相差板(RWP)とポジティブCプレート(PosiC)とを積層した層である。その後、前記位相差層の偏光層とは反対側に粘着剤層1を設けた。これにより円偏光板を有する積層体1を製造した。積層体1は、ポリアミドイミドフィルム1/粘着剤層1/偏光層(保護フィルム/配向膜/偏光子/保護層)/粘着剤層2/位相差層(λ/4位相差板/ポジティブCプレート)/粘着剤層1をこの順で備えていた。ここで、位相差層における配向膜の表記は省略する。
なお、偏光層と位相差層との貼合では、偏光層の吸収軸が位相差層の遅相軸(光軸)に対して実質的に45°となるようにして粘着剤層2を介して偏光層と位相差層とを貼合した。
【0175】
円偏光板を有する積層体について、光学特性値を測定し、算出した。詳しくは、透過b*、透過a*、反射(SCE)方式のa*、b*及びYを測定した。得られた透過b*、反射(SCE)b*及び反射(SCI)b*から、透過b*−反射(SCE)b*を算出した。測定結果及び算出結果を表10にまとめた。
【0176】
〔実施例9〕
ポリアミドイミドフィルム1の代わりにポリアミドイミドフィルム5を前面板に適用した以外は、実施例8と同様にして、円偏光板を有する積層体2を製造し、光学特性値を測定し算出した。
【0177】
〔実施例10〕
ポリアミドイミドフィルム1の代わりにポリイミドフィルム7を前面板に適用した以外は、実施例8と同様にして、円偏光板を有する積層体3を製造し、光学特性値を測定し、算出した。
【0178】
〔比較例3〕
ポリアミドイミドフィルム1の代わりにポリイミドフィルム8を前面板に適用した以外は、実施例8と同様にして、円偏光板を有する積層体4を製造し、光学特性値を測定し、算出した。
【0179】
【表10】
【0180】
実施例8〜10の円偏光板を有する積層体は、式(39)を満たし、それらの視認性の評価は○及び△のいずれかであった。また、実施例8〜10の円偏光板を有する積層体は、式(40)も満たしていた。
比較例3の円偏光板は、式(39)を満たしておらず、その視認性の評価はXであった。また、比較例3の円偏光板を有する積層体は、式(40)も満たしていなかった。
【0181】
実施例8〜10の円偏光板を有する積層体は、比較例3の円偏光板を有する積層体に比べ、視認性に優れることは明らかである。